俺がわらび餅を開けると
◇がフォークを持ってきてくれた。
岩)いただきまーす。
◇)ドキドキ…
岩)お、美味い!!
◇)やったーー!!
二人でパクパク食べながら大阪の話に。
岩)あ、あれ賞状?
◇)うんっ!!
岩)すげ〜〜〜〜
◇)チームにもらったんだけどね、
皆があたしに持って帰っていいよって
言ってくれたから…
あそこに飾ってるのー♡
岩)いいじゃん♪
壁には賞状と記念写真が飾られてた。
岩)パーティーの写真とかないの?
◇)あ、見る??
岩)うん。
◇)えっとねーー
◇が俺にぴたっとくっついてきて
写真を見たいと言った自分を褒めたくなった。
◇)ここからだよー♪
岩)うわ、会場すげぇ広いじゃん!
◇)うん!!
岩)レッドカーペットかよ!!
◇)そうなの!!ほんと緊張した!!
岩)すげぇなーーーー
写真をスワイプしていくと
知らない男がスピーチしてる写真が出てきた。
◇)あっっ///
いきなり携帯を奪い返そうとしてくるから
俺は◇の手が届かないように片腕で抑えた。
岩)誰これ。
◇)そ、それはいいのっ!///
岩)……
すげぇイケメンなんだけど…
なんかどっかで…見たことあるような…
スワイプしていくと
この男の写真が10枚くらい…
◇)見ないでよぉっっ///
岩)……
まさか…
岩)これが…「憧れの人」?
◇)…っ///
岩)……
もう一回写真を戻してマジマジ見た。
岩)ふーん、同じ会社だったんだ。
◇)///
岩)イケメンですねーーー
◇)///
岩)隠し撮りですかーーー
◇)///
なんかムカムカムカ。
◇)こんな時しか
写真撮るチャンスないんだもんっ///
お、開き直りやがったな。
岩)あれ?今度は違う男が出てきた。
◇)あっ!それは…
今度はもっと甘い感じの…
そう、ジャニーズっぽい男。
◇)それは違うー!
多田さんに頼まれたやつー!
岩)……
多田さんって…
確か…俺のファンの??
◇)あたしじゃないもんっ//
岩)……イケメンの写真集でも作る気かよ。
◇)違うってば!w
岩)ふーーーん。
◇)この人たちはね、なんていうか…
特別なの!
岩)は?
◇)あたしがね、勝手に
「王族」って呼んでるんだけど…
岩)王族ー?!!
◇)そ!!
うちの会社の美男美女!!!
4人いるの!!
岩)……
◇)すっごい人気なんだよーーー
岩)へぇ…、美男美女ねぇ……
◇)うん!!
岩)で、お前はその一人に
恋してるわけね?
◇)恋じゃないってば!//
岩)……
ムカムカムカ。
◇)だってね、この二人は…
岩)……
◇(内緒だよ?)
いきなり俺の耳元に手を添えて…
◇(姫さんが好きなの!)
岩)…っ
二人しかいないのに
謎に声を潜めて、耳元で喋る仕草が可愛くて
くだらないムカムカが一瞬で消えた。
岩)ぶっww
◇)内緒だからねっ!
岩)俺が誰に言うんだよw
◇)はっ!そうか!
岩)あはははw
なんなんだこいつ…
ほんと可愛いな…ww
岩)「姫さん」ってなんだよw
◇)だから!王族の一人!
岩)……
◇)仕方ないから
剛典には全員紹介してあげる!
岩)……
なんか嬉しそうに立ち上がって
雑誌を持ってきた。
◇)あのね、王族の二人は
すっごく可愛い人と美人な人でね、
あたしは姫さんのファンなの!
岩)姫さん…ww
◇)ちょっと!バカにしてるでしょ!
岩)姫さんって…ww
◇)だって会社で「姫」って
みんなに呼ばれてるんだよ?
岩)マジで?あだ名なの?w
◇)あだ名っていうか…
周りが勝手にそう呼んでるの。
岩)へぇ……
そんなに可愛いわけ?
◇)うん!!!
まるで好きな芸能人の話をするみたいに
嬉しそうに「王族」の話をする◇。
「姫」って呼ばれるほど可愛い子ねぇ…
◇)ほら、見て!!!
岩)……
◇が俺の前に、雑誌を開いた。
◇)これが姫さん!♡♡
岩)!!!!
え、え、えええええっっ!!!!!
◇)王族の方々はね、その美貌のあまり
モデルを始めたのよ、先月から。
これはその記念すべき第1号。
岩)…っ
◇)会社の人はみーーんな買いに走ったのw
岩)……
びっくりして言葉が出ない。
岩)……
はっ!!!!
そうか!!!!!
「なんかさ、今日大阪にいんの。」
「会議?だかなんだかで。」
臣さん言ってたじゃん!!
なんで俺、気付かなかったんだろ!!
岩)……
それに…
どこかで見たことあると思ったら
この男…
ーーー
E)この間って何??
臣にケンカ売ってきた男の話??
臣)それはこいつ。
E)ええええ!!!!
N)ちょ、ちょ、ちょっと待って
話が全然見えない!!
説明して、誰か!!
隆)こっちの黒髪の子と写ってんのが
臣の前で♡ちゃんに告った奴でしょ?
臣)そう。
E)で、♡ちゃんと写ってんのが
臣にケンカ売ってきた奴?
臣)そう。
N)えーーー!!!!
どっちもめっちゃイケメンじゃん!!!!
直)レベル高っ!!!!
N)二人とも♡ちゃんのこと好きなわけ!??
ーーー
思い出した。
◇)やっぱりいろんな芸能人見てる
剛典から見ても
姫さんは可愛いでしょっ♪
岩)……
◇がドヤってる。
◇)あれ?こっちの人の方がタイプとか?
岩)……
それはKちゃんですね。
いや、俺は♡ちゃんの方がタイプです。
◇)わかった!
剛典ってば、姫さんのあまりの可愛さに
言葉を失ってるな?にししっw
岩)……
無邪気な◇が可愛くて、また頭を撫でた。
◇)なに…//
岩)いや…ww
そうか…
この4人は会社でそんな有名なのか…
岩)お前の「憧れの人」は
どんな男なわけ?
◇)えっ///
岩)……
◇)えっとね、ジェントルマン!!
岩)……
◇)とにかくレディーファーストだし
困ってる女子は助けてくれるし
ほんとに優しいの!!
岩)へぇ……
◇)でもね、こっちの王子も優しかった。
岩)ほぅ。
◇)王子とはあまり接点なかったんだけど
この間エレベーターで偶然話したら
話しやすくてめちゃイイ人だった。
岩)……
◇)二人ともイケメンなだけじゃなくて
性格もいいからモテモテなんだよ。
岩)……
すげぇ高評価。
臣さん…ファイト。
◇)でもね、こんなイケメン二人から
想いを寄せられてても
姫さんにはちゃーんと彼氏がいるの♡
岩)えっっ
◇)ペアリングもしててね、
ラブラブなんだよーー♡
岩)……ええと…
♡…っ、じゃなくて「姫さん」…
と、お前は、話したことあんの?
◇)ふふんっ!あるのだっ!!
岩)……ww
いちいちドヤる◇が可愛いww
ほんとに♡ちゃんが大好きなんだな…
◇)姫さんとは
たまに挨拶する程度なんだけどね。
岩)うん。
◇)姫さんの彼氏もねっ、
すっごくカッコイイんだよ!!
岩)えっ!!知ってんの?!!
◇)は??
岩)…っ
…って、んなわけねぇか!
知ってたら俺と繋がってるの
わかるもんな…
岩)カッコイイってなんで…?
◇)あのね、姫さんのこと
迎えにきたことがあるんだけど
臣さん!見られてんじゃん!
大丈夫かよ!!
◇)転ばされた姫さんを
カッコよく颯爽と抱き上げて
さらっていったの!///
岩)……
◇)ほんと素敵だったぁ〜〜///
岩)顔は見てないの?
◇)うん!夜だったから!
岩)ふーーん……
◇)でも見てる人いっぱいいたよー!
岩)……
臣さん…
結構危ないことしてんな…w
岩)つーか転ばされたって何?
◇)ああ、あのね、
姫さんは可愛いしモテモテだから
ひがんでる女どもがいんのよ。
岩)……
◇)多分そいつらの嫌がらせ。
岩)めっちゃ陰険じゃん。
◇)でしょ!!
今度見つけたらあたしが退治してやる!!
岩)……
◇)ふんふんっ!!
岩)お前は…姫さんが大好きなんだな…w
◇)うんっ♡♡
岩)……
今度会わせてやりたいなーーw
びっくりするかな?
するよな。
はっ!!!
でも俺、♡ちゃんに話してるんだった!!
「その子も岩ちゃんが好きなんじゃないの?」
は、恥ずかしい…///
◇)だから。
王族は「憧れの人」で
「恋」じゃないからねっ。
パタン。
◇が雑誌を閉じた。
岩)もし言い寄られたら?
◇)ないない!!w
岩)もしも。
◇)絶対ない!!
岩)わかんないじゃん。
◇)わかるよ!!
岩)……
◇)大体、姫さんを好きになるような人が
あたしなんか相手しませんw
岩)……
わかってねぇなぁ……
岩)お前だって可愛いっつーの…
◇)……
岩)……
◇)はぁ?!///
ワンテンポ遅れて
◇の目がまん丸になった。
◇)な、何言ってんの?///
岩)何って……
◇)あたしなんて…
ただの庶民なんだから…//
岩)……
◇)ちんちくりんだし…
岩)……
ぐいっ
◇)ひゃっ//
岩)庶民でもちんちくりんでも
なんでもいーの!!
◇)…っ
岩)お前は可愛いんだっつーの!!
ぎゅっ
◇)は、離せぇっ!!!///
岩)あっ
ソファーから立ち上がって
逃げやがった。
◇)近寄るの禁止っ!!///
岩)はぁ?!
◇)ああ危ない…、また剛典に
変にされちゃうところだった//
岩)変にされちゃうって何だよ!w
◇)近寄るなってばー!!//
岩)待てこのっ
◇)やだー!!来ないでー!!
岩)…っ
なんだこの鬼ごっこは…
岩)おとなしく戻ってこい。
◇)……触んない?
岩)触る。
◇)じゃあやだっ!!///
岩)なんで!!!
◇)…っ
岩)もうあと10分しかないんだから!
◇)……あ…
◇が時計を見た。
岩)イチャイチャしたい!!
◇)…っ///
岩)戻ってきて。
◇)イチャイチャって何!!
しないし!///
岩)する!!
◇)しない!!
岩)する!!!
◇)しない!!!
岩)…っ
◇)///
くそーーーーー
岩)じゃあ触んないからここ来て。
◇)え…っ
岩)ここ!
◇)……
◇がゆっくり俺に近付いて…
岩)触んないから。
◇)…っ
俺の前に立った。
岩)……
◇)……//
岩)触んないから…さ、チューしていい?
◇)えっ!!!
岩)……
◇)…何…それ…//
岩)……
◇)……//
岩)……
◇)触んないで…どうやって
チュー…するの?//
岩)別に…できるじゃん。
◇)……
岩)…つーか……
◇)……
岩)触りながらチューしたら
止まんなくなるから触んない。
◇)…っ///
岩)だから…チューしていい?
◇)///
触れたい…
抱き寄せたい…
そんな気持ちを必死に抑えて
手を後ろに組んだ。
岩)ん。
◇)……//
目を瞑れと促すと
◇がゆっくり…目を閉じた。
………チュッ…
そっとキスをすると
◇の目がゆっくり開いた。
◇)……//
岩)……//
うああああ〜〜〜
全然足りねぇ…っ!!!
さっきあんなエロいチューしたから
こんなんじゃ全然足りません!!!
◇)……
岩)……
やっぱり…触りたい……
岩)……
◇)ねぇ…//
岩)え…?
◇)……
岩)……
◇)…剛典が…触らないなら…
岩)……
◇)あたしが…触っても…いい?//
岩)……
◇)……
岩)は?!///
今度は俺がワンテンポ遅れて反応した。
だって…
今なんつった?!!///
◇)触って…いい?///
岩)…っ///
な、何これ…っ
俺…っ、何…されんの?!
か、可愛い…ヤバい…死ぬっっ///
……ぴと。
岩)…っ
◇)……//
◇の小さな手のひらが
俺の頬に優しく触れた。
まるで…
俺が◇に、キスする時みたいに…
なで…なで…
岩)…っ///
◇)///
すげぇ可愛い顔で見上げてきて
俺の頬を撫でてる…
◇)目…閉じて…//
岩)…っ///
え、え、…それって……
岩)…っ
考えてる暇もなく
◇が少し背伸びをしたのがわかって
俺はおとなしく、目を閉じた。
…………kiss……
岩)…っ
ゆっくり目を開けようとすると
◇の左手が俺のもう片方の頬も包んだ。
…kiss……
岩)///
俺がゆっくり目を開けると
俺の頬を包んでいた◇の両手は
同時にパッと離れて…
◇)///
岩)///
こ…これは……
岩)俺のこと……
◇)…っ
岩)悩殺する気?///
◇)えっ!!
岩)……//
◇)……//
照れて真っ赤に俯く◇に、もう聞きたい。
「俺のこと…好き?」
岩)ねぇ……
◇)…っ
ピロピロ♪ピロピロ♪
岩)うあああ〜〜〜〜
◇)……//
来ました。お迎え。
岩)はぁぁ………
今来るかよ、このタイミングで。
岩)……
◇)……//
仕方なく荷物をまとめて
玄関へ向かう。
はぁ……
◇)剛典…っ
岩)……
◇)お土産…ありがとう//
岩)……
◇)すっごく…嬉しかった//
岩)……
帰りたくない…
離れたくないって思う
俺の気持ちは一緒なのに
◇の見送り方が
初期の頃とは全然違うことに気付いて
すげぇ嬉しくなる。
◇)本当に…ありがとう♡
岩)うん……
◇)……
岩)……
可愛いなぁ…ほんとに…
岩)……あっ!!
◇)え…?
岩)大事なこと忘れてた。
◇)え???
岩)キスマークつけてない。
◇)な、何それっ!///
そんなんつけなくていいよっ!!!
岩)見えないとこならいいって
言ったじゃん。
◇)言ってない!!!w
岩)ちえ…っ
◇)……
岩)……
◇)……
岩)ダメ…?
◇)…なんで…つけたいの?//
岩)……
◇)……
岩)俺のこと…忘れてほしくないから。
◇)…っ
見るたびに…
俺のこと…思い出して欲しいから。
岩)……
◇)…それなら…
岩)……
◇)つけなくても…大丈夫…
岩)……え?
◇)…っ
岩)……
◇)つけなくても、もう…
剛典のことばっかり…考えてるから…//
岩)…っ
◇)///
岩)///
ドキン…
ドキン…
ああ…恋に鳴く心臓が、うるさい//
岩)じゃあ…また連絡する…
◇)うん……
岩)今日はありがと。
◇)ううん、ありがとう。
岩)……
◇)……
岩)じゃあね…
◇)うん、仕事頑張ってね。
岩)ん。
◇)……
岩)……
バタン。
次会える時は、もっとゆっくり会いたい。
もっと一緒にいて
もっと笑顔を見ていたい。
もっと触れて
その甘い匂いに溺れていたい。
だから…
今度会える時には
今度こそ聞かせて……
俺のことが…好きだって。
ーendー
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