[348]ファーストキス(Tくん&海璃ちゃんSide)

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T)なぁ、海璃知らね?
♡)あ、そういえばステージ終わってから
  見てないや!
M)どこ行ったんでしょう??
先)やだTくんってば〜〜♡
  そうよねそうよね、誰よりも
  海璃ちゃんに報告したいわよねぇ〜♡
先)ご褒美のチューとかしてもらったりぃ?♡
T)いや、ええと…///
 
 
先輩たちの冷やかしは置いといて、
一番に報告したかったのはほんと。
 
でも会場に着いてすぐ探したけど
どこにもいなくて…
 
 
部)おお!T!こっち来い!!
  社長が呼んでるぞ!
T)はいっ!!
 
 
無事契約書を回収して
本当に1位になれた俺は、
社長にも部長にも褒められて、
会う人会う人おめでとうって声をかけられて
海璃を探す暇もなくて…
 
結局、あっという間に終わった忘年会。
 
 
みんなバラバラに二次会に向かったけど
俺は海璃が気になって
電話をかけてみた。
 
 
T)……出ねぇ。
 
 
なんでだ?
マジでどこにいんの?
 
 
T)おい!海璃見なかったか?
紅)あ、そういえば…
  出し物終わった後から見てないっす。
T)おい!海璃知らねぇ?!
蒼)トイレ行った後から見てないです。
T)…っ
 
 
誰に聞いても知らないって…
どうなってんだよ。
 
 
◇)あ、王子ーーー
  1位おめでとーーー
T)お嬢!ありがとう。
◇)おめでとうだけど
  Jさん抜くなんて憎いわーーー
T)は???w
◇)ま、いいけど。
  ねぇ、海璃ちゃん具合悪いの?
T)えっ…?
◇)忘年会終わる前に
  フラフラ外に出てくの見えたから
  先に帰ったのかなって思って。
T)!!!
 
 
俺はそれを聞いて、すぐにタクシーに乗った。
 
体調悪くて先に一人で帰ったのか。
そりゃ探してもどこにもいないはずだ。
 
でも誰にも言わずに帰るなんて
あいつらしくないな…。
 
 
T)二つ目の信号、右で!
運)はい。
 
 
あ、何か買ってった方がいいのか?
いや、後でいいか。
 
とりあえず様子見て、欲しいものあったら
後から買いに行こう。
 
 
心配で仕方ない俺は、
タクシーを降りてすぐに
海璃の部屋に向かった。
 
でも、チャイムを鳴らしても出なくて。
 
 
T)海璃…?
 
 
ドアをノックしても、反応なし。
 
家に帰って来る前に
どこかで倒れてたりしたらどうしよう。
 
俺は慌てて携帯を出して
もう一度海璃にかけた。
 
 
……出てくれ、頼む…!
 
 
海『……もし…もし…?』
T『海璃?!』
 
 
やっと繋がった!!
 
 
T『お前どこにいんだよ!』
海『…っ』
T『おい、聞こえるか!?』
海『はい…、っ』
T『どこにいる?大丈夫か!?』
海『おうちに…います…。』
T『は?
  じゃあなんで出ないんだよ。
  チャイム鳴らしてんだろ!』
海『えっ…Tさん…だったんですか…?!』
T『そうだよ!』
 
 
俺はもう一度チャイムを鳴らした。
 
 
T『開けて。』
海『…っ』
T『おい、聞いてる?』
海『…どうして…ここに…』
T『どこ探してもお前いなかったから。
  大丈夫なのかよ?体調悪いんだろ?』
海『…っ』
T『心配だから開けて。』
海『…っ、ぐす…っ』
 
 
電話の向こうでは鼻をすする音が聞こえて…
ドアの前で待ってると、
鍵を開けてくれた音がした。
 
 
……ガチャッ。
 
 
ドアを開けると、
玄関に立ってる海璃は
パーカーのフードを被ってて、顔が見えない。
 
 
T)大丈夫か?
 
 
ドアを閉めてそのフードをグイッと上げると…
 
 
T)…っ
 
 
海璃はぽろぽろと涙をこぼしてた。
 
 
T)なんで泣いてんだよ!
  そんな具合悪いのか!?
  病院行くか?!
海)…っ、(ふるふる)
 
 
慌ててでこに手を当てたけど、熱はない。
 
 
T)マジでどうした!?大丈夫か?!
 
 
海璃はぽたぽた涙を落とすだけで
何も言わなくて…
 
その震えてる肩にそっと手を添えると、
ようやく小さく、口を開いた。
 
 
海)大丈夫ですから…帰ってください…。
T)え…?
 
 
帰れって…何だよそれ…。
 
 
T)帰れるわけねぇだろ…
  こんなお前置いて…
海)大丈夫です…っ、
T)大丈夫じゃないから泣いてんだろ。
海)これは…、Tさんが優しいから
  泣いちゃっただけです…ごめんなさい。
  帰ってください、大丈夫です。
T)…っ
 
 
泣きながら俺を拒絶しようとする海璃が
よくわからなくて。
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
こんな姿、見られたくない。
 
自分が嫌で、涙が止まらなくて。
 
でもTさんはいくら言っても
帰ってくれない。
 
 
これ以上私に、優しくしないで…。
 
もうこれ以上、迷惑かけたくないんです。
 
 
T)あの…さ、
海)……。
T)お前に…話したいことあって。
海)……。
T)それでずっと探してたんだよ。
海)……。
 
 
勝手に一人で帰ってきちゃった
最低な私…。
 
 
T)上がっていい?
海)え…?
T)いや、ここでもいいんだけど…
  お前寒いかなって思って。
海)…っ
 
 
また私の心配、してくれてる…。
どうしてそんなに優しいんですか…。
 
 
海)上がって…ください。
T)うん、ありがとう。ごめんな。
 
 
Tさんがうちに来るのは2回目。
いつもご飯を作るのはTさんの家だから。
 
私はお茶を入れて、
ソファーに座ってるTさんの前に
コトリと置いた。
 
 
T)え…?座んないの…?
海)…っ
T)隣、来いよ。
海)……。
 
 
一緒にいると、苦しくて。
 
早く帰って欲しくて、
私から無理やり切り出した。
 
 
海)話したいことって何ですか?
 
 
間を空けて隣に座ったけど、
Tさんの顔は見れない。
 
 
T)うん、あのさ…、
  今日最終日で、最後の商談が決まって…
  1位になれたんだ、俺…。
 
 
……知ってます。
 
すっごくすっごく嬉しかった。
 
 
T)お前に一番に報告したくて…
海)……え…?
 
 
……どうして…?
 
 
T)ロープレいっぱい付き合ってもらって
  ほんとありがとな。
海)……。
T)お前が応援してくれて、
  すげぇ頑張れたから…。
  ほんとにありがとう。
海)……。
T)報告遅くなってごめんな。
海)……。
T)一番に言いたかったのに…
  一番最後になっちゃったな…。
海)…っ
 
 
Tさんが優しすぎて、また泣きそうになる。
 
 
海)おめでとう…ございます…。
T)俺の話はもういいや。
  お前はどうした?
海)…っ
T)ん…?
 
 
Tさんの手が私の頭に優しく乗って…
心配そうに顔を覗かれた。
 
 
海)なんでも…ないです。
T)…っ
海)1位、おめでとうございます…。
  ……もう…帰ってください。
T)…っ
 
 
本当はちゃんと伝えたかった、
おめでとうの気持ち。
 
Tさんが頑張ってるの、
誰より近くで見てたのに…。
 
 
T)やだよ、まだ帰んない。
海)…っ
T)話、それだけじゃねぇもん。
海)…っ
 
 
Tさんは、私の頭を撫でてた手に
グッと力を入れて、私を抱き寄せた。
 
 
T)なんで…泣いてんの…?
海)…っ
T)言いたくないこと…?
海)……。
 
 
そんな優しく、話しかけないで…。
こんな私なんかに、優しくしないでください。
 
 
海)もう…いいんです…。
T)は…?何が…?
海)これ以上、迷惑かけたくないです…。
T)なんの…話?
 
 
喉が詰まって、上手く言葉が出てこない。
 
 
海)わた…し、…っ
  Tさんに迷惑しか…かけてない…っ
T)は…?
海)もう…嫌なんです…っ
T)……何がだよ。
 
 
こんな自分が。大嫌い。
 
 
海)もう…やめます…っ
T)は…?
 
 
だからもう、優しくしないで…。
無理しないでください。
 
 
海)Tさんのこと…好きなの…、
  もうやめます…。
 
 
自分で言った言葉に、
胸が張り裂けそうになった。
 
でも、これ以上好きな人の負担に
なりたくないから。
 
 
T)なんで…?
海)…っ
T)迷惑かけてるって、何?
  なんでやめんの?
海)…っ
 
 
何も答えられなくて黙ってると、
Tさんは今度はもっと力強く、
私を抱きしめた。
 
 
T)お前がやめても、
  俺はお前のこと好きだからな。
 
 
……え………?
 
 
T)なんでいきなりそうなんの?
  意味わかんねぇ…。
  迷惑って何?
  誰かになんか言われた?
海)…っ
T)俺はお前のことそんな風に思ったこと、
  一度もない。
海)…っ
 
 
さっきのは…私の…空耳かな……
 
 
海)だ…って…
  私は…何もできなくて…
T)んなことねぇって言ってんじゃん!
  お前が応援してくれてたから
  俺は頑張れたんだよ!
海)それは…
  Tさんが優しいから…
  そう言ってくれてるだけで…
T)はぁ?
海)…っ
 
 
今度はグイッと顔を両手で挟まれた。
 
 
T)お前に一番に報告したかったって
  言ってんじゃん!
海)…っ
T)意味、わかんねぇの?
海)それは…私がロープレの相手を…
  させてもらってたから…
T)お前が好きだからだろ!
  わかれよ!
海)…っ
 
 
真っ直ぐな瞳でそう言われて…
 
顔を挟まれてる私は動けないけど、
ただ涙だけがこぼれていった。
 
 
T)いや…、違う、ごめん。
 
 
Tさんはそう言って手を離すと、
また優しく私を抱きしめてくれた。
 
 
T)わかれよって、なんだよ。
  言わなきゃわかんねぇじゃんな。
海)…っ
T)遅くなってごめん…。
海)……え…?
T)ずっと好きだって言いたかったけど…
  今月仕事バタバタしてて…
  って言い訳くせぇな。カッコ悪…。
  ごめん。
海)…っ
T)最後までやりきって…
  1位になれたら言いたかった。
海)…っ
T)ほんとはずっと好きだった。
  言うの遅くて、ごめん。
海)…っ
 
 
涙がいっぱいあふれてきて、
胸もいっぱいで、わけがわからない。
 
 
……嘘だ…。
こんなの…嘘だ…。
 
 
海)Tさんは…っ
T)え…?
海)Tさんは優しいから…
  私のために…嘘ついて…
T)は?なんの話?
海)…っ、私と付き合ってるって…
  嘘をついて…
 
 
その責任を取ろうとしてるのかな…
 
だって…
 
 
海)Tさんが好きなのは…♡さん…
 
 
そうだよ…。
♡さんだもん。
 
 
T)……ああ…、そっか……。
  そんなすぐ信じてもらえないよな…。
海)…え…?
T)それで嫌になった?俺のこと…。
海)…っ
T)そうだよな…、俺…お前にだけは
  散々♡の話してたし…、
  そうだよな…。
 
 
Tさんは私の肩を掴んだまま
ガックリと下を向いた。
 
 
海)一番に報告したかったのは…
  本当は…♡さんですよね…?
T)…っ
 
 
わかってる。
わかってるから…。
 
 
T)♡じゃない。海璃だよ。
海)…っ
 
 
だって…
 
 
海)♡さんが倒れた時だって…
T)え?
海)この間…、
T)ああ、……うん。
 
 
Tさんは考えるように頭の後ろに手をやった。
 
 
T)倒れたのがお前でも、
  俺は走ってったと思う。
海)え…?
T)絶対、うん。
海)……。
T)信用できないかもしんないけど…
  俺が今好きなのは、お前。
海)…っ
 
 
Tさんは…
何を言ってるの…?
 
 
T)♡のことは…確かにすげぇ好きだったし
  フラれた後もずっと引きずってたけど…
  今はもう未練ないよ。
海)……。
T)今は…、いい仲間だと思ってる。
  仲間とか友達として
  大事に思う気持ちはもちろんあるから
  あいつが困ってたら助けたいと思うし
  何かあったら駆けつけると思うけど…
海)……。
T)あ〜〜〜〜、なんて言ったらいいんだろ。
  難しいな。
  ……俺が前と同じような行動を
  取ったとしても…
  そこにもう特別な感情はなくて。
  ♡に対して。  
海)……。
T)って、俺の中での話だから、
  そんなん言葉じゃ伝わんないか。
  あ〜〜〜〜、どうしよう。
 
 
Tさんは本当に困ったように
両手で頭を抱えてる。
 
 
T)俺…散々女々しかったし
  ♡のこと好きすぎたし…
  そんな俺がお前のこと好きだって言っても
  信用できないかもしんないけど…
  いいよ。
  これからわかってもらえるように
  行動で示すから。
海)…っ
 
 
行動で示すって…何…?
 
 
T)ちゃんと伝わるように、
  いくらでも頑張るから。
海)…っ
 
 
頑張るって…誰が?
Tさんが…?
 
嘘でしょ…?
 
 
T)お前がもう俺に愛想尽かしたんだとしても
  それでもいいよ。
海)…っ
 
 
愛想なんて尽かすわけがない。
 
こんなに好きで好きで、
死んじゃいそうなのに。
 
 
T)また好きになってもらえるように…
  俺が頑張ればいいんでしょ?
 
 
真っ直ぐに私を見つめてたTさんは
そのまま私を抱きしめた。
 
 
T)絶対諦めねぇからな。
海)…っ
T)すげぇ好きなんだからな、お前のこと!
海)…っ
 
 
……夢じゃ…ないの…?
 
 
T)……はぁ、ほんと…
  やっと言えた…///
海)…っ
T)はぁぁぁぁぁ………
 
 
Tさんは深い息を吐いた後、
もう一度優しく言ってくれた。
 
 
T)好きだよ、海璃…。
 
 
その言葉が、優しく優しく
胸に溶け込んできて…
 
 
私はもう、苦しくて、わけがわからなくて、
抱きしめてくれてるTさんの身体を
ぐいっと押し返した。
 
 
海)やめて…くださ…っ
 
 
苦しくて、喋れない。
 
 
泣きすぎて、鼻が詰まって苦しくて
息を吸うのがやっとで、
 
感情が忙しくてパニックで、
もう本当にわけがわからない。
 
 
T)お前が泣いてたのは…俺のせいなの?
海)…っ
 
 
私はテーブルの上のティッシュに
手を伸ばした。
 
顔がビショビショで、もうぐちゃぐちゃで。
 
 
海)Tさんが…私を好きなわけ…ないです…っ
 
 
そんなの、あるわけない。
 
 
海)私…なんか…、っ
 
 
好きになるわけが…
 
 
T)私なんか、って…
  俺の好きな子のこと、
  悪く言うのやめてくんない?
海)…っ
T)「なんか」じゃないよ。
  俺の好きな子は
  すっげぇすっげぇいい子だもん。
海)…っ
 
 
「なんでお前って…
 俺なんかのこと、そんなに好きなの…?」
 
「俺なんか、って…
 私の好きな人のこと、
 悪く言わないでくださいっ。」
 
「え…?」
 
「なんか、じゃないです。
 私の好きな人は
 とってもとっても素敵な人なんです!」
 
 
社員旅行でそう話したことを、思い出した。
 
 
T)いつも一生懸命で頑張り屋で…
  真っ直ぐなんだ、ほんと…。
海)…っ
T)人と話すのとか苦手なんだけどさ、
  それでもいつも頑張って
  笑顔なんだよ。
海)…っ
 
 
……見てて…くれてたんだ…
私のこと…
 
 
T)不器用でおっちょこちょいだから
  見てるとほっとけなくて…
  助けてやりたくなるけど…
  でもそんなに弱くなくて。
海)…っ
T)真っ直ぐな分、すごく強い。
  そーゆーとこ…眩しくて。
海)…っ
 
 
そんな風に…
思ってくれてたんですか…?
 
 
T)俺、バカだからさ…、
  ほんと鈍くて、気付かなくて…
  なのにそんな俺のこと、
  ずっと一途に想ってくれてたんだよ。
海)…っ
T)俺は何も知らないで…
  いっぱい傷つけた。
海)…っ
 
 
そんなこと、ないです…。
Tさんは何も悪くない。
 
 
T)だけど…一緒にいるうちに…
  どんどん惹かれてって…
  その子が笑うと…すげぇ嬉しくて
  可愛いなって思ったり…
海)…っ
T)抱きしめたくなったりして…
  ……とっくに好きになってたのに
  自分で気付けなくて…
海)…っ
T)ほんとバカだろ、俺…w
 
 
Tさんは眉を下げて笑って
そのまま私を抱きしめた。
 
 
T)でもさ、ほんと好きなんだ、
  その子のこと…。
海)…っ
T)愛想尽かされたみたいだけど…俺は…
海)そんなわけ…っ
  ないじゃないですか…っ!!
T)え…?
 
 
私はぎゅっとTさんを抱きしめ返した。
 
 
海)そんなわけ、ない…っ
  こんなに…っ
  こんなに…大好きなのに…っ
T)…っ
海)死んじゃいそうなくらい
  大好きなのに…っ!!
 
 
さっきからどうしてこんなに
涙が止まらないのかな。
 
Tさんを好きな気持ちが止まらないからかな。
 
 
T)え、どういう…こと?
  俺のこと…嫌になったんじゃ…
海)Tさんのばか…っ!!
T)は!??
 
 
どこまで鈍いんですか…!!
 
 
海)好きです!大好きです!!
  ……もぉ…やだっ!!!
 
 
泣きながらしがみついたら、
Tさんは困ったように
 
 
T)え、やなの?好きなの?どっち?
  えっ…?
 
 
とか言ってて。
 
なんだかもう、笑えてきちゃった。
 
 
T)え、笑ってるし!
  泣きながら笑ってるし!
  何!??
海)…っ
 
 
もう、やだ。
 
こんなに大好きで、愛しくて、
どうしたらいいの?
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
海璃にもうやめるって言われたり
好きだって言われたり
 
なんかよくわかんない上に
 
海璃はずっと泣きじゃくってて
しまいには笑い出すし、
 
もう俺パニックなんだけど…。
 
 
T)あのさ、俺ほんとに…
  これからちゃんと
  お前に信じてもらえ…
海)好きです!!
T)…っ
海)Tさんが好きです!!
T)…っ
 
 
海璃は泣きながらそう言ってる。
 
 
T)えっと…、え?
海)Tさんが好きです。
T)……好き…なの?
海)(こくん)
T)……え、ほんと?
海)(こくん)
T)え、……///
 
 
ちょっと待て。
なんかもうほんとわけわかんない。
 
 
T)ほんとに…俺のこと、好き?
海)(こくん)///
T)俺の気持ちは…
  ちゃんと伝わった…?
海)……ほんとに…好き…ですか?///
T)え?
海)私の…こと…、
T)好きだよ。
海)////
T)え?///
海)ほんと…ですか?
T)うん。
海)……///
T)え、海璃はほんと?
海)え?
T)ほんとに…好き?俺のこと。
海)(こくん)///
T)////
海)Tさんは…ほんとですか…?
T)え?
海)ほんとに…私のこと…
T)好きだよ?
海)////
T)////
 
 
俺たち、何やってんだろ。
 
何回も確認し合ってるうちに、
照れ臭くなってきて、思わず笑った。
 
 
T)なんだこの会話…///
海)だって…///
T)もういい加減、信じない?お互い///
海)……はい///
T)ほんとに好きだから///
海)私も本当に…大好きです///
T)え、なんか…ずるい。
  俺も…大好きだけど///
海)…っ、ずるいです!///
T)何が!?
海)「大好き」とか…
  Tさんが言うの、ずるいです!///
T)なんでだよ!///
海)だって…
T)だってほんとに好きだもん///
海)////
 
 
…って、だからなんだよこの会話!
さっきから照れるわ!///
 
 
俺はもう一度ぎゅっと海璃を抱きしめた。
 
 
T)……。
海)////
T)……ほんとに好きだし…
  大事にする。
海)…っ
T)大事にするから…
海)////
T)俺と…付き合ってくれる…?
海)////
T)……。
海)////
T)……。
 
 
返事がなくて不安になって…
そっと腕の中を覗いたら…
 
顔を真っ赤にした海璃が
ぽろぽろ泣きながら俺を見つめてて…
 
 
海)(こくん)////
 
 
最後に小さく可愛く頷いて、
俺は死にそうになった。
 
 
T)////
 
 
どうしよう。
すげぇ嬉しい。
すげぇ可愛い。
 
なんか心臓バクバクしてきた。
 
 
海)嬉しすぎて…
  心臓…爆発しそうです…///
T)えっ…
 
 
海璃は俺にぎゅーっとしがみついてきて…
 
 
海)夢みたいで…
  本当に死んじゃいそうです///
T)////
 
 
可愛くて…俺もなんか死にそうなんだけど…
 
 
海)本当に本当に…大好きです///
 
 
ぎゅぅぅぅぅ…っ
 
 
T)////
 
 
死ぬ!死ぬ!死ぬ!!!
 
 
T)海璃…、///
海)まだ、やです…っ!///
T)…っ
 
 
身体を離そうとしたら、
またしがみつかれて。
 
 
海)離れたら、夢から覚めちゃいそうだから…
  やです!!
T)////
 
 
なんだよそれ…
どこまで可愛いんだよ、ほんと…///
 
 
T)覚めないから、大丈夫…///
海)…っ
T)覚めたら俺も困る。
海)…っ///
 
 
海璃の肩を掴んで、ゆっくり距離を空けたら…
 
 
海)////
T)////
 
 
海璃があまりに可愛い顔で俺を見るから
慌ててもう一度、抱きしめた。
 
……危ねぇ…///
 
 
海)私…、ひどい顔ですよね…?
T)え…?
海)泣きすぎて…ぐちゃぐちゃで…
T)え…、、
 
 
めちゃめちゃ可愛かったけど…
え?
 
 
T)もっかい見ていい?
海)えっ…
 
 
そっと顔を覗くと、
海璃は恥ずかしそうに両手で顔を覆った。
 
 
海)見ないでください!///
T)なんで!
海)ぐちゃぐちゃ…なので…
T)いや、全然…。
海)…っ
 
 
そんなことはないんだけど…
 
 
T)でも隠してていいよ。
海)……え?
T)可愛すぎたから。
海)……え?///
T)あ、隠してろっつったじゃん///
海)え?///
T)だーかーらー、もう…っ///
 
 
俺はもう一度海璃を抱きしめた。
 
 
T)そんな顔で見んな///
海)え?///
T)だから可愛すぎんだって///
海)……Tさん、何言ってるんですか?///
T)////
 
 
ほんと俺、何言ってんだろ。
恥ずかしくなってきた///
 
 
海)顔……、見たいです///
T)は?……ぜってぇダメ///
海)見たいですっ!
T)あ、こらっ!///
海)…っ
T)////
海)////
 
 
見つめ合ったまま、流れる沈黙。
 
 
T)……ああ、ほんと無理…///
海)え…?
T)だから見んなって///
海)…っ
 
 
俺は手のひらで自分の目を覆った。
 
 
海)えと、隠しました///
T)え?
 
 
そう言われて手をよけてみたら
海璃はまた自分の手で自分の顔を隠してて。
 
その可愛すぎる行動に、もう限界。
 
 
海)こっそり…見るのは…いいですか?///
T)////
 
 
今度は指の隙間から見てるし。
もう誰か助けて///
 
 
海)見たら…どうしてダメなんですか…?
T)……キスしたくなるから。
海)えっ…
T)……///
海)////
 
 
自分で言って、恥ずかしくなった。
何言ってんだ俺。
 
いや、本音なんだけどさ。
 
 
海)じゃあ…外します///
T)え…?
 
 
顔を覆ってた手を外した海璃は
じーっと俺のことを見てる。
 
 
T)////
海)////
 
 
……え、何これ…?
 
 
T)なんで…外したの?///
海)////
T)え…?///
海)////
 
 
俺が動揺して固まってると
海璃が勢いよく俺に抱きついてきた。
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
海)Tさん、嘘つきです!///
T)は!?
海)私が…見たら…
  したくなるって…言ったのに、…キス。
T)…っ
海)////
T)////
 
 
恥ずかしくて、死んじゃいそう。
 
 
海)からかうの、やめてください///
T)いや、からかってねーし!///
海)…っ
 
 
そう言われて…
私はTさんから離れて、
もう一度Tさんを見つめてみた。
 
 
T)////
海)////
T)……いや、だから何してんの///
 
 
キスして欲しくて、見てるのに…
 
 
海)やっぱり…嘘つきです…///
T)何が!///
 
 
だって…
 
 
海)キス…してくれない…///
T)…っ、してくれないって…
  何言ってんの///
  お前がしたいみたいじゃん///
海)してほしいです///
T)したいの俺だから!///
海)私です!///
T)はぁ!?ぜってぇ俺だから!!
海)…っ
T)…っ
 
 
そんな言い合いをして、
お互い我に返って。
 
 
海)////
T)////
 
 
なんだか一気に恥ずかしくなった。
 
 
海)……心臓が…爆発しそうです…///
T)そんなん俺もだし…///
 
 
なんだか全てが夢みたいで、
信じられない。
 
泣きすぎたせいで頭が変になってる。
 
やっぱり、夢なのかもしれない。
 
 
T)じゃあ…する…?///
海)////
 
 
じっと見つめてくれるその瞳に、
私が映ってる。
 
 
T)いや、ダメだ、ごめん///
海)えっ…
T)お前初めてだもんな。
  ダメだダメだ!
海)初めてだったら…
  どうしてダメなんですか?!
T)もっと…違う場所のがいいじゃん…。
海)え…?
T)場所っていうか…
  シチュエーションっていうか…
  そういうの大事だろ、女子って///
海)…っ
T)ファーストキスなんだから///
 
 
そう言ったTさんは
照れたように私の頭を抱き寄せた。
 
 
海)////
 
 
とくん、とくん、とくん…
 
ときめいて、胸が鳴る。
 
 
私が何の経験もないこと、
面倒臭いとか思わずに…
そんな風に大切に思ってくれてることが
嬉しくて。
 
 
海)ファーストキスは…
  場所とかシチュエーションとかじゃ…
  ないです。
T)え…?
海)大好きな人とするから、
  大事な思い出になるんだと思います///
T)…っ
海)今ここじゃ、ダメなんですか?///
T)////
 
 
Tさんに抱きついたままで
顔が見えないからって…
 
私、すごく恥ずかしいこと言ってる。
 
キスしてほしいって、そんなワガママ…。
 
 
T)ほんとに…いいの…?///
海)…っ///
 
 
Tさんの手が、そっと優しく…
私の頬に触れた。
 
 
T)ほんとは…すっげぇしたい///
海)////
 
 
ドキドキドキドキ、
心臓が早鐘みたいになってる。
 
 
T)いい…?
海)////
 
 
Tさんの顔がゆっくり近付いてきて…
もう本当に心臓が飛び出しそうで…
ぎゅっと奥歯を食いしばると、
 
ぺちっとおでこを叩かれた。
 
 
海)え…?///
 
 
ゆっくり目を開けると、
Tさんは困ったように笑ってて。
 
 
T)あのなぁ…///
  今から殴られるわけじゃないんだから…w
海)え、私そんな顔してましたか?///
T)ぎゅーーーっ!ってなってたぞ。
海)…っ
 
 
眉間を親指でゴシゴシされた。
 
 
T)別に無理しなくていいんだぞ?
  焦ることでも急ぐことでもないんだから…
海)したいです!!
T)えっ///
海)無理なんてしてないですっ!!
T)でも…、
海)Tさんがすっげぇしたいって言ってくれて
  嬉しくてドキドキして死にそうなんです!
T)////
海)だからしてほしいんです!///
T)……お、おう…///
 
 
覚悟を決めて、もう一度目を閉じると…
 
 
T)海璃…、
海)…っ
 
 
ふわりと抱きしめられて、
とっても優しく、名前を呼ばれた。
 
 
ドキドキドキ…ドキドキドキ…
 
 
T)好きだよ、海璃…。ほんとに。
海)…っ
 
 
そんなに甘い声で
優しく愛を囁かれたことなんて、
 
私は生まれてから一度もなくて…。
 
 
T)好きだよ…。
 
 
もう一度そう言ってくれたTさんが
優しく微笑んで…
 
唇の距離がゼロになった時。
 
 
自分の目から、涙が一筋こぼれていったのが
自分でわかった。
 
 
とてもとても優しくて、柔らかくて。
 
それはまるで…、、
 
 
「好きだよ。」
 
 
そう囁いてくれた
Tさんの気持ちそのものみたいな…
 
とても尊いようなその感覚に、
私は自然と涙が出たんだ。
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
初めてのキスの後、
綺麗な涙をこぼして俺を見つめる海璃に
愛しさのメーターが振り切れそうで…。
 
 
もっとキスしたい衝動をグッと堪えて…
 
めちゃくちゃに抱きしめたい気持ちを
必死に抑えて
俺は海璃を離した。
 
 
T)////
海)////
 
 
なんでこんな可愛いんだろ…
死にそう。
 
 
T)あーーー、…ええと…、そうだ、ほら!
  腹減ったな!//
 
 
無理やりこの空気を変えたくて
俺は一人、立ち上がった。
 
 
海)あっ…、Tさん食べてないんですか?//
T)うん。酒は少し飲まされたけど
  飯は食う暇なかった。
  お前は?食った?
海)ほんの少し、食べました。
T)腹減ってる?
海)ええと…、
T)ん?
海)今は胸がいっぱいで…
  お腹が空いてるのかよくわかりません///
T)……そ…っか///
 
 
ああ、可愛い!くそー!///
 
 
海)でもTさんお腹空いたなら
  何か作りましょうか?
T)ああ、えーと…うん。
 
 
このまま二人でくっついてたら
なんか俺おかしくなりそうだし…//
 
 
T)何作ろっか…
海)うーんと…
T)……
海)……
T海)シチュー!
 
 
考えた末にハモった俺たちは
目を見合わせて笑った。
 
だって、そうだよな。
俺たちの節目といえば
なんか毎回シチューだしw
 
 
T)じゃあ俺んち行く?
海)はいっ♡
 
 
うわー…うわー…
すっげぇ可愛い。
嬉しそうにニッコリ笑って立ち上がった。
 
 
海)あの…、今更なんですけど
  二次会とか行かなくて良かったんですか?
T)ああ、そういえば…
  なんも考えないで帰ってきちゃった。
  お前が体調悪そうって聞いて…
海)私のせいでごめんなさいっ!
T)いや、全然いいんだけど…
  そういえば体調は大丈夫なの?
海)……元気…です…//
T)泣いてたのは…なんだった?
海)…っ
T)もしかしてさ、営業の女どもに
  またなんか言われた?
海)…っ、ええと…
 
 
やっぱりあいつらか。
ほんと腹立つな。
 
 
海)ちょっと…凹んでたんですけど…
  もう大丈夫です。
  ……Tさんが…魔法かけてくれたから///
T)……は?///
 
 
魔法って何!?
 
……なんか…
海璃ってたまにメルヘンチックなこと言うけど
なんでだろ。
 
そのへんの女が言ってたら
やべーなこいつって思いそうなことでも
海璃が言うとすげぇ可愛いんだけど。
 
……俺、重症かな…?///
 
 
海)あ、あのっ、それから!!
T)え?
海)もう一回ちゃんと言わせてください!
  1位おめでとうございます!!
T)ああ…!
海)本当に本当におめでとうございます!!
T)ありがとw
海)さっきはちゃんと言えなくて…
  ごめんなさい。
  私本当はすっごくすっごく
  嬉しかったんです…!
T)うん。
海)だってTさん本当に頑張ってたから…
T)うん、ありがとなw
 
 
一生懸命な海璃が可愛くて
頭を撫でると
キラキラした瞳が俺を見上げた。
 
 
海)何かお祝いしたいですっ!!
  欲しいものとかないですか!?
T)へっ!?
  ……いやぁ、気持ちは嬉しいけど
  特にないかなぁ。
海)えっ…
T)一番欲しいものならもうもらったし。
海)え、なんですか?!
T)え……、お前…///
海)////
 
 
言ってから猛烈に恥ずかしくなって
俺はそれを誤魔化すように玄関に向かった。
 
 
T)さ、行くぞ行くぞ///
 
 
どんっ!!
 
 
T)うわっ!!
 
 
海璃が後ろから突進してきた!
 
 
T)こら、離しなさい///
海)や、です…///
T)////
 
 
これ、海璃の可愛い口癖。
ずるいやつ。
 
 
海)Tさん…///
T)ん…?///
海)本当に…大好きです…///
T)////
 
 
……頑張れ、俺!!
理性!!理性!!///
 
 
 
 
 
 
ー続ー

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