一年生の時に♡をいじめてた男子たちは
二年生になると
今度は俺たちを冷やかすようになった。
男)お前らいっつも手ぇ繋いで
一緒に帰ってんだろ〜〜っ
男)だっせぇ〜〜!!
男)朝来る時も手ぇ繋いでるもんな。
男)変なの〜〜っ!
♡)もうやだっ!髪引っ張んないでぇっ!
男)お前ハルキのこと好きなんだろーーっ
♡)…っ
男)♡はハルキのことが好きーー!!
男)やーいやーいっ!w
♡)////
その日の放課後、
♡は俺と手を繋がなかった。
ハ)どうしたの?
♡)…っ//
ハ)……
♡)……
ハ)繋ぐのやだ…?
♡)……(ふるふるっ)
ハ)じゃあ繋ご…?
♡)……(こくん)///
夕食の時、いつものように
学校での出来事を父さんに話した。
ハ)♡はあんなに可愛いのに
なんでみんないじめるんだろう…
父)ははははっw
ハ)???
父)可愛いからだよ。
ハ)え??
父)♡ちゃんは本当に可愛くて
いつもニコニコ優しい子だから…
きっとみんな♡ちゃんが
大好きなんだよ。
ハ)大好き?
じゃあどうしていじめるの??
父)うーーん…w
ハ)髪を引っ張ったり…
嫌なことしたり…
好きなのにおかしいよっ!
父)そうだなぁ…w
ハ)痛いことをされたら…
絶対…嫌なのに…
父)……
ハ)……
父)だったらお前は
♡ちゃんを守ってあげたらいい。
ハ)…っ
父)♡ちゃんが…好きなんだろう?
ハ)……
好き……
その言葉の意味を、
まだちゃんとわかっていなかった。
毎日一緒にいるし
♡も瞬も、レイコママも玲司パパも、
みんな大好きだし
何が特別なのかなんて
よくわかっていなかった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
母親がいないからとか、そんなことで
♡と一緒にいることに文句を言われるのが嫌で
俺は勉強も運動も全力でやった。
誰にも負けたくなくて…
♡の側にいることを
誰にも何も言われたくなくて。
テストはいつも100点で
運動もいつも一番になって
すると男子は何も言わなくなったのに
今度は女子がうるさくなった。
女)ね、ね、ハルキくん♡
一緒に宿題やろうよー♡
ハ)ごめんね、今日は
♡と一緒に帰るから。
女)ハルくん、今日一緒に遊ぼ〜♡
ハ)ごめんね、俺は♡と…
女)もうハルキくんってば
いつも♡ちゃんばっかり!!
ハ)……
友達はみんな大好きだし
何が違うのかよくわからないけど
♡だけは特別だっていう想いが
自分の中にあった。
そして冬が来て…2月になると。
♡は「練習があるから!」と言って
俺と一緒に帰らなくなった。
男)ハルキー!サッカーやろうぜ!!
ハ)うん!!
♡はどうしたのかな、なんて
思っていたら
バレンタインの日。
ピンポーン。
ハ)はい。
ガチャッ
♡)……//
そこに立っていたのは
ふわふわの耳あてに
白いマフラーと白い手袋をして
まるで雪うさぎみたいな女の子。
ハ)♡、どうしたの?
♡)///
ほっぺたが赤くなってて…
ハ)寒かったでしょ?
上がって。
♡)…お邪魔します…//
俺がりんごジュースをコップに注ぐと
♡はリビングに置いてあった
チョコレートを見て、固まった。
♡)それ…
ハ)ああ…
♡が一目散に帰っていった後、
クラスの女子からたくさんもらった
チョコレート。
♡)…ぐすっ…
ハ)えっ!!!
驚いて♡の顔を見ると
♡が泣きべそをかいてて…
♡)チョコ…いっぱいもらってる…
ハ)えっ、ちょ、♡…?!
♡)ふぇぇっっ…
ハ)わ、わ、ちょっ…、えっ
わけがわからず
自分が♡を泣かせてしまったと
焦った俺は
ハ)これ、全部お父さんにあげるから!!
意味のわからない言い訳をした。
♡)…ほん…と…?
ハ)うん!だから泣かないでっ…
頭を撫でると
♡が少しだけ笑って
すごく安心したのを覚えてる。
♡)えへへ…//
ハ)……
♡)あのね、♡もね、
チョコレート作ったの。
ハ)え?
♡)ずっと…ママと練習してて…//
ハ)…っ
♡)ハルくん…、もらってくれる?
ハ)……
去年もらったチョコレートは
動物の形のチョコレートだった。
今年は…俺のために
作ってくれたの…?
♡)はい、どうぞ…//
ハ)……//
すごくすごく嬉しくて…
その日、父さんが帰ってきて
俺はすぐにそのことを報告した。
ハ)お父さん!!
父)お、どうした?
ハ)今日ね、♡が…
俺にチョコレートくれた!
父)ああ、そうか!
今日はバレンタインだもんなw
うちの会社は男ばっかりだからなー
ハ)最近ね、一緒に帰らなくて
どうしたんだろうって思ってたら
練習してたんだって!
父)あはははw
可愛いなぁ〜〜〜
ハ)……//
父)きっとハルキに喜んでもらいたくて
♡ちゃん、頑張ったんだな。
ハ)……//
本当に嬉しかった。
父)こっちのチョコレートはなんだ?
やたらいっぱいあるな。
ハ)あ、それはお父さんにあげるやつ!
父)え?
ハ)クラスの子達がくれたんだ。
父)…お前……モテモテだな…
ハ)え??
バレンタインが何なのかも
よくわかってなかったし
クラスの女子からもらったチョコも
正直この時の俺は
どうでもよかった。
ただ…
♡が俺のために作ってくれたのが
本当に嬉しくて…嬉しくて…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
それからも
俺たちは相変わらずいつも一緒にいた。
♡)今日ね、やっとパパが帰ってくるのー♡
ハ)わぁ!そうなんだ!
♡)ハルくんも一緒に遊ぼー♡
ハ)うん!
玲司パパはカメラマンだったから
よく海外を飛び回っていて
帰ってくる時は
いろんな国の写真を俺たちに見せてくれた。
瞬)パパーーこれはーー??
玲)これはね、この国の学校だよ。
瞬)がっこー?
玲)そう。雨が降らない地域だから
窓とかもないんだ。
♡)雨が降らないのー?
玲)そう。だからいつも水を
井戸まで調達しに行くんだよ。
♡)わぁ!大変っ!!
玲)子供たちは学校が終わったら
水を汲みに行って家に帰るんだ。
ハ)子供たちが??
玲)そうだよ。
この国では子供たちも
家族の一員として家の仕事を
手伝うんだ。
ハ)……
玲司パパが聞かせてくれる話は
いつも知らないことばかりで…
玲)地球にはいろんな国がある。
日本は平和だから
わからないかもしれないけど…
この平和や幸せを
「当たり前」だと思って
慣れちゃダメだよ。
♡)……
玲)壊されたり…奪われたり…
支配されたり…
そういうのが「当たり前」に
なってしまってる世界も
まだたくさんある。
ハ)…っ
玲)周りにあるものや人に
ありがとうって思う気持ちを忘れずに
自分の大事なものは
自分で守れるくらい…強くなるんだぞ。
瞬)だいじな…もの…
玲)瞬にはまだ難しいかなw
瞬)うーーー
ぎゅっっ…
玲司パパは俺たちを
まとめて抱きしめて。
玲)俺が生きてる間は
何がなんでもお前たちを守ってやるけど
俺がもしいなくても
ちゃんと強く…生きていけるように
たくましくなれ。
ハ)…っ
玲司パパはいつも、そう言っていた。
♡)なるーーっ!!強くなるーーっ!!
玲)はははっw
♡)パパーっ!もっとぎゅーっ♡♡
玲)はいはい、ほらおいでw
♡)わーーいっ♡♡
ハ)……
俺が大事なもの…
守りたいもの…
それは…
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
それから3年生になって
運動会の練習が始まった頃だった。
先)♡ちゃん!!危ないっ!!!
俺の身体は、考えるよりも先に
条件反射のように動いていて…
♡)うわぁぁんっ!ハルくんっっ!!
ふぇぇっ…ううう…っ
病院で目を覚ますと
顔をぐしゃぐしゃにして泣いてる♡と
玲司パパがいた。
ハ)…あ…れ……
俺の腕は包帯でぐるぐる巻きで…
玲)ハルキ。
ハ)……
玲)腕は…骨は折れてないから
1ヶ月もすれば良くなるって…
ハ)……
玲)頭も少し打ったけど
異常はないって。
ハ)……
生徒たちがふざけていたせいで
倒れてきたポールから♡を庇った俺の腕は
パックリと切れてしまって
出血がすごかったことを後から聞いた。
♡)ハルくんっ…ハルくん…っ
♡が泣きながら抱きついてきて…
玲)ハルキ…ありがとう…
玲司パパが泣きそうな顔で
俺の頭を撫でた。
玲)♡を庇ってくれて…ありがとう。
ハ)……
玲)怪我させて…、本当にごめんな…
そんな顔…しないで…
ハ)大事なものは…
…ちゃんと…守りたい…
玲)…っ
ハ)♡……
♡)わぁぁんっ…
玲)ほんとに…ハルキ…お前は…っ
玲司パパに抱きしめられて
♡はいっぱい泣いてて…
それからすぐに
父さんとレイコママが駆け込んできた。
父)ハルキ…!!!
レ)ハルキーーーッッ!!
レイコママは泣いてて
父さんはひたすら心配そうに
俺を抱きしめた。
父)無事で…良かった…!!
レ)もう…無茶すんな!バカ!!
ハ)…っ
玲)ハルキは♡を庇ってくれたんだよ。
レ)わかってる…!!
わかってるけど…っ
ハ)……
レ)あたしたちはあんただって
♡と同じくらい大事なんだよ!!
ハ)…っ
そう言って涙を流すレイコママを見て
胸が熱くなった。
血が繋がっていても
俺を捨てた母親と
血は繋がっていないのに
本当の家族みたいに心配してくれる人たち。
ああ…
玲司パパが言ってたのは
こういうことなのかな。
周りにいる人にありがとうって思う気持ち。
俺はこんな人たちに出会えて
本当に幸せだ。
そう思った。
家に帰ると父さんがほっとしたような
少し呆れたような顔で笑って。
父)先生から聞いたぞ。
ハ)え?
父)何のためらいもなく…
♡ちゃんを助けたって…
ハ)……
♡を助けるのなんて…
俺にとっては当たり前で…
父)お前が♡ちゃんを好きなのは
よくわかるけど…
もっと自分も大事にしろよ…?
ハ)…っ
父)自分に何かあったら
大事な人も守れなくなる。
ハ)……
父)大事な人と同じくらい
自分だって大事なんだぞ。
ハ)……
父)……
ハ)うん…ありがとう。
でもその日、俺はやっと気付いたんだ。
♡への気持ちは
他の「好き」とは違って…すごく特別で
大切な大切な女の子。
「生きていく中で
自分が生まれてきた意味だって
思える相手にちゃんと巡り会えるから…」
レイコママの言葉が本当なら
それはきっと
「生まれてきてくれて…ありがとう♡」
あの日泣きながら
そう言ってくれた…
いつも俺の隣で笑ってくれる
そんな♡に出逢えたことこそ、
俺が生まれてきた意味だって。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
♡を好きだと自覚した俺は
恋愛感情というものに興味を抱いて
その一番見本になりそうな
玲司パパとレイコママが気になって
二人がいる時は二人をよく見るようになった。
二人は本当に愛し合っているのが
よくわかるくらい
いつも仲が良くて…
俺たちには「パパ」「ママ」って言うのに
互いを呼ぶ時は
「レイコ」と「玲司」になるその呼び名が
すごく特別に思えた。
自分の家に
「愛し合う両親」という姿がないから
余計に二人は、俺の憧れで…
俺もこんな風に、
大人になってもいつまでも♡と一緒にいたい。
そう思うようになっていた。
♡)あーあ、♡のど渇いちゃったぁー
お水飲みたぁい。
ハ)ああ、取ってくるよ。
学校が休みの日曜日。
俺はその日も♡と一緒に遊んでいた。
♡)いいよ!ハルくん怪我してるのに!
ハ)大丈夫だってw
待ってて?
♡)////
♡の頭を撫でてキッチンに向かうと…
玲)愛してるよ、レイコ…
レ)もう…、///
玲司パパが…後ろからレイコママを
抱きしめてて…
レ)あたしも愛してる、玲司♡
玲)ん、…///
二人がキスしてる姿に
俺は立ち尽くしてしまった。
♡)あ〜〜!!
パパとママがまたチュッチュしてる〜!
後ろから付いてきてたらしい♡が
二人を見て嬉しそうにそう言うと、
レ)////
玲)////
二人は少し照れたように
顔を見合わせた。
ハ)♡、見ちゃダメだよ///
♡)どうしてぇ…?
ハ)だって…
♡)だって「愛してる」と
チュッチュするもんね?♡
玲)あ〜〜、ええと…うん、///
♡)ママとパパ、
いつもチュッチュしてるんだよぉ♡
レ)こら、やめなさい///
二人は少し恥ずかしそうに
また顔を見合わせて、
クスッと笑うと、軽いキスを交わした。
ハ)////
その後、♡と瞬はパズルで遊び始めて…
俺は玲司パパに質問をした。
ハ)「愛してる」って…何ですか?
何度か二人にも言ってもらったし
きっとすごくあたたかい言葉なのは
わかっていたけど…
子供の俺にはまだ理解し難くて…
そんな漠然とした俺の質問に
玲司パパは優しく笑って、答えてくれた。
玲)大切に思うことだよ。
ハ)……
玲)人でも、動物でも、物でも…
何でもいい。
好きだとか、守りたいとか、
優しくしたいとか、
大事に思う気持ちがそこにあれば
それは「愛」だよ。
ハ)……
大事に思う…気持ち…
ハ)僕は…お父さんが大事です…
玲)うん。
ハ)……
玲)お父さんを愛してるんだろ?
お父さんもハルキを愛してるよ。
ハ)…っ
心がほんのり、あたたかくなる。
ハ)僕は…玲司パパも…レイコママも…
瞬も…みんな大好きですっ
玲)愛してくれてありがとう。
俺たちもハルキを愛してるよ。
心がどんどん、あたたかくなっていく。
ハ)僕は…♡が何より一番、大事です…
最後にそう言った時、
俺はわけがわからず、泣いていた。
玲)♡を愛してくれてありがとう。
玲司パパは俺の涙を拭いて
俺を優しく抱き上げてくれた。
玲)♡もハルキを愛してるよ。
ハ)…っ
どうしてこんなに次々と
心があたたかくなるんだろう。
玲)人を想う気持ちは…繋がっていく。
「愛」は繋がっていくよ。
ハ)……
玲)ハルキもこれから生きていく中で
愛する人間が増えていく。
ハ)……
玲)人を愛せる心を、大事にするんだぞ。
ハ)…っ
優しく微笑む玲司パパの顔は
涙で揺れて…
そんな俺を、
玲司パパは優しく抱きしめてくれた。
ハ)どうして…悲しくないのに…
痛くないのに…涙が出るんだろ……
一人言のようにそう言うと、
玲)涙が出るのは
悲しい時や痛い時だけじゃないよ。
玲司パパの、優しい声。
玲)嬉しい時だって涙が出るし
人の優しさや愛に触れた時だって、
涙は出る。
ハ)…っ
そう言われて俺は、
誕生日の夜に流した涙を思い出した。
玲)幸せな涙も、あるんだよ。
ハ)……
その言葉が、優しく心を包んでくれる。
♡)あーー!
パパがハルくん抱っこしてるーー
ハ)!!!
♡)♡も抱っこぉ〜〜!!
玲)今はハルキを抱っこしてるから
だーめw
♡)ええ〜〜〜!!
ハ)ぼ、僕、いいですっ///
♡、抱っこしてあげてくださいっ///
なんだか恥ずかしくなった俺が
慌ててそう言ったのに
玲司パパは俺を離してくれなくて
玲)ダメだ〜〜〜w
ハ)////
レ)ほら、♡はママが抱っこしてあげるから。
♡)えっへへーー♡
抱きしめてもらうぬくもりとか
気持ち良さとか
「愛してる」っていうあたたかさとか
優しさとか
自分が知らないことがたくさんあって
でもそれを優しく教えてくれる
大切な人たちがいて…
瞬)抱っこぉ〜〜〜〜
レ)なーに、あんたもー?w
しゃーないなー、ほらw
瞬)えっへへーー♡
玲司パパは俺を抱っこしてて
レイコママは♡と瞬を抱っこしてて
そんな二人は顔を見合わせて、
また幸せそうに笑うんだ。
レ)なぁに、これw
玲)幸せの図w
レ)あっはは♡
玲)幸せだな〜〜〜〜
ゆらゆら揺れる、玲司パパの膝の上。
レ)そうね〜〜〜〜
♡)きゃっきゃっ♡
瞬)きゃきゃっ♡
楽しそうな、♡と瞬。
玲)愛してるよ、レイコ。
レ)何よいきなり///
玲)幸せだから言いたくなったw
レ)あっそ///
……あたしも愛してる、玲司。
玲)ふふっ…
頭上で繰り広げられる、
「愛してる」のやりとり。
瞬)あいしてるーー!!
瞬がその意味もわからず、叫んだ。
玲)あっはははw
レ)愛してるって何をw
二人が笑うと
瞬)パパがママをあいしてる。
確かに、そう言ったんだ。
レ)え、ちょ、意味わかってんの?///
玲)頭いいな、瞬ww
瞬)あいしてるーー
玲)そうだよ。
パパはママを愛してるんだ。
瞬)きゃきゃっ♡
玲)俺は生涯、レイコだけ。
瞬)しょうがい?れいこだけーーー
レ)お前はオウムか!///
玲)あはははっww
♡)しょうがいってなぁに??
玲)生きている間、ずっと…
死ぬまでずっと、ってことだよ。
♡)…っ
玲)俺は生涯、レイコだけ。
レ)何回も言わなくていいし!///
玲)なんだよーー
レ)あたしだって…玲司だけだし///
玲)見て見て、うちの奥さん照れてるw
玲司パパがからかうように
俺にそう言った。
レ)見せんな!///
玲)あはははw
ハ)////
ああ、なんてあったかいんだろう。
俺には「愛してる」人が、いっぱいいる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
それから俺の怪我は
予定よりもすごく早く良くなって
医者がその回復力に驚いていた。
傷跡は残ってしまったから、
♡はそれを気にするように
俺の腕をさすってたけど…
ハ)大丈夫だから。
俺がそう言うと、安心してくれて。
レ)よーし!ハルキの快気祝いでもするか!
玲)そろそろアウトドアとかいいかもな!
そう言って♡の家族が誘ってくれたBBQ。
父さんも快く休みを取ってくれた。
レ)うわ〜〜!天気いいな!!
さすがあたし、晴れ女!!
玲)あっはははw
これはレイコの力なのか?w
レ)そうだよっww
その日は雲一つない快晴で
川の水も温かった。
♡)わぁ〜〜お魚さん泳いでる〜♡
父)ほんとだねぇw
♡)お父さん、お父さん!
あのお魚さんはなんて名前ー?
父)うーん、アジかな??w
♡)わぁぁ〜〜♡
瞬)ママ〜〜
むしぃ〜〜〜〜
レ)ぎゃーーー!!!やめろ!!!
んなもん持ってくんな!!!
瞬)むしぃ……
♡)も〜〜ママ〜〜〜
虫さんは何も怖くないんだよ〜〜
レ)はー??
♡)この虫さんとこの虫さんは
家族なんだから〜
レ)は?!
♡)この子はお友達かもしれないし…
レ)……
♡)ねっ、ハルくんっ♡
ハ)うんww
♡)ふふーー♡
レ)いやっ!絶対嫌っ!!
玲)ははははっw
みんなで笑い合って
すごく楽しい時間だった。
玲)じゃあ本当にお仕事
お忙しいんですねぇ…
父)いえいえ、まだまだこれからですよ。
早く軌道に乗せたいんで…
玲)いつか海外にも建築してほしいなぁ…
父)それも夢の一つですw
玲)あはははw
父さんと玲司パパが仲良く話してて…
父)いつかハルキが
うちの会社を継ぎたいって
そう思ってくれるような会社に
育てたいんです。
そんな父さんの言葉に、俺は感動した。
だって俺は…
ずっと父さんの跡を継ぎたいって
そう思ってたから。
♡)ハルくんはお父さんの会社を継ぐのー?
三人で川遊びをしていると
♡がにっこり笑って聞いてきた。
ハ)うん、そう思ってるよ。
♡)ハルくんはお勉強もできるし
きっと大丈夫だよっ♡
ハ)うん、頑張るw
♡)えへへー♡
ハ)♡は?
♡)え?
ハ)♡の夢はなに?
♡)♡はねっ、絵本作る人になりたいー♡
ハ)絵本??
♡)うんっ♡
あとはね、お洋服作る人になりたいー♡
ハ)作りたいものがいっぱいあるんだね。
♡)うんっ♡
ハ)じゃあ一緒に頑張ろうっ
♡)うん!頑張るー!♡
瞬)ハル兄っ!ハル兄っ!
これ見て〜〜っ
♡)あ、瞬がまた虫さん持ってきたぁ〜!
ハ)お、すごいなーー
瞬)これはなんてむしぃ??
ハ)うーん、なんだろ??w
♡)じゃあ名前付けちゃおーっ
ハ)ええっ!w
♡)これはまるちゃんっ
ハ)まるちゃん?!w
♡)まるまるしてるからー♡
ハ)あはははっww
一日中遊び倒して
父さんとレイコママが片付けを始めると
玲司パパが俺を肩車してくれた。
ハ)わぁっ//
玲)お前たちにいいもの見せてあげるから
おいでw
♡)わぁっ!なぁにー?♡
瞬)パパ〜〜♪
玲司パパに連れられて、
川の上流に辿り着くと
そこはオレンジ色に染まっていて…
♡)わぁっ!キレイ〜〜!!♡♡
玲)ここの夕陽は格別なんだよなー♪
ハ)すごい……
瞬)オレンジだー!わ〜〜!!!
大きな太陽がゆらゆら揺れて
辺りを染めていく。
♡)パパ〜〜キレイだね♡
玲)そうだね。
♡)パパのお写真みたい♡
玲)でも実物の方がキレイだろ?
♡)うんっ♡
ね、ね、パパぁ〜〜〜
またお写真撮ってきてね?
玲)うん。
玲司パパは俺をゆっくり降ろして
手を繋いでくれた。
玲)明日からまた旅に出るんだよ。
ハ)あ!そうなんですか??
玲)うん。
ハ)……
♡)寂しいけどお写真楽しみーー♡
玲)ははははw
瞬)空はつながってるーーー
玲)お、そうそう、覚えたか?w
瞬)つながってるーーー
ハ)……
繋いでる手のひらから伝わる
玲司パパのぬくもり。
玲)どんなに離れてても、会えなくても…
空はいつだって繋がってる。
ハ)……
玲)もう会えない人とも…きっとどこかで…
ハ)……
きゅっ…
俺がそのぬくもりを握り返すと
玲司パパはしゃがんで、俺の目を見た。
玲)ハルキ……
優しく笑う、あたたかい瞳。
玲)大好きな人たちと
一緒にいられる時間を…
大事にするんだぞ。
ハ)え…?
玲)どんなに大好きな人でも
大事な人でも…
いつ会えなくなるかわからない。
ハ)…っ
玲)だから…一緒にいられる時間を
大切にするんだ。
ハ)……
玲司パパはそのままゆっくり立ち上がって
また夕陽を見つめた。
玲)俺の大事な人たちは…
もう会えなくなってしまったから…
ハ)……っ
その言葉がなんだか悲しくて、
泣きそうになった俺に…
玲司パパはすぐに気が付いて、
頭を撫でてくれた。
玲)ごめんごめん…っ
違うんだ。
ハ)……
玲)会えなくなってしまったけど…
同じくらい大切な人が
またたくさん増えたんだよ。
ハ)…っ
玲)♡も瞬も…、ハルキ、お前も…
俺の大事な宝物だよ。
ハ)…っ
♡)パパ〜〜っ!!抱っこぉ〜〜っ♡♡
どんっ
玲)あはははっw
急にどうした〜〜
♡)抱っこして〜〜♡♡
玲)ほんとお前は甘えんぼだなーーw
♡)えへへーー♡
♡を軽々と抱き上げる、優しい腕。
玲)お前たちの笑顔が
本当にパパの宝物だよ。
♡)笑顔…?
玲)うん。
♡)えへへー♡
玲)お前たちが…いつでも
元気で…笑っていられますように。
♡)パパだいすきーーっ♡
♡の眩しい笑顔と
宝物を大事に抱きしめるような
優しい優しい玲司パパの笑顔。
それが…
俺が玲司パパを見た、最後だった。
ー続ー
コメントを残す
ハルくんはほんとの意味で頭がいいんだね…
周りを見たり、それから察したり…
小学生の中身じゃないもん。
こりゃ社長になるしかないような子だよ既に。
でも♡ちゃんと一緒にいるハルくんはほんと可愛くて。゚(゚´ω`゚)゚。
これで付き合ってないなんて。゚(゚´ω`゚)゚。
玲司さんは仕事柄察してたのかもしれないね…
いつ死んでもおかしくないって。
きっと危険な地域に行くこともあっただろうし。
だからこそ、大切な人を大事に想う気持ちとか、愛する気持ちが強かったのかなぁて。
お仕事も愛を大切にするところも、自分の境遇からきてるんだろうなぁ…
自分と似たような状況にいたハルくんが引っ越してきたのも運命だったのかもね。
ほんと付き合ってるようなもんだよね。゚(゚´ω`゚)゚。
ナイスカップルだよ(臣くんごめん…w)
そうなの。玲司パパは自分の経験や境遇からいろいろ…いろいろと…(ごにょごにょ)
マイコさん、ハルキ君ストーリー感動して号泣です。臣くんの暗黒期も号泣したけど、またまた号泣です。臣くん大好きな私だけど、ハルキ君とくっ付いてって思っちゃった。臣くんごめんね(≧∇≦)大丈夫!♡ちゃんは、気持ち揺らめいたりしないよ!絶対、臣くんと幸せになるんだもん。マイコさんお願いします(^ω^)いつも三代目ストーリーありがとうございます。更新が本当に待ち遠しくて、何時も楽しみにしてます。
ハルくんのお話は作者も書きながら泣いておりました(;ω;)ほとほと…
でも…
ハルくんStoryを更新するたびにみんなの中の臣くんが薄れていってて…。゚(゚^ω^゚)゚。
みんなハルくんとくっついていいよって…笑
臣くんに怒られてまう。゚(゚^ω^゚)゚。
続き更新してくださりありがとうございます!①,②どちらも感動しちゃいました!ヤバイです。涙がもう出てきてしまってこんな感動な小説読んだことないですハルキが庇って怪我した所とか特に感動しました‼早く続き読みたいです。
ありがとうぅぅぅ。゚(゚´ω`゚)゚。
ハルくんの一途な想いに作者もホロリです。゚(゚´ω`゚)゚。