【122】最悪?な出会い(岩ちゃんSide)

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腕枕をしながら髪を撫でてると
女の子が言った。
 
 
女)岩ちゃんとHしちゃったぁ///
岩)なーにそれw
女)えへへ…♡
 
 
可愛いなぁ…
 
 
チュッ
 
 
女)////
岩)…どうしたの?
女)もう一回…して?///
岩)ん…、w
 
 
チュッ
 
 
女)えへへ…///
 
 
まぶたにキスをすると
はにかんで笑う。
 
 
岩)可愛いねw
女)……岩ちゃんは…優しいね///
岩)え?
女)Hのあとも…優しい…///
岩)そう?w
  普通じゃない?
女)普通じゃないもん//
岩)そうかなぁ…
女)みんなに自慢できちゃうなぁ♡
  あ、もちろん内緒にするけど…
岩)え?
女)岩ちゃんとHしたなんて///
岩)……なんで?
 
 
そんなことが自慢になんの…?
 
 
女)だって岩ちゃんだよ?
  みんなカッコイイって言ってるもん!
岩)……。
女)こうやって一緒に過ごしたいって
  思ってる女の子なんて
  たくさんいるんだよぉ?
岩)……。
女)私も嬉しいなぁ…♡
岩)……。
 
 
ああ、まただ。
 
女の子が見てるのは「岩ちゃん」。
 
 
最近有名だから、とか…
人気があるから、とか…
 
 
だから一回抱かれたい、
 
そんな子ばっかりだ。
 
 
女)ね、ね、またいつでも呼んでね?♡
岩)え…?
女)彼氏といる時以外なら
  飛んでくるから♡
岩)……。
 
 
彼氏いたのかよ…
 
飛んでくるって…お前はデリヘルか…。
 
 
女)じゃあまたね♡♡
岩)うん、バイバイ♡
 
 
別にいい。
 
 
今は仕事が忙しいし
正直彼女がいても
一緒にいれる時間もないと思う。
 
 
だから
可愛くて頭の軽そうな女の子と
適当に遊んで
 
ストレスも性欲も発散して…
 
 
それでいいって思ってたのに、
なんでだろう…。
 
 
最近少し、虚しく感じる時がある。
 
 
 
 
……
 
 
 
 

 
 
 
 
岩『今何してる?』
女『今友達といるよーー』
 
 
ちょっといいなと思ってる女の子。
珍しく自分から連絡してみた。
 
 
岩『仕事早く終わったから
  会えないかなって思って。』
女『そうだったんだ〜〜
  今日はごめんね?』
 
 
電話で話しながら歩いてると
向かいに丁度、彼女を見つけた。
 
男の腕につかまりながら
電話で俺と話してる。
 
 
女『あたしじゃなくても
  他にいっぱいいるでしょ?w』
岩『……。』
女『また誘ってねー♡
  じゃ…』
 
 
ピッ。
 
 
ちょっといいなと思ってても
なかなか噛み合わない。
 
他にいっぱいって…
俺をなんだと思ってんだよ…
 
 
岩)はぁ……。

 
 
 
……
 
 
 
 

 
 
 
 
女)岩ちゃん……
岩)なぁに?
女)好き……///
岩)……。
 
 
腕の中で可愛く呟かれた。
 
 
岩)ありがと…♡
女)…っ
 
 
この子…俺も一緒にいると
割と落ち着くんだよなぁ…。
 
こんな子が彼女だったらいいのかなぁ…。
 
 
女)岩ちゃんは…
岩)んー?
女)誰にでも…優しいの?
岩)……え?
女)誰にでも…
  こういうこと…、する?
岩)……。
 
 
顔を覗くと
少し目を潤ませて俺を見上げる彼女。
 
 
岩)誰にでもなわけないじゃんw
女)…っ、あたし…ね?
  岩ちゃんのこと…好きなの…っ
岩)可愛いなぁ♡ ありがと♡
  ほら、おいで…、
女)////
 
 
肌と肌が重なって温かい。
 
 
岩)気持ちいい…。
 
 
毛布にくるまって、彼女を抱きしめる。
 
 
女)岩ちゃんは…
  あたしのこと…どう思ってるの?
岩)んー?
女)あたし……、、
岩)……。
 
 
……彼女の肩が…震えてる…。
 
 
女)ごめん…帰るね?
 
 
え、急に…?
 
 
岩)泊まっていかないの?
女)…重たい女になりたくない。
岩)え…?
女)あたし…ほんとに好きになっちゃったの。
岩)……。
女)でも…岩ちゃんは違うでしょ?
岩)……。
女)いつもすごく優しいけど…
  「好き」じゃ…ない……。
岩)……。
女)一緒にいると…辛くなるから…
  もう帰る…。
岩)……。
 
 
俺だって好きだよ…って…
帰るなよ…って…
 
なんで俺は出てこないんだろう。
 
 
こんな子が彼女だったらって
さっきまで少しは思ってたのに…
 
 
女)バイバイ…。
 
 
バタン。
 
 
俺は追いかけもしなければ
言葉をかけることもしなかった。
 
 
 
 
……
 
 
 
 

 
 
 
 
女『ね、岩ちゃん♡今日時間ないの?
  会いたいよー♡うち来ない?♡』
 
 
いきなり電話がかかってきた。
誰だっけ…。
 
 
岩『じゃあ行こうかな♡
  住所送ってーー』
女『うん♡』
 
 
送られてきた住所にタクシーで向かう。
 
 
女)お疲れさまーー♡
岩)疲れた〜〜〜w
女)久しぶりだね〜〜♡
 
 
ああ、そうだそうだ、こんな顔だっけ。
 
うろ覚えの女の子は
嬉しそうに俺に抱きついてきた。
 
 
女)お腹空いてる?
岩)うん。
女)じゃあご飯用意するねー♡
岩)ありがと♡
 
 
ソファーに寝転がってると
キッチンからイイ匂いがしてくる。
 
 
彼女がいると…
こんなカンジなのかなぁ…
 
毎日家に帰ってこんなんだったら…
すげぇいいのになぁ…
 
 
美味しいご飯を食べて
風呂に入って
 
 
……なんて、
 
 
岩)……。
 
 
やっぱり
部屋のあちこちに、男の気配がある。
 
 
岩)ねぇ…〇〇ちゃん、
  ここ一人暮らしなの?
女)そうだよーー♡
岩)彼氏と住んでるのかと思ったw
女)彼氏はよく来るけど、今週はいないよー。
岩)そうなんだー。
女)うん。
岩)……。
 
 
また彼氏持ちだった。
 
つーか女って何なんだ??
 
こうやって平気で浮気すんのか??
 
 
ヤリたい時にヤれる
そんな女ばっかりだと思ってたけど
 
もしかして俺が逆に
都合イイ男なんじゃねぇの?
 
 
女)きゃっ、ちょっと、何?///
岩)いいじゃん、もうシよーよ。
女)……ベッドがいい///
岩)どこでもいいよ。
女)あ…っ///
 
 
馬鹿馬鹿しい。
俺の周りはこんな女ばっか。
 
 
こんな有名になったら
もう普通の出会いなんか、あるわけない。
 
みんな…
三代目っていうステータスに
ほいほい釣られるような女ばっかだ。
 
 
適当に遊んでるつもりだったのに
 
周りもみんなそうだから
それでいいって思ってたのに…
 
 
俺…

いつからこんなんになったんだろ…。
 
 
 
 
……
 
 
 
 

 
 
 
 
健)今回の絡みは臣ちゃんだけかーー
N)なーに健二郎、絡みたかったの?w
健)違いますよw
 
 
今日はMVの撮影。
 
昼飯を食い終わって
俺は臣さんの撮影をチラッと覗きに行った。
 
 
隆)臣エロいなぁ…。
岩)ははっw
  隆二さんだって前あれくらい
  絡んでたじゃん。
隆)俺はいつも緊張するもん。
  でも臣は余裕綽々じゃん?
岩)そーだねーー。
 
 
しかも相手は臣さんが好きそうな顔。
前だったら、普通に手ぇ出してそう。
 
 
先に控え室に戻ってると
臣さんが少し疲れた顔で入ってきた。
 
 
隆)お、お疲れさーん。
臣)お疲れ。
隆)あ!なんか手紙持ってる!
岩)ほんとだ。
  ……相手役の子でしょ。
 
 
いつももらってるもんな。
 
 
臣)いや、違う、これは…
岩)さっきの子でしょ?
臣)違うっつーの。
岩)……違わないじゃん。
臣)あ…、っ
 
 
臣さんからメモを奪うと
そこには可愛らしい文字で…
 
 
岩)「いつでも空いてます♡」だって。
隆)へ〜〜〜
 
 
またここにもいた、節操のない女。
 
 
岩)最近多いよね、ほんと。
隆)こーゆー子?
岩)うん、頭空っぽそうなの。
隆)言うねぇ、岩ちゃん!w
 
 
別に俺たちのことが好きなわけじゃない。

 
ちゃんと恋愛する気なんか
サラサラなくて
 
落とせればラッキー
一回寝れればラッキーくらいに思ってんだ。
 
 
岩)なんか馬鹿らしくなってきて…最近。
隆)どうしたのw
岩)……。
 
 
まぁそれは…
俺たち男側も一緒か。
 
お互い様なのかもな。
 
 
岩)連絡すんの?
臣)するわけねーだろw
岩)なんで?
臣)は?
岩)気に入ったモデルは
  片っ端から食うじゃんw
臣)……。
岩)あ、今回の子は気に入らなかったの?
臣)……どうした?
岩)何が?
臣)……。
 
 
前までは散々遊んでたくせに
今はもう
「俺は違う」みたいな顔してくる。
 
 
臣)気に入ったんならどうぞ。
岩)は?
臣)……。
岩)いらないし。
臣)……。
岩)…もうほんとに…
  他の女はいらないんだ?
臣)は?
岩)随分変わったなと思って。
臣)……。
岩)♡ちゃんがいるから
  もうそんなことしませんって?
臣)……。
岩)何もなかったみたいに
  幸せでいいね、臣さんは。
臣)…何言ってんの?
岩)……。
 
 
ほんとだ。
俺…何言ってんだろ……。
 
 
コンコン。
 
 
ス)今市さん、登坂さん、お願いします。
臣隆)はい。
 
 
そのまま二人は出ていった。
 
 
俺、どうしたんだろ。
こんなんただの…八つ当たりじゃん。
 
 
岩)……はぁ、っ
 
 
俺はやり場のないむしゃくしゃを
ぶつけるように、
がむしゃらに踊った。
 
 
直)岩ちゃん…
  少しは休憩したら?w
健)ずーっと踊ってるやん。
岩)なんか体力有り余っててw
直)若いのぅ…
健)なんすかその年寄り発言!w
直)おい!!w
岩)…っ
 
 
踊っても踊っても…
スッキリしない…。

 
 
 
……
 
 
 
 

 
 
 
 
健)俺、店寄ってこっかなーー
臣)え。
健)なんや。
臣)ほんとに冴えてんね。
  タフーーー
健)なんかスッキリしたい。
岩)俺も行こっかな…。
健)お、珍しい。
岩)今日は…会話したくない。
健)え?
岩)ヤるだけヤリたい。
 
 
とっととスッキリしたいんだ。
 
 
健)ブラック岩田、降臨ww
岩)行こうよ健二郎さん。
健)おう。
  じゃ、お疲れ〜〜〜
臣)……お疲れさん。
 
 
臣さんの顔は見たくない。
 
俺は目を合わさず、
健二郎さんと外へ出た。
 
 
健)岩ちゃん珍しいなぁ。
岩)え?
健)店ですんの、あんまり好きやないやん。
岩)……。
 
 
会社が金を出してる店に行けば
好きな時にSEXできる。
バラされる心配もないし…
 
 
でも、なんかそれが業務的に感じて
俺はあまり行ってなかった。
 
 
それより…
普通に女の子とお酒を飲んで
普通に話して
そのままする方が…好きだったから。
 
 
岩)今日は…会話したくないから。
健)なんかあったん?
岩)何も…、
健)ま、そんな日もあるか!
岩)うん。
 
 
それから俺は
店で好きなだけSEXしたのに
 
スッキリするはずの身体は
スッキリしない心のせいで
 
なぜかモヤモヤしたままで…、、
 
 
店を出た後、適当に入ったバーで
一人、浴びるように酒を飲んだ。
 
 
岩)……は…ぁ…っ
 
 
……最後はベロベロに酔っ払って…
もう…フラフラで…
 
 
タクシーで家に帰ろうと
バーを出た瞬間……、
 
 
女)きゃあっ!!ちょっと!!
 
 
それが俺の、最後の記憶……。

 
 
 
………

 
 
 
……
 
 
 
 

 
 
 
 
頭が痛い。
ガンガンする。

 
気持ち悪い。
 
吐きそうだ。
 
 
岩)う…っ
女)ちょっと!!また吐く気?!
 
 
え…?
 
 
女)もう!!!
 
 
うっすら目を開けた俺の前に、
 
知らない女の子が
慌ててゴミ箱を持ってきてくれた。
 
 
岩)…っ
 
 
ここ、俺んちだよな…?
 
 
俺がポカーンとしてると
女の子が呆れた様子で口を開いた。
 
 
女)吐くなら吐きなよ!!
岩)……えっ
女)気持ち悪いんでしょ?
岩)……いや、大丈夫…、
女)なんなのもう〜〜〜
岩)…っ
 
 
ていうか…
 
君は…誰??
 
 
女)具合どう?
岩)……最悪。
女)だろーね。
岩)……。
女)なんでそこまで飲むの?
岩)……。
女)バカなの?
岩)……。
 
 
誰かわかんないけど…
 
この子、キレてる…?
 
 
岩)あの…、
女)なに。
岩)ごめん…、誰?
女)それはこっちのセリフだし!!
岩)…っ
 
 
女の子に怒鳴られるのなんて
いつぶりだろう…。
 
 
岩)なんで…うちにいるの?
女)はぁぁ?!!
 
 
ヤバい…
どんどんキレる…
 
 
女)勝手によりかかってきて
  いきなり吐いて、人にぶちまけといて
  出た言葉がそれ?!
岩)えっ!!!
女)あんたこそ誰!!
  あたしが帰ろうとしたら
  引き止めたのはあんたでしょ!!
岩)え…っ
 
 
全然…話が見えない…
 
見えないけど…
 
この子の怒りようからして
昨日ベロベロに酔った俺は
相当な迷惑をかけたってこと…だよな?
 
 
女)起きて大丈夫なの。
岩)うん…、
 
 
ゆっくり身体を起こすと
ぐっちゃぐちゃだった部屋は
少しだけ片付いてた。
 
 
女)掃除なんてしてないから。
  ちょっと物よけただけ。
岩)汚なくて…ごめん。
女)ほんと!信じらんない。
 
 
まだ怒ってる…。
 
 
岩)君が…俺のこと
  うちまで送ってくれたの?
女)死ぬほど重かったんですけど。
岩)…っ
女)てゆーか!!
  あたしのジャケットのクリーニング代!!
  払ってよね!!
岩)え…っ
 
 
そういえば…
なんでこの子、半袖なんだろ…
 
 
岩)寒くないの?
女)寒いよ!!
岩)なんか…着る?
女)汚そうだから嫌。いらない。
岩)ひでーな!
  服は汚くないよ!!
女)だって…こんだけ部屋が汚いんだから…
  洗濯してるかも怪しいし…
岩)してるわ!!
女)…っ
岩)ほら…、
 
 
俺は自分のパーカーを出して
彼女に渡した。
 
 
全然受け取らないから
肩を掴んでこっちに向けると
むっとしたまま俺を睨んでる。
 
 
岩)めっちゃ腕、冷えてる…。
女)寒かったもん。
岩)ごめん。
 
 
無理やりパーカーを羽織らせて
そっと抱きしめたら、
下から頭突きされた。
 
 
女)何すんの!!このチャラ男!!
  ふざけんな!!
岩)いっってぇぇ!!!
 
 
顎に思いっきり食らった。
 
 
岩)頭突きすることねぇじゃん!!
  いてぇよ!!!
女)うるさい!!!
  自分の身を自分で守って何が悪い!!
岩)別に何もしねーよ!!
女)どうだか!!
岩)…っ
 
 
か、可愛くねぇ女だな…。
 
 
女)でも寒いからこれは借りる。
岩)…っ
 
 
そう言って渋々、俺のパーカーに袖を通した。
 
 
岩)……。
 
 
なんか…
俺の服がでかいから萌え袖になってるし…
ずるいな…//
 
 
岩)…クリーニング代って?
女)…っ
岩)俺…もしかして…、
女)だからあたしの上着に
  ぶちまけたんだってば。
岩)…っ
 
 
マジで最悪…
俺、最低じゃん…。
 
見ず知らずの人にそんな…、
 
 
岩)ほんっっとごめん。
女)……。
岩)ごめんなさい!!
  クリーニング代も出すし…
  なんなら…新しいの買うから!
女)……。
岩)ほんとに…ごめんね?
女)…もう…いいよ。
岩)…っ
 
 
そりゃーキレるよな。
いきなり…見ず知らずの酔っ払いが
自分の服に吐いてきたりしたら…。
 
 
岩)本当にすみませんでした。
女)……。
 
 
怒って…ますよね〜〜
 
 
岩)俺が…引き止めたっていうのは…
女)ここまで送り届けて
  あたしが…帰ろうとしたら…、
岩)うん…。
女)行かないでって…
  手、離してくれなかった。
 
 
俺が…??
 
 
女)無駄に力、強くて、振りほどけなくて…
岩)…っ
女)なんなのあんた…プロレスラーなの?
岩)ぶっwww
 
 
俺は思わず吹き出した。
 
 
岩)プロレスラーって…!
  あははは!!www
女)別に何も面白くないし。
 
 
彼女はまたほっぺを膨らませてる。
 
 
岩)あはははww
 
 
そっか、俺のこと知らないんだ。
 
 
岩)ねぇ、名前なんて言うの?
女)は?
岩)名前。
女)別になんでもいいでしょっ
岩)名前くらい教えてよw
女)チャラ男に教えたくない。
岩)チャラ男って…!
女)チャラ男じゃん!
岩)…っ
 
 
彼女は怪訝そうな顔で俺を見てる。
 
なんつーか…
この子の中でとりあえず俺は今、
「最低な男」みたいで…、、
 
 
女)クリーニング代、早くちょーだい。
岩)えっ
女)もう帰るし。
岩)え、もう帰んの?
女)帰るよ!
岩)…っ
 
 
そっか…そりゃそうだよな…
何言ってんだ俺。
 
 
女)クリーニング代!!
岩)…っ
 
 
そう言われて慌てて財布を探す。


でも… 
これ渡したら…もう終わりなんだよな。
 
 
岩)ごめん…今、手持ちないや…、
女)はぁ?!
 
 
ほんとはあるけど…
 
 
女)じゃあもういい!帰る!
岩)待ってよ!
女)何なの!!
岩)名前…教えてよ。
女)やだ!!
岩)…っ
女)あたし…大人のくせに
  自分で制御できないくらい
  お酒に溺れる男も
  いきなり女を抱きしめたりする男も
  大っ嫌いなの!
岩)…っ
 
 
……ごもっともです。
 
 
岩)さっき…いきなり抱きしめたのは
  謝るけど…、
女)…っ
岩)酔って…迷惑かけたのも、謝るけど…、
女)……。
岩)それくらい…
  酒を飲みたくなることだって
  ……あんじゃん。
女)ない。
岩)…っ
 
 
即答された。
 
 
女)何?不幸なの?
岩)え…?
女)あんた、不幸なの?
岩)…っ
 
 
そんな質問、されたことない。
 
「不幸なの?」って…、、
 
 
岩)不幸では…ない。
 
 
と、思う。
 
 
女)じゃあただの甘えじゃん。
岩)え…?
女)どうしようもなく不幸でボロボロで
  酒しか逃げる道がなかったとか
  そこまでの話じゃないんでしょ?
岩)…っ
女)だったら同情の余地なし!
  離してよ。
  もうお金も要らない。
岩)…っ
 
 
ヤバイ。
 
なんか…
自分がろくでもない
しょーもない奴に思えてきた…。
 
 
岩)あの、さ…
  ちゃんとお詫びさせて。
  ほんとに…反省してるから。
女)……。
 
 
このままこの子に帰られたら…

なんかまるで、
ダメ人間の烙印を押されるような気がして。
 
俺は必死に引き止めた。
 
 
岩)とりあえず、シャワー入ってきていい?
女)はぁ??
岩)なんか俺、ひどい格好だし。
女)どんだけマイペースなの!
  なんであたしが
  あんたがシャワー入ってんのを
  待ってなきゃなんないの!!
岩)確かに…、
女)あたしだってシャワーしたいの!!
岩)あ…っ、そっか!!
  ごめん、じゃあ先にどうぞ?
女)は?!
岩)シャワー使っていいよ?
女)なんでここで入らなきゃなんないのっ!
岩)服とか…俺の貸すし、入っといでよ。
 
 
俺がそう言うと、
 
 
女)はぁ……。
 
 
彼女は深いため息をついて俯いて…。

一瞬悩んで、自分の服を見た。
 
 
それからキッと、俺に鋭い視線を向けると
俺からバスタオルと着替えを奪い取って
シャワーに向かった。
 
 
岩)……。
 
 
俺…何してんだろ…。
 
 
部屋を見渡すと、ほんとに汚い。

最近忙しかったからな…。

 
呆れただろうな、こんな部屋。

少しは片付けるか。
 
 
俺がしばらく掃除してると
彼女がシャワーから戻ってきた。
 
 
女)服、ありがと。
岩)……。
 
 
また萌え袖になってるし…
くそーー///
 
 
女)めっちゃ大きいけど。
岩)……。
 
 
てゆーか…
君がすごく小さいからだと思います。
 
なんつーか…
小動物みたいで…、
 
 
女)プロレスラーのだから仕方ないか。
岩)プロレスラーじゃないって!w
女)何してんの。掃除?
岩)うん、ちょっとひどいから…。
女)ふーん。
岩)じゃあ俺も入ってきます。
女)……。
岩)帰んないでね!!待っててね!!
女)……。
 
 
俺は急いでシャワーを浴びた。

まだ自分がアルコールくさい。
 
今日は仕事が夕方からで良かった。
 
 
バスタオルで頭を拭きながら
急いでリビングに戻ると、
彼女が掃除の続きをしてくれてた。
 
 
岩)え…なんで…、っ
女)暇だから。
岩)…っ、あり…がとう…。
女)……。
岩)??
 
 
お礼を言った俺の顔を
じっと見つめてくる彼女…。
を、俺も思わず見つめ返す。
 
 
岩)今…すっぴん?
女)そうだけど。
 
 
ずっと怒られてばっかりで
あまり顔ちゃんと見てなかったけど
 
すっぴんでこれって…
 
 
岩)可愛いね。
女)は?!
 
 
俺がそう言うと、
彼女はいきなり防御姿勢を取った。
 
 
女)また何かする気?!
岩)はぁ!?
 
 
可愛いって言っただけなのに…。
 
 
女)チャラ男は信用できない。
岩)チャラ男じゃねーし!
女)あんなふざけた真似するような男は
  全員チャラ男だっつーの。
岩)なんだよそれ…
  ちょっとぎゅってしただけじゃん。
女)はぁ?!
岩)…っ
 
 
や、やべ…
 
 
女)ちょっとぎゅってしただけだぁ!?
岩)…っ
 
 
お、怒ってる…
 
 
女)普通の男は付き合ってもない女に
  いきなりぎゅってしたりしないんだよ!
  この根っからチャラ男め!!
岩)!!!
 
 
ガーン…、、
 
返す言葉もありません…。
 
 
岩)……仕事…、何してんの?
女)は??急になに。
岩)今日…休み?
女)そう…だけど…、
 
 
ピロリロリロ♪ピロリロリロ♪
 
 
女)あ、ごめん。
 
 
彼女の携帯が鳴った。
 
 
女『もしもし?
  あ、うん。覚えてるよーーw
  うん!』
 
 
あ、初めて笑った顔を見たぞ!
 
 
岩)…っ
 
 
聞いたことのないトーンで話す彼女の声に
自分がいかに嫌われているか、
改めて気付く…。
 
 
笑うと…普通に可愛い…。
 
いや、普通にっていうか
すごく可愛い…。
 
 
女『うん、明日の夜だよね?
  わかったよーー♡』
 
 
彼氏かな?
と思って聞き耳を立ててると
 
相手は女の子みたいで
 
「◇ちゃん」って呼ばれてるのが、
なんとか聞こえた。
 
 
◇『うん、じゃあねー♡』
 
 
ピッ。
 
 
◇)なに。
岩)え?
◇)見過ぎだし。
岩)…っ
 
 
彼女の声と表情がすっかり
「可愛い女の子」から
「敵を前にした戦闘モード」に
戻ってしまった。
 
 
岩)……◇ちゃんっていうの?
◇)!!!
岩)名前。
◇)なんでもいいでしょ。
  チャラ男に教えたくない。
岩)◇ちゃん。
◇)勝手に呼ばないでよ!
岩)◇ちゃんw
◇)〜〜〜//
岩)ね、今日休みなら俺に付き合ってよ。
◇)は!?
岩)服とか買いに行こ?
  お詫びに今日は全部俺が出します。
◇)……。
 
 
あ、また俺の顔をじっと見てる。
 
 
岩)なに?
◇)さっきも思ったけど…、
岩)??
◇)なんか…見たことある…。
岩)……。
◇)……。
 
 
「なんか見たことある」レベルな彼女に、
 
俺は携帯から
7人で写ってる写真を見せてみた。
 
 
岩)これ。
◇)……三代…目?
岩)そう、知ってる?
◇)知ってる。
  もしかして…岩ちゃん?
岩)あ、知ってた??
◇)会社の人が…最近騒いでて
  あたしはハッキリ知らなかったけど…
岩)……。
 
 
この子も…
態度変わっちゃったりするのかな…。
 
 
◇)その人…王子様みたいな人だって
  言ってたんだけど…
 
 
そう言いながら
とても王子様には見えないといった目つきで
俺を訝しげに見上げる彼女。
 
 
◇)違う人ってことでいい?
岩)ぶっww
 
 
うん、そうだよな…
 
 
岩)違う人だわw
◇)だよね?
岩)よし、ほら、出かけよw
◇)……。
 
 
まだ不信感たっぷりな彼女を
俺は強引に連れ出した。
 
 
 
 
 
 
ー続ー

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