〈40〉星降る月夜

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ランチに行こうとしたら、
なんだかまた息苦しくて。
 
いっぱい泣いたし、
いっぱいクッション投げちゃったし
いっぱい動いたからかな…って
もう一度フロントで酸素吸入させてもらった。
 
念のため、臣くんも。
 
 
臣)ふぅ。
♡)元気になったぁ?
臣)うん。元気。
  酸素どうこうより、心が元気。
♡)え?
臣)お前の笑顔が隣にあるだけで
  心がすごく健やかで穏やか。
♡)…っ
臣)お前の「愛してる」があるだけで
  俺、一生元気。一生幸せ。
♡)////
 
 
優しく笑ってそんなこと言う臣くんに
胸がきゅぅぅってなった。
 
 
どんっ!
 
 
臣)わっ!イノシシが飛びついてきた!w
♡)えへへ、愛してる♡
臣)……ん、///
 
 
大好き。ずっとずっと、大好き。
 
 
仲直りできて本当に良かった。
 
臣くんがこんな風に笑ってくれて…
そばにいてくれて…
 
私、本当に幸せだよ…。
 
 
ア)ナンカ二人のラブラブ度が増してるゾ?
エ)ほら、ヤッパリナ!
ア)え、まさか…
臣)え、何?
エ)エッチなコトしてたヤロ!
臣)どええ!?してねぇよ!!///
エ)イキナリ二人になりたいとか言うて…
  ソレシカあらへんガナ。
臣)違う!ほんとにしてない!///
ア)オミが必死だ…間違いナイ。
臣)してねっつーの!///
♡)あはははっw
 
 
アーサーとエイミーはニヤニヤしながら
冷やかすように私たちを見てて。
 
 
♡)エッチなことはしてないけど
  ラブラブだよぉ♡
 
 
臣くんの腕にぴとっと顔を寄せたら、
臣くんはそのまま私の肩を
ガシッと抱いてくれた。
 
 
臣)あんね、いろいろ諸事情あったけど…
  俺たちはいつもはこれくらい
  バカップルなの!///
♡)あははは、解説してるw
ア)バカップルいいね!アハハハ!w
臣)つーかこんな酸素薄いのに
  そんなことしたら息切れして死ぬわw
エ)慣れてきたらユックリすれば大丈夫ヤデ。
臣)なんの話だよ!///
♡)あはははっw
 
 
でも確かに。
 
階段一段上がるだけでもしんどいのに
Hなんて…
あんな激しい運動、出来ないよね。
 
 
………でも…、
 
チューくらいは…したいなぁ…。
 
 
臣)ん?
♡)あ、ううん!なんでもない///
 
 
今日も一緒にぎゅってして眠れるかな?
 
そしたらその時、チューだけはしてほしいな。
 
 
チュッ。
 
 
♡)ひゃっ!!///
 
 
いきなりほっぺにキスされてびっくりした。
 
 
♡)え?///
 
 
臣くんは何も言わずにニコニコしてる。
 
私が考えてること…わかったのかな?
 
 
♡)////
 
 
恥ずかしい…。
 
 
でも嬉しい…。
 
臣くん、大好き///
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
俺と♡が話してる間に、
午後の天気予報がちょっと変わったらしくて
 
青空の鏡張りは見れなくても、
もしかしたら夕陽なら見れるかも、って。
 
で、そのまま晴れてくれたら
星空も見えるかもって。
 
 
それを聞いて♡は嬉しそうにルンルンで
ランチをペロッと平らげた。
 
 
♡)楽しみだね、えへへ♡
臣)うん♡
 
 
可愛い。大好き。
 
♡が笑ってくれるだけで、
ほんとに元気になれる。
 
♡の笑顔ってすごい威力だ。
 
 
ア)二人トモ綺麗に食べてエライネ!
臣)え?
エ)コノあたりにはゴミ処理施設がナイネン。
  セヤカラ、食べ物は残さナイ、
  食べ切れる分だけ注文スル、コレ大事。
♡)そうなんだ!
ア)今はウユニのゴミ問題も
  深刻化してるカラ。
臣)そっか…。
 
 
観光客が多い分、やっぱり大変なのかな。
 
 
♡)私たちは綺麗に使おうねっ!
臣)うんw
 
 
それからしばらく待ってると、
ほんとに晴れ間が射してきて…
 
夕方には雨雲もどこかに行って
空は綺麗に晴れた。
 
 
臣)よっしゃー!俺の力だー!
♡)すごーい!臣くん!さすがーー♡♡
ア)オミは本当に晴れ男ダッタカw
エ)やるヤン!w
 
 
それからもう一度4人でジープに乗って
塩湖の奥へ進んでいって。
 
 
♡)うわぁぁぁぁっっ///
 
 
♡が興奮して俺の手をぎゅっと
握りしめたのは、
 
そこに見たことないような
綺麗な景色が広がっていたから。
 
 

 
 
夕陽に照らされて綺麗な色に染まった空が
湖に反射してる。
 
 
エ)ヨッシャ!今度こそ写真撮ったるデ!
  ホラ、二人とも!
♡)ありがとうっ♡
 
 
エイミーは俺たち二人の写真を
たくさん撮ってくれて…
 
折角だから4人でも撮りたいねって
三脚を使ってタイマーでも撮影して。
 
そうこうしてるうちに陽はどんどん
沈んでいって…
 
 
♡)臣くん臣くん!こっちも見てぇ〜〜!♡
臣)見てるって!w
♡)こっちもぉ〜〜!♡
臣)全部見てるから!w
 
 
どこを向いても綺麗な景色に
♡はもう大はしゃぎ。
 
 
♡)本当にすごいねっ!♡
臣)うんw
 
 
一緒に来れて良かった。
この景色を二人で見れて良かった。
 
 
ア)アーー、そろそろ沈むナーー。
♡)わぁぁぁぁ///
エ)最後の最後まで綺麗ヤロ?w
臣)うん、すごい…っ!
 
 

 
 
この天気なら夜は星空も
きっと綺麗に見えるよって
アーサーに言われて…
 
楽しみで仕方ない俺たちは
そのまま一旦ホテルに戻って
みんなで夕食を取った。
 
 
♡)えへへ、ご飯美味し〜〜い♡
エ)♡はホンマ美味しそうに食べるナァ。
ア)うん、カワイイw
臣)あはははw
 
 
食後はアーサーとエイミーは
元気に卓球してて。
 
まだ酸素吸引してるレベルの俺たちは
さすがにスポーツなんて無理だから
そんな二人をぼんやり眺めてた。
 
 
♡)あ、あっちにビリヤードもあるよ。
臣)へーー。
♡)やる?
臣)うーん…
  確かに卓球よりは出来そうだけど…
  無理して明日に響いたら嫌だから
  やめとくw
♡)そうだよね!
  まだまだ楽しみがいっぱいだもんね!
 
 
そう言って♡はまたぴとっと
俺の腕にくっついてきた。
 
 
♡)えへへ♡
  別に何もしなくても
  こうしてくっついてるだけで幸せだし…♡
臣)////
 
 
うん、俺も。
 
 
エ)圧勝や!!!
ア)エイミー…強すぎる…w
 
 
卓球でボロ負けしたアーサーは
しょんぼりとカメラを手に取った。
 
 
ア)じゃあそろそろ星空ツアー
  出発しようか。
♡)うんっ!!♡♡
 
 
♡は元気よく返事をして立ち上がった。
 
 
エ)着いたら屋根に乗って観たらエエヨ。
臣)え、ジープの屋根?
エ)ソウソウ。
臣)え、やったー!楽しみ!
 
 
夜は冷えるから、俺たちはさらにもう一枚
上着を借りて、出発した。
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
♡)すごーい!すごぉぉい!///
 
 
車の窓から見える星空だけで
もう十分綺麗すぎて、興奮がおさまらない。
 
 
臣)ヤバイね…これ…。
♡)うんっ!///
臣)いてて、w
  お前、テンション上がったら
  俺の手を握り潰すのやめなさいw
♡)はっ!ごめん!つい、w
 
 
臣くんは笑いながら
私の手を繋ぎ直してくれた。
 
 
♡)だってだって…
  すっごく綺麗なんだもん///
臣)うん。俺も感動してる。
  早く外に出て見てみたい。
ア)ヨーシ、じゃあこのへんでいいカナー。
臣)お、到着?
エ)ウン!降りてエエヨ!
 
 
そう言われて外に降りてみると
やっぱり少し肌寒くて。
 
先にジープの屋根に上がった臣くんが、
私を上に引き上げてくれた。
 
 
臣)大丈夫か?
♡)わっ、
臣)気を付けろよ?
♡)うん、ありがとう!♡
ア)心ゆくまで楽しんでネーw
エ)ワタシらは中にオルデーw
臣)あーいw
 
 
バタンと閉じられたドア。
 
 
私と臣くんは毛布を敷いて
二人並んで座ってみた。
 
 
臣)おわぁぁぁぁ///
♡)ひゃぁぁぁぁ///
 
 
あまりに綺麗で、変な声が出ちゃったw
 
 

 
 
♡)すごいね臣くん!///
臣)おう、すごすぎ!///
 
 
息を飲むような星空が塩湖に綺麗に反射して…
 
まるで、宇宙にいるみたい。
 
 
♡)星がありすぎて…
  わけがわかんないよ…
臣)あははは、確かに!w
 
 
私がパタンと寝転がると、
臣くんも笑いながら隣に寝転んだ。
 
 
♡)あの点々の一つ一つが
  全部星なんだよね…?
臣)点々…!w
  うん、そうだね。
♡)すごいなぁ…///
臣)今もまだあるのか、わかんないけどね。
♡)え?
臣)だってこれ、昔の光でしょ?
♡)あ、そっか!!
 
 
二人で手を繋ぎながら…
 
遠い遠い…
時を超えた遥か彼方の星の光を
今こうして眺めてるんだ。
 
すごいなぁ…。
 
 
♡)ずっとずっと…
  臣くんと一緒にいられますように♡
臣)えっ、流れた!?
♡)ううん、流れてないよ。
臣)えっ
♡)流れてないけど、これだけすごかったら
  なんだか叶いそうな気がしない?
臣)なんだよそれ!w
♡)だってそれくらい綺麗なんだもん!
臣)あはははw
 
 
流れ星を見つけたわけじゃないけど…
吸い込まれるような星空に、
お願いごとを続けてみる。
 
 
だって絶対、叶う気がするから。
 
 
♡)臣くんがいつもいつも
  笑顔でいられますように♡
臣)……。
♡)臣くんがずっとずっと
  健康でいられますように♡
臣)……。
♡)臣くんが…
臣)俺のことばっかじゃん!w
♡)違うよぉ?
臣)え?
 
 
こっちを向いて笑ってる臣くんの
瞳の奥を、真っ直ぐに見つめた。
 
 
♡)これは全部、私の幸せだもん♡
臣)…っ
♡)臣くんの幸せが、私の幸せだから。
 
 
だから全部全部、繋がってるんだよ。
 
 
♡)これから先、
  臣くんにたっくさんの幸せが
  待っていますように♡
 
 
私がもう一度天を仰いでそう言うと、
臣くんがゆっくりと上半身だけ起こして、
私を見下ろした。
 
 
♡)どう…したの…?
臣)……。
 
 
月明かりしかない夜空の下。
 
臣くんは真っ直ぐに私を見つめてる。
 
 
♡)…っ
 
 
月の光を背負った臣くんは、
キラキラしてて…とても綺麗…。
 
なんだか月の王子様みたい。
 
 
臣)なんかお前…かぐや姫みたい…w
♡)え…?
臣)月の光がキラキラ当たってて…
  ……綺麗。
♡)…っ
 
 
同じようなこと考えてたのかな?
って思ったら、おかしくなった。
 
 
♡)ふふw
臣)何笑ってんだよw
♡)だってw
 
 
臣くんは優しく笑って
私の頭を撫でてくれた。
 
 
臣)かぐや姫はダメか、
  月に帰っちゃうもんな。
♡)え?
臣)お前はどこにも帰さない。
  ずっと俺のそばにいて。
♡)…っ
 
 
優しく私を抱き起こしてくれた臣くんが…
そのままふわりと、
私の身体を包むように抱きしめてくれた。
 
 
とくん…、とくん…、とくん…、
 
 
幸せな胸の音が聞こえる。
 
 
ずっとずっと…そばにいたい…。
 
 
臣)大事にするから…
  俺のそばで、笑ってて…。
♡)……(こくん)///
臣)俺は…お前の笑顔の、そばにいたい。
♡)////
 
 
とくん…、とくん…、とくん…、
 
 
嬉しくて、想いがあふれる。
 
 
臣)♡…、愛してる…。
♡)////
 
 
その言葉に、胸がぎゅっとなる。
 
 
♡)臣くん、大好き…。愛してる…。
 
 
こんなにこんなに、愛してるんだよ…。
 
 
臣)……。
♡)……。
 
 
そっと見つめ合えば、
視線が甘く溶け合って…。
 
ゆっくり、近付く、二人の唇。
 
 
柔らかく…重なって…
 
甘く、甘く、溶け込むような、優しいキス…。
 
 
満天の星の下で交わしたキスは
まるでそれだけで、愛の誓いみたい…。
 
 
♡)////
臣)////
 
 
唇が離れて視線が重なると、
なんだかドキドキして…
 
また「好き」がこみ上げる。
 
 
♡)帰ったら…酸素吸入…しなくちゃ…///
臣)え、苦しい?!
♡)……(こくん)///
臣)大丈夫!?
 
 
本気で心配して私の顔を覗き込む臣くんに
もう一度チュッとキスをした。
 
 
♡)キスして、ドキドキして、
  苦しいんだよ///
臣)えっ…、あ、…っ、
  そういう…こと、///
♡)////
臣)////
 
 
臣くんは照れ臭そうに目を逸らした後、
また私をぎゅっと抱き寄せて…
 
 
臣)可愛いこと言ってんじゃねぇ、ばーか///
 
 
って、おでこにチュッてキスをくれた。
 
 
♡)////
 
 
ドキドキドキ…
 
きゅんきゅんきゅん…
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
星空ツアーをたっぷり満喫して
帰ってきた俺たちは
そのまま交代でシャワーを浴びて…
 
大きなベッドにばふっと寝転んだ。
 
 
臣)はーーーーっ、疲れたーーーーっ
 
 
なんかLIVEの後みたいな疲労感。
旅行ってやっぱ疲れんだな。
酸素薄いしな。
 
 
♡)先に寝ててもいいよぉ?
臣)やだ。待ってる。
♡)えーーっ
  じゃあ急いでドライヤーしてくる!
臣)急がなくてもいいよw
 
 
パタパタと走っていった背中が可愛くて。
 
 
臣)はぁぁぁ……。
 
 
ほんとに仲直り出来たんだよなぁ…
なんて、しみじみと幸せを噛み締める。
 
 
……あ、みんなに報告した方がいいかな。
散々心配かけたしな…。
 
でも時差がよくわかんねぇ。
日本今何時なんだろ。
 
面倒臭いから帰ってからでいいや。
 
お土産いっぱい買ってこーっとw
 
 
♡)えへへ、お待たせーーっ!!
臣)うおっ!!
 
 
ばふっ!!
 
 
♡)えへへーー♡
臣)飛び込み禁止ですw
♡)もう飛び込んじゃいました♡
臣)確かにw
  そんな暴れたらまた苦しくなるぞ。
♡)でももう結構慣れてきたよぉ?
臣)ほんと?
♡)走ったりは無理だと思うけど
  歩いてもそこまで息切れしなくなったよ!
臣)まぁ確かに俺も。慣れたのかな。
♡)ね、ね、来てー♡
臣)へ?
♡)こっち♡ 来て♡
臣)…っ
 
 
何その可愛い誘惑///
 
 
♡)うつ伏せになってください♡
臣)うん…。
 
 
言われた通りにしたら、
♡が俺の背中に乗ってきて…
 
 
♡)マッサージしてあげます♡
 
 
そう言って、
肩から背中をほぐしてくれた。
 
 
臣)なんで急に?w
♡)さっき疲れたーって叫んでたから。
臣)ああ、それか!w
♡)旅行って楽しいけど疲れるもんね。
  癒してあげます♡
臣)……ああ、気持ちぃわ…、、
♡)いっぱい気持ち良くしてあげる♡
臣)…っ
 
 
それはなんかエロいな。
 
 
臣)……あ、っ…
  そこ…、すげぇイイ…
♡)ふふ♡
臣)あぁ…、気持ちぃ……
♡)臣くんがふにゃんふにゃんだ♡
臣)だってぇ……
 
 
力加減が絶妙で…。
 
 
♡)他にしてほしいことなぁい?♡
臣)…っ
 
 
その可愛い声色に、ちょっとドキッとした。
 
 
臣)してほしいこと…ってゆーか
  したいことならある。
♡)え、なぁに?
 
 
俺はもそもそと起き上がって…
きょとんとしてる♡の膝の上に
滑り込んだ。
 
 
♡)びっくりした!なぁに?w
臣)はぁぁぁ……。
 
 
この太もも。
ほんと気持ちぃ…最高…。
 
 
♡)膝枕してほしかったの?w
臣)……。
 
 
本当は…
一番触りたいのはおっぱいです。
 
でもさすがに自粛してます。
 
 
♡)甘えんぼ臣くん…かわい♡
臣)……。
 
 
うん、そういうことにしておこう。
 
 
♡)臣くんだぁいすき♡
臣)……。
 
 
♡の甘い声が…すげぇ可愛くて…
ほんと落ち着く。
 
 
♡)……はっ!
臣)ん…?
 
 
急に♡の身体が強張ったぞ?
なんだなんだ?
 
 
♡)そういえば…
  Rの太もも…触ったんだもんね…
臣)!!!
 
 
覚えてらっしゃいましたか…。
 
 
♡)どうやって抱きついたの…?
臣)えっ…
♡)やってみて。
臣)ええっ…
 
 
再現しろと…?
 
 
臣)寝起きだったから覚えてない。
  酔ってたし。
♡)やってみて。
臣)…っ
 
 
言い逃れ出来ないみたいです…。
 
 
臣)確か…こんな感じ…。
 
 
俺は膝枕された状態で
♡の腰に腕を回した。
 
 
♡)こんなぎゅむってしたの!?
臣)…っ、ごめん…なさい…。
 
 
怖い。どうしよう。
 
 
♡)太ももはどうやって触ったの!!
臣)ええと…、
  ……確か…こんな感じ…。
♡)!!!
臣)ごめんなさい。二度としません。
♡)エッチ!!!
臣)…っ
♡)え、服の上から?
臣)……いや…、その…、
  スカートの中に…手を…
♡)直接触ったの!?
臣)……ハイ。
♡)最っっ低!!!
 
 
べしっっっ!!!
 
 
臣)いってぇ!!
 
 
思いっきり背中叩かれた!
渾身の力で!!
 
 
♡)エッチ!変態!ばか!最低!!
臣)……言いすぎだろオイ…。
 
 
むぎゅっ!!
 
 
臣)!??
 
 
柔らかい太ももの間に
なぜか手をむぎゅっと挟まれたんですけど?!
 
 
♡)臣くんはしばらくこうです。
臣)え!?
♡)私の太ももに挟まれる刑だよ。
臣)…っ
 
 
何その喜ばしい刑は…。
 
 
♡)Rの太ももは今すぐ忘れてください。
臣)……。
 
 
言われなくてももう覚えてません。
興味ないし。
 
 
♡)むぎゅむぎゅの刑なんだから!
臣)……///
 
 
なんだよそれ…可愛いな。
 
つーか柔らけぇ…ほんと気持ちぃ…///
 
ずっと触ってられんな、これ。
 
 
臣)はぁぁぁ……♡
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
お仕置きなのに
臣くんはなぜか嬉しそうに
太ももにスリスリしてる。
 
もぉっ!!
 
 
♡)臣くんに太もも触られたRは
  どうしてたの?
臣)え?どうだっけな…覚えてない。
  びっくりしすぎて。
♡)ふーん…
  Rと二人で何話したの?
臣)え?
♡)二人で飲んだんでしょ?
  どんな話したの?
臣)……別に…大した話してねーよ。
  なんだっけ…、、ああ、そうそう。
  あいつ好きな奴いるらしくてさ、
  その話とか。
  俺そんなん興味ねぇから
  大して聞いてなかったけど。
♡)!!!
 
 
ど、ど、どういうこと?!
 
好きな人に好きな人がいるって
相談したってこと?!
 
 
♡)なんて言ってたの!?
臣)いや、だから…
  あんま覚えてねぇって、興味なくて。
  ……あ、そーだ。
  告白の練習には付き合ったけど。
♡)告白の…練習!??
 
 
何それ!!!
 
 
臣)練習したいとか言うからさー
  そんなんぬいぐるみ相手に
  しとけよっつって。
♡)それは…にゃんこと練習してた私を
  バカにしてるのかな…?
臣)あはは!ちげぇよ!w
  お前がにゃんこと練習してたのは…
  だって…可愛いじゃん///
 
 
臣くんが何か思い出したように
ちょっと照れてる。
 
 
臣)別にそんなんじゃなくて、
  俺があいつの練習に
  付き合う義理もねーしさ。
  めんどくせって思って。
♡)……。
 
 
臣くんはこれっぽっちも
その相手が自分だとは思わないのかな…?
 
 
私のこといつも鈍子鈍子って言うくせに…
自分だって鈍いんだからっ!!
 
 
♡)臣くんが寝てる間、Rは何してたの?
臣)あ?知らね…。何してたんだろ。
  帰れって言ってんのに
  帰んねぇんだもん、あいつ。
 
 
臣くんのこと好きなんだから
帰るわけないでしょっ!
 
 
臣)で、最後は気分悪いだかなんだか
  言ってたけど…
  俺早く帰りたかったから
  置いてきちゃった。
♡)!!!
 
 
臣くん…なかなかひどい…。
 
 
臣)そういえばLINEも返してねーや、やべ。
♡)!!!
 
 
LINEとかやりとりしてるの!?
 
 
臣)でもいーや。めんどくせ。
♡)…っ
 
 
臣くん…すごくマメなくせに…
返事しないの…?
 
私としては…
RとLINEなんてしてほしくないけど…。
 
 
臣)とにかくもう、二度としないから。
  二度と他の女とお前、
  間違えたりしないから。
  ごめんなさい。俺が悪かったです。
 
 
臣くんは私の太ももにむぎゅっと顔を埋めて
謝ってる。
 
 
♡)どうしてむぎゅってしてるの…。
臣)え、だってこれお仕置きなんでしょ?
  ……はぁ、幸せ…。
♡)……。
 
 
本当に反省してるのかな…?
 
 
……でも良かった。
酔って寝ぼけてる臣くんが
それ以上のこと、してなくて。
 
危ないよ…。
 
心配だな、もう…。
 
 
♡)誘惑されちゃ…ダメだからねっ
臣)……へ?なんの話…?
 
 
太ももにうっとりしてる臣くんが
気の抜けた声で返事した。
 
 
♡)他の女の子に誘惑されないでね!
臣)へ?誘惑?されねーし。
♡)…っ
 
 
されてるのに気付いてないだけでしょー!!
 
 
臣)されても興味ねーし。
♡)…っ
 
 
だけど…
とんでもない女の子はきっと
とんでもない方法で誘惑してくるもん!
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
……ヤバイ。
 
太ももが気持ち良すぎて
なんかムラムラしてきた。
 
……かぶりつきたい気分。
 
 
♡)そろそろ上書き出来たかな…。
臣)へ?何が…?
♡)臣くんがちゃんと
  Rの太もも忘れたかなぁって。
臣)だからんなもんとっくに
  忘れてるっつーの!
  いちいち興味ないもん覚えてねーわ!
♡)ほんと…?
 
 
なんだよそのジト目は…。
 
 
臣)上書きされるまでもねぇの!
  つーかなー!
  お前もハルくんとしたこと全部言えよ!
♡)えっ…
臣)お前こそ上書きしてやる!ふざけんな!
♡)…っ
 
 
俺はガバッと起き上がって
♡の肩を掴んだ。
 
 
臣)どんな撮影だったのか全部言え。
  全部俺が上書きする。
♡)…っ
臣)早く言わないとチューすんぞ。
♡)えっ…///
 
 
なんでちょっと嬉しそうなんだよ…
可愛いな…くそ。
 
 
♡)……。
臣)早く言えって!
♡)え、だって…、チュー…してほしい…///
臣)はぁ?!w
 
 
もう!///
 
ダメだ、こうやってすぐ
♡の可愛さに騙されるから俺はダメなんだ。
 
 
臣)いいから早く言え!
♡)えーーっ
  えっと…今回の撮影はね、
  高校時代から付き合ってたカップルが
  大人になって、結婚して、子供が出来て。
  新しい家族で新しいマイホームで
  幸せに暮らす、っていう
  人生の流れに沿ったストーリーだったの。
 
 
なんだと。
 
 
♡)だからホームページにあげてた
  制服の写真は高校生のシーンの衣装だよ。
臣)……ふーん…。
 
 
仲良く手ぇ繋いでたやつね。
 
 
♡)制服で登下校するシーンと、
  プロポーズされて
  バージンロードを歩いて…
臣)プロポーズ!?
♡)うん。
臣)どんな?
♡)セリフなくてアドリブだったの。
臣)アドリブ!??
 
 
そんなんアドリブなわけねーだろ!
 
 
臣)ハルくんなんて言ったの!
♡)えっとね、
  「愛してる。これから先、ずっと。
   この命が尽きるまで。
   一生変わることのないこの気持ちを今、
   ここに誓います。
   結婚して、くれますか?」
  って!
  すっごく感動したから全部覚えてるの!
臣)!!!
 
 
そんなんアドリブって言わねーよ!
まるまるハルくんの本心じゃねーかオイ!!
 
しかもそれを感動したから
全部覚えてるだとォォォォ!?
 
 
♡)咄嗟にそんな言葉が出てくるなんて
  ハルくん素敵だなぁって思って♡
 
 
はぁぁぁ!??
 
 
♡)で、その後バージンロードを二人で歩いて
  誓いの…キス…、ええと…
  ごめんなさい。
 
 
♡はやっと少し申し訳なさそうに
俺を見た。
 
申し訳なさそうになるタイミングが
遅すぎるけど。
 
 
♡)最初はフリだけの予定だったんだけどね、
  2回目のテイクで
  間違って触れちゃったの。
臣)間違って…?
♡)うん、目を瞑ってたから
  距離感わからなかったんだって。
臣)…っ
 
 
それを言い訳に
わざとしたんじゃねぇだろうなぁハルくん!!
 
 
♡)それでハルくんもすっごく焦ってて
  何度もごめんねって謝られて…
臣)……。
 
 
そのテンパり様ならわざとではないのか…。
 
 
臣)つーか何。
  2テイク目って…何テイクやったんだよ。
 
 
1回で十分だろうが!
どこのポンコツ監督だよ!
 
 
♡)あ、違うの、1回目は…
  私が固まりすぎて、NG出ちゃって…///
臣)は?
♡)緊張しすぎてガチガチになっちゃって///
臣)……。で?
♡)あ、それでね、間違って触れちゃった後に
  それがすごく良かったから
  嫌じゃなければ本当にしてくださいって
  監督から言われて…
 
 
はぁぁぁ!??
 
「すごく良かったから」ってなんだよ!
事故をいいことに設定変えてんじゃねーよ!
どこのポンコツ監督だよ!!
 
 
♡)それで、なんか…断れない雰囲気で…
 
 
「嫌じゃなければ」なんて言い方されたら
断りにくいだろうが!!ふざけんなよ!!
どこのポンコツ監督だよ!!
 
 
♡)どうしようって緊張してたら
  ハルくんが言ってくれたの。
臣)え?
♡)今だけでいいから
  俺のお嫁さんになって、って。
臣)…っ
♡)結婚式で、みんなに祝福されて
  誓いのキスをすることは
  緊張することじゃないでしょ?って。
臣)…っ
♡)そう言われて、確かにそうだなって思って
  ハルくんのお嫁さんになりきろう!って
  役に集中したら…ちゃんと出来たんだよ。
 
 
ふーーーーーーーん!!!
 
 
………だからか。
 
 
「ドキドキ…したし…、
 大好きって…思ったよ…?」
 
 
あの夜の♡の言葉。
 
 
それだけ聞いたら浮気じゃん!とか
思っちゃったけど…
 
そういう流れで…そうなったわけね…。
 
 
役に集中したから…
ドキドキもしたし、
大好きだとも思ったわけで…
 
  
……でもさ。
 
いつもだったら相手は俺で想像してるくせに
今回はそうじゃなくて。
 
それは…
わざわざ俺で想像しなくても、
感情移入できたから。
 
それくらいやっぱりハルくんは
♡にとって特別な存在で
俺にとっては脅威の存在ってこと。
 
 
俺以外の男に触られるのは嫌だとか
言ってたくせに…
ハルくんはそうじゃないんだもんな…。
 
ハルくんが相手じゃなかったら
絶対キスシーンだって断ってたくせに…。
 
 
でも俺がそれを言ったら、きっとまた…
「あれ、ほんとだ…なんでだろ…」
とかきょとーんとした顔で言うんだろ。
 
無駄に自覚させることになっても嫌だから
死んでも言わねぇけど。
 
 
臣)はぁぁぁ……。
♡)なぁに?
臣)やっぱり浮気だ……。
♡)えええ!?
  だってお仕事だよ!?
臣)……でもドキドキしたんでしょ?
♡)ドキドキは…したけど…
 
 
そこはやっぱり否定しないんかいッ!
 
 
♡)ドキドキしたのは子供の頃の私だもん。
臣)また言ってる!その変な言い訳!
♡)言い訳じゃないもんっ!
  ハルくんにドキドキするのは
  ハルくんのこと大好きだった
  昔の私で、今の私じゃないよ!
臣)…っ
♡)だって今の私は臣くんのことが好きなのに
  ハルくんにドキドキするの、
  おかしいでしょ?
臣)……。
♡)だから私の中にいる昔の私が
  ドキドキしちゃってるんだなーって
  思ったんだ。
臣)……。
 
 
なんつー解釈だ…。
 
でもここで
んなわけねーだろ、
今のお前だってドキドキしたんだろ!
って追及したら…
 
「え、そうなのかな…?どうして…?」
とかきょとーんとした顔で言うんだろ。
 
 
ハルくんのことに関しては
♡は無自覚だからいいんだ。
 
変に自覚しちゃったら困る。
ずっと鈍子でいてください。
 
 
♡)それにハルくんとまたキスしたい、なんて
  私思わないよ?
臣)…っ
♡)お仕事だったから…
  あれが最初で最後だよ…?
臣)……。
♡)ダメ…?
臣)…っ
 
 
ああああああ〜〜っ
ずるいやつ、出た!!///
 
そんな可愛い顔して可愛く甘えて!
 
俺は流されない!流されないぞ!
 
 
臣)お前…ハルくんと一回結婚したんだから
  もうバツイチだからな!
♡)えええっ!!
 
 
悔しくて苦し紛れに
わけわかんないこと言ってる俺。
 
 
♡)じゃあ…もう…
  臣くんは…結婚してくれないの…?
臣)…っ
 
 
あああっ……
今度は可愛くしょんぼりしてる。
 
ずるい!ずるい!ずるい!
俺は流されない!流されないぞ!///
 
 
臣)どうしようかなーー。
  バツイチだからなーー。
♡)……もう…きらい…?
臣)…っ
 
 
この上目遣いとかしょんぼりとか…
全部計算じゃなくて素でやってるとこが
こいつの怖いとこなんだよ、うん。
 
 
♡)真っ白なタキシード着た臣くんの隣で…
  ウエディングドレス着たかったな…。
臣)…っ
 
 
か、可愛い…。
……負けそう……。
 
 
臣)ハルくんの隣で着たんだろっ
♡)ハルくんは黒だったもん!
臣)色の問題かよ!w
♡)人の問題だよ。
臣)…っ
♡)私は…臣くんのお嫁さんに
  なりたいんだもん…。
臣)…っ
♡)////
臣)////
 
 
……負けた。
 
もういい。
 
いつも♡の可愛さにメロメロにされてる俺が
♡に勝てるわけなかった。
 
そうだよ、惚れたもん負けなんだから。
 
 
臣)しょーがないな〜〜〜〜
♡)…っ
臣)バツイチだけどもらってやるかな〜〜〜〜
♡)ほんとっ?
 
 
ほら、また可愛く笑って。
ずるいんだから。
 
 
臣)じゃあプロポーズしてくれたら考える。
♡)ええ!?プロポーズ?!
臣)そ!
  ハルくんとしたこと
  全部上書きするっつったろ!
♡)臣くんがするんじゃなくて
  私がするの??
臣)そーだよっ!
 
 
ハルくんのそんなガチなプロポーズ聞いたら…
なんかすげぇ悔しいから
俺は本番まで取っときたいもん。
 
 
♡)えっと、じゃあ…
  プロポーズします!!
臣)宣言してからするんかい!w
♡)えっと、ね。
臣)…っ
 
 
♡が姿勢を伸ばして座り直して
俺の手をきゅっと握った。
 
 
♡)私は臣くんが大好き。
  ずっとずっと、愛してる。
臣)……。
♡)この命がある限り、ずっと愛してるし、
  生まれ変わっても
  臣くんのことを探して
  臣くんのことを好きになりたい。
臣)……。
♡)臣くんのそばにいられることが
  本当に幸せで、
  臣くんの笑顔をずっと見ていたいです…。
臣)……。
♡)私…へたくそだから…
  上手に言えないけど…、
臣)……。
♡)臣くんが…俺のそばで笑っててって
  言ってくれたの…
  すごく嬉しかったの。
臣)……。
♡)前にも…言ってくれたでしょ…?
  お前は俺の前で笑ってる時が
  一番可愛い、って。
臣)うん…。
♡)私は…ずっとずっと
  臣くんのそばにいたいし…
  臣くんのそばで笑ってたい。
臣)……。
♡)臣くんのこと…幸せにしたいし…
  二人で一緒に…幸せになりたいんだよ…っ
 
 
一生懸命伝えてくれる♡の瞳から、
涙が一粒、こぼれ落ちた。
 
 
♡)だから…私は…っ
  臣くんの…お嫁さんに…なりた…っ
 
 
♡の言葉を飲み込むように、
重ね合わせた唇。
 
 
臣)結婚しよう。
♡)…っ
 
 
ぶわぁぁ…って泣いてる♡の顔が
滲んで揺れてるのは、
 
……俺も泣いてるから。
 
 
♡)臣くん…っ
臣)うん。
 
 
飛び込んできた♡を
ぎゅっと受け止めた。
 
 
そうだよ。
俺はどんな♡でも丸ごと受け止めたいんだ。
 
それくらい大きな男になるって
決めたから。
 
それくらいお前のこと、愛してるから。
 
 
だから…
 
 
その時が来たら…
ちゃんと俺からも伝えるから。
 
だから今は…ただ、抱きしめさせて。
 
 
臣)ありがとう、♡…。
 
 
無理矢理言わせたのに…
一生懸命、伝えてくれた。
 
心に響いた。
 
 
俺が絶対、幸せにする。
 
命をかけて、幸せにするから…
だから。
 
 
いつか、俺のお嫁さんになってください。
 
 
 
 
 
 
ーendー

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  1. ゆめ より:

    やっと追いついた~
    長かった~ww
    マイコさんストーリー書く(?)の上手すぎ!
    毎日キュンキュンして癒されてます!ww
    高校も受かったのでこれからもマイコさんを応援します!
    頑張ってください!

    • マイコ より:

      おおおおおお(´⊙ω⊙`)高校合格おめでとう!!
      これからもよろしくね♡

  2. ひな より:

    幸せだ(๑⃙⃘♥‿♥๑⃙⃘)

  3. さっちゃん より:

    はぁぁ♡心がほっこりしました。やっと、元の2人に戻れてニヤニヤが止まらないー!
    これから、どんな展開になるか楽しみにしています♡
    本当にあった話のようで。作家のような文才ありますね⭐︎本当の臣君の相手もこんな人だった祝福できるなー。
    忙しい毎日おつかれさまです。更新楽しみにしてますね☆

    • マイコ より:

      さっちゃんさん、ありがとうございます(っ≧ω≦)っ
      お褒めいただき大喜びしている作者でございます!♡♡
      ぜひ引き続きよろしくお願いします♡♡

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