【66】突然の告白

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私たちはタクシーで3台に分かれて
お店に向かうことにした。

私は臣くんと二人で
3台目のタクシーに乗った。


♡)なんか…変な展開になっちゃったね。
臣)うん。
♡)この7人でご飯って…
臣)……
♡)えっと…JさんとTくん、
  悪い人じゃないからね?
臣)は?
♡)ほんとに…
  ただの会社の先輩と同期だから。
臣)うん。
♡)……
臣)なんで?
♡)だって臣くん
  怖い顔してるんだもん…
臣)え?
  …怖かった?
♡)うん…
臣)ごめん。


そう言うと臣くんは
手を繋いできた。


臣くんの右手が
私の左手を、ぎゅっと握って…


臣)♡?
♡)え?


顔を上げると…

突然重なった、唇。


目を閉じる暇もなくて驚いてると

繋いでた手が離れて…
臣くんの右手がそのまま
頭の後ろにまわった。


そのまま引き寄せられて、
また重なる、唇。


♡)お、臣くん…//
臣)ん?

♡)ここ、タクシーだよ…//
臣)だから?

♡)まだ…外、明るいよ?//
臣)だから?


そう言うと臣くんは
もう一度手を繋いで

窓の外の流れる景色に
プイッと視線を移した。


♡)////


運転手さん…ごめんなさい//

それに…外からも見えてたかも…
恥ずかしい//


臣くん、どうしたんだろ??



運)着きましたよー
臣)どーも。


タクシーを降りて
エレベーターに乗ろうとすると

他のお客さんもいて
先の5人が乗ったらもう満員。


臣)先、どうぞ?
佐)じゃあ先行ってるわねー?
♡)はい!


エレベーターは1台しかなくて
私たちは14Fまで行ったエレベーターが
また戻って来るのを二人で待った。


ポーン…


エレベーターに乗り込んで
扉が閉まると

臣くんが近付いてきて…


♡)えっ…?


壁に手をつくと
もう片方の手で、私の頬に触れた。


♡)え?え??


見上げて、視線が重なった瞬間…


♡)…っ///


また、唇が塞がれて

さっきのキスとは全然違う。


♡)んん…っ////


息苦しくなるような…
深くて激しい、キス。


♡)…は…ぁっ//


酸素を求めて口を開くと


さらに求めるように…
深くなるキスに…


♡)臣く…ん、苦しい//


そう伝えると、


臣)まだ。


隙間がなくなるくらい
口付けられて…


♡)んんっ///
  ん~~~っ///
臣)…っ


やっと唇が離れて…


ふわふわしかけた頭を
必死に現実に戻す。


♡)何…するの?//
臣)何って…
  キスしただけだけど。


臣くんは少しだけ笑って
私の頭をくしゃってすると

おでこに優しくキスを落とした。


臣)ごめん。
♡)え?


ポーン…


エレベーターが14Fに着いた。


♡)……


何がごめんなの??
全然わかんないよぉ…

なんで…こんな…
ドキドキさせてくるの??


K)どうした?
♡)え??
K)なんか顔赤くない?
♡)え!!
  あ、赤くないよ!//
K)そ?
♡)うん!!///


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


あ~~
もう俺何やってんだろ。

♡にあんなにキスして…
もういっそこのまま抱きたいとか
思った。


子供みたいな独占欲で…
かっこわりーなー…俺。


♡は
臣くんどうしたの?
みたいな顔してるし…


空気悪くすんのもやだし
♡不安にさせんのもやだし

ここは大人の対応…大人の対応…
よし!!


M)私先輩の隣がいいー♡♡
♡)え?


佐伯さんが取ってくれた
個室に入ると

Mちゃんが♡にくっついた。


M)イケメン二人の間は
  Kさんに譲ります♡♡
K)はい?!!
佐)まぁまぁ、適当に座って~~


結局、♡は
俺とMちゃんの間に座って
向かいには男に挟まれてKが座った。


佐)あら、私このお誕生日席みたいな
  VIP席でいいの?一人だけw
J)どうぞどうぞ♡
佐)あははw
  それじゃ失礼しまーす。
  

俺たちが注文すると
すぐにドリンクが運ばれてきた。


佐)それじゃあ乾杯しますか!
  今日はみんな無理に誘っちゃって
  ごめんね?w
M)全然です~♡♡
佐)じゃあ、撮影お疲れさまでした!
  本当にありがとう♡
  カンパーイ!!

皆)カンパーイ!!


♡)わっ…
臣)どうした?


♡が一口飲んで顔をしかめた。


♡)これ…すっごく濃い…
臣)カシオレ?
♡)うん。
臣)どれ。


飲んでみると本当に濃くて…
リキュール8割ぐらい入ってんじゃね?

俺は半分くらい飲んで
テーブルにあったデキャンタから
オレンジジュースを注ぎ足して
♡に渡した。


臣)ん。
♡)ありがとう…
  あ、いつものカシオレだー!♡
臣)ん。
M)登坂さんやさしー♡♡
臣)え?


気付いたら全員、俺たちを見てて…


佐)あ、ごめんごめんw
  つい見ちゃった。
臣)……
佐)でもみんな、
  今日はほんとありがとう♡
J)いえ、こちらこそ。
佐)Jくんとかなんか慣れてたわよね?
J)あ、僕、昔少しやってたんで。
佐)え?!!モデル!??
J)はい。
M)え~!え~!!
  初耳です~~♡♡
J)10年以上前だからねw
佐)Jくんて今いくつなの?
J)34です。
佐)そうなんだ!!
  男の魅力が増してくる
  丁度いい時ね~~♪
J)どーも♪


ふーん…
こいつ34だったんだ。
ってことは…
ATSUSHIさんと同い年か。
ふーん…


佐)でもどうりで今日
  撮影リードしてくれたわけね?
  助かったわ、ありがとう♡
J)いえいえ♡
♡)ありがとうございました。
J)はははw


ん?
なんでお前がお礼言うんだよ。


佐)でも本当に二人ともイケメンよね~
  モテるでしょ♪
J)いえいえ、そんな…
M)モテモテでーす♡
佐)やっぱりw
M)うちの営業部って
  イケメンが多いんですけど
  その中でもこの二人は
  ツートップなんです♡
佐)そうなの?すごいわね!!
  じゃあみんなから見ても
  やっぱりカッコイイ?
K)別に。
佐)あら!
K)この二人とか
  全然タイプじゃないっす。
J)Kちゃんは
  相変わらず厳しいな~w
T)鬼だ、鬼。
佐)あっはははww
  ストレートね~~ww
  私そーゆー子大好き♡
K)あざっす。


俺も好きだぞ、K。


佐)♡ちゃんは?
♡)え?
佐)こんなカッコイイ登坂くんと
  付き合ってるのはわかるけど
  イケメンが多いっていう
  営業部の誰かに
  トキめいちゃったりしないの?w
♡)しないです。
佐)そっか、やっぱり登坂くんが一番かw
♡)一番じゃないです。
佐)え?
♡)NO.1じゃなくて
  Only Oneです♡♡


♡はにっこり笑って答えた。


臣)やめろ!恥ずかしいわ//
♡)だってほんとだもん♡♡
佐)あっはははw
  登坂くん愛されてるわね~♡
臣)……//


はぁ…もう…//


佐)なーんだ…でも…
  そうなのね~
  今回の企画みたいな社内恋愛は
  なかなかないのかしら?
M)そんなことないですよ~
佐)え?
M)私はこの二人なら
  いつでも大歓迎ですし~♡
佐)あら!
M)それに先輩もKさんも
  会社では大人気だから
  一方的な恋ならたくさんありますよ♡
佐)ああ、なるほど!!
  社内恋愛っていうか
  社内片思いってこと?w
M)そうです♡♡
佐)でもやっぱり二人とも
  可愛いからモテるのね~
K)全然っす。
M)だって昨日のステージの後とか
  アイドルの握手会みたいに
  なってたじゃないですか~~
T)なってた!!
K)なんであんたは怒ってんだよw
T)だってムカつくし…
M)先輩なんてホワイトデーのプレゼント
  た~っくさんもらってましたもんね?
♡)ちょっと!
佐)わ~~♡ちゃん、そんなにモテるの??
  登坂くん心配ねー?w
臣)そうっすねw
佐)あら♡余裕なカンジw
M)そういえば登坂さんは
  先輩に何あげたんですか?
  ホワイトデー♡
臣)え…
♡)あのね!あのね!
  見て~♡♡これ…


♡はiPhoneを開いて
クレープの写真をタップした。


臣)やーめろ!!//
♡)なんで~!!
臣)なんでって…


恥ずかしいだろが!//


♡)あのね、臣くんが
  作ってくれたの♡♡
  これー!!って、あ!!


俺は♡のiPhoneを取り上げた。


臣)あほか!//
M)え~~気になる~!!!
♡)返してよ~~
臣)見せんなよ?
♡)…じゃあ明日にする…。
臣)明日でも見せんな!//
♡)だって自慢したいんだもん!!
  あんな可愛いの…


むにっ


♡のほっぺをつねった。


♡)いたいです。
臣)見ーせーるーなー
♡)わかりました…//
K)つーか臣広、赤くなってるしw
臣)うっせーな!//
佐)くすくすww
  登坂くんの可愛い一面
  見ちゃったww
臣)やめてください//
佐)いつもクールなのにー
K)ふーん?
  臣広、クールキャラなの?
佐)クールっていうか…
  仕事ではすごく礼儀正しいんだけど
  プライベートでは
  ドSなんじゃないかな~とか
  勝手に思ってたw
臣)え!!


ドS?!


M)世のイメージは
  そんなカンジですよね~~
佐)でも彼女の前だと
  こんなカンジなのね?w
M)そんなギャップいいなー♡
♡)へへへ♡
臣)……//


なんか調子狂うな…


佐)でも…
  ♡ちゃん、そんなモテるなら
  嫌がらせ受けたりしないの?
  女社会だとよくあるじゃない?
M)あ!そーだ!!
♡)え?
M)私は二人に言いたかったんです!
J)え?
T)俺ら??
M)そーです!!


Mちゃんが男二人を指差した。


M)あなた達がモテるのは勝手ですけど
  それで先輩に迷惑かけたり
  嫌な思いさせたり、
  二度としないでください!!!
♡)ちょっと!!Mちゃん!!
M)もしまたそんなことあったら
  先輩の半径3メートル以内に
  近付くの禁止にしますからね!!
♡)Mちゃん!!
M)いいんです!!
  これくらい言っとかないと。
  思い出してもムカつく。
J)え?なんかあったの?
T)どーゆーこと???
K)営業の女子の皆さんは
  肉食が多いですね~?ってこと。
T)え、あいつらに何か言われたの??
♡)言われてないよ、何でもない。
T)何でもなくねぇじゃん。
M)営業に手出すなだの
  チャラいだのなんだの
  好き勝手言ってくれちゃって
  もう少しで私、
  手が出るところでした!怒
J)うわーーーー
T)あいつら…
  明日会ったら言っとくわ。
K)やめろっつーの。
T)なんでだよ。
K)あんたが言ったら
  なんか火に油を注ぎそうだし。
J)確かに。Tくんは下手そうだから
  俺から言っとくよ。
M)Jさんの方が上手そう。
T)なんでだよ!
  だってムカつくじゃん!
  俺が言うって!
K)だーからそれがまた
  迷惑な展開になるかも
  しんねぇっつってんの!
J)姫、ごめんね?
♡)え?
J)嫌な思いさせて…
♡)全然です!!
T)ごめん。
♡)気にしてないから!!
  全然大丈夫!!


嘘つけ。
昨日めっちゃ気にしてたくせに。

チャラいチャラいって
なんなのかと思ったら…
そーゆーことか…


でも…
こいつの性格上
そんなの絶対表に出さねんだろな…


M)先輩…もしかして
  こーゆーの、いつもなんですか?
♡)え?こーゆーのって?
M)女子からひがまれるの…
♡)そんなことないよ?
M)もう…
  先輩が可愛すぎるからだぁ!!
  何かあったら絶対私に
  言ってくださいね!!
♡)ありがとw


Mちゃんが♡に抱きついた。

この子ほんとに
♡のこと好きなんだなw


佐)ふふ♡
  Mちゃんは♡ちゃんが
  大好きなのね?
M)はい!!♡
佐)どうしてそんなに好きなの?
M)だってだって!!
K)あ、長くなるから
  やめた方がいいっすよ。
佐)え?
M)ひどい~!!
  Kさんってばぁ~!!
K)だって長いし、もう聞き飽きたし。
J)ははははww
M)じゃあ私が先輩の
  どこを好きかじゃなくて
  好きになったキッカケを
  話しますね?
K)結局話すんかーい!w
佐)聞きたい聞きたいw
M)私、入社したての頃、
  同期の女子から
  イジメられてたんです。
佐)え!そうなの?
M)はい。
  なんかぶりっ子だとか
  色々陰口言われて。
臣)……


たしかにぶりっ子っぽく見えるもんなー
俺も最初そう思ったし。


M)でも私はそんなに
  気にしてなかったんですけど
  ある日、陰口現場を発見した先輩が
  キレたんです。
T)え!!キレたの?!
J)姫が?!!
M)はい。
♡)ちょっと、
  恥ずかしいんだけど//
M)いいじゃないですかー♡
  正義の味方みたいだったんだもん♡
T)なんてキレたの?
M)「言いたいことあるなら
   陰で言わないで直接言いなさいよ!
   人の悪口言ってる暇あったら仕事して!!
   それにね!!
   Mちゃんはぶりっ子なんじゃなくて
   ちょっと変なだけなんだから!!
   でもすっごくいい子なんだから!!」
   って♡
臣)ぶははははっ!!!
♡)ちょっと…//
臣)おっかしー!www
  変な子って…!
  全然フォローになってねぇし!ww
K)まぁあながち
  ハズれてないけどねw
M)ひどーい♡
臣)つーか、♡の真似
  めっちゃ似てっし!ww
♡)えー!!
M)ふふー♡


Mちゃんがドヤ顔で笑った。


T)そんな怒ったりすんだ…
J)姫がねぇ…
M)すっごいカッコ良かったんだから♡
J)はははw
M)だってそんなこと言ったら
  先輩がみんなから
  嫌われたりするかもしれないのに
  そんなこと…多分考えもしないで
  言ってくれたんです。
佐)そうなんだ…
K)それからというもの…
  Mが♡にまとわりつくまとわりつく…
佐)その後輩ちゃん達は
  ♡ちゃんに反抗するようになったの?
M)全然です。
  みんな先輩のこと大好きだし
  それから私もみんなと
  仲良くなれました。
佐)えー!!すごいわね?
K)あんたいっつもそうだよねw
♡)え?
K)高校ん時もそうだったじゃんw
佐)え!!二人は高校からのお友達なの??
K)そうです。
佐)わぁ!すごい!!
J)高校の時って?
K)高校の時も…入学した時から
  ♡はダントツ可愛いから
  学校中の噂になってて。
臣)え!!!


学校中の噂!?


♡)なってないよ!
K)なってましたw


す、すげぇ…


J)それで?
K)同じクラスの女子は
  みんな仲良かったんだけど…
  ♡のことよく知らない
  他のクラスの女子からとかは
  めっちゃ嫉妬されてて。
T)うわーありがちだな。
K)悪口言ったり
  あることないこと噂流してきたり…
T)それをお前がボッコボコに
  してたんだろ?
K)してねーよ!w
  いや、まぁ現行犯で見つけたら
  ヤキ入れてたけど…
♡)え!!そうなの?!!
K)うん。
♡)知らなかった…
臣)……


K…、やっぱりお前
元ヤンなんじゃ…


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


K)でもさ、2年になって
  実際に♡と同じクラスになると
  そーゆー女たちが
  結局♡のこと好きになって
  仲良くなってんのww
M)えー!!
K)3年の時もそうだったしww
J)二人は3年間同じクラスだったの?
K)そーです。
佐)一緒にいるとみんな
  ♡ちゃんの良さがわかって
  好きになっちゃうってこと?
K)はいw
  だから結局最後はクラス
  みんな仲良いっていう…w
臣)ふはっww
♡)なーにー//
臣)いや?
  お前らしいなぁって思ってw


臣くんが優しい顔して笑ってる。
なんか恥ずかしい…//


佐)♡ちゃんは愛され上手なのね♡
♡)え?
佐)そして人を愛するのも
  上手な子なのね、きっと♡
J)それが姫のいいところだよね♡
T)うん、好きだなぁ…

皆)え?!!!

T)え!!!!


シーーーーン。


M)好きって…
T)え?!
  俺今、声に出てた?!!
K)バリバリ出てたけど。
T)え!!/////
佐)え…


なんかTくんが赤くなってる…


T)…っ


戸惑った表情をしたあと、
真剣な目で私を見てきた。


T)……
♡)???


……なぁに?


K)何その顔。
T)え?

K)告白でもすんの?
T)え!!

K)彼氏の前で?
T)……


え?え??
どういうこと???


告白?!


M)隠せてないですもんね、もう。
K)ですねー。
T)なんなんだよ!///
佐)え、Tくん
  ♡ちゃんが好きなの??
J)……
臣)……
♡)…っ


え!???


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


♡の顔を見ると目をまんまるにして
びっくりしてる。

え、驚くとこなの??


T)何その顔。
♡)え!!?? 嘘でしょ?!!

T)は?
♡)え?!!

T)好きだけど。
♡)え!!!!!


おいおい…

ここにいる中で
気付いてなかったの
お前だけだと思いますけど…


T)驚くのかよ!
♡)だって…
  え?え??
T)ずっと好きだったっつーの!
♡)えーー!!!
T)つーかなんで俺
  こんなとこで告白してんだよ。
K)ほんとだよ。
J)ほんとにね。
M)ほんとですね。


ほんとだよ。
俺の前でな。


T)だって!!
  お前全然俺なんて眼中にねーし
  どんなに誘っても断られるし
  二人になんて
  絶対なってくんねぇから
  気持ち伝えようなかったし。
K)だって彼氏いるしね。
J)今もいるけどね。
M)目の前にいますけどね。
T)でも俺は…
  お前が彼氏出来る前から
  ずっと好きだったんだよ!
♡)え!!!!
佐)わ~~何これ…青春?


シーーーーン。




ー続ー

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