私たちはタクシーで3台に分かれて
お店に向かうことにした。
私は臣くんと二人で
3台目のタクシーに乗った。
♡)なんか…変な展開になっちゃったね。
臣)うん。
♡)この7人でご飯って…
臣)……
♡)えっと…JさんとTくん、
悪い人じゃないからね?
臣)は?
♡)ほんとに…
ただの会社の先輩と同期だから。
臣)うん。
♡)……
臣)なんで?
♡)だって臣くん
怖い顔してるんだもん…
臣)え?
…怖かった?
♡)うん…
臣)ごめん。
そう言うと臣くんは
手を繋いできた。
臣くんの右手が
私の左手を、ぎゅっと握って…
臣)♡?
♡)え?
顔を上げると…
突然重なった、唇。
目を閉じる暇もなくて驚いてると
繋いでた手が離れて…
臣くんの右手がそのまま
頭の後ろにまわった。
そのまま引き寄せられて、
また重なる、唇。
♡)お、臣くん…//
臣)ん?
♡)ここ、タクシーだよ…//
臣)だから?
♡)まだ…外、明るいよ?//
臣)だから?
そう言うと臣くんは
もう一度手を繋いで
窓の外の流れる景色に
プイッと視線を移した。
♡)////
運転手さん…ごめんなさい//
それに…外からも見えてたかも…
恥ずかしい//
臣くん、どうしたんだろ??
運)着きましたよー
臣)どーも。
タクシーを降りて
エレベーターに乗ろうとすると
他のお客さんもいて
先の5人が乗ったらもう満員。
臣)先、どうぞ?
佐)じゃあ先行ってるわねー?
♡)はい!
エレベーターは1台しかなくて
私たちは14Fまで行ったエレベーターが
また戻って来るのを二人で待った。
ポーン…
エレベーターに乗り込んで
扉が閉まると
臣くんが近付いてきて…
♡)えっ…?
壁に手をつくと
もう片方の手で、私の頬に触れた。
♡)え?え??
見上げて、視線が重なった瞬間…
♡)…っ///
また、唇が塞がれて
さっきのキスとは全然違う。
♡)んん…っ////
息苦しくなるような…
深くて激しい、キス。
♡)…は…ぁっ//
酸素を求めて口を開くと
さらに求めるように…
深くなるキスに…
♡)臣く…ん、苦しい//
そう伝えると、
臣)まだ。
隙間がなくなるくらい
口付けられて…
♡)んんっ///
ん~~~っ///
臣)…っ
やっと唇が離れて…
ふわふわしかけた頭を
必死に現実に戻す。
♡)何…するの?//
臣)何って…
キスしただけだけど。
臣くんは少しだけ笑って
私の頭をくしゃってすると
おでこに優しくキスを落とした。
臣)ごめん。
♡)え?
ポーン…
エレベーターが14Fに着いた。
♡)……
何がごめんなの??
全然わかんないよぉ…
なんで…こんな…
ドキドキさせてくるの??
K)どうした?
♡)え??
K)なんか顔赤くない?
♡)え!!
あ、赤くないよ!//
K)そ?
♡)うん!!///
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あ~~
もう俺何やってんだろ。
♡にあんなにキスして…
もういっそこのまま抱きたいとか
思った。
子供みたいな独占欲で…
かっこわりーなー…俺。
♡は
臣くんどうしたの?
みたいな顔してるし…
空気悪くすんのもやだし
♡不安にさせんのもやだし
ここは大人の対応…大人の対応…
よし!!
M)私先輩の隣がいいー♡♡
♡)え?
佐伯さんが取ってくれた
個室に入ると
Mちゃんが♡にくっついた。
M)イケメン二人の間は
Kさんに譲ります♡♡
K)はい?!!
佐)まぁまぁ、適当に座って~~
結局、♡は
俺とMちゃんの間に座って
向かいには男に挟まれてKが座った。
佐)あら、私このお誕生日席みたいな
VIP席でいいの?一人だけw
J)どうぞどうぞ♡
佐)あははw
それじゃ失礼しまーす。
俺たちが注文すると
すぐにドリンクが運ばれてきた。
佐)それじゃあ乾杯しますか!
今日はみんな無理に誘っちゃって
ごめんね?w
M)全然です~♡♡
佐)じゃあ、撮影お疲れさまでした!
本当にありがとう♡
カンパーイ!!
皆)カンパーイ!!
♡)わっ…
臣)どうした?
♡が一口飲んで顔をしかめた。
♡)これ…すっごく濃い…
臣)カシオレ?
♡)うん。
臣)どれ。
飲んでみると本当に濃くて…
リキュール8割ぐらい入ってんじゃね?
俺は半分くらい飲んで
テーブルにあったデキャンタから
オレンジジュースを注ぎ足して
♡に渡した。
臣)ん。
♡)ありがとう…
あ、いつものカシオレだー!♡
臣)ん。
M)登坂さんやさしー♡♡
臣)え?
気付いたら全員、俺たちを見てて…
佐)あ、ごめんごめんw
つい見ちゃった。
臣)……
佐)でもみんな、
今日はほんとありがとう♡
J)いえ、こちらこそ。
佐)Jくんとかなんか慣れてたわよね?
J)あ、僕、昔少しやってたんで。
佐)え?!!モデル!??
J)はい。
M)え~!え~!!
初耳です~~♡♡
J)10年以上前だからねw
佐)Jくんて今いくつなの?
J)34です。
佐)そうなんだ!!
男の魅力が増してくる
丁度いい時ね~~♪
J)どーも♪
ふーん…
こいつ34だったんだ。
ってことは…
ATSUSHIさんと同い年か。
ふーん…
佐)でもどうりで今日
撮影リードしてくれたわけね?
助かったわ、ありがとう♡
J)いえいえ♡
♡)ありがとうございました。
J)はははw
ん?
なんでお前がお礼言うんだよ。
佐)でも本当に二人ともイケメンよね~
モテるでしょ♪
J)いえいえ、そんな…
M)モテモテでーす♡
佐)やっぱりw
M)うちの営業部って
イケメンが多いんですけど
その中でもこの二人は
ツートップなんです♡
佐)そうなの?すごいわね!!
じゃあみんなから見ても
やっぱりカッコイイ?
K)別に。
佐)あら!
K)この二人とか
全然タイプじゃないっす。
J)Kちゃんは
相変わらず厳しいな~w
T)鬼だ、鬼。
佐)あっはははww
ストレートね~~ww
私そーゆー子大好き♡
K)あざっす。
俺も好きだぞ、K。
佐)♡ちゃんは?
♡)え?
佐)こんなカッコイイ登坂くんと
付き合ってるのはわかるけど
イケメンが多いっていう
営業部の誰かに
トキめいちゃったりしないの?w
♡)しないです。
佐)そっか、やっぱり登坂くんが一番かw
♡)一番じゃないです。
佐)え?
♡)NO.1じゃなくて
Only Oneです♡♡
♡はにっこり笑って答えた。
臣)やめろ!恥ずかしいわ//
♡)だってほんとだもん♡♡
佐)あっはははw
登坂くん愛されてるわね~♡
臣)……//
はぁ…もう…//
佐)なーんだ…でも…
そうなのね~
今回の企画みたいな社内恋愛は
なかなかないのかしら?
M)そんなことないですよ~
佐)え?
M)私はこの二人なら
いつでも大歓迎ですし~♡
佐)あら!
M)それに先輩もKさんも
会社では大人気だから
一方的な恋ならたくさんありますよ♡
佐)ああ、なるほど!!
社内恋愛っていうか
社内片思いってこと?w
M)そうです♡♡
佐)でもやっぱり二人とも
可愛いからモテるのね~
K)全然っす。
M)だって昨日のステージの後とか
アイドルの握手会みたいに
なってたじゃないですか~~
T)なってた!!
K)なんであんたは怒ってんだよw
T)だってムカつくし…
M)先輩なんてホワイトデーのプレゼント
た~っくさんもらってましたもんね?
♡)ちょっと!
佐)わ~~♡ちゃん、そんなにモテるの??
登坂くん心配ねー?w
臣)そうっすねw
佐)あら♡余裕なカンジw
M)そういえば登坂さんは
先輩に何あげたんですか?
ホワイトデー♡
臣)え…
♡)あのね!あのね!
見て~♡♡これ…
♡はiPhoneを開いて
クレープの写真をタップした。
臣)やーめろ!!//
♡)なんで~!!
臣)なんでって…
恥ずかしいだろが!//
♡)あのね、臣くんが
作ってくれたの♡♡
これー!!って、あ!!
俺は♡のiPhoneを取り上げた。
臣)あほか!//
M)え~~気になる~!!!
♡)返してよ~~
臣)見せんなよ?
♡)…じゃあ明日にする…。
臣)明日でも見せんな!//
♡)だって自慢したいんだもん!!
あんな可愛いの…
むにっ
♡のほっぺをつねった。
♡)いたいです。
臣)見ーせーるーなー
♡)わかりました…//
K)つーか臣広、赤くなってるしw
臣)うっせーな!//
佐)くすくすww
登坂くんの可愛い一面
見ちゃったww
臣)やめてください//
佐)いつもクールなのにー
K)ふーん?
臣広、クールキャラなの?
佐)クールっていうか…
仕事ではすごく礼儀正しいんだけど
プライベートでは
ドSなんじゃないかな~とか
勝手に思ってたw
臣)え!!
ドS?!
M)世のイメージは
そんなカンジですよね~~
佐)でも彼女の前だと
こんなカンジなのね?w
M)そんなギャップいいなー♡
♡)へへへ♡
臣)……//
なんか調子狂うな…
佐)でも…
♡ちゃん、そんなモテるなら
嫌がらせ受けたりしないの?
女社会だとよくあるじゃない?
M)あ!そーだ!!
♡)え?
M)私は二人に言いたかったんです!
J)え?
T)俺ら??
M)そーです!!
Mちゃんが男二人を指差した。
M)あなた達がモテるのは勝手ですけど
それで先輩に迷惑かけたり
嫌な思いさせたり、
二度としないでください!!!
♡)ちょっと!!Mちゃん!!
M)もしまたそんなことあったら
先輩の半径3メートル以内に
近付くの禁止にしますからね!!
♡)Mちゃん!!
M)いいんです!!
これくらい言っとかないと。
思い出してもムカつく。
J)え?なんかあったの?
T)どーゆーこと???
K)営業の女子の皆さんは
肉食が多いですね~?ってこと。
T)え、あいつらに何か言われたの??
♡)言われてないよ、何でもない。
T)何でもなくねぇじゃん。
M)営業に手出すなだの
チャラいだのなんだの
好き勝手言ってくれちゃって
もう少しで私、
手が出るところでした!怒
J)うわーーーー
T)あいつら…
明日会ったら言っとくわ。
K)やめろっつーの。
T)なんでだよ。
K)あんたが言ったら
なんか火に油を注ぎそうだし。
J)確かに。Tくんは下手そうだから
俺から言っとくよ。
M)Jさんの方が上手そう。
T)なんでだよ!
だってムカつくじゃん!
俺が言うって!
K)だーからそれがまた
迷惑な展開になるかも
しんねぇっつってんの!
J)姫、ごめんね?
♡)え?
J)嫌な思いさせて…
♡)全然です!!
T)ごめん。
♡)気にしてないから!!
全然大丈夫!!
嘘つけ。
昨日めっちゃ気にしてたくせに。
チャラいチャラいって
なんなのかと思ったら…
そーゆーことか…
でも…
こいつの性格上
そんなの絶対表に出さねんだろな…
M)先輩…もしかして
こーゆーの、いつもなんですか?
♡)え?こーゆーのって?
M)女子からひがまれるの…
♡)そんなことないよ?
M)もう…
先輩が可愛すぎるからだぁ!!
何かあったら絶対私に
言ってくださいね!!
♡)ありがとw
Mちゃんが♡に抱きついた。
この子ほんとに
♡のこと好きなんだなw
佐)ふふ♡
Mちゃんは♡ちゃんが
大好きなのね?
M)はい!!♡
佐)どうしてそんなに好きなの?
M)だってだって!!
K)あ、長くなるから
やめた方がいいっすよ。
佐)え?
M)ひどい~!!
Kさんってばぁ~!!
K)だって長いし、もう聞き飽きたし。
J)ははははww
M)じゃあ私が先輩の
どこを好きかじゃなくて
好きになったキッカケを
話しますね?
K)結局話すんかーい!w
佐)聞きたい聞きたいw
M)私、入社したての頃、
同期の女子から
イジメられてたんです。
佐)え!そうなの?
M)はい。
なんかぶりっ子だとか
色々陰口言われて。
臣)……
たしかにぶりっ子っぽく見えるもんなー
俺も最初そう思ったし。
M)でも私はそんなに
気にしてなかったんですけど
ある日、陰口現場を発見した先輩が
キレたんです。
T)え!!キレたの?!
J)姫が?!!
M)はい。
♡)ちょっと、
恥ずかしいんだけど//
M)いいじゃないですかー♡
正義の味方みたいだったんだもん♡
T)なんてキレたの?
M)「言いたいことあるなら
陰で言わないで直接言いなさいよ!
人の悪口言ってる暇あったら仕事して!!
それにね!!
Mちゃんはぶりっ子なんじゃなくて
ちょっと変なだけなんだから!!
でもすっごくいい子なんだから!!」
って♡
臣)ぶははははっ!!!
♡)ちょっと…//
臣)おっかしー!www
変な子って…!
全然フォローになってねぇし!ww
K)まぁあながち
ハズれてないけどねw
M)ひどーい♡
臣)つーか、♡の真似
めっちゃ似てっし!ww
♡)えー!!
M)ふふー♡
Mちゃんがドヤ顔で笑った。
T)そんな怒ったりすんだ…
J)姫がねぇ…
M)すっごいカッコ良かったんだから♡
J)はははw
M)だってそんなこと言ったら
先輩がみんなから
嫌われたりするかもしれないのに
そんなこと…多分考えもしないで
言ってくれたんです。
佐)そうなんだ…
K)それからというもの…
Mが♡にまとわりつくまとわりつく…
佐)その後輩ちゃん達は
♡ちゃんに反抗するようになったの?
M)全然です。
みんな先輩のこと大好きだし
それから私もみんなと
仲良くなれました。
佐)えー!!すごいわね?
K)あんたいっつもそうだよねw
♡)え?
K)高校ん時もそうだったじゃんw
佐)え!!二人は高校からのお友達なの??
K)そうです。
佐)わぁ!すごい!!
J)高校の時って?
K)高校の時も…入学した時から
♡はダントツ可愛いから
学校中の噂になってて。
臣)え!!!
学校中の噂!?
♡)なってないよ!
K)なってましたw
す、すげぇ…
J)それで?
K)同じクラスの女子は
みんな仲良かったんだけど…
♡のことよく知らない
他のクラスの女子からとかは
めっちゃ嫉妬されてて。
T)うわーありがちだな。
K)悪口言ったり
あることないこと噂流してきたり…
T)それをお前がボッコボコに
してたんだろ?
K)してねーよ!w
いや、まぁ現行犯で見つけたら
ヤキ入れてたけど…
♡)え!!そうなの?!!
K)うん。
♡)知らなかった…
臣)……
K…、やっぱりお前
元ヤンなんじゃ…
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
K)でもさ、2年になって
実際に♡と同じクラスになると
そーゆー女たちが
結局♡のこと好きになって
仲良くなってんのww
M)えー!!
K)3年の時もそうだったしww
J)二人は3年間同じクラスだったの?
K)そーです。
佐)一緒にいるとみんな
♡ちゃんの良さがわかって
好きになっちゃうってこと?
K)はいw
だから結局最後はクラス
みんな仲良いっていう…w
臣)ふはっww
♡)なーにー//
臣)いや?
お前らしいなぁって思ってw
臣くんが優しい顔して笑ってる。
なんか恥ずかしい…//
佐)♡ちゃんは愛され上手なのね♡
♡)え?
佐)そして人を愛するのも
上手な子なのね、きっと♡
J)それが姫のいいところだよね♡
T)うん、好きだなぁ…
皆)え?!!!
T)え!!!!
シーーーーン。
M)好きって…
T)え?!
俺今、声に出てた?!!
K)バリバリ出てたけど。
T)え!!/////
佐)え…
なんかTくんが赤くなってる…
T)…っ
戸惑った表情をしたあと、
真剣な目で私を見てきた。
T)……
♡)???
……なぁに?
K)何その顔。
T)え?
K)告白でもすんの?
T)え!!
K)彼氏の前で?
T)……
え?え??
どういうこと???
告白?!
M)隠せてないですもんね、もう。
K)ですねー。
T)なんなんだよ!///
佐)え、Tくん
♡ちゃんが好きなの??
J)……
臣)……
♡)…っ
え!???
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
♡の顔を見ると目をまんまるにして
びっくりしてる。
え、驚くとこなの??
T)何その顔。
♡)え!!?? 嘘でしょ?!!
T)は?
♡)え?!!
T)好きだけど。
♡)え!!!!!
おいおい…
ここにいる中で
気付いてなかったの
お前だけだと思いますけど…
T)驚くのかよ!
♡)だって…
え?え??
T)ずっと好きだったっつーの!
♡)えーー!!!
T)つーかなんで俺
こんなとこで告白してんだよ。
K)ほんとだよ。
J)ほんとにね。
M)ほんとですね。
ほんとだよ。
俺の前でな。
T)だって!!
お前全然俺なんて眼中にねーし
どんなに誘っても断られるし
二人になんて
絶対なってくんねぇから
気持ち伝えようなかったし。
K)だって彼氏いるしね。
J)今もいるけどね。
M)目の前にいますけどね。
T)でも俺は…
お前が彼氏出来る前から
ずっと好きだったんだよ!
♡)え!!!!
佐)わ~~何これ…青春?
シーーーーン。
ー続ー
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