「私、臣くんのおうちまで送る!!」
♡はそう言うと、
ニコニコしながら立ち上がって。
わけがわからないまま
一緒に下まで降りると、
俺の家に向かって、るんるん歩き出した。
臣)お前に送られるとか…謎なんだけど…
♡)え?どうして?
臣)帰りどうすんの?
♡)歩いて帰って来るよ?
臣)……
♡)暗くないからいいでしょ?
臣)うーん…
いいけど…
なんで送ってくれんだろ。
一緒にいたいって…
どういう意味で言ったんだ??
こんなん…
俺めっちゃ期待するけど。
でもどうせまた、やだとか言って
突き落とされんだろ…?
♡)なんか…いつもの道、
逆に行くのって新鮮♡
臣)ん?
♡)あ!そっか!
臣くんはいつも通ってるんだもんね。
臣)うん。でもこんな明るくないから
新鮮っちゃ新鮮。
♡)朝の空気は気持ちいいね♡
臣)うん。
ニコニコ嬉しそうに、俺の少し前を歩く♡。
手…、繋ぎたいけど…
こんな明るかったら
誰に見られるかわかんねぇしな…。
臣)あ、ちょっと待てw
♡)え??
臣)見慣れてて忘れてたw
♡の顔と首にぐるぐる巻き付けた
俺のストール。
俺は慌ててそれを外して、
首にちゃんと巻き直してやった。
♡)あ…忘れてた///
臣)一人だったら完全に変な奴だぞw
♡)ひどーい!
臣くんがやったんでしょー!w
臣)ぶはははw
まぁマトリョーシカでも可愛いんだけど。
♡)臣くんは…寒くなぁい?
臣)全然平気。
♡)そっか…
♡はそう言って
俺のストールに鼻を埋めた。
なんか…可愛い…。
♡)もうすぐ12月だね。
臣)はえーな、マジで。
♡)今年ももう終わっちゃうよぉ…
臣)だなー。
♡)臣くんと出逢って…
8、9、10、11…、4ヶ月だー!!
臣)ほんとだ。
♡)早いような遅いような…
臣)……
つーか俺、4ヶ月も片思いしてんのかよ。
くっそーーー
いい加減俺のこと好きんなれ!
なれ~~~!!
♡)なぁに??
臣)え?
♡)視線感じた。
臣)…念飛ばしてた。
♡)え?何に??
臣)お前。
♡)え~~!何それ!!どんな?
臣)さぁ?
♡)え~~~~
届いてますように。
臣)12月かぁ…。特番だらけだな~~
♡)あ!そっか!
じゃあまたいっぱいTV出る??
臣)うん。
♡)わーい!楽しみっ♡
臣くんに会えなくてもTVで会える♡
臣)……///
なんだよそれ。
無邪気に喜んじゃってさっ。
♡)スーパーLIVEは何歌うの?
臣)Mステ?
♡)うん!!
臣)冬物語。
♡)やったぁ♡♡
臣)あ、明日はテラハ。
♡)あ!収録?
臣)うん。Xmasバージョン。
♡)何それ~!!
臣)みんなでXmasみたいなカンジで
やるって言ってた。
♡)いいな~~楽しそう♡
臣)……
Xmasか…
こいつ…予定あんのかな…
♡)そういえば!!
臣)え?
♡)この間のテラハ、もう腹立つーー!
臣)え、え、何が??
♡のほっぺが膨らんでる。
♡)何なの??
皆よってたかってまいまい攻撃して!
臣)ああ…
♡)まいまいは別に
TV用で哲っちゃんがいいって
言ってた訳じゃないよ!
臣)え?
♡)そんなの見てたらわかるのに!
臣)わかんの?
♡)わかる!!
大体あれは哲ちゃんが悪いんだから!
臣)え??
♡)まいまいのこと好きなくせに
まいまいが見てる前で
他の子にベタベタして!
臣)ああ。
でも美和ちゃんとりなてぃだよ?
♡)だってまいまいだって
絶対テラハ観てたんだから
哲ちゃんが前に
美和ちゃん好きだったの知ってるでしょ?
臣)ああ、そっか。確かに。
♡)前好きだった子に
目の前でベタベタされたら絶対やだよ…
あんな顔になっちゃうの、わかるもん。
臣)なるほど…
♡)それなのにみんなして
まいまいのことワガママみたいに
好き勝手言って!
臣)めっちゃ怒ってるやんw
♡)ぷんぷんだよ!!
臣)あはははw
♡がスタジオにいたら面白いだろうなぁ〜w
♡)それにこの間の最後だって
大樹くんとか洋さんまで
好き勝手言って!!
臣)ああ…言ってたっけ?
♡)まいまいが嘘くさいとか
そんなの言いがかりだよ!
まいまいはあーゆーキャラなんだもん!
臣)ほう…
♡)それに、まいまいが
あーゆー服装で歌うのだって
まいまいのポリシーなのに
なんでそれをあんな風に
言われなきゃなんないの?
臣)……
♡)まいまいの何を知ってるんだ!
って思っちゃった。
あんなテラスハウスだいっきらい。
臣)あーららら…
♡)ぷん!!!
♡ちゃん、ご立腹です。
♡)それに山ちゃん、
いっつもまいまいに嫌なこと言う。
臣)ああ、言ってんねーw
♡)山ちゃんのばか。
臣)言っとくわw
♡)えっ!
臣)山里さんに。
♡)えっ…
臣)嫌なことばっか言ってんじゃねぇ!!
って、♡がブチ切れてましたって。
♡)え!やめてよー!!
臣)あはははw
♡は慌てたように俺の腕を叩いてきた。
♡)でも私はまいまいの味方だもん。
臣)でもまいまい、
もらった花放置してたよ?w
♡)あれはきっと…
お花のお水を替えるっていう概念が
ないんだよ。
臣)ええっ!!
♡)お嬢様だから仕方ないのかも…。
臣)そうかー??
♡)お花はいつか枯れるんだから
仕方ないって
思ってるんじゃないかなぁ…?
臣)随分まいまいの肩持ちますねぇ?w
♡)そうかな……
臣)だってお前は
めっちゃ大事にしてくれてたじゃん。
♡)え?
臣)花。
♡)…っ
綺麗に飾って、栄養剤まで入れて…
最後はカードにしてくれてた。
臣)あれ…俺、めっちゃ嬉しかったけど。
♡)…っ
俺がそう言うと、
♡)だって…嬉しかったんだもん///
♡は少し照れたようにそう言って、
またストールに顔を隠した。
臣)……///
袖から少しだけ出てる指先で
きゅっとストールを鼻まで持ち上げて…
なんか可愛い。ずるい。
♡)あ…臣くんのマンション見えてきた。
臣)あ。
早くね?!
つーかまいまいの話で
ほとんど終わっちゃったじゃんよ!
♡)ねぇねぇ。
臣)んー?
♡)さっき、何の念、飛ばしてたの?
臣)は??
♡)私に。
臣)……
なんでここで掘り返す。
臣)別に…。
俺がそう言うと、
♡)じゃあ私も飛ばしていーい?♡
♡はそう言ってニコッと笑った。
臣)はい??
私もって…何?!
何の念、飛ばされんの?俺!
臣)…っ
♡は真剣な顔で目を閉じて
眉間にしわを寄せてる。
♡)きゃあっ
臣)おわ!!
目を瞑ってるせいで
段差につまずいた♡の腕を、
慌てて掴んだ。
臣)目開けて歩け!あほ!w
♡)だって…
この方が念の力、
強くなりそうじゃない?
臣)何をそんな念じてんだよw
♡)ないしょー♡
臣)え、でも、俺に飛ばすんでしょ?
♡)そーだよ!えいっ!!!
バシッ!!!
勢いよく叩かれた背中。
♡)これでよーし♡
臣)飛んできたんすか?
♡)飛ばしました♡
臣)何の念すか?
♡)内緒です♡
臣)教えてくれないんすか?
♡)えーと…
臣くんが教えてくれたら
教えてあげます♡
臣)……
……言えるかよ。
臣)先に教えて。
♡)え~~!!!
もう…ずるいなぁ…
そう言いながら、
♡は可愛く口を尖らせた。
♡)えっとね、
臣くんが身体壊しませんように~~
映画の撮影順調に進みますように~
テラハの収録楽しめますように~
冬物語素敵にパフォーマンス
出来ますように~~
紅白も上手くいきますように~
ツアーも成功しますように~~
って、いっぱい!!♡♡
臣)どんだけあんだよ…!ww
♡)だってーーw
臣)そんなことだと思ったw
♡)え?
臣)お前の念。
♡)伝わったってこと?♡
臣)そうじゃなくてw
♡)えへへー♡
はぁ…無邪気だな、ほんと…。
臣)ありがと。
♡)うん♡
♡が念じてくれたことだし、
ちゃんと頑張ろう。
♡)臣くんは?
臣)何が?
♡)え?教えてくれるんじゃないの?
臣)ないしょー。
♡)えっ!嘘つきーー!!
臣)だって俺のなんて全然自分勝手な念だし。
♡)え?
臣)一個だけだし。
♡)え?
臣)だから内緒。
♡)…じゃあ…もっかい送って?
臣)え?
♡)はい♡
♡は俺の方を向いて、
ニコニコしながら目を閉じた。
臣)……///
なんだよこれ…
チューすんぞバカ!///
あ~あ…もう…
可愛い顔してさ…
はぁ…
くそーーー
早く俺のこと好きんなれ!!!
もう一回そう念じて
♡の頭をポンと叩くと、
♡がゆっくりと目を開けた。
♡)送った?
臣)送った。
♡)なんて?
臣)伝わってないんならいい。
♡)え!当てろってこと??
臣)当たんない。絶対。
♡)何それ!!
臣)さぁ?
♡)えーーー!!
結局教えてやんない俺に、
また少しほっぺを膨らませてる♡。
それからすぐ俺のマンションの前に着くと
慌ててストールを外そうとしたから
俺はそれを止めた。
臣)して帰っていいよ。
♡)え?
臣)寒いしょ?
♡)うん…、ほんとにいいの?
臣)いいよ。
♡)……えへへ…///
ありがとう♡♡
♡は嬉しそうにそう言うと、
俺のストールにまた顔を埋めて
にっこり笑った。
可愛い…///
くそーー……
♡)じゃあね?
臣)送ってくれてありがと。
♡)うん♡
臣)って、女にこんなこと言うの初めてだわ。
変なカンジw
♡)あははは、そうだよねw
いつも送ってくれてありがと♡
臣)うん。
♡)じゃあ…お仕事頑張ってね♡
臣)ん。お前も。
名残惜しい別れ際。
最後に♡は…
♡)これ、臣くんの匂いするんだ♡
……えへへ♡
嬉しそうにそう言って、
俺のストールをぎゅっと握った。
その笑顔が…めちゃめちゃ可愛くて…
臣)……///
♡)じゃあ…えっと…
臣くんはおやすみなさいだよね?
おやすみ…なさい♡
臣)…おや…すみ。
俺の返事にニコッと笑って
そのまま振り返って歩き出した背中。
臣)…っ
俺は思わず追いかけて…
♡の肩を掴んだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
♡)えっ?!!
後ろから肩を掴まれて
びっくりして振り返ると…
ストールを握ってた手を、
臣くんに掴まれた。
♡)ど、どうしたの??
臣)…っ
臣くんは…
真剣な顔で、私を見つめてて…
臣)…俺のこと…、早く好きんなれ!!
♡)…っ
臣)俺の念。
♡)……え?////
そう言って、
もう片方の手を、私の頭の後ろに添えて…
おでことおでこをくっつけてきた。
♡)?!!///
私はぎゅっと目を瞑ったまま、
固まって…動けなくて…
しばらくすると、
冬の風が通り抜けて、
二人の間に距離が空いたことがわかった。
♡)////
わけがわからなくて、ポーッとしてると…
臣)…おやすみ。
臣くんはそのまま
自分のマンションへと走っていった。
♡)////
えっと…
えっと…
……え???
いろいろパニックで…
その場に固まったままの私。
えっと…
今のは…
……何??
♡)////
お、お、おでこが…
コツンって…重なって…
か、か、顔が…
すごく近かった…!!
びっくりした!!///
握られた手も…
頭に添えられた手も…
その感触がまだ全部残ってて…
♡)////
心臓がバクバクして、おかしくなりそう。
「…俺のこと…、早く好きんなれ!!」
♡)…っ
さっきのが…
臣くんの…念だった…の?///
おでこをくっつけたのは…
念を…飛ばしてたのかな…?
♡)////
なんだかおでこがまだ熱い気がして、
思わず手のひらで触れた。
とくん…
とくん…
早く…好きになれって…
えっと…
♡)////
なんかもう…顔から火が出そう…///
風は冷たいのに、ほっぺが熱くて…
♡)ううう…///
ぎゅっと握ったストールからは
臣くんの匂い。
私はそこにまた顔を埋めて、
ゆっくりと深呼吸をして歩き出した。
ドキドキ…
ドキドキ…
♡)……///
……ダメだ。
やっぱり心臓がおかしくなりそう!///
臣くんに触られた感触が…
全然消えなくて…
♡)はっ…
そういえばさっきは屋上で…
一瞬、ぎゅっもされたんだった…
わ…わ…
わーーーんっ////
♡)ううう…///
あの時…私…
久々に会えたのがすごく嬉しくて…
ぎゅってしたいって思ったのに…
どうして逃げちゃったんだろう。
臣くんといると素直な気持ちになれるのに
そーゆーことになると
全然素直になれない。
いつも逃げたり…
嫌だって言っちゃったり…
全然可愛くないよね…
恥ずかしくて素直になれないなんて…
こんな自分…やだ…っ
やだけど…
でも…
だって…
ドキドキして
死んじゃいそうなんだもん…っ!!///
♡)……はっ!
ってゆーか!!
もしかして…
今の帰り道って…
好きって告白するチャンスだったんじゃ…
♡)…っ
……でも…、
やっぱり緊張しちゃう。
臣くんに
「好き」って言うんだよね?
♡)……///
だって…
臣くんは今…
仕事がすっごく忙しくて
大変な時なのに…
そんな時にこんな気持ち伝えて
迷惑じゃないのかな…
…って、これって
自分に言い訳してるだけかな?私…
♡)ううう…
早く好きになれって…
言ってくれた。
ほんとは…
好きなのに…
もうこんなに、大好きなのに…
どうやって伝えたらいいのかな…
♡)……はぁ///
もう一度きゅっと握ったストールからは
やっぱり臣くんの匂い。
ふわふわあったかくて…
なんだか…
臣くんに…ギュッてされてるみたい。
ー続ー
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