【19】バレンタインのやきもち

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今日はバレンタイン。


22時を過ぎても
♡はまだ帰って来なくて…


土曜は大体早いはずなのに珍しいな…
と思ってたら丁度、
玄関から♡の声が聞こえた。


♡)た、ただいま~!
臣)おかえりー


リビングのドアを開けて
玄関に目をやると

♡の顔が見えない。


臣)え?
♡)あ、あの…えっと


俺は玄関まで迎えに行った。


臣)な、何これ???
♡)あのね…もらったの。
臣)は???誰に???
♡)会社…の、人。


抱えるのが精一杯の
大きなバラの花束を持って

♡は困ったように答えた。


♡)ちょ、ちょっと
  持っててくれる?


そう言って花束を俺に渡すと
♡は他の荷物を
リビングまで運んだ。


す、すげーな。
なんだこれ。

こんな花束、見たことねぇ。


臣)今日土曜なのに遅かったのな?
  お疲れ。
♡)ありがとう。
  今日全然仕事進まなくって…
  遅くなっちゃった。


♡がキッチンで花瓶を探してる。

棚からそれを見つけると…


♡)あの…
  お花に罪はないので…
  飾っても良いでしょうか…?


遠慮がちに聞いてきた。


臣)全然いーけど…
♡)…ありがとう。


わざわざ聞いてくるってことは…


臣)男にもらったってこと??
♡)う、うん…
臣)なんで??
♡)バレンタインだからって言ってた…
臣)バレンタインなのに
  男から花束??
♡)うん…


何それ。


♡)海外では男性から女性に
  贈るものだから…って言ってたけど…


へぇ〜〜〜〜


♡)いらないって断ったんだけど、
  ぽんって押しつけられて
  いなくなっちゃったの。
臣)ふーん…
  お前に気ぃあるってこと?
♡)すっごい前にもう断ってるよ!!
臣)そんなに前に断ってんのに
  まだ好きってこと??
♡)え…あ…、そっか。
  そうなのかな?わかんないけど…


絶対そうじゃん!
そんなしつこい男がいんのかよ…


確かに花に罪はねぇんだけど…
他の男にもらった花とか…
正直いい気はしない。


でもそんな小さい男だとも
思われたくねぇし。


臣)そんでその紙袋は…?
♡)あっ、これはね…
  もらったチョコだよー。
臣)チョコももらったの?!!
♡)あ、これはお花の人じゃないよ!
  ほ、ほら、バレンタインだから…
  みんなでチョコとか交換するでしょ?
臣)ああ、女同士で?
♡)うー…ん。
臣)ちげーのかよ!w
♡)女の子たちでも交換したけど…
臣)見して。


♡の手から紙袋を奪って
中身を確認すると…


明らかに女子で
交換したっぽいやつもあるけど…


臣)これとかこれ…とか…、男でしょ?
♡)なんでわかるのー??
臣)いかにもガチだろ、これ!
♡)なんか立派だったから断ったんだけど、
  義理チョコくらい受け取って下さい
  って言われて…
臣)「義理」ねぇー…


そう言って油断させて
渡してきたパターンか。


つーか何なんだよこの数。


仕事進まなかったって…
何回も呼び出されてたってことか?

あ~〜〜
なんかめちゃめちゃ気になってきた。


臣)ってかお前の会社なんなんだよ!w
  こんなに男も
  バレンタインやんのかよ!
♡)ね…、
臣)このガチな奴らって
  お前が彼氏いるって知らねーの?
♡)知ってるよ!
  みんな知ってるもん!
臣)みんな??
♡)うん!
  臣くんと付き合った次の日にね、
  会社でKちゃんに話してたら、
  後輩の子に聞こえちゃってて
  「えー!先輩彼氏出来たんですかー?!」
  ってオフィス中に響くくらいの
  大きい声で言われたの。
  だからみんな知ってる…
臣)ほわー
  すげー後輩だな…
♡)うん。
  すごく恥ずかしかった//
臣)はははっw
♡)でもね!
  それで知れ渡ったのもあるけど、
  その後も聞かれたらちゃんと
  彼氏います!!って
  言ってるんだよ!!
臣)……


別に♡を責めてるつもりは
ないんだけど…

彼氏いるって言ってんのに
それでもこんなプレゼントしてくる男どもが
わらわらいるってことだろ…?


俺への宣戦布告か?


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


♡)ちゃ、ちゃんと断ってるよ?!
臣)はいはいw
♡)ほんとだよ!?
臣)わーかったってw


ど、どうしよう…
変に思われてないかな…

チャラい子だって思われてたら
どうしよう!!


オロオロしてると
臣くんが頭をポンポンしてくれた。


♡)臣くんは…?
臣)え?
♡)今日もチョコもらった?
臣)ああ、うん。もらったー。
  そこに置いてある。


臣くんが指差した方を見ると
紙袋が3つもあった。


♡)えっ!
  あんなにもらったの?
臣)うん。


中を見てみると…


♡)わぁ!手作りっぽいのもあるよ?
臣)うん。
  E-girlsの子たち、手作り多かった。
♡)えーっ!すごい!
  みんな忙しいのにちゃんと作るんだねー。
臣)な?すごいよなー。
♡)私達なんてまとめ買いなのに…
臣)ああ、会社?
♡)うん。でもE-girls見習って
  ちゃんとあげた方が良かったかな…
臣)いや!いいと思う!
♡)え?
臣)まとめ買いで十分!
♡)そっかな…?
臣)勘違いする奴とかいたら困るし!
♡)そ、そっか…
臣)そう!


強い口調で言い切る臣くん。


あれ…?

もしかして…


♡)……


ヤキモチ…
妬いてくれてるのかな…?


♡)あ、でも…
  会社で二人だけは手作りあげたよー。
臣)は?!なんで!?
♡)いつもお世話になってるから…
臣)手作りじゃなくていいじゃん!!
♡)でもほんとにお世話に
  なってるんだもん。
  課長と社長はちょっと特別なのー!
臣)え、課長と社長?
♡)うん。
臣)ふーん…、、
  ならいんじゃない。
♡)……


やっぱりヤキモチ…なのかな?


なんか臣くんが可愛くて
私が少し笑うと

すぐに気付かれて
ほっぺをむにってされた。


♡)なぁに?
臣)別に?


口を尖がらせてる。


臣)あ~~~も~~~っ!


そう言うと臣くんは
ぎゅーって私を抱きしめた。


♡)わっ、わっ、どしたの?//
臣)……
♡)臣くん…?
臣)どうもしねぇよ。


しばらくして
私が臣くんから離れようとすると

力強く引き戻された。


臣)誰がもういいって言った?
♡)え…っ
臣)まだ足んねぇし…


そう言ってまた
ぎゅーってする臣くん。


♡)お、臣くん…
臣)……

♡)苦しい…//
臣)……

♡)ド、ドキドキする…//
臣)……

♡)ねぇ…//
臣)……

♡)臣くんってば…

臣)だぁ~っ!もう!
  そんな可愛い声出すなっ!

♡)えっ!!

臣)ばーか!//


おでこに弾けたキス。


♡)////


臣くんを見上げると
プイッと視線を逸らした。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


臣)でもあれだな。
♡)え?
臣)こんだけチョコやらなんやらあったら
  しばらくうちは食に困んねぇな。
♡)あははっ そーだねw
  こんなに食べきれるかな…


お前がもらってきたチョコなんて
全部俺が食ってやるからなっ!


臣)あ~あ、でもほんと…
♡)?
臣)まさか自分の彼女が
  こんなにチョコ貰ってくるとは
  思わなかったなー


予想外すぎるわ。


臣)その、海外方式では
  逆にホワイトデーに女性が返すの?
♡)ううん。返さないんだって。
  女性は貰うだけみたい。
臣)ふーん、そーなんだ…
♡)でも日本だし…
  返した方がいいのかな?
  どうしよう…
臣)いらねーだろ!
♡)いいかな…
臣)絶対いらねぇ!!


俺が思わず強く言うと
♡がまたくすくす笑った。


臣)…っ//


くそー!

俺がヤキモチ妬いてんのなんて
お見通しかよ…っ




ーendー

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