仕事も終わって
マネージャーに家の前まで送ってもらったけど
急にコーヒーが飲みたくなった俺は
すぐ近くのコンビニまで歩いた。
男)お前、行けって!
男)いや、やっぱ無理だ、どうしよう。
店の前で男3人が
すったもんだやってる。
男)話かけなきゃ始まんねぇって!
男)そうだよ!俺行ってくるか?
男)いや、待って、いや…でも…
男)早くしねーとまたタイミング逃すぞ!
男)だよな…よし…あ~でも…
なんだ?
この辺の高校生?いや大学生か…。
「いらっしゃいませ〜」
俺はそのまま店に入った。
甘い缶コーヒーを一本だけ取って
レジに並びながら、ふと外を見ると
さっきの男たちの前に
女の子が一人。
暗くてよく見えないけど
多分女の子。
男)あの、ずっと好きでした!!
連絡先教えてもらえませんか?
ドアが開いて外に出た俺の耳に
飛び込んできたのは
周りなんて見えていなそうな
男の告白。
青春だねぇ〜♪
こんなとこですげーな…
頑張れ男子。
女)すみません…私、
お付き合いしている人が
いるので…。
男)じゃあ友達からでもいいです!!
本当に好きなんです。
お願いします!!
すげ~。
彼氏がいるって聞いても諦めねぇ。
よっぽど好きなんだな…
そんないい女なんか?
と、俺は興味本位で
女の顔が見える位置まで移動する。
臣)!!!!
は?!!!
♡だし!!!!!!
びっくりしすぎて二度見したわ!
頑張れとか
応援してる場合じゃなかった、俺。
♡)ごめんなさい。
男)どうしてもダメですか?
♡)あの…
でもなんか…おもしれ~かも…
缶コーヒーを開けて
ちょっと様子を観察。
男)こいつ、本当にイイ奴なんで。
男)連絡先だけでも
教えてやってくれませんか?
側にいた友達も、助太刀し始める。
♡)いや…でも…
男)俺、こんなに誰かに
心惹かれたの…初めてなんです。
♡)えっ…でも私のこと何も…
名前も知らないですよね?
ははっ!w
冷静なツッコミしてるし!
男)そうですけど…
いつも駅で見かけてて…
ずっと気になってて…
♡)ごめんなさい。
私、彼氏の事が本当に好きなんです。
臣)……
その彼氏って…
俺だよな?
♡)彼氏以外…
絶対考えられないんで
ごめんなさいっ!
♡が勢いよく頭を下げて
そのまま言い逃げしようとすると
男が♡の腕を掴んで引き止めた。
男)待って下さいっ…俺…俺…!!
あ、やべーな。
なんかヒートアップしてる。
つーか触るな!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
もうなんなの~??
何回も断ってるのにしつこいよぉ!!
やだ~!!誰か助けて…泣
♡)離してください!
私が掴まれた腕を
ふりほどこうとした瞬間、
いきなり横から片手で抱きしめられた。
えっ??
この匂い…
臣)はいはい、終わり~。
この声…
臣)ごめんね?
これ俺のなんだ。
♡)臣くん?!!
振り返るとやっぱり臣くんで…
びっくりした!!
なんでいるの??
え?
え???
男の子達もびっくりしてる。
臣)いくら好きでも
手は出しちゃダメっしょー。
じゃーね。
男の子たちにそう言うと
臣くんは私の肩をそのまま抱き寄せて
歩き始めた。
♡)え?えっ!?なんで…
臣)うっせ。行くぞ。
♡)な、なんでいるの???
臣)コーヒー買ってた。
♡)え!えっ?!
いつからいたの!??
臣)「ずっと好きでした。」から。
♡)え!!
そんな前から?!
♡)何…してたの?
臣)何って…
コーヒー飲みながら見てた。
♡)えええ!!!
臣)♡さん、モテモテですね~
♡)ちょっと~信じらんない!
見てたんならもっと早く来てよ~!
臣)なんか面白そうだったからw
♡)何それっ!!//
臣)ちゃんと助けてやったろ。
むぅぅ…
気付いてたのに見てたとか…
臣くんの意地悪…//
♡)もぉ~きらいっ
臣)ふーん?
♡)なに…
ニヤッと笑って
顔を近付けてくる臣くん。
臣)俺以外考えらんないんでしょ?♪
♡)~~っ!!!//
聞いてたんだ!
♡)盗み聞きとかずるいもんっ!!
臣)あはははっw
今度は無邪気な顔して笑い出した。
ほんとずるい…
そんな笑顔見たら
なんだって許しちゃうもん…
ばかぁ…//
臣)でも…
♡)え?
臣)…お前さ~、結構あんの?
こーゆーこと。
♡)…え。な、ないよっ!
臣)ほんとに?
♡)…た…まに…知らない人に
声かけられるけど…
臣)今みたいに?
♡)うーん…
あんなしつこくはないけど…
たまに変な人もいる…かも。
臣)は?マジかよ…
さっきまで
ふざけて笑ってた臣くんが
急に真剣な顔になった。
臣)…はぁ~~~~~
お前さ…
♡)うん。
臣)変な奴いたら
とりあえず逃げろ。
近付くな。
♡)近付かないよっ!!
臣)そんで何かされそうになったら
頭突きするか急所蹴って逃げろ。
♡)えっ?!!!
きゅ、急所?!!
臣)そ。そしたら絶対
男は動けねぇから。
♡)そんなことしたら捕まらない…?
臣)なんでだよ!w
正当防衛だろ!
♡)そ、そうかな…
わかった。
よっぽど変な人いたらそうする…!
臣)あ~~~
心配だな、もう。
♡)その割に見てたでしょっ!w
臣)いや…だって…
そんな変な奴らじゃ
なさそうだったし…
♡)むー
臣)いや、でもあれだよな。
見た目だけじゃわかんねぇよな。
いつ何されっかわかんねぇし…
♡)そだね…。
臣)ほんと気ぃつけて…。
♡)わかった。
臣)なんかされそうになったら、蹴んだぞ!
♡)あはははっw
何かされそうになったらって…
それ臣くんにも使えるの?
臣)は??
♡)臣くんに何か
されそうになった時…
臣)なんでだよ!あほ!w
お前は俺を
再起不能にする気かっ!!w
♡)あはははっ!!w
ごめん!うそうそ~!!
臣くんがこのやろ~って
片手で羽交い締めにしてきた。
♡)ごめんなさい~ww
離して~!!
臣)ったく。
臣くんは腕を放すと
そのまま手を繋いでくれた。
臣)でもさ…ほんと。
男にはぜってー力じゃ
敵わねんだから。
心配…。
繋いでる手が
ぎゅっと、強くなる。
臣)俺がいたら助けてやれっけど
いつも一緒に…
いてやれるわけじゃねーし…
♡)うん…
…大丈夫だよ、ありがとう♡
そんな心配そうな顔、しないで。
♡)大丈夫だよっ!
あ、そーだ!
私…、空手でも習おっかな!
臣)空手ぇ?!
♡)うんっ♪
臣)はははっ 似合わねぇw
♡)EXILEみたいに
ムキムキになっちゃうよ♪
臣)そんなお前やーだー
♡)あはははっw
きゅっと握り返すと
あったかい臣くんの手。
あったかい臣くんの温度…。
風はまだ冷たい、冬の帰り道。
ーendー
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