今日は杏仁豆腐とゼリー。
♧にチューしてもらうために
俺は毎回差し入れを持っていく。
へへへ…///
まぁチューが楽しみなのはもちろん、
実はもう一つ…
♧)あ、今市さん♡
隆)ういーーっすw
今日はねぇ…、ハイッ。
袋からそれを取り出して
♧の前に並べると…
♧)……こっち♡
そう、これ。
小さな手をちょこんと置いて
可愛く選ぶこの姿が
すげぇお気に入り。
♧)ふふっ…いつもありがとうございます♡
隆)いえいえ。
俺こそいつも
ありがとうございます///
♧)あー、やっぱりゼリーも美味しそう…
隆)ん?
隣に座ってる俺のゼリーを
じーっと見てる♧。
隆)欲張り〜〜〜w
♧)えーーー
隆)それ、一口くれたらいいよ?
♧)え?
隆)あーーん♡
なんちゃって、
これはさすがに…
♧)はいっ♡
隆)!!!
口の中に広がる、杏仁豆腐。
隆)////
あーんしてくれちゃった。
これって…間接キス…
……って、俺は中学生かよ!
だっせ…///
♧)あーーん♡
隆)えっ///
今度は自分が可愛く口を開けて待ってる。
俺に、食べさせろと??
隆)……ハイ、///
ゼリーを一口、小さな口に運ぶと
ぱくっ♡
♧)ふふっ、美味しーーー♡
隆)////
ああ、もう…ほんと可愛い///
最近の俺は、毎日じゃないけど
こうしてここで♧と過ごす時間が
すごく癒しになってて、
幸せで仕方ない。
わかってるよ?
♧に好きな人がいるのは。
でもそれは次会った時に告白して
フラれる予定だからいいんだ。
気にしない。
俺はそんな♧を全力で包んでやるって
決めてるから。
♧)今市さん、あーーん♡
俺の腕をトントン叩いて
もう一口よこせと言わんばかりに
可愛く口を開けてる彼女。
隆)////
チューするぞ、ばかやろーー!!
隆)……ほら//
♧)んーーー♡
ふふっ、美味しーーー♡
隆)……///
この無邪気さ、心配になるんだけど…
ほんとに、男友達…俺だけだよね?
こんなことしてるの、俺だけだよね?
ダメだよ、他の男とあーんとかしちゃ…
そんな可愛いことしたら
即行で取って食われるからな?わかってる?
♧)あ、そーだーー
隆)ん?
♧)ずっと言おうと思ってたんですけど…
隆)…っ
え、何?
ドキドキドキ……
♧)いつも私の恋の相談、
聞いてもらってるから…
今市さんのも聞きますよーー♡
隆)はい??
♧)交際経験ゼロの私じゃ
役に立たないかもですけど…
なんでも話してくださいっ♡
隆)……
ええと…
俺は一体どうしたら…
♧)好きな人はいるんですかー?
隆)ええと、ハイ。
♧)わぁ!どんな人ですか?
いつから好きなんですかー?
隆)……
なんて答えようか俺が迷ってると…
♧)ん…?あれ……
隆)え?
♧)今市さん、好きな人いるんですか?
え、…それなのに…
私、ほっぺにキスしたら
ダメじゃないですか?
隆)…っ
ほんとだ!!!
他に好きな女がいるくせに
毎回ほっぺにチューを強要してるなんて
俺、ただのチャラ男じゃん!!
隆)う、うそ!!!!
♧)え?
隆)好きな人がいるのは嘘。
♧)えーーー!!
なんで嘘なんかつくんですかー!もうっ
隆)いや…えっと…
ほら、♧に好きな人がいるのに
俺だけいないのも、なんか悔しくて…
意味のわからない言い訳。
♧)ふふっ、恋愛は勝負じゃないですよー?
隆)……
わかってます。
誤魔化せて一安心。
てゆーかさ、
俺に好きな人がいたら俺にチューするのを
ためらうくせに
自分は好きな人いるのに
俺にチューしてくれんだね?
そこの矛盾に全く気付いてなさそうだから
絶っっ対、教えないけど。
♧)じゃあもし好きな人ができたら
教えてくださいねー♡
隆)……うん。
♧)私、今市さんがいっぱいお話聞いてくれて
本当に感謝してるんです。
隆)……
♧)だから私も、今市さんの力に
なりたいです。
隆)……
♧)今市さん、だーいすき♡
隆)////
はぁ、ほんともう…
いつも深い意味もなく
言ってくれるよね、それ。
俺がどんだけ嬉しいか、全然わかってない。
隆)ねぇ…
♧)なんですかー?
デザートを食べ終えて
いつものように裁縫を始める♧。
隆)ちょっと気になったんだけどさ、
いつもここ来るじゃん?
♧)はい。
隆)今はあったかいからいいけど…
冬とかはどうしてるの?
♧)はっ!!!
♧が俺の顔をパッと見た。
♧)ほんとですね…どうしましょう。
隆)……
何が??
隆)寒い…、よね?
♧)はい。
隆)冬は来てなかったの?
♧)……はい。
私がここに来るようになったのは
春からなんで…
隆)あ、そうなんだ!
♧)はい。
確かに…
俺が一番最初に歌声に気付いたのも、
4月くらいだった。
隆)なんで春から…?
♧)……
隆)……
最初は…
夫婦仲が上手くいってなくて
ここに避難してるのかなんて勘違いも
したりしてたけど…
一人暮らしなんでしょ?
なんでこんなとこで裁縫してんの?
♧)言ったじゃないですかーー
川の流れる音が好きだって。
隆)……ああ、そっか。
そういえば言ってたか。
でも…
暗いのになーー
もっと明るいところで顔が見たいなーー
俺んちでやればいいのに。
すぐそこなんだし。
あ、でもそしたら川の音は聞こえないか。
窓開ければ聞こえるかな?
てゆーかうちに来たら
俺が三代目だってバレちゃうか。
バレないように色々片付ける?
てゆーかいい加減、話す?
本当のこと。
うーーーん……
まだ今じゃない気がする、うん。
♧)よし、完成♡
じゃあそろそろお片付けーー
隆)えっ!!もう?!早くない!?
すぐにこぼれた俺の本音に
彼女はふふっと笑って俺を見た。
♧)だって終わったんですもん。
隆)じゃあ喋ろうよ!
♧)……
♧は荷物をまとめてチャリのカゴに入れると
俺の隣に戻ってきた。
♧)甘えんぼさん…♡
隆)はー?!///
♧)ふふっ…♡
隆)////
なんだよそれ……
隆)今日のチューは?
♧)あ…っ
隆)まだしてもらってないもん。
♧)……ふふっ
じゃあ目、閉じてください。
隆)ん…、
……この瞬間は、いつもドキドキする。
チュッ…
ゆっくり目を開けると…
絶対恥ずかしそうにしてる
可愛い♧が視界に入って
それがまた、俺をニヤけさせる。
隆)なんか今日、短くなかった?
♧)えっ!長さなんてあるんですか?
隆)あるよーー
短かった気がするーー
♧)えーーー
隆)ね、もっかいして…
♧)……///
♧と向かい合わせに座り直して
その手を握った。
隆)ね、もっかい。
♧)もう……///
隆)いいじゃん…、して?
♧)……ん、
……チュッ
隆)へへへ♡
♧)……///
なんかさ、
こんなやりとりしてると
俺たちもう普通にカップルじゃない?
なんて思うんだけど…
側から見たら
夜に川辺でイチャつくただのカップルじゃん?
って思うんだけど…
だから…
今日はもうちょっとワガママ言ってもいい?
隆)ねぇ…
♧)なんですかー?
隆)……
♧の手を両手で握ったまま
少しだけクイッと、手前に引いた。
隆)…いつも…キスしてくれるじゃん?
♧)はい……
隆)いつも…♧がしてくれるから
今日は俺も、していい?
♧)……
俺の目の前で
たれ目の可愛い瞳がパチパチして…
♧)え?!!///
慌てたように俺から離れようとしたけど
握ってる手が、そうはさせない。
隆)ね、していい…?
♧)え、ちょっと待ってください…
それはよく…わからないです…
隆)うん。
わからなくていいから…
♧がパニックなうちに…しちゃっていい?
♧)え、え、えっ///
少しずつ、近付いて…
コツン。
ぶつかった、おでことおでこ。
お互いの息が、触れ合いそうなほど
近い距離。
緊張してるのか、♧の手に力が入ってる。
大丈夫。
俺も同じくらい、ドキドキしてるから。
ああ…ほんとは…
口にキスがしたい。
だってこんな距離、してもおかしくない。
隆)////
心臓がバクバクいってて
キスしたくて仕方ないって言ってるけど…
そんなことして
避けられても嫌われても、意味がないから
今はほっぺで我慢。
♧の右ほっぺを手のひらで包んで
左ほっぺにそっと、口付けた。
チュッ
柔らかい肌から、そっと唇を離すけど…
まだ右頬に触れてる手のひらが、
「もっと」って…
俺を掻き立てる。
こんな風に一度キスしたら…
愛しさがこみ上げてきて、ダメだな。
抑えられなくなりそ…///
グッとこらえて距離を開けると
ポーーッとしてる♧の目が潤んでるのが
暗くてもわかる。
隆)どうした…?w
そっと頬を撫でると…
♧)……///
何も喋らなくて…
それをいいことに、
俺はずっと♧のほっぺをなでなで。
可愛いなーー
柔らかいなーー
食べちゃいたいなーー
もっかいチューしたいなーー
……てゆーかいつまでそんな顔で
俺のこと見てんの?///
隆)♧……?
♧)…っ///
名前を呼ぶと、ぴくんと反応して
頬を撫でてる俺の手を、きゅっと掴んだ。
♧)どうして…キス…したの?///
隆)////
え、このタイミングで
タメ口になんの?
ずるくない?///
♧)初めて…男の人に…キスされた…///
隆)////
いや、ほっぺだよ??
そんなぽわんぽわんされたら
俺までめっちゃ照れんじゃん!
♧)どう…して…
隆)…っ
……また騙していい?
ごめんね?
隆)男が女にご馳走したら、
女の子はキスしてくれるでしょ?
♧)…うん……
隆)そのキスが何度かたまったら、
そのお返しに男からもキスするの。
♧)……
隆)知らなかった?
♧)……
そんなわけあるかよって
心の中で自己ツッコミするけど…
♧)知らなかった…///
そう言って恥ずかしそうに俯く彼女が
可愛すぎて…
隆)じゃあ、覚えてね。
俺は我慢できずに、♧を抱きしめた。
♧)わぁ…///
隆)……///
はぁ…、離したくない。
ドキドキ…ドキドキ…
♧)……あったかい…///
隆)うん…、///
今、♧を抱きしめてることが…
今、♧が俺の腕の中にいることが…
嬉しくて、愛しくて。
この鼓動が…
♧に聞こえませんように。
そう願いながら
ただ、目を閉じて
♧のぬくもりを確かめる。
……しばらくすると、♧が静かに呟いた。
♧)私たち、本当に仲良しですね///
隆)……
あーあ、敬語に戻っちゃった。
隆)そうだよ?何か困る?
♧)困らないですw
隆)でしょ?
♧)ふふっ…
隆)……
そろそろ離した方がいいかな…
でもまだ抱きしめてたいな…
俺がそんな葛藤をしてると
♧が初めて俺をキュッと
抱きしめ返してくれて…
♧)今市さん…だいすき…♡
隆)////
爆弾、二連弾に
また天に舞い上がりそうな俺。
こんな…
抱きしめ返してくれて…
「大好き」って…
俺、期待するよ?
何度も言うけど。
……
♧)じゃあ今市さん、おやすみなさい♡
隆)うん、…おやすみ///
今日も俺はメロメロにされて
♧の背中が見えなくなるまで見送った。
隆)……はぁ///
すごくあったかい。
胸が…ポカポカする。
やっぱり…
そういう成分、何か出してるでしょ?
俺を癒して、ふにゃんふにゃんにしちゃう
何か。
ねぇ…
ほんとに好きだからさ、
絶対俺のこと、好きにさせるからさ、
覚悟しといてね?
ーendー
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