いきなり…臣くんが…
なんだかセクシーオーラ全開で近付いてきて
私をメロメロにさせるんだけど…
何?!
何なの!??///
優しく微笑みながら
私の首筋をなでなでしてる…
♡)////
こんな甘い視線に…
なんだか溶かされそう……
女)はいっ、もらってきたよー!
♡)はっ!!
そうだった!!
慌てて我に返ると…
女)……えっ…
女)…っ
みんなが臣くんを見て固まった。
女)うそ…っ
女)え、本物…?
♡)…っ
私がおろおろしてると
臣くんはニッコリ笑って
人差し指を唇に当てた。
臣)シーーー♡
女)…っ///
女)……(コクコク)///
♡)……
この臣くんは一体誰。
なんでこんな王子様みたいなの。
……むぅぅぅぅっ
周りが少しザワザワし始めて…
席次表を見た人たちが
臣くんの名前を見つけたんだって
その様子でわかる。
臣)お、扉開いたよ。中入る?
♡)…っ
臣くんは何も気にせず
私の腰にまた手を回してきて…
女)え、ちょ、ちょ、ちょ!!///
友達が私の手を掴んで引き止めた。
女)付き合ってるの?!///
女)そうなの!?///
♡)…えっと…っ
私が困ってると
また臣くんの王子様スマイルが炸裂した。
臣)内緒にしてねー♡
女)は、は、はいっ!!///
女)もちろん!!///
臣)ありがとーー♡
そんな臣くんに連れられて
私は会場の中へ。
席次表を見ると
私たちのテーブルは
私と臣くん、Kちゃんとポール、
そして凪ちゃんと賢司くん。
他のテーブルは8人だけど
私たちは6人みたい。
席に着くと
臣くんが隣から脇をツンツンしてきた。
♡)なぁにっ
臣)なんでおこなの?
♡)…怒っては…ないもん…
臣)じゃあどうした?w
♡)……///
ツンツンしてくる指を
むにっと挟んだ。
♡)臣くんってば…
王子様みたいなんだもん!
臣)は?!
臣くんが目を丸くした。
♡)あんな臣くん…
見たことないもん…っ
臣)……
私がほっぺを膨らませると
今度はほっぺをツンツンされた。
臣)お前の友達、みんな可愛いからさー
♡)!!!
私が臣くんの方を向くと
臣)ぶくくくw
うーそ、冗談w
そう言ってクスクス笑ってる。
むぅぅぅ!!
♡)いっつもああやって
女の子たちをメロメロにしてるんだ。
臣)してませんw
♡)してる!
臣)してないってw
♡)……
臣くんは
自分がどれだけカッコイイか
わかってないんだ。
プンプンなんだからっ
みんな可愛いとか言って…
可愛い子には王子様になるんだっ
臣)♡…?
♡)…ぷいっ
私がそっぽを向くと…
臣)♡……、
甘い声で名前を呼ばれた。
テーブルの下で手を引かれて
臣くんの方を向くと…
臣)お前が一番可愛いよ?
♡)…っ
そんな甘い言葉と
優しい微笑みが待ってた。
♡)////
臣くんって…
こんなにずるい人だったっけ…///
それとも今日は
私がキュンキュンしすぎなのかな。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
自分が陰で何人の男に狙われてるか
全然気付きもしないで
俺がちょっと♡の友達に優しくしたら
可愛く拗ねてるんですけど。
何なの俺の彼女。
可愛すぎない?
だってさ、
他所で喋られたりバラされたりしたら
困るじゃん?
まぁ♡の友達だから
そんなことしないと思うけど…
念のため。
愛想よくしとかなきゃじゃん?
男)♡〜!賢司〜〜!!!
女)わぁ!!久しぶり〜〜!!
賢)おおお!!
♡)きゃーー!みんなーー♡
どうやら昔のバイト仲間らしき人たちが
集まってきた。
みんなあの店で働いてたのかな?
すげぇ仲良さそう。
男)あ、もしかして…
賢)ああ、うん。
賢司が凪ちゃんを手招きして
紹介した。
賢)凪です。俺のスイートハニー。
女)ぶっww
男)スイートハニーね!w
凪)は、初めまして///
男)お前よくこんな彼女見つけたな!
女)可愛い〜〜〜♡
賢)ふふんっw
男)ドヤんなしw
♡)あはははっw
女)挙式、10月だよね?
賢)うん。来月招待状送るから。
男)楽しみにしてるわ。
賢)おう!
凪)よろしくお願いします♡
臣)……
そっか、もう来月招待状来んのか。
なんかはえーな。
女)あ!!薬指に指輪してる!!
♡)ひゃっ!
男)おわ!マジだ!お前も結婚?!
♡)えっと…///
臣)……
みんなの視線が俺に向いた。
俺も挨拶した方がいいかな?
椅子から立ち上がって
♡の側まで行った。
臣)♡がいつもお世話になってます。
ニッコリ笑って挨拶すると
少し引き気味の皆さん。
男)チーフからチラッと聞いてたけど…
女)ガチだったんだ…///
臣)ニコッ♡
男)///
女)///
俺はちゃーんと挨拶したのに
席についてからも拗ねてる♡。
今日の臣くんはニセモノだ、ずるい、とか
ぼそぼそ言ってるし。
K)お、あたしらここだね!
ポ)うん。
牧師先生と話してたみたいで
Kとポールが少し遅れて戻ってくると
♡がそれぞれを紹介した。
♡)あのね、臣くんの親友で
私とさくちゃんも仲良しの賢司くん!
K)ああ、名前は何度も。
賢)どうもーーw
♡)と、その彼女の凪ちゃん♡
二人は秋に結婚予定です♡
ポ)おおおお!
K)おめでと〜〜〜♡
凪)ありがとうございます//
♡)で、こちらは私の親友のKちゃん♡♡
あ、凪ちゃん同い年だからね♡
凪)あ!そうなんだ!
♡)と、その婚約者のポールです♡
二人も来年の春に結婚予定です♡
賢)あら!そちらも!
臣K)どこのおばさんだよw
凪)あはははw
賢)あ!なんか覚えてるかも!
K)へ?
賢)Kちゃんってさ、
一回店に食べに来たことない?
♡)あるよー!!覚えてるの?
賢)どれもこれもクソ高ぇとか
文句言ってなかった?w
K)言った!だってほんとに高ぇんだもん!
賢)なんか広臣みたいな女来たと思って
めっちゃウケたから覚えてるw
K)何それ!!w
臣)俺ら似てるからなーー
K)うん、確かに。
♡)あはははっ♡
ここが初対面ってのも
なんか不思議な感じだけど
それでもすぐ仲良くなれる感じが
なんかいいなーー
♡がKとポールと話してると
賢司と凪ちゃんが、俺に話しかけてきた。
賢)無事仲直りしたようで。
臣)…っ
賢)家出されてたんだろ?w
凪)あ、ごめんね、話しちゃった//
臣)いや…その節はご心配おかけしました。
あの時は本当に必死で
ひたすらみんなに連絡しまくったし…
賢)凪から聞いた時はびっくりしたわw
臣)ですよね……
賢)お前フラれんのかと思った。
臣)俺も思った。
賢)ぶっww
そんな弱ってたの?
臣)……
賢)俺に連絡しろよーー
臣)いや、もう…なんか…
それどころでもなかった。
賢)死んでたの?
臣)完全に死んでた。
賢)あはははっww
ほんと今だから笑えるけど…
あん時はマジでキツかったし…
凪)あの後、メールはもらったけど
ちゃんと仲直りできたんだよね?
臣)うん。
凪)良かったね♡
臣)うん、ありがとう。
ほんと心配かけてごめん。
凪)ううん!
賢)ま、捨てられないように頑張れよ〜〜
臣)……なんだよ。
結婚するからって余裕じゃん。
賢)はー?
余裕なんかありませんよーー
臣)え?
賢)結婚はゴールじゃねぇからな。
そこから新しく始まるんだし。
夫婦になったらなったで
二人で乗り越えてかなきゃなんねぇことも
色々出てくるんだよ。
臣)……
いきなり賢司が大人になってんだけど。
誰だよ。
臣)凪ちゃんはマリッジブルーとかに
なってないの?
賢)おい、変なこと聞くな!w
せめて俺がいない時に聞けw
凪)あはははw
なってないよーー♡
むしろその逆かな♡
臣)え?
凪)結婚する相手が賢司くんで良かったって
何度も実感してる。
賢)////
臣)……
照れたように口元を隠す賢司と
幸せそうに笑う凪ちゃん。
なんか…
前に結婚報告を聞いた時よりも
二人の絆がさらに深まってるように感じる。
臣)なんか…いいな……
賢)何がだよw
臣)……
結婚って…
きっとこういうことなのかな。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
式が始まって
みんなで乾杯して…
チラチラ隣を盗み見ると
相変わらずカッコイイ臣くん。
はぁ…///
結婚式だからみんな正装だし
賢司くんだってポールだって
みんなカッコイイんだけど…
どうして私の目にはこんなに
臣くんだけがキラキラ輝いて見えるんだろう。
凪)あ、みんなビール注ぎに行ってるー
K)なぬ!出遅れた!
あたし達も行こっ!!
♡)うんっ!!
みんなで席を立って
新郎新婦の元へ。
さ)あ!来た来たーーー♡
♡)写真撮ろ〜〜♡
さ)うんっ!!
みんなで後ろに並んで記念写真。
さっきウエディングドレスだったさくちゃんは
今度は和装スタイル。
ポ)さくちゃん、着物綺麗だね!
賢)似合ってる似合ってる!
K)この柄、めちゃくちゃかっけ〜〜!!
臣)すげぇな、これ!
凪)素敵〜〜〜!!
♡)さくちゃんすっごく可愛い♡
さ)へへー♡ありがとっ♡
旦)めちゃめちゃ褒められてるなw
さ)ふふんっ♡
♡)旦那さまもメロメロですか?♡
旦)えっ?!///
♡)可愛いさくちゃんに
メロメロですかー?♡
旦)…ああ…ええと…、ハイ///
♡)きゃーーー♡
臣)変なこと聞くなw
うちのが失礼しましたw
♡)なんでーー!
K)あはははっww
席に戻ると
美味しいお料理が次々運ばれてきて…
K)よっしゃ、そろそろ着替えてくるわ!
♡)おおっ!!
Kちゃんが余興のために
控え室に向かった。
臣)賢司たちは着替えないの?
賢)うん。俺らはこのまま踊る。
臣)お前ほんとに俺役なの?
賢)そうだよw
臣)あはははw
凪)賢司くん、家でもいっぱい練習してたよー
臣)おお、期待してるわ。
賢)凪ちゃん、ハードル上げるんじゃ
ありません。
♡)あはははっw
ポ)♡は臣広と歌うんだろ?
♡)そうだよっ♡
ポ)楽しみだね♡
♡)うんっ♡
賢)あ、お呼びかかった!
じゃあ行ってくるわ!!
凪)頑張ってねーー♡
ドキドキ見守ってると
しばらくして
ステージに集まるバイト仲間の男性陣。
ポ)ちょうど7人だね!
♡)ほんとだ!
「ええ〜それでは皆さん、お待たせしました。
新婦のご友人によります
今夜限定特別ステージをご覧ください。」
司会者の紹介で
「R.Y.U.S.E.I.」のイントロが流れると
会場の人たちがみんな、臣くんを見た。
臣)!!!
臣くんは慌てて手を横に振って
俺は出ませんアピール。
凪)あはははっw
♡)やっぱりみんな臣くんいるの
気づいてるんだ…
凪)そりゃそうだよー!w
チラチラ見てる人いっぱいいるよー!
K)本人いてこの音楽流れたら
そりゃみんな期待するわなw
♡)あ!Kちゃんお帰り!
AKBなKちゃんが帰ってきた♡
ポ)K!!可愛い〜〜〜〜♡
K)はいはい///
歌が始まると
ヴォーカル二人は口パクで合わせて
残り5人は完コピダンスを披露して
大盛り上がりの会場は
二番のサビになるとみんなでランニングマン。
臣)え、え、すげぇ…
みんなこんな踊れんの?!w
K)だって有名じゃん、このダンスw
凪)だよねーー♡
最後はもう臣くんも席を立って
私たちもみんなでランニングマン。
♡)あはははっw
K)楽しかった〜〜〜!w
臣)なんだこれ…w
ポ)ランニングマン難しいな…
K)うん、ポール下手くそだった。
ポ)ガーーン!!
凪)あはははっw
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
賢)どうだったよ、俺のR.Y.U.S.E.I.は。
臣)いや、素晴らしかったっす。
賢)だろ!ドヤ!
凪)あはははっw
♡)写真いっぱい撮ったよーー♡
臣)直己さん役の人とか
キレキレだったね。
賢)あいつ一番上手いから真ん中にした!
臣)なるほど…w
そんなこんなで
すぐ次の余興も始まって…
ポ)Kが可愛い!どうしよう///
制服姿でAKBを踊るKに
メロメロのポール。
さっきの新郎の職場仲間?
みたいな男たちも、大喜び。
パチパチパチパチ!!!!
大歓声の中、踊り終えたKが
テーブルに戻ってきた。
K)ふぅ。疲れたー。
♡)お疲れさまーー♡
凪)すごく上手だったよーー♡
K)ありがとーーw
賢)めっちゃ揃ってたなーー
♡)Kちゃんがみんなに
教えてあげたんだって♡
賢)へぇ!
臣)ああ、お前だけ2回目だもんなw
K)そうそうw
凪)あ、♡ちゃん達の会社の動画でしょ?
私もあれ見たよーー!
♡)えっ!///
ポ)僕も見たよ。
賢)俺も見た見た。
♡)はわわっ///
賢)AKBも良かったけど
三代目の方がカッコ良かった。
臣)……
やっぱりな。
イニミニの♡はほんとヤバイからな。
凪)閲覧数もすごかったよね。
臣)今どれくらいいってんの?
♡)えっと…どれくらいだろ?
K)確かこの間見たら
イニミニの方は100万はいってたよ。
♡臣)100万!???
思わず♡とハモった。
賢)すっげーーーー
ポ)僕だけで100回は見てるよw
K)あはははw
臣)……
俺ももう何回見たかわかんねぇけど…
「それでは、最後のステージになります。」
♡)あっ…
臣)お、出番か?
♡)うん!
スタッフが呼びに来て
俺と♡はステージへ。
「この時間は、撮影・録音・録画などの行為は
ご遠慮くださいますよう、お願い致します。
SNSなどへの投稿もおやめください。」
司会者のアナウンスで
ざわつき始める会場。
♡)ドキドキしてきた///
臣)俺も…w
「この場にいらっしゃる皆さまだけで
この場限りで、お楽しみいただけたら
幸いでございます。
どうぞご理解のほど、
よろしくお願い申し上げます。」
臣)……
なんかこんなアナウンスしてもらって
申し訳ないけど…
あ、さくちゃんがこっち見てニコッと笑った。
旦那さんも会釈してくれて…
♡)どうしよう…
緊張してきた!!///
♡が俺のジャケットを小さく掴むから
その手をキュッと握った。
臣)昨日上手に弾けてたじゃん。
♡)…っ
臣)お前なら大丈夫。
♡)……うん…
臣)俺もいるんだし。
♡)そっか…一人じゃないもんね。
臣)そ!
とか言いつつ、俺も地味に緊張してんだけど。
♡)じゃあ二人で一緒に楽しもうね♡
臣)うん。こんな機会ないしな。
♡)うんっ♡
いつもの笑顔に戻った♡は
ニッコリ笑って、ピアノの前に静かに座った。
俺はピアノの横に用意された椅子に座る。
ふぅ……
ドキドキドキ。
LIVE並みに緊張する。
ポロロロン♪♫〜
♡がピアノを鳴らして、深呼吸をした。
目と目を合わせると
ニッコリ微笑んでくれて
気持ちが和らいだ。
視線で合図を送って♡が頷いて
ピアノが曲を奏で始めると
会場の空気が、一瞬で変わった。
〜〜♫♪ 〜♬♬〜 ♪〜
目を閉じて、意識を集中。
♡のピアノに優しく声を乗せる。
臣)〜♪さっきまで泣いてた君が
今 隣で笑ってる♪〜
ワンフレーズ歌って目を開けると
♡がピアノを弾きながら
俺を見て微笑んでくれてて
その優しい表情に、
俺も自然と笑顔になった。
臣)〜♪少し先に待ってた この未来に
たどり着けて良かった♪〜
♡)〜♪君を
♡が歌い始めたその瞬間に、
♡の澄んだ歌声が
一瞬で会場に広がって
聴いてる人たちが息を飲んだのがわかった。
その感触に、俺まで興奮して
鳥肌が立つ。
♡)〜♪傷つけたくない
この言葉に逃げていた♪〜
弾きながら歌うその姿は
こんな近くで見ていても
俺も見とれてしまうほど。
だって俺は…
何度も動画は見たけど
こうしてステージの上で生で歌う♡は
今日初めて見るんだ。
♡)〜♪本当は誰より 自分が一番
傷つくのが怖くて♪〜
もう一度、視線が重なった。
♡臣)〜♪今夜 孤独と自由を羽にして
あなたにあいにゆく♪〜
ああ…すげぇ…
こんな高揚感、久々かも…
♡の声と俺の声が
本当に綺麗に重なって
歌っててこんなに気持ち良い。
♡臣)〜♪壊れそうな 心の止まり木は
あなたと架けた願い♪〜
1番を歌い終えて
俺は今度は高砂の方を向いて
2番を歌い始めた。
さくちゃんはボロボロ泣いてて
旦那さんはすごく真剣に聴いてくれてて…
2番が終わって
♡の方を振り返ると
♡はニッコリ笑って、その手を止めた。
そう、ここからはアカペラって
二人で決めてて…
♡がマイクを自分の手に取った。
視線を合わせて、息を吸い込む。
♡臣)〜♪どんな 孤独も自由も羽にして
あなたにあいにゆく
壊れそうな 心の隣には
あなたと 描く未来♪〜
会場がシン、と……静まり返る。
♡臣)〜♪どんな 些細な痛みも分け合って
あなたと歩けたら
途切れそうな心も 抱きしめて
あなたの そばにいたい♪〜
ああ…二人の音色が
…溶け合っていく。
♡臣)〜♪明日も そばにいたい♪〜
俺たちが歌い終えると
会場はしばらく静かで
俺と♡が二人でペコッとお辞儀をした瞬間、
大歓声と拍手の嵐が
俺たちを包んだ。
♡)わぁぁぁ///
臣)……すげぇな…
♡)うん……
二人でステージを降りて
テーブルに戻ると…
凪ちゃんとポールが泣いてて
凪)♡ちゃん、カッコ良かったぁぁっ
ふぇぇっっ
ポ)感動した!!!感動したよ!!!
♡)ありがとう♡
K)すげーわ、マジで。
賢)もうユニット組んでデビューしろ、うん。
臣)なにそれ!w
♡は大きく息を吐くと
俺を見てふにゃんと力が抜けたように笑った。
♡)はぁ、緊張したぁ〜〜///
臣)……どこがだよw
♡)え?
あんなに堂々と歌ってたくせに。
臣)お疲れさん。
♡)えへへ…頑張ったね♡
臣)うんw
♡)楽しかった♡
臣)俺も。
なんていうか…
本当に鳥肌が立った。
♡の歌って、こんなにすごいんだって
肌で感じた。
それは…
歌唱力の話だけじゃなくて
♡が持つ声だとか歌い方とか
表情の一つ一つや佇まいも
♡が作り出す雰囲気全てが
会場にいる人たちを
釘付けにしていたと思う。
こんな快感を味わって
もっと大きなステージで
歌ってみたいって
♡はそうは思わないんだろうか。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
なんだかやりきった感でぽわーんてしてると
歓談タイムになって
女性に車椅子を押されたおばあちゃんが
私たちのテーブルまで来た。
♡)???
母)どうも。
K)あ、さくちゃんのお母さん?!
母)はい、母ですw
♡)わぁ!おめでとうございます!
私たちに順にお酒を注いでくれるお母さん。
臣)ありがとうございます。
母)いいえーー
先ほどは娘のために
どうもありがとうございました。
臣)いえいえ。
母)あの…うちの母が
♡さんと話がしたいと言ってるんですが…
♡)え!私ですか?!
私は慌てて立ち上がった。
♡)さくちゃんのおばあちゃんですか?♡
祖)どうも…初めまして♡
♡)初めましてっ♡
車椅子に座ったまま
手を差し出してくれたから
私はその手を取って、握手した。
祖)さっきの歌、…感動しました。
♡)わっ…ありがとうございます///
祖)あの…もし良かったら…
♡)……
祖)今度、うちに歌いに来てくれませんか?
♡)えっ!!おうちにですか??
私がびっくりしてると
お母さんがクスクス笑って説明してくれた。
母)母は今、介護施設にいるんです。
♡)はい。
母)そこの施設に、
歌いに来てほしいという意味ですよ。
♡)え、私にですか…?
母)はい。そうでしょ?お母さん。
祖)そうです。
♡)ええっ!!!
本当に私?!!
え、え、どうしよう…っ
祖)さっきの歌を…
みんなにも聞かせてあげたくて…
♡)…っ
おばあちゃんのその言葉に
なんだかすごく、嬉しくなった。
祖)本当はお二人一緒に来てほしいですけど…
おばあちゃんが臣くんをチラッと見た。
祖)有名な方なんでしょう?
♡)はい。
臣くんは…無理だよね…
祖)もちろんあなたも
お仕事もあると思いますし
お忙しいとは思いますが…
もしよければ…
♡さんのお時間のある時に…
♡)行きますっ!!
母)ええっ!
♡)私、行きますっ♡
母)いいんですか?!
♡)はい!だって…
そう言ってもらえてすごく嬉しいです♡
祖)あああ…っ
ありがとうございます…っ
♡)いいえ、私の方こそ
ありがとうございます♡
そんな風に言ってもらえるなんて
思ってもみなかった。
母)これ、母の施設の連絡先です。
♡)あ、ありがとうございます。
母)その際には私も伺わせてもらいますね♡
♡)はいっ!ぜひっ!
祖)ありがとう、♡さん。
♡)じゃあまた♡
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
会話は聞こえてたけど
♡があっさりOKして、少しびっくり。
♡)えへへ…嬉しいな♡
臣)……
♡)私と臣くんの歌が…
届いたってことだよね♡
臣)うん、そうだな。
♡)嬉しい♡♡
臣)……
なんだろう。
ほんの少しの違和感。
♡が介護施設に行って歌を歌えば
もちろん喜ぶ人はたくさんいると思う。
でも…
なんかそれだけじゃ
どうしても勿体ない気がするんだけど…
これじゃあ俺、松浦さんと一緒?
臣)……
なんで松浦さんは
あんなに♡にこだわるんだろうって
ちょっと思ってたけど
あんなすごい生歌を聴いたら
その気持ちもわかってしまう。
この歌を、この感動を
自分以外にも伝えたい。
そんな気持ちにさせるんだ、♡の歌は。
だからさくちゃんのおばあちゃんもきっと…
……
披露宴の最後はお決まりの
両親への手紙で…
新郎新婦の前に
両家の両親が4人並んで
さくちゃんがお母さんに手紙を読んだ。
♡)うううっ…
凪)さくちゃぁん…っ
♡と凪ちゃんはやっぱり号泣…w
なんか…
自分がまだ体験してないせいか
こういう一連を見てると
自分だったらどうなるのかなって
つい考えちゃって…
♡のお父さんはもういないから
レイコさんが一人で
あそこに立つのかな、って…
そして♡は育ててくれた感謝とかを
こうして手紙で読むのかなって
なんとなく想像したら
俺も泣けてきそうで、考えるのをやめた。
♡)わーーんっ!感動だよぉぉっ
凪)ううう…っ
最後は拍手の中、新郎新婦が退場した。
ー続ー
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