♧)ねぇ、私…
今のおうちのままでいいよ?
何不自由してないし…
むしろ贅沢すぎるような生活だし…。
新居に向かう車の中で
そう言ってみたけど、
隆)えーー!
もうダメだよ、用意しちゃったもん!
引っ越すのー!
って言われちゃった。
というか…
本格的に一緒に暮らすとなると
お金とかはどうしたらいいのかな…?
♧)家賃は…いくらなの…?
隆)さぁねーー
♧)ええっ
教えてくれないの!?
隆)俺が出すんだからいくらでもいいでしょ。
そう言って、ふと握られた右手。
気付くと信号は赤だった。
隆)ん?
ニッコリ笑ってこっちを見る隆二くん。
♧)////
やっぱりずるい、甘々スマイル。
隆)なんか今日かわいーね♡
♧)えっ!
隆)いや、いつも可愛いんだけどさ、
なんていうか…
デートモードって感じ。
♧)////
なんて返していいのかわからなくて
恥ずかしくて俯いた。
…って、そうじゃなくて!
お金の話!
♧)ね、隆二く…
隆)お金は一切要りません。
♧)え?
隆)今までと一緒でいいでしょ。
♧)…っ
隆)あと、カード渡しとくから
食費とかそれ使って。
♧)えっ…
隆)他にも何か買いたいものとかあったら
好きに使っていいよ。
♧)ダメだよっ!
隆)え?
何を言い出すの隆二くん!
♧)食費なんていらないよ!
隆)いやいや、ダメ。
♧)…っ
信号はもう青に変わってて
走り出した車の中、
隆二くんは前を向いたまま
隆)彼氏らしいこと、させてよ。
そう言って
私の右手をまたぎゅっと握った。
♧)彼…氏…
慣れない言葉を小さく繰り返すと…
隆)また照れてんのー?w
クスッと笑った隆二くんが
私の顔を覗き込んできた。
隆)あとさ、♧って毎月
施設に寄付してるんでしょ?
♧)え、…うん。
隆)それも俺がする。
♧)……え?
隆)俺が寄付する。
♧)ええっ!!
今度は何を言い出すの!
♧)寄付は私がするよっ!
だって…、、
寄付してるのは…
私の気持ちというか
育ててもらった恩返しというか…
隆)だから!
♧)え…?
隆)だから俺がするのっ!
♧)…っ
隆)てゆーかさ、今度案内してね?
♧)え…?
隆)♧が育った場所。
ちゃんとゆっくり見たいから。
案内してくれる約束だったでしょ。
優しく笑ってそう言ってくれる隆二くんに
胸があたたかくなった。
♧)ありがとう…。
隆)うん。
♧)でも…、寄付は…
隆)いーのっ!俺がするのっ!
♧)…っ
隆)だから♧は自分の給料は
自分の好きに使いなよ。
♧)えっ…
自分の好きに…?
と、言われても…
♧)……貯金?
隆)貯金なの?w
だって…何も思いつかない…
隆)貯金もいらないでしょ。
♧)えっ
隆)だって俺のお嫁さんに
なってくれるんでしょー?
♧)…っ
嬉しそうにニッコリ笑う隆二くん。
隆)だったら貯金もいらないから
♧の好きに使いなよ。
♧)でも…っ
隆)だーかーらー!
彼氏らしいこと、させてっ!!
♧)…っ
隆二くんのほっぺが膨らんじゃったから
素直に「ありがとう」って言ったら…
隆)へへへ♡
満足そうに笑ってくれて…
♧)////
本当にいいのかなっていう戸惑いと
「彼氏」って何回も言われて嬉しいのと
隆二くんの笑顔が可愛いのとで、
なんだか気持ちが忙しい。
隆)でさ、話は戻るけど…
今日かわいーね♡
♧)?!!
隆)隣に座ってる彼女が可愛すぎて
運転に集中出来ないんですけどぉーー
♧)…っ
口を尖らせて
そんなこと言う隆二くんの方が
ずっと可愛くて。
どうしたらいいですか…?///
隆)はぁ、幸せだなぁ……
ぽつりと呟いて、
私の右手の甲を
運転しながらずっとすべすべしてるの。
その横顔を盗み見てるだけで
また好きがあふれてくるから困っちゃう。
チュッ。
♧)!!??
右頬に感じた感触に目を見開くと…
隆)へへ♡
またニッコリ笑ってる隆二くん。
隆)なんか好きがあふれて
加減出来なくなってる…w
♧)////
私と…同じなの…?
隆)なんか俺、バカっぽくない?//
♧)えっ…
隆)普段さ、臣見てて
ばっかみたいとか思ってたんだけど…
♧)ええっ!
隆)いや、だってあいつ
ほんとに♡ちゃんバカだからw
♡ちゃんいたら常にくっついてたい感じで
ベタベタしてるしデレデレしてるし…
♧)うん…。
隆)でも…、なんか今の俺、
大して変わんねぇなって思って…//
隆二くんは少し苦笑いして
また私の手をすべすべしてる。
♧)わた…しもっ…//
隆)え…?
♧)隆二くんバカに…なってる//
隆)…っ
正直に打ち明けて隣をチラ見すると、
隆)じゃあチューしてー♡
可愛く甘えられてしまった。
♧)……///
助手席から少しだけ身を乗り出して
隆二くんの左頬に、チュッ。
隆)へへへへぇ〜〜〜♡
♧)////
どうしよう。
やっぱり幸せだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
♧)うわぁ………
新居に連れてきてから、
可愛いタレ目がずっとまん丸に見開いてる。
♧)本当に…ここに住むの…?
隆)そうだよーー♪
♧)すご…い……
隆)へへへw
ずっと驚いてる♧。
喜んでくれてるってことでいいのかな?
♧)キッチン…広い…
隆)そうなの!
♧が料理しやすいかなって思って。
どう?どう?
♧)うわぁ………
隆)ぷっ…w
♧、さっきから「うわぁ」しか
言ってないよw
♧)だって…!//
さっきは今の家のままでいいなんて
言われたけど…
こっちの方がいいでしょ?ね?
それに、なんてったって…
隆)はい!ここの部屋開けて!
♧)え…?
俺の前フリに少しオロオロしながら
俺を見て。
ゆっくりとドアノブに手をかけた。
ふっふっふ♡
♧)……え?
中を見て固まってる♧。
♧)なぁに…?ここ……。
隆)なんでしょうw
♧)え…、これ…っ
ミシンと作業台を見て
すぐにこっちを振り返った。
♧)これっ…
隆)うん♡
♧)えっ…、
隆)♧の部屋ーー♡
♧)…っ
俺がそう言うと、
♧はもう一度中をキョロキョロ見渡して…
♧)本棚も…ある…
隆)うん♡
ミシンと本棚に気を取られて
全然クローゼットを
開けてくれそうにないから…
隆)じゃじゃーーん♡
待ちきれなくて、開けちゃったw
♧)!!!
中を見て、また固まってる♧。
♧)これ……、っ
隆)♧の服ーー♡
♧)…っ
喜んでくれたかなーって
ひょいっと顔を覗くと…
♧)ううう…っ
隆)え!!
……泣いてる!!
隆)なんで!!
慌ててぎゅっと抱きしめたら…
♧は俺の服を小さく掴んで
静かに泣いてて。
隆)喜んで…くれないの…?
♧)なぁに、これ…っ、ぐすっ
隆)引っ越しサプライズ?w
♧)ぐすんっ、ぐすんっ
隆)引っ越し記念に俺からのプレゼント♡
♧)隆二くんのばかっ!
隆)ええっ!w
♧)…こんなの…ずるいもん…っ
泣いてる♧の頭をよしよしよし。
♧)全部…覚えてた…の?
隆)ん…?
♧)私が…欲しいって言ったもの…
隆)うん♡
忘れるわけないじゃん。
♧)……ありがとう///
あ、可愛くしがみついてきた。
きゅん。
隆)♧に笑ってほしかったの。
♧)え…?
隆)泣かせたかったんじゃないよ…w
♧)…だって…//
隆)喜んでほしかったのに。
♧)喜んでるよっ!
隆)ほんと…?
じゃあ、笑って♡
涙を拭って見つめたら、
♧は少し照れたようにふふっと笑った。
♧)すごく嬉しい。ありがとう///
ああああ〜〜〜〜〜
そう。この笑顔が見たかった。
この笑顔が見られるなら
俺、なんでもしちゃうかもしんない。
隆)……かわい…///
ぎゅっ。
もう一度腕の中に閉じ込めた。
♧)どうしてこんなに色々してくれるの…?
隆)へ?
♧)こんなにたくさん…
隆)だから言ったじゃん!
♧に喜んで欲しかったんだってばー!
♧)…っ
隆)この可愛い顔が見たかったの!
♧のほっぺをむにっと引っ張った。
隆)ふにゃんって笑う、綿あめスマイル。
♧)綿あめ?!
隆)うん?
♧)それは隆二くんだよ!
隆)へ?
♧)ふにゃんって笑ったら、
甘くて柔らかくって
綿あめみたいなんだから!
隆)いやいや、それ♧だから!w
♧)ええっ!
お互いにほっぺをぷにぷにしながら…
どうやらずっと同じことを思ってたみたいで
思わず吹き出した。
隆)なんなのもぉ〜〜〜
♧)ふふふっw
隆)あ〜〜もう、好きっ///
♧)……私も…大好き///
こんなに幸せで、俺たちどうするんだろう?!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
隆二くんの新居サプライズに
本当に驚いて、感動して、ひとしきり泣いて。
その後は二人で家具屋さんでお買い物。
今ある家具で十分だよって言う私に、
一緒に何か買いたいの!って言う隆二くん。
だから、買い替えというより
買い足しという感じで
大きめのテーブルと、
ソファークッションを二つ買った。
むーちゃんがいつでも遊びに来れるように
って言ってくれて
二人で選んだそのクッションは
試しに座ってみると、すごく気持ち良くて。
これは人をダメにするやつだ〜〜〜
なんて幸せそうな隆二くんが可愛かった。
むーちゃんのために買ったのに
これに座ってゴロゴロ寛ぐ
健ちゃんの姿が見える、なんて言うから
想像したら笑っちゃって。
買い物途中、私がうっかり
「隆二くん」って呼んだら
若い女の子がすごい勢いで振り返って。
隆二くんはもちろん変装してたんだけど、
二人で慌てて走って逃げたり。
隆二くんと一緒だとなんでも楽しい。
なんでも嬉しい。
隆)ニコニコしてるーー
♧)だって幸せだもん♡
隆)へへ、俺もーー♡
向かい合って食事しながら
二人でニコニコ。
こんなに幸せで、私たちどうするんだろう?!
口に広がるのは
さらにフワフワ気分にさせてくれるような
美味しいワイン。
隆二くんが折角だから飲みたいって
車はおうちに置いてきて
隆二くんの変装スタイルも解除。
人目に触れずに
そのまま中に入れるお店だからって
髪も簡単にセットし直してくれた。
おかげで私は、目が合う度に
なんだかドキドキ。
隆)ねーねー、聞いてもいい?
隆二くんがグラスを置いて、
なんだかもじもじしながら私を見た。
隆)いつ俺のこと好きになったの?
♧)えっ!
急に来た予想外の質問に、
思わず手が止まる。
♧)…え、…っと……、
いつから…?
いつからだろう!?
今このタイミングで好きになりましたー!
なんて覚えてるわけじゃないから
自分でもよくわからない。
♧)隆二くん…は…?//
もじもじしながら質問を返すと
俺が聞いたのにずるーいって笑われた。
隆)うーん、いつだろ…?
よくわかんないけど
気付いたら好きだった。
てゆーか最初から好きだったかも。
♧)えっ!
最初って…どこ?
隆)川辺から聞こえる歌声が
ずっと気になっててさ。
どんな人なんだろーって。
♧)うん。
隆)で、やっと見つけたと思ったら
普通に可愛い女の子なんだもん。
そんなの恋するでしょw
♧)ええっ!
最初って、ほんとに最初?!
隆)どうやって話しかけようかなーって
お茶落としたフリしてみたりw
♧)えっ!
あれ、わざとだったの?!
隆)そうだよーーんw
♧)うそぉ……
偶然だと思ってたのに。
びっくり。
隆)でもさー、ほら。
最初は結婚してるって思ったから。
♧)あ。
隆)で、その後はシングルマザーだって
勘違いして…
そうだった。
なんだか懐かしい。
隆)でも不思議なのが
それでも気になって、会いたくて。
♧)…っ
隆)勘違いだってわかった時は
心の中でガッツポーズしたもんね!
♧)そう…だったの?///
全然知らなかった。
隆)でさっ、デートの約束もして
デートも超楽しくてさ。
そしたら帰りにどん底に突き落とされて。
♧)え??
帰りって…
ほっぺに初めてチューしたこと?
タクシーで初めて手を繋いだこと?
隆)好きな奴いんのかよぉぉぉ!って。
♧)あっ
そっか、そうだった!
携帯の待ち受けを見られたんだった!
隆)マジで落ちた、あん時。
♧)…っ
てゆーか隆二くん…
そんなに前から私のこと好きだったの…?
ほんとに…?
なんだか信じられない。
隆)俺のことなんて
ただの髭おじさんだと思ってたんでしょ、
あの頃。
♧)えっ!
ええと…
ええと…
♧)うん。
隆)ひでぇ!!ww
ゲラゲラ笑う隆二くん。
♧)ただのっていうか…
不思議な人だなーって。
隆)不思議?俺が?w
♧)うん。
ふにゃんって柔らかくて優しいのに
割と自分勝手で強引な時もあったり
子供みたいに拗ねたと思ったら
急に男の人の顔になったり。
♧)なんか気付いたらね、
隆二くんのこと考えてる時間が
いつの間にか増えてて…
隆)……
♧)無意識だったから
いつからとかは覚えてないんだけど…
ほんとに気付いたら
隆二くんでいっぱいだったの。
隆)……ふーん//
あ、ちょっとニヤけてる。
可愛い。
♧)あ、でも!
隆)ん?
♧)一番頭をいっぱいにされたのは
初めてキスされた時かも…
隆)あ。
♧)あの時はいっぱいいっぱいで…
……てゆーか。
♧)どうしてあの時急にキスしたの?//
今だから聞いちゃう。
隆)俺のこと…
恋愛対象じゃないみたいに言われて
悔しかったから。
♧)えっ
そんなこと言ったっけ?!
隆)あ、でも悔しいから
その勢いでしたとかじゃなくて…
いや、まぁそれもあるんだけど…
いい加減、俺のこと見てほしくて…
好きって気持ち伝えたくて、した。
♧)////
あの頃の私は…
キスされるまで、
そんなの全然気付いてなかった。
てゆーか…
♧)私のこと…好きだったのに…
瞬くんの相談に乗ってくれてたの…?
隆)そーだよ!
ドヤー!って感じで返された。
隆)早く俺のこと好きになればいいのにって
ずーーーーーーっと思ってた。
♧)////
鈍くてごめんなさい…。
♧)私なんかの…
どこを好きになったの…?///
ずっとどこかで感じてた疑問。
だって…
隆二くんの周りには
綺麗な人がいっぱいいるだろうし…
何もこんな地味で恋愛経験ゼロの私を
選ばなくても…
隆)どこ…?
そう言われるとどこだろ…?
ガーン!
やっぱりわからないの!?
隆)なんか…
ここが好き、とかっていうんじゃなくて…
いや、好きなところは
たくさんあるんだけどさ?
そうじゃなくて…
なんていうか…俺へたくそだから
あんま上手く言えないけど…
ただ、そばにいたいって思うの。
♧)……
隆)会いたくなるし、
一緒にいたら嬉しいし楽しいし、
ほら、前にも言ったじゃん。
♧が笑ってくれたら
嬉しくなって、愛しくなるって。
♧)あ…。
そうだ。
いつかの夜、私がそう言ったら…
俺もだよって言ってくれたんだ。
隆)♧の笑顔が見たいって思うし
いつも幸せでいてほしいし
俺が幸せにしたいって思うし
そばにいてくれたら俺も幸せだし…
……って、
なんか恥ずかしくなってきた//
♧)え……//
隆)俺ばっか語ってない?
何これ、恥ずかしいんだけど///
♧)////
私は嬉しいんだけど…
隆)……とにかく!///
別に理由なんかなくても
もう無条件にっていうか…
俺の本能で好きなのっ!
言い切った後で
盛大に照れてる隆二くんに、
私も照れてしまって、二人で無言。
隆)♧こそ…俺のどこが好きなの…//
♧)はっ…
しまった!
聞き返されてしまった!
♧)りゅ……じくんと、一緒//
もじもじ誤魔化したら、
隆)何それ!ずるい!!
って怒られちゃった。
♧)だってほんとだもん…//
隆)なんだよ一緒ってぇ〜〜
♧)隆二くんの笑顔を
隆二くんのそばで見てたいの///
隆)……///
♧)…あと…は……、
何かあった時とかに
それを共有したくなる人…。
例えば綺麗な景色を見た時、とか。
私の心の中に一番最初に浮かぶのは、
いつだって隆二くんだから。
隆)……それは…、俺も…///
♧)……///
こんな風にお互い言葉にして伝え合うのって
照れくさいけど、
とてもほこほこする。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
隆)俺はさ、尊敬してるところも
たくさんある!
♧)え??
お互いぶっちゃけトークみたいになってて
なんか照れくさいけど
もうこの勢いで全部言っちゃえ!
って、ちょっと開き直り始めた。
♧)尊敬?!わ、私を…?
隆)そうだよw
何その意外だって言いたげな顔は。
隆)見た目はそんなふにゃんふにゃんで
癒し系なくせにさっ、
実はすげぇしっかりしてるじゃん。
♧)え?
隆)考え方とか、生き方とか。
♧)私…が…?
隆)そうだよ。
すごいなぁっていつも思ってんだから。
隆)でもさ、寂しがりで
俺の服着たりしちゃうところが
可愛いかったり。
♧)!!!
あれ…は…寂しいからとかじゃ…///
隆)なに。今更違うとか言うわけ。
♧)……違い…ません///
隆)ははっw
赤くなって俯いたのが可愛くて
頭を撫でたくなったけど、手が届かない。
隆)あれさ、なんなの?
♧)え?
隆)着てると安心するの?
♧)…え…っと…
隆)ほら、寂しくても
彼女の服着る彼氏はいないじゃん?
だから男にはわからない発想だな、と。
♧)そっか!
隆)うん。
♧)えっと…、ね。あれは…
………やっぱり言わない///
隆)え?
♧)変態みたいだから言わない///
隆)何それ!w
気になるじゃん!教えてよ!
♧)……///
俯いた♧をじーーーっと見つめて
答えを催促したら…
♧)隆二くんが…
抱きしめてくれてるみたいなの…、///
すごーーく恥ずかしそうに白状した♧が
なんだかめちゃくちゃ可愛くて…
隆)////
あれ…?
こんな普通に会話してるだけなのに
俺のリュージがおかしなことになってるぞ?
一体どうした?
隆)……隣、行っていい?
♧)え?!
だってさ、
さっきから頭撫でたりほっぺ撫でたり
いろいろしたいのに
テーブルが邪魔で届かないんだもん。
♧)ちょ、隆二くん?!//
向かい合って座ってるふかふかソファーは
余裕で二人は座れる広さ。
♧側にまわって無理やりお尻を割り込めば
真ん中に座ってた♧が端へ追いやられて。
……ああ、やっと抱きしめられた。
♧)お店の人、来ちゃうよっ///
隆)呼んでもないのに来ないよ。
この個室には、二人っきり。
♧)こんなぎゅってしてたら…
食べられないよ…///
隆)いいじゃん、ちょっと休憩。
勝手に決めて、
顔をこっちに向けさせた。
可愛いこと言う♧が悪いんだよ。
♧)////
あーあ、またゆでだこ。
今から俺に何されるかわかってるもんね?
隆)♧……、
名前を呼んだそのままに、唇を塞いで。
アルコールのせいで
キスは余計に甘い味わい。
もっと深く、もっと…もっと…
…って欲しがる俺に、
♧は俺の肩をトンと叩いた。
♧)こんなとこで…ダメ…///
隆)////
ですよね、すいません。
完全に暴走しました。
俺じゃなくてリュージのせいです、ハイ。
止められなくなる前に
自分のソファーに戻った。
隆)ええと、なんの話だっけ///
トマトのポワレをぱくっと口に入れて
♧を見ると、
♧)今のキスで吹き飛んじゃった///
なんて可愛いことを言うから…
リュージがまた興奮して、大変。
隆)ええと、あれだよ、あれ!///
♧が寂しがりって話!
♧)ええっ!そんな話だったっけ?///
隆)そうだよ!
♧)……寂しがりじゃ…ないもん…
隆)またまたーー
♧)大丈夫だもん……
隆)来週とか俺しばらくいないよ?
LAとラスヴェガスで。
♧)そっか、今度は海外なんだもんね。
隆)うん。ほら、寂し?
♧)寂しくないもん…
隆)ふーん。俺は寂しいけどね。
♧)……じゃあ…私も寂しい…//
隆)また真似したーーー!w
♧)だって…!//
からかう俺に、口を尖らせる♧。
隆)また俺の服着て待ってなよ。
帰ってきたらぎゅってしてやるから。
そう言ったら、ますます尖ったアヒル口。
あれ、またゆでだこ…?
♧)もう!隆二くんはどうしてそうなの!///
隆)え?
♧)そうやって急にドキッとさせるの
やめて!///
隆)はい?!
♧)急に男らしくなったりするの禁止!///
隆)はぁ?!
♧)いつもはふにゃんふにゃんの
綿あめさんのくせに……
隆)だから綿あめは♧だってば!
♧)隆二くんだもんっ!
なんだこの言い合いはw
隆)だってさ、♧が寂しくないとか
強がるから。
♧)…っ
隆)電話は時差もあるし
そんなに出来ないかもしれないけど…
LINEはいっぱいするから。
♧)……ありがとう。
隆)寂しい思いさせちゃうこと
多いかもしれないけど…
そーゆーの我慢しないで言ってほしい。
♧)…っ
隆)我慢されたり、無理されんの、やだ。
これは俺の勝手かもしれないけど
一人で泣かせたりとかは
絶対にしたくないから。
隆)会えない時間が増えたりしても
寂しいね、って…
素直に言い合える二人でいたい。
♧)……
隆)言ったからって
会えるわけじゃないんだけどさ、
なんていうのかな。
同じ気持ちでいたいっていうか…
上手く言えないけど…
♧)うん、伝わったよ。
隆)…っ
♧が優しく俺に笑いかけた。
♧)ありがとう。
隆)……
♧)隆二くんがね、いつもそうやって
真っ直ぐな気持ちを伝えてくれるから
大丈夫な気がするの。
隆)……
♧)会えない時は…
寂しいね、会いたいね、って…
会えるまでの時間を
二人で楽しみにしようね♡
隆)……
ああ、うん。そう。
そう言いたかった。
言いたいことを言えない関係なんて
嫌だから。
隆)ごめんね?
♧)え…?
隆)……
♧)どうして?
ごめんねじゃないよ?
隆)え?……いや、だって…
俺の仕事で
少なからず不便な思いをさせたり
負担をかけることになると思うから…
♧)どんな仕事してたって
忙しくて会えないことなんて
きっと普通にあるよ。
隆)……そうだけど…
そういうこと以外にも…
♧)あのね。
隆二くんにはそういう風に
思ってほしくないの。
♧に遮られた。
♧)私、前にも言ったと思うけど…
隆二くんがどんな仕事してたって
隆二くんが好きなの。
隆)…っ
♧)隆二くんは隆二くんでしょ?
マイナスに考えることなんて
何一つないんだよ。
隆)……
♧)たくさんの人を笑顔にして
たくさんの人を幸せにできる
素敵な人なんだから
自信持ってね。
優しい声で語りかけてくれる
♧の言葉は…
スーッと胸に落ちてくる。
ありのままの俺を見てくれる人。
隆)……
三代目っていうフィルターを通してしか
俺を見てない人は、すぐにわかる。
年々そういう人が増えてきて。
俺が三代目なのは事実だし
それは仕方ない事なのかもしれないけど。
こんな風に
素の自分を受け止めてもらえることが
本当に嬉しくて。
自分の立ってる場所が
わからなくなったりする時もあったけど
♧が隣にいてくれたら
俺は俺を見失わずにいられそう。
♧)私はそんなに欲深くないの。
隆二くんの笑顔のそばにいられたら
それだけで幸せです。
隆)…っ
全てを包み込むような、優しい笑顔。
やっぱり俺は、幸せ者だ。
隆)……好き。
♧)えっ…
俺を選んでくれて、本当にありがとう。
隆)二人でいられる時間はさ、
めいっぱいイチャイチャしようね。
♧)え……、///
めいっぱい甘やかしたいくらい、
♧が好き。
♧)…会えない時は…
ちゃんといい子で待ってるから…
帰ってきたら、ぎゅって…してね?///
隆)////
何それ。
そんなのするに決まってんじゃん。
♧)隆二くん、大好き///
隆)////
ああああ〜〜〜
もうダメ、限界。
……ガタッ!
♧)えっ…
また無理やり、隣に割り込んで。
押し倒しそうな勢いで、抱きしめた。
好き。
好き。
止まんない。
♧)…っ、///
赤い唇を塞ごうとしたら…
一瞬触れただけで、
両肩を押し返された。
こんなとこでダメって
また抗議されんのかなって
物足りない気持ちを遠慮なく顔に出して
表情を窺うと…
♧)いっぱい…したくなっちゃうから…
ダメ…、///
ダメって言われた理由はさっきと違って。
♧)もっとしてほしくなって…
我慢…できなくなっちゃう…///
隆)////
ほろ酔いチックな可愛いセリフに
またもやリュージ、大興奮。
隆)……ごめん、無理、したい///
♧)……っ、ん!///
強引に始めたキスは
次第に二人の熱で、甘く…甘く…
♧)…ん、…っはぁ…
唇の隙間から漏れる♧の甘い声に
加速するように、深く…深く…
隆)…っ
………リュージが…痛い。
ああ、もう、ここで抱きたいくらい。
♧)……きゃ…、っ///
無防備な袖口から手を滑り込ませると、
♧が小さな声を上げて。
♧)隆二くんっ、飲みすぎ…じゃない?///
動揺を浮かべた瞳で、俺を見た。
隆)飲みすぎ…?
折角のデートなのに…
帽子にマスクにサングラス。
そんな変装スタイルで一日中いるのは
さすがに嫌だから。
家に帰って車も置いてきて。
だからワインだって開けちゃったけど。
隆)酔ってるわけじゃないよ。
止め方がわからないこの想いと熱を
アルコールのせいなんかにされたくなくて。
またキスを求める俺に
♧は後ろにぽすんと倒れた。
♧)…っ
俺はそのまま襲いかかるみたいに
♧の胸に、顔を埋めた。
♧)……何…してるの…?///
隆)おっぱいむにむにの刑…。
♧)私…何か悪い事した…?///
隆)しまくり。
♧)えっ!
可愛すぎるし
リュージをすぐこんなんにするし
ほんと困ってんだからね、俺!!
♧)お店の人、来ちゃうよ…?///
隆)呼んでないのに来ないよ。
……あ、♧の心臓の音が聞こえる。
とくん…
とくん…
俺のことが好きだって、言ってる。
隆)へへへ…w
なんか愛しいな。
…って、胸の音聞いただけで
こんな風に思っちゃうって…
俺ほんと重症だな。
でもいいや。
こんなに好きな人がいるって
すっげぇ幸せ。
__コンコン。
♧)!!!
隆)!!!
男)失礼いたします。
デザートは何かご用意いたしますか?
隆)あ、えっと…、、
なんかいる?
♧)いいいいらない…っ
隆)そっか、うん、いいです。
男)かしこまりました。
店員さんが出て行って。
俺の前には、♧のグラス。
♧の前には、俺のグラス。
慌てすぎて場所が入れ替わってる俺たち。
隆)ぷっww
♧)変に思われたかな?///
隆)気付いてないんじゃない?w
♧)恥ずかしい…///
うん、もういいよ、帰ろうよ。
ほんとにちゃんと、二人きりになりたい。
ー続ー
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ヤバイですね~~~!イチャイチャ度増しましたねw
リュージくん…..wすぐ興奮しちゃうことが分かりました!ww
隆二くんより、リュージくんの方が♧ちゃんのこと好きなんですかね?w
前は臣くんの方がハマっていたんですけど、今隆二くんの方がハマりそうですw