[183]背中のぬくもり(隆二&♧Side)

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先週4人で流しそうめんをしてから
もう一週間。
 
 
今日は仕事終わりにむーこと待ち合わせて
やって来たのはアンティーク調のカフェバー。
 
 
「ここのローストビーフが最高なの!」
 
 
むーこはそう言って、
ワインやらサラダやら色々注文してくれて。
 
私はおとなしく、控えめなお酒を。
 
 
む)じゃあカンパーイ!♡
♧)乾杯♡
 
 
口に広がる甘いアルコールを味わいつつ
落ち着くソファーにゆったりともたれた。
 
 
♧)はぁ、早くむーこに会いたかった///
む)あら。
 
 
聞きたいことが、ありすぎて。
 
 
む)どうですか、その後の同棲生活は♪
♧)同棲じゃないってば///
む)はいはい、それはもういいからw
  どうなのよ。
♧)……///
 
 
てゆーか…、それよりまずは!
 
 
♧)むーここそ!
む)ん?
♧)健ちゃんと一体どうなったの!///
む)……ああ。
 
 
「♧が寝ちゃった後、すぐに帰ったよ。
 むーちゃんちに仲良く一緒に。」
 
「なんかイチャイチャしてた。
 今頃一緒に寝てるんじゃない。」
 
 
隆二くんがあんなこと言うから、
ずっと気になってた。
 
 
♧)ほんとに一緒に帰ったの?!
む)うん。
♧)私が寝てる間に…一体何が…
む)うーん…別に大した話じゃないんだけど…
♧)え?
む)♧が寝ちゃって隆二くんも寝ちゃって…
  そしたらあたし達、二人になるじゃん?
♧)うん…。
む)お酒も入っていい気分じゃん?
♧)…うん。
む)そしたらなんか、
  そういう空気になるじゃん?
♧)……
 
 
そういう…空気とは…
 
 
む)健ちゃんも酔っ払って
  なんかすごいムラムラしてて〜
♧)えっ
む)チューだけって言うから。
♧)チューだけ?!
む)うん。
  チューだけでいいから、お願いって。
♧)?!!
 
 
チューだけでいいからお願い!??
 
健ちゃん…
そんなにむーことチューしたかったの?!!
 
 
む)あたしも酔ってたし…
  チューだけならいいかな〜って。
♧)したの!??
む)うん。
♧)!!!!
 
 
むーこと…健ちゃんが…っ
 
 
む)そしたらさ〜
  もう健ちゃんが止まんなくなっちゃって。
♧)えっ…
む)キスは止まんないし、
  ヤリたいオーラ全開で。
♧)ええっ!!
 
 
健ちゃんが…狼に…!!!
 
 
む)で、そしたら隆二くんが起きちゃって。
♧)えっ!!
む)仕方なく一緒に帰ったの。
♧)け、健ちゃんと?
む)うん。
♧)むーこの家に…泊まったの?
む)うん。
♧)…っ
 
 
それは…ええと…
 
 
む)あ、シてないよー。
  帰ってからもチューだけ。
♧)えっ…
む)まぁ健ちゃんはよっぽど
  シたかったんだろうねー
  必死にあれこれ言ってたけど…
♧)あれこれって?!
む)彼女と別れるからー、とか。
  ほんとにちょっとだけー、とか。
♧)ちょっとだけって…何?!
む)ちょっとだけ触らせて、って。
♧)?!!
 
 
触らせてって…
一体どこを!??///
 
 
む)でも全部ダメって言って
  チューしかしなかったら
  途中で爆発したのか、シャワー行った。
♧)え?!
む)その間にあたしは寝ちゃったw
♧)ええっ!
む)朝起きたら横で寝てたけど
  そのまま帰って行ったよー
♧)……
 
 
なんだか色々と…頭が追いつかない。
 
 
♧)健ちゃん…むーこのこと好きなのかな?
む)ないないっ!w
  ただヤリたいだけだってw
♧)だって…
  彼女と別れるって…
む)それもヤリたいだけ!w
  その場しのぎの嘘に決まってんじゃん。
♧)でも…っ
  
 
ほんとにそうなのかな…?
 
 
♧)健ちゃん…いい人なのに…
む)あのねぇ!
  普段いい人かどうかと
  女にチャラいかチャラくないかは
  全く別の話なの!w
♧)えっ…
 
 
そう…なの…?
 
 
む)健ちゃんは確かにいい奴だし面白いけど、
  恋愛対象ではない!
♧)…っ
 
 
むーこがハッキリ言い切った。
 
 
♧)もし…健ちゃんがほんとに
  むーこのこと好きだったら…?
む)……
♧)彼女と別れたら…?
む)……
 
 
あ、私の質問に呆れた顔してる。
 
 
む)自分に本当に好意があるかどうかとか
  それがどれくらい誠実な感じかとか
  それくらい、あたし一応見抜けるよ。
♧)えっ…
 
 
何それ…すごい…っ
 
 
む)健ちゃんはただヤリたいだけ。
♧)…っ
む)もしこの先彼女と別れたりしたとしても、
  あたしは健ちゃんはない。
♧)……
む)彼女がいるくせに
  他の女とヤる気満々な男なんてやだよ!
♧)…そっか…。
 
 
そうだよね…確かに…。
 
 
♧)健ちゃんのこと…嫌いなの…?
む)嫌いじゃないよ!大好きだって!
♧)え…?
む)だって普段はいい奴じゃん。
  友達としては大好きだよ。
♧)……
 
 
なんだか…すごく難しい。
 
友達としては大好きなのに…
恋愛対象には絶対ならないの…?
 
 
む)理解できないって顔してる…w
♧)…うん…。
む)なんていうのかなぁ…
  ほら、隆二くんもそうじゃん?
♧)え?
む)あ〜〜んな可愛くって天然で
  どっから見ても善良そうなのに…
  女遊びはしてるじゃん?
♧)…っ
む)女遊びしてるから最低人間なんて
  イコール付けるほど
  あたしも潔癖じゃないしさ。
  そこは別でいいかなーって。
♧)……
む)ま、隆二くんに関しては
  もうしないって言ってたけどねーw
♧)はっ…
 
 
そうだ。
私が聞きたかったこと…!!
 
 
♧)あの日のこと、私何も覚えてないの!!
む)へ?!
♧)教えてっっ!!
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
今日は朝から
来週に控えたJ-WAVE LIVEのリハで
スタジオにこもりっぱなし。
 
 
大橋トリオさんの
スペシャルバンドの生演奏で
歌わせてもらうわけで…
 
打ち合わせはもう済んでて
個別にリハはしてたから
今日は音を合わせてみることに。
 
 
大)じゃあ曲順通りでやっていって…
  最後は通してやろうか。
隆)はい、わかりました!
 
 
最初の曲は、
『Love changes everything』。
 
 
隆)頭で少し喋ろうかなって思ってて…
  最初はピアノなくていいかなって。
大)いきなり入っていいの?
隆)はい。
 
 
この曲はLIVEでもやってないし、
今回の世界観に合いそうっていうのと…
 
歌詞がなんか今の俺にリンクしてたから。
 
 
隆)〜♪君のそばで 君に触れて
  眠る夜があったから
  何度だって 新たな夢
  探せたこと 気付いた♪〜
 
 
「もっとたくさん聴いてみたいなぁって…
 勝手に想像してわくわくしちゃった♡」
 
 
俺の歌を、そう言ってくれた。
 
 
隆)〜♪Been so long
  僕がずっと 守ってあげてた つもりが
  僕らしくいれる 心は君に
  守られてたね♪〜
 
 
「ファンの人たちも絶対に大喜びだね♡」
 
 
そう言って笑ってくれて…
もっと頑張ろうって思えた。
 
 
隆)〜♪いつの間にか この手の中
  愛しいものがあふれて
  ひとつも失くせない
  Love changes everything♪〜
 
 
「隆二くんが笑ってくれたら…
 すごく嬉しいもん…♡」
 
 
無邪気に素直に、
笑ってくれたその笑顔が…
すごく愛しくて。
 
 
隆)〜♪声の限り 君のために
  捧げる この愛の歌
  世界中に 響け
  Love changes everything♪〜
 
 
歌いながら、頭の中は♧でいっぱい。
愛しい気持ちでいっぱいになった。
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
む)隆二くんが女遊びしてるのやだって、
  泣きながらしがみついてたよ。
  もうしちゃダメーって。
♧)////
 
 
ショックで一気飲みをしたらしい
その後の自分の行動に、改めて赤面する。
 
 
「泣きながら俺にしがみついてきた…。」
 
 
隆二くんが言ってたことは
本当だったんだ…。
 
 
♧)隆二くん…
  きっと…ドン引きしたよね…
 
 
酔っ払って…そんなことしちゃうなんて…
 
 
む)えー?
  嬉しそうにニヤけてたよ?
♧)え?!
む)だって♧、すっごく可愛かったもん。
♧)えっ!!??
 
 
記憶のない酔っ払いが!??
 
 
む)やだやだって抱きついて
  可愛く泣いちゃって♡
  あんなの男はイチコロでしょw
♧)……
 
 
そんな酔っ払い…
全然可愛くない気がするんだけど…
 
 
む)隆二くんだって顔真っ赤にして照れながら
  もうしないって誓ってたしさー♪
♧)…っ
 
 
「もうしないって…言ったじゃん…。
 二度としないって約束したじゃん。」
 
 
私は覚えてないけど…
隆二くんもそう言ってた。
 
私が泣くようなことは…絶対しないって…
約束してくれて…。
 
 
♧)……///
 
 
思い出したら、恥ずかしくなってきた。
 
 
む)てゆーかその後、進展はないわけ?
  まだ告られてないの?
♧)…えっと……///
 
 
むーこに説明するのも
恥ずかしいんだけど…
 
私は例のキスマークのことを話してみた。
 
 
む)きゃーーーー///
  隆二くんが狼に〜〜!///
♧)////
む)やだ!隆二くんエロい!///
♧)////
 
 
顔から…火が出そう…。
 
 
む)どこに付いてたって?!
♧)だから…このへんに…いっぱい…///
む)おっぱいも…///
♧)…覚えてないんだけど…
  起きたら…ブラが外れてて…
む)そんなん絶対外されたんでしょ。
♧)////
 
 
やっぱり…そうなのかな…
 
 
♧)触られ…たのかな…?///
む)触られたりなんだりされたんだろうね…
♧)!!!
 
 
なんだりとは?!///
 
 
む)隆二くん…どこまでしたんだろ…
♧)えっ…
む)とりあえずブラが外れてただけで
  服は着てたんだよね?
♧)うん…っ
む)そんだけ触ってキスして…
  よく我慢できたな…
♧)……///
 
 
どうして私…覚えてないんだろう。
本当にバカ…。
 
 
む)きっと一人で悶え苦しんだんだろうなぁ…
♧)何それ…っ///
む)どうせあんたが
  途中で寝ちゃったとかなんかで
  中断したんでしょ。
♧)そう…なのかな…?///
む)生殺しぃ〜〜かわいそぉ〜〜〜
♧)////
 
 
そんなこと…言われたって…
 
 
む)早く付き合えばいいのに。
  早く隆二くんのものになっちゃえ♪
♧)えっと…
  もし付き合ったら…
  すぐにそうなるのかな…?///
む)そりゃそうでしょ!
  生殺しで苦しんでるんだから!
♧)////
 
 
生殺し生殺しって…言わないで…///
 
 
む)毎日Hしてあげなさい♡
♧)毎日?!!
 
 
びっくりして、思わず大きな声が出た。
 
 
む)何よ。
♧)毎日って…
 
 
そんなこと、あるの?!!
 
 
む)だって隆二くんまだ若いしーー
  あの人たちって性欲無限な感じしない?
  あんな仕事してたらそうなるよ。
♧)!!??
 
 
どうしよう…
全くわからない。
 
 
♧)私…毎日なんて無理だよ…
む)だーいじょーぶっ♡
  毎日してたら身体も慣れてきて
  大丈夫になるから♡
♧)!?!!?
む)隆二くんに開発してもらいなさい♡
♧)開発っ!!??///
 
 
なんかもう、頭が追いつかなくて…
思わず顔を両手で覆った。
 
 
♧)…そう…いえば……私…
む)ん…?
♧)もしかしたら…
  すごくエッチかもしれないの…///
む)はい?!w
 
 
実は、あれからずっと悩んでる。
 
 
「気持ちいいって言ったじゃん!!
 もっとしてって言ったの、♧だもん!!」
 
 
なんのことか…全然覚えてないけど…
あれが本当なんだとしたら…
 
私は自分で気付いてないだけで…
本当はすごく破廉恥なのかもしれない///
 
 
む)あははははっw
♧)////
 
 
私は本気で悩んでるのに…
大笑いするむーこ。
 
 
む)何それ!何が気持ち良かったの?w
♧)知らないよっ!覚えてないもんっ!///
む)いいじゃん、可愛い可愛いw
♧)……///
む)そこまで言われたのに
  お預け食らった隆二くんの方が
  かわいそうだわw
♧)……///
 
 
でも…ほんとにどうしよう…。
 
 
♧)やっぱり私…エッチなの…?///
む)ぶっww
♧)笑い事じゃなくてっ!///
む)いや…、それはわかんないけど…
  もしそうだとしても
  困ること何もないでしょw
♧)え?!
む)隆二くんは大喜びだろうしw
♧)どうして?!///
  絶対ドン引きされるよ!!
む)あんたって…
  ほんと男をわかってないよね…w
♧)////
 
 
だって…
経験値がなさすぎるんだもん…。
 
 
む)ま、そんな可愛い心配はしなくていいから
  早く付き合いなさい♡
♧)…っ
 
 
でも…
隆二くんはあれから
何も言ってくれないし…
 
私も自分から告白する勇気は、まだないし…
 
 
♧)今は…まだ…いいの///
む)はぁ?!!
  まだそんなこと言ってんの!?
♧)……いいのっ///
 
 
だって、♡ちゃんが言ってたもん。
 
急いだり焦ったりしないで
自分のスピードで
気持ちを育てていけばいいんだって。
 
 
む)隆二くんの生殺し生活は
  まだまだ続くのか…
♧)変な言い方しないでっ!///
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
S)隆二ーー
  頼まれてた物件候補、ハイ。
隆)ありがと!!
 
 
リハを終えて荷物をまとめてると
Sさんが物件資料を持ってきてくれた。
 
 
女)あ、隆二くん!今大丈夫?
隆)はい!
女)昨日言ってたミシンの件だけど…
 
 
声をかけてくれたのは、スタイリストさん。
 
 
女)今人気なのはこのへんのタイプみたい。
隆)……
 
 
パンフレットをいくつか見せてもらったけど
よくわからない。
 
 
隆)何が違うんですかね?
女)こっちは送り歯が多いのよね。
隆)おくりば…??
女)どっちも自動糸調子がついてるから
  そこは安心。
隆)???
女)機能とは関係ないけど
  こっちはハードケースが可愛かったり。
隆)……
女)ワイドテーブルがある方が
  作業はしやすいわよねーー
隆)……
 
 
ダメだ、全然わかんない。
 
 
隆)どれにしたらいいですか?
女)使う人に聞いてみたら?
隆)それはダメですっ!
  サプライズなんですっ!!
 
 
俺がそう言うと、
ニヤッと笑うスタイリストさん。
 
 
女)なるほど、そういうことね…w
隆)ええと…///
女)じゃあ周りにも聞いて
  アンケート取ってみるから
  一番人気のやつでどう?w
隆)お願いします…///
 
 
そう言って、
俺はとりあえずもらったパンフレットと
物件資料を、バッグに詰め込んだ。
 
 
S)臣みたいなことしちゃってーw
隆)え?
 
 
帰りの車の中で、
からかうようにSさんが笑った。
 
 
S)臣のピアノサプライズ、
  明日決行らしいからw
隆)あっ!引っ越し…明日なの?
S)うん。
隆)おおお〜〜〜〜
 
 
どうなるんだろう。
俺まで少しドキドキ。
 
 
S)絶対♡ちゃん喜ぶよね〜〜w
隆)絶対泣くよねw
S)だよね〜〜〜
隆)で、そんな♡ちゃんを臣が襲うっていう。
S)わかりやすい流れ!w
隆)あはははw
 
 
いいなぁ。
俺も早く♧を喜ばせたい。
 
 
S)隆二のサプライズも成功するといいね。
隆)うんっ!!
 
 
早く家も見つけて
♧が欲しがってたもの、全部用意して。
 
早く、告白したい。
好きだって言いたい。
 
 
カッコ良くビシッと決めたいから
それまで我慢するんだから…!!
 
 
S)ほい、着いたよーー
  お疲れさんっ
隆)お疲れさまっ!
 
 
車を降りて、無意識に駆け足で
エレベーターに飛び乗った。
 
 
早く、♧に会いたくて。
 
 
隆)ただいまーーーっ♡
 
 
ドアを開けると、出迎えてくれたのは
ちょっとぽやんとしてる♧。
 
 
隆)どうしたの?顔赤いじゃんw
 
 
ほっぺを撫でると、
「むーこと飲んでたの。」
なんて、少し舌ったらずな返事が返ってきて、
 
 
隆)とりあえず、はい♡
 
 
両手を広げてむぎゅっと抱きしめた。
 
 
♧)お風呂あるよ…?///
隆)うん、ありがと!
  荷物まとめたら入る。
♧)荷物…?
隆)うん。明日から山口だから。
♧)山口?!!
 
 
♧が驚いて俺を見上げた。
 
あれ、言ってなかったっけ…。
 
 
隆)山口でLIVEがあるから…
♧)そう…なんだ…。
 
 
そっか、そうだよな。
ちゃんと事前にスケジュール伝えとかないと。
 
 
隆)8月は他にも…大阪に2回…
♧)ちょっと待って!メモするからっ!
 
 
♧は走って手帳を取りに行った。
 
 
♧)いないのは何日?
隆)1日と、2日と…、
 
 
俺が口頭で伝えると、
ペタペタとシールを貼っていく♧。
 
チラッと覗くと、
俺がいない日に貼られてるのは
泣き顔シール。
 
 
♧)あっ!見ないでっ!!
 
 
俺の視線に気付いて、
♧は慌てて手帳を閉じた。
 
 
♧)シールとか…子供っぽいって
  思ってるんでしょ…///
隆)いや、思ってないけど…
  女の子ってそういうの好きだし…
 
 
俺が気になったのは、
泣き顔シールなこと。
 
もしかして…
俺がいないの、寂しいのかなって…
ちょっとキュンとして。
 
 
♧)8日も…いないんだね…。
 
 
最後にいない日を数えて、♧が小さく呟いた。
 
 
隆)……
 
 
やっぱり…寂しいのかな?
 
どうしよう…
なんか可愛い…///
 
 
隆)いないの…寂しい…?
♧)…っ、ううん!
  お仕事頑張ってねっ♡
隆)……
 
 
寂しいって言ってくれたら
ぎゅってしたかったのに…
 
笑顔で応援されてしまった…。
 
 
そう言われたら…
 
 
隆)うん、頑張ってきます…。
 
 
としか、言えない。
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
  
 
隆二くんが忙しい仕事だっていうのは
わかってたのに…
 
いっぱいいない日があるってわかると
なんだかすごく寂しくて
気持ちがしょんぼりした。
 
 
寂しいなんて大人気ないから
絶対言えないけど…。
 
 
……はっ!
 
そういえば…!!
 
 
隆二くんがいない日は全部…
LIVEの日で…
 
LIVEと言えば…
 
 
「LIVEの後はHしたくなんね〜んw
 あ、あとお酒入った時もーw」
 
 
健ちゃんがそう言ってた…!!
 
 
♧)…っ
 
 
LIVEの後には…打ち上げもするだろうし…
 
そしたらお酒を飲んで
酔っ払った隆二くんは…
 
 
♧)!!!
 
 
どうしよう…っ!!
 
 
やっぱり…そういうこと…するのかな…?
 
女の子なんて…いっぱいいるだろうし…
 
 
隆)ん…?
 
 
「普段いい人かどうかと
 女にチャラいかチャラくないかは
 全く別の話なの!w」
 
 
むーこだってそう言ってた。
 
 
隆)どうしたの?
 
 
こんなニッコリ笑ってる隆二くんだって…
 
 
「……うーん…と…、それなり…に。」
 
 
女遊び…してるわけで…
 
 
隆)どうしたのってw
♧)…っ
 
 
一人で悶々としてると、
隆二くんに頭を撫でられた。
 
 
隆)変な顔してどうしたの?
♧)…っ
 
 
聞いても…いいのかな…。
 
 
♧)……隆二くん……、
隆)うん?
♧)…エッチなこと…してくるの…?
隆)……はい!!??
 
 
あ、なんかまた変な聞き方しちゃった。
 
 
隆)エッチなことって何?!
  どこで!??///
♧)…っ
 
 
だって…
 
 
♧)LIVEの後は…
  そういうこと…したくなるんでしょ…?
 
 
あ、どうしよう…
 
なんか私…泣きそうかもしれない。
 
想像したら…すごく嫌で…
 
 
♧)女の人と…そういう…こと…っ
隆)も〜〜〜っ!///
 
 
ぎゅむっっ!!
 
 
♧)…っ
 
 
こぼれかけた涙は、
隆二くんのTシャツに吸い取られた。
 
 
隆)何の心配してんの!///
♧)…だ…って……
 
 
健ちゃんが言ってたもん…
 
 
隆)そういうのはもうしないって
  約束したじゃん!!
♧)…っ
隆)絶対しないから安心して!
♧)…っ
 
 
ほん…と…?
 
 
♧)もししたくなったら…どうするの…?
隆)……は?///
 
 
あれ…
何か変なこと聞いちゃったのかな…
 
 
隆)……我慢するよ、そんなん///
♧)……
 
 
…はっ…!
 
 
「生殺しぃ〜〜かわいそぉ〜〜〜」
 
 
ふと蘇った、むーこの言葉。
 
 
♧)…っ
 
 
我慢って…
 
それは…隆二くんにとっては
すごくツライことなんじゃ…
 
 
♧)なんか…ごめんなさい…
隆)何が!///
♧)でも…絶対やだ…、///
隆)…っ
 
 
隆二くんが
他の女の人とそんなことするの、絶対に嫌。
 
 
隆)絶対しないから、大丈夫。
♧)……ほん…と…?
隆)ほんとだよっ!///
♧)……
 
 
ぎゅって抱きしめてくれる腕が
優しくて…
 
 
トクン…
 
トクン…
 
 
不安がゆっくり、溶けていく。
 
 
隆)その代わり…
  もうちょっとだけこうさせて…///
 
 
ぎゅぅ……っ
 
 
♧)////
 
 
ドキドキドキ……
 
 
隆)会えない分、いっぱいしとく///
♧)////
 
 
そう言われて、
私も隆二くんをぎゅっと抱きしめ返した。
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
俺が風呂から上がると、
♧はもうベッドに入ってて。
 
 
隆)もう寝るの?
♧)今日はお酒飲んだから
  なんだか眠くって……
 
 
またぽやんとした返事が返ってきた。
 
 
隆)むーちゃんと何話したのー?
♧)いろいろだよぉ…
  健ちゃんと隆二くんのこと…。
隆)えっ!??
 
 
びっくりして
急いでTシャツの襟から顔を出した。
 
 
隆)俺の話って何?!
 
 
俺が勢い良く聞くと、
ぽやぽやしてた♧は急にハッとして。
 
 
♧)間違えた!なんでもないっ!///
 
 
そう言って、
タオルケットで顔を隠した。
 
 
隆)…っ
 
 
いや、絶対間違えてないでしょ。
ぽやぽやしてて
うっかりほんとのこと言っちゃったんでしょ。
 
 
……俺の話…、何したんだろ…
めっちゃ気になる。
 
 
隆)おしえてーーー
 
 
ベッドに潜り込んで、
♧のおでこをつんつんしてみた。
 
 
♧)どうして入ってくるの!///
隆)え、ダメなの?w
♧)もう寝るの??
隆)うん、♧寝るなら俺も寝ようかな。
♧)別に、無理しなくていいよっ!///
  後で寝たら?!
隆)…っ
 
 
なんで俺を追い出そうとすんの?
 
 
隆)やだ。今寝る。
 
 
なんでか意地になる俺。
 
 
♧)ふーん、そっか…///
隆)……
 
 
そっかってなんだよ。
顔、全然見えないし。
 
 
隆)ねぇ。
♧)……なぁに?
隆)明日俺いないけど、一人で寝れる?
♧)何それっ!
  子供じゃないんだから寝れるよっ!///
隆)寂しくない?
♧)……
隆)……
♧)……
 
 
その問いには返事がなくて、
やっぱり寂しいんじゃんって
少し口元がニヤけた。
 
可愛いなぁ…もう///
 
 
隆)ねぇ。
♧)……なぁに?
隆)俺さぁ、朝起きるとなんでか知んないけど
  ♧のこと抱きしめてるじゃん?
♧)…っ
隆)ぎゅってしてるじゃん?
♧)……う…ん///
隆)だからさ、どうせ寝てる間に
  無意識に抱きしめてんなら…
♧)……
隆)今ぎゅってして…いい?
♧)……え?!!///
 
 
ワンテンポ遅れて返ってきた
♧の返事。
 
♧はびっくりしてタオルケットから
顔を出した。
 
 
♧)何…言ってるの…?///
隆)何って…
 
 
ズイズイと身体を寄せて、近付いてみる。
 
 
隆)ぎゅってしていい?
♧)…っ///
 
 
俺が近付けた距離を、
後ずさりして遠ざける♧。
 
 
隆)ね、いい?
♧)…っ///
 
 
ズリズリと後ろに逃げるから、
もうベッドの端っこで。
 
 
隆)落ちるって…w
 
 
♧を抱きかかえるように腕を回せば…
 
 
♧)ダメッ///
 
 
♧はそのままベッドを降りて逃げ出した。
 
 
隆)はぁ?!
 
 
不満の声を上げる俺を、
じーーっと見てる。
 
 
隆)戻って来いよ!
♧)…ぎゅーされちゃう///
隆)するよ!
♧)……///
 
 
俺が断言すると、
恥ずかしそうにもじもじしてて。
 
 
♧)寝れなくなっちゃうから…ダメ///
隆)寝れる、大丈夫。
 
 
とにかく抱きしめたくて、
適当な返事を返す俺。
 
 
♧)ドキドキして絶対寝れないもん!///
隆)わかった、じゃあ試してみよ!
♧)えっ…?
隆)ドキドキしちゃったらすぐやめるから。
♧)…っ
隆)だから戻っておいで、ほら。
♧)……///
 
 
俺の言葉に、♧はおずおずと戻ってきて…
タオルケットに潜り込んだ。
 
 
隆)おかえり♡
 
 
ぎゅむっ……
 
 
♧)////
 
 
もう逃げられないように、
腕の中に閉じ込めて。
 
 
俺より少し高い♧の体温に
なんだか肌が汗ばんでくる。
 
 
♧)……暑い…。
隆)お酒飲んだからじゃない…?
♧)隆二くんがお風呂上がりなせいだもん…
隆)え、俺…?w
 
 
そう言いながらも、
♧が少し離れようとするから。
 
 
隆)だーめ。
 
 
もう一度胸にぎゅむっと引き寄せた。
 
 
♧)苦しいよ…///
隆)あ、ごめん…w
 
 
ぷはっと顔を出した♧がなんか可愛くて
そのおでこに思わずスリスリすると…
 
 
♧)…ひゃ…っ///
 
 
♧が可愛く首をすくめた。
 
 
隆)……///
 
 
なんか…ヤバイかも…。
 
 
興奮しそうな身体に、気付かないフリをして
そのままじっと♧を抱きしめた。
 
 
隆)……///
♧)……///
 
 
「ドキドキしちゃったらすぐやめるから。」
 
 
そう自分で言ったくせに、
全然離したくない。
 
 
こんなくっついてるから
お互いの鼓動はなんとなく伝わってて。
 
お互いドキドキしてるって…
お互い、気付いてる。
 
 
でも、離したくない。
 
 
♧)……りゅ…じ…くん…///
隆)…っ
 
 
小さく俺の名前を呼ぶ♧の声が
すごく甘くて…
 
 
ドクン…ッ
 
 
無視してた身体が、また興奮し始める。
 
 
♧)…やっぱり…寝れなそう///
隆)……///
 
 
……だよね。
俺もです…。
 
 
そーっと腕を緩めると、
目が合う距離まで離れた♧は
すごく可愛い顔でうるうる俺を見つめてて…
 
 
隆)////
 
 
そんな♧を直視できない俺は、
ぐるんと反転して背中を向けた。
 
 
隆)無理矢理…いろいろ…、ごめん///
 
 
そう言ってぎゅっと目を瞑ったら…
 
 
♧)無理矢理じゃ…ないもん…///
 
 
そんな可愛い声が、背中に聞こえて。
 
 
♧)隆二…くん…、///
 
 
さっきより近くに感じる、♧の甘い声。
 
 
♧)背中だったら…いーい?///
 
 
そんな甘えた声に返事する前に、
背中にふわっと触れた、柔らかい感触。
 
 
隆)!??////
 
 
後ろから…
♧が俺に抱きついてきて…
 
 
♧)おやすみなさい…///
隆)////
 
 
俺のお腹に回ってる、♧の手。
背中に感じる、生温かい感触。
 
 
俺は、意味がわからないまま硬直状態。
 
 
全然寝れる気配なんてしないのに…
しばらくすると、背中からはスヤスヤと
♧の寝息が聞こえてきた。
 
 
隆)…っ
 
 
お酒入ってるし…
そりゃ…寝ちゃうよね…?
 
ギンギンになってる俺のことなんて
お構いなしに…寝ちゃうよね…?
 
 
隆)……はぁ…///
 
 
そりゃ…さ、
ぎゅってしたいなんて言い出したのは
俺だけど。
 
 
まさかこんな展開になるなんて
思わないじゃん。
 
 
こんな可愛く後ろから抱きつかれるなんて…
 
 
隆)……ううう///
 
 
俺は一人で悶えながら…
 
お腹にある小さな手をぎゅっと握って
目を閉じた。
 
 
 
 
 
 
ーendー

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  1. みー より:

    やっぱりこの2人が1番好きかも⸜( ´ ꒳ ` )⸝♡︎めちゃ応援したくなる!この進みそうでなかなか進まない感じが良いのかな?本当見てて癒される(。・ω・。)*

  2. さゆがん より:

    あーぽやぽやカップルかわいい♡♡
    臣カップルの引越しとピアノはいよいよなんですね‼︎
    新しいベッドとかでもまたふにゃふにゃにされちゃうのか//

    • マイコ より:

      この二人にはずっとぽやぽやしててほしい(ฅ¯ω¯ฅ )

  3. ☆SHIORI☆ より:

    隆二、生殺しwww
    早くつきあってー
    絶対、両思いーー!
    もっとラブラブになって、臣と♡ちゃんみたいに、バカップルになってーーーwww

    • マイコ より:

      この二人はどんなカップルになるんだろう…(ฅ¯ω¯ฅ )わくわく

  4. さゆれ より:

    ♧ちゃんほんと可愛い♡
    こんな可愛い子を目の前にして、それも触れてそれでも我慢の隆二が不憫(笑)
    上手くいったら臣くん♡ちゃん以上に甘々モードになりそう(*´艸`)

    • マイコ より:

      ふふふ…(ฅ¯ω¯ฅ )
      まだまだ不憫な隆二の我慢生活は続くのであった…w

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