[168]辿り着いた答え(◇Side)

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『今日は生放送の27時間TVに出ます。
 絶対見て。
 俺あんまり映らないかもだけど
 全力で踊ってきます!!』
 
 
今日のお花はカモミール。
 
 
◇)……
 
 
近所のカフェで
一人でランチして帰って来たら
ポストに入ってた。
 
 
今日は日曜日。
 
♡ちゃんは今日も朝から撮影で
早い時間に出て行った。
 
 
あたしは今日は…
読書でもしてようかな。
 
そんなことを考えながら
カモミールを花瓶に挿した。
 
 
ガラスの花瓶の中には
いろんなお花がひしめき合ってる。
 
 
◇)……
 
 
剛典と離れて、もう10日。
 
 
距離を置いたら
少しは自分の気持ちも整理できるかなって
そう思ってたのに
 
まだ答えは見えない。
 
 
「離れてても、電話もLINEもする。
 嫌なら無視していいよ。
 でも、俺はするから。」
 
 
剛典はそう言ってたけど、
電話もLINEも一度も来ない。
 
その代わりに、毎日こうして
お花と手紙がポストに入ってる。
 
 
◇)はぁ……。
 
 
ピロリロリロ♪ピロリロリロ♪
 
 
◇)…っ
 
 
電話の音に、慌てて携帯を手に取ると、
着信は優助だった。
 
 
◇『もしもし?』
優『◇?今何してる?』
◇『あ、えっと…、ぼーっとしてた。』
優『ははは、何それw
  せっかくの日曜なのに。』
 
 
そうだよね。
 
 
優『今日の夜、空いてない?』
◇『…えっと……』
 
 
今日の夜は…
 
 
優『なんか予定ある?』
◇『……』
 
 
予定は…ないんだけど…
 
……生放送が……
 
 
優『桜ちゃんとビアガーデン行こうって
  話してて。』
◇『は??桜???』
 
 
意外な展開に少しびっくり。
 
 
◇『二人で行くの??』
優『あ、ううん、違う違うw
  桜ちゃんが誰か紹介してって言うから
  うちの会社の奴らも誘って。』
◇『あ、そうなんだ…。』
優『桜ちゃんも友達連れてくるって。』
◇『そっか。
  合コン的なやつね?』
優『合コン…?うーん、
  みんなにとってはそうかな。』
◇『……』
優『俺は◇に会いたいから電話したの。』
◇『…っ』
 
 
えっと…
 
どうしよう…
 
 
優『一緒に飲もうよ!』
◇『……』
優『今日天気も良いし、
  外で飲んだら気持ちいいよ。』
◇『……』
 
 
そうだよね…
そう思うんだけど…
 
 
◇『あたしは…いいや…』
優『……』
◇『優助、普通に合コン楽しんできなよ。』
優『は…?』
◇『桜の友達も来るんでしょ?』
優『…だから…
  俺にとっては合コンじゃないって
  言ってるじゃん。』
 
 
あ、優助の声のトーンが少し下がった。
 
 
優『てゆーかさ、
  俺が合コン行っても全然いいの?
  そんな勧めちゃう感じなの?』
◇『…っ』
 
 
そう言われて、ハッとした。
 
あたし…
自分のこと好きって言ってくれてる人に
合コン楽しんできなよとか…
無神経だった…?
 
 
優『俺は…
  ◇が合コン行くかもしれないって時、
  すっげぇモヤモヤして
  絶対やだって思ったのに…』
◇『……』
優『◇は少しも思ってくんないの…?』
◇『……』
 
 
……思わなかった…。
 
 
◇『……』
優『……』
◇『……』
優『…ごめん。
  ええと……、もし来れるなら来て。』
◇『……』
優『待ってるから。』
◇『……わかった。』
優『…急に…ごめんな。』
◇『ううん…。』
 
 
少し気まずいまま、電話は切れて。
 
 
◇)……
 
 
あたし…
優助のこと好きかもって
少し思ってたのに…
 
どうしてヤキモチ妬かないのかな。
 
 
桜の友達だから…?
……ううん、そんなの関係ないよね…。
 
 
優助に新しい出会いがあって
他の人を好きになるなら
それはそれでいいって、思える。
 
 
でも…
それは剛典も一緒。
 
剛典も他の人好きになるならなればいいって
そう思ってる。
 
 
◇)はぁ……。
 
 
あたし…もう…
自分の気持ちがわかんないや…
 
 
一生一人でいいかも。
 
 
 
……
 
 
 

 
 
 
♡)ただいまーーっ♡
◇)おかえりーーー
  お疲れさま♡
♡)えへへっ
M)お邪魔しまーす♡
◇)どうぞ〜〜〜
 
 
夕方、撮影を終えた♡ちゃんが
Mちゃんを連れて帰って来た。
 
あたしの家にステイしてるって言ったら
遊びに行きたいって言い出したみたいで。
 
じゃあ一緒にご飯食べようかって
冷やし中華を作ってみた。
 
 
♡)わーん!美味しそう〜〜♡
◇)ちょっと作りすぎちゃったw
M)そういえばこのマンションって
  Tさんも海璃ちゃんも同じなんですよね?
♡)あ、うん!
M)呼んでみます?
◇)うん、いいよー。
 
 
それからすぐやってきたのは海璃ちゃん。
 
♡ちゃんの誕生会の時に
少しだけ話したけど
なんか雰囲気が♡ちゃんに似てて
可愛らしい女の子。
 
 
M)今日はTさんとご飯の日じゃなかったの?
海)あ、今日は接待みたいで…
M)そうなんだ〜〜
◇)ご飯の日?なぁにそれ?
海)えっと…///
 
 
もじもじしながら教えてもらった話は
なんとも可愛い内容で。
 
 
◇)そっか…
  海璃ちゃんは王子が好きなのか…
海)……(こくん)///
 
 
そしてそんなに健気に頑張ってるのか…
なんかいいなぁ…。
 
 
M)あ、そーだ、先輩!
  来週の撮影なんですけど…
♡)はい!
 
 
Mちゃんと♡ちゃんは
ソファーで仕事の話をしてるみたいで
 
盛り付けは海璃ちゃんが手伝ってくれた。
 
 
◇)王子は海璃ちゃんの気持ちに
  気付いてたりするの?
海)……まったくです…。
◇)……
 
 
そっか、鈍そうだもんね、うん。
 
てゆーか…
鈍いとかの前に…
あんなに♡ちゃんのこと好きだったわけだし
そのへんはどうなってるんだろ…。
 
 
海)でも…今は…いいんです…。
◇)え…?
海)気付いてもらえなくても。
◇)……
海)気付いて欲しいっていう気持ちも
  もちろんあるけど…
  気付いてもらったからって
  好きになってもらえるわけじゃないし…
◇)……
海)Tさんには…まだ…
  忘れられない人がいるから…。
◇)…っ
 
 
それは…
 
その相手が♡ちゃんっていうのは…
きっとわかってるんだよね…?
 
 
◇)……
 
 
この子も切ない想いをしてるんだ…。
 
 
海)今は…Tさんが
  少しでも笑ってくれるだけで
  私は嬉しいから…
◇)……
海)そんな風にそばにいれたら…
  それだけでいいんです…。
◇)……
海)多くは望まないです…。
◇)……
 
 
なんて健気なんだろう…。
 
 
さっきまで荒んでた自分の心が
なんだか洗われた気分。
 
 
◇)好きな人が…笑ってくれるだけで…
  嬉しい、か…。
海)……
 
 
そんな言葉を聞いて思い浮かぶ笑顔は…
 
 
◇)…っ
 
 
__やめた、考えない。
 
 
 
◇)はい、できたよーーー
♡)わーいっ!ありがとう♡
 
 
それから4人でテーブルを囲んで
いただきますをした。
 
 
M)美味しい〜〜〜♡
  冷やし中華最高〜〜♡
海)夏って感じですね♡
♡)うんっ♡
 
 
みんな美味しそうに食べてくれて
ほっとしてたら…
 
いきなりぶっ込んできたのは、
Mちゃんだった。
 
 
M)私は◇さんの恋バナが聞きたいです〜♡
◇)ぶっ、ごほごほっ
M)いつから付き合ってるんですかぁ?
◇)…っ
 
 
えっと…
 
 
M)どっちから告白したんですかー?
  どんな風に付き合ったんですかー?
◇)……
 
 
どうしよう。
Mちゃんの目がるんるん楽しそう。
 
 
◇)ええと…
  もう…付き合ってるとも言えないような
  状況なんだよね…
M)えっ!別れたんですか?!
◇)…うん…そんな感じ…。
♡)別れてないもん!!
◇)…っ
♡)距離置いてるだけだもん!!
◇)……
 
 
なぜか♡ちゃんがムキになる。
 
 
M)あんなお似合いだったのになぁ…
海)はい…
 
 
ん…?
 
なぜか残念そうな二人。
 
 
あんなに…お似合いって…
 
 
◇)あああ!!
 
 
そっか!!!
 
♡ちゃんの誕生会の時に
一緒にいるところ見られてるんだった!!
 
 
◇)…っ
 
 
じゃあ…
相手が剛典ってバレてるのか…
 
でも…
あんなんで付き合ってるって…バレる…?
 
 
海)なんか…岩ちゃんが…
  すごくニコニコしてて…
  はっ!!
  岩ちゃんなんて呼んですみません!///
◇)…いや…、いいけど…
海)えっと…
  いつもの王子様スマイルとかじゃなくて…
  本当に楽しそうに笑ってたから…
◇)……
海)本当に◇さんのこと、
  大好きなんだなぁって…
  勝手にじろじろ見てしまいました…///
◇)……
M)そうですよぉ。
  あんなにラブラブに見えたのに。
  なんで別れちゃったんですか?
♡)別れてないってば!!
M)あ、なんでしたっけ。
  距離置いてるんでしたっけ…?
◇)……うん。
 
 
ほんと…
なんでこんなことになったのかな。
 
あの夜は…すごくすごく、楽しかったのに…。
 
 
海)もう…好きじゃないんですか…?
◇)…っ
 
 
わかんない。
 
 
◇)…今…気になる人が…いて…
海)えっ!
M)岩田さん以外にですか?!
◇)うん…。
M)きゃーーー!
  男の闘いだ〜〜〜♡
♡)Mちゃんっ!
  そんな面白がらないのっ!!
M)はーい…すいませーん…
◇)……
 
 
はぁ…
 
考えてたらまた気分落ちてきた…。
 
 
M)今のところどっちが勝ってるんですか?♡
◇)え…?
M)好きな気持ち♡
◇)…わかん…ない…。
M)その気になる人とは
  もうHしたんですかー?
◇)してないよっ!
M)え〜〜してみればいいのに〜〜
♡)Mちゃん!!
M)だってぇ…
  してみなきゃ
  わかんないじゃないですかぁ。
♡)何が!
M)どっちが相性いいか♡
♡)……
海)……
M)私だったら相性いい方選ぶなぁ〜♡
◇)……
 
 
まぁ…
確かにそれはそうなんだけど…
 
してみなきゃわかんないんだけど…
 
 
M)あとはもう流れに任せるとか!
◇)え…?
M)その人ともHしてみてぇ、
  岩田さんを忘れられたらその人にする!
◇)…っ
M)その人とHしたのに
  それでも岩田さんを忘れられなかったら
  岩田さんと戻る!
◇)……
M)気持ちでわからないことって
  案外、身体が教えてくれたり
  するじゃないですか〜〜
◇)……
 
 
そんなの…
試した事ないからわかんない。
 
わかんないけど…
答えが出るのかなって気もする…。
 
でも…
そんな暴挙に出るなんて選択肢は
さすがにない。
 
 
♡)さっきから変な事ばっかり言わないで!
M)え〜〜〜
  変な事じゃないですよぅ。
  先輩は登坂さんしか知らないから
  そういう発想が浮かばないだけです。
♡)…っ
M)もっとズルい女なんて
  世の中たくさんいるんだから。
♡)で、でも…っ
  岩ちゃんと別れたわけじゃないのに
  他の人とそんなことしたら…
M)それは綺麗事です。
♡)…っ
 
 
Mちゃんは…
恋愛経験多いのかな…。
 
なんかすごく割り切ってるように
見えるけど…
 
 
♡)でも!!
  同じこと、岩ちゃんがしたら嫌でしょ?!
◇)え…?
♡)距離置いてる間に…
  他の女の子とそんなことしてたら…
◇)……
 
 
その問いに、どこか冷めてる自分がいて。
 
 
◇)それならそれでいいよ。
  別れるだけ。
♡)…っ
 
 
別に強がりとかじゃなくて
本当にそう思った。
 
 
他の女のところに行くなら行けばいい。
 
逆に…
こんな風に毎日お花を届けられる方が
なんだか胸が痛む。
 
 
海)あっ…
  もうすぐEXILEが出るみたいですっ!
 
 
ずっと付けっぱなしにしてたTV。
 
 
M)え!じゃあ岩田さん出るの?!
海)たぶん…
 
 
思わずみんな無言になって、
TVを見つめた。
 
 
曲はChoo Choo TRAINから始まって。
 
 
♡)岩ちゃんどこぉ?!
海)新メンバーは後ろなのかも…
♡)もう!見えないよぉ!
  みんな邪魔ーー!!
◇)…っ
 
 
なぜか♡ちゃんが
剛典を探すのに必死になってる。
 
 
♡)全然映んないっ!岡村さんばっかり!
海)オカザイルだから仕方ないです…
♡)もぉっ!
◇)……
 
 
ほんとに剛典全然見えない…。
 
 
M)あ、次はRising Sunですねー
♡)もう!なんでずっと
  岡村さんが真ん中なのー!
海)それは…主役だから…
♡)岡村さんのばかーーっ!
◇)……
 
 
♡ちゃん…
岡村に罪はないよ…
 
 
♡)あーーっ!!!
  岩ちゃん来たーーー!!!♡♡
◇)…っ
 
 
途中でフォーメーションが変わって
新メンバーが前に来て…
 
剛典が、笑顔で踊ってる。
 
 
M)あ、岡村が小芝居してる。
海)マイク奪った!w
M)あはははw
♡)あーん!岩ちゃんまた後ろいっちゃった!
◇)……
 
 
最後の曲は『EXILE PRIDE』で
新メンバーはまた一番後ろで…
 
でもたまにチラッと映る剛典は
笑顔で踊ってた。
 
 
海)あっという間に終わっちゃった〜〜
♡)もっと岩ちゃん映してよぉ!
◇)なんでそんなに♡ちゃんが熱くなるのw
♡)だって…!!
  岩ちゃん、絶対◇ちゃんに
  見て欲しかったはずだもんっ!
◇)……
 
 
そうなのかな…。
 
 
あたしは…
ニコニコ踊る剛典を見て…
少しだけ遠く感じた。
 
 
剛典には剛典の時間が流れてて
仕事もこうして頑張ってて…
 
もうこれでいいんじゃないかなって。
 
 
このまま別の時間が流れていって…
そしたら自然と
忘れられるんじゃないかなって…。
 
 
 
……
 
 
 

 
 
 
それから一夜明けて、月曜日。
 
 
朝からせっせと荷物をまとめてる♡ちゃん。
 
 
今日の夜には臣さんが帰ってくるから
♡ちゃんがうちにステイするのももう終わり。
 
 
♡)ふぅっ、これで全部かなー?
◇)忘れ物、ない?
♡)多分大丈夫!
  もしあったら取りに来るーw
◇)うんw
 
 
なんだか…寂しいな。
 
 
♡)一週間、お世話になりましたっ♡
  ありがとう♡
◇)ううん、あたしこそありがとう。
  楽しかった。
♡)へへへー♡
 
 
♡ちゃんがいてくれて
本当に気が紛れたし、癒されたもん。
 
 
◇)ええと…♡ちゃん…。
♡)んー?
 
 
最後の朝ごはんを一緒に食べながら…
せめて今の段階でのあたしの気持ちを
ちゃんと報告した方がいいのかなって…
 
重たい口を開いた。
 
 
◇)えっと…
  いっぱい…心配かけて…ごめんね?
♡)…ううんっ!
◇)気持ちも…ずっとモヤモヤしたままで…
♡)うん…。
 
 
こんな自分、自分でも嫌だし…
なんか…疲れてきちゃった…。
 
 
◇)あたし…
  優助のことは…
  ちゃんと考えようって思ってる…。
♡)うん…。
◇)…剛典の…ことは…
♡)……
 
 
どうしても、考えたくなくて…
現実逃避してるって、わかってる。
 
時間が欲しくて…
 
でも…
 
 
◇)もう…お花持ってこないでって…
  言おうかな…。
♡)どうして?!
◇)…っ
 
 
だって…
 
 
◇)なんか…申し訳ないっていうか…
♡)何が申し訳ないの?
◇)剛典…忙しいのに…
  わざわざあたしなんかのために…
♡)迷惑とかじゃないでしょ?!
◇)…うん…。
 
 
迷惑なわけない。
 
 
◇)お花は…嬉しいけど…
 
 
ポストを見るたびに、嬉しくなる。
 
でもその後すぐに、
申し訳ない気持ちになる。
 
 
◇)忙しいのに…
  わざわざうちまで…毎日…
♡)嬉しいなら、
  そんなこと考えなくていいと思う!
◇)え…っ
♡)そんな風に気にしなくていいと思う!
◇)でも……
♡)岩ちゃんの気持ちは…
  私にはわからないけど…
  きっと、◇ちゃんに笑ってほしくて…
  少しでも気持ちを届けたくて…
  お花を届けてるんだと思うの。
◇)…っ
 
 
その言葉に…
なんだか目の奥が熱くなった。
 
 
♡)忙しいのに無理して…とか
  そんな風に◇ちゃんに
  思って欲しいんじゃないよ!
◇)…っ
♡)岩ちゃんの…気持ちだから…
  嬉しいって思うなら
  普通に受け取ってあげて…
◇)……
 
 
♡ちゃんが…
そんな悲しそうな顔…しないで…。
 
 
♡)あ、でも…っ
  岩ちゃんの味方をしてるとかじゃ
  なくて…っ
◇)……
♡)優助くんも良い子だと思うし…
◇)……
♡)そんなに急がなくてもいいと思う!
◇)…っ
♡)◇ちゃんがゆっくり考えて
  答えを出せばいいと思うから…
◇)……
♡)私は、◇ちゃんの味方だよっ!
  どんな答えになっても…
  ずっと友達だもんっ!!
 
 
一生懸命そう言ってくれる♡ちゃん。
 
 
◇)ありがとう…。
 
 
あたしには
勿体ないくらいの友達だよ…。
 
 
 
……
 
 

 
 
 
それから♡ちゃんと二人で一緒に出社して。
 
いつも通りの月曜日。
 
また同じ一週間が始まる。
 
 
男)お嬢の反抗期は終わったの?w
◇)は?
男)サングラス、カッコ良かったのに。
◇)……ふんっ。
男)なんだよ!w
男)やっぱりまだ反抗期だw
 
 
もう…
あんなになるまで泣かないもん。
 
 
多)ね、ね、◇ちゃんっ
◇)はい?
多)今日の夜、何か予定あるー?
◇)ええと…
 
 
今日は♡ちゃんもいないし
何もないけど…
 
 
多)居酒屋えぐざいる、
  一緒に行かない?♡
◇)……
多)昨日生放送の後、
  メンバー全員来たらしいのよぉ!
  もう悔しくって〜〜!!
◇)……
 
 
そうだったんだ…。
 
 
多)全員よ?全員!
  信じらんないっ!!
◇)……
男)多田さんの好きな岩ちゃんも
  来てたんですか?w
多)そうよぉ!もぉ〜〜〜ッ!!
◇)……
多)だから今日も来てくれないかしら…
  なんて♡
男)二日連続でなんて来るんすか?w
多)……可能性は限りなく低いわね…。
男)あはははw
多)でも昨日岩ちゃんがいた空間に
  行くだけでも価値があるわっ♡
  ね、◇ちゃん、良かったら一緒に…
◇)ごめんなさい、今日は予定あるんです。
多)あら!そうなの?残念〜〜!
◇)……
 
 
ごめんなさい、多田さん。
 
あたし…
多田さんに嘘ばっかりついて…
もうやだな。
 
 
はぁ……。
 
 
今日は帰ったら一人かぁ。
 
一人で飲みにでも行こうかな。
 
友達とワイワイする気分でもないし…
 
 
ああ…なんかもう…
遠いところに行きたい。
 
 
あ、来月の夏休み…どうしようかな。
もう一人で海外とか飛んじゃおうかな…。
 
 
カタカタとキーボードを打ちながら
そんなことを考えてたら
デスクの上で揺れた携帯。
 
LINEを送ってきたのは、優助。
 
 
『今日、仕事早く終わりそうなんだけど
 飲みに行かない?🍻』
 
 
◇)……
 
 
そういえば昨日…どうなったんだろ…。
 
 
◇『またビアガーデン?』
優『違うよ笑
  どこでもいいよ🍷』
 
 
会いたいのに…会いたくない。
 
もうわかんないや…。
 
 
◇『行かない。ごめんね。』
優『予定あった?』
 
 
そのメッセージに、返事を返せずにいると…
 
 
優『予定ないなら行こっ!!
  ◇に会いたい。』
 
 
ストレートな言葉が届いた。
 
 
どうしようか迷ってるうちに
またメッセージが来て…
 
 
『美味しいお酒飲もっ!🍷🍸』
 
『美味しいもの食べよ!🍖🍝』
 
『終わったら迎えに行くから!』
 
 
◇)…っ
 
 
結局あたしは断れないまま、
 
定時で上がって、優助と合流した。
 
 
優)良かった〜〜来てくれてw
◇)……
 
 
だって…
 
 
優)へへへ♡
◇)……
 
 
そんな嬉しそうに
無邪気に笑わないでよ。
 
 
優)何か食べたいものある?
◇)…なんでもいい…。
優)よっし!じゃあ俺のオススメの店行こ!
 
 
そう言ってあたしの手を引く優助。
 
そのまま付いていくと
なんだかスタイリッシュなお店に
辿り着いた。
 
 
◇)なんの…お店…?
優)うーん…創作料理…?
  和食が多いかな?
◇)そっか。
 
 
テーブルにつくと、
優助がジャケットを脱いで。
 
前から思ってたけど…
 
 
◇)優助ってスーツじゃないんだね。
優)ああ、うん。
  うちの会社、オフィスカジュアルだから。
  ジャケットっぽいの羽織ってれば
  それでOKなんだ。
◇)そうなんだ。
 
 
あたし…
スーツよりこういう方が好きだな。
 
楽な感じなのに、ちゃんとオシャレで。
 
 
優)◇も私服なんだね。
◇)あ、うん。
  あたしは内勤だから。
  外に出ることがある人は
  オフィスカジュアルだよ。
  あ、男はスーツだけど。
優)へぇ〜〜〜〜
 
 
そんな話をしながら
最初のお酒で乾杯をした。
 
 
優)昨日は何してたの?
◇)あ、…っ
 
 
「もし来れるなら来て。」
 
 
そう言われてたのに、行かなかったんだった。
 
 
◇)昨日は…♡ちゃんと…
優)あ、そっか!
  まだ♡さんいたんだ!!
◇)うん。今日帰っちゃったけど…
優)そっか!
  ごめんな、誘ったりして。
◇)ううん、全然いいんだけど…
 
 
断ったのは…
♡ちゃんがいるからじゃないし…
 
 
優)昨日さ、すげぇ気持ち良かったよ。
  外で飲むビールは最高!
◇)そっか。
  桜どうだったー?
優)ああ、桜ちゃんねーー
  うちの会社の奴らが気に入ってたよ。
◇)おおっ
優)素直で良い子だよねーって。
◇)素直…、うん、確かに……
 
 
裏表ないのがあの子のいいところではある。
 
 
優)桜ちゃんの友達もなんか似てたなw
  みんないい子だったよー。
◇)そうなんだ。良かったね。
優)え?
◇)みんな素直な可愛い子で。
優)……
 
 
あたしがそう言うと
優助はふっと笑って…
 
 
優)でも俺は、素直じゃない子を
  好きになっちゃったからねーー
 
 
そう言ってあたしの頭を撫でた。
 
 
優)素直じゃなくて意地っ張りなのに…
  でも甘えんぼな可愛い子。
◇)は…?!///
優)◇のこと。
◇)……///
 
 
そんな優しい顔で…
なでなでしないで…。
 
 
優)◇は…
  長女で育ってきたから
  自然とそうなったんでしょ。
◇)え…?
優)困ってる人をほっとけなくて、
  無意識に世話焼いちゃって。
◇)…っ
優)しっかりしなきゃ、って
  甘えるのが苦手で。
◇)……
優)でもほんとは誰よりも甘えんぼ。
◇)……何…それ…//
優)昨日桜ちゃんから聞いた話w
◇)は???
 
 
あいつ、何を言ったんだ!
 
 
優)昔からお姉は
  桜とお兄の面倒見てくれて
  厳しいけど優しいんだって。
◇)…っ
優)お姉が作るご飯が大好きって。
  お手伝いさんが作るより
  美味しいんだって。
◇)……
優)そう言ってたよ。
◇)……
優)◇のこと、大好きなんだなって。
◇)……
優)俺も◇みたいな姉ちゃん
  欲しかったなーーw
 
 
優助はニコッとイタズラに笑った。
 
 
優)なんてね。嘘だけど。
◇)え?
優)◇は姉ちゃんじゃなくて彼女がいい。
◇)…っ
優)じゃないといっぱい甘えさせて
  やれないもん。
 
 
ほっぺをくすぐる、優しい指先。
 
 
優)なーー?♡
◇)……///
 
 
なんなのっ!!
 
 
◇)酔っ払い!!
優)いやいや!酔ってねぇし!!
  まだ一杯目だし!!
◇)…っ
 
 
……ふんだっ///
 
 
優)ほら、これ食ってみーー
◇)ん?
優)めっちゃ美味しいから。
  一番のオススメ。
◇)……
 
 
優助がお皿に取り分けてくれたのは
白身魚のあんかけ。
 
 
◇)……っ!!
  美味しいっ!!!
優)でしょー?w
◇)何これ!!
 
 
絶妙な甘さと
パリパリに香ばしいお魚!!
 
 
◇)美味しい〜〜〜♡
優)ふはっw
◇)ん?
優)連れてきて良かったなーって。
◇)……
優)笑ってくれるだけで嬉しい。
◇)……
 
 
そういえばあたし…
 
なんだか心が荒んでたのに…
 
今は普通に笑ってる。
 
 
優)はい。これも食べなさい。
  美味しいから。
◇)……
優)ちゃんと噛むんだぞ。
◇)……お母さんみたい…
優)誰がお母さんや!w
◇)あはははw
 
 
目の前には
優しく笑ってくれる優助がいて…
 
一緒にいると、心が和むの。
 
 
なんか…安心する…。
 
 
優)◇んとこはさ、
  夏休みどんくらいあるの?
◇)えっと…今年は一週間くらいかな?
優)おお!長いね!いいな〜〜
◇)優助は?
優)俺は5日間くらい。
  有給足すか迷ってるけど。
◇)足しちゃえ足しちゃえw
優)でも墓参り以外、特に予定もないしさw
  ◇はどっか行くの?
◇)うーん…
 
 
あたしも奈良には帰るけど…
それ以外は。
 
海外行きたいけど…
ハイシーズンだから高いかなぁ…
 
 
優)一緒にどっか行く?
◇)えっ…
 
 
一緒に?!!
 
 
◇)え…っと……
優)そんな困んないでよ…w
◇)…っ
優)もし良かったら。
◇)……
優)どこでも連れてってやるから言って。
◇)……
 
 
何それ…
なんでそんな男前なの。
 
 
優)せっかくの夏休みだからな〜〜
  楽しまないと!♪
◇)……
 
 
優助と一緒だったら…楽しそう。
 
自然とそんなイメージが湧いた。
 
 
 
それからはお酒を飲みながら
お互いの仕事の話をしたり
家族の話をしたり
 
料理はどれも美味しくて。
 
楽しい時間は
あっという間に過ぎていった。
 
 
◇)ごちそうさまでした…。
優)うん。
 
 
いつもご馳走してくれる優助。
年下なのにな…。
 
 
優)顔赤いよ…w
◇)え……
優)酔った…?
◇)酔って…ないもん…
 
 
ほんとは少し…ふわふわしてるけど…
 
 
優)もう帰る…?
◇)……
 
 
まだ帰りたくないけど…
明日も仕事だし…
 
 
◇)うん…帰る。
 
 
エレベーターの前。
 
そう返事をして俯くと、
きゅっと握られた右手。
 
 
優)…ほんとは…帰したくないし…
  連れて帰りたいけど…
◇)……
優)我慢…するから…
  少しだけ…こうさせて。
◇)…っ
 
 
そう言って、ふわっと閉じ込められた
優助の腕の中。
 
 
とくん…
 
とくん…
 
 
安心する、ぬくもり。
 
 
優)◇……、
◇)……
 
 
優しい声が、名前を呼ぶ。
 
 
優)……好きだよ…。
◇)……
 
 
とくん…
 
とくん…
 
 
あたし…
この腕の中にいたい。
 
 
だって…
 
こんなにほっとするの。
安心するの。
 
 
もう考えるの疲れちゃったよ…。
 
こんなに安心して…
離れたくないって思うんだもん…。
 
 
あたし…
優助のことが好きなんだよね?
 
そうだよね…?
 
 
◇)…優…助……
 
 
………もう、いいや。
 
あたし、決めた。
 
 
優)そんな顔で…見ないで…///
◇)え…?
優)…キス…したくなる…///
◇)……
 
 
しても…いいのに…。
 
そう思って、あたしも優助の背中に
腕を回した。
 
 
優)……はぁ、…好きだよ…///
◇)ありがとう…。
 
 
あたし…
ちゃんと剛典と別れる。
 
 
そしたらもう…
苦しい気持ちもきっとなくなって…
 
この腕の中で
安心していられるんだよね…?
 
 
◇)優助……
 
 
ちゃんと…
剛典と別れるから…
 
それまで、待っててくれる…?
 
 
……好き。
 
きっと、間違ってない。
 
 
この気持ちは…
ちゃんとけじめをつけたら、伝えるから。
 
 
◇)優助、ありがとう…。
優)……
 
 
あたしの言葉に、
優助は愛おしそうな瞳で
あたしの頬を撫でた。
 
 
 
 
 
ーendー

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  1. a__ichin.y より:

    ゔぅぅぅぅぅ(T^T)
    ◇ちゃん絶対まだ岩ちゃん好きやん。
    優助への気持ちは錯覚やから~ᐠ( ᐪᐤᐪ )ᐟ
    惑わされないで~ᐠ( ᐪᐤᐪ )ᐟ
    岩ちゃん推しとしてはその選択はイヤすぎる~(っ´;ω;`с )

    • マイコ より:

      錯覚なのかなぁ…( ;゚³゚);゚³゚);゚³゚)
      本当にまだ岩ちゃんのこと好きなのかなぁ…( ;゚³゚);゚³゚);゚³゚)

  2. のあ より:

    マイコさん、こんばんわ❗

    はじめてコメントさせていただきます。
    がんちゃんstory気になって気になって。。。

    優助には「それはそれ『で』いい」で、
    がんちゃんには「なるならなれ『ば』いい」

    この違いに◇ちゃんの本心が隠れていると思うのですが
    がんちゃんfanなので贔屓&深読みしすぎかな⁉️

    これからも更新楽しみにしてます✨

    • マイコ より:

      のあさんヽ(*^ω^*)ノ初コメありがとうございます♡
      え、え、その違いがよくわかってないアホ作者ですヾ(・ω・`;))ノ三ヾ((;´・ω・)ノおろおろ笑
      岩ちゃん全然出てこないけどもう少し待っていてくださいね!
      どうか見捨てないで〜〜!(/≧ロ≦)/

  3. 大きな木の下の雪だるま より:

    ♢ちゃん、やっと心が決まったのですね。
    みんな岩ちゃん派かと思うのですが……
    私的には優助を選んでくれて嬉しいです(笑)

    • マイコ より:

      おおお!そう言ってくれる人もいて嬉しいです!
      意外に優助派もおるんですよ(ฅ¯ω¯ฅ )ニヤリ

  4. Omilove Morning より:

    あぁぁぁぁーーーーー!!!!!
    いやだーーーー!!!岩ちゃん死んじゃうよー!!!最悪やーー!!
    見るんじゃなかった笑笑 でも楽しみだったから見てしまう笑笑
    考え直してーー!

    • マイコ より:

      ◇ちゃんって一度決めたら貫きそうだよね…(❁´ω`❁)

  5. 三代目妄想love より:

    あああああああああーーー!!!!!!
    優助邪魔をするなーーーー!!!!!!
    別れるなどうちが許さん!!!!!!
    別れないでーーー(T_T)

    そっちは雪はすごいですか?
    風邪など気をつけて下さい!

    • マイコ より:

      優助グイグイ来るよね〜〜〜( ;゚³゚);゚³゚);゚³゚)
      ごめんね、岩ちゃん♡

  6. まい より:

    嫌だ嫌だ嫌だーーーー!
    別れないでくださーーい!
    おねがい…

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