『今日は生放送の27時間TVに出ます。
絶対見て。
俺あんまり映らないかもだけど
全力で踊ってきます!!』
今日のお花はカモミール。
◇)……
近所のカフェで
一人でランチして帰って来たら
ポストに入ってた。
今日は日曜日。
♡ちゃんは今日も朝から撮影で
早い時間に出て行った。
あたしは今日は…
読書でもしてようかな。
そんなことを考えながら
カモミールを花瓶に挿した。
ガラスの花瓶の中には
いろんなお花がひしめき合ってる。
◇)……
剛典と離れて、もう10日。
距離を置いたら
少しは自分の気持ちも整理できるかなって
そう思ってたのに
まだ答えは見えない。
「離れてても、電話もLINEもする。
嫌なら無視していいよ。
でも、俺はするから。」
剛典はそう言ってたけど、
電話もLINEも一度も来ない。
その代わりに、毎日こうして
お花と手紙がポストに入ってる。
◇)はぁ……。
ピロリロリロ♪ピロリロリロ♪
◇)…っ
電話の音に、慌てて携帯を手に取ると、
着信は優助だった。
◇『もしもし?』
優『◇?今何してる?』
◇『あ、えっと…、ぼーっとしてた。』
優『ははは、何それw
せっかくの日曜なのに。』
そうだよね。
優『今日の夜、空いてない?』
◇『…えっと……』
今日の夜は…
優『なんか予定ある?』
◇『……』
予定は…ないんだけど…
……生放送が……
優『桜ちゃんとビアガーデン行こうって
話してて。』
◇『は??桜???』
意外な展開に少しびっくり。
◇『二人で行くの??』
優『あ、ううん、違う違うw
桜ちゃんが誰か紹介してって言うから
うちの会社の奴らも誘って。』
◇『あ、そうなんだ…。』
優『桜ちゃんも友達連れてくるって。』
◇『そっか。
合コン的なやつね?』
優『合コン…?うーん、
みんなにとってはそうかな。』
◇『……』
優『俺は◇に会いたいから電話したの。』
◇『…っ』
えっと…
どうしよう…
優『一緒に飲もうよ!』
◇『……』
優『今日天気も良いし、
外で飲んだら気持ちいいよ。』
◇『……』
そうだよね…
そう思うんだけど…
◇『あたしは…いいや…』
優『……』
◇『優助、普通に合コン楽しんできなよ。』
優『は…?』
◇『桜の友達も来るんでしょ?』
優『…だから…
俺にとっては合コンじゃないって
言ってるじゃん。』
あ、優助の声のトーンが少し下がった。
優『てゆーかさ、
俺が合コン行っても全然いいの?
そんな勧めちゃう感じなの?』
◇『…っ』
そう言われて、ハッとした。
あたし…
自分のこと好きって言ってくれてる人に
合コン楽しんできなよとか…
無神経だった…?
優『俺は…
◇が合コン行くかもしれないって時、
すっげぇモヤモヤして
絶対やだって思ったのに…』
◇『……』
優『◇は少しも思ってくんないの…?』
◇『……』
……思わなかった…。
◇『……』
優『……』
◇『……』
優『…ごめん。
ええと……、もし来れるなら来て。』
◇『……』
優『待ってるから。』
◇『……わかった。』
優『…急に…ごめんな。』
◇『ううん…。』
少し気まずいまま、電話は切れて。
◇)……
あたし…
優助のこと好きかもって
少し思ってたのに…
どうしてヤキモチ妬かないのかな。
桜の友達だから…?
……ううん、そんなの関係ないよね…。
優助に新しい出会いがあって
他の人を好きになるなら
それはそれでいいって、思える。
でも…
それは剛典も一緒。
剛典も他の人好きになるならなればいいって
そう思ってる。
◇)はぁ……。
あたし…もう…
自分の気持ちがわかんないや…
一生一人でいいかも。
……
…
♡)ただいまーーっ♡
◇)おかえりーーー
お疲れさま♡
♡)えへへっ
M)お邪魔しまーす♡
◇)どうぞ〜〜〜
夕方、撮影を終えた♡ちゃんが
Mちゃんを連れて帰って来た。
あたしの家にステイしてるって言ったら
遊びに行きたいって言い出したみたいで。
じゃあ一緒にご飯食べようかって
冷やし中華を作ってみた。
♡)わーん!美味しそう〜〜♡
◇)ちょっと作りすぎちゃったw
M)そういえばこのマンションって
Tさんも海璃ちゃんも同じなんですよね?
♡)あ、うん!
M)呼んでみます?
◇)うん、いいよー。
それからすぐやってきたのは海璃ちゃん。
♡ちゃんの誕生会の時に
少しだけ話したけど
なんか雰囲気が♡ちゃんに似てて
可愛らしい女の子。
M)今日はTさんとご飯の日じゃなかったの?
海)あ、今日は接待みたいで…
M)そうなんだ〜〜
◇)ご飯の日?なぁにそれ?
海)えっと…///
もじもじしながら教えてもらった話は
なんとも可愛い内容で。
◇)そっか…
海璃ちゃんは王子が好きなのか…
海)……(こくん)///
そしてそんなに健気に頑張ってるのか…
なんかいいなぁ…。
M)あ、そーだ、先輩!
来週の撮影なんですけど…
♡)はい!
Mちゃんと♡ちゃんは
ソファーで仕事の話をしてるみたいで
盛り付けは海璃ちゃんが手伝ってくれた。
◇)王子は海璃ちゃんの気持ちに
気付いてたりするの?
海)……まったくです…。
◇)……
そっか、鈍そうだもんね、うん。
てゆーか…
鈍いとかの前に…
あんなに♡ちゃんのこと好きだったわけだし
そのへんはどうなってるんだろ…。
海)でも…今は…いいんです…。
◇)え…?
海)気付いてもらえなくても。
◇)……
海)気付いて欲しいっていう気持ちも
もちろんあるけど…
気付いてもらったからって
好きになってもらえるわけじゃないし…
◇)……
海)Tさんには…まだ…
忘れられない人がいるから…。
◇)…っ
それは…
その相手が♡ちゃんっていうのは…
きっとわかってるんだよね…?
◇)……
この子も切ない想いをしてるんだ…。
海)今は…Tさんが
少しでも笑ってくれるだけで
私は嬉しいから…
◇)……
海)そんな風にそばにいれたら…
それだけでいいんです…。
◇)……
海)多くは望まないです…。
◇)……
なんて健気なんだろう…。
さっきまで荒んでた自分の心が
なんだか洗われた気分。
◇)好きな人が…笑ってくれるだけで…
嬉しい、か…。
海)……
そんな言葉を聞いて思い浮かぶ笑顔は…
◇)…っ
__やめた、考えない。
◇)はい、できたよーーー
♡)わーいっ!ありがとう♡
それから4人でテーブルを囲んで
いただきますをした。
M)美味しい〜〜〜♡
冷やし中華最高〜〜♡
海)夏って感じですね♡
♡)うんっ♡
みんな美味しそうに食べてくれて
ほっとしてたら…
いきなりぶっ込んできたのは、
Mちゃんだった。
M)私は◇さんの恋バナが聞きたいです〜♡
◇)ぶっ、ごほごほっ
M)いつから付き合ってるんですかぁ?
◇)…っ
えっと…
M)どっちから告白したんですかー?
どんな風に付き合ったんですかー?
◇)……
どうしよう。
Mちゃんの目がるんるん楽しそう。
◇)ええと…
もう…付き合ってるとも言えないような
状況なんだよね…
M)えっ!別れたんですか?!
◇)…うん…そんな感じ…。
♡)別れてないもん!!
◇)…っ
♡)距離置いてるだけだもん!!
◇)……
なぜか♡ちゃんがムキになる。
M)あんなお似合いだったのになぁ…
海)はい…
ん…?
なぜか残念そうな二人。
あんなに…お似合いって…
◇)あああ!!
そっか!!!
♡ちゃんの誕生会の時に
一緒にいるところ見られてるんだった!!
◇)…っ
じゃあ…
相手が剛典ってバレてるのか…
でも…
あんなんで付き合ってるって…バレる…?
海)なんか…岩ちゃんが…
すごくニコニコしてて…
はっ!!
岩ちゃんなんて呼んですみません!///
◇)…いや…、いいけど…
海)えっと…
いつもの王子様スマイルとかじゃなくて…
本当に楽しそうに笑ってたから…
◇)……
海)本当に◇さんのこと、
大好きなんだなぁって…
勝手にじろじろ見てしまいました…///
◇)……
M)そうですよぉ。
あんなにラブラブに見えたのに。
なんで別れちゃったんですか?
♡)別れてないってば!!
M)あ、なんでしたっけ。
距離置いてるんでしたっけ…?
◇)……うん。
ほんと…
なんでこんなことになったのかな。
あの夜は…すごくすごく、楽しかったのに…。
海)もう…好きじゃないんですか…?
◇)…っ
わかんない。
◇)…今…気になる人が…いて…
海)えっ!
M)岩田さん以外にですか?!
◇)うん…。
M)きゃーーー!
男の闘いだ〜〜〜♡
♡)Mちゃんっ!
そんな面白がらないのっ!!
M)はーい…すいませーん…
◇)……
はぁ…
考えてたらまた気分落ちてきた…。
M)今のところどっちが勝ってるんですか?♡
◇)え…?
M)好きな気持ち♡
◇)…わかん…ない…。
M)その気になる人とは
もうHしたんですかー?
◇)してないよっ!
M)え〜〜してみればいいのに〜〜
♡)Mちゃん!!
M)だってぇ…
してみなきゃ
わかんないじゃないですかぁ。
♡)何が!
M)どっちが相性いいか♡
♡)……
海)……
M)私だったら相性いい方選ぶなぁ〜♡
◇)……
まぁ…
確かにそれはそうなんだけど…
してみなきゃわかんないんだけど…
M)あとはもう流れに任せるとか!
◇)え…?
M)その人ともHしてみてぇ、
岩田さんを忘れられたらその人にする!
◇)…っ
M)その人とHしたのに
それでも岩田さんを忘れられなかったら
岩田さんと戻る!
◇)……
M)気持ちでわからないことって
案外、身体が教えてくれたり
するじゃないですか〜〜
◇)……
そんなの…
試した事ないからわかんない。
わかんないけど…
答えが出るのかなって気もする…。
でも…
そんな暴挙に出るなんて選択肢は
さすがにない。
♡)さっきから変な事ばっかり言わないで!
M)え〜〜〜
変な事じゃないですよぅ。
先輩は登坂さんしか知らないから
そういう発想が浮かばないだけです。
♡)…っ
M)もっとズルい女なんて
世の中たくさんいるんだから。
♡)で、でも…っ
岩ちゃんと別れたわけじゃないのに
他の人とそんなことしたら…
M)それは綺麗事です。
♡)…っ
Mちゃんは…
恋愛経験多いのかな…。
なんかすごく割り切ってるように
見えるけど…
♡)でも!!
同じこと、岩ちゃんがしたら嫌でしょ?!
◇)え…?
♡)距離置いてる間に…
他の女の子とそんなことしてたら…
◇)……
その問いに、どこか冷めてる自分がいて。
◇)それならそれでいいよ。
別れるだけ。
♡)…っ
別に強がりとかじゃなくて
本当にそう思った。
他の女のところに行くなら行けばいい。
逆に…
こんな風に毎日お花を届けられる方が
なんだか胸が痛む。
海)あっ…
もうすぐEXILEが出るみたいですっ!
ずっと付けっぱなしにしてたTV。
M)え!じゃあ岩田さん出るの?!
海)たぶん…
思わずみんな無言になって、
TVを見つめた。
曲はChoo Choo TRAINから始まって。
♡)岩ちゃんどこぉ?!
海)新メンバーは後ろなのかも…
♡)もう!見えないよぉ!
みんな邪魔ーー!!
◇)…っ
なぜか♡ちゃんが
剛典を探すのに必死になってる。
♡)全然映んないっ!岡村さんばっかり!
海)オカザイルだから仕方ないです…
♡)もぉっ!
◇)……
ほんとに剛典全然見えない…。
M)あ、次はRising Sunですねー
♡)もう!なんでずっと
岡村さんが真ん中なのー!
海)それは…主役だから…
♡)岡村さんのばかーーっ!
◇)……
♡ちゃん…
岡村に罪はないよ…
♡)あーーっ!!!
岩ちゃん来たーーー!!!♡♡
◇)…っ
途中でフォーメーションが変わって
新メンバーが前に来て…
剛典が、笑顔で踊ってる。
M)あ、岡村が小芝居してる。
海)マイク奪った!w
M)あはははw
♡)あーん!岩ちゃんまた後ろいっちゃった!
◇)……
最後の曲は『EXILE PRIDE』で
新メンバーはまた一番後ろで…
でもたまにチラッと映る剛典は
笑顔で踊ってた。
海)あっという間に終わっちゃった〜〜
♡)もっと岩ちゃん映してよぉ!
◇)なんでそんなに♡ちゃんが熱くなるのw
♡)だって…!!
岩ちゃん、絶対◇ちゃんに
見て欲しかったはずだもんっ!
◇)……
そうなのかな…。
あたしは…
ニコニコ踊る剛典を見て…
少しだけ遠く感じた。
剛典には剛典の時間が流れてて
仕事もこうして頑張ってて…
もうこれでいいんじゃないかなって。
このまま別の時間が流れていって…
そしたら自然と
忘れられるんじゃないかなって…。
……
…
それから一夜明けて、月曜日。
朝からせっせと荷物をまとめてる♡ちゃん。
今日の夜には臣さんが帰ってくるから
♡ちゃんがうちにステイするのももう終わり。
♡)ふぅっ、これで全部かなー?
◇)忘れ物、ない?
♡)多分大丈夫!
もしあったら取りに来るーw
◇)うんw
なんだか…寂しいな。
♡)一週間、お世話になりましたっ♡
ありがとう♡
◇)ううん、あたしこそありがとう。
楽しかった。
♡)へへへー♡
♡ちゃんがいてくれて
本当に気が紛れたし、癒されたもん。
◇)ええと…♡ちゃん…。
♡)んー?
最後の朝ごはんを一緒に食べながら…
せめて今の段階でのあたしの気持ちを
ちゃんと報告した方がいいのかなって…
重たい口を開いた。
◇)えっと…
いっぱい…心配かけて…ごめんね?
♡)…ううんっ!
◇)気持ちも…ずっとモヤモヤしたままで…
♡)うん…。
こんな自分、自分でも嫌だし…
なんか…疲れてきちゃった…。
◇)あたし…
優助のことは…
ちゃんと考えようって思ってる…。
♡)うん…。
◇)…剛典の…ことは…
♡)……
どうしても、考えたくなくて…
現実逃避してるって、わかってる。
時間が欲しくて…
でも…
◇)もう…お花持ってこないでって…
言おうかな…。
♡)どうして?!
◇)…っ
だって…
◇)なんか…申し訳ないっていうか…
♡)何が申し訳ないの?
◇)剛典…忙しいのに…
わざわざあたしなんかのために…
♡)迷惑とかじゃないでしょ?!
◇)…うん…。
迷惑なわけない。
◇)お花は…嬉しいけど…
ポストを見るたびに、嬉しくなる。
でもその後すぐに、
申し訳ない気持ちになる。
◇)忙しいのに…
わざわざうちまで…毎日…
♡)嬉しいなら、
そんなこと考えなくていいと思う!
◇)え…っ
♡)そんな風に気にしなくていいと思う!
◇)でも……
♡)岩ちゃんの気持ちは…
私にはわからないけど…
きっと、◇ちゃんに笑ってほしくて…
少しでも気持ちを届けたくて…
お花を届けてるんだと思うの。
◇)…っ
その言葉に…
なんだか目の奥が熱くなった。
♡)忙しいのに無理して…とか
そんな風に◇ちゃんに
思って欲しいんじゃないよ!
◇)…っ
♡)岩ちゃんの…気持ちだから…
嬉しいって思うなら
普通に受け取ってあげて…
◇)……
♡ちゃんが…
そんな悲しそうな顔…しないで…。
♡)あ、でも…っ
岩ちゃんの味方をしてるとかじゃ
なくて…っ
◇)……
♡)優助くんも良い子だと思うし…
◇)……
♡)そんなに急がなくてもいいと思う!
◇)…っ
♡)◇ちゃんがゆっくり考えて
答えを出せばいいと思うから…
◇)……
♡)私は、◇ちゃんの味方だよっ!
どんな答えになっても…
ずっと友達だもんっ!!
一生懸命そう言ってくれる♡ちゃん。
◇)ありがとう…。
あたしには
勿体ないくらいの友達だよ…。
……
…
それから♡ちゃんと二人で一緒に出社して。
いつも通りの月曜日。
また同じ一週間が始まる。
男)お嬢の反抗期は終わったの?w
◇)は?
男)サングラス、カッコ良かったのに。
◇)……ふんっ。
男)なんだよ!w
男)やっぱりまだ反抗期だw
もう…
あんなになるまで泣かないもん。
多)ね、ね、◇ちゃんっ
◇)はい?
多)今日の夜、何か予定あるー?
◇)ええと…
今日は♡ちゃんもいないし
何もないけど…
多)居酒屋えぐざいる、
一緒に行かない?♡
◇)……
多)昨日生放送の後、
メンバー全員来たらしいのよぉ!
もう悔しくって〜〜!!
◇)……
そうだったんだ…。
多)全員よ?全員!
信じらんないっ!!
◇)……
男)多田さんの好きな岩ちゃんも
来てたんですか?w
多)そうよぉ!もぉ〜〜〜ッ!!
◇)……
多)だから今日も来てくれないかしら…
なんて♡
男)二日連続でなんて来るんすか?w
多)……可能性は限りなく低いわね…。
男)あはははw
多)でも昨日岩ちゃんがいた空間に
行くだけでも価値があるわっ♡
ね、◇ちゃん、良かったら一緒に…
◇)ごめんなさい、今日は予定あるんです。
多)あら!そうなの?残念〜〜!
◇)……
ごめんなさい、多田さん。
あたし…
多田さんに嘘ばっかりついて…
もうやだな。
はぁ……。
今日は帰ったら一人かぁ。
一人で飲みにでも行こうかな。
友達とワイワイする気分でもないし…
ああ…なんかもう…
遠いところに行きたい。
あ、来月の夏休み…どうしようかな。
もう一人で海外とか飛んじゃおうかな…。
カタカタとキーボードを打ちながら
そんなことを考えてたら
デスクの上で揺れた携帯。
LINEを送ってきたのは、優助。
『今日、仕事早く終わりそうなんだけど
飲みに行かない?🍻』
◇)……
そういえば昨日…どうなったんだろ…。
◇『またビアガーデン?』
優『違うよ笑
どこでもいいよ🍷』
会いたいのに…会いたくない。
もうわかんないや…。
◇『行かない。ごめんね。』
優『予定あった?』
そのメッセージに、返事を返せずにいると…
優『予定ないなら行こっ!!
◇に会いたい。』
ストレートな言葉が届いた。
どうしようか迷ってるうちに
またメッセージが来て…
『美味しいお酒飲もっ!🍷🍸』
『美味しいもの食べよ!🍖🍝』
『終わったら迎えに行くから!』
◇)…っ
結局あたしは断れないまま、
定時で上がって、優助と合流した。
優)良かった〜〜来てくれてw
◇)……
だって…
優)へへへ♡
◇)……
そんな嬉しそうに
無邪気に笑わないでよ。
優)何か食べたいものある?
◇)…なんでもいい…。
優)よっし!じゃあ俺のオススメの店行こ!
そう言ってあたしの手を引く優助。
そのまま付いていくと
なんだかスタイリッシュなお店に
辿り着いた。
◇)なんの…お店…?
優)うーん…創作料理…?
和食が多いかな?
◇)そっか。
テーブルにつくと、
優助がジャケットを脱いで。
前から思ってたけど…
◇)優助ってスーツじゃないんだね。
優)ああ、うん。
うちの会社、オフィスカジュアルだから。
ジャケットっぽいの羽織ってれば
それでOKなんだ。
◇)そうなんだ。
あたし…
スーツよりこういう方が好きだな。
楽な感じなのに、ちゃんとオシャレで。
優)◇も私服なんだね。
◇)あ、うん。
あたしは内勤だから。
外に出ることがある人は
オフィスカジュアルだよ。
あ、男はスーツだけど。
優)へぇ〜〜〜〜
そんな話をしながら
最初のお酒で乾杯をした。
優)昨日は何してたの?
◇)あ、…っ
「もし来れるなら来て。」
そう言われてたのに、行かなかったんだった。
◇)昨日は…♡ちゃんと…
優)あ、そっか!
まだ♡さんいたんだ!!
◇)うん。今日帰っちゃったけど…
優)そっか!
ごめんな、誘ったりして。
◇)ううん、全然いいんだけど…
断ったのは…
♡ちゃんがいるからじゃないし…
優)昨日さ、すげぇ気持ち良かったよ。
外で飲むビールは最高!
◇)そっか。
桜どうだったー?
優)ああ、桜ちゃんねーー
うちの会社の奴らが気に入ってたよ。
◇)おおっ
優)素直で良い子だよねーって。
◇)素直…、うん、確かに……
裏表ないのがあの子のいいところではある。
優)桜ちゃんの友達もなんか似てたなw
みんないい子だったよー。
◇)そうなんだ。良かったね。
優)え?
◇)みんな素直な可愛い子で。
優)……
あたしがそう言うと
優助はふっと笑って…
優)でも俺は、素直じゃない子を
好きになっちゃったからねーー
そう言ってあたしの頭を撫でた。
優)素直じゃなくて意地っ張りなのに…
でも甘えんぼな可愛い子。
◇)は…?!///
優)◇のこと。
◇)……///
そんな優しい顔で…
なでなでしないで…。
優)◇は…
長女で育ってきたから
自然とそうなったんでしょ。
◇)え…?
優)困ってる人をほっとけなくて、
無意識に世話焼いちゃって。
◇)…っ
優)しっかりしなきゃ、って
甘えるのが苦手で。
◇)……
優)でもほんとは誰よりも甘えんぼ。
◇)……何…それ…//
優)昨日桜ちゃんから聞いた話w
◇)は???
あいつ、何を言ったんだ!
優)昔からお姉は
桜とお兄の面倒見てくれて
厳しいけど優しいんだって。
◇)…っ
優)お姉が作るご飯が大好きって。
お手伝いさんが作るより
美味しいんだって。
◇)……
優)そう言ってたよ。
◇)……
優)◇のこと、大好きなんだなって。
◇)……
優)俺も◇みたいな姉ちゃん
欲しかったなーーw
優助はニコッとイタズラに笑った。
優)なんてね。嘘だけど。
◇)え?
優)◇は姉ちゃんじゃなくて彼女がいい。
◇)…っ
優)じゃないといっぱい甘えさせて
やれないもん。
ほっぺをくすぐる、優しい指先。
優)なーー?♡
◇)……///
なんなのっ!!
◇)酔っ払い!!
優)いやいや!酔ってねぇし!!
まだ一杯目だし!!
◇)…っ
……ふんだっ///
優)ほら、これ食ってみーー
◇)ん?
優)めっちゃ美味しいから。
一番のオススメ。
◇)……
優助がお皿に取り分けてくれたのは
白身魚のあんかけ。
◇)……っ!!
美味しいっ!!!
優)でしょー?w
◇)何これ!!
絶妙な甘さと
パリパリに香ばしいお魚!!
◇)美味しい〜〜〜♡
優)ふはっw
◇)ん?
優)連れてきて良かったなーって。
◇)……
優)笑ってくれるだけで嬉しい。
◇)……
そういえばあたし…
なんだか心が荒んでたのに…
今は普通に笑ってる。
優)はい。これも食べなさい。
美味しいから。
◇)……
優)ちゃんと噛むんだぞ。
◇)……お母さんみたい…
優)誰がお母さんや!w
◇)あはははw
目の前には
優しく笑ってくれる優助がいて…
一緒にいると、心が和むの。
なんか…安心する…。
優)◇んとこはさ、
夏休みどんくらいあるの?
◇)えっと…今年は一週間くらいかな?
優)おお!長いね!いいな〜〜
◇)優助は?
優)俺は5日間くらい。
有給足すか迷ってるけど。
◇)足しちゃえ足しちゃえw
優)でも墓参り以外、特に予定もないしさw
◇はどっか行くの?
◇)うーん…
あたしも奈良には帰るけど…
それ以外は。
海外行きたいけど…
ハイシーズンだから高いかなぁ…
優)一緒にどっか行く?
◇)えっ…
一緒に?!!
◇)え…っと……
優)そんな困んないでよ…w
◇)…っ
優)もし良かったら。
◇)……
優)どこでも連れてってやるから言って。
◇)……
何それ…
なんでそんな男前なの。
優)せっかくの夏休みだからな〜〜
楽しまないと!♪
◇)……
優助と一緒だったら…楽しそう。
自然とそんなイメージが湧いた。
それからはお酒を飲みながら
お互いの仕事の話をしたり
家族の話をしたり
料理はどれも美味しくて。
楽しい時間は
あっという間に過ぎていった。
◇)ごちそうさまでした…。
優)うん。
いつもご馳走してくれる優助。
年下なのにな…。
優)顔赤いよ…w
◇)え……
優)酔った…?
◇)酔って…ないもん…
ほんとは少し…ふわふわしてるけど…
優)もう帰る…?
◇)……
まだ帰りたくないけど…
明日も仕事だし…
◇)うん…帰る。
エレベーターの前。
そう返事をして俯くと、
きゅっと握られた右手。
優)…ほんとは…帰したくないし…
連れて帰りたいけど…
◇)……
優)我慢…するから…
少しだけ…こうさせて。
◇)…っ
そう言って、ふわっと閉じ込められた
優助の腕の中。
とくん…
とくん…
安心する、ぬくもり。
優)◇……、
◇)……
優しい声が、名前を呼ぶ。
優)……好きだよ…。
◇)……
とくん…
とくん…
あたし…
この腕の中にいたい。
だって…
こんなにほっとするの。
安心するの。
もう考えるの疲れちゃったよ…。
こんなに安心して…
離れたくないって思うんだもん…。
あたし…
優助のことが好きなんだよね?
そうだよね…?
◇)…優…助……
………もう、いいや。
あたし、決めた。
優)そんな顔で…見ないで…///
◇)え…?
優)…キス…したくなる…///
◇)……
しても…いいのに…。
そう思って、あたしも優助の背中に
腕を回した。
優)……はぁ、…好きだよ…///
◇)ありがとう…。
あたし…
ちゃんと剛典と別れる。
そしたらもう…
苦しい気持ちもきっとなくなって…
この腕の中で
安心していられるんだよね…?
◇)優助……
ちゃんと…
剛典と別れるから…
それまで、待っててくれる…?
……好き。
きっと、間違ってない。
この気持ちは…
ちゃんとけじめをつけたら、伝えるから。
◇)優助、ありがとう…。
優)……
あたしの言葉に、
優助は愛おしそうな瞳で
あたしの頬を撫でた。
ーendー
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~~~~~(ノ≧ρ≦)ノいやじゃぁぁぁぁ。
まぁ、◇ちゃんが決めたことならしょうがないよね
優助ー!◇ちゃんを守れよー!ww
切り替え早い。゚(゚^∀^゚)゚。ww
♢ちゃんよかったですね。これでもうモヤモヤと悩まず済みますね。
優助と付き合ってどーぞ岩ちゃんの事を考えずに幸せになって下さい。
自分でそう決めたんだから、もう絶対剛典の事を思い出さず、剛典と優助でフラフラ悩まないで下さい。
マイコさん、やっぱり♢ちゃん、岩ちゃんstory耐えれないです.°(ಗдಗ。)°.
泣かないで〜〜!!!。゚(゚´ω`゚)゚。
なんとか耐えてください!まだまだ長いから!笑
え⁉別れちゃうの⁉
岩ちゃん変わったのに…。
手紙や花だって送ってたのに…。
◇ちゃん許してあげてーm(。≧Д≦。)m
私優助より岩ちゃんが好きだったのに…。
別れちゃ嫌ー(。>д<)
うーーん。゚(゚´ω`゚)゚。困った……
えっ岩ちゃんと別れちゃうの!(◎_◎;)
岩ちゃんどうなるの!優助くん良い人だけどやっぱり岩ちゃんと戻ってほしい。岩ちゃんの気持ち無駄にして欲しくないなぁ。
臣くんが帰って来る(^_^)待ってたよ(≧∇≦)
岩ちゃん今頃何してるかなぁ( ;゚³゚);゚³゚);゚³゚)
え…。わ、別れるんですか!?ダメダメ絶対ダメだよ。岩ちゃんは変わったんだから!!!別れてほしくないです…。
でも決意しちゃったみたい( ;゚³゚);゚³゚);゚³゚)
えっポメちゃんと別れるの?折角手紙送ったのに(TT)本人の前で言ったらポメちゃん何て言うのかな?マイコさんはファンミーティング何か買いましたか?私はとりあえず会場で行く前に決めます(^.^)
なんも買わんよいつも(*^o^*)