少しでも早く向かいたくて
私は荷物を抱えてタクシーに乗り込んだ。
◇ちゃん…
待っててね…!!
一人で泣いたりしないで!!
……でも…
どうして泣いてたのかな…。
岩ちゃんと話せたんじゃないの…?
解決はしてないってことなのかな…
♡)ううう…
心配だよぉ…。
あっ!
◇ちゃん…ご飯は食べたのかな?
何か買って行った方がいいかな?
でも…
そんなの後でいいやっ!!
今はとりあえず、早く行かなきゃっ!!
運転手さんも急いでくれて、
あっという間に辿り着いた
モスグリーンのマンション。
オートロックを開けてもらって
エレベーターに飛び乗って。
玄関のドアを開けると…
◇)ほんとに…来た……
◇ちゃんはそう言って、力なく笑った。
♡)◇ちゃんっ!!!
むぎゅっ!!
◇)ぐえ…っ
私が思わず抱きしめると、
苦しいって腕をトントン叩かれて、
慌てて離した。
♡)…ごめん…っ
◇)……とりあえず…上がって?
♡)うんっ!!
リビングの脇に荷物を置いて
ソファーに座ると…
◇ちゃんはお茶を持ってきてくれて、
そのままラグの上に座った。
大きなため息と一緒に。
♡)……
一体…何があったのかな…。
◇)……
♡)……
しばらく…沈黙で…
俯いてる◇ちゃんをじーっと見てると…
◇)もし…
♡)……
◇)あたしが…剛典と別れても…
♡)…っ
◇)友達でいてくれる…?
急にそんなことを言われて…
♡)…っ
なんかわかんないけど…
泣きそうになった。
♡)ずっと…友達だよ…っ
私がそう言うと、◇ちゃんは
「良かった」って、また力なく笑った。
♡)……
どうして…
そんなこと…聞くの…?
岩ちゃんと…別れるの…?
◇)…あたし……
♡)……
◇)好きな人…出来たかも……
♡)……
その言葉を…
一瞬、理解できなくて……
♡)……えええ?!!!
思わず大きな声が出た。
♡)好きな人って…好きな人って…
合コンは行ってないんだよね?!
◇)うん…。
♡)なんで…っ
一体どこで!!
なんで!??
好きな人って何??!!
◇)ああ…ええと…落ち着いて…。
♡)…っ
◇ちゃんはパニックな私を見て
困ったように笑った。
◇)実は…ね…。
♡)……
◇ちゃんは…
最近出会ったばかりだっていう
優助くんって人のことを説明してくれて…
♡)と、と、泊まったの?!!
◇)……うん。
♡)…っ
なんだか…
私の頭が追いつかない。
◇)一人になりたくなかったし…
優助とまだ一緒にいたいって…
素直にそう思ったの。
♡)…っ
それって…
それって…
ほんとにもう…好きってこと…?
……どうしようっ
岩ちゃん!!!
◇ちゃんが取られちゃうよ!!!
◇)優助は…ほんとに優しくて…
あたしのこと…
丸ごと包んでくれる感じなの…
♡)……
◇)一緒にいたら…
甘えたくなって…
くっつきたくなって…
♡)…っ
◇)弱ってる時に優しくされたら…
そうなっちゃわない…?
♡)……
弱ってる…時……
◇)♡ちゃんが家出してる時…
Tくんとかに…
そうならなかった…?
♡)……
……Tくんは…
毎日お昼一緒にいてくれて…
甘えちゃってた部分は
あるかもしれないけど…
くっつきたくなったりはしなかった。
◇)あんなに真っ直ぐ好きって言われたら…
気持ちに応えたくなるし…
♡)…っ
応えたく…なるの…?
◇)このままキスしてもHしてもいいやって…
♡)えっ!!!
◇)そう思っちゃった…。
♡)したの?!!!
◇)………してないよ…。
♡)…っ
心臓が…止まるかと思った…。
でも…
でも…
してなくても…
してもいいやって思ったんだよね…?
それってやっぱり…もう…
優助くんのこと…好きってこと…?
◇)…できなかった…。
♡)……
それは…どうして…
◇)優助ね、なんであたしのこと
好きになったのかとか…
一生懸命話してくれたの。
♡)……
話を聞いてると、
優助くんはきっと本当に◇ちゃんのことが
大好きなんだなって…
私でもわかる。
すごくすごく…大事なんだなって…。
すごくすごく、伝わってくるけど…
◇)これ以上一緒にいたら
離れたくなくなっちゃうから…
今日は帰ってきたの。
♡)…っ
そんなに…
好き…なの…?
だって…
だって…
岩ちゃんは……?
◇)少し…冷静になって…
一人でちゃんと考えて…
自分の気持ち整理したいなって思って…
♡)……
◇)……
♡)…そっか……。
そうだったんだ。
♡)……
◇ちゃんは…
ほんとに優助くんに惹かれ始めてるんだ…。
でもきっと、
岩ちゃんのことを好きな気持ちが
消えたわけじゃないから…
だから冷静に考えたいって
そう思ってるんだよね…?
♡)岩ちゃんとは……
◇)…っ
私がそう言いかけると、
◇ちゃんの表情が一瞬で変わった。
♡)それから…話したの…?
◇)……
私の問いに◇ちゃんは
「剛典とは…」って言いかけて…
そのまま口をつぐんで
ぽろっと涙をこぼした。
♡)…っ
そのままぽろぽろ涙を流す◇ちゃんを見て
私まで泣きそうで……
ぐっと唇を噛み締めた。
◇)…剛典とは…今は…
距離を置いてるの…。
♡)……
◇)話は…したよ…。
♡)……
◇)いっぱい…謝ってた…。
♡)……
◇)傷つけて、ごめんって…
泣きながら…言われて…
♡)…岩ちゃん…泣いてたの…?
◇)……うん…。
そう頷いた◇ちゃんも
ポロポロ泣いてる。
◇)いっぱい…好きだって言ってくれて…
♡)…っ
◇)バカなことしたけど…
今までのことも全部嘘じゃないって…
何度も言ってくれた。
♡)…っ
◇)あたしのこと好きって気持ちは
嘘じゃないって…
♡)……
そうだよ…。
岩ちゃん…
◇ちゃんのこと…大好きだもん…。
◇)あたしも…もう今は…
騙されてたとか…
わざとそんな風に考えたりはしてない…。
♡)……
◇)剛典の気持ちは…ちゃんと伝わったから…
♡)……
◇)…でも……
そんなすぐには…
戻る気持ちになれないの…。
♡)…っ
◇)剛典が…っ
あんな…泣きながら…
気持ち…伝えてくれたのに…っ
♡)……
そう言って泣いてる◇ちゃんは…
どこか自分を責めてるようにも見える。
きっと…
岩ちゃんのことが好きで…
岩ちゃんが泣いてる姿がすごく苦しくて…
でも、心の傷も深いから…
そんなすぐには元通りにはなれないんだよね。
◇)もう…別れてもいいって言ったけど…
♡)…っ
◇)いつまででも待つって言われて…
♡)……
◇)あたしは…
今は剛典のこと…考えたくなくて…
♡)……
私は…
泣いてる◇ちゃんの背中をゆっくりさすった。
そんなに…責めないで。
◇ちゃんは…悪くないよ…。
考えたくない時は…
無理して考えなくていいもん…。
私が苦しかった時、
そう言ってくれたのは◇ちゃんだよ?
◇)でも…ね…、
♡)……
◇)優助といると…剛典と比べたり…
勝手に頭の中に出てくるの…。
♡)…っ
◇)優助とキスしてもいいって…思ったのに…
キスする直前で、出来なくて…
♡)……
◇)上書きしちゃえば良かったのに…
そしたら剛典のことなんか
忘れられたかもしれないのに…
♡)…っ
◇)剛典のキス、忘れたくないって思ったの。
♡)…っ
それは……
◇)忘れたくないって…思って…
優助と…出来なかった…っ
♡)……
それは…やっぱり……
◇)もう…やだ…っ
♡)…っ
◇)自分でも…わかんなくて…
ぐちゃぐちゃで…っ
♡)うん…。
◇)…ふ…ぇ……っ
♡)無理しないで…
お休みする時は、お休みしよ…?
◇)ふえぇ…っ
♡)考えなくてもいいんだよ…。
◇)…ぐす…っ
◇ちゃんの話を聞いて…
優助くんに惹かれてるのも事実だけど…
岩ちゃんとのキスを忘れたくなくて
優助くんとキスできなかったっていう
その事実が、
全てな気がした。
だって…
忘れたくないって思うくらい…
岩ちゃんからのキスに
愛情を感じたんじゃないかな、って…。
どうでもいいキスだったら
きっとそんな風に思わない。
岩ちゃんはいつだって…
大好きだよって…
そんな気持ちを込めて
◇ちゃんに触れて、キスしてたんだと思う。
だから忘れたくないって思うんだよね…?
好きな人とのそんな幸せな時間、
絶対に忘れたくないもん…。
◇)こんな…ぐちゃぐちゃで…ごめんね…?
♡)ううん…っ
私は恋愛経験も少ないし…
恋愛偏差値も低いから…
何もアドバイスできないし、
力になってあげられない。
◇ちゃんがちゃんと自分で考えたいって
言ってるから…
「◇ちゃんが本当に好きなのは
やっぱり岩ちゃんだよ!」
とか…
そんなことも軽々しく言えない。
ごめんね、◇ちゃん…。
でも…
側にいるから。
ちゃんと◇ちゃんのこと、見守ってるから。
◇ちゃんがどんな答えに辿り着いても
側にいるよ…。
だから…
一人で泣かないで…。
……
…
◇)……はぁ、また明日サングラスかも…
♡)ふふ…っ
◇)泣いたらお腹空いたっ!!
♡)よしっ!ご飯食べようっ!
◇)うんっ!!
◇ちゃんがやっと笑ってくれた。
◇)もう遅いし…今から作るのもなぁ…
♡)じゃあ買いに行こっか!
◇)うん。
二人で財布を持って出かけようとすると、
キッチンにチラッと見えた向日葵。
♡)このお花…なぁに…?
◇)あ…っ
小さくて可愛い向日葵を
手にとってみた。
◇)それは…
♡)……
◇)剛典が…持ってきてくれたやつ…。
♡)え…っ
◇)…って言っても…
勝手にポストに入ってたんだけど…
♡)……
岩ちゃんが届けた小さな向日葵。
花言葉は…
『あなただけを見てる』
♡)……
きっと…
今の岩ちゃんの気持ち。
♡)可愛い向日葵だね…♡
◇)……
♡)帰って来たらグラスに挿してあげよ♡
◇)……うん。
それから私たちは
近くのコンビニまで行って
遅い時間だからヘルシーなものにしようって
春雨とかサラダとかを買い込んだ。
食欲がない時でも
食べるものはちゃんと食べないと!!
♡)あ!そうだ!!
今日◇ちゃんの家に泊まってもいーい?
帰り道、私がいきなりそう言うと
◇ちゃんはびっくりして…
♡)勝手に…お泊まりセット
持ってきちゃった…。
そんな私の言葉に、あははと笑った。
◇)あたしは全然いいけど…
臣さん寂しがるよー?
♡)臣くんはいーのっ!大丈夫っ!
◇)えーー?
あの人、♡ちゃんがちょっとでもいないと
絶対寂しいんだから。
♡)そんなことないよ!w
◇)そんなことあるあるw
そんな話をしながら戻って来た
マンションのエントランス。
◇)…っ
◇ちゃんは、ポストを見て固まった。
♡)どうしたの…?
◇)……また…お花…入ってる。
♡)えっ…!!
◇ちゃんが手に取ったのは、
白くて小さなお花。
♡)なんのお花だろう…。
◇)……ナズナ、だって…。
♡)……
メモを開いてそう言った◇ちゃん。
それは…
岩ちゃんからの…手紙…?
◇)……ばか…。
もしかして岩ちゃんは…
毎日◇ちゃんにお花を届けるのかな…?
♡)……
ご飯の後、◇ちゃんがお風呂に入ってる間に
ナズナの花言葉を調べてみた。
『私の全てをあなたに捧げます』
♡)……
やっぱり…
これも岩ちゃんの気持ち。
でも…
ナズナは夏には枯れちゃうお花って
書いてある。
岩ちゃん…
どうやって持ってきたのかな…?
ピロピロ♪ピロピロ♪
♡)あっ…臣くんだ…!
臣『◇ちゃん、大丈夫?💦
結局今日泊まるの?』
♡『うん!お泊まりするよ!🏠』
臣『明日は帰ってくるよな?』
♡)明日…?
…あ、そうだ。
臣くんは明後日からいないんだし…
◇ちゃん、うちに来ないかな?
一週間もいないんだし、
その間うちで一緒に過ごせたら
気分転換になるかもしれないし、
一人で泣くこともないし…っ!!
♡)あ…っ
でも……。
岩ちゃんが毎日お花届けるなら
◇ちゃんはうちに来ちゃダメだ。
じゃあ…
私が◇ちゃんの家に来ればいいんだ!!
臣くんがいない間、ここに泊まる!!!
♡『一週間、◇ちゃんのおうちに
泊まります!!😊』
臣『え?!明日は!?😳』
♡『明日は一旦帰るね😊』
臣『わかった。待ってる。』
♡『うんっ😊おやすみなさい💕✨』
臣『おやすみ🌙⭐️』
♡)よし、っと。
どうか◇ちゃんが…
また前みたいに幸せそうに笑える日が
1日でも早く来ますように…。
ーendー
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花言葉すてきやな
がんちゃん頑張れ
ファイトー!\\\(۶•̀ᴗ•́)۶////
ポメちゃん向日葵の次は
ナズナを◇ちゃんのポストに入れてるなんて本当に良い人ですね
来年またポメちゃん映画出ますね
去年の冬君と別れ観に行く人多いですよね♪
私は前売り券買いました(*^^*)
どんな話なんだろな〜
私も早く観てみたいな〜(ฅ¯ω¯ฅ )
♡ちゃんの1週間泊まります宣言を聞いた時のオミぜったい1人で葛藤したんだろうなwww
メンバーは苦しんでるのにオミはフル充電で旅立つのか( ˘・з・)笑
フル充電…!。゚(゚^∀^゚)゚。ww
まぁ1日我慢したご褒美に…ね笑
◇ちゃん最初がんちゃんのことが大嫌いって言ってたけど
今はがんちゃんのことが忘れられないんだよね
♡ちゃん優しいな◇ちゃんが少しでも楽になれるようにって考えてくれてるんだろうな
がんちゃんが◇ちゃんに持ってきたお花はがんちゃんの気持ちが
たくさん込められているんだ
早く仲直りしてほしいな~
さて…♡ちゃんがステイする一週間、どうなることやら(ฅ¯ω¯ฅ )
◇ちゃんの家に行ったんですね。花言葉は岩ちゃんの今の気持ちだったとは…。
◇ちゃん、優助に惹かれはじめてるよ。
◇ちゃんの気持ちが変わりましたね。最初は大嫌いって言ってたのに今は忘れられないんですね。仲直りしてほしいです~。
できるかな〜〜〜( ;゚³゚);゚³゚);゚³゚)
うぅ、、、(T . T)
なんか、モヤモヤします。
今剛典の事を考えたくないと言うのなら、やっぱ優助ともちゃんと距離おいて欲しい、、、。でもきっと会うんだろうなぁ、、、、。岩ちゃんと♢ちゃんの続きは気になりますが、そろそろマイコさん癒しを、キュンキュン出来る話をお願いしたいです。岩ちゃん並みに心痛めてるさゆれです笑笑
ご安心を(❁´ω`❁)次回からしばらく癒しのターンです♡