札幌から帰ってきてすぐ。
早速会いに行こうと思った俺に♧は
『今日は何も買ってこなくていいからね😃』
ってLINEを送ってきて。
隆)……
もう定番になってるプチ差し入れ。
買ってこなくていいって…
それはつまり…
もうお礼のチューはしてくれないってこと?
あんなもんで毎回チューさせやがって
ふざけんなよってこと?
……しょぼん。
仕方なくそのままいつもの場所へ向かった俺に
優しく届いてきたメロディは、
聞き慣れた『君となら』。
隆)!!!
♧がまた三代目歌ってる!!
びっくりした俺は思わず走った。
隆)ちょ、それ…っ
♧)あ、隆二くん来たーー♡
隆)……///
そんな嬉しそうに笑うの、ずるい。
♧)おかえりなさい♡
隆)え…?
♧)札幌から、おかえりなさい♡
隆)ああ!…うん、ただいま…//
♧)ふふっ♡
隆)……///
あれ…?
なんか俺いつもよりドキドキしてるかも。
なんか♧がすごく可愛い。
いや、いつも可愛いんだけど…
♧)〜♪Baby with U 何気ない
Baby with U 今日の日が♪〜
隆)ね、ねぇ!!それっ!!
♧)ん?
隆)なんで…っ
なんで歌ってんの?!
♧)これね、彼が歌ってくれた歌♡
隆)えっ!
♧)ほら、私がリクエストしたでしょー?
隆)……
そういえば…
「どんな奴なの、弟」
「三代目のめっちゃファン。」
臣が言ってたっけ。
♧がリクエストした「彼女を想う歌」に
俺たちの曲を選んでくれたわけね。
♧)あのね、あのね、聞いてーー♡
隆)……///
可愛い…。
俺は誘われるまま、♧の隣に座って
昨日の出来事を聞いた。
♧はすごく嬉しそうに話してくれて…
♧)♡ちゃんっていう女の子が
すっごくすっごく可愛くてね?
隆)シュンくんの彼女じゃなくて
お姉ちゃんだったんでしょ?
俺がそう言うと、♧は目を丸くした。
♧)どうして…わかるの?!
隆)……
♧)隆二くん、すごいっ!!!
隆)……
まるでエスパーを見るような目で
びっくりしながら
俺の両腕を掴んでくるから…
隆)……っ
俺は思わずそのまま、
♧の身体を抱きしめた。
♧)わっ…
隆)……//
ふわりと香る、甘い匂い。
頬に触れる、柔らかい髪。
なんだろう…
ほんとに癒される。
♧)りゅ…っじ…くん…//
どもってる。可愛い。
♧)なんでいきなりぎゅってするの…?
隆)……
♧)……
隆)してって言われたから。
♧)誰に?!
隆)♧に。
♧)…言ってないよ?
隆)俺の腕、掴んできたじゃん。
♧)…それは…そういう意味じゃ…
隆)じゃあヤなの?
♧)……
隆)……
♧)ヤじゃ…、ない…
隆)……///
じゃあいいじゃん…
もう少しだけ、抱きしめさせて。
♧)ねぇ……
隆)ん…?
♧)どうして…
瞬くんの名前…知ってるの…?
隆)……
♧)どうして♡ちゃんが
お姉ちゃんって知ってるの…?
隆)……
♧)……
隆)エスパーだから。
♧)え!!やっぱりそうなの?!
隆)…っ
まさか…信じないよな?
♧)じゃあ、じゃあっ
私が今考えてることもわかるの?!
隆)わかるよ。
なんちゃって。
♧)うそっ!なに?!
隆)なにって…
♧)……
隆)……
なに考えてんだろう…
隆)隆二くんにぎゅってされるの
気持ちいい。
♧)?!!///
なんちゃって。
隆)……
♧)////
あれ、無言…?
隆)ね、当たってるでしょ?
♧)……///
隆)……
……シカト?汗
抱きしめたままだから
顔は見えなくて…
もういいや。
このまま調子に乗っちゃえ。
隆)俺がいない時に
考えてたこともわかるよ。
♧)えっ!??
隆)隆二くん早く帰ってこないかな。
早く会いたいな。
♧)////
なんちゃって。
これはさすがに調子に乗りす…
♧)どうして…わかるの…?///
隆)え…っ
……今、なんて言った?
隆)…っ
抱きしめてた腕をゆるめて
確かめるように、その顔を覗くと…
♧)……///
隆)……///
え…、え…、え…、
「どうして…わかるの…?」
それは、どっち?
俺のぎゅーが気持ちいいってこと?
それとも俺に会いたかったってこと?
ちょっと待って、俺パニック。
隆)////
心臓はバクバクしてるのに…
♧が潤んだ瞳で
まっすぐに俺を見つめるから…
俺は吸い寄せられるように
その頬を手のひらで包んだ。
……少し、熱い。
……こんな…見つめ合ってて…
キスして…いいの?
ドクン…
ドクン…
♧)…あ、っ…、あの…ね、っ…///
隆)…っ
♧)今日…っ、は…、作ってきたの///
隆)……え?
慌てたように俺から離れて、
紙袋から何かを取り出した♧。
木のテーブルに並べられたのは…
隆)プリン…?
♧)うん!
いつも隆二くんが買ってきてくれるから…
今日は作ってみたんだよー♡
隆)え…っ
めっちゃ嬉しい。
手作り…?
隆)食べて…いいの?
♧)もちろん♡
隆)初めての手作りだ…//
♧)え…?
隆)めっちゃ嬉しい♡
♧)…そういえば今度
お弁当も作ってあげるって
言ってたよね。
隆)うん。
ほんとに作ってくれんの?
♧)いいよー♡
隆)……///
え、なんだろこれ。
俺めっちゃ調子に乗りそう。
なんかすげぇいいカンジじゃない?!
脈ありなんじゃないの!?
ヤバイ、ほんとニヤける。
隆)プリンめっちゃ美味しい!!
♧)良かったーー♡
隆)すごい!天才!!
♧)言い過ぎだよ…w
隆)ほんとに!!
♧)ふふっw
ほんとはゼリーかプリンか
迷ったんだーー
隆)ゼリーも食べたい!
♧)じゃあそれは今度ね♡
隆)……///
それも作ってくれんの?
え、もう俺…
踊り出したい。
幸せ。どうしよう。
♧)ねぇねぇ、教えてよぅ……
隆)え?
なにその可愛い言い方。
♧)どうして瞬くんと♡ちゃんのこと
知ってるの??
まさか知り合いだった?
隆)……ひみつーーー
♧)ええ!!どうして?
教えてよーー!!
隆)ないしょ。
♧)……
あ、口尖らせてる。
そんな顔も、めっちゃ可愛い。
♧)会ったこと…あるの…?
隆)ないよ。
弟にはね。
♧)名前だけ知ってるの…?
隆)うん。
♧)私が写メ見せた時も、知ってた?
隆)ううん。
♧)……
俺の返答に謎が深まるばかりみたいで
♧は険しい顔をしてる。
隆)シュンくんって…どんな漢字?
♧)え?
えっと…「瞬」って書くの。
隆)ふーーん。
♧)人生の中にある一瞬一瞬の
大事なことを
ちゃんと見つけられるようにって
お父さんがつけてくれたんだって。
隆)……
♧)前に教えてもらったの♡
隆)……
嬉しそうな顔をして話す♧。
それはつまり、♡ちゃんのお父さん。
♧)隆二くんの名前の由来はなぁに?
隆)……俺は…
生まれた時、西郷隆盛に似てたから…
♧)え!そうなの?!
隆)うん。
♧)すごい!生まれた時から
そんな凛々しかったんだ!!
隆)ぶはっw
あとは、次男だから。
だから「隆二」。
♧)そうなんだーー♡
嬉しそうに聞いてくれる♧に、
うっかり「♧は?」って聞きそうになった。
隆)……
♧に名前をつけてくれた人は…
誰なんだろう。
♧)名前って…親からもらう
一番最初の愛情でしょ?
隆)……うん。
♧)私は自分の名前の由来はわからないし…
誰がつけてくれたのかもわからないけど…
隆)……
♧)いつか子供ができたら
子供には話してあげたいの。
隆)……
♧)こういう理由で、
こういう名前にしたんだよ、って。
隆)……
♧)いっぱいいっぱい…
愛してあげたいなぁ…
隆)……
その言葉を聞いて、
なんだか泣きそうになった。
絶対♧は…良いお母さんになるよ。
隆)子供はいっぱい欲しいな。
♧)私も3人は欲しいなーー♡
隆)絶対楽しいよね。
♧)うんっ♡
隆)……
この笑顔の、そばにいたい。
♧の思い描く未来図の中に、
俺も入れて欲しい。
俺に…守らせてよ……
♧)ごちそうさまでした♡
♧はにっこり笑って
先に食べ終わってた俺の容器と一緒に
全部片付けた。
もう…帰っちゃう…?
隆)あ、そーだ。
札幌のお土産!!
俺はそれを引き留めるように
慌ててお菓子を出した。
♧)白い恋人だーーー
隆)定番すぎてごめんw
♧)定番なものは美味しいから定番なんだよー
隆)あははw
♧)ありがとう♡
本当は他にもいろいろ迷って…
迷いすぎて決められなくて
搭乗時間ギリギリになっちゃって
それにしたっていう…
隆)……
そろそろ、聞いてもいいかな。
隆)……それで、さ…
♧)ん…?
気になってた本題。
隆)告白は出来たの?
♧)……
LINEで聞いても
会った時話すって言われたから…
隆)瞬くんに、伝えた?
♧)……ううん。
隆)えっ…
言えなかったの?
♧)それはね、もういいの。
隆)…っ
もういい??
♧)瞬くんといろいろ話して…
彼女のこと、
本当に大事にしてるんだなぁって
すごく伝わったの。
隆)うん…。
♧)そしたらね、なんか…
心から…幸せになって欲しいなぁって
そう思えたの。
隆)……
♧)スッキリしたっていうか、
なんていうか…
隆)……
♧)瞬くんのことは今でも大好きだけど…
それはもう恋愛感情とは
少し違って…
隆)……
♧)上手く言えないけど…
今はもう「好きだった人」っていう
感覚なの。私の中では。
隆)……
「過去」になった、ってこと?
♧)……伝わった…?
♧が窺うように俺の顔を覗いてきて…
隆)うん。
俺が頷くと、
安心したように笑った。
♧)ふふふ、良かった♡
隆)……
♧)だから…無理に告白しなくても
私の中ではもう区切りをつけられたから
それでいいかなって。
隆)……
♧)隆二くんは応援してくれてたのに…
ごめんね?
隆)いや、それは全然いいけど…
じゃあもう…
次の恋愛に進む気になった?
俺、自惚れてもいいの…?
隆)新しい恋、できるといいね。
好きになってよ、俺のこと。
♧)ふふっ、したいなーー♡
でも出会いがないからなーー
隆)出会いならあったでしょ。
♧)え?
隆)川辺で話しかけてきた
髭おじさんとかーー
♧)あははっ、それ隆二くん?
あはははw
隆)髭おじさんも出会いにカウントしてよ。
ずっと待ってたんだから。
こっち向いてくれるの。
♧)隆二くんはそういうのじゃないもん。
隆)?!!
は!!??
なんつった???
隆)そういうのじゃ…ないって…
♧)隆二くんは…なんだろう。
なんか、もっと特別!!
隆)は???
特別って、何!!
♧)なんだろうな。
大好きだけど恋愛とかそういうのじゃ
ないもん。
隆)……
……絶句。
秒でフラれました、俺。
なんで……?
♧)そういうのじゃなくてね、
なんか特別なの♡
隆)……
そんな満面の笑みで、
地獄に突き落とさないでくれる…?
隆)特別って…何?
♧)え……
隆)俺に会いたかったんでしょ?
♧)…っ
今更引き下がれるかよ。
隆)俺のこと大好きなんでしょ?
♧)…っ、えっと…
大好き…だけど…
隆)俺がぎゅってしても嫌じゃなくて
俺にキスすんのも、嫌じゃないんでしょ?
♧)…っ
俺がそう言うと、♧は黙り込んで…
その頬にそっと触れると、
また熱を持ってる。
隆)…こっち向いてよ。
♧)////
もう止まんない俺は、
またそのまま、♧を抱きしめた。
恋愛対象じゃないみたいに言われて
黙ってられるかっつーの。
♧)りゅ…じく…っ、離して…//
隆)やだ。
♧)////
隆)なんで?やなの?
♧)……(ふるふる)///
隆)じゃあ絶対離さない。
♧)////
俺のこと、ちゃんと見てよ。
ちゃんと、感じてよ。
隆)……ねぇ。
♧)////
そっと離れた隙間で見つめれば
また潤んでる瞳。
隆)キスしていい?
♧)!?!?
柔らかいほっぺに右手を添えると
♧はぎゅっと目を閉じた。
隆)していい?
♧)ど、ど…うして…っ
隆)プリン作ってきてくれたから。
♧)…っ
俺の言葉に、♧はゆっくり目を開けて…
♧)お礼の…キス…?//
隆)そうだよ?
♧)いつもの…逆?
隆)うん。
♧)……//
また黙ってしまった♧に
ゆっくりと顔を寄せて…
その柔らかい頬に、唇で触れた。
……チュッ。
♧)////
そのキスで、右手で触れてる
もう片方の頬が
温度を上げたのがわかって…
俺はなんかもう…
そのまま耳にも首筋にも…
キスを落としたくなって、仕方ない。
それをグッと堪えて
瞳の奥を覗けば…
♧)……
隆)……
ああ、やっぱりもう。
ダメだ、俺。
頬を撫でてる指先を
唇にスライドさせた。
隆)こっちに、していい…?
♧)え…っ
柔らかい唇。
♧)え、待って、え…っ!?///
キス、したい。
♧)だ、だめっ……
隆)なんで?
♧)なんでって…///
隆)やだ?
♧)…っ、わかん…ない…///
隆)……
親指で触れてる唇が
甘く俺を誘うから…
隆)やじゃないなら、する。
♧)…っ///
強引でもいい。
したくてたまらない。
隆)……
……好きだよ。
そんな気持ちを込めて、
キスから伝わるように…
優しく、優しく、……唇を重ねた。
♧)////
触れた瞬間、
好きな気持ちが一気に溢れて…
愛しくて愛しくて
たまらなくなって…
頬を手のひらで包んだまま、
また角度を変えて、ゆっくり口付けた。
柔らかく重なる唇から
想いが溶け出しそうで…
ああ、どうしよう。
ほんとに…
「好き」が…溢れる…。
これ以上キスしたら
いろんなものが止まらなくなりそうで…
手のひらに伝わる
♧の熱を感じながら、
名残惜しく唇を離せば……
♧)////
俺を見つめる潤んだ瞳から、
ポロリと…
涙がこぼれた。
隆)……えっ…?!
その涙に、一瞬思考が止まる。
隆)え、ちょ…っ、
♧)…わた…し…っ、帰…る…っ
隆)えっ!!
♧は素早く立ち上がって
荷物を掴み取って…
隆)ちょっと待って!!
俺の言葉なんて聞かずに…
自転車であっという間に消えていった。
隆)♧……っ
届くわけない、声。
隆)どうしよう……
……泣いてた。
俺が…泣かせた…?
そんなに…
キス、嫌だった?
隆)…っ
どうしよう。
すげぇ凹む。
立ち直れないかも……
そりゃー少し強引だったけど…
俺的には渾身の想いを込めて
キスしたんだけど…
隆)……
……嫌われたかな…、俺。
ほんとにどうしよう。
ーendー
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いきなりクリスマス出てきてびっくりしました。゚(゚^∀^゚)゚。www
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