【165】無理矢理の犯行

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Tくんのメイクを終えて、会場に戻ると
一気に男の人たちに囲まれた。


男)姫が戻ってきた!!
男)良かった!衣装のままだ!♡
男)写真撮ろ〜〜!!♡
♡)わっ、わっ、あの…っ
J)お疲れさま、はい。
♡)えっ


Jさんがお酒を渡してくれた。


♡)これ…
J)カシスオレンジ。
♡)あ、ありがとうございますっ
J)Kちゃん達はあそこ。
♡)あ、はい!
男)あ!姫!待ってよー!!
男)姫〜〜!!


Jさんがガードしてくれて
Kちゃん達のところまで辿り着いた。


K)あ、おかえりーー!
♡)ただいまーー
M)あ、先輩どこ行ってたんですかぁ!
  もう大変だったんですよぉ〜
♡)え?
M)先輩がいきなり消えちゃうから
  男性陣が嘆いちゃって。
♡)え、え、ごめんね?
M)でも動画バッチリ撮れてたんで
  また送りますねー♡
K)すごいんだよM。
  三人に頼んでたの。
♡)三人?!
M)可愛い先輩とKさんを
  ちゃ〜んと撮ってくださいねー♡
  ってお願いしたら
  立候補者がたくさんいて♡
♡)ええっ
M)あらゆるアングルから撮れましたw
  編集楽しみ〜〜♡
K)あんたは一体何をしたいんだw
海)でも本っっっ当に
  みなさんカッコ良かったです!///
♡)嬉しい〜〜ありがとう♡
海)最高でしたぁっ!!///
♡)あははは♡


それから男子の出し物も始まって

私がメイクしてあげたTくんが
一番男性人気がすごくて、
なんだか誇らしかった。


♡)ふふーーー♪
K)あいつ…可愛すぎてきもい。
M)あはははっw
  元々がイケメンだから
  女装しても美人ですねぇ♡
海)すごーーい…//


ステージが終わると
Tくんは一気に囲まれた。


男)写真撮ろ!!
T)なんで!!!w
男)お前可愛すぎる!!w
  記念写真!!
男)撮ろ撮ろ!!♪
T)嫌だわ!!!w


K)あははははw
  男に囲まれてる!!w
海)モテモテですね…//
M)私たちも写真撮りに行こ〜〜♪
海)わっ、は、はい…っ//
♡)私ちょっと外出てくるーー
K)おう。


一人でトイレに行って
荷物を整理してると…


♡)えっ!!!


胸元のボタンが一つ開いてた。


♡)は、恥ずかしいっ//


慌てて閉めたけど…
誰も気付いてないよね??
危ない危ない…//


もう21時かぁ。

臣くんもう帰ってきてるかな?

今日は二次会は行かないで早く帰ろうっと。
早く臣くんに会いたいもんっ♡


バタン。


トイレを出て会場に戻ろうとすると
大声で後ろから呼び止められた。


紅)姫さーーーんっ!!♡♡

♡)!!!


ぎゃーっ!!出たー!!


紅)姫さんやっと見つけたぁっ!!
♡)……
紅)ねぇ、さっきめっちゃ可愛かった!!
♡)……
紅)この衣装、すっげぇ似合ってる!!
  可愛すぎてヤバい!///
♡)あり…がとう。
紅)ほんっと可愛い♡♡
♡)じゃあ私、戻るから。
紅)え、待って待って!!
  俺ほんとに姫さん探してたんだって!
♡)…なぁに?
紅)ね、今日二次会行く?
♡)行かない。
紅)え〜〜〜〜っ
♡)じゃあね?
紅)待ってって!!

ぐいっ

♡)や、やだ!離して!!


手首を掴まれて…

それを振りほどいて走り出すと
すぐにまた捕まった。


紅)待ってよ!!
♡)きゃっ


腕を掴まれて、壁に追いやられた。


紅)そんな逃げないでよ…
♡)腕…、離してっ
紅)……
♡)……
紅)やだ。
♡)は?!
紅)…姫さんって…すげぇ細いね。
♡)は???
紅)……柔かい…//
♡)ちょっと、離してってば!
紅)……


びくともしない…
やだ……


紅)こんな華奢なのに無理だよ。
♡)…っ
紅)俺、男だよ?
♡)や…だ、離してっ!
紅)離したら…姫さん逃げちゃうでしょ?
♡)…っ


酔ってるのかな…
お酒くさい…


紅)ね、この後、飲みに行こ?
♡)行かないってば!
紅)お願い。
♡)行かない!
紅)……
♡)……
紅)姫さんって…
  どうしたら俺のこと見てくれんの?
♡)見ない!!離して!!
紅)今日俺につき合ってくんないなら
  このままチューしちゃうよ?
♡)は?!!

グイッ

♡)え、…やだっ、離して!!


両手首を壁に押し付けられた。


紅)じゃあデートしてくれる?w
♡)やだ!!!!
紅)じゃあ俺にチューされる?
♡)何言ってんの?!
  わけわかんない!離してよ!!
紅)離さないよ。
♡)…っ


どうして…こんなに
力…強いの??


紅)なんか……//
♡)…っ
紅)ほんとにしたくなってきた。
♡)え…っ
紅)キス。
♡)やだっ!!!!!!


何言ってるの!?


紅)やっとこっち向いてくれた。
♡)…っ
紅)睨んでても可愛いw
♡)…っ
紅)ほんと…姫さん、可愛すぎ…
♡)やだ!やめて!!!


紅くんの顔が近付いてきて…


♡)いやぁぁっっ!!!!


思いきり顔をのけぞると
首にキスされた。


チュ……ッ


♡)いやぁッッ!!!!
紅)俺の印、ついたw
♡)離してぇっっ!!!


ゴツッッ!!!


紅)いっってぇぇぇええ!!!


頭突きしたら、やっと紅くんの手が離れた。


♡)はぁっ、はぁっ

T)何してんの!?

♡)!!!


その声に振り返ると…


T)お前の…叫び声…聞こえて…
♡)…っ


Tくんがうずくまってる紅くんを見て
私を見た。


T)……
♡)…っ


首に…キスされた…
気持ち悪い…っ
気持ち悪いよぉっ!!!!


ゴシゴシッッ


T)何…された?
♡)…っ
T)なんで泣いてんの…
♡)…っ


Tくんは私の手首を掴んで
私の首元を見ると、表情を変えた。

そしてすぐさま、
しゃがんでる紅くんの胸ぐらを掴んで
立ち上がらせた。


T)お前か…?
紅)いってぇ……
T)お前かって聞いてんだよ。
紅)そうですけど何か。
T)…っ


バキッッッ!!!


紅)いってぇぇぇ!!!!
♡)わ…っ、わ…


どうしよう…
Tくんが思いきり殴って
紅くんの口が切れちゃった。

わ…わ…、どうしよう!!


ダンッッ!!!!


T)お前殺されてぇのかよ!
紅)…っ
T)あ?
紅)…なん…で…
T)…っ
紅)なんであんたに殴られなきゃ
  なんねぇんだよ…っ
T)無理矢理あんなことして
  泣かせてんじゃねぇよ!!!


ドスッッ


紅)…っげほっっっ!!
♡)Tくん!もうだめっっ!!!


Tくんが膝蹴りして
紅くんがフラついたのに

またTくんが拳を振りかざしたから
私は慌ててその腕を止めた。


♡)もうだめ!!!
T)…っ
紅)……は…ぁ…っ
T)今度こいつに近付いたら
  ほんとにぶっ殺すぞ。
紅)…もう…近寄んねーよッ!!!


紅くんは半泣きになりながら
フラフラと戻っていった。


♡)Tくん…大丈…っ

ぎゅっっ…

♡)!!!
T)…っ
♡)Tくん…
T)……これだけ?
♡)え…?


Tくんが私の首を親指で擦った。


T)あいつにされたの、これだけ?
♡)……うん…
T)他にはなんもされてない?
♡)うん……
T)ほんとに?
♡)うん……
T)……良かった…っ

ぎゅっっ


♡)Tくん…離してっ
T)……
♡)苦しい…よ……
T)もっと早く来れば良かったっ
♡)…っ
T)怖い思いしたろ?
♡)……大丈夫…だよ。
T)泣いてたじゃん…
♡)……
T)なんでお前はすぐ強がんの?
♡)…っ
T)来んの遅くて…ごめん…
♡)…っ


ほんとは…すごく怖かった。

抵抗しても全然びくともしなくて
すごく強い力で…抑えつけられて…


♡)ふ…ぇ…っ
T)♡……


紅くんの口が首に触れた瞬間、
気持ち悪くて全身が震えた。

思い出したくもない…っ


♡)…ぐ…すっ…
T)♡…、もう大丈夫だから…

ぎゅっ……


♡)…っ


すごく怖かったけど…

Tくんが来てくれて
すごくほっとしたけど…


でも、

私が甘えていいのは
この腕じゃない。


♡)Tくん、ごめんね?
  ありがとう。
T)…っ
♡)離して?
T)……
♡)……


Tくんは私の涙を拭いて…
また、私を抱きしめた。


♡)…っ
T)……
♡)大丈夫だから…
T)…まだ…震えてる。
♡)…っ
T)……


私を安心させるように
抱きしめながら、頭を撫でてくれてる…


抵抗しても
びくともしないのは一緒なのに…

Tくんの腕は、
紅くんみたいに嫌じゃない。


♡)……
T)……


どうして…だろう…

私…、臣くん以外の人は嫌だったのに…
身体が…無条件に拒否してたはずなのに…


T)顔…洗ってたら…
  お前の叫び声が聞こえて…
♡)……
T)心臓止まるかと思った……
♡)…っ


ぎゅ…っ


すごく大事なものを抱きしめるみたいな
Tくんの優しい腕…


♡)……
T)落ち着いた…?
♡)…っ


あ…
もう…震えが…止まってる。


♡)……うん…
T)…良かった……
♡)……
T)……


すごく優しい顔で…頭を撫でてくれる。


いつもの頭ポンポンは…
触らないでって振り払えるのに…

この手は……


T)♡……
♡)ん…っ//

ぴくんっ


T)えっ…///


頭を撫でてたTくんの手に
今度はほっぺを撫でられて…


♡)も、もう…触んないでっ
T)////
♡)…っ
T)ご、ごめん…///
♡)……
T)……


あ…
Tくんの手が、赤くなってる…


♡)手……
T)え…?
♡)大丈夫…?
T)…ああ、こんなの…全然。
♡)……
T)……


…どうしよう……
なんか…空気が……


T)またなんかあったら俺に言えよ。
♡)え……
T)……
♡)どうして…Tくんは…
T)……
♡)そんなに優しいの?
T)……


私はTくんのこと
好きじゃないって言ってるのに

それでもいつも、助けてくれる……


T)お前のこと好きだから。
♡)…っ
T)……
♡)……


Tくんの瞳が…すごく真っ直ぐで……


♡)私の…何が…好きなの?
T)え?


前にも思った。
私の何が好きなんだろうって。

臣くんは…聞かなくていいって言ったけど…


T)何がって…w
♡)…っ


Tくんがすごく優しく笑った。


T)やっと聞いてくれんの?
♡)え…?
T)俺…ずっとちゃんと…
  お前に気持ち伝えたくて…
♡)……
T)でもお前…
  絶対二人になってくんねぇじゃん。
♡)あ……
T)伝えたくて…伝えられなくて…
  ずっとそんな状態で…
♡)……
T)聞いてくれんの?
♡)…っ


どう…しよう…
なんか…

よくわかんないけど…なんか…
聞いちゃ、ダメな気が…する…


♡)や、やっぱり…っ、聞かないっ
T)えっ…
♡)私…、戻るねっ
T)…っ

ぐっ…

T)待てよ。
♡)…っ


手を掴まれた。


T)聞いて。
♡)…っ
T)ちゃんと…話すから。
♡)…っ


ど、どうしよう…っ


♡)聞かないっ!離してっ!!
T)なんで急に逃げんだよ!
♡)…っ
T)……


ほんとだ…
私、逃げてる……


♡)だ…って…
T)……
♡)ね、手…離して…//
T)…っ
♡)……
T)ごめん…//


Tくんが手を離してくれて…
私は…Tくんの顔を見れなくて…
ずっと下を向いてる。


T)♡…?
♡)…っ
T)俺さ、ずっと…
♡)待って…っ
T)…っ
♡)……


顔を上げると
私を真っ直ぐ見つめるTくんの瞳。

私はまた目を逸らした。


T)俺…お前のこと…
♡)や、やだっ、待って…っ
T)なんで…
♡)やだっ//


私が両手で耳を塞ぐと
その手を優しく掴まれた。


T)ちゃんと聞いて。
♡)…っ

T)……
♡)……

T)俺、お前が好きだよ。
♡)や…、待って…っ//

T)待たない。
♡)…っ

T)もう散々待った。
♡)…っ

T)俺はお前がすげぇ好き。
♡)……//

T)ずっと…、ずっと前から。
♡)……//


手を掴まれてるから
耳を塞げなくて…

Tくんの言葉が…
全部耳に届いてくる…


T)聞いてる?
♡)もう…やめて…//

T)……//
♡)…っ

T)俺は……
♡)やぁっ//

T)……///
♡)…っ

T)そんな可愛い反応すんなよ…//
♡)えっ

T)///
♡)///


な、何これ?!!
恥ずかしい!!!やだっ!!!!


♡)もう離してぇっっ!!
T)…っ

♡)やだっ!!ばかぁっ!///
T)♡!!!


バタバタバタッッッ


T)♡!!待てって!!!!

♡)やだぁっ!!!!
  来ないで!来たら絶交だから!!
  うわーーん!!!


バタバタバタッッッ


T)……絶交って……
  子供かよ…//





ー続ー

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