Tくんのメイクを終えて、会場に戻ると
一気に男の人たちに囲まれた。
男)姫が戻ってきた!!
男)良かった!衣装のままだ!♡
男)写真撮ろ〜〜!!♡
♡)わっ、わっ、あの…っ
J)お疲れさま、はい。
♡)えっ
Jさんがお酒を渡してくれた。
♡)これ…
J)カシスオレンジ。
♡)あ、ありがとうございますっ
J)Kちゃん達はあそこ。
♡)あ、はい!
男)あ!姫!待ってよー!!
男)姫〜〜!!
Jさんがガードしてくれて
Kちゃん達のところまで辿り着いた。
K)あ、おかえりーー!
♡)ただいまーー
M)あ、先輩どこ行ってたんですかぁ!
もう大変だったんですよぉ〜
♡)え?
M)先輩がいきなり消えちゃうから
男性陣が嘆いちゃって。
♡)え、え、ごめんね?
M)でも動画バッチリ撮れてたんで
また送りますねー♡
K)すごいんだよM。
三人に頼んでたの。
♡)三人?!
M)可愛い先輩とKさんを
ちゃ〜んと撮ってくださいねー♡
ってお願いしたら
立候補者がたくさんいて♡
♡)ええっ
M)あらゆるアングルから撮れましたw
編集楽しみ〜〜♡
K)あんたは一体何をしたいんだw
海)でも本っっっ当に
みなさんカッコ良かったです!///
♡)嬉しい〜〜ありがとう♡
海)最高でしたぁっ!!///
♡)あははは♡
それから男子の出し物も始まって
私がメイクしてあげたTくんが
一番男性人気がすごくて、
なんだか誇らしかった。
♡)ふふーーー♪
K)あいつ…可愛すぎてきもい。
M)あはははっw
元々がイケメンだから
女装しても美人ですねぇ♡
海)すごーーい…//
ステージが終わると
Tくんは一気に囲まれた。
男)写真撮ろ!!
T)なんで!!!w
男)お前可愛すぎる!!w
記念写真!!
男)撮ろ撮ろ!!♪
T)嫌だわ!!!w
K)あははははw
男に囲まれてる!!w
海)モテモテですね…//
M)私たちも写真撮りに行こ〜〜♪
海)わっ、は、はい…っ//
♡)私ちょっと外出てくるーー
K)おう。
一人でトイレに行って
荷物を整理してると…
♡)えっ!!!
胸元のボタンが一つ開いてた。
♡)は、恥ずかしいっ//
慌てて閉めたけど…
誰も気付いてないよね??
危ない危ない…//
もう21時かぁ。
臣くんもう帰ってきてるかな?
今日は二次会は行かないで早く帰ろうっと。
早く臣くんに会いたいもんっ♡
バタン。
トイレを出て会場に戻ろうとすると
大声で後ろから呼び止められた。
紅)姫さーーーんっ!!♡♡
♡)!!!
ぎゃーっ!!出たー!!
紅)姫さんやっと見つけたぁっ!!
♡)……
紅)ねぇ、さっきめっちゃ可愛かった!!
♡)……
紅)この衣装、すっげぇ似合ってる!!
可愛すぎてヤバい!///
♡)あり…がとう。
紅)ほんっと可愛い♡♡
♡)じゃあ私、戻るから。
紅)え、待って待って!!
俺ほんとに姫さん探してたんだって!
♡)…なぁに?
紅)ね、今日二次会行く?
♡)行かない。
紅)え〜〜〜〜っ
♡)じゃあね?
紅)待ってって!!
ぐいっ
♡)や、やだ!離して!!
手首を掴まれて…
それを振りほどいて走り出すと
すぐにまた捕まった。
紅)待ってよ!!
♡)きゃっ
腕を掴まれて、壁に追いやられた。
紅)そんな逃げないでよ…
♡)腕…、離してっ
紅)……
♡)……
紅)やだ。
♡)は?!
紅)…姫さんって…すげぇ細いね。
♡)は???
紅)……柔かい…//
♡)ちょっと、離してってば!
紅)……
びくともしない…
やだ……
紅)こんな華奢なのに無理だよ。
♡)…っ
紅)俺、男だよ?
♡)や…だ、離してっ!
紅)離したら…姫さん逃げちゃうでしょ?
♡)…っ
酔ってるのかな…
お酒くさい…
紅)ね、この後、飲みに行こ?
♡)行かないってば!
紅)お願い。
♡)行かない!
紅)……
♡)……
紅)姫さんって…
どうしたら俺のこと見てくれんの?
♡)見ない!!離して!!
紅)今日俺につき合ってくんないなら
このままチューしちゃうよ?
♡)は?!!
グイッ
♡)え、…やだっ、離して!!
両手首を壁に押し付けられた。
紅)じゃあデートしてくれる?w
♡)やだ!!!!
紅)じゃあ俺にチューされる?
♡)何言ってんの?!
わけわかんない!離してよ!!
紅)離さないよ。
♡)…っ
どうして…こんなに
力…強いの??
紅)なんか……//
♡)…っ
紅)ほんとにしたくなってきた。
♡)え…っ
紅)キス。
♡)やだっ!!!!!!
何言ってるの!?
紅)やっとこっち向いてくれた。
♡)…っ
紅)睨んでても可愛いw
♡)…っ
紅)ほんと…姫さん、可愛すぎ…
♡)やだ!やめて!!!
紅くんの顔が近付いてきて…
♡)いやぁぁっっ!!!!
思いきり顔をのけぞると
首にキスされた。
チュ……ッ
♡)いやぁッッ!!!!
紅)俺の印、ついたw
♡)離してぇっっ!!!
ゴツッッ!!!
紅)いっってぇぇぇええ!!!
頭突きしたら、やっと紅くんの手が離れた。
♡)はぁっ、はぁっ
T)何してんの!?
♡)!!!
その声に振り返ると…
T)お前の…叫び声…聞こえて…
♡)…っ
Tくんがうずくまってる紅くんを見て
私を見た。
T)……
♡)…っ
首に…キスされた…
気持ち悪い…っ
気持ち悪いよぉっ!!!!
ゴシゴシッッ
T)何…された?
♡)…っ
T)なんで泣いてんの…
♡)…っ
Tくんは私の手首を掴んで
私の首元を見ると、表情を変えた。
そしてすぐさま、
しゃがんでる紅くんの胸ぐらを掴んで
立ち上がらせた。
T)お前か…?
紅)いってぇ……
T)お前かって聞いてんだよ。
紅)そうですけど何か。
T)…っ
バキッッッ!!!
紅)いってぇぇぇ!!!!
♡)わ…っ、わ…
どうしよう…
Tくんが思いきり殴って
紅くんの口が切れちゃった。
わ…わ…、どうしよう!!
ダンッッ!!!!
T)お前殺されてぇのかよ!
紅)…っ
T)あ?
紅)…なん…で…
T)…っ
紅)なんであんたに殴られなきゃ
なんねぇんだよ…っ
T)無理矢理あんなことして
泣かせてんじゃねぇよ!!!
ドスッッ
紅)…っげほっっっ!!
♡)Tくん!もうだめっっ!!!
Tくんが膝蹴りして
紅くんがフラついたのに
またTくんが拳を振りかざしたから
私は慌ててその腕を止めた。
♡)もうだめ!!!
T)…っ
紅)……は…ぁ…っ
T)今度こいつに近付いたら
ほんとにぶっ殺すぞ。
紅)…もう…近寄んねーよッ!!!
紅くんは半泣きになりながら
フラフラと戻っていった。
♡)Tくん…大丈…っ
ぎゅっっ…
♡)!!!
T)…っ
♡)Tくん…
T)……これだけ?
♡)え…?
Tくんが私の首を親指で擦った。
T)あいつにされたの、これだけ?
♡)……うん…
T)他にはなんもされてない?
♡)うん……
T)ほんとに?
♡)うん……
T)……良かった…っ
ぎゅっっ
♡)Tくん…離してっ
T)……
♡)苦しい…よ……
T)もっと早く来れば良かったっ
♡)…っ
T)怖い思いしたろ?
♡)……大丈夫…だよ。
T)泣いてたじゃん…
♡)……
T)なんでお前はすぐ強がんの?
♡)…っ
T)来んの遅くて…ごめん…
♡)…っ
ほんとは…すごく怖かった。
抵抗しても全然びくともしなくて
すごく強い力で…抑えつけられて…
♡)ふ…ぇ…っ
T)♡……
紅くんの口が首に触れた瞬間、
気持ち悪くて全身が震えた。
思い出したくもない…っ
♡)…ぐ…すっ…
T)♡…、もう大丈夫だから…
ぎゅっ……
♡)…っ
すごく怖かったけど…
Tくんが来てくれて
すごくほっとしたけど…
でも、
私が甘えていいのは
この腕じゃない。
♡)Tくん、ごめんね?
ありがとう。
T)…っ
♡)離して?
T)……
♡)……
Tくんは私の涙を拭いて…
また、私を抱きしめた。
♡)…っ
T)……
♡)大丈夫だから…
T)…まだ…震えてる。
♡)…っ
T)……
私を安心させるように
抱きしめながら、頭を撫でてくれてる…
抵抗しても
びくともしないのは一緒なのに…
Tくんの腕は、
紅くんみたいに嫌じゃない。
♡)……
T)……
どうして…だろう…
私…、臣くん以外の人は嫌だったのに…
身体が…無条件に拒否してたはずなのに…
T)顔…洗ってたら…
お前の叫び声が聞こえて…
♡)……
T)心臓止まるかと思った……
♡)…っ
ぎゅ…っ
すごく大事なものを抱きしめるみたいな
Tくんの優しい腕…
♡)……
T)落ち着いた…?
♡)…っ
あ…
もう…震えが…止まってる。
♡)……うん…
T)…良かった……
♡)……
T)……
すごく優しい顔で…頭を撫でてくれる。
いつもの頭ポンポンは…
触らないでって振り払えるのに…
この手は……
T)♡……
♡)ん…っ//
ぴくんっ
T)えっ…///
頭を撫でてたTくんの手に
今度はほっぺを撫でられて…
♡)も、もう…触んないでっ
T)////
♡)…っ
T)ご、ごめん…///
♡)……
T)……
あ…
Tくんの手が、赤くなってる…
♡)手……
T)え…?
♡)大丈夫…?
T)…ああ、こんなの…全然。
♡)……
T)……
…どうしよう……
なんか…空気が……
T)またなんかあったら俺に言えよ。
♡)え……
T)……
♡)どうして…Tくんは…
T)……
♡)そんなに優しいの?
T)……
私はTくんのこと
好きじゃないって言ってるのに
それでもいつも、助けてくれる……
T)お前のこと好きだから。
♡)…っ
T)……
♡)……
Tくんの瞳が…すごく真っ直ぐで……
♡)私の…何が…好きなの?
T)え?
前にも思った。
私の何が好きなんだろうって。
臣くんは…聞かなくていいって言ったけど…
T)何がって…w
♡)…っ
Tくんがすごく優しく笑った。
T)やっと聞いてくれんの?
♡)え…?
T)俺…ずっとちゃんと…
お前に気持ち伝えたくて…
♡)……
T)でもお前…
絶対二人になってくんねぇじゃん。
♡)あ……
T)伝えたくて…伝えられなくて…
ずっとそんな状態で…
♡)……
T)聞いてくれんの?
♡)…っ
どう…しよう…
なんか…
よくわかんないけど…なんか…
聞いちゃ、ダメな気が…する…
♡)や、やっぱり…っ、聞かないっ
T)えっ…
♡)私…、戻るねっ
T)…っ
ぐっ…
T)待てよ。
♡)…っ
手を掴まれた。
T)聞いて。
♡)…っ
T)ちゃんと…話すから。
♡)…っ
ど、どうしよう…っ
♡)聞かないっ!離してっ!!
T)なんで急に逃げんだよ!
♡)…っ
T)……
ほんとだ…
私、逃げてる……
♡)だ…って…
T)……
♡)ね、手…離して…//
T)…っ
♡)……
T)ごめん…//
Tくんが手を離してくれて…
私は…Tくんの顔を見れなくて…
ずっと下を向いてる。
T)♡…?
♡)…っ
T)俺さ、ずっと…
♡)待って…っ
T)…っ
♡)……
顔を上げると
私を真っ直ぐ見つめるTくんの瞳。
私はまた目を逸らした。
T)俺…お前のこと…
♡)や、やだっ、待って…っ
T)なんで…
♡)やだっ//
私が両手で耳を塞ぐと
その手を優しく掴まれた。
T)ちゃんと聞いて。
♡)…っ
T)……
♡)……
T)俺、お前が好きだよ。
♡)や…、待って…っ//
T)待たない。
♡)…っ
T)もう散々待った。
♡)…っ
T)俺はお前がすげぇ好き。
♡)……//
T)ずっと…、ずっと前から。
♡)……//
手を掴まれてるから
耳を塞げなくて…
Tくんの言葉が…
全部耳に届いてくる…
T)聞いてる?
♡)もう…やめて…//
T)……//
♡)…っ
T)俺は……
♡)やぁっ//
T)……///
♡)…っ
T)そんな可愛い反応すんなよ…//
♡)えっ
T)///
♡)///
な、何これ?!!
恥ずかしい!!!やだっ!!!!
♡)もう離してぇっっ!!
T)…っ
♡)やだっ!!ばかぁっ!///
T)♡!!!
バタバタバタッッッ
T)♡!!待てって!!!!
♡)やだぁっ!!!!
来ないで!来たら絶交だから!!
うわーーん!!!
バタバタバタッッッ
T)……絶交って……
子供かよ…//
ー続ー
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