『今日のお昼、♡が会社まで来るんです。
良かったら一緒にランチでもどうですか?』
♡)!!!
朝、パソコンを開いたら
勝山社長からメールが届いてた。
『おはようございます!
お誘いありがとうございます!!
♡ちゃんに会いたいです(๑^ ^๑)ぜひ!💕』
私はすぐに返事を返した。
午前中のチーム会議を終えて
デスクに戻ってくると…
社)やぁやぁやぁ、ちょっと早かったかな?
♡)社長っ!!え、わっ!!
わざわざ下まで迎えに来てくれちゃった!
♡)すみません!
社)全然いいんですよw
♡)ちょっと待ってくださいねっ!
慌ててランチに行く準備。
M)社長どうしたんですかぁ?
社)ちょっと♡くんとね♪
M)デートですか?
社)そうそうw
M)ずるーいっ!私も連れてってください〜
社)じゃあぜひまた今度♡
M)やった〜〜!♡
♡)用意できましたっ!!
社)それじゃあ行こうか。
♡)はいっ!!
男)えっ!姫と社長が歩いてるぞ!
女)わぁっ!!
男)二人でどこ行くんだ??
♡)……
な、なんか…
注目されている…っ
エレベーターはまだ混んでなくて
地上についてエントランスを通ると
横から呼び止められた。
T)♡っ!!
♡)あっ、Tくん!お帰りなさい。
T)タイミング良かった〜〜w
…って、どこ行くの?
わっ!!社長っ!お疲れさまです!!
社)おや?♡くんしか
見えてなかったのかな?w
T)すいません!!//
♡)今から社長とランチに行くの。
T)あっ……
社)良かったらTくんもどうかね?
T)えっ!!
社)うちの孫も一緒ですが
それでもよければ♪
T)わっ、ぜひご一緒させてください!
社)それじゃあ行こうか。
T)はい!!
三人で歩き出すと
♡ちゃんが向こうから走ってきた。
孫)お姉ちゃーーんっ!!!♡♡
どんっっ♡
♡)わぁっ!♡ちゃんっww
孫)わーいっ!わーいっ!♡
♡)元気だったぁ?♡
孫)うんっ!!♡♡
あいかわらず可愛いなぁ♡
母)じゃあお父さん、よろしくね?
ごめんね、急にー
社)全然構わんよw
母)じゃ、♡、いい子にしてるのよ?
孫)はぁ〜いっ♡
♡ちゃんのお母さんは
私たちに会釈をして、いなくなった。
社)♡は何が食べたいんだい?
孫)おしゃれで可愛いものぉ〜♡
社)難しい注文だな…w
T)あ、ちょうど近くに最近できた
可愛いカフェがありますよ?
男が入るのは
ちょっとためらう感じですけど…w
社)おおっ、じゃあ
今日はお姫様が二人もいるし
私たちはアウェイ感を楽しんでみますか♪
T)あはははっw
孫)お姫様ー?お姫様ー?♡
♡ちゃんがスカートを広げて
くるりと回った。
T)ははっ、可愛いなーw
♡)ねっ♡
孫)ねぇ、お兄ちゃんはだぁれ?
T)ええと…w
社)ほら、前に話したろ?
おじいちゃんの会社のホープだよ。
孫)ホープ…?……あっ!!!
頑張り屋さんな人ぉ?
社)そうそうw
孫)お兄ちゃんっ、よろしくねっ♡
♡ちゃんはにっこり笑って
私とTくんと手を繋いできた。
孫)わーい♡わーい♡
T)可愛いな…//
♡)ふふっw
Tくんオススメの新しいカフェは
本当に可愛くて
まだ人も少ないから
私たちは個室に通してもらった。
孫)かわいい〜〜〜♡♡
♡)アリスの世界みたい♡♡
孫)わ〜〜いっ♡
♡)ふふーーー♡
♡ちゃんと一緒に思わずニヤける。
T)♡ちゃんっていうんですね。
社)そうなんですよ。
偶然♡くんと同じ名前でねぇw
孫)お揃いなんだもんねっ♡♡
♡)ねーーー♡
T)あはははw
ランチを注文し終えると
♡ちゃんがるんるんしながら
私の顔を見た。
孫)ねっ、お姉ちゃんっ♡
臣くんは元気ぃ?♪
♡)…っ
孫)♡ね、また臣くんに会いたいなぁ♡
社)もう毎日のように言ってるんですよ…w
T)……
♡)そう…なんですか…
孫)臣くん…♡のこと覚えてるかなぁ…
♡)覚えてるよ!
孫)ほんとぉ?
♡)うんっ
孫)えへへ♡嬉しいなぁ♡
♡)……
それから♡ちゃんは
毎日の出来事や学校での話を
いろいろ聞かせてくれた。
孫)だからねっ、♡と博くんは
また同じクラスになれたのぉ♡
♡)良かったねぇ♡
T)博くんて…?
♡)♡ちゃんの彼氏だよw
T)彼氏ぃ?!
孫)違うよぉ!フィアンセだってばぁ!
♡)あっ!そうでした…ww
T)フィアンセ〜〜?!
孫)そうだよっ♪
ドヤ顔する♡ちゃんに
ちょっと困り顔の社長と、大笑いするTくん。
T)すげぇませてんなぁw
孫)別に普通だよぉ?
お兄ちゃんはフィアンセいないの?
T)ぶっ…
社)こらこら、♡…w
孫)あのねっ、これは昨日
博くんから聞いたんだけどぉ…//
T)ん…?
孫)♡ねっ、すっごく嬉しかったから
毎日博くんに
「同じクラスになれて嬉しいなぁ♡」
って言ってるの!
T)……可愛いな…w
孫)そしたらね?昨日博くんが…
「俺が♡と離れたくないから
先生に言ったんだよ。」って!!
♡T)えっ!!!
孫)もう♡、嬉しくってぇ〜〜///
♡T)……
博くん…
相変わらずカッコイイなぁ…
孫)それでねっ!
6年生までずっと一緒がいいなぁって
♡が言ったら…
「また俺が先生に頼んでやる」って///
♡)わぁ…//
T)頼んだからって
一緒にしてもらえるもんなのか?w
孫)もう!お兄ちゃんはわかってないなぁ!
T)えっ…w
孫)♡は博くんのその気持ちが嬉しいのっ!
T)なるほど…
失礼しました…w
孫)もうねっ、博くん、だぁいすき♡
T)すごい…
小学生にのろけられている…w
♡)ね……w
でも…すごく嬉しそうに幸せそうに
博くんの話をする♡ちゃんは
本当に可愛い。
社長がなんともいえない表情だけど…
孫)臣くん今頃何してるかなぁ?
♡)えっ!!
また急に出た名前に…少し戸惑う。
孫)ね、お姉ちゃん♡
最近の臣くん見せて〜〜♡
♡)…っ
社)こらこら、やめなさいw
孫)見たいぃぃ〜〜〜!!
♡)……
T)……
孫)お姉ちゃん…どうしたの?
♡)えっ…?
孫)……
♡)どうもしないよ…?
ごめんね、最近臣くんと
写真…撮ってないんだ。
孫)……
♡)……
孫)お姉ちゃん…元気ないの?
♡)そんなことないよ?
普通に笑って見せたけど…
♡ちゃんがじっと顔を覗き込んでくる。
「お待たせしましたーー」
ランチが運ばれてきて…
そのタイミングに少しだけほっとした。
孫)わぁぁっ♡
♡の好きなイチゴが乗ってるよぉ!
社)良かったねぇw
孫)やったぁぁぁ♡
T)♡ちゃん、イチゴ好きなの?
じゃあ俺のもあげるよ。
孫)わぁぁぁっ♡
♡)じゃあ私もあげるー♡
孫)わぁぁぁっ♡
目を輝かせた♡ちゃんが
催促するように社長を見上げた。
孫)(じーーーーっ)
社)はいはい、ほらw
孫)わぁいっ!みんなありがとぉ♡♡
T)あはははっw
♡)くすくす…w
それから♡ちゃんが
食べるのに夢中になったから
話題は少し仕事のことに。
社)Tくんは管理職には興味ないのかな?
T)えっ!!!
社)君はすごく優秀だし
試験さえ受ける気があるなら…
と、部長たちも言っていたよ。
T)えええっっ!!
♡)……っ
わぁ…っ
わぁ…っ
Tくんってばすごいなぁ…!!
T)いや、でも…
♡)……?
T)俺…どうしても
1位になりたいんですよね…w
社)ああ…w
T)そんなお話はすごくありがたいですけど…
でもまだ…現場で頑張りたいな…
社)Jくんもそう言って
一向に試験を受ける気配がないんだよ…w
まぁ彼はキャリアも長いし
その気にさえなってくれれば
試験なしでもいいんだけれど…
T)Jさんがいなくなったら困ります!
社)ええっ!
1番になりたいんじゃないのかね?
T)Jさんがいなくなったから
取れる1位なんて意味ないです!
俺は…あの人を抜きたいんですよ!
社)……
T)どんなに頑張っても全然抜けなくて…
社)……
T)ほんとに…俺、憧れてるんです。
社)まぁ彼は天才だからねぇw
♡)……
「天才」かぁ…
社長にそう言われるJさんって…
本当にすごい人なんだなぁ。
社)でも私は「天才」タイプじゃないけれど
1位を取れましたよ♪
T)社長…っ、天才じゃないんですか?!
社)私は不器用な努力家タイプですよ。
ふぉっふぉっふぉw
T)そう…なんだ……
それを聞いて希望が湧いたのか
Tくんの表情にやる気がみなぎったのが
わかった。
♡)ふふ…っ
T)え…?
♡)頑張ってね♡
T)…っ
♡)ずっと…応援してるよ?♡
T)…っ///
♡)同期みんな…応援してる♡
T)……あり…がと//
♡)うん♡
いつかTくんの夢が叶いますように♡
孫)あーあっ♡イチゴ美味しかったぁ〜♡
お腹いっぱぁ〜〜い♡
社)よかったよかったw
みんな食事を終えて…
食後の紅茶に手を伸ばしたその時だった。
♡)あっつ!!
カップから少しこぼれて
手にかかって…
T)何やってんだよ!!
Tくんが私の手を取った。
T)火傷してない?!
♡)…っ、大丈夫…だよっ
T)…っ
私の手を見て安心したのか
優しく頭をこつんってされた。
T)気をつけろよもう…
びっくりした。
♡)ごめんね…?
T)なんともなくて良かった…
♡)……
孫)ねぇっ!!
T)えっ
孫)お兄ちゃんはお姉ちゃんのことが
好きなの??
T)…っ
♡)…っ
孫)……
社)これこれ、
いきなり何を言い出すんだい。
孫)……
♡ちゃんがじっと私たちの顔を見てる。
孫)だって…
♡が転んだ時の博くんと
同じだったもん。今。
T)……
♡)……
孫)博くんは…♡のことが好きだから
いつも心配で仕方ないんだって。
♡)……
孫)お兄ちゃんもそうなの?
T)…っ
孫)お姉ちゃんのこと…好きなの?
T)……
社長が♡ちゃんの頭を撫でると
♡ちゃんがTくんを見つめた。
孫)ダメだよ?
T)……え?
孫)お姉ちゃんには臣くんがいるから
ダメだよ?
T)…っ
社)これこれっ
孫)だって!臣くんはお姉ちゃんのこと
愛してるんだもんっ!!
♡)…っ
孫)臣くんとお姉ちゃんは
フィアンセなんだよっ!!
T)……
孫)そうだよね?お姉ちゃんっ!
♡)……
孫)……
♡)……
孫)臣くんのこと…愛してるでしょ?
♡)……
孫)♡にそう…言ってくれたよね?
♡)…っ
♡ちゃんの瞳が…潤んでいく…
♡)♡ちゃんっ……
孫)ダメだよぉ…っ
社)♡…っ、なんでお前が泣くんだい…
孫)だって…ふぇぇっっ…
♡)…っ
♡ちゃんの涙が…胸に突き刺さる。
孫)臣くんはっ…
お姉ちゃんのこと…っ
愛してるって言ったもんっ!!
♡)…っ
孫)覚えてるでしょ?!
♡)……
孫)お姉ちゃんのこと…大好きなんだよ?!
♡)…っ
どうして…私まで…
涙が出てくるんだろう…
孫)臣くん…っ、TVで見たことない顔
いっぱい…してたもんっ…
♡)…っ
孫)お姉ちゃんのこと大好きって…
♡もわかったもんっ!!
♡)…っ
孫)うわぁぁんっっ
♡)…っ
私まで…涙が止まらなくて…
♡)♡…ちゃん…、ごめん…ねっ
孫)うわぁぁんっっ
♡)ごめんね…っ
孫)うっ、うっ…うっ…
♡)…っ
臣くんが言ってくれた言葉も
臣くんの気持ちも…
ちゃんと全部覚えてるよ?
孫)ねぇ、臣くんのこと…好きだよね?
♡)……
孫)…っ
♡)うん……
孫)…っ
♡)大好きだよ……
孫)…っ
♡)……
孫)…愛してるよね?
♡)……うん、…愛してるよ。
孫)ふぇぇぇんっっっ
社)どうして泣くんだい!
孫)良かったよぉぉっ…うわぁぁんっ
社)本当にお前は…もう……
♡ちゃんが社長に抱きついた。
ごめんね…?
泣かせたりして…ごめんね?
臣くんが好き。
大好きだよ。
ーーー
思い切り泣いてスッキリしたのか
♡ちゃんは最後にはニッコリ笑って
孫)お兄ちゃん!お仕事頑張ってね!♡
Tくんに抱きついた。
T)うん、ありがとう。
Tくんが♡ちゃんの頭を撫でると
今度は私に抱きついた。
孫)お姉ちゃん!また遊ぼうね!♡
♡)うん♡
孫)じゃあね、おじいちゃんっ!
母)お父さんありがとう。
社)気をつけて帰るんだよ。
孫)ばいばーーーい♡
T)バイバイw
♡)バイバイ♡
エレベーターに向かう途中
私は社長に謝った。
♡)すみませんでした。
あんな…泣いたりして…
社)いやいや、うちの♡こそ
すまなかったね!いろいろと…
♡)いえっ…
社)Tくんも。
T)いえ……
なんだか少し気まずい空気のまま…
先に私たちのフロアに着いて
♡)社長!ごちそうさまでした!
T)ありがとうございました!
社)また付き合ってください♪
お疲れさま。
♡)……
T)……
Tくんの顔を見ると…
T)じゃあな。
少し笑って優しく頭をポンポンして
自分のデスクに戻っていった。
ー続ー
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