臣)ごちそうさまでした!
♡)はーい♡
朝から♡の美味しいご飯を食べて
元気いっぱい。
臣)いて。
ちょっと首が痛いけど。
♡)どうしたのー?
臣)んー、ちょっとね。
♡)どっか痛いの?
臣)首ーー。
♡)痛いの痛いのとんでけーー
臣)ぷっw
♡)あ!バカにしたー!
臣)飛んでった飛んでったw
♡)ぷんっ
臣)飛んでったって!w
ぎゅーー
臣)こっちの方が癒される♡
♡)……そぉ?
臣)うん♡
♡をむぎゅっと抱きしめた。
ただいまこの子、生理4日目でして。
すなわち俺も禁欲中でして。
……はぁ、早くもっと癒されたい…。
♡)今日レコーディングでしょ?
大丈夫?
臣)歌うのに首使わないから大丈夫w
♡)寝違えたのかなぁ?
臣)いや、昨日の撮影でさ。
携帯首に挟んだまま闘うシーンあって。
♡)携帯首に挟んだまま?
どういうこと!?
臣)こういうこと。
再現して見せたら、♡は笑い出した。
♡)そんな人いる?w
臣)いないよな?
♡)変なのーーw
臣)って俺も言ったんだけどさぁ。
♡)オンエア楽しみだなっ♪
臣)一緒に見ようねーーw
♡)うんっ♡
もうすぐ始まるハイローのドラマ。
♡はずっと楽しみにしてくれてる。
♡)それで今日はなんのレコーディングなの?
臣)今日はねぇ、『誕生』。
♡)中島みゆきーーー!!
臣)そうそうw
♡)わぁ!ついに今日なんだー!
臣)うん。
♡)頑張ってね♡
臣)はーい。
じゃあ行って来ます♡
♡)行ってらっしゃい♡
なんて、♡にキスしてもらって
家を出たけど。
臣)ふぅ……。
実は。
この歌、練習しようと思っても
なんか毎回途中で泣きそうになっちゃって
一回もちゃんと歌えてないんだよな…。
なんだろな。
♡から聞いた、昔の話。
一郎さんと華子さんっていう
愛情深い人たちがいたこと。
そして、レイジさんとレイコさんが
どんな風に育って、出会って、生きてきたか。
なんだかこの歌は
二人にあまりにぴったりすぎて…
これを歌うと、
二人のことをすごく考えてしまう。
そして、泣きそうになる。
どれだけお互い特別な存在だったんだろう、
とか
どれだけ深く愛し合ってたんだろう、
とか
その果てに♡が産まれて
大切に愛されて、育てられて…。
その♡が俺と出会ってくれて、
今こうして一緒にいられる。
そんな時の流れとかめぐり逢わせに
思いを馳せると…
その全てが、奇跡みたいで。
臣)はぁ…。
本番の雰囲気でなんとか乗り切って
泣かずに歌えますように。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
課)今日からKの業務内容を引き継いでもらう
原くんだ。
原)よろしくお願いします!
課)♡とMの後任は来月から来れるよう
人事部に手配かけてるから。
朝礼で紹介された新人の原くんは
中途採用で、私たちと同い年。
Kちゃんは元々
来年の春で卒業するって言ってたから
半年前のこのタイミングで
引き継ぎも兼ねて人員補給されたみたい。
蒼)春採用の新卒なんで
僕たちもあまり変わりません。
年も下なので敬語もなしで。
原)いやいや、そこは先輩なので敬語で!
よろしくお願いします。
海)やめてください〜〜!
敬語じゃなくて大丈夫です!
ほんとまだ未熟者ですのでー!汗
原)いえいえ、そういうわけには!
K)原くんー、とりあえず今日は
パソコンの設定しちゃって。
マニュアルこれね。
原)はい!かしこまりました!
なんだか人当たり良さそうな男の子で
一安心♡
♡)私たちは明後日、
振り返り面談しようね♡
P)はい!お願いします!
前にPくんと面談してから
もう半年経ったのかぁ。
早いなぁ。
課長のチェックも通ったし、
Pくんは明後日で晴れて一人前。
私の教育係も終わるんだぁ。
P)あ、あのっ…
♡)ん?
P)あ、明後日…っ
面談が終わった後に…
少しでいいので…
お時間いただけませんか?
♡)うん、いいよ?
P)ありがとうございます!!
深々と頭を下げたPくんは
テキパキと準備をしてアポに出かけていった。
♡)頼もしくなったなぁ…。
K)P?
♡)うん。
K)あんたの指導の賜物じゃん。
♡)えーー
私なんて何もしてないよ。
Pくんが積極的に色々頑張ったから
こんなに成長したんだと思うな。
K)最初はどうなることかと思ったけどね、
あいつ。
M)ほんとですよぉ…
大問題の新人でしたもん。
♡)あははは♡
先)あーあ、♡ちゃんも結局卒業で
Mまで辞めちゃうなんて…
ほんと寂しくなるなぁ。
先)ほんとだよーーー
先輩たちは顔を見合わせて
残念そうにため息をついた。
先)だってさーー
♡ちゃんが企業PRのムービー出て
絶対入社希望者増えるじゃん?
先)で、入社してみたら
その♡ちゃんはいなくなってるなんて…
先)詐欺だよ、詐欺!
K)あははははw
先)社長も悪い人だな〜〜〜
M)策士ですねw
♡)社長はそんなつもりじゃないよぉ!
なんて、お話しながら
午前のお仕事を片付けてたら…
原)設定終わりました。
K)へ!?
原)終わりました。
K)これ全部?これは?これも。
原)はい、全部。
K)早くない!?何者?!
♡)大体はみんな1日かかるのに…
原)パソコン作業、割と得意なんです。
原くんはニコッと笑ってそう言うけど…
皆)すごすぎる…。
なんだかとっても頼もしい新人さんみたい。
M)よーし、ランチ行きましょ〜♪
お昼のチャイムが流れて。
先輩たちは先にランチに行っちゃってて
原くんは同期の子達と親睦を深めるからって。
結局いつものメンバーでオフィスを出ると
JさんとTくんも合流。
♡)このメンバーでランチするの久々だぁ!
J)そうだねーー
海)お疲れ様です。
T)お、お疲れ…。
ん?
ニッコリ笑う海璃ちゃんから
少し目を逸らしたTくん。
どうしたんだろ。
K)めっちゃ期待できる新人入って来たーー
J)お、そうなの?
注文し終えたメニューをパタンと閉じて
Kちゃんが満足そうに頷いた。
K)仕事出来そう。
J)良かったねぇ。
Kちゃんの後任なら
それくらいの人じゃないとねぇw
海)私、あっという間に
抜かれてしまいそうです!
M)あはははw
海)もっと頑張らなくっちゃ!
♡)海璃ちゃんは十分頑張ってるよぉ♡
海)ででででもっ
T)お前はすーぐ無理しすぎそうだから心配。
ほどほどにな。
海)……はい///
M)あらやだ、優し〜〜♡
T)は?!///
M)ますます好きになっちゃうー♡
海)Mさん!///
J)あはははw
♡)ん…?
K)あれ…?
キョトンとする私とKちゃんに
Mちゃんが嬉しそうに教えてくれた。
M)海璃ちゃんってば
Tさんについに告白したんですよぉ〜♡
♡)えええっ!
K)マジか!!
海)…は、はい…///
K)よくやった!男らしいぞ!
J)男らしいって…、ぶくくくw
そっか…
海璃ちゃん頑張ったんだ!
すごい…!
K)で?
T)……///
K)で?
T)なんだよ!///
Kちゃんが詰め寄るように
Tくんの顔を覗き込むと
Tくんはプイッと顔を逸らした。
K)どういう状態なわけ?
M)Tさんの返事待ちです♡
K)返事待ちぃ?
J)返事待ちとはちょっと違うんじゃない?w
M)えー?
J)今頑張って
振り向かせてるとこなんだよねー?♡
海)ええと…、///
K)なんだよ。ちっ。
とっとと返事しろよ。
T)舌打ちすんな!///
K)好きか嫌いか、簡単だろが。
T)……そんな簡単じゃねぇんだよ。
K)可能性あんのかないのか
それくらいわかんだろ。
T)…っ
J)可能性はあるから
海璃ちゃん頑張ってるんだもんねぇ?
海)ええと…、///
わ、わかんないですっ!
でも、いいんです!
もし可能性なくても…
ハッキリ断られるまで…
頑張らせて下さいっ!
K)おおお…っ
よく言った!男らしい!!
J)あはははw
海)だって…
ほんとに大好きなんです///
♡)……///
そう言った海璃ちゃんがとっても可愛くて
なんだか私までキュンとしちゃった…。
K)大好きだってぇ〜〜〜
Kちゃんがからかうように
Tくんに肘でツンツンしてるw
T)わかってるよ!///
K)わかってるって?何を?
海璃が俺を好きなこと?
なんだよ、何様だよ。
T)だ〜〜〜〜!
お前は面倒臭ぇな!///
K)こんな可愛くて良い子が
いつまでも待っててくれると思うなよ。
T)えっ…
K)待たせてる間に心変わりだって
ありえんだからな〜〜
海)ないです!!
K)えっ…
海)私、絶対ないです!
ずっとTさんが好きです!///
顔を真っ赤にしながら
そう言いきった海璃ちゃんは
やっぱり可愛くて。
T)……わかったから///
Tくんは照れ臭そうに
頬杖してる手で口元を隠した。
むふふふふ…♡
これはTくん、意識し始めてると見たー!♡
帰ったら臣くんに報告しなくっちゃ♡
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
隆)やっべ…めっちゃ緊張してきた…
臣)俺も…
もうすぐみゆきさんが到着するって聞いて
そわそわし始めた俺たち。
デ)大丈夫だってw
そんな怖い人じゃないよ!
隆)そうなんですか?
メディアに出ない人だから
どんな人なのか謎に包まれてて…
臣)うん。未知だよね…。
デ)すっごく明るくて陽気な人だよー
臣)明るくて陽気?!
隆)うっそだ!
俺と隆二は目を丸くした。
だってそんなの…
イメージとはあまりに違ってて…
デ)ほんとだってw
ラジオのパーソナリティーとかも
してるけど、ほんと陽気な人だよ!
隆)陽気…
臣)ほんとに…?
デ)ほんとほんと!w
どうしよう。
ますます謎に包まれた気がする。
女)みゆきさんお見えになりましたー。
男)失礼しまーす。
その声に俺たちは慌てて立ち上がった。
み)どうも初めましてこんにちはぁ〜
臣)は、初めまして!
隆)初めまして!
み)今日はどうぞよろしくです〜〜
こ、こんな声だったっけ?!
なんかふわふわしてて…
歌のイメージと全然…
み)こちら座ってもよろしくて?
臣)は、はい!どうぞ!
ニコニコ笑ってて…柔らかい物腰で…
ほんとにイメージと違う…。
デ)ね?w
ディレクターは
言った通りでしょ?
と言いたそうに笑ってるけど。
臣)あの…
お忙しい中、お時間いただいて
本当にありがとうございます。
み)いいえ〜〜
隆)よろしくお願いします!
み)こちらこそぉ〜〜
デ)二人とも少し緊張してるみたいで…w
み)あらあらあら!
あたくしなんぞに緊張なんて
しないでくださいなw
おほほのほ〜〜w
隆)ごふっw
臣)ぶほっw
隆二が吹き出すから
俺までつられて吹き出した。
み)あれなんですよぉ〜〜
あたくしこんななんでね、
コンサートに来てくださった方が
MCになると帰ってしまったりもw
臣)ええ?!
隆)どういうことですか?
み)コンサートに来てくださる方って
ほら、プロジェクトXのイメージが
強い方もいらっしゃるみたいでね?
隆)ああ、はい!
み)風の中のす〜ばる〜〜〜♪
なんて歌ってるのに
喋ったらこうでしょう?
だからイメージと違いすぎる!!
って席を立って帰ってしまうんですよw
臣)ええっ!!
た、確かに今一瞬歌った声と話す声は
まるで別人だけど…
デ)あの歌でみゆきさんを知った人とかには
ギャップなのかもねw
臣)なるほど…。
そんなこんなで
終始ニコニコ微笑んでるみゆきさんに
俺たちは少し拍子抜けで…
とりあえずお互いに
一通り歌ってみようってことで
隆二が先にブースに入った。
……でも。
隆二は後半で急に歌えなくなって。
それは緊張のせいとかそんなんじゃなくて。
臣)…っ
……隆二は泣いてた。
それで声が出せなくなったんだ。
デ)一回出ておいで。
隆)……はい、すいません。
俯いたまま出て来た隆二は
すみませんともう一度頭を下げて
ソファーに腰掛けた。
デ)感極まっちゃった?
隆)……いや、…なんか…、はい…。
デ)じゃあ臣入ろっか。
臣)はい…。
隆二はそのまま眉間をつまんでて…
みゆきさんは少し離れたところで
優しく微笑んだまま。
臣)……。
俺はちゃんと歌わなきゃ。
そう思ってブースに入ったけど。
……情けないことに、
二番の頭、隆二より前の段階で
涙が出てきて歌えなくなった。
臣)…っ
なんだこれ。どうしよ。
臣)もう一回お願いします。
そう言って深呼吸したけど
まだ喉が震えてる。
デ)うーん…
臣も出ておいでw
困ったように笑ったディレクターに
そう言われて…
俺も仕方なく外に出た。
デ)ちょっと休もう。
臣)……すいません。
そう答えた後、
みゆきさんにすみませんと頭を下げたら
ゆっくりと首を横に振って微笑んでくれた。
隆)はぁ…、なんだろな…。
両手で顔をゴシゴシしながら
隆二がポツリと呟いた。
隆)なんか…、さ。
臣)ん…?
俺に話してんのかな…?
隆)なんか…
俺…この歌…
ほんとは一回も最後まで歌えなくて。
臣)え…?
もしかして。
俺と一緒…?
隆)練習しても今と同じで…さ。
臣)うん…。
隆)特に今日は…、
臣)……
隆)昨日…施設行ったじゃん…?
臣)うん…。
隆)でさ、♧の昔の写真とか見て…。
臣)うん。
隆)写真は全部…笑顔だったけど…
どれだけ苦労したんだろうとか…
やっぱりどうしても考えちゃって…。
臣)……
隆二が少し喉を詰まらせながら
話し続けるから…
俺は黙ってその声に耳を傾けた。
隆)なんでさ、あんないい子なのに…
親はいなくなったりしたんだろうとか…
そんなの考えてもわかるわけないんだけど
考えちゃって…
臣)うん…。
隆)自分の子なのに…さ、
やっぱりそういうの…信じらんなくて…
臣)……うん。
子供を捨てる親なんて
俺だって信じらんないよ…。
隆)でも…そういうこと考えちゃうのも
失礼なのかな、とか…
臣)……
隆)♧はちゃんと前を向いて頑張ってて
毎日笑ってるのに…
俺がそういうこと考えるのって
余計なことなのかなとか…さ、
臣)……うん。
でもお前は考えちゃうんだろ。
根が素直で優しいから。
臣)……
「誰もが生まれてくる時に
喜ばれるわけじゃないでしょ?
望まれないで生まれてくる子も
生まれてきたけど親に捨てられる子も
いくらでもいる。
普通なら親に愛されて育つけど
そうじゃない人だってたくさんいて…
自分は何のために生まれてきたんだろう
生きてる意味があるんだろうかって
人生の中で思うことって
誰でもあると思うの。
誰の愛情も…
もし思い出せないなら
生まれてきてくれてありがとうって
私が代わりにあなたに言うよって、
そういう歌。」
前にレイコさんが話してくれた、
この歌のこと。
隆二が歌えなくなったのは
まさにそこのフレーズだった。
隆)同情とか失礼だと思うし…
同情とかとも違うんだけど…
なんて言ったらいいのか
よくわかんない…ごめん…。
臣)うん…、わかるよ…。
わかるけど、
俺もなんて言ったらいいのかわかんない。
臣隆)はぁ……。
俺たちのため息が重なった時、
ふわりと隣に感じた気配。
臣)あ…。
みゆきさんだ。
み)お二人の事情はわかりませんけれども…
大切な人のことを思いやることは
決して「失礼」でも「余計なこと」でも
ないと思いますよ…。
隆)…っ
み)「同情」という言葉も…
憐れむような良くない意味に受け取る人も
いるかもしれませんけれども…
そうではなくて。
人の心に寄り添うことだと、
私は思います。
臣)…心に…寄り添う…?
み)ええ。
みゆきさんはまた優しく微笑んだ。
み)その人の心に寄り添って
自分のことのように理解しようとすること
理解したいと思うこと。
それは決して悪い意味ではないでしょう?
隆)…っ、はい…。
可哀想とかじゃなくて…
ただ…自分はほんとに…
生まれてきてくれて…ありがとうって…
本当にそう思うんです。
み)はい。
みゆきさんは優しく笑って頷いた。
み)ではその気持ちを乗せて
歌ってあげてください。その素敵な声で。
そう言われた隆二は
また両手で顔をゴシゴシして
深く息を吐いた。
隆)はぁぁぁぁ……
なんかすいません、情けないな。
み)いいえ〜〜
そして、登坂さんは?
臣)…っ
ニッコリこっちを向いた微笑みに
思わず言葉が詰まった。
臣)ええと…
俺が泣いちゃったのは二番に入ってすぐで…
今ならわかる。
「これは…私、泣いちゃうんだもん…
泣いちゃうから…歌えない。」
あの時、♡がそう言った意味が。
臣)……僕は…
自分のことじゃ…ないんですけど…
み)ええ。
臣)……
み)大切などなたかが、いらっしゃるのね。
臣)……はい。
……すみません、大丈夫です。
ちゃんと歌います。
強がってそう言ったけど、
歌える気がしない。
感情を全く入れずに
ロボットみたいに歌えば
やり過ごせると思うけど
そんな歌、レコーディングしたくない。
臣)はぁぁぁ……。
俺まで両手で、顔をゴシゴシ。
隆)みゆきさんに歌って欲しいな…。
臣)!!???
その言葉に驚いて顔を上げた。
隆)あ、いや、すいません!
違くて!わ、なんかすいません!
すげぇ図々しいですね俺!
すいません!
思わず言っちゃったのか、大慌ての隆二。
そうだよ!図々しいよ!ビビるわ!
み)いいですよ。
…って、えええ?!!!
臣隆)いいんですか!!??
思わずハモった俺たちに
みゆきさんはクスクスと笑って。
その場に座ったままで…
ゆっくりとその目を閉じた。
み)〜♪ふりかえるひまもなく 時は流れて
帰りたい場所が
またひとつずつ消えてゆく
すがりたいだれかを失うたびに
だれかを守りたい私になるの♪〜
柔らかに流れるように歌う
そのゆったりとした歌声に
心が洗われるようで…
俺と隆二はただただその姿に釘付けで。
み)〜♪わかれゆく季節をかぞえながら
わかれゆく命をかぞえながら
祈りながら 嘆きながら
とうに愛を知っている
忘れない言葉はだれでもひとつ
たとえサヨナラでも 愛してる意味♪〜
俺はやっぱり歌詞が
レイジさんとレイコさんにリンクして
涙が浮かんできて…
でも、急に変わった歌声に、圧倒された。
臣)…っ
声量はさることながら
声質も歌い方も突然変わって…
み)〜♪Remember 生まれた時
だれでも言われた筈
耳をすまして思い出して
最初に聞いた Welcome♪〜
瞬きするのも忘れるくらいの
力強い歌声とエネルギー。
み)〜♪Remember けれどもしも
思い出せないなら
わたしいつでもあなたに言う
生まれてくれて Welcome♪〜
心が震える。
人の歌でこんな風になるのは
いつぶりだろう。
み)〜♪Remember 生まれたこと
Remember 出逢ったこと
Remember 一緒に生きてたこと
そして覚えていること♪〜
最後のワンフレーズを
とてもとても、優しく歌い上げて。
みゆきさんはにっこり笑って
瞳を開いた。
臣)……
俺は気付いたら頬が濡れてて…
今自分がこうして生きてることが
なんて尊いことなんだろうって、そう思った。
この世に生まれてきて
俺は幸いにも生まれてきたことを
喜んでくれる家族がいて。
たくさんのめぐり逢いの中で
♡に出逢って。
♡を愛して、♡に愛されて
今、同じ時間を生きてること。
いつかどちらかの姿形がなくなったら
そこにはもう、「記憶」しかなくて。
一緒に生きていた大切な時間を
忘れないように、忘れないように…
記憶の糸を紡ぎながら
愛しさを手繰り寄せるんだろうか。
形のない「愛」は
触れられなくても、必ず心の中にあるんだ。
ー続ー
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うわーーーん(泣)臣くんも隆二くんもレコーディング頑張って~!中島みゆきさんの歌とのギャップがw
雪の華公開されましたね!マイコさんは見に行きますか?