[286]サンタの取り合い

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瞬)じゃあ俺、このへんで
  テキトーにハモるよ。
♡)うん!お願い♪
瞬)最後はギターいらない?
  アカペラでいいんじゃない?
♡)そっか!そーする!
 
 
今日は月に一度の
パパの施設で歌を歌う日曜日。
 
 
瞬と軽く打ち合わせしてたら
子供たちも続々と集まってきて…
 
 
奏)瞬兄ちゃん、あとでここんとこ教えて。
瞬)おう!いいよーー
 
 
奏くんはいつも瞬が色々教えてあげてる
高校生の男の子。
 
……なんだろう。
なんか急に少し大人びた気がする。
 
気のせいかな?
 
 
子)♡ちゃんっ!
  今日の髪型かわいーねっ♡
♡)えへへ、ありがとう♡
子)どうやってやるのぉ?
♡)あとでやってあげるー♡
子)ほんと?!やったぁ!♡
 
 
小学生の女の子はにっこり笑って
飛び上がった。
 
 
子)あ、♧姉ちゃん!おはよー!
子)♧姉ちゃーーん!
 
 
子供たちの声に振り向くと、
 
 
♡瞬)えっ!!!
 
 
そこには、♧さんの後ろに
こっそり隆二くんもいて…
 
 
隆)へへへ、来ちゃったw
♡瞬)ええええ!!
 
 
隆二くんが来るなんて聞いてなかったから
私たちはびっくり。
 
 
瞬)え、え、俺、今市さんの前で歌うの?!
  緊張すんだけど!無理!///
 
 
瞬はわたわたオロオロし始めて、
子供たちは隆二くんが来たことに大喜び。
 
 
子)隆くーん!ほんとにまた来てくれたぁ!
隆)へへへ、隆くんまた来たよーw
子)隆くん♪隆くん♪
 
 
あれ?
子供たちがすでに懐いている。
 
 
♧)先月ね、一度来てくれたの。
♡)あ、そうなんですね!
 
 
♧さんがにっこり笑って教えてくれた。
 
 
♡)子供たち嬉しそうですね♡
♧)隆二くんも嬉しそう♡
♡)あはははw
 
 
みんな笑顔で、和やかな時間。
 
 
瞬)え、ちょ、今市さんが歌った方が
  よくない?!///
  俺今日は観客で!
奏)なんで!瞬兄ちゃんが歌ってよ!
瞬)だだだだって!誰だと思ってんだよ!
  今市さんだぞ!!///
隆)斎藤さんだぞみたいに言わないでw
♡)あははははw
瞬)奏だって聞きたいだろ?!
  今市さんの歌!
奏)……
♡)……
 
 
あれ?
奏くんがなんだか複雑な表情。
 
 
隆)俺は今はいいよ。
  二人の歌が聴きたいな。
瞬)いやいやいや!///
子)隆くんはあとで上で歌ってー!♡
子)ピアノで歌ってー!♡
隆)はーーいw
 
 
隆二くんはにっこり返事すると
奏くんの肩をポンと叩いた。
 
 
隆)奏の歌もあとで聴かせてよ。
 
 
そう言われて奏くんは
少し照れたように俯いて…
 
 
♧)隆二くんね、奏くんのこと…
  いい声してるから
  いい歌い手になるね、って…
  この間、言ってたんだよ♡
 
 
♧さんがこっそりそう言うと、
ますます赤くなっちゃった。
 
 
♡)……
 
 
奏くんはシャイなのかな?
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
カ)よしOK!お疲れさま!
臣)ありがとうございました。
男)お疲れ様でしたー!
 
 
撮影を終えて、着替えて。
 
ふと携帯を見たら…
 
 
臣)なにっ!!
 
 
『今みんなでお昼ごはん😊🍴』
 
 
♡からのLINEに映ってるのは
 
♡と瞬と♧さんと…、
 
 
臣)なんで隆二…!?
 
 
何か頬張りながら二カッと笑ってる。
 
 
『今日ね、サプライズで
 隆二くん来てるんだよ😃
 あとで隆二くんも歌ってくれるみたい🎹💕』
 
 
臣)マジか…。
 
 
『あとね、館長さんが昔のアルバムを
 あとで見せてくれるって😆
 パパの写真あるみたいだから楽しみ💕✨』
 
 
臣)…っ
 
 
レイジさんの写真…?
 
そんなの俺だって見たい。
 
てかなんで隆二がいるわけ?
ちょー抜け駆けじゃない!?
 
 
♡と瞬が毎月行ってるのは知ってて
俺も行ってみたいなとは思ってたけど
騒ぎになりそうだから遠慮してたのに…
 
あいつだけちゃっかり〜〜〜!!
 
 
……俺の次の仕事は夜のハイローの撮影。
 
 
臣)Sさん!ちょっと抜けていい?
S)へ?どこ行くの!?
  確認作業は?
臣)ん?なんの?今日じゃなきゃダメなやつ?
  明日やるから!明日!ねっ!!
S)…わ、わかりましたよーー
 
 
強引に押し切って、スタジオを出て
タクシーに乗った。
 
 
事務所でいくつかやることあったけど
それは後回し。
 
 
臣)……
 
 
レイジさんと♧さんが育った場所かぁ…。
 
 
この間♡にレイジさんとレイコさんの話を
たくさん聞いたから…
 
会ってみたかったなぁっていう想いが
余計に募ったんだ。
 
 
♡から聞くレイジさんは
本当にカッコ良くて男らしくて。
 
同じ男として、めちゃめちゃ憧れる。
 
 
俺もそんな風に♡を大事にして
側にいて支えて守って
愛していきたいって…
心からそう思った。
 
 
結婚する時はまたお墓参りに行って
俺の気持ちというか決意というか…
そういうのちゃんと、伝えたいな…。
 
 
運)こちらでよろしいですか?
臣)ええと…、ハイ。
  ありがとうございます。
 
 
タクシーを降りて、
人目につかないようにすぐに門をくぐって
玄関に入った。
 
 
臣)ええと…
 
 
スリッパ勝手に借りていいのかな?
 
あ、♡の靴だ。
隣に入れとこっと。
 
 
……って、俺勝手に入っちゃったけど
不審者じゃない?大丈夫?
 
誰かいないかなーーー
 
 
臣)あのぉ……、すいません…。
 
 
受付の奥の事務所みたいなところを
覗いてみても、誰もいない。
 
 
臣)……あ。
 
 
なんか2階からピアノの音が聞こえる。
 
……と、思ったら
隆二の歌声が聞こえてきた。
 
 
なるほど。
みんな2階にいるのね。
 
 
臣)お邪魔しまーーす…。
 
 
勝手に階段をのぼって、ソロリ足。
 
 
パチパチパチパチ!!
 
中から大きな拍手が聞こえてきたところで
そーっとドアを開けてみた。
 
 
隆)あ!臣!
 
 
見つかんの早っ!!
 
 
隆二の声に、みんなの顔が
一斉にこっちを向いた。
 
 
♡♧)臣くん!
瞬)臣さん!!!
 
男)えええええ!??!
女)えっ、どっ、どええ!??///
 
子)わぁ!すごい!本物だ!!
子)また本物来たーー!すっげぇ!!
 
 
子供たちに一気に囲まれながら
職員さんたちにご挨拶。
 
 
臣)すみません、勝手に入っちゃいましたw
男)いや、全然いいですけどっ!えええ?!
女)まさか登坂くんまで来るなんて!
 
 
職員さんは目を丸くしてて
中高生はキャーキャーはしゃいでて
子供たちは足にまとわりついて…
 
隆二はニコニコしながら
子供の一人を抱き上げた。
 
 
隆)なんで来たの?あはははw
 
 
あはははじゃねーよ!
抜け駆けしやがってーー!
 
 
子)登坂さん!かっこいい!
臣)はは、ありがとーw
子)登坂さんイイ匂いするー!
臣)ほんと?w
子)登坂さーーん!♡
 
 
子供たち可愛いな…へへへ…
 
 
子)ねっ!隆くん!もっと歌ってよー!
子)そうだよー!隆くーーん!
臣)……
 
 
なんだ「隆くん」って。
めちゃめちゃ懐かれてんじゃん隆二め。
 
俺は「登坂さん」なのに。
 
 
子)ね、登坂さん、
臣)俺も「臣くん」って呼んでいいよ。
♡)ぷふっw
臣)……
 
 
あれ。♡がめっちゃ笑ってる。
 
 
♡)臣くんって呼んでいいよだってw
♧)あはははw
臣)……///
 
 
なんだよーー!!
 
 
子)臣くん!臣くんて呼ぶーー!♡
臣)お、おう///
 
 
子供は素直だな。可愛いな。
 
 
子)ね、臣くん!臣くんも歌ってーー!♡
瞬)えええ?!!
子)ん?
瞬)お、おまっ、ばっかやろ///
  そんな気軽に「歌ってー♡」って
  お願いしていい相手じゃないんだぞ?!
子)えー?
瞬)誰だと思ってんだよ!
  臣さんだぞ!!
臣)いや、斎藤さんだぞみたいに言わないでw
 
 
俺がそう言うと
♡も♧さんも隆二も大爆笑。
 
 
隆)奏、なんか歌ってよ。聴きたい。
奏)…っ
瞬)お、いいじゃんいいじゃん!
  なんか歌えば?
♡)奏くんね、シンガーソングライターを
  目指してるんだって♡
臣)え、マジ?すげぇじゃん。
  聴かせてよ!
奏)……///
 
 
俺たちのリクエストに
少し照れたようにギターを抱えた彼は
何を歌おうか悩んでるような顔。
 
さっきから隆二と目を合わせないのは
俺の気のせいかな?
 
 
子)三代目歌ってよ!
子)うん!三代目!
奏)ばっかやろーー
  本物の前で歌えっかよw
子)えー!いいじゃーん!
  いつも歌ってるじゃーん!
臣)え、そうなの?三代目好き?
奏)はい、大好きです。
臣)えーーありがと〜〜♡
奏)いえ///
隆)じゃあ三代目でもいいから
  好きなの歌ってよ。
 
 
隆二の言葉に、彼はプイッと顔を逸らして
「EXILEにします」と言った。
 
……あれ?
仲悪いの?君たち…。
 
 
奏)『ただ…逢いたくて』にします。
♡)わぁぁ!大好き!♡
奏)ありがとうございます///
 
 
……お、サビから入ってきた。
 
おお…ファルセット綺麗だな。
 
 
ギターを弾きながら伸びやかに歌う彼は
イイ声してる、うん。
 
……あ、でも。もしかして…
 
 
♧)すごーい!奏くん!上手!!
子)奏兄ちゃんかっけぇ〜〜!!
子)すごいすごい〜〜♡
 
 
歌い終わるとみんなから拍手の嵐で
俺と目が合った隆二は
多分同じこと思ってる。
 
 
隆)奏ー、あのさぁ、
  歌う時…
 
 
あ。
隆二が話しかけてんのに
またプイッと目を逸らした。
 
 
臣)奏くん?
奏)…っ
臣)あのさ、サビんとこ。
  〜♪もう逢えなくて♪〜
  じゃなくて、
  〜♪もう逢えなくて♪〜
  って歌った方がもっとラクに声出ない?
奏)……え。
臣)〜♪くちびるかみしめて 泣いてた♪〜
  って。その方が奏くんに合うと思うよ。
 
 
隆二は向かいでうんうん頷いてて…
俺に言われた通りそのフレーズを歌った彼は
自分でも納得したように目を丸くして
ありがとうございますと頭を下げた。
 
 
臣)ん…?
 
 
ふと隣を見ると…
 
 
♡)♡♡♡
 
 
♡が目をキラキラさせて俺を見上げてる。
 
 
臣)なに。
♡)今お手本見せてあげた臣くん、
  とってもカッコよかった♡♡
臣)は?w
♡)素敵だった♡♡
臣)…そりゃどーも///
♡)おうち帰ったら歌ってくれる?♡♡
臣)え。
♡)『ただ…逢いたくて』!
 
 
あまりに嬉しそうに目を輝かせてるから…
 
 
臣)はいはいw
 
 
笑って返事したら
「わーい♡」って抱きつかれた。
 
 
子)あーー!♡ちゃんが臣くんに
  ぎゅーってしてるー!
子)付き合ってるのぉー?
臣)うん。
子)ええええええ!!!
 
 
子供たちの大絶叫のあとに
 
 
男)えええええ!!!
女)えええええ!!!
 
 
大人たちの絶叫も聞こえてきた。
 
 
女)つ、つ、付き合…っ!?///
男)♡ちゃんと…登坂さんが…っ///
 
 
驚いたように口に手を当ててる皆さん。
 
 
そっか。
ただ隆二の相方だから来たとか
思われてたのかな?
 
 
子)ほんとに付き合ってんの!?
子)だったらチューしてみてよー!
子)チュー!チュー!
臣)んー♡ チューー♡
 
 
♡を抱き寄せてほっぺに軽くキスしたら…
 
 
子)////
 
 
自分たちではやし立てといて
真っ赤になってる子供たち。
 
ピュアか!!
 
 
♡)////
 
 
…って、こっちも赤くなって
もじもじしてるし。
 
ピュアか!!w
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
それからみんなで下に降りると
何やらこそこそ話している♧さんと隆二くん。
 
 
♧)……に…いたら…かな…?
隆)サンタ……るかな…?
 
 
ん?
 
 
♡)サンタ??
隆)!!!
♧)シーーーッ!
 
 
振り向いた二人は揃って
人差し指を唇に立てた。
 
 
♡)シーなの??
隆)そ!サプライズなんだから!
臣)なんの話?
♧)隆二くんのサンタサプライズだよー♡
♡)なぁに?それ!
 
 
私と臣くんは一歩前に出て耳を寄せた。
 
 
隆)もうすぐクリスマスじゃん?
臣)まだ10月だけどな?w
隆)そんなのすぐじゃん!
  準備期間も含めたら今が丁度いいの!
♡)準備期間??
♧)あのね、この箱をここに置いて…
  みんなにサンタに欲しいものを書いて
  入れてもらうの♡
 
 
♧さんが持ってるのは
赤と緑の厚紙で作られた可愛い箱。
 
 
隆)それを、俺が用意するの!
♡)わぁ!素敵ーー!
臣)え、それ俺も出す!
隆)え?
臣)半分出すよ。
隆)いいよ。俺が出すよ。
臣)なんで!俺も出すって!
隆)俺がサンタになるのー!
臣)俺もサンタになる!
♡)あははは♡
 
 
サンタの取り合いをしてる二人が
なんだか可愛くて
思わず♧さんと笑っちゃった。
 
 
隆)だってここは♧の家みたいなもんだし…
臣)レイジさんが育った場所なんだから
  俺にとっても大事な場所なんだよ!
♡)…っ
 
 
臣くんが当たり前のようにそう言ってくれて…
なんだか胸がじーんてして
嬉しくなった。
 
 
臣)それにお前、
  すげぇ現実的なリクエストあったら
  どーすんの?
隆)え…?
臣)家が欲しい、とか。
隆)えええ!!新築!?一軒家?!
臣)建てんの?
隆)それは…
  ミニチュアで我慢してもらうしか…
臣)この偽サンタ!
隆)はぁ?!
  家は無理だろ!家は!
臣)まぁ家までいかなくても
  すげぇ高いもんだったら?
隆)そんなのリクエストしてくるかな?
  俺は子供たちの
  ピュアな気持ちを信じてるよ。
臣)子供たちはピュアでも
  中高生はきっと現実的だぞ。
隆)えっ
臣)〇十万するギターが欲しいとか…
隆)はっ!奏か!?あいつか?!
臣)そんなことになったら
  お前一人じゃ大変だよー?
隆)……
臣)だから俺も出す。
 
 
臣くんがそう言うと
♧さんがにっこり笑って
二人で仲良くサンタさんになったら
いいんじゃないかな、って。
 
 
隆)そーお?じゃあそうする。
 
 
♧さんの言葉なら素直に聞き入れる隆二くんが
なんだか可愛いw
 
 
♡)ね、じゃあプレゼントの手配とかは
  私がするよー!
  二人とも忙しいでしょ?
臣)いや、お前も十分忙しいだろw
♡)そんなことないよ!大丈夫!
♧)私も手伝うよ!
臣)じゃあ俺らが出資者で
  二人は購入係ね?w
♧)うん!任せて!♡
隆)よーし!♪
 
 
それからリクエストBOXを
食堂の入り口に置くと
子供たちが面白そうに近寄ってきた。
 
 
子)♧姉ちゃん!なぁにこれ!
♧)これはサンタさんからのお願いBOXだよー
子)何それぇ!
子)サンタさん?!
♧)そう♡
  みんながクリスマスに欲しいものを
  ここに書いて入れてねーって。
子)うっそ!!
子)サンタさんが!?
♧)そうだよー♡
子)サンタさんは毎年お菓子くれるじゃん!
子)そうだよ!
臣)サンタってのは一人じゃないんだぞー
子)ええっ!
隆)そうそう、いっぱいいるんだから。
子)ええっ!
♡)お菓子くれるサンタさんとは
  別のサンタさんが
  今年は来てくれるみたいだよーー♡
子)やった〜〜!♡
 
 
みんな嬉しそうに飛び上がって
そばにあったメモ紙を握りしめて
早速ペンを取った。
 
 
子)俺ねぇ!変身ベルト!!
臣)ぷっw
子)なんだよぉ〜
臣)いや、俺も昔買ってもらったなーってw
子)臣くんも持ってたの?!
  変身した!?
臣)したしたw
♡)あはははw
 
 
あ、中高生の子たちもこっちを見てる。
 
 
女)♧姉ちゃん…
♧)なぁにー?
女)そのサンタってさ、
  何歳の子までなのかなぁ。
隆)ここにいる子みーーんなだよ。
女)え?
隆)高校生もみんな!
女)うそっ…
女)じゃああたし達も…?
隆)もちろん!!
女)////
 
 
隆二くんがニッコリ返事すると
女子高生たちも遠慮がちにペンを取った。
 
 
奏)なんでもくれるのかなぁ…
 
 
奏くんはドサッと隆二くんの隣に座った。
 
 
隆)なんでも…?
  お前まさか…やっぱりクソ高いギ…
臣)好きな女の名前とか書いたら
  サンタにぶっ殺されるよw
隆)!!!
奏)あはは、やっぱり?w
隆)お前まさか書こうとしてたのかよ。
奏)殺されたくないからやめとく。
隆)ふざけんなよこんにゃろ!
奏)いってぇ!
隆)死んでもやんねぇよ!
奏)くれなくてもそのうち奪いに行くし。
隆)はぁ!??
  てめぇこのやろ!!
奏)いってぇ!!
♡)……??
 
 
よくわかんないけど
隆二くんと奏くんは仲良しみたい。
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
瞬)姉ちゃーーん!
  アルバム借りてきたーー!!
 
 
子供たちがみんな
プレゼントを何にしようか
楽しそうに話し合ってる向こう側で
 
瞬がブンブン手を振って食堂に入ってきた。
 
 
♡)見たい見たいーー!♡
臣)俺もーー!! 
 
 
少し古びたアルバムをゆっくり開くと
少し色褪せた写真が
いくつか並んでいて。
 
 
♡)パパいるのかな??
瞬)探してみてください♪
  って言われたよw
♡)えー!探すーー!
隆)あ、♧いた!
臣)えっ、どこどこ!
♧)……恥ずかしい///
♡)ほんとだー!♧さん!
瞬)おお!!
 
 
まだ小さい子供の♧さんは
髪を二つに縛ってて可愛らしい。
 
 
臣)めっちゃ面影あるww
♧)えっ、ほんとー?
臣)この頃からタレ目なんですねw
瞬)うん、全然変わってないw
♧)タレ目のことは言わないで///
臣)え?なんで?
  エロくていいじゃん。
♡隆)こら!
臣)ん?
隆)エロいとか言うな!
臣)えーー
  お前だって好きなくせに。
隆)はぁ?///
臣)♧さんのタレ目。
隆)……す、好きだけど…///
♡)臣くん!そういう時は
  「セクシー」って言いなさい!
臣)えーー
  どっちも同じ意味じゃん!
♡)同じ意味でもちょっと違うの!
臣)……はーい。
 
 
なぜか怒られながら
パラパラとめくっていくと…
 
 
♡)パパいたーーー!!♡♡
 
 
♡の大きな声で、その手を止めた。
 
 
瞬)ほんとだ!父ちゃんだ!
隆)え、これ?!この人!?
臣)うん。
隆)えーーーー!!
臣)なんだよ。
隆)ここまでイケメンだと思ってなかった…
  え、カッコ良すぎない?
♡)えっへへー♡
隆)え、マジでイケメン…。
臣)当たり前だろ、誰だと思ってんだよ。
  ♡のお父さんだぞ。
隆)だから斎藤さんみたいに言うな!w
♧)あはははw
隆)でもほんと似てるね。そっか。
臣)お前と瞬で見事に分かれてるもんな。
♡)え?
臣)レイコさん似とレイジさん似。
瞬)あはははw
 
 
アルバムの中のレイジさんは
両手に子供を抱えながら
楽しそうに笑ってる。
 
 
隆)すげぇ優しそうな人だね…。
♡)うん♡
  すっごく優しいんだよぉーー♡
♧)うんうん♡
♡)でもね、怒ると怖いんだって!
♧)えっ!そうなの?!
♡)うん!ママが言ってた。
  パパが怒ると別人みたいになるって。
瞬)ああ、言ってたなー
  父ちゃんがキレたら
  その目見ただけでみんな怯えるって。
隆)何それ!すげぇ!w
♡)ママがそんなパパを見たのは
  二回だけみたいなんだけど…
臣)でも一人で何人もやっつけたんでしょ?
♧)えっ!強いの?!
臣)すげぇ強かったらしいですよ。
  伝説の男って呼ばれてたとか。
♧)伝説の男…!
隆)何それ!すげぇ!かっけぇ!w
 
 
レイジさんの写真は
そんなに多くはなくて…
 
俺たちは写真よりも
レイジさんの話で盛り上がった。
 
 
♡)あ、館長さん!
  アルバムありがとうございます♡
館)いえいえw
  お父さんは見つけられたかな?
♡)はいっ!♡
 
 
ひょっこり覗いてきた館長さんは
俺たちを見て優しく笑った。
 
 
館)あの頃は私も館長になりたてで
  毎日バタバタしていたけど…
  レイジさんのことはよく覚えています。
  彼は…、♡ちゃん。
  君と同じ目をしてた。
♡)え…?
館)優しくて強い、澄んだ瞳をしていました。
♡)……
館)本当にそっくりですねw
♡)……えへへ///
館)瞬くんと♡ちゃんがこうして来てくれて
  子供たちのことを考えてくれる大人が
  こんなにたくさんいて…
  レイジさんもきっと喜んでると思います。
臣)……
 
 
見てくれてるだろうか。
空の上から。
 
 
レイジさんの想いは
こうして子供たちに受け継がれて
 
愛や笑顔は、輪になって広がっていく。
 
 
俺にできることなんて
小さいことかもしれないけど
 
俺も少しでも力になりたい。
 
幸せを繋いでいけるような
そんな人間でありたい。
 
 
改めてそう思った。
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
隆)じゃあそろそろ帰ろっか。
臣)うん。俺も撮影あるし。
隆)え、お前仕事なの?
臣)そうだよーー
隆)お疲れさん…。
 
 
臣くんは今日はハイローの撮影なんだって。
 
帰りは隆二くんの車で
一緒におうちまで送ってもらった。
 
 
臣)あ、そうだ。
  ♧さん、これ。
♧)え?
臣)明日発売の俺のエッセイ。
♧)あ!明日発売なんだ?
  ありがとう!もらっていいの?
臣)もちろん。約束してたし。
♧)どうもありがとう♡
隆)ちょっと!俺のは?!
臣)は?
隆)俺にはないの!
臣)え、いや、これでいいじゃん。
隆)は?
臣)同じ家に2冊もいらないでしょw
隆)お前俺を誰だと思ってんだよー!
  相方だぞ!
臣)だから斎藤さんみたいに言うな!w
♡)あはははっw
隆)まずは俺でしょ!俺!
臣)だからそれ読めばいいじゃん!
隆)……ったく。
♡)……
 
 
ちゃんと自分用に渡してくれなかったことに
拗ねてる隆二くんが可愛くて…
 
でも、
 
 
♧)これ一緒に読も?ね?
隆)……うん。
 
 
♧さんに言われると素直に頷く隆二くんが
また可愛くて。
 
 
♡)ぷぷぷぷ♡
臣)何笑ってんだよ。
♡)なんでもなぁいw
  じゃあね、隆二くん送ってくれて
  ありがとう!
隆)はーい。
 
 
二人の車を見送って
臣くんとエレベーターに乗り込んだ。
 
 
♡)ね!ね!私のはー?
  あるよね?ね?
臣)はいはい、ありますーーw
♡)良かったぁ〜♡
 
 
家に帰ると笑いながら
私にも1冊、手渡してくれた臣くん。
 
 
♡)早速読も〜っと!♡
臣)は?今かよ!?
♡)うんっ♡
臣)俺が仕事行ってから読めばいいじゃん!
♡)えーー!気になるもん!
臣)あとちょっとしかないんだから
  イチャイチャしたい!
♡)……
 
 
そっか…。
私もしたい。
 
 
♡)えへへ♡
臣)あ、来た来たw
♡)ぎゅむーー♡
臣)ぎゅむーー♡
 
 
エッセイは一旦テーブルの上に置いて、
私は臣くんの膝に飛び乗った。
 
 
♡)臣くん♡臣くん♡
臣)臣くん♡臣くん♡
♡)どうして真似するの!//
臣)いや、可愛いなーと思って…w
♡)子供扱いしてるでしょ…
臣)してないしてないw
♡)もぉ……
 
 
臣くんのほっぺをぷにぷにすると
「あのさぁ…」って言って
臣くんの手が私のほっぺをなでなでした。
 
 
臣)それ…、
♡)それ?
臣)エッセイ。
♡)うん?
臣)……なんか…
  お前の話、見事に端折られてて…
♡)うん?
臣)なんか…
  レイカの話ばっかりになっちゃってるけど
  気にしないでね。
♡)……うん。
 
 
そっか、そうなんだ。
 
 
臣)お前の話はねぇ、
  俺がおっさんになったら
  好きなだけ話していいんだってー
♡)なぁに?それーw
臣)Sさんが言ってたw
♡)あはははw
 
 
髪を撫でてくれる臣くんの手が気持ち良くて
私はもう一度、臣くんの首元に顔を埋めた。
 
 
♡)ん〜〜〜〜
臣)どうした?
♡)大好き♡
臣)なんだよぉ〜〜w
♡)あのね、今日臣くん来てくれて
  びっくりしちゃった♡
臣)だってさーー
  いきなり隆二来てるって言うから。
♡)ね、私もびっくりしたw
臣)子供たち可愛かったなーー
♡)ね、みんな良い子だよね♡
臣)あ、あの子さーー
♡)あの子?
臣)奏くん?
♡)うん。
臣)♧さんのこと好きなんだねーー
♡)……え?!!
 
 
びっくりして、思わず顔を上げた。
 
 
♡)奏くんが?!
臣)うん。
♡)♧さんを!?
臣)うん。
♡)なんで?どうして?
臣)いや、見てりゃわかるじゃん。
♡)ええええ!!!
 
 
私…今までだって何回も見てたのに
どうして今日初めて来た臣くんが
私より先に気付くのーー!!
 
 
♡)ほんとに?
臣)うん。
♡)絶対?
臣)うん。
♡)どうして私…気付かなかったんだろ…
臣)キングオブ鈍子が気付くわけないじゃん。
♡)にぶこって言わないでー!
  勝手にキングにしないでー!
臣)しかもあの感じだと隆二もわかってるな。
♡)奏くんの気持ちを?!
臣)うん。
♡)なんで?!どうして!?
臣)いや、そこはわかんないけど…
  あ、あれじゃない?
  Tみたいに目の前で告ったとか。
♡)えええ!!
 
 
隆二くんの目の前で?!
 
 
♡)ちょっと今度♧さんに聞いてみようっと…
臣)ダメダメ。
♡)え?
臣)もし違ったら、
  ♧さんは気付いてないかもだし。
♡)はっ!奏くんの気持ちに?
臣)そうそう。
♡)そっか、じゃあ聞いちゃダメだ。
臣)そうだよ。
  ♧さんお前みたいに鈍そうだし
  言われなきゃ絶対気付かなそう。
♡)「私みたいに」は余計だよ。
臣)キングが何を言う。
♡)キングじゃないー!
 
 
なんて話してるうちに、
あっという間に時間が経って。
 
 
臣)じゃあそろそろ行くかなー。
 
 
まだまだくっついてたかったのに…
ちょっぴり寂しい。
 
 
♡)忘れ物なぁい?
臣)ないよー
♡)あ、台本は?
臣)いらない。
♡)え、いらないの?!台本だよ!?
臣)もう覚えたもん。
♡)わぁ……
 
 
すごい。
 
 
♡)カッコイイなぁ…。
臣)いや、俺のセリフめっちゃ少ねぇから!w
♡)……
 
 
そんなこと言いながら…
もしセリフがすっごく多くても
臣くんは全部覚えて
台本を持っていかない気がするんだ、私。
 
 
臣)なんだよ。
♡)ううん。
 
 
手を伸ばしてぎゅっと抱きついた。
 
 
♡)頑張ってね♡
臣)ん♡
♡)行ってらっしゃい♡
臣)行って来ます♡
 
 
…って言ったけど、
なかなか解かれない臣くんの腕。
 
 
♡)どしたの…?
臣)んー?
  …もっとくっついてたかったなぁと
  思って…。
♡)……///
 
 
私とおんなじだ。
 
 
♡)ねぇ臣くん…。
臣)んー?
♡)今日ね、ありがとう。
臣)ん?
 
 
「レイジさんが育った場所なんだから
 俺にとっても大事な場所なんだよ!」
 
 
あの言葉、本当に嬉しかったんだ。
 
 
♡)パパのこと…
  私と同じように大事に思ってくれて…
  ありがとう。
臣)……
 
 
臣くんは私の背中を
優しくトントンしてくれて…
 
 
そっと離れて視線が合うと…
すごくすごく優しい瞳で、私を見てた。
 
 
♡)////
 
 
……ぎゅむぅ!!!
 
 
臣)お?!
 
 
そんな顔されたら、
離れたくなくなっちゃう。
 
 
♡)……好き///
臣)////
 
 
臣くんが大好き。
 
 
♡)最後にチューして?//
 
 
そしたら我慢してちゃんと待ってるから。
 
 
臣)……はぁ、もう…///
 

チュッ。
 
 
臣)離れたくないのは
  俺も一緒なんだからな///
 
 
優しいキスの後、
少し照れたようにそう呟いて
臣くんは仕事に向かった。
 
 
 
 
 
 
ーendー

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  1. *** より:

    隆二くん可愛い(///∀///)
    臣くんのエッセイそんなに欲しいんかいwちなみに私も持ってます。前髪臣くん可愛いですよね!

    • マイコ より:

      前髪臣くんは世界遺産中の世界遺産です!!!!!!!!!!!1

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