[164]虫刺され(隆二&♧Side)

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頭が…
 
ふわふわ…
 
ううん、違う。
 
少し…ズキズキ…
 
 
♧)うう……、
 
 
なんだか少し、気持ち悪い。
 
グラグラして…ムカムカして…
 
 
♧)ん……。
 
 
ゆっくり目を開けると
目の前には、隆二くんのお髭。
 
 
♧)……
 
 
しばらく固まって、
また今日も抱きしめられてるんだって
気付いた。
 
 
♧)……///
 
 
隆二くんの腕は…
しっかりと私の背中に回ってて…
 
スヤスヤと寝息を立てながら
私をその腕の中に閉じ込めてる。
 
 
♧)////
 
 
ドキン…
 
ドキン…
 
 
もう少し…眠りたいなぁ…
 
隆二くんの腕の中で…
もう少しだけ…
 
 
そんなことをぼんやり思いながら
どこかで我に返る。
 
 
あれ…?
 
私、いつ寝たの…?
 
 
♧)……
 
 
どうやってベッドに入ったっけ??
 
 
♧)…っ
 
 
思い出そうとしても、思い出せなくて。
 
 
少し痛む頭と、ムカつく胸。
 
自分の姿を見ると、服のままで。
 
 
♧)!!!
 
 
そのまま寝ちゃったんだ!!
うそっ…!!
 
 
えっと…えっと…
 
そうだ!!
むーこと健ちゃんは?!
 
 
♧)…っ
 
 
オロオロしながら
目の前の隆二くんをもう一度見ると
 
服は着替えてるし、前髪はふわふわ。
 
きっとシャワー入ったんだ。
 
 
てゆーか!!
 
私まさか…メイクしたまんま?!!
 
 
一番ありえない状況に気付いて
隆二くんの腕をそーっとすり抜けて
ベッドを降りた。
 
 
♧)…っ
 
 
……どうして…
 
私…ブラが外れてるんだけど…
 
 
♧)……
 
 
酔っ払って…
自分で外したの…?
 
 
なんかいろいろと現状を把握できなくて
ふと時計を見れば、
 
 
♧)!!!
 
 
もうこんな時間?!!
うそっ!!
 
今日から仕事なのに!!!
 
 
私は大慌てでシャワーに走った。
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
隆)…ん……、
 
 
目が覚めると
今日も俺はベッドに一人で。
 
 
もそもそ起き上がると
リビングの様子はいつもと違った。
 
 
エプロン姿で
ニッコリおはようって言ってくれる
いつもの♧はいなくて…
 
 
♧)わわっ、どうしようっ!
 
 
バタバタと走り回る♧は
俺に気付いてない。
 
 
隆)おはよ……
♧)あっ!隆二くん!!
  えっと、ごめんね?!
  今日寝坊しちゃって
  朝ごはん作る時間なくって…!
隆)……うん。
 
 
それは全然いいけど…
 
 
隆)昨日の残りとか、冷蔵庫にあるの…
  食べてもいーい?
♧)うん!もちろんいいよ!
  てゆーか!!
  昨日の片付けって…!!!
 
 
♧がハッとしたように
テーブルとキッチンを見た。
 
 
♧)なくなってる!むーこ?!
隆)……俺やっといたよ…。
♧)ええ?!!
 
 
だって…
 
昨日はシャワーから戻ってきても
なんかムラムラしてて…
 
眠れそうにないから
どうせなら全部片付けちゃおうと思って。
 
 
♧)ごめんね?!どうしよう…っ
隆)全然いいよ。
♧)ほんとにごめんね!?
 
 
♧は荷物を用意しながら
またハッとして俺を見た。
 
 
♧)むーこと健ちゃんは?!
  いつ帰ったの!?
隆)ああ…。
 
 
あの二人は…
 
 
隆)♧が寝ちゃった後、すぐに帰ったよ。
♧)そうなの?!
隆)むーちゃんちに仲良く一緒に。
♧)え?!!!
 
 
俺の言葉に、目を丸くする♧。
 
 
♧)一緒に…って…
隆)なんかイチャイチャしてた。
♧)ええ?!!
 
 
めっちゃチューしまくってたし。
 
 
隆)今頃一緒に寝てるんじゃない。
♧)ええ!!??
 
 
驚きっぱなしの♧。
 
 
♧)だ、だ、だ、だって…っ
隆)……
♧)いい…のかな…?
隆)ん…?
♧)えっと…だって…
  健ちゃん…彼女…
隆)……うーん。
 
 
あの様子だと
そんなの関係なしに襲いかかってそうだよね…
 
 
♧)それに…むーこは…NAOTOさんと…
隆)まぁそれはただのワンナイだし。
♧)…っ
 
 
あの二人はセフレもシェアしてるくらいだし
そんなの気にしないでしょ。
 
 
てゆーかさ、そんなことより…
 
 
隆)昨日のこと…
♧)わ!こんな時間!大変っ!
隆)…っ
♧)ごめんね!行ってきます!!
 
 
♧は何度も俺に謝りながら
風のように家を出て行った。
 
 
隆)……
 
 
昨日のこと…覚えてる…?
って、聞きたかったんだけど…。
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
♧)おはようございます!
  お休みいただいて、
  どうもありがとうございました!
園)あら、すっかり顔色も良くなって。
  元気になったのね?良かったわ。
 
 
園長先生は優しく笑ってくれて…
 
 
女)♧先生、完全復活ね?良かった〜!
女)安心したよ〜〜!
♧)ご心配おかけしました、すみません。
 
 
みんなの優しい笑顔に
心があたたかくなる。
 
迷惑かけちゃった分も…
しっかり頑張らなくっちゃ…!
 
 
♧)ん…?
 
女)じーーーっ
女)じーーーっ
 
 
後ろから感じる視線に振り向くと、
二人が私をじっと見てて。
 
 
♧)どうしたの…?
女)♧先生…
女)びっくりしましたよ…
♧)え、何が…?
女)どうして教えてくれなかったんですか!
女)あの今市隆二と友達だなんて!
♧)!!!
 
 
その名前に、私は慌てて二人の口を塞いだ。
 
 
♧)どう…して…っ
女)もうびっくりしましたよ!
女)そうだよ!なんなの友達って!
♧)えっと…っ
女)最初は不審者だと思ったのに
  本物の芸能人なんだもん!
女)♧先生に会いに来るって
  どういうことですか?!
♧)…っ
 
 
そうか…、あの日。
 
隆二くんは先にこっちに来たのかな…?
 
それで…
友達、って…言ったのかな?
 
 
女)ほんとにびっくりなんだけど!
女)いつから友達なんですか?!
♧)ええと…
  それは今度話すね…///
女)えええ!!
♧)さ、仕事しよう…///
女)ちょっとーーー!!
 
 
そそくさと教室へ向かうと
子供たちが一斉に集まってきた。
 
 
子)♧せんせーーっ!!
子)げんきになったのー!?
♧)うん、お休みしててごめんね?
子)おねつはー?もうないー?
♧)ないよ、大丈夫w
子)わーい!せんせーー♡
♧)ふふふ♡
 
 
今日も元気な子供たち。
癒されるなぁ、この笑顔。
 
 
葵)せんせー!みてぇっ!
♧)あら、葵ちゃん。
  これは誰の絵かなー?パパかな?
葵)りゅーじっ!♡
♧)…っ
 
 
そうだった…
葵ちゃんは…というか
葵ちゃんのママは隆二くんファンなんだっけ。
 
 
葵)おひげーー♡
♧)葵ちゃん、そこはほっぺだよ。
葵)あのねっ!きょうもねっ
  ママとりゅーじみてきたのー
♧)TVかな?
葵)みゅーじっくしゅてーしょん!
  もうなんかいもみてるのー
♧)それ先生も見たよ!
葵)ほんとー?
♧)うんっ♡
 
 
初めてTVで隆二くんを見たんだもん。
 
 
葵)あのね、あおいねっ、
  りゅーじみたんだよーー
♧)ん?
葵)おそとにいたの。
♧)ん!??
葵)でもね、ママがへんなおじさんって…。
♧)……
葵)でもりゅーじだったんだよ!
♧)……
 
 
隆二くん…
見られちゃったのかな…?
 
変なおじさんって…
 
 
葵)ぜったいりゅーじだもん…
♧)うん、そうだね…w
 
 
口を尖らせた葵ちゃんが可愛くて
思わず頭をなでなでした。
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
隆)美味しい…。
 
 
もぐもぐ。
 
一人で食べるのは少し寂しいけど…
♧の料理はほんとに美味しい。
 
 
昨日健ちゃんが気に入ってたこの
鶏の和え物?みたいなやつ。
 
せっかく♧が健ちゃんにあげたのに
健ちゃんってばイチャイチャに夢中で
忘れてったから…
 
俺が全部食べちゃうもんねっ!
 
ふふんっ♪
 
 
音がないリビングで
ピッとTVをつけたけど。
 
あんまり興味ないニュースばっかりで。
 
 
隆)ふぅ…。
 
 
健ちゃんにLINEしてみよっかな。
あの後どうしたんだろ。
もう起きてるかな。
 
 
隆)……
 
 
……いや、
今頃最中だったら困るからやめよう。
 
 
隆)……はぁ。
 
 
♧は…いつも通りだったよな…。
 
急いで慌ててたのはわかるけど…
昨日のこと全然覚えてなさそうだった。
 
 
「…ぁ…っ、…や…、ん///」
 
 
隆)……///
 
 
一瞬で蘇る、♧の可愛い声。
 
 
「すご…く…きもち…いい…の///」
 
 
隆)////
 
 
ドクン……
 
 
ああ、ダメだ。
思い出したらまた興奮する…。
 
 
「……ね、……し…て?///」
 
 
そう言ってキスをねだる♧は
死ぬほど可愛かった。
 
 
隆)////
 
 
でも……
 
あんなに夢中でキスしてたのに
♧は途中で寝ちゃって。
 
 
あんな最中に寝られたのなんて
初めてなんですけど…
 
 
「お前に色気ないから
 ♧ちゃんもその気にならへんのちゃう。」
 
 
ふと頭をよぎった、健ちゃんの言葉。
 
 
隆)…っ
 
 
もしかして…
俺に色気が足りないから
♧は寝ちゃったのか!??
 
あんな最中に?!!
 
 
だとしたら…
 
ガーーーン………
 
 
俺はあんなに興奮して…
爆発しそうだったのに…
 
それは俺の一人よがりで…
 
♧にしてみたら
眠たいのにこの人何してんのー?
みたいな感じだったってこと!?
 
 
隆)…っ
 
 
……立ち直れない。
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
♧)ふぅ、疲れた……。
 
 
子供たちのお昼寝タイム。
束の間のおやつ休憩。
 
 
バッグから携帯を取り出すと、
 
『昨日は片付けもしないでごめんね🙏💦』
 
むーこからLINEが来てた。
 
 
♧)……
 
 
「♧が寝ちゃった後、すぐに帰ったよ。
 むーちゃんちに仲良く一緒に。
 なんかイチャイチャしてた。」
 
 
むーこ…
健ちゃんとどうなったんだろう…。
 
 
「今頃一緒に寝てるんじゃない。」
 
 
隆二くんがそう言ってたっけ。
 
 
♧)……///
 
 
H…しちゃったのかな…?///
 
 
でも…
むーこは彼女がいる人とはしないって…
 
それに、
NAOTOさんとのことだって…
 
 
「まぁそれはただのワンナイだし。」
 
 
♧)…っ
 
 
そういえば隆二くんは
サラッとそんなこと言ってた。
 
 
ただの…ワンナイ、って…。
 
 
だって…
NAOTOさんと健ちゃんは
友達っていうか…仲間なわけで…
 
なのに…
同じ人とそういうことするの…
全然平気なのかな…?
 
ってゆーか…
ワンナイならいいって何?
どういう定義なの!?
 
全然理解できない世界で、ついていけない。
 
 
女)どうしたの?♧先生。
  険しい顔して。
♧)……
 
 
ちょっと…教えてほしいです…。
 
 
♧)ワンナイって…何?
女)え?!
女)あはは、珍しいw
  ♧先生からそんな話題出るなんてw
♧)だって……
 
 
全然わかんないんだもん…。
 
 
女)ワンナイはその言葉通り
  一夜限りですよーw
 
 
それは…わかるんだけど…
 
 
女)お互い気持ち良ければ
  それでいいんです♡
♧)…っ
女)ほら、女にだって性欲はあるし。
  お酒とか入ってると
  人肌恋しくなったりとかー
♧)……
 
 
どうしよう。わからない。
 
 
女)そこに丁度いい人がいて、
  お互い合意だったら、ねぇ?
 
 
ねぇ、って…
 
 
女)後腐れないし、いいんですよ♡
♧)……
 
 
そういう…ものなの…?
 
 
じゃあ…
むーこと健ちゃんも…
 
 
♧)……はっ!
 
 
そういえば…!!
 
 
「……うーん…と…、それなり…に。」
 
 
思い出してきた、昨日の会話!!
 
 
私が隆二くんに遊んでるの?って聞いたら…
それなりにって言われたんだ…!
 
 
♧)…っ
 
 
それなりって…何?!!
 
それなりって…
 
 
……あれ?
 
そこから私、どうしたんだっけ。
 
 
記憶がないのって…
その後くらいからかも…。
 
 
♧)……
 
 
でも、隆二くんがそれなりにって言ったのは
ハッキリ覚えてる。
 
 
隆二くんも…遊んでるんだ。
ワンナイとか…きっとしてるんだ。
 
 
♧)……
 
 
胸の中が…モヤモヤ…モヤモヤ…
重たくなっていく。
 
 
隆二くんが私にしてくれる
ハグとか…そういうのも…
 
他の子にもしてるのかな。
 
だって…
なんかすごく慣れてるもん。
 
 
私は毎回ドキドキして
一人でわたわたしてるけど…
 
そんなのはきっと私だけで…
隆二くんにしてみたら
大したことじゃないのかも…。
 
 
行ってらっしゃいのぎゅーも…
お帰りなさいのぎゅーも…
 
おでこにたまにくれるキスも…
キッチンで後ろからすりすりしてくるのも…
 
朝起きたら
ぎゅってしてくれてるのも…
 
 
♧)……
 
 
そう思ったら、なんだかすごく落ち込んで
 
泣きそうになった。
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
隆)これにする!決めた!!
男)おおっ!
男)隆二が即決するなんて珍しいなw
男)そんなに気に入った?
隆)…っ
 
 
だって…
すげぇ大人っぽいし、色気あるじゃん!
 
 
隆)三代目でもここまでのって
  歌ったことないし。
男)確かにねーー
 
 
俺がソロに選んだのは
『Over & Over』って曲。
 
歌詞がすげぇストレートなんだけど
でもエロすぎるわけじゃなく、オシャレ。
 
 
男)これ臣っぽいなって思ってたんだけど…
男)そう?
  俺は逆に隆二が歌ったら
  色っぽくなりそうだなーって
  思ってたけど。
男)ああ、そうか、逆にね。あるかも。
隆)……
 
 
臣…?
 
いいんだよ、
あんなベルギーで浮かれてる奴は!
 
俺はその間に色気を身につけてやる…!!
 
 
隆)これ…LIVEでやる時とかも
  そういう演出にしたいな。
男)そういうって?
隆)なんか色っぽい感じ。
男)ほ〜〜〜w
 
 
俺の言葉にニヤニヤするスタッフさん達。
 
 
男)彼女が出来ると違いますな〜w
隆)は??//
男)ああ、この間の可愛い子ね〜〜w
隆)……//
 
 
そうだった。
彼女って嘘ついたんだった。
 
 
ほんとはまだ彼女じゃないし…
キスの途中で寝られるくらい
俺ってばダメダメなんだけど…
 
 
だからこそ!!
この曲はビシッとカッコ良く決めてやる!!
 
 
隆)よし!歌うっっ!!
男)はい、どうぞw
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
『今日も早めに帰れるから
 一緒にご飯食べたいな😊』
 
 
そんなLINEが届いて、
私は今、隆二くんの帰宅待ち。
 
 
♧)……はぁ…。
 
 
隆二くん…こんなに可愛いのにな…。
 
笑ったら綿あめみたいに
ふにゃんってしてて無邪気だし。
 
ご飯美味しい美味しいって食べてる姿も
子供みたいで可愛いのに…
 
なのに…
 
 
遊び人だなんて…。
 
 
全然想像できないし
想像したくないけど…
 
でも。
 
 
たまに急に男らしくなったり…
 
キ、キ、キスする前とか…
すごく色っぽかったし…
 
 
♧)////
 
 
川辺でのキスを思い出すと…
今でもドキドキする。
 
 
……あんな風に…
他の人にも…キス…してるの…?
 
 
♧)……やだ…な…。
 
 
一人でモヤモヤモヤ。
 
私の頭の中は今日ずっとこんな感じ。
 
 
隆)ただいまーー
 
♧)!!!
 
 
玄関から隆二くんの声が聞こえて、
私はすぐに立ち上がって迎えに行った。
 
 
♧)おかえりなさい!
隆)へへ、ただいまー
  いい匂いするー♡
♧)ご飯出来てるよー
隆)ありがとっ♡
 
 
むぎゅっ。
 
 
♧)!!!
 
 
また…抱きしめられた。
 
 
♧)な、なに…?
隆)今日は仕事も楽しかった。
♧)そう…なんだ。
隆)うんっ。
 
 
ご機嫌なのかな…?
 
 
隆)帰って来たら美味しいご飯があって
  すごく幸せ♡
 
 
そう言って、
隆二くんは私を抱きしめたまま
頭にすりすりしてきて…
 
 
♧)……や、だ…っ
 
 
私は思わず隆二くんの身体を押し返した。
 
 
隆)…っ
♧)ご飯用意するから…
  手、洗ってきてね?
 
 
その場から逃げるように
キッチンに戻って。
 
 
♧)……
 
 
料理をお皿に装ってると
隆二くんが静かにやってきた。
 
 
隆)♧……?
♧)…なぁに…?
隆)……
♧)……
隆)…ううん、なんでもない…
♧)……
 
 
振り向かないで、
そのまま用意してると
 
「美味しそう」なんて
私の横にピッタリくっついてる隆二くん。
 
 
♧)座って待ってて…?
隆)……
♧)……
隆)…やだ…。
 
 
……ぎゅ。
 
 
♧)!!!
 
 
ま、また抱きしめられた!!
 
 
♧)…やだ…っ!
 
 
グイッと突き放すと、
隆二くんは少し驚いて、悲しそうな顔をして。
 
 
隆)邪魔してごめん…。
  あっちで待ってるね…。
 
 
そう言ってしょんぼりテーブルに座った。
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
どうしよう…。
 
俺…嫌われた…?
 
 
2回とも、ハグを拒否されて…
 
しかも「やだ」って言われた。
 
 
隆)……
 
 
ずーーーーーーーん。
 
 
なんで…?
 
いつもしてるのに…
 
 
そりゃ…
嫌だったら言ってって…
そう言ったのは俺だけど…
 
本当に嫌だって言われると…
こんなにグッサリ来る。
 
 
前は「嫌じゃない」って言ってくれたのに…
なんで俺のハグ、嫌になったの…?
 
 
……はっ!!
 
もしかして…!!
 
昨日のこと、怒ってるとか!??
 
 
俺、止まんなくて…
結構なことしちゃったし…
 
それを、怒ってる!!?
 
 
隆)…っ
 
 
どうしよう。
謝った方がいいのかな…?
 
 
そんなことを一人オロオロ考えてる間に
目の前に並んでいた美味しそうな料理たち。
 
 
♧)じゃあ…食べようか…。
隆)うん…。
 
 
二人でいただきますをしたけど…
いつもと違って、会話がない。
 
……気まずい。
 
 
隆)めっちゃ美味しい。
 
 
そう言ってみたけど…
いや、ほんとに美味しいんだけど…
 
 
♧)ありがとう…。
 
 
♧の返事は元気が無くて。
 
 
いつもだったら
「ほんと?ふふ、良かった♡」
とか、可愛く笑ってくれるのに…!
 
 
隆)…っ
 
 
これはやっぱり、怒ってるに違いない。
 
怖いけど…
聞いてみよう。
 
 
隆)…あの…さ、
♧)……
隆)昨日のこと…だけど…
♧)…っ
 
 
♧の表情が変わった。
 
 
隆)えっと…、…覚えて…るよね?
♧)……え?
 
 
え…?
 
 
隆)覚えて…ないの…?
♧)……
 
 
え、ほんとに…?
 
 
♧)どれの…こと…?
隆)…っ
 
 
どれの…って…
 
じゃあ逆にどこまで覚えてんの…?
 
 
隆)お酒一気飲みしたのは…?
♧)え、誰が…?
隆)……
 
 
うそ…
そこから記憶ないの…?マジで?
 
 
隆)♧が。一気にめっちゃ飲んだじゃん。
♧)…覚えて…ない…。
隆)全く?
♧)……うん。
 
 
♧が申し訳なさそうに頷いた。
 
 
隆)じゃあその後のこと、
  一切覚えてないの?!
♧)えっと…
隆)どれも?全部覚えてない?
♧)……(こくん)
隆)…っ
 
 
ガーン……
 
 
じゃあ…
ベッドでのあれこれも…
もちろん全部、記憶にないんだよね…?
 
 
♧)えっと…私…何か迷惑かけた…?
隆)……
 
 
迷惑とかじゃないんだけど…
 
 
♧)ごめんね…?
隆)……
♧)あ、そうだ!
  後片付けも全部隆二くんが
  してくれたんだもんね?
  本当にありがとうっ!ごめんなさい!
隆)……
 
 
そんなのはどうでもいいんだけど…
 
 
隆)…はぁ…。
 
 
覚えてないのか。
 
 
てゆーかさ。
 
記憶無くてあんなに可愛くなるって。
あんなに色っぽくなるって。
 
ほんとにもうお酒禁止にするよ?
 
 
隆)外では絶対飲まないでね。
♧)えっ…
 
 
俺以外の前であんな風になるとか
ぜっっっっっったいダメ!!!!
 
 
♧)ほんとに…ごめんなさい…。
 
 
記憶がないんだから
なんのことかわかってないだろうに
♧はしょんぼり謝って。
 
 
ご飯を食べ終わるとお風呂どうぞって
言われたから
 
俺はそのまま、風呂に入った。
 
 
ザパーーーーッ
 
 
隆)……はぁ。
 
 
♧が全部忘れちゃってるのは
ショックだけど…
 
でも…
昨日のリアクションで
♧がふにゃふにゃしてるのはわかってたし…
 
 
わかってたのに止まらなくて
襲っちゃった俺も俺だし…。
 
 
隆)……はぁ。
 
 
ちょっと反省しよう。
 
 
酒の勢いであんなことしちゃダメだよな。
 
てゆーか…
俺は別にそこまで酔ってなかったから
酒の勢いとかとは違うけど…
 
 
♧が可愛すぎて暴走しちゃっただけだけど…。
 
 
でも!!
♧は酔ってたんだし!!
 
やっぱり良くなかったよな、うん。
 
 
……てゆーか…
 
あれ?
 
 
♧が昨日のこと覚えてないなら…
一体何に怒ってるんだ…?
 
 
「やだ…っ」
 
 
俺がハグを拒否されたのは、なんで?
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
隆)空いたよーーー
♧)はーい。
 
 
隆二くんがお風呂から戻ってきて。
 
 
いつもと少し様子が違う隆二くんに、
私は昨日そんなに迷惑かけちゃったのかなって
改めて反省する。
 
 
♧)…私も…入ってくるね。
隆)うん…。
 
 
私、一体何しちゃったんだろう?
 
酔っ払って…暴れたりしたのかな?
 
隆二くん…呆れてるのかな?
 
 
……しゅん…。
 
 
あとでむーこに聞いた方がいいかな…。
 
 
そんなことを考えながら
服を脱ぐと…
 
 
♧)!!???
 
 
鏡に映ってる赤い跡に
思わず手が止まった。
 
 
何これ…っ
 
 
鎖骨の下とか…胸の下とか横とか…
おへその上とか…
 
 
♧)どうしよう…っ!!
 
 
私は慌ててリビングに戻った。
 
 
♧)隆二くんっ!!!
隆)ん?
 
 
隆二くんは無事なの!??
 
 
バッとTシャツをめくると
綺麗な腹筋。
 
赤くなんて、なってない。
 
 
隆)な、なに??
♧)蚊に刺されてないかなって。
隆)は???
 
 
大丈夫みたい。
隆二くんは無事だった。
 
 
♧)良かった…。
 
 
でも…どうして…
 
 
隆)どうしたの?
♧)あのね、家のどこかに蚊がいるみたい!
隆)え???
♧)いつ刺されたんだろう…
  朝は急いでシャワーしたから
  気付かなかった…!
隆)……
 
 
キョロキョロとリビングを見渡しても
その姿はない。
 
 
♧)隆二くんが刺されてないなら
  良かったけど…
隆)ええと……
♧)私ね、いっぱい刺されてて…
 
 
でも…
いつも刺されるとしたら
足とかなのに…
 
なんでこんなとこ…
 
 
♧)……あれ、でも…
 
 
全然かゆくない。
 
 
♧)……???
 
 
おかしいな。
なんだろう…これ…
 
 
隆)ええと……
♧)え…?
隆)……それは…
  りゅーじという蚊じゃないでしょうか…。
♧)え???
 
 
意味がわからなくて
私がきょとんとしてると…
 
隆二くんは困ったように笑って
私の頭に手を置いた。
 
 
隆)ええと、ごめん…
  それ…、俺……///
♧)……
 
 
俺…?
 
…って、何が…?
 
 
隆)俺が…付けました…///
♧)……
 
 
その言葉の意味を理解するのに
しばらく時間がかかって…
 
 
身体についてる赤い跡。
隆二っていう蚊。
俺が付けました。
 
 
♧)……
 
 
…もし…かして……
 
これは…
 
 
キ、キ、キ、……ッ
 
 
♧)////
 
 
え、どうして?!!
 
 
だって…
 
だって…
 
 
嘘でしょ…?
 
こんなにいっぱい…
 
 
だって…これって…
キスしなきゃ付かないんだよね!?
 
 
え??
 
えええっ!!??
 
 
隆)ごめんね…?
 
 
パニックになってる私の頭を撫でて
可愛く首を傾げる隆二くん。
 
 
♧)////
 
 
ごめんねって…
 
ごめんねって…
 
 
♧)なんで…///
 
 
なんで…こんなこと…するの…?
 
 
♧)…っ
 
 
意味がわからなくて
パニックで
恥ずかしくて
もうぐちゃぐちゃで
 
なんか、泣きそう。
 
 
隆)♧…?
♧)…っ
 
 
もう…全部わかんない…っ
 
 
♧)どうしてこんなこと…するの…っ///
 
 
顔が熱くて、目が潤んでくる。
 
 
隆)どうして…って……
♧)ひどいっ!///
隆)…っ
 
 
私…何も知らないもん…っ
 
何も…覚えてないもん…っ
 
 
♧)隆二くんは…こういうこと…
  慣れてるのかもしれないけど…
隆)…っ
 
 
私は…
こんなの…っ
 
 
♧)……もういいっ!!///
 
 
ほんとに泣きそうになって
くるっと背を向けると、
 
隆二くんに肩を掴まれた。
 
 
隆)ちょっと待ってよ!
♧)もういいのっ!///
隆)…っ
 
 
もう…やだ…っ
 
 
♧)虫刺されだと思って…
  忘れるもんっ!!!///
隆)はぁ?!!
 
 
 
 
 
ー続ー

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  1. a__ichin.y より:

    盗作のん!
    通報したよ!ヽ(`Д´)ノ
    イライラしたー(笑)
    よくもまぁあんだけ同じ事書いて知らん振り出来るわ(笑)

    ほんで。。
    ポチのやり方教えて欲しい。。(;´Д`)

    • マイコ より:

      ありがとうございます!! :(っ`ω´c):
      ほんとあのクソガキーーー!!怒
      ポチのやり方!(´⊙ω⊙`)DMもらっても良いですか?
      Twitterアカウントなければインスタまでお願いします(/≧ロ≦)/
      お手数おかけして申し訳ないです!

  2. のんちゃん より:

    虫刺されって思う♧ちゃん可愛い(>_<)隆二くんもメロメロだね。臣くん帰って来たら、♧ちゃんとのデレデレ話しするのかなぁ
    隆二くんからそんな恋話聞いたらまたまた臣くん♡ちゃん襲っちゃうね(≧∇≦)むーこちゃんとKちゃんなんだがタイプが似てる(^_^)臣くんや、隆二くんとワンナイでも良いって女の子いっぱいいるのかなぁ?ワンナイなんてして欲しくないなぁ。マイコさん、盗作被害びっくりです!(◎_◎;)酷いです!私は、マイコさんずっと応援します。

    • マイコ より:

      そりゃー全国に腐るほどいるでしょうな。゚(゚^∀^゚)゚。ww
      応援ありがとうございます!!\\\(۶•̀ᴗ•́)۶////

  3. ユキ より:

    虫刺されと思って忘れるって何か可愛いですねやっぱり臣君ようには中々いかないよね今日もイチャイチャなstory読んだらまた夢見てしまいそうです(-.-)Zzz・・・・

    • マイコ より:

      まだ臣くん帰ってこないけど待っててねーー。゚(゚^∀^゚)゚。

  4. さゆがん より:

    隆二という蚊かわいすぎる♡♡♡
    いっそヒルくらい食い付いてほしい‼︎
    なんでこんなにかわいいんだ♡
    そして、それなりのオンナ遊びをどう切り抜けるか見ものですね

    • マイコ より:

      ヒル隆二!!!。゚(゚^∀^゚)゚。ww
      蚊でもヒルでも可愛いww

  5. さゆれ より:

    りゅーじ虫笑笑可愛いなぁ(^^)
    けど、免疫ない♧ちゃんには、それもそれなりに遊んでると聞いた後じゃ、遊ばれてると思っちゃうよね(><)
    あーあ、隆二信頼回復まで頑張れぇ〜〜。

    • マイコ より:

      そうなのだ。゚(゚´ω`゚)゚。誤解されっぱなしの隆二…ww

  6. 明日花 より:

    あ~~~、もうこの前健ちゃんとむーこが余計な事を言うから~。隆二またしょんぼりしちゃったよ。……でも可愛いw

    • マイコ より:

      十分色気あるから大丈夫だぞぉ〜隆二ーーー。゚(゚^∀^゚)゚。

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