[62]見せつけたくて(岩&◇Side)

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岩)はっ!もう朝か…!

 

気付いたら窓の外がうっすら
明るくなってきた。

 

岩)やべ…!寝ないと…!

 

今日は夜中の2時まで撮影してて。

帰ってきて、
なぜかおもむろに始めた大掃除。

部屋はピカピカになったけど
寝るのを忘れてた。

ついつい、夢中になっちゃって…

 

でも。

これでいつでも◇を呼べる。

 

俺、元々は割と部屋は綺麗な方だけど
最近ほんと撮影続きで
寝に帰ってくるようなもんだったから

ついつい荒地のまま放置しちゃってて。

 

◇はきっと、汚い部屋が
俺のスタンダードだと思ってる。

この部屋見たらびっくりするだろうな〜♪

 

いつも泊まるのはあいつの家だから
たまにはうちにも呼びたくて。

いつ呼ぼう。
わくわく♪

 

岩)はっ!

 

だから寝ないと!!
明日も会議に撮影に忙しいんだから!!

 

ーーー

 

松)もうコメントは書いてあります。
H)じゃあそれを、ホームページと
  モバイルに載せて。22日だね。
M)はい。
岩)……

 

再来週の月曜日、御三方が勇退を発表する。

わかってはいたことだけど、
やっぱり寂しくて少し静かになる会議室。

 

U)なんか静かになっちゃったw
S)なんか…寂しいなって…

 

SHOKICHIさんが俯いて…

 

松)またまた〜!思ってないしょw
S)思ってますって!!
松)NAOTOはぜってー思ってないなw
M)NAOTOさんは思ってないわー
U)うんw
N)俺ぇ?!ww

 

NAOTOさんに飛び火して、

 

H)NAOTOずっとセンター
  狙ってるんもんね。
N)いやいやいや!w
U)俺たち邪魔だったんでしょ?w
松)やっとあいつらいなくなるよ〜ってw
N)思ってないっすから!!!

 

NAOTOさんは必死に否定するけど…

 

啓)NAOTOはほんと怖いな〜〜
ケ)うんうん。
哲)間違いない。

 

みんなにイジられまくり。

 

N)おい、岩田。何笑ってる。

 

あ、やべww

 

岩)いや、本当に寂しいなって思って。
N)ん?
岩)御三方の背中を見ながら
  同じステージに立てるのも
  あと少しなんだって思ったら…
  まだまだ学ばせてもらって
  色々吸収したいなって思いました。
N)……
岩)よろしくお願いします。

 

俺が頭を下げると、

 

松)はぁ〜〜〜、さすがだね。
M)岩ちゃんはすごいな。
U)綺麗にまとまったw

 

御三方が笑ってて…

 

N)俺だってそう思ってるよ!w
  何一人でオイシイとこ持ってってんの!w
T)それが岩ちゃんだからw

 

TAKAHIROさんもニヤニヤ。

俺の隣では…

 

大)勉強になります!!

 

とか言って、大樹が凛々しい顔してて。
お前は何をメモしてんだ?w

 

メ)あっ…!

 

そんな大樹を見て、メンディーも慌ててメモ。

そんな新メンバーを見て
みんな爆笑。

 

H)これから歌番組とかフェスとか
  増えてくるけど
  みんな体調管理は気をつけて。
皆)はい!

 

会議も無事終わって、
片付けをしてると、AKIRAさんが
手伝ってくれて。

 

A)ほんとイケメン、岩ちゃん。
岩)え?
A)もう後輩じゃないのにw

 

クスクス笑われて、

 

世)あ!岩さん!俺やります!!
大)あ、俺も!!!

 

慌てて二人が資料を片付けてくれた。

ああ、そういうことか。

三代目だと俺が最年少だから
なかなか抜けないこのクセ。

 

岩)AKIRAさんのドラマ、来月からですよね?
  楽しみにしてます♪
A)お〜〜〜ありがとw
  岩ちゃんはそろそろ最終回?
岩)あ、はい!
  今日もこれから最終話の撮影です。
A)おおお!頑張ってね。
岩)ありがとうございます!

 

それからすぐに現場に向かって
急いで弁当をかき込んで。

 

T)もうすぐ終わりだと思うと
  なんか寂しいなぁ……

 

撮影の合間に
TAKAHIROさんがボソッと呟いた。

 

岩)この現場、めちゃくちゃ
  楽しかったですよねw
T)うんw

 

『ワイルド・ヒーローズ』も
もうすぐクランクアップ。

確かに少し、寂しいけど…
何事にも終わりは来るんだよなぁ、ほんと。

御三方の卒業も
きっと俺よりTAKAHIROさんの方が
ずっと寂しいんだろうな…

 

翔)お疲れさまです。
T)あれ!もう終わったの!
将)撮影すげぇ順調で、巻きです。
T)おおお!
啓)昨日夜中までかかったから
  今日は早めに終われるようにって
  監督言ってたよ。
T)そうなんだ。
岩)……

 

今日は…
早めに終わる?!

その言葉に、思わずウキウキ。

 

ス)次、TAKAHIROくんと岩ちゃん、
  お願いしまーす!
岩)はいっっっ!!!!!

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

多)あらやだ!◇ちゃん!
  これ美味しいわ〜〜〜♡
◇)ほんとですかー?♡

 

今日も多田さんとランチ。

いつも自分のお弁当じゃ飽きるからって
今日は交換してみた。

 

◇)多田さんのお弁当はバランスが
  完璧すぎて…
多)ふふっ♡

 

あたしももっと料理上手になりたいなぁ。

 

多)独り身になって、家事が減ったから
  やることなくて暇なのよw
◇)えーーw
多)だからお弁当とか
  無駄に凝っちゃって♪
◇)そうなんだw
多)旦那の弁当いやいや作ってた時なんて
  超手抜きだったわよ?
◇)あはははっw

 

多田さんは離婚してからの方が
本当に楽しそうで、生き生きしてる。

 

多)あーあ、早く来週にならないかしらー♡
◇)……

 

多田さんが心待ちにしてるのは、
三代目の名古屋公演。

 

◇)はるばる…名古屋まで…
多)そうよ〜〜
  岩ちゃんに会えるなら、
  名古屋なんて近所よ近所!w
◇)すごい…w

 

どこからそんなエネルギーが…

 

多)本当は福岡の初日行きたかったけど…
  さすがに福岡は遠いし…
◇)東京だけじゃ、足りないんですか?
多)東京なんて来月よ!!
  一ヶ月も待てるわけないじゃない!!
◇)あははっw
多)もう、早く見たくて
  ウズウズしてるんだから〜〜!!

 

東京って…確か…
埼玉のアリーナと西武ドームだっけ。

 

◇)多田さんは何日行くんですか?
多)…っ

 

あたしがそう聞くと
多田さんは、ゆっくりスマホから顔を上げて…

 

多)実はね、東京はまだ取れてないの。
◇)え?
多)転売に手を出すか…迷い中なのよ…
◇)そうなんですか?!
多)東京は倍率が高すぎて…
◇)……

 

そんな、ファンクラブ入ってても
取れないほどなの?!

 

多)でもね…、転売…ほんと高くて…
◇)いくらくらいなんですか?
多)……

 

見せてもらった画面は…

 

◇)はぁ?!!

 

クソ高っ!!
なんじゃこりゃ!!!

 

多)岩ちゃんに会うためなら…って、
  思うんだけど…
◇)いやいやいや!
  買っちゃダメです、こんなの!
多)だって行きたいんだも〜〜ん!
◇)名古屋行くならいいじゃないですか!
多)いやっ!足りないのっ!いやいやっ!
◇)……

 

多田さんが子供みたいになっちゃった。

つーか。
こんな転売で儲けてる奴らって
ほんと下衆だな。

 

チケット…
もう売り切れてるって剛典も言ってたけど
自分で取るのって
こんなに倍率高くて大変なんだ。

 

多)はぁ…、岩ちゃん…会いたい…
◇)……

 

あたしの分…
剛典が用意してくれるみたいなこと
言ってたけど…

それって、ペアなのかな?
ペアだったら、多田さんと行けるかな?

次会ったら聞いてみよう!

 

男)あ、弁当いいな〜〜
  美味そう!
◇)これは多田さん作なのだ♡
男)おお、さすが!!
多)◇ちゃんのお弁当も美味しいわよ〜♡
男)俺らにも作ってくださいよ〜
男)食べたいw
多)彼女に頼みなさい、彼女に。
男)いないって知ってるくせに、ひでぇ!w
男)多田さん、鬼だw
◇)あはははw

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

よっしゃーー!!!
撮影早く終わった!!バンザイ!!!

 

T)岩ちゃん、腹減らな…
岩)お疲れさまでしたー!!♡
T)……一瞬で消えた…
翔)めちゃめちゃ笑顔だったな…
啓)あれは絶対、彼女出来たな。

 

帰りの車ですぐに◇に電話をかける。

 

プルルルル…、プルルルル…

 

◇『もしもし?』
岩『おつーーー♡』
◇『お疲れさま。もう仕事終わったの?』
岩『うん!珍しくね♡』
◇『早かったねーー』
岩『お前何してた?』
◇『今友達とご飯食べてた。』
岩『あ、マジか。』

 

もう食べちゃってたか。

 

岩『そのまま帰る?』
◇『ん?家だよ、今。』
岩『あ、家で食ってんの?』
◇『うん。』
岩『え、じゃあ俺も行っていい?』
◇『え!!』
岩『……』

 

ダメなの?
友達、長居する感じ?

 

◇『友達、いるよ?』
岩『うん。』
◇『……バレたら、困るでしょ//』
岩『ああ、w』

 

そっちの心配か。

 

岩『大丈夫大丈夫♡
  あ、俺の分のご飯あるー?』
◇『えっと…うん、まだあるけど。』
岩『じゃあ行くーー♪
  お友達、何か食べたいものある?
  スイーツとか。』
◇『え、待ってね、聞いてみる。
  ねぇ、ケーキとかなんか食べたい?』

 

そう聞いた◇の声の向こうで、

 

「え、なんで?てか誰?」

 

岩)!!!

 

男の声!!??

 

◇『えっと…、今から…
  か、か、彼氏が…来る…って///』

 

「彼氏ぃ!??」
「お前いつの間に彼氏できたんだよ!」
「マジか!!!」

 

岩)……

 

男が少なくとも二人はいそう。
え、どーゆーこと?

◇の家なんだよな?

 

◇『えと、スイーツはとくにいらないそうです//」
岩『りょーかい。」

ピッ。

 

岩)……

 

モヤモヤモヤ。

なんで男があいつん家にいるわけ?

友達…なんだろうけど…
家で一緒に飯食ってるってなんだよ。

◇の手料理食ってるわけ?

 

そりゃー前にも言ってたけど。
たまに男友達が食いに来るって。

でもさ、だったら一言くらい俺に…

 

岩)……

 

あいつは言わないか。
うん、言わなそう。

しかも、言えよとか言っても
「え?なんで?」
とか言われそう。

 

でも。

やっぱり。

自分の知らないところで
男があいつの家に遊びに来てるとか
なんか気に入らない。

 

事前に報告されたとしても
気に入らないと思うけど…

だったら知らなきゃいいのかもだけど…

うああああ〜〜〜

 

もう!!

友達のフリしてあわよくばとか
そんな野郎じゃねぇだろーな!!

この目で見定めてやる。

くそッ!!

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

なんか、急にすぐ電話が切れちゃって。

 

◇)……

 

どうするんだろ…?

 

男)え、ほんとに彼氏来んの?!
◇)うん…、たぶん。
男)マジか!!!
◇)……

 

今日は大学の友達と
たまたま時間が合ったから
三人で一緒にご飯食べてたんだけど…

友達がいるって言っても
来るっていう剛典。

 

大丈夫大丈夫、って…
バレてもいいの?

何考えてるんだろう…

 

男)いつから付き合ってんだよ?
◇)えっと…

 

てゆーか、
来たらバレちゃうよね?

先に言っておいた方がいいのかな?

でも、二人とも知らないかも!!

 

◇)あの、…さ。
男)うん?
男)どうした?
◇)……三代目…って、知ってる?
男)三代目?…って、J Soul…?
男)知ってるけど。

 

知ってたぁぁ!!!

 

男)それがどうした?
男)三代目の誰かに似てるとか?
◇)……

 

似てるんじゃなくて…
本人なんだけど…

どうしよう。

 

◇)えっと、ね…///
男)……
◇)……

 

オロオロもごもごしていると…

 

ピンポーン!

 

◇)!!!!

 

来たぁぁ!!!

 

◇)ちょ、ちょっと…
  迎えに行ってくるで…ありマス///
男)挙動不審w

 

だって!!

急いで玄関まで行って、鍵を開けると…
エレベーターが開いたのがわかって。

ドアを開けて覗き見すると

 

岩)あ♡

 

剛典が嬉しそうに走ってきた。

 

岩)ただいま♡

 

剛典はグイっとドアを開けて…

 

ぎゅむっ♡

 

◇)////

 

あたしを抱きしめて、
もう一回「ただいま」って言った。

 

岩)はぁ……♡
◇)……//

 

いつもと変わらないんだけど、
友達がいるから少し緊張する。

 

◇)あの…、剛典…、っ

 

グイッと押し返すと、
剛典が下に視線を落として…

少しだけ、ムッとした気がする。

そこには、友達の靴があるだけ。

 

◇)あのね、剛典…っ、

 

言いかけたと同時に、また抱きしめられて。

 

◇)ちょっと…!//
岩)いいから…、もう少しだけ……
◇)……//

 

そんな甘い声で囁いたって、
ダメなんだから…///

 

岩)会いたかった……
◇)……///

 

そんな、ずっと会ってなかった
カップルみたいな…

一週間も経ってないぢゃん…//

 

でも。

剛典の腕の中は、やっぱり気持ち良くて…

 

岩)ん……♡

 

ゆっくり腕が緩まって、
おでこがコツンて重なって。

剛典の唇が優しく笑ってる。

 

そのキスして、っていうおねだりに
少し恥ずかしいけど
キスしたくなってる、あたしの唇。

 

かかとをほんの少し上げて、
近付いたら…

そのまま…

 

チュッ。

 

あたしから、キスをした。

 

◇)////

 

恥ずかしくなって、すぐ俯いたけど…

 

岩)へへへ♡

 

満足そうな剛典の声と…

 

チュッ♡

 

甘いキスが、頭に落ちてきた。

 

◇)////
岩)どうも、こんばんは♡
  突然すみません。
◇)?!!!!

 

その挨拶に、一気に我に返る。

 

◇)えっ…

 

まさか。

 

勢いよく後ろを振り向くと、
ドアの隙間から二人とも覗いてて…

 

◇)…っ!///

 

慌てて剛典から離れるけど、
また強引に引き戻されて…

 

岩)お邪魔してもいいですか♡

 

あたしを抱きしめながら
そんなことを言う剛典。

 

男)ど、どうぞ…///
男)見ちゃって…ごめん、///
◇)////

 

バカ!!!

恥ずかしい!!!

消えたい!!!///

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

俺が抱きしめたあたりで
友達が覗いてるのは気付いてた。

気付いてて、◇にキスさせた。

 

だって、見せつけたかったから。

 

俺たちこんなにラブラブなんだから
◇のこと狙っても無駄だからな、って。

そんな牽制の意味も込めて
わざとイチャイチャして見せたんだけど…

 

◇)ちょ、ほんとに忘れて!!
  違うの!さっきのは!///
男)いや、いいって…
男)見ちゃった俺らも、ごめん…//
男)うん……//
◇)////

 

◇は見られてたってわかって、
耳まで真っ赤にしてる。

可愛いヤツ♡

 

◇)もう…っ///

 

居心地悪くなったのか、キッチンに行って
俺のご飯を用意してくれてる。

 

男)あいつって…
  彼氏の前だと…あんなんなの?//
男)普通に可愛くない…?//

 

なんて、野郎二人が言ってるから…

 

岩)俺の前だといっつもあんなんですよ♡

 

なんて言って、キャップを外した。

 

岩)初めまして、岩田剛典です。

 

 

ー続ー

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