[59]グランドキャニオン

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LAからグランドキャニオンまで、
飛行機は1時間くらいだし
そこからの移動も1時間もかからない。

ガイドさんは日本語が話せる女の人で。

他のお客さんと一緒にならないようにって
レイカさんが知り合いに頼んでくれたんだって
臣くんから聞いた。

だから貸切みたいな車の中。

 

谷の上から見下ろすのが
グランドキャニオンで、

谷底から見上げるのがザイオンだよって
説明を受けて。

今日はどっちも行くからねって言われて
私たちはドキドキわくわく。

 

最初に到着したのは
グランドキャニオン国立公園。

そこに広がる絶景に、思わず息を飲む。

 

♡)…す……ごい……っ
臣)う…わ……ぁ…

 

 

女)あのあたりの断崖は
  20億年分くらいの地層ですね。
臣)に、20億?!!
♡)すごすぎて…よくわかんない…
女)地球の歴史の、1/3くらいですよ。
臣)へぇぇぇ……
♡)すごい……ね……

 

なんだかもう、景色が壮大すぎて
人間がちっぽけすぎて

ただただ、呆然としてしまう。

 

女)あそこ、見えますか?
  クフ王のピラミッド。
臣)え!クフ王の?!!
♡)え!ピラミッドって
  エジプトじゃないの!?

 

目を丸くする私たちに、
ガイドさんが笑いながら教えてくれた。

 

女)そう呼ばれている、メサですw
♡)メサ?
女)乾燥帯特有のテーブル状の台地ですよ。
  日本だと…、屋島とか。
♡)なるほど…!
臣)ビビった。
  ほんとにピラミッドかと思った。
女)クスクスw
  本物はエジプトですよ。
臣)ですよねw

 

目の前に広がる絶景に
何度もシャッターを切るけど

この壮大さは、
本物じゃないと伝わらない気がして…

 

その土地の匂いとか、
風とか温度とか…

そういうものは写真じゃ伝えられないって
パパがよく言っていたのを思い出した。

でも、それでも。

パパの写真を見ながら
そういうのを想像するのが
私は大好きだった。

 

♡)わぁ!こっちもすごいよー!
臣)おお!ほんとだ!!

 

 

カメラをズームにしてみたり、
パノラマで撮ってみたり。

でもやっぱり最後には
自分の目に焼き付けるくらい
見ておきたくて。

 

♡)あ…っ

 

臣くんがきゅっと手を繋いで。

 

臣)一緒に見れて、良かった。

 

優しく笑って、そう言ってくれた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

昼飯を食って、また移動。

さっきまで見てた壮大な景色を
今度は下から見上げる。

たどり着いたのは、ザイオン国立公園。

 

 

♡)うわぁ…♡

 

♡は嬉しそうにカメラを持って、飛び出した。

壮大な岩肌を見上げながら
少し歩くと…

 

女)ここが公園の一番奥ですよ♡
臣)おおお…

 

 

流れる綺麗な水。
切り立つ断崖。

見上げると、果てしなくて。

 

女)お二人でお写真お撮りしましょうか♡
♡)わーーい♡

 

撮ってもらった写真は、
背景が壮大すぎて、合成みたいになったw

 

女)この岩は、エンジェルス・ランディング。
  天使が舞い降りる場所という
  言い伝えがあるんです。
♡)へぇぇ♡

 

 

女)ではここからエメラルドプールを
  周りましょうね。
♡)プール??プールですか??
女)泳ぐプールじゃないですよw

 

ガイドさんはクスクス笑って。

連れてきてくれたのは
岩肌から水が流れ落ちて、
それが陽の光をキラキラと輝かせる
滝みたいな場所。

 

 

臣)すげぇ…綺麗…
♡)わ、臣くん見てぇ!
臣)ん?

 

♡が指差す先は…

 

女)苔の付いた岩に洞窟から水が滴り落ちて
  エメラルドグリーンに光輝くんですよ。
♡)うわぁぁ♡
臣)へぇぇ……

 

ほんの一部だけ、綺麗に光ってる。

だからエメラルドプールっていうのかな?
なんて思いながら。

♡はエメラルド色に輝くそこを
一生懸命写真に撮って…

 

♡)むふふ♡綺麗♡

 

満足そうに、笑ってるw

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

大自然を大いに満喫して

本当はベガスも連れて行きたいところ
たくさんあるんだよなー

って臣くんが呟いてた。

 

少し名残惜しくもまたLAに戻ってきて。

夕食にはまだ時間が早いから
ダウンタウンを二人で歩いた。

 

臣)このへんが色々集結してるところ。
♡)わぁ……

 

さっきまで大自然の中にいたから
いきなり都会に戻ってきて
そのギャップが大きい。

 

臣)ここはグラミー賞やるところ。
♡)おおお!
臣)あっちが博物館で、そっちは劇場。
♡)おおお!
臣)確かAKBがLIVEやったことあるはず。
♡)ええ!すごいね!!
臣)あっちのライブハウスは
  赤西仁…?がライブしてたと思う。
  確かね。
♡)そうなんだ!
  日本人がいっぱい進出してるね!
臣)はははw

 

臣くんと手を繋ぎながら
周りをキョロキョロ。

 

臣)あっちの方行くと、リトルトーキョー。
♡)なぁに?それ。
臣)アメリカで一番大きい日本人街。
♡)ええ!そんなのあるの?
臣)うん。日本語通じるところ多いし、
  日本食もたくさんあるよ。
♡)そうなんだ!
  日本食ってお寿司とか?
臣)うん。
♡)いいね〜〜〜
臣)なに。日本食恋しくなった?w
♡)そうでもないけど、お寿司は食べたいw
臣)あはははw
♡)でもお寿司は日本で食べた方が
  美味しいのかな?

 

そんな私の言葉に
臣くんはニヤッと笑って

 

臣)実はねぇ…今日の夜は、寿司です!
♡)おおお!

 

そうだったの?!

 

臣)でもここじゃないよ。
  スタジオシティまで行く。
♡)遠いの??
臣)ううん、車ですぐ。
  そこにさ、めちゃめちゃ美味い
  お寿司屋さんがあんの。
♡)え〜〜〜!♡
臣)そこのストリート、
  寿司屋だらけなんだけど、
  その中でもダントツ!!
♡)きゃ〜〜!♡
臣)LAで一番人気らしいよ。
♡)わ〜〜〜!♡
  

楽しみすぎる〜!!わ〜〜い!!

 

臣)飯までどーするー?
♡)うーん…
臣)ビーチ行ったらもうすぐサンセットが
  綺麗かも。
♡)行くーーー!!♡
臣)よしw

 

それから一度ホテルに戻って、
ビーチに向かった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ビーチに着く頃には狙い通り。

空がオレンジ色に染まり始めてて
生ぬるい風が、肌をくすぐる。

 

♡)丁度いい時間だね!♡
臣)うんw

 

二人で手を繋ぎながら
砂浜をのんびり歩いた。

 

♡)LA、すっごく楽しいね♡
臣)ほんと?
♡)うんっ♡
臣)良かった♡

 

♡が嬉しそうに笑ってくれて
それだけで俺も嬉しい。

 

♡)グランドキャニオンも
  本当に素敵だったし♡
臣)なーー♪
♡)レイカさんにお礼言わなくっちゃだね♪
臣)ああ、そっかw
  あとでLINEしとくわ。
♡)うん♡

 

レイカのこと。

昨日全部♡に話して…

改めて、♡に惚れ直したっていうか

改めて、本当に♡が好きだって
再認識させられたっていうか…

とにかく、話せて良かったって思ってる。

 

臣)このへんに座ろっか。
♡)うん♪

 

しばらく歩いて、
海に太陽が沈むまさにその瞬間を
綺麗に見られそうなところに
腰をおろした。

 

♡)空が…綺麗だねぇ……
臣)…うん……

 

繋いだままの手と手。

俺がずっと聞いてみたかったこと。

聞いたら♡は、話してくれるだろうか。

 

臣)……あの、さ。
♡)うん…?
臣)……
♡)……

 

今まで遠回しに聞いてばかりだったけど
もう直接聞いてみる。

 

臣)昨日、レイカの話…したじゃん?
♡)うん。
臣)…あとはまぁ…
  俺のどうしようもない過去とか。
♡)……
臣)もう全部、お前に話したから…
♡)……

 

だから…

 

臣)お前の話も、聞きたい。
♡)……え?

 

出会う前の過去があるのは
お互いに当たり前で。

ヤキモチ妬いたってしょうがないって
わかってながらも
多分少しは妬くと思うし

でもそんなことより何より、
俺は、知りたいんだ。

 

♡)私の…話…?
臣)うん。

 

ずっと気になってた、ハルくんのこと。

13年も好きだった、って…

♡にそんなに想われる男って
どんな奴なんだろうって…

 

♡)……

 

視線を海に戻して、
♡の言葉を待っていると

 

♡)……えっと…ね。

 

♡はゆっくり、話し始めた。

 

♡)初めて付き合ったのは、
  …大学に入ってから。
臣)うん。
♡)Kちゃんがポールと付き合い始めて
  すごくラブラブで幸せそうで。
臣)うん。
♡)そんな二人を見て、
  私もこんな風に誰かを好きになりたいって
  そう思ったの。
臣)うん。
♡)でも……

 

握ってる♡の手に、少し力が入った。

 

♡)私、ずっとハルくんが好きだったから…
臣)……

 

♡の表情は、どこか切なくて。

 

♡)恋愛なんてできるのかなって
  自信がなくて。
臣)……うん。
♡)そしたらね、同じ高校だった男の子が
  言ってくれたの。
  付き合ってみなきゃわかんないだろって。
臣)……
♡)その子は、高校の時からずっと…
  私のこと…想ってくれてたみたいで。
臣)うん。
♡)すごく真っ直ぐに気持ちを伝えられたから
  それに応えたいなって、少し思ったの。
臣)うん。
♡)付き合ってから好きになってくれたら
  それでいいから
  とりあえず付き合ってみてって
  そう言われて…
臣)……
♡)それが、初めての彼氏。
臣)……そっか。

 

付き合ってみて…
好きになれたのかな?

 

♡)でもね、初めてその彼とチューした時に
  なんかすごくショックだったの。
臣)え?
♡)チューされた瞬間に、
  初めてのキスは…
  ハルくんとが良かったなって
  なんか悲しくなっちゃって…
臣)……

 

それは…
その男もすげぇ可哀想なんだが…

 

♡)でね、…えっと…
  なんか…エッチなチューされて
  気持ち悪くって…
臣)……

 

舌入れられたってこと?

それで気持ち悪くなるって…
彼氏かわいそ!!!!

 

♡)別れちゃった…
臣)!!!

 

ええええ!!!
可哀想すぎる!!

すげぇ同情する、その彼氏!!!

 

きっと…
高校の時からずっと♡が好きで

念願叶って付き合えて
嬉しくてテンション上がりまくりで

そりゃーディープもするだろよ!!

 

でも、それで気持ち悪いってフラれるって…

トラウマになってねーかな。
マジかわいそう…。

 

 

ー続ー

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