【14】Rの罠 −浮気と心変わり−

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臣)ただいまー。
♡)あ!お帰りなさーい!
臣)今日みんなで焼肉行ってきた♪
♡)え~!いいなぁ~!
臣)今日行った店、美味かったわ!
  今度行く?
♡)うんっ!行きたい♪
臣)あ、やっべ。
  めっちゃ革ジャンに匂いついてる…
♡)くんくん…
  ほんとだっ!
  すっごい炭くさい~w
  ファブリーズしとくよー!
臣)わり。髪にもついてるし
  風呂入ってくるわ。
♡)うん。行ってらっしゃーい♡


ジャケットを受け取って
臣くんを見送った。


よっし!!
めっちゃファブリーズかけてやるー!!

…って、あれ??


ポッケになんか入ってる…


♡)…あっ!携帯だ!
  危ない危ない!
  濡らしちゃうところだった…


あとは大丈夫かな?

こっちのポッケも…一応…


♡)…っ


な、何これ……


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


俺がシャワーから戻ると
♡はソファーに座ってた。


臣)ただいまー


頭をわしゃわしゃしても
♡は無言。


臣)??
♡)……
臣)え?シカト??
♡)……


あれ?


♡)…臣くんの…ばかぁぁぁ!!!
臣)えっ!!!何が?!!
♡)これなぁにーーっ!!!


いきなり何かと思えば

♡が見せてきたのは
小さな名刺見たいな…


なんだこれ?


受け取って見てみると…


『登坂くん♡
 今日はとっても楽しかったです♡
 一緒に過ごせて嬉しかった…
 またいつでも連絡してね♡
 待ってます♡ Rより
 090-1234-××××』


臣)はぁ!??何これ!!!
♡)何これってなに~!!!
  私が聞いてるの~っ!!!


♡は怒ってるけど半泣きで…

ちょっと待て。
マジで何これ。


臣)いや俺、全然知らないし…
♡)知らないってどーゆーこと?!
臣)こんなんもらった覚え
  ないんだけど…
♡)だって今日は楽しかったって
  書いてあるもん!
臣)え、でも…
♡)みんなで焼肉行ってたんじゃ
  ないのー??
臣)行ってたって!!
♡)じゃあこれ何~?!
  も~~!!


ヤ、ヤバい。
このままじゃ♡が泣く…

どうしよう…!
浮気を弁解する男って
こんな気持ちなのか?!

いや、つーか浮気じゃねーし!!
弁解も何も…

あ~、もう!どうしよ!!



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


~その日の午後(回想中)~



S)今日撮影順調だねぇ!


マネージャーのSさんが
嬉しそうに言った。


臣)だね。時間通り
  終わりそうじゃない?
S)そうだな!今岩ちゃんで
  次が臣でラストだし。
健)ちょ、ちょ、ちょー!!!


トイレに行ってた健ちゃんが
慌てて戻ってきた。


臣)どうしたの?
健)ヤ、ヤバイて!!
  隣のスタジオ、
  女優のRが撮影してんで!!
S)え?ほんと?
健)Sさん、ほんまやて!!
S)ラッキーだねー♫
健)めっちゃ可愛いで!!


健ちゃんが興奮していると
撮り終わった岩ちゃんが戻ってきた。


岩)お疲れさまでーす。
S)あ、岩ちゃんお疲れ!
  じゃあ臣、行ってらっしゃい。
臣)はーい。
健)ちょ、岩ちゃん!ヤバイて!
岩)え?
健)隣のスタジオ~!!
岩)なに??
健)あのRやで!R!!
岩)え?いるの?マジ?


Rって確か…グラビア出身の…
大手のHプロが今一番力を入れてる
若手の女優だったっけ?


それから俺の撮影もすんなり終わり
控え室に戻ると、
もう着替え終わった健ちゃんと岩ちゃんが
丁度出てくるところだった。


健)おう!臣!
  俺ら練習あるから先戻ってんで~
臣)あいよー、りょーかい。
岩)じゃあ夜にね。
  お先。お疲れさまー
臣)ん。後でね~


とりあえず座ってお茶を飲み
着替えようと立ち上がったその時だった。


コンコンコン。


臣)はーい?どーぞー?
R)失礼しまーす♡
臣)え?
R)どうも♡初めまして♡
  私今ちょうど隣で
  撮影してたんですー♡
臣)はい…


さっき健ちゃんが騒いでた女優のRが
いきなり入ってきた。


R)登坂さんですよね?
  私、Rです♡
  いつもTVで見てます♡
臣)あ、ありがとうございます。
R)あの…もし良かったら…
  連絡先とか交換しませんかぁ?♡
臣)あー…えっと、すいません…。
R)えっ?
臣)交換とかしてないんで。
  すいません。
R)えぇ~なんでですかぁ?
  さっき、山下さんと岩田さんは
  してくれたのにぃ!
臣)えっ?!


マジかよ…


臣)ああ、でも…俺はすいません。
R)…私、ずっと応援してて…
  登坂さんのファンだったんですよぉ♡
臣)え?!ほんとですか?
  それは…ありがとうございます。
R)だから…今日会えて
  すっごく嬉しかったんです♡
臣)……
R)交換しましょ?♡
臣)いや、…ほんとすいません。
R)…なんで…ですかぁ?
  …ひどーい…ぐすん。
  ぐすっ…ぐすん…っ


はぁ?!!
泣き出したし!!
マジかよ!!!

うわーめんどくせぇ…
どーしよ…


臣)いや、あの…
  泣くほどのことじゃないんじゃ…
R)好きなんです…
臣)え!?
R)ずっと好きだったんです…!
  お友達になってほしいんです。
  ダメ…ですか…?
臣)いや、ほんとに無理です。
  すいません。


マジ勘弁してくれよー
と思って彼女の顔を見ると…

ピタッと泣き止み、今度は怒ってる。


R)何よ…っ!!
  信っじらんない!!


え?


R)女の子からこんなに言ってるのに
  バッカじゃない?!


嘘泣きだった…?!
…女優ってマジで怖ぇ!!


臣)あの…
R)どーせ色んな女と遊んでるくせに。
臣)は?
R)断る意味わかんないし!
臣)いや、遊んでねーし…
R)嘘ばっかり!
  どうせ女とっかえひっかえ
  してるんでしょ!
臣)は?してないって。
  俺、彼女いるんで。
R)は?


大きな瞳にギロリと睨まれる。


R)じゃあなに?
  彼女いるからってだけで
  断ってるわけ?
臣)そう…だけど。
R)それこそバカじゃない?
  彼女いたって結婚してたって
  芸能人なんてみんな
  好き勝手遊んでるでしょ?
臣)いや、他は知らねーけど
  とにかく俺はそーゆーことなんで、
  もういい?
R)何それ…
  あ~泣いて損した!
  女の子が泣いてんのに…
  信じらんないっ。
臣)いや、嘘泣きだろ!
R)違うし!
臣)は?
  とりあえずもう着替えたいし
  出てってくれる?
R)はぁ?!


俺は控え室のドアを開けた。


臣)出てけって言ってんの。はい。
R)いきなり冷たいし。
  それが本性ってわけ?
臣)そっちだってそうだろ。
R)私は…!


俺が開けたドアを勢いよく閉めると
Rはいきなり俺に抱きついてきた。


R)本当に好きなのっ!!
臣)なっ!やめろ!!


俺はすぐRを押しのけた。
なんだこの女!


R)なんなのよ!
  女の子が涙見せたら
  優しくすんのが男でしょー!?
臣)そんなん知るか!
R)最っ低!
臣)あんたが泣いてようが
  泣いてなかろうがどうでもいいけど
  俺は自分の大事な彼女
  泣かすわけにいかないんで。
  …もういいだろ?帰れよ。
R)やだっ!!
臣)はぁ!?
R)やだって言ってんの!!
臣)帰れって言ってんだよ!!


コンコンコン。


俺らが言い合ってる途中でSさんが来た。


S)臣ー?どうしたー?大丈夫?
臣)あ、はい。
S)え?Rさん?
R)……
S)どうしたんですか?


Sさんに向き直ったRは…


R)…すみません突然♡
  登坂さんにご挨拶に来ただけです。
  お邪魔しましたぁ♡
S)あ!そうなんだ!
  どうもですー。


つらっと元のキャラに戻って
そのまま控え室を出て行った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


それっきり会っても話してもねぇのに…
なんでこんなのがポケットに入ってんだよ?

俺が一旦控え室から出たあの後…
戻ってきて勝手に
俺のポケットに入れてったとか?


マジで怖ぇ!!
でも…それしか考えらんねーし…


ってかそれをどう♡に
説明すりゃいんだよ…


俺が脳みそフル回転させてる間も
♡は俺のことをじーーっと見てる。


臣)あの…な?
  これ…は、たぶん…
  ただの嫌がらせだと思う。
♡)い、嫌がらせ??
  どゆこと?!
臣)いや、わかんねぇけど…
  キレてたし。
♡)キ、キレてたの?
  このRって人が?なんで??
臣)…わかんね。
  思い通りに…ならなかったから?
♡)思い通り…ってなに?!
  この人何をしたの??
臣)何って…なんもしてねぇけど…
♡)~~~!!!


え、ヤバい…
なんか♡がこわい…


♡)もぉっ!!
  臣くんの説明へたくそっ!!
  全然わかんないっ!!
臣)へ、へたくそったって
  本当の事しか言ってねぇし!
♡)全然意味不明だもん!!
  ちゃんとわかるように
  説明してよぉ!!
臣)んー…と、…うーん…


どこをどう説明すればいいのか
わかんねぇ!

でも俺の曖昧な返事に、ますます♡が
キッと、怖い目で見てきた。


臣)わかった!!
  もう、一から話すから!
  なっ?
♡)…うん。
臣)まず、この人は
  今日たまたま隣のスタジオで
  撮影してた女優のR。
  んで…
♡)えっ!!!
  女優のRって、あのR?!!
臣)うん。
♡)最近TVに
  いっぱい出てる子でしょ!??
臣)うん。
♡)おっぱい大きい子でしょ?!
臣)それは知らねぇよ!w
♡)えー!えー!えー!!


なんか違った意味で
ショック受けてる…。


♡)そ、それで…?
臣)それで…俺らのとこに挨拶に来てくれて…
  連絡先交換しましょうって言われて…
  断ったら泣いてキレて帰った。
  以上。
♡)…は?そ、それだけ?
臣)そう。
♡)泣きながらキレてたの???
臣)いや、泣いた後…
  ってゆーか、嘘泣きの後にキレてた。
♡)え、何それ…
  そんなのみんなびっくりじゃない?
  意味不明だよ…
  みんなはなんて?
臣)みん…な?は…うーん…
  いなかったかな…
♡)え?どゆこと?
臣)えっと…
♡)二人だったの?
臣)……
♡)ちゃんと話してくれるって
  言ったでしょー!!
  ばかぁぁぁ!!
臣)わ、わかった!話す!!
  話すから!!
♡)…んっ!!
臣)みんなは先に
  挨拶済ませてたみたいで、
  最後俺が一人で控え室にいたら
  もう一回挨拶に来た…んだと思う。
♡)うん。
臣)で、連絡先聞かれて断った。
  しつこく聞かれたけど断った。
  そしたら嘘泣きしーの、
  お前なんてどーせ
  遊んでるんだろーがと言い出しーの、
  彼女いるって言ったらキレーの。
  以上、終わり。
♡)え……、
臣)……
♡)じゃあ、これ…なに?
臣)だから俺もわかんねんだって!
  俺がいない間に勝手にポッケに
  入れてったんだと思うけど…
♡)何それ…こわい。
臣)うん。


大丈夫か?
俺、余計なこと言ってないよな?

いっぱいいっぱいで
ハラハラしながら♡を見ると…


♡)わかった。
  話してくれてありがとう。
臣)うん…
♡)臣くんは彼女いるって
  言ってくれたのに、
  こんなの入れてったわけね?
臣)うん、たぶん。
♡)しかもこんなデタラメ書いて。
臣)うん。
♡)しかもおっぱい大きいし!
臣)え?
♡)こんなの嫌がらせか、
  私への宣戦布告でしかないよっ!
臣)え!??
♡)メラメラしてきたぁぁ!


ま、また♡が
変なテンションになってきた。

毎回なんなんだよこいつは!w


臣)メラメラって…
♡)何かあっても私負けないからねっ!
  かかってこいっ!
臣)ぶはっw
  かかってきたらどーすんの?
♡)倒すっ!!!
臣)ははははっ!ww
  お前はストリートファイターか!w


ぶんぶん素振りでパンチしてるし…
なんなんだよほんと…


臣)俺の疑いは晴れた?
♡)え?疑い??
臣)うん。
♡)うーん…
  疑ってた…のとは…違うと思う。
臣)えっ?!!
♡)ただ、何かを隠そうとしたり
  されるのは嫌だから、
  ちゃんとほんとのこと
  話してほしかっただけ。
臣)ほんとのこと…
♡)うん。
  でも話してくれたからもういーの。
  臣くんが浮気したりするなんて
  思ってないもん。
臣)ほ~。
♡)なぁに?
臣)自信あんの?♪
♡)自信…じゃないけど
  臣くんが前に言ってくれたこと信じてるし
  そうじゃなくても臣くんは
  そーゆーことする人じゃないと思うから。
臣)……
♡)「本気」の心変わりはあっても
  「浮気」はしないと思ってる。
  ……違う?
臣)違わ…ねぇけど…
  心変わりって?
♡)違う人を本気で
  好きになっちゃうってこと。
  それは臣くんに限らず
  人なら誰でもあると思うし、
  人の気持ちは変わるものだから
  仕方ないもん。
臣)俺が他の女、好きになっても
  仕方ないの?
♡)うん。
  人の気持ちは止められないもん。
  「ならないでー!」って言って
  ならないものでもないでしょ?
  だからこそ、私は
  臣くんの気持ちが変わらないように、
  ずっと好きでいてもらえるように、
  自分なりに一生懸命
  頑張り続けるのっ!
臣)だからお前、いつもなんでも
  全力投球なの?
♡)そうだよっ
臣)はははははっww
♡)何がおかしいのー?
臣)いや…なんか…
♡)??
臣)…うん。
  敵わねぇなぁと思ってさ…
♡)……
臣)じゃあ俺も…
  お前が心変わりしないように
  頑張んなきゃなー?


両手を広げて♡を包み込むと
♡もぎゅっと抱きしめ返してきた。


♡)でも…
臣)ん?
♡)私は変わらない…気がする…
臣)……


俺の顔をじっと見つめてる。


臣)でも
  それに油断することなく
  お互い努力した方がいいよな?
♡)うんっ!そう!!


♡が今度は目をキラキラさせてる。


♡)お互い努力し続けて
  ちゃんと成長していけるような、
  お互いプラスになるような
  関係性が理想なの。
臣)お前それ付き合う時も
  言ってたもんな?
♡)うんっ!
  …覚えててくれたの…?
臣)当たり前だろ!
  忘れるわけねーじゃん。
♡)そっか…
  えへへ♡嬉しい♡♡


そう言って俺にまた
きゅっと抱きついてきた。


これから先もお互いに
きっと色んな事があるんだろうけど…

…それでも♡がずっと
俺の横で笑っていてくれるように
俺も頑張ろう。


そう思った夜だった。




ーendー

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