臣『ちゃんと話したいから
今日帰ってきてくれる?』
♡『今日は帰りたくない。ごめんね。』
臣『じゃあ電話でもいいから出て。』
昨日の臣くんとのLINE。
ここから返事してない。
『少しでいいから話したい。』
『何時でもいいから電話できる?』
『明日は帰って来る?』
そのあとのLINEと、不在着信が15件。
♡)……
臣くん…ごめんね…
胸が鉛のように重たい。
でも…
『今日帰ります。』
私がLINEを返すと
またすぐに電話がかかってきた。
ピロリロリロ♪ピロリロリロ♪
♡)…っ
また…起きてたのかな?
着信音が止まると
すぐにLINEが来た。
『わかった。ありがとう。
俺も早く帰れるようにする。』
どうしよう。
帰るって言ったけど
臣くんと話はしたくない。
「ちゃんと話したい」って
何を話すの?
もうこれ以上、変な情報は聞きたくない。
もうほんとにパンクしちゃう。
どうしよう…
やっぱり帰りたくないよ…
◇)ごはんできたよーー
♡)あっ…
◇)はいっ
♡)ありがとう……
◇ちゃんが作ってくれた朝ごはんを
一緒に食べてる。
◇)ほんとに今日帰るの?
♡)……
◇)うちはほんと気にしなくていいよ?
好きなだけ、いていいからね?
♡)うん…ありがとう…
◇)旅行…は、明日からなんだっけ?
♡)あ、うん。
◇)そっか。
♡)……
◇)ストレス発散しておいでね♡
♡)ありがとう♡
大きなキャリーケースを持って
二日間お世話になった、◇ちゃんの家を出た。
◇)今日…仲直りできるといいね…
♡)……
◇)……
♡)……
◇)でも…
♡)……
◇)無理しないでね。
♡)……
◇)頑張りすぎないで。
♡)……
◇)大事なのは、♡ちゃんの気持ちだから。
♡)……
なんか…
◇ちゃんの言葉が心に染みてきて…
♡)ふ…ぇっ
◇)ああっ!また泣くー!!
♡)ううっ
◇)もう〜〜よしよし!
私より全然小さいのに
優しく背中をさすってくれる。
♡)◇ちゃん……
◇)んー?
♡)好き……
◇)///
♡)ぐすっ…
T)え?!♡!??
♡)えっ
振り向くと、Tくんが
私たちが今出てきたマンションから出てきた。
T)なんでこんなとこにいんの?!
♡)あ…っ、そっか…
Tくんも同じマンションなんだ…
◇)そう…だったんだ…
T)なんで…泣いてんの?
♡)泣いてないよ!!!
私は慌てて涙を拭いた。
T)……
♡)…泣いてない!!
T)なんで…ここにいんの?
♡)えっと…
T)あっ…
おはようございます。
◇)おはようございます…
♡)◇ちゃんの家にお泊まりしてたの!
T)……
♡)……
T)「◇ちゃん」って…
そんな仲良かったの?
♡)◇ちゃんね、私たちと同い年なんだよっ!
T◇)えっ!
T)マジか…よろしく。
◇)えっ、えっと…、よろしくですっ//
Tくんが私のキャリーケースを
持ってくれた。
♡)いいよ!自分で運ぶから!
T)いいよ、貸せって。
♡)ありがとう…
T)で、何なの?これ。
♡)えっ
T)ずっとお嬢の家に泊まってたの?
♡)…っ
◇)お、お嬢ってやめてください!//
T)え…だって…
あだ名?なんでしょ?
◇)いや、その…っ、あの…っ
T)じゃあ◇でいい?
◇)ほわっ///
T)こいつ、ずっと泊まってたの?
私が答えないから
Tくんが◇ちゃんに質問した。
◇)……えっと…
T)お前、家出してんの?
♡)…っ
T)……
♡)秘密。
T)なんだよそれ!
♡)Tくんには関係ないもん!
T)心配してんだよ!
♡)…っ
すごく…真剣な顔…
♡)……
T)……
♡)ごめん…なさい…
T)…っ
♡)家出…してました。
T)マジかよ……
♡)でも今日帰るよ。
T)……
♡)……
T)無理して帰んなくてもいいじゃん。
♡)えっ
T)行くとこないなら、うち来れば?
♡)え???
T)あ!!違う!!
えっと、別に変な意味じゃなくて!
♡)……
T)下心もないから!!
変なこと絶対しねぇから!!
♡)……
T)行くとこないなら…
いつでも来いって意味。
♡)……
T)お前がフラフラしてる方が心配だから。
♡)行かない。
T)即答かよ!!
♡)だって絶対行かないもん。
T)なんで!
そんなの…
臣くんが絶対嫌な気持ちになるもん。
♡)怒られる…から。
T)なんでこんな時でも…あいつのこと…
♡)……
T)喧嘩してる時まで
お伺い立てる必要あんのかよ。
♡)喧嘩じゃ…ないもん!!
T)じゃあなんだよ!
♡)…っ
T)なんで家出してんだよ!
♡)…関係…っ、ないでしょ!
T)関係あんだよ!!
♡)なんで!!!
どうして朝から…
こんな言い合いみたいになってるんだろう…
T)俺はお前が好きだって言ってんだろ。
♡)…っ
T)お前があいつと喧嘩してるとか
家出してるとか…
全部俺には関係あんだよ!
♡)そんなの知らないもんっ!!
T)…っ
♡)ほっといてよっ!
T)ほっとけるわけねぇだろ!!
ぐいっ
♡)…っ
T)泣かされるんだったら別れろよ。
♡)!!!
T)お前が泣いてるところなんか
見たくない。
♡)…っ
T)……
♡)別れ…ないもん…
T)…っ
♡)……
「別れないもん」って言ったけど…
もうなんか…
自分でも、わけがわかんなくて…
♡)ふぇぇっ
T)!!!
♡)うわーーんっ
T)ご、ごめん!!!!
♡)ううっ、ぐすっっ
T)言いすぎた、ごめん!!
♡)ふぇっ……
◇)♡ちゃん、落ち着いて…
♡)うう…っ
◇)えっと、Tくん…
♡ちゃんが行くところなかったら
うちはいつでもウェルカムなんで
一旦、大丈夫です。
T)……そっか、ありがとう。
◇)はい。
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『今日帰ります。』
良かった。
とりあえず今日、♡は帰って来る。
やっと会える。
まだ話せてもいないのに
帰ってきてくれるだけで嬉しい。
もう二度と出て行かせたりしない。
ちゃんと話して…
それでも♡が
しばらく俺の顔を見たくないって言うなら
俺が出て行くから…
♡がどこにいるのかわかんないような
不安な日々はもう嫌だ。
N)お!臣っ!!
直)♡ちゃん帰ってきた?
E)どうなの??
臣)……
みんな毎日心配してくれてる。
臣)まだ。
でも今日帰って来るって。
E)おおお!!!
隆)やったぁぁ!!!!
健)え、え、許してくれたん??
臣)いや、まだ全然話せてないけど
とりあえず今日は帰って来るって…
健)臣と話すために?
臣)……
そう思ってたけど…
違うのかな…
岩)てゆーか、♡ちゃんは一体どこにいたの?
臣)わかんねぇ。
岩)友達に聞いても
みんな知らなかったんでしょ?
臣)うん。でも俺…あいつの友達
全員知ってるわけじゃないし…
隆)Kちゃんのところに行ってないのが
不思議だよね。
健)確かになーー
親友なんやろ?
臣)……
隆)居所があいまいなだけで
なんかすごく心配になるよね。
臣)うん。
健)もしかして男の家やったりして…
臣)えっ
隆)いやいや、まさか…
健)俺んち来いって言うような男、
♡ちゃんやったらたくさんいそうやん?
岩)いそう…
あいつらとか…
臣)…っ
隆)いやいや、言われたって
♡ちゃん絶対断るでしょ。
N)そうかなぁ…
隆)えっ
N)臣とケンカしてやさぐれてたら…
ついて行っちゃったり…
隆)いやいや、♡ちゃんは絶対ないっすよ。
健)でも弱ってるところに優しくされて
少し気持ちが揺れたりとかは
あるかもしれんなぁ…
臣)……
直)ちょっと、みんな
臣に追い討ちかけてどーすんの!
N)あ、そっか!!
健)ごめん…
臣)……
男の家になんか…
絶対行ってないと思う。
思うけど…
どうしよう。
やっぱりすげぇ心配だ……
隆)今日ちゃんと話できるといいね。
岩)仲直りできますように。
E)うん。
健)頑張れ、臣。
N)落ち着いて、ね。
直)大丈夫だよ、絶対。
臣)…ありがとうございます。
ああ…早く帰りたい。
早く帰って…あいつに会いたい。
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帰るって言ったのに…
帰りたくなくて…
22時過ぎまで会社に残ってた。
でも…
どうしようもないし…
重たい気持ちで家に向かう。
もう…臣くん帰ってきてるのかな…
♡)……
仕事中は…考えなくて済むのに…
今は嫌でも頭に浮かんでくる…
「先輩と付き合う前の話だと思うんで
ちゃんと割り切って聞いてくださいね?」
割り切れないのに聞いた
私が悪いのかな…
「皆さん相当遊んでます。」
「両脇に女はべらしてベタベタ触って
酔っ払ってノリノリだったそうです。」
「キャバ嬢とか…
まぁその場にいる女の子をお持ち帰り。」
♡)…っ
Mちゃんの言葉と
MVで女の人と抱き合ってた臣くんが
交互に頭に浮かんでくる…
「彼女がいても
普通に他の子に手を出してたみたいです。」
「要は浮気しまくりだったってこと?」
♡)……
ダメだ…
やっぱり胸が苦しい。
♡)はぁ……
ぎゅっと目を瞑って
深い息を吐いて
思い切って、玄関の扉を開けた。
ガチャ…ッ
♡)……
重たいキャリーケースを
玄関に運び入れて
リビングの明かりを確認した瞬間、
ドアが開いた。
ー続ー
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