もう何日こうしてるだろう…
帰りたくない…
あんな場所には…二度と…
ドンッ
男)いてーなこの野郎!!
目ぇ付いてんのかてめぇ!!
〇)……
男)うわっ
何こいつ…
男)超汚ぇじゃん!!
行こうぜ!!
男)だな…
誰もが…
あたしを避けていく…
まるで…ゴミみたいに…
お腹…空いたな…
岩)え…この子…
臣)え?
隆)え、それ人?!
岩)女の子じゃ…ない?
臣)うっそ…めっちゃ汚ぇじゃん。
隆)ボロボロ……
岩)ねぇ…
人の話し声が…聞こえる…
岩)ねぇ!!!
あたし…?
なわけないか…
あたしに話しかける人なんて…
岩)ねぇって!!
臣)もうやめとけって。
関わんなよ。
岩)でも…
臣)変な女だったらどーすんの?
隆)変な…?
臣)薬やって転がってる女とか
そんなんかもしんねぇじゃん。
岩)違う気がする。
臣)は?
岩)わかんないけど…俺の勘。
臣)はぁ…、あほ。
俺先帰るから。お疲れーー
隆)あ、臣っ!!
岩)……
隆)岩ちゃん…俺も…これは
警察とかに任せた方が…いいと…
岩)隆二さん帰っていいよ!
隆)え?
岩)警察に連れてくなら
俺が連れてくし…
隆)…
岩)明日…隆二さん早いでしょ?
お疲れさま。
隆)うん。じゃあ…
なんかあったら電話して?
お疲れさま。
岩)うん。
ごちゃごちゃうるさい…
男の声が…
岩)ねぇ、聞こえる?
トントン。
〇)!!!!
誰かがあたしに触れて
びっくりして目を開けた。
こんなあたしに
触る人間なんて…
岩)良かった、起きてた。
〇)……
何この男…
岩)こんなところで
何してるの?
〇)……
岩)一人?家は…どこ?
〇)……
岩)立てる?
〇)……触んな!!!
岩)…っ
あたしは男の手を振り払った。
なんでこいつ…
こんな汚いあたしに
簡単に手を差し出すんだ…
〇)ほっとけ。消えろ。
岩)……
〇)……
岩)…帰るとこ…ないの?
〇)…っ
岩)うち…来る?
〇)……
何こいつ…
結局それ目当てかよ…
でも…
さすがにお腹が空いた。
もう…なんでもいいや。
〇)…行く。
岩)よし、じゃあ帰るよ。
ほら。
〇)汚いから触んな。
岩)ひどいなw
俺そんな汚くないし!w
〇)……違う。
岩)え…?
〇)あたしが…汚いから…
岩)なんだ、そっち?w
そう言ってあははと笑うと
男はまた手を差し出してきた。
岩)はぐれないように、はい。
〇)……
あたし…汚いって言ってんのに…
無理矢理手を繋がれて…
あたしは一緒にタクシーに乗った。
10分くらいすると
タクシーが止まった。
運転手がすごく怪訝そうに
あたしを見てる。
そりゃそうだよ。
こんな汚い客…誰だって乗せたくない。
岩)よし、着いた。
ここ、俺んち。
〇)……
タクシーを降りると
なんか小綺麗なマンション。
男の部屋に入ると
男は上から下まであたしを見た。
岩)あ…着替えないな。
〇)……
岩)服はあるけど下着が…
〇)……
岩)よし、シャワー入っておいで。
俺コンビニ行ってくる!
〇)……
そう言って
あたしにバスタオルを渡すと
男は家を出て行った。
なんだあいつ…
馬鹿なんだろうか…
あたしが…
誰もいないのをいいことに
家の中を漁って
金目のものを持って逃げたりしたら
どうするつもりなんだろう…
それとも…
そんなことされても困らないくらい
金持ちなのか…
とりあえずあたしは
異臭を放つ衣類を全部脱ぎ捨てて
シャワーに入った。
髪がゴワゴワで
全然泡立たない。
久々に鏡を見ると
あたしの顔は汚れて真っ黒だった。
すごいなあいつ…
よくこんな女拾ったな…
コンコン。
岩)おーい!!
〇)……
岩)下着買ってきたから
置いとくよー!!
〇)……
もう帰ってきた。
走って行ってきたんだろうか…
あたしがシャワーから出ると
清潔そうな着替えと
買ってきたばかりの下着が置いてあった。
あたしは身体を拭いて
それに着替える。
すごく…気持ちいい…
あたしがリビングに行くと
男はすごく驚いた顔で
あたしを見た。
岩)え…っ
〇)……
岩)さっきの…子だよね??
〇)……
あたしは頷く。
岩)全然…違うから…
びっくりした。
〇)……
岩)……あ、服は?
〇)置きっぱなし。
岩)洗う?
〇)いらない。
岩)えっ?!
〇)捨てる。
岩)えっ…いいの?
〇)うん。
岩)じゃあしばらく…俺の服着てる?
〇)……うん。
岩)わかったw
そう言うと
男は笑顔であたしを見た。
岩)髪乾かしてあげるから
こっちおいで。
〇)……
言われた通りついていくと
男はぎこちない手つきで
髪を乾かしてくれた。
岩)よし、乾いた。
〇)……
ありがと。
岩)……
〇)……
あ…
なんか…いろいろ聞かれるんだろうか…
面倒臭い。
岩)今日はもう寝よっか。
〇)……
ああ…そっちか…
岩)ベッド使いな。
俺あっちにいるから
なんかあったら呼んでね?
〇)……は?
岩)ん?
あたしに…
何も…しないの?
岩)どうした?
〇)……
岩)一人じゃ寂しいとかー?w
〇)……
岩)一緒に…寝る?
〇)……
なんでだろう…
あっちにいるって言ってんのに
あたしはなぜか…
〇)一緒に…寝る。
岩)……そっか//
こんな変な男…
信用してるわけじゃない。
でも…
悪い奴じゃないってことだけは
わかる…
岩)じゃあ…うん、寝ましょう。
〇)……
そう言って一緒にベッドに入る。
あたしの身体は気付かないうちに
疲れ切っていたみたいで…
ベッドに入った瞬間…眠りに落ちた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あったかい…
こんなぬくもり…
もう…ずっと…忘れてた…
〇)ん……っ
岩)おはよ…
〇)……
岩)……
〇)!!!!
あたしはびっくりして飛び起きた。
そうだ…
あたし昨日…
ここに来たんだ。
名前も知らない…こいつの家に…
岩)ちゃんと寝れた?
〇)……ん。
岩)良かった。
いびきかいてたし
疲れてたんだねーー
〇)は!?いびき?!
岩)ぷっww
うそうそっww
〇)……
こいつ……
岩)怒んなってーw
〇)……
岩)寝てる時は可愛かったのになー
〇)…は?
岩)安心しきった顔して
すやすや寝てたのに。
〇)……
あたしが…安心しきった顔?
するか、そんなもん。
岩)そーんなギラギラした眼
しなーいの。
〇)…っ
男があたしの頬を
両手で包んできた。
〇)はな…せっ
岩)やーだねーーw
〇)……っ
岩)えいっ
むにゅっ
岩)ぶはっww
〇)……///
岩)変な顔ーーww
〇)…っ、ふざけんな!//
岩)あはははw
〇)……っ//
なんなんだよこいつ…!!
岩)お腹空いたしょー?
朝ごはん何がいい?
〇)……
そうだ…
あたし死ぬほどお腹空いてたのに
それよりきっと疲れてたんだ。
昨日いつ寝たか覚えてない。
岩)じゃあ適当に用意するよー?
〇)……
しばらくすると
すごくイイ匂いがしてきて…
ぐーきゅるるるーー
岩)ははっw
腹減った?w
〇)……//
なんでこいつ…
こんないつもニコニコしてんの?
岩)よーしできた。
食べよ!!
〇)……
テーブルにつくと
美味しそうなご飯。
あたしは男の顔も見ずに
ただ一生懸命空腹を満たした。
岩)ねぇ…
〇)……
岩)名前…なんていうの?
〇)……
岩)わかんないと
呼べないから不便でしょ?
〇)……
岩)……
〇)……〇。
岩)〇か……
俺は…岩田だから
みんなから岩ちゃんって呼ばれてる。
〇)……岩ちゃん?
岩)そ。だからそう呼んで。
〇)……ん。
岩)〇は…何歳なの?
〇)……
岩)俺と…同じくらいかなぁ…
下かな…、いや意外性をついて
上だったり…
〇)……
岩)ま、何歳でもいっかw
〇)……
岩)よろしくな。
〇)……
なんでこんな得体のしれないあたしに
よろしくとか言うんだろう…
よろしくって…何?
いつまで…いていいの?
何者なの?この男。
ご飯を食べ終わると
ソファーに座らされた。
岩)さて。
〇)……
岩)〇は何も持ってないんだよな?
〇)…うん。
岩)携帯も財布も何も?
〇)…うん。
岩)記憶は…あるよな?
〇)ある。
岩)そっか、良かったw
〇)……
岩)じゃあ…
行くとこ見つかるまで
ここにいていいよ?
〇)……
行くとこって…
そんなの…
どうやって見つけたらいいの?
岩)見つからなかったら
うちにいていいし。
〇)……
岩)焦ったり無理して
出ていかなくていいから。
〇)……
岩)わーかった?
〇)……
岩)返事くらいしろってw
ポンッ
岩)ほら。
頭をポンってされた。
〇)……わかった。
岩)よしw
そう言ってニコッと笑うと
また頭を撫でてくれた…
なんで…
この人の手は…
こんな…
岩)じゃあとりあえず俺仕事行くから…
これ、合鍵。
あ、あと携帯。
これ使っていいよ。
〇)……
岩)じゃあ行ってきます。
何かあったらいつでも電話してね?
〇)……
岩)へーんじ!
〇)はい。
岩)ん!
それから
あたしと岩ちゃんの不思議な生活が始まった。
岩)ただいまーー
〇)おかえり…
岩)えーー
なんかイイ匂いするー!
〇)ごはん…作った。
岩)うっそ!マジ?!
めっちゃ嬉しい♡
〇)……
一緒に食べれる時は
一緒にご飯を食べる。
あったかいお風呂に入って
夜は一緒に寝る。
でも…
岩ちゃんはあたしに絶対手を出さない。
ただ…抱きしめて眠るだけ。
そんな日が…
何日か続いた。
〇)岩ちゃん…起きて。
岩)んーーー
〇)朝ごはん…できた。
岩)……え、作ってくれたの?
〇)……ん。
岩)嬉しいw
岩ちゃんがニコッと笑った。
岩)おお!!美味そうじゃん!
いっただきまーす!!
……んんっ!!んまい!!
〇)……
岩)めっちゃ美味いよ!!
〇、天才じゃーんw
〇)……
岩)あっ!!!!
〇)……なに。
岩)今…笑った?
〇)笑って…ない。
岩)うっそ!!
ちょっとだけ笑ったじゃん!!
〇)…笑ってない!!!
岩)もっかい笑ってよ!!
〇)……
岩)ねぇ!!
〇)〜〜〜うるさい!//
岩)あ、今度はもしかして
照れてる…?
〇)〜〜〜っ
ごちそうさま!!
あたしは自分の食器だけ片付けた。
なんなの…
なんなの…!!
笑うことなんて…
もうとっくに忘れた。
なのに…
岩ちゃんは…
あたしがどんなに冷たくしても
嫌な態度を取っても
いつも笑顔で話しかけてくる。
そんな岩ちゃんに戸惑いながらも
不思議な毎日は続いていく…
岩)〇ーーー
ただいま〜〜〜
〇)おかえりなさい。
岩)お土産買ってきたよ〜〜
〇)えっ
岩)ケーキ♡
食べたい?
〇)うん…
岩)ケーキ好き??
〇)うん…
岩)やった〜!!!
買ってきて良かった〜〜♡
〇)……
あたしがケーキ好きって言っただけで…
なんでこんな喜ぶの?
岩)じゃあ一緒に食べよっ♡
〇)うん…
あ…
岩ちゃんの口に…クリームついてる。
〇)口……
岩)え??
〇)付いてる。
岩)ん?クリーム?
〇)そっちじゃない。
岩)え??こっち??
とか言いながら今度は鼻に
クリームが付いた。
〇)あははっw
そっちじゃないってばw
岩)!!!
〇)……
岩)〇が笑った!!!
〇)……
岩)声出して笑った!!!
〇)…っ
岩)可愛い!!!
〇)……は?
岩)笑った顔、めっちゃ可愛いじゃん!
〇)……何…言って…//
岩)あーー照れてる〜〜♡
〇)照れてない!!!
岩)だって顔赤いもんw
〇)赤くない!!!
岩)かーわいw
〇)〜〜〜っ
岩)ほらーー
もっかい笑ってみー?
〇)触んな!!!
岩)もう…〇はすぐそうやって…
〇)…っ
岩)わざとそういう言い方する。
〇)…は?
岩)わざと乱暴に喋る。
〇)…っ
わざとって…
なんでそんなこと…
岩ちゃんにわかんの?
岩)ほんとは…〇は…
〇)離して!!
岩)……
〇)離してってば!!
あたしが岩ちゃんの手を
振りほどこうとすると
岩ちゃんの顔にまたクリームがついた。
〇)…っ
岩)俺…もしかして
今クリームまみれじゃない?
〇)あはははっww
岩)おいーー
笑いすぎだし//
〇)だって…ww
岩ちゃんの顔…ww
岩)取ってよ〜〜〜
〇)あははははww
岩)笑いすぎだって〜〜
……でも、うん。可愛い。
それくらい笑っててほしい…
〇)…っ
岩ちゃんがあたしの頭を撫でた。
岩)〇の笑ってる顔見れたから
俺クリームまみれでもいいやw
そう言ってニコッと笑った。
〇)……バカ。
岩)バカだよーーw
〇)……//
なんで…岩ちゃんはこんなに…
その日も岩ちゃんは
ベッドであたしを抱きしめる。
岩)ほら、おいで…
〇)……
岩)ん、おやすみ…
〇)…おやすみなさい…
あったかいぬくもり…
あたしは…
毎日岩ちゃんに抱きしめられて
毎日少しずつ
傷が癒えていくような
そんな感覚だった。
毎日岩ちゃんの服を着て
岩ちゃんの家で
岩ちゃんの帰りを待つ。
岩)ただいまーー
〇)おかえりなさい!
岩)あ、なんかイイ匂い。
〇)今日もご飯作った!
岩)あ、俺食べてきちゃった。
〇)……そっか。
岩)そんなしゅんとすんなよー♡
〇)……
岩ちゃんが頭を撫でてくれる。
岩)明日の朝食べたいから
置いといてくれると嬉しいなー♡
〇)うん!
お風呂から上がった岩ちゃんの隣に
ぴたっと座る。
岩)んー?どうしたー?
〇)あたし…働きたい。
岩)おっ!!
〇)明日から仕事探す。
岩)うん。頑張れ。
岩ちゃんは余計なことは聞かずに
ただ頑張れって言って
笑ってくれた。
岩)今日はもう寝よっかなーー
〇)あたしも寝る!!
岩)じゃあベッド行こw
〇)うん!!
今日もベッドの中で
岩ちゃんにぎゅってしてもらう。
〇)あったかい…
岩)ねーー
〇)うん♡
岩)…なんか…
最近〇が素直♡
〇)えっ…
岩)素直で嬉しい。
ぎゅっっ
岩ちゃんがあたしを抱きしめた。
〇)嬉しい…の?
岩)うん。
〇)岩ちゃんが…?
岩)うん。
〇)……
岩)〇が素直で可愛くて…
すげぇ嬉しい♡
〇)……///
岩)んーーー♡
あたしは…
岩ちゃんの腕の中が一番好き。
岩ちゃんに抱きしめられてる時は
何からも守られてるような気持ちになる。
ずっと…ここにいたい。
ずっと…岩ちゃんのそばにいたい。
この気持ち…なんだろう…
もう忘れたはずの…
こんな…気持ち…
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
それからあたしは
近くのお弁当屋さんで働き始めた。
今日は初めてのお給料日。
〇)岩ちゃん…
岩)んーー?
〇)これ…少ないけど…
あたしは封筒ごと岩ちゃんに渡した。
岩)これ…
〇)今日ね、もらったの。
岩)〇のお金でしょ?
〇)え…?
岩)〇が持ってなよ…
〇)……
岩)ね?
〇)でも…
ずっと家にいさせてもらって
お金も全部出してくれてる…
〇)何か…させて?
岩)え?
〇)あたし…お世話になって
ばっかりだもん…
岩)……
あたしが思わずうつむくと
岩ちゃんが頭を撫でてくれた。
岩)そんなこと
気にしなくていーのw
〇)……
岩)〇はちゃんと自分のために
お金をためなよ。
〇)……
それは…
いつかここを出ていくため…
そうだよね。
わかってる…
〇)岩ちゃん…
いつもありがとう。
岩)うん…
〇)……
喉まで出かかってる言葉を
必死に閉じ込める。
言っちゃいけない言葉。
岩)あ、そーだ!
明日俺さ、夕方しか仕事ないの。
〇)えっ
岩)だから昼間…出かけない?
〇)うん…
岩)よしっw
岩ちゃんがあたしのほっぺを撫でて
嬉しそうに笑った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そして次の日
岩ちゃんと二人で外に出かけた。
岩ちゃんと外を歩くのは
拾ってもらったあの日以来。
なんだか…
すごく不思議な感じがする。
岩)美味しいランチ食べよ〜w
〇)うん!
あ…っ
岩)…どうしたの?
〇)ううん……
岩)お花屋さん?
〇)……うん。
岩)入る?
〇)ううん…
岩)……
〇)綺麗だなぁって…
岩)…花、好きなの?
〇)うん。
花だけは…昔から…好き。
岩)……
〇)……
岩)何か買って帰る?
〇)ううん…いいの。
岩)……
〇)花は…絶対に枯れるから…
岩)……
それから二人で
イタリアンのお店に入った。
岩)ここのチーズピザが
めっちゃくちゃ美味いんだぞーw
〇)楽しみw
岩)ほら、はちみつかけて。
〇)うん。
あたしが一口食べるのをじっと見てる。
〇)ん!!!!
岩)……
〇)美味しい!!!
岩)だろ〜〜〜〜ww
すごく嬉しそうに
岩ちゃんが笑う。
〇)すっごく美味しい♡
岩)だから〇を連れてきたかったのーw
〇)…嬉しい、ありがとう♡
岩)へへーw
〇)岩ちゃん…だい…
岩)んー?
〇)…っ
あたし今…
何言おうとしたの?
自分でびっくりした。
こんな気持ち…
岩)ほら、こっちも美味しいよ。
〇)…うん。
岩)どう?
〇)美味しい!!
岩)はははw
良かった〜〜w
〇)美味しくて嬉しい。
岩)うんw
〇)ありがとう、岩ちゃん。
岩)うんっ
〇)…
岩)やっぱり〇は…
俺が思ってた通りの女の子だ。
〇)え…?
岩)素直で…
笑うとめちゃめちゃ可愛い。
〇)……っ///
岩)普段はなかなか素直になれなくて
強がってるけど…
〇)……
岩)そんなとこも…可愛いw
〇)////
岩)本当は…
素直でまっすぐな優しい子。
〇)……
岩ちゃんが優しく笑う。
どうして岩ちゃんは…
こんなに優しいんだろう…
あたしの真っ黒な心を
白く塗り替えてくれるような…
何もかも溶かしてくれるような
そんな笑顔。
あたしは…
素直なんかじゃない。
優しくなんてない。
でも…
岩ちゃんと一緒にいると……
それから岩ちゃんと別れて
岩ちゃんは仕事へ
あたしはバイトへ。
お弁当屋さんの時給は安いけど
…働かないよりはマシ。
でも…
いつか一人暮らしするなら
もっと働かないと。
岩)ただいまーーー
〇)おかえりなさいっ
パタパタパタッ
岩)あーー♡
〇)え??
岩)走って迎えに来てくれるとか
めっちゃ嬉しい♡
〇)あ…っ
あたし…無意識だった。
岩)たーだいま♡
ぎゅっ…
〇)////
岩ちゃんの腕の中は
今日もあたたかい。
〇)岩ちゃん…
あたし他にも仕事探す。
岩)おっ、どうしたの?
岩ちゃんがタオルで頭を拭きながら
あたしの隣に座った。
〇)もっと…お金貯めたいから
バイト増やしたいの。
岩)……そっか。
〇)うん!
岩)そういえば…
今日の昼間一緒に見た花屋。
〇)うん?
岩)バイト募集してたよ?
〇)え……
岩)〇、花好きなんでしょ?
〇)……
岩)あそこはどう?
〇)ううん、いい…
岩)……どうして?
〇)花は…枯れるから…
岩)……
〇)……
岩)昼も…そう言ってたよね。
〇)……
岩)枯れるから…
寂しいの?
〇)……あんなに綺麗なのに
絶対…枯れるから…
岩)……
〇)永遠なんてないんだって
思い知らされる…
岩)……
あたしは…
何を言ってるんだろう…
永遠なんてないって
そんなこと…わかってる…
〇)…
岩)…
〇)それに…こんなあたしが
お花屋さんで働くなんて…
おかしいでしょ?w
岩)どうして?
〇)だって…花はあんなに綺麗なのに…
あたしは…真っ黒だもん…
岩)〇だって同じくらい綺麗だよ?
〇)え…?
綺麗って…
何言ってるの??
岩)〇の心は真っ白だと思う。
〇)……
岩ちゃん…
何言ってるの?
そんなわけない…
あたしの心は…
岩)心は…
自分で汚さない限り
綺麗だよ。
〇)……え?
岩)誰かに汚されることはない。
〇)……
岩)だから…〇の心は
真っ白だと思う。
〇)……
岩)〇は…すごくいい子だから。
〇)……
そう言って
岩ちゃんがいつもの笑顔で
優しく笑う。
あたしは…
涙をこらえるのに必死だった。
こんなあたしを…
いい子だって…
真っ白だって…
そんなこと言ってくれるの
岩ちゃんだけだよ…
でもね?
岩ちゃんと一緒にいると…
本当に…
そうなれるような気が…してくるの…
あたし…
そんな子に…なりたい…
岩)ほら、おいで…
今日も岩ちゃんは
あたしを抱きしめてくれる。
岩)寒くない?
〇)うん…あったかいよ…
岩)俺もあったかい♡
〇があったかいからー♡
〇)あったかいのは岩ちゃんだよ…
岩)〇だよ……
〇)……
岩)〇の心と一緒。
すごく…あったかい…
〇)……
岩ちゃん…
あたしは今日も
言っちゃいけない言葉を
噛み殺して…眠りにつく。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
次の日の夜は
仕事を終えた岩ちゃんが
仕事仲間を家に連れてきた。
岩)たーだいまーーー
〇)おかえりなさい!!
臣)え、何この美女。
隆)わ!ほんとだ!!
〇)……っ
岩)まぁまぁw
臣)まぁまぁって何!w
岩)〇、急にごめんね?
〇)あ、ううん……
岩)うちで飲もうってことになってw
〇)うん。
臣)え、何、彼女なの?
隆)一緒に住んでんだから
そりゃそーでしょw
臣)なんか…
彼女っつー感じじゃないから。
〇)……
だって…
彼女じゃないし。
なんか…
この男きらい。
なんでも…見透かすような
この目がきらい。
岩)〇も一緒に飲もーー♡
〇)…うん…
あたしはさっきの男を避けて
岩ちゃんの隣に座った。
臣)名前は?
〇)……
臣)名前。聞いてんの。
〇)……
臣)お前自分の名前も言えねーの?
岩)〇。
臣)は?
岩)〇だよ、名前。
臣)岩ちゃんに聞いてねぇし。
岩)いいじゃんもう〜〜w
〇)……
なんでこの男
こんな偉そうなの?
すっごくやだ……
隆)〇ちゃんは
何の仕事してるの?
〇)……お弁当屋さん。
隆)へ〜〜!!
じゃあ料理上手か〜〜
岩)めっちゃ美味しい!!
隆)いいなぁ〜〜〜w
臣)……ふーーん。
まただ。
この目。
臣)何歳なの?
〇)……
臣)…まーたシカトかよw
〇)……
隆)二人はいつから付き合ってんのー?
岩)えー?
隆)だって…全然知らなかったし。
岩)いつかなーー
忘れちゃったw
隆)何それ〜〜ww
岩ちゃんが
適当に話を流すのに
この男だけは
ずっと嫌な視線であたしを見てくる。
臣)ほんとに彼女?
岩)…そうだよー?
臣)で、何歳?
〇)……
岩)何歳でしょ〜〜〜?w
臣)お前に聞いてんだよ。
〇)……
隆)ちょ、臣、あたり強い。
臣)…何歳なんだよって。
〇)……ほっといて。
臣)は?
〇)ほっとけよ。
臣)ほっとけってなんだよ。
歳聞いてるだけだろ。
〇)うるさい。
臣)は!?
〇)いちいちうるさい。
臣)なんだお前。
おい、岩ちゃん。
こいつ彼女じゃねぇだろ。
岩)…っ
臣)お前…何してんの?
岩)何って…
臣)女お持ち帰りすんのがめんどいから
家に一人置いときゃいいやって
そーゆーやつ?
〇)!!!!
ふざけんな!!!!
あたしが振りかざした手を
岩ちゃんが止めた。
〇)離せ!!!!
岩)〇、ダメ。
〇)だって…こいつ…
ふざけんな!!!
謝れ!!!!
臣)誰がこいつだよ。
〇)お前しかいねーだろ!!
臣)ほんと口悪ぃ女だな。
〇)黙れ!!
岩ちゃんに謝れって言ってんだよ!!
臣)……
〇)岩ちゃんはそんな男じゃない!!
臣)……
〇)岩ちゃんは
あたしを拾ってくれた日から
一度も何もしてない!!
臣)…拾っ…た…?
隆)え…?
臣)どういう…ことだよ。
隆)もしかして岩ちゃん…
この子…あの時の…
岩)……
臣)あの時のって…
隆)警察連れてったんじゃないの?
臣)まさか…
あの薬まみれだった女?
〇)は!?
臣)クスリやって
路地裏に倒れてた女だろ?
〇)クスリなんかやってない!!
臣)同じようなもんだろ!
岩)臣さん!!
臣)…
岩)それ以上言ったら
俺が怒る。
臣)お前…何考えてんの?
こんな得体の知れない女
拾ってきて…
岩)臣さん!!
臣)変な女だったらどーすんの?
岩)〇は…そんな子じゃないよ。
臣)なんでわかんだよ。
ちゃんと素性知ってんのかよ。
岩)……
岩ちゃんは
あたしのこと…何も知らない。
あたしは言いたくないし
岩ちゃんはそれを察してか
何も聞かないでいてくれてる。
臣)お前もわかんないんだろ?
岩)いいじゃん、知らなくても。
臣)は??
岩)人には…
言いたくないことだってあるよ。
臣)そんなこと言って
この女が変な女だったら
どーすんだって言ってんの。
岩)〇は良い子だよ。
臣)……
岩)目を見ればわかる。
臣)目って…
こんな荒んだ目してる女の
何がわかんだよ。
岩)〇は…わざと……
……荒んでなんか、ない。
臣)……
岩)これ以上口出ししないで。
臣)…じゃあ好きにしろ。
問題だけは起こすなよ。
岩)わかってる。
臣)気分悪ぃから帰る。
岩)……
隆)なんか…ごめんね、岩ちゃん。
〇ちゃんも…
岩)ううん。
そのまま二人は帰っていった。
あたしは…
自分が何言われても
どんな目で見られても構わないけど
あたしのせいで
岩ちゃんがあんな風に言われるのは
許せない。
歯を食いしばって泣いてると
岩ちゃんが後ろから
抱きしめてくれた。
岩)泣かないの。
〇)…っ
岩)嫌な思いさせて…ごめんね?
〇)…っく…
嫌な思いしたのは
岩ちゃんなのに…
あたしのせいで…
なのにどうして
ごめんねなんて…
岩)ほら、おいで。
〇)うううっ
岩ちゃんが正面から抱きしめてくれた。
〇)うわぁぁんっ
岩)うん、大丈夫。
〇)ううっ、ぐすっ、ううう…
岩)大丈夫、泣かないで…
ずっと優しく
抱きしめてくれてる…
〇)岩ちゃん…ごめんなさい…っ
岩)何が…?
〇)あたしの…っ、せいでっ
岩)……
〇)ごめんなさぁぁいっ
岩)〇のせいなことなんて
一つもないよ?
〇)うううっっ、ぐすっ
岩)……
〇)あの人にも…
あんな口きいて…ごめっな…さっ
岩)わかってるから。
〇)え……?
岩)〇がわざと乱暴に喋る時は
何かを守ろうとしてる時だって。
〇)……っ
岩)自分だったり…
今日は…俺だったり…
〇)……っ
岩)本当は…
そんな喋り方しないでしょ?
〇)……
岩)〇は…何も悪くない。
素直で優しい、いい子だよ。
〇)……っ
ううっ…うわぁぁぁんっ
子供のように泣きじゃくるあたしを
岩ちゃんはずっと抱きしめてくれた。
あたしが泣き疲れて眠るまで…
岩ちゃん…
あたしは…岩ちゃんが大事。
あたしを拾ってくれた。
助けてくれた。
こんなあたしを信じてくれて
守ってくれて
笑ってくれる。
かけがえのない人…
この世界に
こんな人がいるんだって…
そう思った。
信じられないくらい
優しくて
深い愛情で
あたしを包んでくれる。
あたし、岩ちゃんを守りたい。
今度はあたしが
岩ちゃんの力になりたい。
気づいてしまったあたしの気持ちは
一生隠し通すから
死んでも口に出さないから
だから…
側に…いさせて…
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
次の日あたしは
お花屋さんに面接に行った。
花が大好きで
ずっと憧れてたお花屋さん。
あたしなんかが働けるわけないって
思ってたけど
岩ちゃんがああ言ってくれたから
気持ちが変わった。
店)じゃあ、早速明日から
来れるかしら?
〇)はいっ!!
店)よろしくお願いね♡
〇)はい!!
よろしくお願いします!!
あたしは嬉しくて
早く岩ちゃんに報告したくて
でもその日岩ちゃんが帰ってきたのは
夜中だった。
最近仕事がすごく忙しそう。
お風呂から上がると
岩ちゃんはすぐベッドに入った。
〇)岩ちゃん…大丈夫?
岩)だーいじょーぶw
今日はちょっと忙しかっただけー
〇)……
岩)もうね、足が棒だよーw
〇)あたしっ、マッサージする!!
岩ちゃんの脚を
一生懸命マッサージすると
岩ちゃんが起き上がった。
岩)めっちゃ気持ち良かった〜!
〇上手だね!
〇)ほんと?
岩)うん!疲れも吹き飛んだ〜!
〇)良かった♡
岩)ありがと♡
〇)うんっ!!
それから岩ちゃんは
いつものように
あたしを抱きしめた。
〇)岩ちゃん…
岩)んー?
〇)あたしね、明日から
お花屋さんで働くよ。
岩)えっ!うっそ!!!
あそこの?!
〇)……うん//
岩)わぁ!!すごい!!
やった〜!!!
〇)……//
岩)お花屋さんとか
〇のイメージにぴったり♡
〇)え……
岩)〇は…俺の中で
ふわふわ優しい
真っ白な花の…イメージだよ…
〇)真っ白な…花…?
岩)……
〇)…岩ちゃん…?
岩)……
あ…
もう寝てる…
そうだよね、疲れてるんだよね…
あたしは岩ちゃんの身体にすり寄って
目を閉じた。
あたしは毎日岩ちゃんと一緒にいられて
幸せだけど
ずっと気になってることがある。
岩ちゃんは…
どうしてあたしを拾ってくれたんだろう…
あの男の言う通り
あたしは得体の知れない女で
こんなあたしを拾っても
岩ちゃんにいいことなんて
一つもない。
こんなあたしに優しくしたって
何もないのに
岩ちゃんはどうして…
あたしのこと…
どう思ってるんだろう…
言いたくない…
あたしの過去。
思い出したくもない。
でも…
岩ちゃんに話さなきゃいけない日が
くるの…?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
それからあたしは
お花屋さんの仕事が増えて
仕事にも慣れてきたころ
店長が資格を取らないかって
言ってくれた。
フラワーデザイナー。
あたしはちゃんと頑張りたくて
お弁当屋さんのバイトはやめた。
そしてあたしが無事
試験に合格した夜…
岩ちゃんはあたし以上に喜んでくれた。
岩)すごいじゃん!!
ほんとにおめでとう!!
〇)えへへ♡ありがとう♡
岩)〇いっぱい頑張ってたもんな〜〜
〇)でもね、まだ1級じゃないし
もっと頑張っていつかは
フラワー装飾技能士っていうのも
取りたいの!!
岩)へぇ!!今回のは違うの??
〇)今回のはフラワーデザイナーだから。
岩)いっぱいあるんだね!!
〇)うん。
岩)すごいな〜〜
〇がキラキラしてるw
〇)えっ…ほんと?
岩)うん。すごく楽しそう。
〇)……そうかな//
岩)最近いつも笑ってるし…
俺もめっちゃ嬉しい♡
ぎゅ〜〜っ
〇)岩ちゃん…///
岩ちゃんがそう言ってくれるのが
あたしはすごく嬉しい。
だって…
あたしが頑張ろうって思えるのは
岩ちゃんのおかげだもん…
岩)もう…俺がいなくても
〇は大丈夫だね…
〇)えっ……
今…なんて…言ったの?
岩)一人でいっぱい頑張ってて
ほんとにすごいなぁって…
〇)……
それは…
もうそろそろ…この家を…
岩)あ、そうだ。
俺さ、明日から仕事で4日間いないんだ。
〇)そう…なんだ…
岩)なーに、寂しい?w
〇)ううん、大丈夫…
岩)……
〇)……
岩)顔が大丈夫って顔してない。
〇)え…っ
岩)……
〇)大丈夫だよ…
寂しくないよ。
岩)俺は寂しい。
〇)……え?
岩)4日間も〇に会えないの…
寂しいよ?
〇)……
ほんとは…あたしだって
すっごく寂しいもん…
でも…
そんなこと言って
岩ちゃんに迷惑かけたくない。
ぎゅっ…
岩)あ…甘えてきた〜♡
〇)……///
岩)〇はもっと…
甘えていいんだよ。
〇)え…?
岩)いつも…一人で頑張ろうとする。
〇)……
岩)もっと…俺に頼ってよ…
〇)……
こんなにいっぱい助けてもらって
感謝してもしきれないのに
それでもまだ…そんなこと
言ってくれるの?
岩)もっといっぱい甘えて♡
〇)……///
ぎゅっ……
あたしは岩ちゃんを
いっぱい抱きしめた。
〇)ぎゅって…して…///
岩)……///
初めて…
そんなこと…言った。
ダメ…
ダメってわかってる…
この気持ちは…ちゃんと
閉じ込めないと…
でも…
岩ちゃんが優しいから
すごく…優しいから…
ぎゅってしてなんて…
〇)ごめんね、やっぱり…
岩)やーだ。
〇)えっ…
岩)ぎゅってしてって言われたから…
離さない。
〇)////
岩)ずっと…離さない。
〇)////
ずっとこの腕の中にいられたら
どれだけ幸せなんだろう…
あたしはそんな叶わない夢を見ながら
岩ちゃんの腕の中で
眠りについた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
岩ちゃんがいなくなってもう3日。
思ってたよりすごく寂しくて
あたしは毎日岩ちゃんのパーカーを抱きしめて
一人で眠った。
抱きしめてくれる腕は
ぬくもりは
当たり前なんかじゃない。
すごく尊いものだってわかってたけど
失ってみて改めて気づく。
岩ちゃん…会いたい。
抱きしめて…ほしい。
あたしは…岩ちゃんが……
最近は
気持ちを押し殺すのに必死だった。
臣)すいませーん。
〇)いらっしゃいませ!
臣)開店祝いの花を…、あっ!!
〇)あっ!!!
最悪…
あの男だ。
臣)お前…ここで働いてんの?
〇)…はい。
臣)ふーん。
〇)……開店祝いのお花ですか?
臣)ああ、そう。
適当にお願い。
〇)…かしこまりました。
またこの目で見てくる。
何もかも…見透かすような
鋭い視線で…
〇)こんな色合いでどうですか?
臣)うん、いいじゃん。
〇)では少々お待ちいただけますか?
臣)ん。
あたしがお花を切ってると
ずっと見てくる。
すごく…嫌だ。
臣)お前…なんか変わったな。
〇)……え?
臣)前は…岩ちゃんの後ろに隠れて
岩ちゃんがいなきゃ
何もできないような女に見えたけど…
〇)……
臣)今はちゃんとしてる。
〇)……
びっくりした。
そんなこと言われると
思ってなかった。
臣)頑張ってんだな。
〇)……
あたしは…
臣)岩ちゃんが好きなの?
〇)……
それは…
あたしがずっと閉じ込めてる気持ち。
なんでこの男は
こんな簡単に…
臣)好きだから
こんな頑張ってんだろ?
〇)……
臣)……いいじゃん。
〇)…え?
臣)花屋。似合ってんじゃね?
〇)え…っ
臣)弁当屋よりはw
あ…
普通に笑った。
〇)出来ました。
臣)ん、ありがと。
男はお金を払うと
満足そうに花を抱えた。
〇)ありがとう…ございました。
臣)……
あたしが頭をさげると
振り返って
臣)前は…言いすぎた、ごめん。
そう言って店を出て行った。
今日は岩ちゃんがいない4日目の夜。
あたしは今日も
岩ちゃんのパーカーを抱きしめて眠る。
岩ちゃん…会いたい…
「岩ちゃんが好きなの?」
〇)……
昼間のあの男の言葉を
ふと思い出した。
違う。
違うから…
この気持ちはちゃんと隠すから…
だから…
〇)……
夢の中で
誰かがあたしに優しく触れる。
髪を撫でられて…
ああ…
岩ちゃんみたい。
気持ち…いい…
髪をすいて
ほっぺを撫でてくれてる…
あったかい…
あれ…?
あったかい?
夢じゃ…ないの?
チュ…ッ
!!!!!
えっ!!!
ほっぺに…キス…された…
あたしは心臓がバクバクして
目が開けられない。
岩)ぐっすり眠ってる…
〇)……
岩)パーカー握り締めすぎ…w
〇)……
岩)……寂しかった?
〇)……
岩)俺は…早く会いたかった…
〇)……
岩)…おやすみ……
チュッ
岩ちゃんの優しい声が
静かに響いて
またほっぺにキスされた…
やっぱり…夢じゃ…ない。
岩ちゃん…帰ってきたの??
あたしが起きないように
そっと抱きしめてくれて
しばらくすると
岩ちゃんの寝息が聞こえてきた。
あったかい…
ずっと待ってたぬくもりに
涙がこぼれそうになる…
岩ちゃん…
岩ちゃん…
あたしは…岩ちゃんが……
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
朝目が覚めると
岩ちゃんがまだあたしを
ぎゅって抱きしめてくれてた。
〇)……
岩)…ん……
〇)おは…よ//
岩)あ……、んーーー
おはよ…
〇)岩ちゃん…早く帰ってきたの?
岩)うん。
仕事急いで終わらせて
1日早く帰ってこれたぁ……
〇)……
岩)へへーーーw
ぎゅっ……
〇)////
岩)寂しかった?
〇)……
岩)早く会いたかった?
〇)……
あたしは首を横に振って
岩ちゃんに抱きついた。
岩)何それ、どっちだよ〜〜w
〇)////
寂しかったよ。
会いたかったよ。
岩)俺と同じ気持ちだったってことに
しようっと♡
〇)……え?
岩)えいっ♡
ぎゅーーーーっ
〇)////
岩)ああ…やっぱり俺……好……
〇)……
岩)…っ
〇)??
岩)……あほ//
〇)え?
岩)なんでも…ない//
〇)??
岩)〇にね、お土産買ってきたよーー
〇)お土産??
岩)うん。見たいー?
〇)うんっ♡
岩)よっし、じゃあ…
岩ちゃんがあたしを抱き起こしてくれた。
岩)あーれ。
〇)え…?
岩ちゃんが指差した壁には
真っ白い可愛いワンピース。
〇)なぁに…?あれ…//
岩)可愛いから買ってきちゃった♡
〇)えっ……
岩)見てたら
〇に似合いそうだなぁ〜〜
可愛いなぁ〜〜って思って…
〇)……//
岩)ね、どう?
〇)……可愛い//
岩)気に入った?
〇)……うん//
岩)やった〜〜〜!!
〇)……//
でも…どうして…
あたしに…
岩)これ着て…
Xmas、俺とデートしませんか♡
〇)えっ…!!!
岩)……
〇)……
デート?!
岩ちゃんと…!??
岩)美味しいもの…食べに行こ?
ね?
〇)……//
岩ちゃんがあたしのほっぺを
優しく包んで
うんって頷かせた。
岩)ははっ、決〜まりっ♡
〇)////
どうしよう…
どうしよう…
岩ちゃんとデート…
すごく楽しみ。
店)〇ちゃんってば
今日はご機嫌ね〜〜♡
〇)えっ
店)何かいいことでもあった?
〇)……いえ//
店)ふふーーw
隠してもわかっちゃうんだからー♡
〇)……//
店)〇ちゃんがうちに来てくれてからね、
少しずつお客さんも増えて
本当に感謝してるの。
〇)え……
店)いつも笑顔で頑張ってくれて
本当にありがとう♡
〇)……//
そんなこと言ってもらえるなんて
思ってもみなかった…
あたしが今、笑えるのは…
笑顔でいられるのは…
全部…
岩)〇ーー
〇)なぁに?
岩)Xmasね、予約したんだけど…
〇)わぁ…ありがとう!
岩)でも…その日俺生放送あって…
〇)うん。
岩)もしかしたら遅れるかも…
〇)うん、全然いいよ?
岩)終わったら飛んでいくから…
〇)……
岩)絶対行くから…
待っててね?
〇)うん…♡
岩)あと……
〇)……
岩ちゃんが真剣にあたしを見た。
岩)話したいことも…ある。
〇)……え?
岩)ちゃんと…
〇)……
話したい…こと…??
あたしはその日から
岩ちゃんの「話したいこと」が
気になって仕方なかった。
もしかして…
もういい加減出て行ってって
言われるのかもしれない。
お金は…少しずつ貯まって
今なら一人暮らしを始められるくらいの
お金はある。
岩ちゃんは優しいから
出て行けなんて言い出しにくくて
でももしかしたら
ずっと思ってたのかもしれない…
だって…
迷惑に決まってるもん。
そんなこと
岩ちゃんに言わせるのは
ずるい気がする。
あたし…
ちゃんと自分で出て行こう。
Xmasはきっと…
最後の思い出に…
岩)お風呂上がったよ〜〜
〇)あっ…
バサバサッ
あたしは慌てて住宅情報誌を隠した。
岩)え…?
〇)……
岩)今の……
〇)なんでもない!!
お風呂…入ってくるね!!
バタバタバタッ
見られ…ちゃったかな?
大丈夫だよね?隠したもん。
お風呂から上がって
ベッドに入ると
岩ちゃんはすぐにあたしを抱きしめた。
岩)〇……?
〇)なぁに?
岩)……
〇)……
何も言わずに
ただあたしを抱きしめてる。
〇)岩…ちゃん…?
岩)……
〇)……
岩)Xmas…、欲しいものある?
〇)え??
岩)……
〇)ご飯…食べるんでしょ?
岩)それとは別に。
プレゼント。
欲しいもの…ある?
〇)何もないよ♡
岩)え…?
〇)あたし…
岩ちゃんと一緒にいられるだけで
それだけで嬉しいの。
だから…何もいらないよ。
岩)……
Xmasに岩ちゃんといられるなんて
それだけで幸せだもん。
その日にちゃんと
あたしから言おう。
この家を出て行くって…
岩ちゃんと一緒にいられるのは
あと少し…
一秒一秒を大切にしたい。
岩ちゃんと一緒にいられる
どんな一瞬も…
忘れないように…覚えていたい。
〇)岩ちゃん……
岩)…なぁに?
〇)……
言えない言葉…
岩ちゃん…あたしね…
岩ちゃんのことが…こんなに…
岩)なに?
〇)ううん…なんでもない…
岩)……
ぎゅっっ…
岩)…っ//
言えない代わりに
いっぱいいっぱい岩ちゃんを抱きしめた。
神様…
岩ちゃんに出逢わせてくれて…
ありがとう…
ーXmas当日ー
店)は〜〜〜
死ぬほど忙しかった!!!
〇)お疲れさまです♡
店)〇ちゃん、今日用事あるんでしょ?
もう上がっていいわよ!
〇)でも…
店)あとは私がやっておくから♡
いつも頑張ってくれてるんだから
こんな日くらい早く帰りなさい。
〇)…ありがとうございます//
店)ん!!
〇)あの…事務室お借りしてもいいですか?
店)え…?
〇)着替え…たくて…//
店)あら、いいわよー!!
エプロンを外して
岩ちゃんがくれた
真っ白なワンピースに着替えた。
すごく可愛い…
こんなワンピース…夢みたい。
店)わぁ!!〇ちゃん!!
可愛いっ♡♡
〇)////
店)や〜っぱり用事って
デートだったのね〜〜♡♡
〇)////
店)すっごく可愛いワンピース。
お姫様みたい♡♡
〇)…お姫…様…?
店)すっごく似合ってるわよ〜〜
〇)……
あたしが…お姫様…?
なんか…信じられない…//
店)〇ちゃんすっごく美人なのに
いっつも男物のシャツしか着ないから
こんな格好見てみたかったの♡
〇)……
店)普段の格好はそれはそれで
カッコイイんだけど…
〇)……
店)やっぱりこんなワンピースも
すっごく似合うわね♡
〇)……///
店)じゃあ…特別に…
〇)え…?
店長が髪にお花を挿してくれた。
店)うん、似合う♡
〇)いいんですか…?//
店)もちろん♡
デート楽しんできてね♡
〇)ありがとうございます///
岩ちゃんに言われたホテルに着いて
名前を言うと
スイートルームに通された。
〇)あれ…?
男)何か…
〇)お店じゃ…ないんですか?
男)本日はお料理もこちらに
ご用意させていただく予定です。
〇)わ……
そうなんだ…
なんか…すごい…
夜景が見えるスイートルーム。
こんなところで
ご飯とか…緊張しちゃう…
でも…
岩ちゃんが選んでくれた場所。
すっごく嬉しいな。
こんな場所で
二人でXmasを過ごせるなんて…
岩ちゃん…
早く会いたい。
それからずっと
岩ちゃんが来るのを待った。
仕事で遅くなるかもって言ってたから
やっぱり…
でも…
1時間…2時間…
時間はどんどん過ぎていって…
岩ちゃん…
今日…来るよね?
その時だった。
コンコン。
〇)はいっ!!
「岩田様からのプレゼントです」
〇)え……?
ホテルの人が
綺麗な箱を届けてくれた。
〇)これ……
男)失礼いたします。
パタン。
〇)……
岩ちゃんからの…プレゼント??
あたしはその箱をテーブルに置いた。
開けても…いいのかな?
どうしてホテルの人が持ってきたんだろう…
まさか…岩ちゃん…来れないのかな?
それとも…
最初から…来ないつもりで
プレゼントだけ…あたしに…?
リボンをほどいて箱を開けると
プレゼントは
真っ白なフラワーボックスだった。
〇)綺麗……
これ…プリザーブドフラワーだ。
花は…絶対に枯れちゃうけど…
これは…枯れない…
ずっと…枯れない花。
〇)岩ちゃん…
どうしてこれを…あたしに?
今日…会えないのかな?
岩ちゃん…
岩ちゃんに会いたい…
今すぐ会いたい。
窓ガラスに手を当てて
地上を見下ろした。
岩ちゃん…
待ってるから…
あたし…待ってるから…
〇)あ…れ…?
赤いランプが見える…
あれは…救急車??
まさか…
まさか…
〇)岩ちゃん!??
いやっ…
いや…っ!!!
岩ちゃんじゃないよね?
違うよね??
あたしが振り返ったその時だった。
バタン。
岩)〇……!!!
〇)……っ!!!
岩ちゃん…!!!
あたしは…声も出なくて
部屋に入ってきた岩ちゃんは
すぐにあたしを抱きしめた。
岩)はぁ…、はぁ…、はぁっ
遅くなってごめん!!
〇)……っ
岩)はぁ…、はぁ…っ
〇)……岩ちゃ…っ
走って…来てくれたの?
岩)待たせて…ほんとにごめん!!
息を切らせながら
力強くあたしを抱きしめる。
岩ちゃん…
岩ちゃん…
〇)うう…っ
岩)えっ!!!
〇)ふぇぇっっ
岩)なんで泣いてるの!??
〇)岩ちゃ…ぁぁぁんっ
岩)わ、わ、わっ
岩ちゃんは慌ててあたしの涙を拭いた。
〇)救…急……車っ
岩)え?
〇)救急車が…っ、見えたからっ
岩)ああ…さっきの……
なんかね、食べ過ぎで運ばれた人が
いたみたいw
〇)え…?
岩)俺じゃないよw
〇)……
岩)なーに、俺だと思って
心配してくれたのー?
〇)ううう…っ
岩)ほんと可愛いなーもうw
ぎゅっ
〇)岩ちゃん…よかったぁぁ…
うわぁぁんっ
岩)も〜〜泣きすぎw
〇)うっ、うっ…うっ
岩)こんな遅くなってほんとにごめん…
〇)ううっ、ふえぇっ
岩)心配かけて…ごめんね?
〇)…っ、ぐすっ
岩)俺は元気だから!!
ほら、ねっ?
岩ちゃんが両手を広げた。
岩)てゆーか…///
〇)え…?
岩ちゃんが一歩後ろに下がって
あたしを上から下まで見た。
岩)……ヤバイ///
今度は口を隠してる。
岩)////
〇)岩ちゃん…?
岩)すっごい可愛い///
〇)えっ!!
岩)何これ…似合いすぎでしょ…//
可愛すぎてヤバイ…///
〇)////
岩)……いつも…
俺の服着てんのも…
すげぇ可愛いんだけど…
今日は…ヤバイ…なんか…//
………照れる…//
〇)////
岩ちゃんにこんな褒めてもらえると
思わなかった。
すごく…嬉しい…
岩)あっ…
岩ちゃんがプレゼントに気付いた。
岩)もう来ちゃった?!
あ、そっか…時間…
変えるの忘れてたー!!
〇)え…?
岩)それ…一緒にいる時に
サプライズで持ってきてもらおうと
思ってたの//
〇)……これ…
岩)Xmasプレゼント。
〇)……
岩)何もいらないとか言われたけど
絶対あげたくて…すごい考えて…
〇)……
岩)〇…、花屋で働いてるのに
それ、どうかなって思ったんだけど…w
〇)……
岩)でも…〇は花が大好きだし
俺の〇のイメージは
その真っ白な花と一緒だから
それ…プレゼントしたかった。
〇)…あたし…こんなイメージなの?
岩)そうだよ♡
〇)……//
岩)それなら…枯れないでしょ?
〇)……
岩)花は絶対枯れちゃうからって
すごく寂しそうに言ってたのが
頭から離れなくて…
〇)……
岩)枯れない花も…
変わらない気持ちも…あるよって
伝えたかった。
〇)……っ
岩)俺の気持ち…
言っても…いい?
岩ちゃんが真剣な顔になった。
岩)俺…最初に〇を見つけた時は
自分でもよくわからなくて
でも本能で思ったんだ。
この子を助けたい…って…
〇)……
岩)〇みたいに道に倒れてる人は
たまにいるけど…
でも…〇は…
〇だけは違った。
なんか…ほっとけないって
そう思って…
〇)……
岩)今思えば…いきなりうち来る?とか
相当怪しい男だったと思うけど…
でもあの時は…
どう思われてもいいから
〇をなんとかしたいって…
そう思って…
〇)……
岩)〇は全然笑わなくて
無理に虚勢をはって強がってて
その姿が痛々しかった…
〇)……
岩)〇のために何かしたい、
力になりたいって
いつもそう思ってて
気付けば〇のことばかり考えてた。
〇)……
岩)どうしたら笑ってくれるだろう
喜んでくれるだろうって…
そんなことばかり…
〇)……
岩)だから…
〇が笑ってくれると
死ぬほど嬉しくて…
少しずつ笑顔が増えて
俺の前では素直になっていくのが
本当に…嬉しかった。
〇)……///
岩)ずっと側にいたい…
見守っていたいって
思うようになって…
〇)……え?
岩ちゃんが
あたしをまっすぐ見た。
岩)俺、〇が好きだよ。
〇)!!!!
岩)……好き。
それは…
あたしがずっと
ずっと閉じ込めてきた言葉。
言っちゃいけないって
押し殺してきた…言葉。
岩)いつからこんな…
恋愛感情に変わったのかは
自分でもわかんないけど…
〇)……
岩)離れてると会いたくなるし
笑顔が見たくて
その笑顔が何より嬉しくて
守りたいって思うこんな気持ち…
〇)……
岩)愛でしかない。
岩ちゃんの顔が…
だんだん…滲んでいく…
岩)こんな生活ずっと続くわけないって
〇はいつか俺から
離れていっちゃうって
どこかでそう思ってたけど…
〇)……
岩)〇がこの間…
住宅情報誌を見てたのを見て
心臓が止まりそうになった。
〇)……
岩)行かないでほしいって
ずっと俺の隣にいてほしいって…
〇)……
岩)〇からしたら…
俺なんてよくわかんない
変な男かもしれないけど
〇)……
岩)俺は…〇が好き。
すごく大事。
〇)…っ
岩)だから…
もう…涙で…
岩ちゃんの顔が…見えないよ…
ぼやけて…滲んで…
岩)今日からは…
俺の彼女として…
俺の隣にいてくれませんか?
〇)…っ
岩)〇のことが…本当に好き。
絶対大事に…するから。
だから…っ
岩ちゃんがあたしを抱きしめた。
岩)俺の…隣に…いて…
〇)…っ
もう…
胸がいっぱいで…
苦しくて…
〇)岩ちゃん…っ
岩)…っ
〇)岩ちゃぁぁんっっ
涙が止まらなくて
あたしは岩ちゃんの名前を呼ぶことしか
出来なかった。
岩ちゃんはずっと
ただあたしを抱きしめてくれてた。
〇)……岩ちゃ…ん…っ
岩)んーー?
〇)あたしっ、なんかで…いいの?
岩)なんかってなんだよーw
〇)だって…あたし…っ
岩ちゃんに何も話してない…
言いたくない。
思い出したくない。
辛くて重くて苦しくて
一瞬で心を真っ黒にするような
あんなこと…
もう…忘れたい…
〇)岩ちゃんに…何も…
岩)いいよ…
〇)……え?
岩)…話したく…ないでしょ?
〇)……っ
岩)大事なのは…
過去じゃなくて今だから…
〇)……
岩)〇が話したくないことは
聞かない。
〇)……
どうして…
そんなに…優しいの?
岩)それに…
俺には…俺に見えてる〇が
全てだから…
〇)え…?
岩)いつも…隣にいてくれて
笑ってくれる。
〇)……
岩)たまに恥ずかしがって
強がったり…
〇)……
岩)自分が決めたことは
一生懸命頑張る…
〇)……
岩)頑張ってることも
自分では口に出さないけど
俺…ちゃんと知ってるよ?
〇)……
岩)花の勉強頑張ってることも…
栄養が偏らないように
毎日の食事もすごく考えて
作ってくれてることも…
そんなこと…
気付いてくれてたんだ…
岩)本見ながら一生懸命
作ってくれてるでしょw
〇)…っ///
岩)いつも…俺のこと気にして
いろいろ気遣ってくれてる。
〇)……
岩)そんな〇の優しさにも
気付いてたよ…
〇)……
岩)本当にいつもありがとう…
岩ちゃんが頭を撫でてくれた。
岩)〇はいつも一人で頑張っちゃうし
俺なんて頼りないのかもしれないけど
でも…
俺さ、たまに〇が甘えてきてくれるのが
ほんとに可愛くて大好きなの。
〇)////
岩)だから…もっと甘えてもらえるように
俺…もっと男らしくなるから…
だから…
〇)……
岩)って、俺ばっか喋ってる///
〇)え…?
岩)こんなに好きって…
側にいてって…
俺、しつこいよね?w
恥ずかしい///
〇)////
岩)でも…それくらいほんとに
〇のこと好きなの。
〇)////
岩)〇の気持ち…教えて?
岩ちゃんが
優しくほっぺを撫でてくれる。
あたしの…気持ち…?
ずっと閉じ込めてきた
あたしの気持ち…
もう…言ってもいいの?
岩ちゃんに…
伝えてもいいの…?
〇)あたし…
岩)……
〇)岩ちゃんのことが…
岩)……
また涙が溢れ出した。
岩)あああ〜〜〜!!
泣くな〜〜〜!!
あたしが泣くと
すぐに慌てて涙を拭いてくれる。
そんな優しい岩ちゃんが…
あたしは…
〇)大好き…
岩)え…?
〇)大好きだよ…///
岩)////
〇)岩ちゃんが…大好き♡♡
岩)////
岩ちゃんは嬉しそうに
あたしを抱きしめて
ほっぺにチュッてキスをくれた。
〇)また…ほっぺ…///
岩)えっ…
〇)……//
岩)「また」って…
もしかして…!!
〇)……//
岩)あの時…起きてた?///
岩ちゃんの顔が真っ赤になった。
岩)違うんだよ!!
別に…いっつもあんなこと
してるわけじゃなくて…っ
あの日は…俺も会いたくて限界だったし
なのに帰ったら〇が
俺のパーカー抱きしめて眠ってて
可愛すぎて…///
〇)……//
岩)我慢できなくて…キスしました//
〇)……//
岩)でもほんとに!!
あれが初めて!!!
いつもは死ぬほど我慢してたから
何もしてないよ!!
〇)……我慢…?//
岩)あっ…///
〇)///
岩)だって…
付き合ってもいないのに
変なこと…できないでしょ//
〇)///
岩)ほんとは…あんなに
好きな子抱きしめながら
毎日寝てたら…
嬉しいんだけど
同じくらい拷問だった…///
〇)///
岩)でも…〇のこと…
すごく大事だから…
ずっと我慢してた…
〇)///
岩)俺、えらいでしょ?
なんちゃってw
岩ちゃんがはにかんで笑った。
〇)岩ちゃん…//
岩)んー?
〇)あたし…あの時…
岩ちゃんがほっぺにキスしてくれて
すごく嬉しかったよ///
岩)///
〇)もっかい…してほしい…///
岩ちゃんの腕を
キュッと掴んだ。
岩)もっかいするなら…
今度はこっちがいい…///
岩ちゃんが
あたしの唇をそっとなぞった。
〇)…っ
岩)……//
〇)……う…ん//
岩)…いいの…?
〇)////
あたしが頷くと
岩ちゃんが…
すっごく優しいキスをくれた。
岩)ああ…このまま…
〇)…え…?
岩)押し倒したい///
〇)えっ…!!
岩)……//
〇)……//
押し倒したいって…
岩ちゃんが…そんなこと言うの?//
岩)俺…ほんとは
すごい狼なんだからね!
〇)えっ…
岩)ずっと我慢してただけなんだから!
〇)…っ
岩)勝手に安心されても困るから…
〇)……///
岩)覚悟しといてね。
そう言って今度は
ほっぺにチュッてしてくれた。
岩)でも…とりあえず今は
お腹すいたでしょ…?w
〇)……あ…っ
岩)ディナー頼もっかw
〇)……うん//
岩ちゃんが部屋から電話してくれて
あたしは
岩ちゃんがくれたプレゼントを
もう一度ながめる。
ずっとずっと色褪せない…
枯れない花…
ぎゅっ…
〇)わっ…///
岩ちゃんが後ろから抱きしめてきた。
岩)これ…
何年経っても…
今日のこと…思い出せるように…
〇)……うん、大事にする♡♡
岩)…
〇)ずっと…大事にする♡♡
岩)…ありがとう//
〇)ううん、あたしがありがとう///
岩)……
〇)…岩ちゃん……
振り返って
あたしも岩ちゃんを抱きしめる。
〇)もう一回だけ…
キスして///
岩)何それ…、可愛すぎ…///
〇)あたしも…
今までずっと我慢してたんだもんっ
岩)え…?
〇)岩ちゃんが狼だって
全然いいよ…っ
岩)……っ///
〇)岩ちゃんこそ…覚悟してね///
岩)……え?
〇)いっぱい…
甘えちゃうんだから…///
岩)〜〜〜///
ぽすっ
〇)///
恥ずかしくなって
岩ちゃんの胸に顔をうずめる。
岩)そんなの…大歓迎です///
〇)……え?
チュッッ
〇)////
岩ちゃんから優しいキス。
岩)いっぱい…甘えてよ///
〇)……///
岩)大好きだよ…
〇)…
岩)…
〇)あたしも…大好き…
岩)…
〇)岩ちゃんが…大好き♡♡
岩)////
神様…ありがとう…
こんな夢みたいな贈り物…
あたし…
一生…命に代えても
大切にします。
本当に本当に…ありがとう…
ーendー
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