(120)岩ちゃんStory ②

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健)ほんまに間違いないん?
臣)これ、♡の会社だし。
隆)すごい偶然だね…
岩)え、ほんとに?
  臣さん、ほんとに?
臣)ほんと。
岩)え、ほんっっっっとに?
臣)ほんとだって!
 
 
そんな…
 
嘘だ。
 
 
そんな偶然、あるかよ…!
 
 
岩)……イヤだ。
臣)は!?
岩)まだわかんねぇじゃん!!
臣)何が!!
岩)同姓同名かもしんないじゃん!!
臣)……
隆)同姓同名…
  おんなじ…会社で…?
健)うーん、ないやろな。
  ♡ちゃんやろ、これ。
臣)だからそうだって!!
岩)イヤだ。信じねぇ。
健)こーら!w
  なーにをワガママ言うてんねん
  この末っ子がーーw
岩)この目で確かめるまで信じねぇ。
 
 
ていうか、信じたくない。
 
 
あの子が…
臣さんの彼女だとか…
全然想像つかねぇし。
 
 
臣)だめ。この件はもう終わり!!
岩)……
隆)うん…仕方ないよね…
  びっくりしたけど……
健)もう彼氏から奪えとか言われへんしな…
隆)だね…、だって……
岩)…っ
 
 
彼氏は…
臣さんだから……?
 
 
健)まーあ…あれやな!
  腹減ったし飯でも食いに行かへん?
隆)あ、だねーー
  めっちゃ腹減った!!
健)ほら、岩ちゃんも。
岩)……
隆)臣も、行こうよ。
臣)あれ、今日みんなもう終わり?
隆)俺もう仕事ないよ。
健)俺もやで。
隆)なんだ。じゃあ飲みに行く?
健)よっしゃ行こかー!!
岩)……
健)がーんちゃんw
 
 
呆然として返事ができない俺の肩を
健二郎さんがポンポンと叩いた。
 
 
ピロリロリロ♪ピロリロリロ♪
 
 
健)お?岩ちゃんの携帯か??
 
 
電話が鳴って着信画面を見ると、
彼女からだった。
 
 
岩)…っ
 
 
ずっと待ってた彼女からの連絡。
 
でも、
今は頭が真っ白で、全然喜べない。
 
 
ピッ。
 
岩『もし…もし?』
♡『あ、岩ちゃん??♡です!』
岩『…うん。』
 
 
昼間と同じ、可愛い声。
 
 
♡『今日は本当にありがとう!!
  あのね、財布あったの!
  今から返しに行きたいんだけど…
  まだ中目にいる??
  移動しちゃったかな。』
岩『いるよ。今、事務所。』
♡『あ、ほんと??
  これから向かってもいーい?』
 
 
あ…、
事務所って言って通じた。
 
場所、わかるってこと…だよな。
 
 
岩『うん。』
♡『あとね、15分くらいで着けると思う!』
岩『わかった、待ってるね。』
♡『うん!ありがとう!』
岩『着いたら連絡して?』
♡『はい!!』
 
ピッ。
 
 
岩)……
 
 
切れた電話を、じっと見つめる。
 
 
隆)もしかして、♡ちゃん?
岩)その♡ちゃんじゃなくて、
  この♡ちゃん。
臣)いや、だから同じだから!!
岩)…今から来るって。
臣)え??
隆)お金、返しに?
岩)うん。
臣)金なら俺が返す。いくら?
岩)いいよ!
臣)なんで。
岩)臣さんの彼女じゃ
  ないかもしんないじゃん!
臣)俺のだっつーの!!
岩)見るまで信じねぇ。
臣)……っ
健)うーーん…まぁまぁまぁw
  本人見て本物やったら納得すんねんな?
岩)……する。
健)ほんならそれでええんちゃう?
岩)だってさ、おかしいじゃん!
臣)何が!
岩)臣さんの彼女なら、俺に気付いた時…
 
 
あ…、
だからか?
 
 
俺を見た時、驚いて…
 
あれは…ファンだからとかじゃなくて…
 
 
臣)気付いた時、なに。
岩)臣さんの彼女だって
  俺に言わないの、変じゃん。
隆)…確かに。
  臣の彼女だって言えば
  怪しまないのにね。
健)いや、それ余計怪しいやろw
隆)え??
健)初めて会った女の子が
  「私臣の彼女なんです、
   一万円貸してください」
  って言うてきたら、お前貸すか?
隆)うわ!!怪しい!!!
健)ほらw
隆)そっか、だから言わなかったのかな?
岩)……
隆)でも…
  話聞いてても…
  鈍臭いカンジとか
  ♡ちゃんなカンジするよね。
臣)おい!!w
健)確かに。
  あの子、臣ん家のエレベーターでも
  思いきり顔面ぶつけとってん。
臣)え…
隆)あはははw
健)ほんまに鈍臭いよなーー
岩)……
 
 
本当に…
臣さんの彼女なのかな…
 
 
健)まぁ、とりあえずほんなら
  みんなで飯行こーや。
隆)♡ちゃんも来るなら誘う?
健)みんなで行こかー
岩)……
健)岩ちゃんの頑固虫が発動しとる。
臣)岩ちゃん。
岩)……
臣)岩ちゃん。
岩)…なに…。
臣)先に言っとくけど
  ぜっっっったい惚れんなよ。
岩)……
臣)ぜっっっったいダメ。
岩)……
臣)死んでもダメ。
岩)……
臣)何がなんでもダメ。
岩)……
健)「俺が死ぬほど好きだから。」
隆)ぶっw
臣)なんだよっ//
健)なんや。代わりに代弁したってん。
  ちゃうんか?
臣)……//
岩)……
臣)違わねーよ。
岩)……
 
 
「俺が死ぬほど好きだから。」
 
 
臣さんが
今の彼女をどれだけ好きかなんて
そんなの知ってる。
 
話だって
何度も聞いてるし…
 
 
でも。
 
 
臣さんが死ぬほど大好きな
今の彼女と…
 
俺が今日出逢ったあの子が…
 
 
同一人物だとは、
どうしても思えなくて。
 
思いたく…なくて…
 
 
ピロリロリロ♪ピロリロリロ♪
 
 
岩『はい。』
♡『岩ちゃん?着いたよー!』
岩『今どこ?』
♡『あのね、正面玄関!
  警備員さんがいて…
  なんか私…、怪しまれてるかも…』
岩『ぶはっw
  じゃあさ、裏口まで来て?
  今、迎えに行くから。』
♡『わかった!!』
 
ピッ。
 
 
健)ほんなら俺らも行こかーー
隆)てゆーかさ、
  岩ちゃんと♡ちゃんはタメ口なの?
岩)えっ…
 
 
そう言えば…
あれ?どっからだ?
 
 
確か…
俺のこと気付いてから、
ずっとタメ口だった気がする。
 
 
俺も違和感なく
普通に話してたけど。
 
 
臣)……
 
 
臣さんは何も言わない。
 
俺は祈るような気持ちでいた。
 
 
どうか…
どうか違う子でありますように。
 
 
岩)……
 
 
4人でエレベーターを降りて、
裏口に向かう。
 
 
ドアを開けると
彼女らしい後ろ姿が見えた。
 
 
ああ、間違いない。
彼女だ。
 
 
声をかけようとすると
俺らに気付いた彼女が
はっとした顔で声をあげた。
 
 
 
♡)臣くん!!!!
 
 
 
……っ
 
 
 
ああ……
 
 
 
やっぱり…
 
そうなんだ……
 
 
 
 
♡)わ、わ、みんないる!!
隆)おひさーーーw
健)どーーーもw
♡)わ、わ、どうして??
臣)おーまーえーはーー!
♡)えっ
臣)何やってんだよ!!
♡)え、え、えっ
  あのね、お財布忘れちゃって…
臣)知ってるわそんなん!
♡)えっ!!
臣)いくら借りたの?
♡)え、一万円…。
 
 
臣さんが俺のところに来て
自分の財布から一万円を出した。
 
 
臣)ん。ありがと。
岩)……
♡)え!なんで臣くんが渡すの?!
  私が借りたんだよ!!
臣)いいんだよ。
♡)だめーー!!
臣)いいの。
♡)意味わかんない!だめ!!
  もう!臣くんはあっち行って!!
 
 
彼女が臣さんを突き飛ばした。
 
 
臣)お前なぁ!
隆)あはははw
♡)岩ちゃん、はい、これ。
岩)……
♡)本当に助かりました。
  どうもありがとう♡
岩)……
♡)…岩ちゃん?
岩)……
♡)どうしたの?
岩)……
♡)……
岩)♡…ちゃん?
♡)え?
岩)♡ちゃん。
♡)うん??
岩)……
 
 
♡ちゃん…なんだ…。
 
 
臣さんが好きな…
 
臣さんの、彼女…。
 
 
 
俺がお金を受け取らないから
♡ちゃんが俺の手を取って
手のひらにポンとお金を置いた。
 
 
♡)はい♡
岩)……
 
 
……柔らかくて、華奢な手。
 
 
♡)岩ちゃん、本当にありがとう♡
岩)うん…。
 
 
その手をそっと握り返すと、
すかさず臣さんにチョップされた。
 
 
岩)いてぇ!
♡)ちょっと臣くん!!
  何するのーー!!
臣)うるせー。
♡)もうっ!!
臣)つーかお前はなんで俺に言わねんだよ。
♡)え?何を??
臣)今日のこと。
  昼ちょうどLINEしてたじゃん。
♡)あ…、だって…
  臣くんとLINEした後だったんだもん。
臣)後でも言やいーじゃん。
♡)言おうかなって思ったんだけどね、
  岩ちゃんにお金借りたよって言っても
  臣くん困るでしょ?
  なんのこっちゃって。
臣)……確かに…
  なんのこっちゃだわな。
♡)ほらー!
臣)でもさ、別にお前が返しに来なくても
  俺が代わりに返しとけば
  それで済んだじゃん?
♡)はっ!そっか!
臣)だろ?
♡)でも…っ、だめ!
臣)何が。
♡)私が借りたんだもん。
  ちゃんと自分で返さなきゃ!
臣)……
♡)それに、もう一回直接
  お礼言いたかったの。
 
 
そう言うと♡ちゃんはくるっと振り向いて
まっすぐに俺を見た。
 
 
♡)岩ちゃん、
  あんな怪しさ満点だった私に
  親切にしてくれて本当にありがとう。
健)わははははw
  怪しさ満点て!!w
隆)あっはははw
♡)岩ちゃん??
岩)……ん?
♡)本当にありがとっ♡
  岩ちゃん大好き♡
岩)…っ
 
 
とびきりの笑顔でくれた
「ありがとう」と「大好き」の破壊力が
あまりにすごくて…
 
あまりに可愛くて…
 
 
俺は言葉が出てこなかった。
 
 
臣)はーいはい、行くぞ。
 
 
臣さんが後ろから♡ちゃんに腕を回して
強引に連れて行った。
 
 
♡)んんっ、もう〜〜
  なぁにーー!
臣)うるせー。
  鈍子は黙ってついてこい。
  飯行くぞ。
♡)鈍子ってなにーー!!
臣)お前以外誰がいんだよ。
  鈍臭いから鈍子だろ。
♡)ひどい!!
健)ドン子って…♡ちゃんにぴったりやんw
♡)ガーン!!
  健二郎くんまで…!
隆)あははははw
健)ほーら、岩ちゃん行くで〜〜
岩)うん。
 
 
それから店まで歩いてると
健二郎さんがボソッと呟いた。
 
 
健)いやーー、俺もさ…、
岩)……
健)初めて会うた時、思ってん。
岩)え?
健)臣の好きな子やなかったら
  多分俺、好きんなってたなーって。
岩)え…っ
健)危なかったわーーw
 
 
冗談めかしてそう言うと、
健二郎さんは二カッと笑って
俺の背中をバシバシ叩いた。
 
 
岩)……
 
 
臣さんの好きな子じゃ…
なかったら……、か。
 
 
臣)そーいやお前今日、会社の飲み会は?
♡)あ、うん、断ってきたー。
隆)え、大丈夫なの?
♡)全然大丈夫だよーー
  いつものメンバーだし。
  それより何より
  私は早くお金を返したくて…
健)ははははw
臣)お、酒来た。
♡)わーい!
健)じゃあ何に乾杯しますーー?
隆)せっかく♡ちゃんいるし、
  あれじゃない?
健)え?
隆)二人が無事、付き合えた記念?
 
健(それ言うなら初H記念ちゃうの?w)
隆(ちょ、健ちゃんw)
健(そっちの方がタイムリーやんw)
隆(想像しちゃうじゃん、やめてよw)
 
臣)おーーーいーーーー
隆)わっ!!
臣)やめろ//
隆)えっ!!聞こえた?w
臣)聞こえてねぇけどわかるわ!w
隆)あ、ごめんごめんw
臣)じゃあ健ちゃん彼女出来ておめでとーー
  カンパーイ。
♡)え、え、え、……あ、乾杯!!
健)勝手に乾杯すんなやー!!
隆)あははははw
♡)健二郎くん彼女出来たの?
健)おん。
♡)おめでとーー♡♡
健)どうも…//
  …ってなんか♡ちゃんに言われると
  照れんなw
岩)……
 
 
それから料理が運ばれてくると
♡ちゃんが自然と取り分けてくれて。
 
 
あ…、
ちゃんと健二郎さんから配ってる。
 
この子…
おっちょこちょいなのに
そーゆーのちゃんと見てるんだ…。
 
 
♡)はい、岩ちゃん♡
岩)ありがとう。
♡)はい、臣くん♡
臣)あーー!!
  お前ピーマン入れたな!
♡)はっ!バレた…
臣)えい。
♡)じゃあえいっ。
臣)グリーンピース入れんな!w
♡)ピーマン引き取ったんだから
  食べてよぉー!
臣)こんなん他のに適当に入れりゃー
  良かっただろ!
♡)だってね、最後にひょっこりいたの。
臣)くそーー姿を隠してやがったか。
♡)そう!憎いでしょ!
臣)うん。
 
 
並んで座ってる臣さんと♡ちゃんは
なんだか楽しそうで。
 
「ほんと仲良いねw」
なんて、隆二さんが笑った。
 
 
健)いや〜〜でも
  ♡ちゃんがあんな大手で働いてるとは
  知らんかったわ〜
♡)え?
健)あ、さっき名刺見てん。
♡)ああ!
隆)なんかカッコイイよねーー
♡)えへへー//
臣)普段は鈍臭ぇけどな。
♡)ちょっとーー!
健)たしかに。
♡)えーー!!
健)まぁ大手と言えば
  うちの末っ子もなぁ、
  もしかしたらサントリーで
  働いてたかもしれんやんなw
♡)え!サントリー?
岩)うん。
隆)それ蹴って三代目来たんだもんね。
♡)そうだったんだー!
  でも……良かったなぁ♡
岩)え?
♡)蹴ってくれてーー♡
隆)え?
♡)だってそうじゃなきゃ
  岩ちゃんは三代目に
  いなかったってことでしょ?
岩)…うん。
♡)そんなの三代目じゃないもんっ
岩)……
♡)だから岩ちゃんが今の道を選んでくれて
  ほんとに良かったっ♡
岩)……
♡)ねっ♡♡
岩)……///
健)♡ちゃんは三代目のファンなんです。
岩)あ、そうなの?
♡)うんっ!大好きだよ♡
岩)////
 
 
そう言って笑うその笑顔に、
深い意味なんてないのに…
 
すごく無邪気で、可愛くて。
 
 
健)そのうちサントリーから
  CMオファー来たりしたら
  おもろいのになーー
臣)何それw
健)「君はあの時の岩田くん!!」
  とかなってさーー
隆)その再会ヤバいねw
岩)いや、人事と広報は別だと思うけどw
健)ああ、そっか!!
♡)サントリーのCMかぁ…
  ウーロン茶とか??
健)お茶より酒やろー!w
  ビールとか!
臣)いいねーーw
隆)まぁあんな大手から
  オファー来ないと思うけどw
臣)わかんねーじゃん、そんなん。
隆)え?
臣)来るぐらいになってやろーよ。
  俺とお前でー♡
隆)えっ
 
 
臣さんがふざけたノリで
隆二さんのグラスを鳴らした。
 
 
隆)なるーー!!!
臣)はははw
健)お前はほんま素直なやっちゃなーw
隆)臣とサントリーのCM出るー!
健)俺らも入れてぇやw
  なぁ?岩ちゃん!
 
 
健二郎さんが
俺と隆二さんの肩を組んできた。
 
 
♡)じゃあ私も出るー!♡
臣)なんでやねん!w
  何役で!w
♡)んーーと…
  ビール注ぐ人??
隆)何それ!w
♡)私ビール注ぐの上手だもん♡
臣)何それ、初耳w
♡)ちゃんと泡のバランスが
  絶妙なんだからー♡
臣)ああ、前やってたの?
♡)うんっ♡
臣)ふーんw
岩)……
 
 
♡ちゃんの顔を覗き込む臣さんの目が
すごく優しい。
 
 
♡)でもね…
  ワイン開けるのは苦手なの…
臣)へ?
♡)いつもコルク砕いちゃって…
臣)致命的やんw
♡)もうワインに触るの禁止令が出た…
臣)ぶはっw
隆)♡ちゃん飲食店で働いてたの?
♡)うんっ!
隆)へ〜〜〜♪
健)ああ、せやから料理上手なん?
♡)え?
健)弁当美味かったもんなぁ?
隆)ああ、勝手に食ったやつねw
♡)えっ!!
臣)前言ったじゃん、食われたってw
♡)ああ!あの時の!
健)臣がほんまケチやからさ〜〜
  食うなって怒んねん。
隆)あはははw
健)こんなケチな男でほんまにええんかー?
臣)おいw
♡)あははは♡
隆)でも♡ちゃんは
  ほんと料理上手だもんね。
♡)え?
隆)あの時はごちそうさまでした。
♡)ああ!
健)せや。
  お前作ってもろたんやもな。
隆)うん!
  ほんと美味しかった。
♡)えへへ♡ありがとー♡
 
 
嬉しそうに笑った♡ちゃんが
こっちを見た。
 
 
♡)岩ちゃん、おかわりいる?
岩)え?
♡)飲みものー♡
岩)…ああ、うん。同じの…
♡)すみませーん!
  レモンサワーください♡
店)かしこまりましたー!
岩)……
 
 
俺のグラスなんて、見てくれてたんだ…。
 
 
健)なぁなぁ、今日さぁ、
  最初は岩ちゃんってわからんかったん??
♡)うん!全然気付かなかったの!
  サングラスしてたし…
健)そうなんやーー
♡)でもね、レジで助けてくれて
  話してみたらイメージ通りで
  すっごく優しかった♡
健)ほーーー
♡)岩ちゃんすごく話しやすいし…
健)話しやすさナンバー1で言うたら
  俺やろ!!
隆)あははは、自分で!!w
♡)健二郎くんは
  最初ちょっとだけ怖かった…
健)え!!嘘やん!!
臣)怖かったの?!w
♡)ちょっとだけ…
  私が怪しかったせいだと思うけど…
健)ガーーーン!!
  健ちゃんショック…
隆)話しやすいどころか怖がられてるしw
健)なんでやねーーーん!
♡)あ、でもね、
  痛いの痛いのとんでけ
  してくれたあたりから
  すっごく優しくていい人だなって
  思ったよーー♡
臣)へ??
隆)……
岩)……
臣)……
岩)痛いの痛いの…
隆)とんでけ…?
♡)うんっ♡
健)……////
 
 
元気よく頷く♡ちゃんと、
真っ赤になる健二郎さん。
 
 
隆)わははははっww
  健ちゃん、そんなんしたの?w
  やーべーーww
岩)あははははww
隆)めっちゃウケる!!ww
健)うるさいな〜〜///
  ♡ちゃんが鈍臭いからやろ!!///
 
 
隆二さんがからかうように、
健二郎さんの肩に手を置いた。
 
 
隆)痛いの痛いのとんでけ〜〜w
健)やかましいわっ!w
岩)あはははっww
 
 
みんなで笑ってると、
いつも通り楽しくて…。
 
 
健二郎さんが
いつものように面白い話をして
盛り上げてくれて
 
隆二さんは楽しそうに爆笑してて
 
♡ちゃんと臣さんも、いっぱい笑ってる。
 
 
岩)……
 
 
♡ちゃんは…
 
すごく明るく
太陽みたいに笑う子だなって
そう思ったけど…
 
その笑顔に惹かれたけど…
 
 
臣さんの隣で
俺が見たその笑顔より
何倍も幸せそうな顔をして笑う姿を見て、
 
なんだかあったかい気持ちになった。
 
 
♡ちゃんと臣さんは…
別にイチャイチャしてるわけじゃないのに
なんともいえない空気を醸し出す。
 
 
お互い話してる時に
お互いを見る目が
「好きだ」って言ってる…。
 
 
さっきは
全然イメージできないなんて
思ってたのに
 
こうして見ると
信じられないほどお似合いで。
 
 
ああ…
 
好き…なんだなぁ…
 
 
この子が、臣さんが好きになった子。
 
 
うん。
 
 
臣さんが好きになったのが…
臣さんを好きになってくれたのが…
この子で良かった。
 
そう思える。
 
 
だって俺は…
臣さんがすげぇ好きだから。
 
 
 
隆)ほい、岩ちゃん。飲んでる?
岩)うん。ありがと。
 
臣)ちょ、わり。電話出てくるわ。
♡)あ、うん。
 
 
臣さんが席を立つと
健二郎さんがニヤニヤしながら
♡ちゃんに聞いた。
 
 
健)どうなんーー?
  ラブラブ生活は。
♡)えっ!///
隆)まだ1ヶ月くらいしか
  経ってないもんねーー
♡)……///
健)臣が変態で嫌になったりしてへん?
♡)えっ!臣くん、変態なの?!
健)ぶははっっww
  うん、むっちゃ変態やで。
隆)かなりの変態だよね。
岩)ド変態だよ。
♡)えーーー!!!
健)変態やったら別れる?w
♡)え!!!
  ……別れ…ない///
健)変態でもええん?w
♡)やだ。
隆)やなんだ!!ww
♡)やだけど…でも…
  臣くんは大好きだもん///
健)……
 
 
♡ちゃんは
恥ずかしそうに嬉しそうに
自分のほっぺを両手で隠した。
 
 
隆)大好きなの?w
♡)うん…///
岩)……
♡)すっごくすっごく大好き…♡♡
健)……
隆)……
岩)……
 
 
あまりに可愛く呟くから
俺たち3人が言葉を失ってると、
 
本人が戻ってきた。
 
 
臣)ごめんごめん。
隆)…あ、おかえり。
臣)あれ?お前なんか顔赤くね?
  また酔っぱらいか?
♡)違うもんっ!///
臣)飲みすぎんなよー?
♡)大丈夫だもんっ
臣)あっそーーw
 
 
思わず顔を見合わせる俺たち。
 
 
健)今日ここ臣持ちでーー
隆)うん。ごちーー
臣)は!?急に何!!
健)幸せモンなんやからええやろーーー
岩)ごちそうさま。
臣)え、ちょ、待ってよ!!
♡)え?え?え?
健)俺いっつも出してるしーーー♪
臣)うん…確かに…、ありがとう。
隆)あはははw
臣)わかったよーーー
  すいません、会計お願いします。
♡)え、え、私出すよ!
臣)なんでお前だけが出すんだよw
  いらんわw
♡)え、え、だって…
臣)いーーーのっ
 
 
結局ほんとに臣さんにご馳走になって。
店を出た。
 
 
臣)じゃあお疲れーー
隆)おう、お疲れ。
健)じゃあ明日。
岩)お疲れさま。
健)♡ちゃん、また一緒に飲もうなー
♡)うんっ!!
隆)俺もーー!またね。
♡)うんっ!!
岩)……
♡)岩ちゃん、今日はありがとね!
岩)うん。
♡)それじゃあ…またね♡
岩)うん、また…
臣)お疲れーー
岩)お疲れさま。
 
 
そのまま向かい側に渡って
タクシーに乗ろうとすると、
後ろからバタバタと足音が聞こえてきた。
 
 
♡)岩ちゃんっっ!!
 
 
え??
 
 
♡)はぁ、はぁ、良かった…っ
  間に合った…!
岩)どうしたの?
♡)あのね、お金、忘れてたっ!
岩)お金???
  もらったよ…?
♡)違うの!ランチの、お金…っ
岩)え…??
♡)出してくれたでしょ?
岩)…ああ!!
♡)えっと…
 
 
慌てて財布を出そうとする♡ちゃん。
 
 
岩)いいよw
♡)え??
岩)あれは、いいって。
 
 
財布を出そうとする
♡ちゃんの手をおさえた。
 
 
♡)でも…
岩)あれくらい、ごちそうさせてよw
♡)……
岩)ね?
♡)いいの…?
岩)うん。
♡)ほんとに…?
岩)うん。
♡)…ありがとう//
岩)うんw
♡)ごちそうさまでした♡
岩)うん。
♡)本当にありがとっ♡♡
岩)うんw
 
 
この笑顔が見られただけで
それだけでいい。
 
 
岩)ほら、臣さん待ってるよ。
  もう行きな?
♡)あ、うん。
  ありがとう!!
  それじゃ…
岩)うん。
 
 
パタパタパタ…
 
 
臣さんの元へかけよっていく
♡ちゃんの後ろ姿を見守ってると
向こう側で臣さんが俺に手を上げた。
 
 
俺も手を上げて、
そのままタクシーに乗り込む。
 
 
運)どちらまで?
岩)△△までお願いします。
運)かしこまりました。
 
 
車が走り出して、
街の景色が少しずつ流れていく。
 
 
岩)……
 
 
運命だと…
思ったんだけどなぁ……
 
 
俺の運命の相手は、
違う人だったってことだよな…。
 
 
 
俺は
臣さんが大好きだ。
 
 
だから…
 
 
こんな気持ちは
夢だったと思って
 
次会う時には忘れていよう。
 
 
 
今日だけの…
 
 
__たった一日だけの、俺の恋心。
 
 
 
 
 
ーendー

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