テラハの収録の後、
雑誌の撮影も終わらせて
マネージャーに送ってもらったけど
家に何も飲み物がなかったのを思い出して
俺はコンビニに向かった。
この道、昨日通ったな。
あの子今頃何してんだろ…
偶然通ったりしねぇかな…
会いたいな。
てか昨日のアレ、どう思ってんだろ。
酒も入ってたし
トリちゃんが言ってたみたいに…
いい加減な男だと思われたかな。
てゆーかなんか…
ほんとに昨日一緒にいたのか?
なんか…
あの笑顔とか…声とか…
夢だった気がしてくる…
臣)……
俺がそんなことを
ぼんやり考えながら歩いてると
コンビニから出てくる
♡の姿が見えた。
臣)…っ
え!!
うそ!!!
本物?!!!
え?!!!
臣)♡!!!
俺は慌てて名前を呼んだ。
♡)???
わ!!臣くん?!!
振り返ったのは、間違いなく本人で。
本物だ…
すげぇ!
何この偶然!!
会いたいと思ってたら
本当に会えたし!!
マジかよ!!!
♡)え!え!どうしたの???
臣)コンビニ来た。
♡)わ!わ!すっごい偶然だね!!
臣)ほんとびっくりした。
♡は…
昨日とはまた雰囲気違う格好してるけど…
今日のワンピースも可愛いな…
♡)びっくりしたぁ~~!
臣)♡は何してんの?
♡)私、雑誌買ってた。
臣)なんでここのコンビニ??
遠くない??
♡)あ、今日飲み会だったから
そこの駅で降りて
また歩こうかなって思って。
臣)今日も雨上がりだし?
♡)あはは♡うん♡
空気キレイでしょ?
臣)キレイだけど…
♡)臣くんはお仕事帰り?
臣)あ、うん。
♡が俺のバッグと花束に目をやった。
♡)お花…?
臣)あ、撮影でもらったやつ。
♡)いいなーー♡
臣)え、いる?
♡)え!!いいの??
臣)全然いいよ。
♡)ほんとに!?
やったぁぁ♡♡♡
臣)はい。
♡)わぁぁ♡♡
本当にありがとう~♡♡
わ…
花を受け取って
彼女が笑った瞬間…
一気に気持ちが持ってかれた。
♡)私、お花大好きなの♡♡
臣)そう…なんだ…
あ、そっか、LINEのアイコンも
花だもんね。
♡)うん♡そう♡
お花あるとなんかHAPPYになれるから
たまに自分でも買うよー♪
臣)へぇ!
♡)えへへ♡
こんな小さな花束で
こんなに笑ってくれるんだ…
♡)誕生日とかじゃないのに
お花もらっちゃったー♡♡
臣)あ、誕生日いつなの?
♡)終わったばっかりだよー♡
今月の11日だったの。
臣)え!!マジ??
めっちゃ最近じゃん。
♡)うん♡
あ!じゃあ…
これは勝手に誕生日だから
もらえたことにしよー♡
臣)えっ…
♡)え…ダメ?
臣)誕生日ならもっとちゃんとしたやつ
あげたいけど…
♡)え!!
そんなん撮影でもらったやつだし。
♡)このお花、十分キレイだよ?
イイ匂いだし♡♡
そう言って目を閉じると
♡は幸せそうに微笑んだ。
♡)本当にありがとう♡♡
臣)……うん。
こんな笑顔が見れるなら
いくらでも花をプレゼントしたいって
そう思う。
今日花持ってて良かった、俺!!
♡)えっと…、じゃあね?
臣)え、待って!
なんで…っ
臣)送る!
♡)え?
せっかく会えたのに…!
♡)臣くん何か買いに来たんじゃないの?
臣)あ!そうだった!
えっと…、待って!
じゃあ一瞬で買ってくっから待ってて!
♡)…うん。
こんな奇跡的に会えたのに
このまま別れるとか絶対ないし!
俺が急いで飲み物を買ってドアを開けると、
♡は店の前で
幸せそうに花束を抱えながら
待っててくれてた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
臣)ごめん、お待たせ。
♡)ううん。
臣)じゃあ行こっか。
♡)うん。
そう言うと臣くんは
昨日と同じ道を歩き出した。
いくら家が近いからって
こんなタイミングでバッタリ会うなんて…
すごいなぁ…
本当にびっくりしちゃった。
臣)♡は今日は会社だったんだっけ?
♡)あ、うん!そうです!!
臣)ははっw
なんでいきなり敬語w
♡)あ!わ!ごめんなさい!!
臣)まだ敬語だしww
♡)あわわっ
臣)あはははw
ってゆーか…
さっきも気になったけど…
臣くんが♡って呼んでくる…。
昨日は「♡ちゃん」だったのに…
いきなりどうしてだろう…
ドキドキするからやめてほしい///
ってゆーか…
昨日の…
いくら考えても
よくわからないんだけど
臣くん…
どういうつもりだったんだろう…
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
俺が斜め後ろを振り向くと
♡とバチッと目が合った。
それからもしばらく
俺のことを見てるような視線を感じて…
なんか…
これは…
あれだよな…
昨日のあれは何だったの的な
そんな雰囲気が漂ってる…。
どうしよっかな…
臣)……
しばらくお互い無言で歩いてると
LINEの音が鳴った。
ピロピロ♪ピロピロ♪
♡)あ…
臣)あ。
開いてみると
昨日のLINEグループに
賢司がメッセージを送ってきてて…
賢『かっけーしょ!!』
写真を開くと
俺が昨日プレゼントした服を
上下で着てた。
臣)あははw
♡)わ!賢司くんの服カッコイイー!♡
♡『カッコイイね!💕』
賢『でしょー😊🎵』
さ『急に何の自慢?笑』
賢『見せびらかしたくなった笑』
さ『何それ!』
♡『新しい服なの??』
賢『昨日広臣にもらったやつ!✨』
♡)え!臣くんがあげたの?
臣)うん、誕生日プレゼントに。
♡)あ、そっか!
賢司くんもこの間だったもんね!
臣)二人、近いんだね。
♡)うん。
この間一緒にみんなに
お祝いしてもらったの♡
臣)そうなんだ。
臣『とってもお似合いで✨』
さ『さすが臣くん、センスいいね!』
賢『ほんとありがと!』
臣『おう。』
さ『私の誕生日、11月です💕』
♡)あはは!さくちゃん…!!w
臣)なんかリクエストされてる…w
臣『りょ。』
さ『わーい🎵🎵』
賢『さくちゃん、
どこまでもさくちゃんやな笑』
さ『てへ💕』
臣)11月かー、まだまだだなー
♡)そうだねーw
臣)てゆーか
今俺ら一緒にいるとか
絶対思ってないよなw
♡)あ!そっか!そうだよね!
あはははw
♡『今臣くんと一緒だよー🎵』
さ『えっ!!?』
賢『??』
♡『偶然バッタリ遭遇しました(๑^ ^๑)/』
さ『え!すご!』
♡がそう送ると
賢司からすかさず個人LINEが来た。
賢『え、ほんとに偶然?』
臣『うん。』
賢『ほんとに?!』
臣『ほんとだって!
別に俺ストーカーしてねーぞ!笑』
賢『すげーな!!運命じゃない?笑』
臣『なんだよそれ笑』
賢『昨日どうだったの?』
♡)臣くんがめっちゃLINE鳴ってるー
臣)え?あ!ごめん!
♡)あ、うん、全然いいけど…
臣『またあとで。』
賢『え!何それ!』
個人LINEを一旦終わらせると
グループLINEの方に
賢司からメッセージが来た。
賢『すごい偶然だねー。』
♡『びっくりしたよー笑』
さ『ツーショット送ってー』
臣『なんでだよ!笑』
さ『折角の偶然記念に🎵』
賢『送ってー🎵』
臣)なんだこれw
♡)悪ノリしてるw
臣)もうほっとこ。
♡)あはははww
携帯をポッケに入れて
また二人で歩いてると
すぐに俺の家に着いて…
♡が立ち止まった。
臣)どうした?
♡)えっと…、今日はここで大丈夫。
臣)え?
♡)あとは一人で帰れるから。
臣)なんで?
♡)え…っ
臣)送るって。
♡)ううん、大丈夫。
臣)送りたい。
♡)え?
♡が…
真っ直ぐに俺の目を見てくる。
♡)どうして?
臣)……
どうして…って…
まだ一緒にいたいから。
♡)私が転びそうだから?
臣)え?
♡)どこかに落ちそうだから?
臣)ぷっww
なんかすねた顔してる。
何だよそれw
臣)そんなに鈍臭くないんでしょ?w
♡)そうだよ!
またほっぺ膨らましてるしw
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
臣)ほら、帰るよ。
♡)えっ…
そう言って臣くんは
またそのまま歩き出した。
♡)待ってー
臣)なーにー
今日も…送ってくれるの…?
臣)迷惑?
♡)えっ!!
臣くんが…振り向いた。
♡)全然迷惑じゃない!!…けど…
臣)けど?
♡)…臣くんは…
いっつもそんな…紳士的なの?
臣)はい??
昨日も…
さりげなく車道側を歩いてくれたり…
遠いのにうちまで送ってくれたり…
♡)いつもそんな優しいのかなって…
臣)え、誰にでもって意味?
♡)えっ…、あ、えっと…
臣)こんな暗いのに女一人で帰らせたりは
しないけど。
♡)…そっか……
臣)ん。
そう言って
また斜め前を歩く臣くん。
そっか…
じゃあ暗かったら
誰でも送ってあげるのかな…
臣)誰でもじゃないから。
♡)えっ!!
な、何!?
心読まれた?!!
♡)何…が…??
臣)普段から別に…
誰にでも優しくするわけじゃない。
♡)…っ
臣)……
そう…なんだ…
えっと…
どういう意味だろ…。
♡)……
私が戸惑ってると…
臣くんが振り返って、顔を覗いてきた。
わ…っ
顔が…近い…//
臣)あのさ…、
♡)…はい!!
臣)……
♡)……
真っ直ぐに私を見つめる、臣くんの瞳。
♡)なぁに?
臣)……
♡)……
え…なんだろう…
何か言いたそうなんだけど…
♡)…っ
そんな真っ直ぐ見ないでほしい…
ううう…///
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
昨日の話をしたかったんだけど…
なんて切り出したらいいかわかんなくて…
じっと♡を見てると…
♡)あんまり…見ないで…///
そう言って、
♡は持ってた花で自分の顔を隠した。
臣)え……
俺…また…そんなに見てた?
臣)ごめん。
♡)……///
臣)なんで隠れんの?
♡)…っ
俺が花をよけると、
♡は恥ずかしそうに横を向いて…
臣)……
♡)……///
なんで、こっち見ねぇの?
何この反応……
可愛いんだけど…///
臣)あの…さ…、
♡)……うん。
臣)……
♡)……
俺が話し始めようとすると
ようやくこっちを向いた瞳。
俺をじっと見つめてくる♡の瞳が…
昨日と同じようにすごく綺麗で。
俺は気付いたらその瞳に吸い込まれるように…
♡の髪に触れていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
突然、髪に触れた…臣くんの手。
♡)え!!何?!!///
臣)え?あ、わ!!ごめん!!!
びっくりしてる私と同じように
臣くんも驚いてる。
♡)……///
臣)えっと…ほんとにごめん!///
急に…なんだったの…?
臣)気付いたら触ってた。
♡)え!???
臣)ごめん!!
そう言うと臣くんはまた前を向いて
歩き出した。
♡)…っ
び、びっくりした…///
どうしてだろう…
なんか今日は…よくわかんないけど
ドキドキする…///
なんで…?
あんまり…
臣くんの顔が見れない。
♡)……
臣くん…
さっき何て…言いかけたの…?
臣くんはもうこっちを向いてくれなくて…
そのまま斜め後ろを歩いてるうちに
すぐに私の家に着いちゃった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あっという間に辿り着いた、♡の家。
臣)えっと…
♡)ありがとう…
臣)ああ、うん。
♡)……
臣)……
ちゃんと、言わなきゃ…。
臣)あの…さ…、
♡)うん。
臣)……
♡)……
臣)昨日の…あれ。
取り消していい?
♡)え?
俺の言葉に、少し驚いたように
♡が俺を見上げた。
臣)ごめん、いきなりあんなこと言って。
♡)……
ちゃんと好きになって欲しいから…
もっと♡のこと知りたいし
もっと俺のこと知ってもらってから
ちゃんと好きだって言いたい。
臣)びっくり…したよね。
♡)…うん。
臣)ほんとごめん。
♡)…うん。
臣)忘れて下さい。
♡)……
絶対困らせたと思うから…
臣)……
♡)気の迷いだった?
臣)はい??
気の…迷い…?
臣)え!違う!!
気の迷いなんかじゃない!
♡)え…っ
臣)そうじゃなくて…
そんな誤解はしてほしくない。
臣)間違えた。
♡)え?
臣)間違えたなって。
♡)間違えたの??
臣)うん。ごめん。
いきなり出会ったその日に
言うようなことじゃなかったし…
完全に言うタイミング間違えたし。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
昨日のことは…
気の迷いとかではないけど、
間違えた、って…言われた。
臣)だから…
サッカー行く約束もしてるけど…
それ以外でも…
♡)……
臣)これからも普通に会ってくれる?
♡)……
普通…に…??
あ!
そっか!
わかった…!
友達でいたいって意味なのかな?
なのに間違えて
「付き合って」って言っちゃったって
ことなのかな?
よくわかんないけど…
でも忘れて下さいって言われたし…
臣くんがそう言うんだから
忘れよう!
だから…
これからは友達として
よろしくって意味だよね?
そっか!!!
♡)うん!!
臣)いいの?
♡)よろしくお願いします♡
臣)…っ
♡)良かった…♡
臣)え?
なんか…よくわかんないけど
臣くんに謎にドキドキしちゃってたから
友達でいようって言ってくれて
ほっとした♡♡
良かったぁ♡♡
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
♡)えへへ♡
臣)??
なんでいきなりニコニコしてんだろ…
ちゃんと伝わったのかな…
♡)お花、本当にありがとう♡
臣)あ、うん。
♡)リビングに飾ろうっと♡
そう言って、
♡はハッとして俺を見た。
♡)今、花瓶ないんだった…!
臣)そうなの?
♡)この間…割っちゃって…
臣)ぷっ!ww
♡)え…っ
それも割ったのかよ…w
臣)家でもおっちょこちょいなんだww
♡)ちょっとぉ!///
臣)だって…ぶくくくww
♡)もう~~~
バカにして~~///
♡がほっぺを膨らませて
また俺の腕を押してきた。
臣)はいはい、すいませんw
♡)ぷん。
ぷんだって!
何それ!!w
かわいーなーほんとww
♡)じゃあ…
送ってくれてありがとう♡
臣)ん。
♡)おやすみなさい♡
臣)おやすみ。
♡はニコニコ笑って
マンションに入っていった。
あ~~~
今日奇跡的に会えてマジ良かった!!
昨日の弁解も出来たし…
あんな笑顔も見れたし…
は~~~
俺持ってんな~~~
あーー良かった!!♡
……
…
俺が家に着く頃、またLINEが鳴った。
あ、そういや賢司のこと忘れてた。
LINEを開くと
4人の方に♡が送ってきてて…
『臣くんお花ありがとー♡』
写真を開くと、
さっきの花をペットボトルに挿してる。
『花瓶なくてごめんなさい。』
臣)ぷっww
さ『え!!何このお花!!
臣くんがあげたの?💐』
賢『おおお!』
♡『臣くんにもらったもの
自慢シリーズに便乗しちゃった笑』
賢『あはは笑
これシリーズ化になったの?笑』
さ『あたしも早く参戦したい🎵』
賢『とか言ってプレゼントの
催促っていう…笑』
さ『そんなんじゃないよ!笑』
賢『てゆーか広臣起きてる?』
さ『おーい!』
やべぇ、次々LINEくる!w
てゆーか…
この花…撮影でもらっただけだし…
こんな喜ばれると逆に申し訳ない。
やっぱちゃんとあげたいな…
臣『おやすみなさーい💤』
賢『え!!!』
さ『早!!寝るんかい!!』
♡『あはは笑
おやすみなさーい💕』
俺が軽く会話をスルーすると
今度は賢司からまた個人LINEが来た。
賢『何いきなり花とかあげてんの!
やらし~~😙』
臣『ちげーし!!』
賢『ちがわねーじゃん!笑』
臣『撮影でもらった花!
花好きだって言うからあげただけ!』
賢『ふ~~~~~ん🎵』
臣『なんだよ。』
賢『なんかいいカンジね?君たち💕』
臣『おやすみ。』
賢『うわ!出た!すぐ寝る!!笑』
俺はそのままiPhoneをソファーに投げて
シャワーに入った。
ーendー
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