奪い合い 〜short story〜

スポンサーリンク
スポンサーリンク

(NAOTO Side)

 

岩)腹減ったーーー
  NAOTOさん、飲み行きません?
N)あ、俺今からシンジと合流。
E)シンジさん?俺も行きたいっす♪
N)お、じゃあELLYも行こうよ。
岩)えー!俺も俺もーーー!
N)おう。

 

仕事終わり。
岩ちゃんとELLYと一緒に事務所を出た。

 

N)俺も腹減ったなーーー
岩)シンジさんどこで飲んでんすか?
N)麻布。
岩)一人で?
N)いや、友達といるみたい。
E)あ、そうなんすか?
N)うん。

 

「久々に飲もうぜ」なんて言うから
一人で暇してんのかと思ったら

「今、友達と飲んでるからお前も来いよ」って。

 

岩)可愛い子だといいな〜♡
N)いや、男だろw
岩)えー!そうなんすか?

 

明らかにガッカリ顔の岩ちゃん。

 

N)いや、聞いてないけど、男じゃね?w
岩)美女求むーー!!
E)俺もーー!!w

 

なんて。

二人の祈りが通じたのか。

 

店の一番奥の個室に案内されると
そこにシンジと一緒にいたのは…

 

N)…っ

 

どっからどう見ても、綺麗なお姉さん。

見て思わず固まる、っていう。

 

N)////

 

え…、なんで?

なんでシンジがこんな美女と二人でいんの?

誰???

 

頭の中が一気にぐるぐるするけど、
緊張で言葉が出てこない。

 

シ)おう、早く座れよ。
N)…っ、…ああ。

 

向かい合って座ってる、シンジと美女。

どっちに行くか迷うけど…

隣だと顔をマジマジ見れないから、
俺はシンジの隣へ。

 

その隙に美女の横に滑り込む、子犬・岩田。

 

岩)初めまして♡

 

テッパンの笑顔で、ご挨拶。

 

N)…っ

 

くそ、先手打たれた。

 

なんて思ったけど…

 

〇)初めまして♡

 

にっこり返す美女は、もしかして…

 

シ)あ、三代目知らない?
〇)え?
シ)この3人。
〇)えっと…

 

「???」顔の美女。

マジか。

 

〇)名前は…聞いたことあるかな?

 

「かな?」って、疑問系なわけねw

 

岩)えーーーマジっすか?
  俺、結構最近頑張ってるんすけど…

 

「俺たち」じゃなくて
「俺」だけアピールする岩ちゃん。

完全にロックオンしてると見える。

 

岩)ほんとに知らない?

 

ほら。

わざと可愛い笑顔を作って
美女を覗き込む。

ずりーなーーー

 

でも、美女はそんなイケメン岩ちゃんに
うろたえるでも、照れるでもなく、

 

〇)ふふっ、今覚えました♡

 

なんて、大人な返し。

 

岩)////

 

そんな笑顔に、岩ちゃんマジ照れ。

 

シ)よっし、じゃあ乾杯しよーぜーー

 

俺たちが頼んだ飲み物が来たところで
5人で乾杯。

 

E)ぷはーーっ!うめぇ〜〜っ!

 

豪快に流し込むELLY。

 

E)いやぁ、でも…
  マジで美人っすね…///

 

岩ちゃん越しに美女を見て、
ELLYも頬を染めてる。

 

N)お前いつの間にこんな美女と
  お知り合いになったわけ?
シ)えーーー?w

 

隣のシンジはニコニコ笑ってる。

 

シ)可愛いでしょ、〇〇ちゃん。
  俺のお客さんの中でもトップクラス♡

 

美容師をやってるシンジの店には
普通に芸能人も来たりする。

でも…

「トップクラス」か。

うん。

その辺の芸能人より全然キレイだしな。

 

名前は〇〇ちゃんね?
ふーーん。

 

N)ほんと綺麗だよね。

 

なんてサラリと言って。

 

さっきから「美女」だとか「綺麗」だとか
さりげなく褒めてるんだけど…

と、彼女の反応を窺えば

 

〇)ありがとうございます。

 

そう言ってニッコリ微笑むだけ。

 

N)……

 

言われ慣れてんな、コレ。

 

でも…嫌味な感じじゃなくて…
やっぱりどうしても目が追ってしまうくらい
本当に綺麗。

 

岩)〇〇ちゃんは三代目に興味ないんだよね?

 

あああ!!
こいつ、もう馴れ馴れしく
名前で呼んでやがる!

 

〇)えっと…
岩)今度LIVE来てよ♡
〇)え?
岩)〇〇ちゃんに、見て欲しい♡
〇)……

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

(剛典Side)

 

なぜか黙ってしまった彼女に
シンジさんが助け舟を出した。

 

シ)まずは自己紹介した方がいいかもw
岩)えっ!!!そこからー??w

 

名前も知らないの?マジ?

 

ガックリ肩を落とすけど…

そんなんで凹んでらんない。

 

岩)俺、岩田剛典。
  「岩ちゃん」って呼ばれてる。
〇)岩ちゃん?
岩)うん。

 

あ、でも…

 

岩)〇〇ちゃんは「剛典」って呼んで♡

 

なんて。

 

〇)剛典くん♡
岩)////

 

早速呼んでくれる彼女が
あまりに可愛くて…

心臓を撃ち抜かれた気分。

 

岩)〇〇ちゃんて…
  大人っぽくて美人なのに…
  笑うとすごく可愛いね?
〇)ふふ、ありがとう。
岩)////

 

あ〜〜〜〜〜

周りの女と反応違うーーー

余裕でかわされる〜〜〜

 

でも可愛い。
めっちゃ可愛い///

 

ただ見た目が綺麗なだけじゃなくて
なんか大人っぽい品の良さがあるし。

色っぽいのに笑うと可愛いとか
そのギャップもめちゃめちゃイイ。

 

E)俺、ELLYです。よろしく///

 

ほら、破天荒なELLYまで
照れてモジモジしちゃうくらい。

 

〇)ELLYくん、よろしくね♡

 

あーあ、隣キープしといて良かった。

 

だってさ、見てよ。

向かいのあの人、さっきから怖いんですけど。

 

俺が抜け駆け?して、グイグイ行くから
少し機嫌が悪そう。

 

〇)えっと…、

 

順番でいったらNAOTOさんなのに
全然自己紹介しようとしないから

彼女から促すと

 

N)NAOTO。

 

そう一言だけ答えた。

 

岩)……

 

ほんとずりぃ。

何そのオーラ。

 

なんか目がエロいっていうか、
まぁよく言えば色気があるんだけど…

完全に獲物を捕らえるような視線で
彼女を見てそう言った。

 

そのオーラに少し気圧されて

 

〇)……NAOTO…さん?

 

彼女がそう言うと、

 

N)NAOTOでいいよ、〇〇。
岩)!!!!!

 

あああああ!!!

ずりぃ!!!
ずりぃぃぃ〜〜〜!!!!

さらっと呼び捨てにするとか!!

 

しかもすぐに視線を外して
別に俺は気にしてません風!!

このカッコつけめ〜〜〜!!

 

〇)じゃあ…、NAOTO…さん。

 

彼女がそう言うと
NAOTOさんはようやく視線を上げて

 

N)NAOTOでいいってw

 

そう言って微笑んだ。

その色気たるや…

 

岩)……

 

これ、俺が女なら堕ちてる。

ずるすぎ。

 

シ)まぁ〇〇ちゃんの方が年上だしな。
E)え!!そうなんすか?!
  見えね〜〜〜!!
岩)……

 

予想はしてたけど、年上か。

手強いぞ、こりゃ。

 

E)確かに大人っぽいもんな〜〜///

 

なんてELLYが照れてると、

 

N)そう?
  笑うと無邪気でなんか可愛いけどね。

 

なんて、ツラッと言ってのけるNAOTOさん。

 

岩)〜〜〜〜っ

 

ずるい!!×100!!

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

(NAOTO Side)

 

岩)ねぇねぇ、〇〇はさ、何が好き?
N)……

 

さっきまで「〇〇ちゃん」なんて
呼んでたくせに。

俺に対抗してか、呼び捨てにし始めた。

 

〇)私は…
  エビとサーモンが好きかなぁ。
N)俺も海鮮めっちゃ好き。
〇)ふふっ、気が合うね♡
N)////

 

ニコッと微笑み返してくれる彼女は
本当に可愛い。

 

あああ〜〜〜
マジで何この美女。

 

今日来て良かったぁぁぁぁ!!

 

岩)じゃあ今度さ、美味しいエビ料理の店
  一緒に行こうよ♡

 

おい、そこでなんでお前が誘う。

今の流れ、どう考えても俺だろ!!

てゆーかお前、エビアレルギーだろ!!


〇)私、エビ料理のお店は
  ほとんど制覇してるよー?w

 

クスッと笑って返す彼女。

うん、手強い。

 

岩)えーーーー
  じゃあ逆にどこか連れてって♡

 

年下っていう武器を振りかざして
甘えてやがる。

 

N)魚介系が好きなの?肉は?

 

俺が割って入ると、

 

〇)お肉も好きだよー♡
N)////

 

「好き」って言われたのは肉なのに
あまりに可愛く笑うから

俺に言われたみたいな錯覚に陥る。

 

はぁ、幸せ///

 

N)肉料理も制覇してんの?
〇)ううん、それはさすがにw
N)じゃあ今度美味い店、連れてってやるよ。
〇)……ありがとう。

 

ちょっと強引に誘って、反応を見てみると

少し照れたように俯いた気がして…

 

N)////

 

俺、行けるかな?

もっと押せば、行ける?

 

ドキドキドキ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

(剛典Side)

 

ヤバいヤバいヤバい。

NAOTOさんに持ってかれる。

なんとか形勢逆転させないと。

 

岩)ね、顔少し赤いよ…?
  もう酔っちゃった?w

 

そんなのはただの口実で。

彼女の柔らかそうな頬に指を滑らせると…

 

〇)まだそんなに飲んでないんだけど…//

 

なんて言って、頬を染める彼女。

 

あああ〜〜
もっと触りてぇ〜〜〜〜

 

岩)酔ったら俺が送ってあげる♡

 

そう言って、彼女の膝の上にある手を
そっと握ると

 

N)岩ちゃん、触んな。
岩)…っ

 

テーブルの下なのに、なんで見えたわけ?
こわっ!!!

 

〇)////

 

え、ちょっと待って、何その反応。

 

それは、手を握ってる俺に対して?

それとも「触んな」って言ったNAOTOさんに対して?

 

〇)私、ちょっと……

 

そう言って彼女は席を立っちゃって…

 

岩)もう!なんで邪魔するんすか!!
N)するに決まってんだろ!!

 

お目当ての彼女がいなくなれば
野郎どもの本音が炸裂。

 

E)マジで美人だよね、ヤバ…///
岩)しかもすっげぇイイ匂いすんの♡
N)嗅ぐな!
岩)嗅ぐし!
シ)ぶくくくくww

 

ELLYもシンジさんも彼女いるから
敵はNAOTOさんだけ。

 

岩)俺、ガチでいきますんで。
N)はぁ?

 

そんな睨まれても、怯みません。
先輩だからって、譲れません。

 

N)わりぃけど、俺もガチだから。
岩)ふーーーん。
N)……
岩)……
シ)おいおい、ここで火花散らすなw
岩)俺、トイレ!

 

そう言って、個室を出た。

まぁ嘘だけど。

 

少しでもNAOTOさんと差をつけないとね。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

(〇〇Side)

 

ほんとだ。

少し顔、赤いかも。

 

トイレの鏡に映る、少し蒸気した顔。

 

〇)ふぅ…、

 

お酒はこのへんにしておこうかな。

 

リップを塗り直して、ポーチをしまう。

 

〇)……

 

剛典くんと、ELLYくんと、………NAOTO。

名前の復習。

 

剛典くんは、なんだか子犬っぽくて
笑顔が可愛らしい男の子。

さっき手を握られた時はドキッとしちゃったけど…

基本的にはニコニコ無邪気で可愛い。

 

ELLYくんはあまり喋らないよね?
ハーフなのかな?
なんか雰囲気がオシャレ。

 

そして…

……NAOTO、……は…

 

〇)////

 

ダメ。

呼び捨てにするの、やっぱり恥ずかしいな。

 

初対面の男の子を
すぐに呼び捨てで呼んだことないし。

 

でも…

 

「NAOTOでいいってw」

 

そう言ってた。

 

〇)////

 

気持ちを落ち着けるように息を吐いて、
廊下に出ると…

 

〇)…っ

 

壁にもたれるようにして
そこに立っていたのは。

 

〇)剛典…くん…

 

こんなところで、どうしたの?

 

岩)ん、…なんか…酔っちゃったみたい。
〇)大丈夫…?

 

側まで駆け寄ると、
ふわっとイイ匂いがして。

 

岩)んーー、、

 

壁と剛典くんに、挟まれる。

 

岩)ちょっと休ませて…
〇)…っ

 

そう言われて、

肩にあごを乗せられて。

 

〇)剛典…くん…?///

 

さすがの至近距離に、
胸の音が…うるさくなる。

 

岩)こうしてると…
  落ち着くかも…
〇)////

 

私は落ち着かないんだけど…

 

岩)〇〇の匂いかなぁ…?
  安心する。
〇)////

 

隙間がなくて、逃げ場がない私。

 

岩)……抱きしめても…いい?
〇)えっ……

 

その言葉を理解するより前に、
私は剛典くんの腕の中に…包まれていた。

 

ドキンッ

ドキンッ

 

〇)////

 

心臓がうるさい。

顔が熱い。

 

今、どういう状況なの?!

 

岩)はぁ、やっぱり…落ち着くな…///
〇)////

 

私をぎゅっと抱き締めたまま、
低く囁く剛典くん。

 

その声は、さっきまでの無邪気な彼とは違って…

 

岩)ね、〇〇……、
〇)…っ///

 

耳元で…

 

岩)今日、俺に送らせて…?
〇)////

 

そんな風に囁かれたら、
耳が心臓みたいになっちゃう。

 

なんて思ってたら…

 

ぺろっ…

 

〇)!!!

 

耳を、舐められた感触。

 

〇)…っ///

 

慌ててそこを押さえると、
剛典くんは腕を緩めて…

 

岩)……

 

ニヤッと笑って私を見下ろして、

 

岩)美味しそうだから、
  食べたくなっちゃった♡

 

なんて言った。

 

〇)////

 

こんなにドキドキさせられて、
どうしたらいいの?

 

岩)戻ろっか♡
〇)……うん///

 

なぜか手を繋がれて、

でもそれが嫌じゃない。

 

私、どうしちゃったの?

 

E)あ、戻って来たーーー!
シ)おせーよ岩ちゃんw
岩)すいませんw

 

部屋に戻ると、すぐに

視線が、突き刺さった。

 

N)……

 

NAOTO…、の……

鋭い視線が

繋がれてる私たちの手に。

 

〇)…っ

 

思わず離しそうになったけど、

それをぎゅっと掴んだまま、
席に座る剛典くん。

 

〇)////

 

すっかり手を離すタイミングを失った私は

なんだか恥ずかしくて、また下を向く。

 

だから。

 

彼がどんな表情でそれを言ったのかは
わからなかったけど…

 

今日の会話では聞いたことないくらい
冷たい声が、私の耳に届いた。

 

N)触るなって、言わなかったっけ?

 

怒ってるような冷ややかな声。

 

岩)はーい…、怖すぎNAOTOさんw

 

ようやく離れた、私たちの手。

 

恐る恐る顔を上げると…

 

N)何?酔ってんの?
〇)…っ

 

苛立ったような、彼の一言。

 

〇)えっと…

 

酔ってたのは…剛典くんで…

 

岩)そうそう。
  〇〇酔っちゃって、
  俺が連れて帰ってきたんです。

 

え…っ

 

思わず隣を見ると、
剛典くんが小さくウインクした。

 

〇)……///

 

そういうことに、しておくのかな?

なんて、ぼんやり思っていたら…

 

N)酔っ払ったら男と手ぇ繋ぐんだ。
〇)…っ

 

また、不機嫌そうな一言。

 

NAOTO…は、むすっと頬杖をついて
明後日を見てる。

 

〇)……

 

もしかして…

ヤキモチ、なのかな…?

 

…って、そんなわけないか。

今日会ったばかりで、そんな。

 

〇)……///

 

私、図々しいみたい。
恥ずかしい。

 

〇)マリブコーク、お代わり!///

 

もう飲まないって決めたのに、
結局頼んじゃった。

 

シ)じゃあさ、
  〇〇ちゃん、今度俺と一緒に
  三代目のLIVE行こっか♪
E)来てください!来てください!
岩)〇〇来るなら、
  俺はりきって踊っちゃうな〜〜♡
〇)////

 

隣の剛典くんは、
向かいにバレないように

たまに私の手をにぎにぎしたり
手の甲を撫でてきたりする。

 

すごく、直球///

 

N)……

 

NAOTO…は、無口で…何も喋らない。

 

〇)NAOTOのダンスも見てみたいな…
N)……

 

その言葉に、NAOTOからの返事はなくて。

その代わりに返ってきたのは
ニヤッと不敵な笑顔。

 

〇)…っ

 

思わず、ドキッとしてしまう。

 

シ)あんねぇ、NAOTOねぇ、
  目がエロい。
E)あはははw
シ)その目だけで、女妊娠しそうw
岩)あーー、
  やっぱり〇〇、見に来ちゃダメだ。
〇)え、どうして…?
岩)NAOTOさんのダンスね、
  すげぇエロいから。見せられない。
N)おい、岩田。
シ)だな。あれも妊娠するわ。
E)あっははははw
〇)……//

 

そんなに…すごいのかな?

どんなダンスなのかちょっと気になるけど…

 

N)ん…?

 

なんて、流し目で私を見るNAOTOの目が
本当に色っぽくて、

 

〇)……//

 

もうこれ以上想像するのはやめようっと。

 

シ)〇〇ちゃん、結構飲んだねぇ。
〇)え……、、

 

気付けばちょっとフラフラする頭。

 

岩)ん、顔赤い…。かわい♡

 

また剛典くんに
ほっぺを撫でられて…

 

〇)……

 

ああ、この笑顔…
なんか可愛くて…甘えたくなっちゃう。

 

岩)ちょ、そんな見つめられたら
  すげぇ照れる///
〇)剛典くんの笑顔って…
  癒し系だなぁって…思って…
岩)え?
〇)……
岩)なんだよぉ〜〜可愛いなぁ♡

 

またニコって笑ってくれて…

 

岩)また抱きしめたくなるから…
  そんな見つめないで。

 

耳元で私にしか聞こえない声で
そう言われた。

 

〇)////

 

ドキドキするのと、
フラフラするのとで…

 

〇)ごめんなさい…

 

また席を立って、部屋を出た。

 

ふわふわ…

ふわふわ…

 

はぁ、完全に飲みすぎちゃった。

 

なんとかトイレまでたどり着くと…

 

〇)顔、真っ赤……

 

さっきより赤くなってる。

 

〇)はぁ……

 

ゆっくり目を閉じると、

頭に浮かぶのは…

剛典くんの笑顔…、じゃなくて

たまに私をチラッと見る時の
色気を滲ませたNAOTOの瞳。

 

〇)……//

 

はぁ、頭がぽわぽわする。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

(NAOTO Side)

 

足元をフラつかせながら、
部屋を出て行った〇〇。

岩ちゃんもELLYも
結構酔っ払ってご機嫌だし、
シンジも顔真っ赤。

 

N)……

 

俺は〇〇が少し心配で、
後を追って部屋を出た。

 

あの人、酒強いのかな?

あんな飲んでたけど、大丈夫なのか?

 

〇〇の姿を探してると…

 

〇)…ごめん…なさい…
男)お姉さん…すっげぇ綺麗ですね…///
〇)あの…、

 

店の端で、男に絡まれてる彼女。

 

N)はぁ…、

 

やっぱりあれだけ美人だとこうなるか。

 

男)俺、介抱してあげようか?♡

 

下心丸出しの見知らぬ男を
片手で放り投げて。

 

N)何やってんの、大丈夫?

 

ベンチに座る〇〇の隣に、腰掛けた。

 

〇)えっと…
N)歩けないの?
〇)あ、ううん…
  戻ろうとしたら
  さっきの人にぶつかっちゃって…
N)……

 

それで絡まれてたのか。

 

N)じゃあ歩ける?
〇)うん、普通に……
N)…ん、じゃ戻ろ。

 

そっと手を差し出せば、

 

〇)きゃっ///

 

よろけて、俺に抱きついてきた
華奢な身体。

 

N)なーにやってんの。

 

しっかり抱きとめて、その顔を覗けば、

 

〇)……///

 

頬を赤らめて、困り顔。

 

N)……///

 

あ〜〜〜〜〜

こんな顔もすんだ。

 

〇)ごめんね、ヒールが引っかかって…
N)……

 

支えにしてた俺から、
彼女が離れようとした瞬間…

 

〇)えっ……

 

俺の手は、今度は自ら
彼女の腰を抱き寄せてた。

 

〇)…っ

 

彼女が戸惑っているのが、
触れてる身体から伝わってくるけど…

 

N)やっぱり、酔ってんじゃない?

 

とか言って。
俺は手を離す気はない。

 

N)ちゃんと…帰れる…?

 

抱き寄せたまま尋ねても、返事はなし。

 

「帰れない」って…言ってよ。

 

N)〇〇…?

 

その顔を再び覗けば…

 

〇)////

 

真っ赤な顔をして、俯いてた。

 

それが酔ってるせいなのか
“これ” のせいなのかわかんねぇ。

 

N)〇〇。

 

名前を呼んで、顔を上に向けさせれば…

 

〇)////

 

潤んだ瞳が、俺をじっと見つめてて…

 

N)////

 

その表情に、クラッと目眩すら覚える。

 

見たことないような美女だと思ったら

笑うとすげぇ可愛いし…

困ってる顔もなんかそそるし…

こんな頬を染めてる姿も、たまんない。

 

N)……

 

ああ、この距離。

……すっっっげぇ、キスしたい。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

(〇〇Side)

 

どうしてこんなことになってるのか、
わからない。

 

店の隅で、NAOTOに腰を抱かれて
見つめ合ってる。

 

当たり前のように胸はバクバク音を立てていて

見つめているその瞳に
何か魔力が秘められているかのように

クラクラしてしまう。

 

少しずつ、距離は近付いて…

息がかかるくらいまで、近付いたら…

 

__キスしたい。

 

本能でそう思ってしまう。

 

N)〇〇…、

 

そっと首筋に触れる
NAOTOの冷たい手が気持ちイイ。

 

N)お前、身体すごい熱い。
〇)////

 

「お前」なんて急に呼ばれて
胸がまたうるさく音を立てる。

 

そして、

NAOTOの言葉の一つ一つが、
唇に触れてしまいそうなくらい、近い。

 

N)嫌なら…、拒んで。
〇)…っ

 

その言葉の意味が
わからないフリをするほど、子供じゃない。

 

だってもう、唇以外は触れてる。

おでこも、鼻も、頬も。

 

最後に残された唇が

ようやく触れ合えば…

 

〇)……、っ

 

触れ合うまでにかかった時間と
同じ分だけ

ゆっくり、柔らかく、
時間をかけて、触れ合いながら…

 

次第にそれは、深くなっていく。

 

…腰に回された腕が
もっときつく、私を抱き寄せるから

 

二人の身体は、密着して、温度を上げる。

 

〇)………は、ぁ…っ///

 

どれくらい時間が経ったか、わからない。

ようやく唇が離れて
彼を見上げると…

 

〇)…っ///

 

熱を帯びた瞳が、私を見つめていて
まるで吸い込まれそう。

 

N)俺…、こんなん…初めて…///

 

そう言って、またその腕の中へと
閉じ込められた。

 

〇)////

 

私も、こんなの初めて…

今日会ったばかりなのに、どうして…?

 

惹かれて…惹かれて…
止まらないの。

 

N)身体…、すげぇ熱い……
〇)……私…?
N)…俺…も、
〇)……///
N)////

 

耳をくすぐる低い声は
すごく甘くて色っぽくて…

 

ああ、彼の瞳みたい。

 

そう思った。

 

〇)ね…、……NAOTO……

 

熱くなる身体が、もどかしくて…

 

〇)……

 

その瞳を、もう一度…見上げれば…

 

N)……///
〇)……///

 

もっと、キスしたい。

 

想いが通じたように…、近付く唇。

 

そっと瞳を閉じると…

 

岩)あああああああっっ!!!

 

店中に響くようなその大声に、
私たちは一気に現実に引き戻された。

 

岩)ちょ、ちょ、何してんの?!!

 

血相を変えて飛んでくる剛典くん。

 

E)チューしようとしてた。
シ)だね。
岩)チューしようとしてたんすか?!ねぇ!!
N)……あーー、もうした。
岩)はぁ?!!!

 

剛典くんの目の色が変わる。

 

N)ごめんね、岩ちゃん。
岩)何やってんすか!マジで!!!
N)だって……

 

NAOTOが私をチラッと見て…

 

N)仕方ないよね?

 

なんて笑う。

 

〇)////

 

うん、仕方ない。

だって…

それはもう、すごく自然で…

 

引き寄せられるようなキスだった。

 

N)俺ら、帰るわ。
岩)はぁ?!!
N)行こ、〇〇。
〇)…っ///

 

グイッと手を引かれて…

 

岩)〇〇は俺が送ってくんです!!
N)はぁ?
岩)ね?約束したもんね?

 

無理矢理、NAOTOから引き剥がされて、
今度は剛典くんに抱きしめられる。

 

〇)えっと…

 

私がうろたえてると…

 

岩)ダメだよ、約束したじゃん…

 

また、耳元で囁かれる。

 

岩)キスしかしてないんでしょ…?
〇)…っ///
岩)そんなの、いくらでも忘れさせてあげる。
〇)////

 

お酒で力が入らなくて…

抵抗もできなくて…

 

岩)俺の方が…絶対いいから。
〇)////

 

べりっ!!!

 

N)その根拠がどこにあんだよ。
  ふざけんなw
〇)……

 

NAOTOが余裕の表情で笑ってて。

 

あれ…

私また、NAOTOの腕の中にいる。

 

N)〇〇は俺の。もう触るの禁止、ね。
〇)////
岩)そんなん認めないっすよ!!
N)はいはいw

 

酔いが回ってるのか、
NAOTOに絡み続ける剛典くん。

そのまま騒ぎながら一緒に店を出て、
タクシーに乗り込んだ。

 

__バタン。

 

N)あーーー、疲れた。
〇)……

 

NAOTOに中指立ててる剛典くんを残して、
車が走りだす。

 

N)やっと…二人になれた。
〇)…っ

 

ドキッとするその言葉に、隣を見ると…

 

N)さっきの続き、しよっか?

 

色っぽくて甘い瞳に、また捕まった。

 

〇)////

 

また一から始めよう?

とろけそうに甘い、柔らかな大人のキスを。

 

 

 

ーendー

コメントを残す

スポンサーリンク
スポンサーリンク