不覚の餌付け 〜short story〜

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最近…嫌なことばっかり。
何かいいことないかなぁ…


〇)はぁぁ…
臣)おい。
〇)……
臣)辛気くせーなー
〇)はー?
臣)ため息ばっかついてんじゃねーよ。
〇)だって。
臣)なに。


デスクに片肘ついて
向かいから偉そうに話しかけてくるのは
同期の臣。


〇)なんでもない。ハゲ。
臣)ハゲてねーし!ふざけんな!
〇)はぁぁ…


コンッ


〇)!!!


オレンジのキャンディーが転がってきて
臣の方を見ると

あたしのことなんて無視して
パソコンを見てる。


〇)あり…がと…
臣)ん。
〇)……
臣)……
〇)イチゴ味がいい。
臣)ぶっw


コンッ


臣)図々しい奴だな。


イチゴ味のキャンディーが転がってきた。


〇)えへへ…//
  ありがとっ!
臣)ん。


なんで男のくせに
キャンディーなんて持ってんだろ。

ま、いっか、美味しいし。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


B)お前まだこれやってんのー?
〇)は??
B)早く終わらせろよーー
〇)……


大っ嫌いな奴。


〇)うるさいなーー
  今やってんじゃん。
B)お前さー
〇)「お前」って呼ばないで!!
B)あ、ごめん…


なんでお前にお前って
言われなきゃなんないんだよ!

イライラすんな〜ほんと。


〇)はぁ……


コンッ


〇)え…?


あたしのデスクに
またイチゴキャンディーが転がってきた。


〇)……


臣はまたパソコンを見てる。


〇)どんだけ餌付けすんの。
臣)イライラしてっから。
〇)してないし。
臣)あっそ。
〇)……


コンッ


〇)ちょっと…何な…、あっ
臣)……


転がってきたのはチョコだった。


〇)なんでお菓子こんな持ってんの。
臣)向かいの女、餌付けするため。
〇)何それw
臣)……
〇)餌付けしてどーすんの。
臣)10倍にして返してもらう。
〇)はぁ!?冗談じゃないし!
臣)うるせーなーー
〇)何が!
臣)ピーピー言ってねぇで
  おとなしく食ってろ。
〇)……


変なの。

ま、いっか、美味しいし。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


そんなこんなで
気分が上がらないまま一週間。


〇)あ〜あ……


ランチを食べても元気が出ない。
午後が始まるまで机に突っ伏してると…

コンッ


〇)!!!

コンッ

〇)えっ

コンッ


顔を上げると
チョコがいっぱい転がってきてた。


〇)あー!!これ、新発売のチョコー!!


向かいを見ると、臣が知らん顔してる。


〇)くれんの?
臣)知らない。
〇)え?臣でしょ?
臣)さぁ?降ってきたんじゃない?
〇)何それw
臣)あ、笑った。
〇)あ!また餌付けして
  倍返しとか言うんでしょ〜
臣)よく覚えてたな。
  お前はもう相当ツケがたまってんぞ。
〇)払わないし!
臣)逃がしません。

女)ほんと仲良いねーーw

〇)え?
臣)別に。
女)〇〇ちゃん、
  いっつもお菓子もらっていいなーw
〇)餌付けされてるんです。
女)あはははw
  餌付けってw
臣)いっつもブスな顔してるから
  甘いもん与えとこうと思って。
〇)ちょっと!誰がブスだ!ふざけんな!
臣)うるせー。
女)ほんと登坂くんは
  素直じゃないねぇ?w
臣)は?
女)そんな言い方じゃなくて
  笑顔が見たいから、って
  そう言えばいいのに♡
臣)はぁぁ!?//
〇)何すかそれ。
女)くすくすw
〇)臣がそんなセリフ言ったら
  気持ち悪いし。
臣)言うわけねーだろ!!//
女)あはははw


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ー翌日ー


男)おい、これ間違ってるぞ。
  やり直せ!!
〇)えっ!!


いきなり上司に呼ばれて…


男)こんなミスするなよ〜〜
  確認してないのか?!
〇)……


これって…
あたしじゃなくてBがやってたやつだ。


男)考えればわかるだろ!!
  何やってんだよ。
〇)これ…っ


あたしじゃない…って言っても
結局やり直すのは一緒か。

Bは明日までいないし。


〇)申し訳ありませんでした。
  すぐにやり直します。
男)とっととやれ。
〇)……


ムカつく〜〜!!!
あたしじゃないのに!!!

てゆーかこれやり直すって…
今日残業決定じゃん!


〇)はぁ…もう最悪……
女)〇〇ちゃん、ランチはー?
〇)あたしは今日はいいです。
  すみません。
女)じゃあ行ってくるねー?
〇)はーい。


ご飯食べてる暇もないよ。
今日中に終わらせるなら急いでやんないと。


時間も忘れて
夢中でパソコンに向かってると
お腹が鳴った。


気付けば15時。


〇)お腹…空いたな…


コトン。


〇)え??
臣)ん、食え。
〇)え、これ…
臣)俺の食い残し。
〇)はぁ?
臣)嘘だっつーのw
〇)……


蓋をあけると
あったかくてイイ匂いのスープ。
おにぎりまで…


〇)美味しそう…
臣)どーぞ。
〇)え…なんで…


わざわざ…買ってきてくれたの?


〇)これも…10倍返し…?
臣)…いや?
〇)……
臣)100倍返し。
〇)はぁ!?何それ!!
臣)いいから黙って食えw
〇)…っ


頭をコンッてされて
臣は自分の席に戻った。


〇)いただきます…//
臣)ん。


なんで…買ってきてくれたんだろ…
なんで…優しいの?

あ、そっか、100倍返しのためか。
ま、いっか、美味しいし。


お腹が空いてたあたしは
すごいスピードでぺろっと完食。


〇)ごちそうさまでしたっ!
臣)ん。
〇)美味しかった!♡
臣)おう。
〇)ありがとねっ!
臣)ん…//


よーし!!元気もチャージしたし
続き頑張るぞー!!!

って張り切ってたのに
全然終わりが見えない。

…なんだこれ…


Bの奴、マジでふざけんなよ…

明日ぶっ飛ばしてやる。


〇)……


眠くなってきちゃった。
もう20時かぁ…

みんな…帰っちゃったし…


〇)……


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


なんか…あったかぁい…
気持ちいい…

なんだろこれ…


〇)ん……


目を開けると
ふわふわのブランケットが
あたしの肩にかかってた。


〇)……


あたし…寝ちゃってたんだ!!


慌てて頭を上げると
もうほとんど電気が消えてる。

どうしよう!!


臣)おはよ。
〇)えっ!!


臣が隣に座ってる。


〇)え!!なんでいんの!!
臣)なんでって…仕事?
〇)え…っ、こんな時間まで?
臣)……


時計はもう21時だった。


〇)あたし…1時間も寝ちゃったんだ…
臣)……
〇)続き…やんなきゃ…っ
臣)はい。
〇)え?
臣)もう終わった。
〇)え?!!


渡された資料は、
全部完璧に仕上がってた。


〇)なん…で…
臣)途中で息絶えてたから
  続きやっといただけ。
〇)…臣は…関係ないのに…
臣)それはお前もじゃん。
〇)え?
臣)お前のミスじゃねぇだろ、それ。
〇)……


臣…わかってたんだ…


臣)言やぁいいのに
  お前はなんでも引き受けるから…
〇)……
臣)いつも頑張りすぎーー

コンッ

〇)…っ


優しく頭を叩かれた。


ヤバい…
優しすぎて…なんか泣きそう…


あたしは思わず机に突っ伏した。


〇)……
臣)……
〇)あり…がと…
臣)ん。
〇)すっごく…助かった。
臣)ん。
〇)同期って…頼れるね…
臣)……


突っ伏したままそう言うと
臣から返事が聞こえなくなった。


あれ…?


〇)……
臣)俺、別に…他の同期だったら
  ここまでしねぇけど。
〇)……


え…?
どういうこと?


〇)……


机に突っ伏したまま
顔だけ臣の方に向けると


臣も机に頭を乗せてこっちを向いてて

バチッと目が合った。


〇)!!!


ち、近っ///


でも…

臣がじっと見てくるから…
視線を逸らせない。


〇)///
臣)……


何この沈黙……


〇)さっきの…
臣)……
〇)どういう意味?
臣)そういう意味。
〇)……


どうしよう…

真っ直ぐ見つめられて
ドキドキしてきた…


わっ!!!


臣の手が
あたしの頭に伸びてきた。

え!!

え!!!!


く…しゃ…


臣)お疲れさん。
〇)…っ


ニコッと笑って
頭を撫でてくれた。


〇)////


な、な、何これ!!!

机に頭乗せたままだから…
なんか…一緒に寝てるみたいで…


ガバッ!!


〇)か、帰る!!///


びっくりした…
臣にドキドキするとか…おかしいし!!


臣)ちょ、待てよ。


臣が立ち上がって
あたしの腕を掴んだ。


〇)な、なに!!//
臣)ちょっと付き合えよ。
〇)え??
臣)手伝ってやったんだから。
〇)……


は!!!
まさか!!!

これも倍返しのやつ?!!

付き合えって…
なんか高いもんでも奢れとか言うんじゃ…

くそーー!!!



臣)何食いたい?
〇)は?


エレベーターの中で
壁にもたれながら
臣が偉そうに聞いてきた。


〇)安いもの。
臣)何それ!w
〇)だってあたしの奢りでしょ?
臣)は?
〇)10倍返しの。
臣)……


臣がじっと見てきた。


臣)10倍じゃなくて100倍。
〇)!!!
臣)忘れたの?
〇)……


なんか悪い顔して笑ってるー!!
む〜〜〜!!


臣)飯なんかじゃ全然足りないけどw
〇)え〜〜!!!
  どんだけあたしから取る気!!
臣)……
〇)何が欲しいわけ?
臣)……
〇)……
臣)わかんないの?
〇)は?
臣)俺が返してほしいもの。
〇)……


何…言ってんの?
あたし何か借りてたっけ?


〇)……
臣)……


また…この目だ…///
……見ないでよぉ〜〜〜///


チーーン。


エレベーターが開いて
逃げるようにあたしが降りようとすると
後ろから腕を掴まれた。

トンッ


〇)!!!
臣)……


な、何これ!!!
か、か、壁ドンですか?!何ですか!?


臣)…知ってる?
〇)何がっっ///


耳元で喋るなー!!///


臣)お前ってさ…
〇)////


どうしよう…
心臓の音が…聞こえそう…


〇)エレベーター…閉まっちゃう…//
臣)……


あ、閉まった。


何この状況!!!
密室に二人きりで…壁ドンされてるとか…
何これ!!!!


〇)知ってるって何が!//
臣)……
〇)……//
臣)お前、さ…
〇)///
臣)俺が「お前」って呼ぶのだけは
  怒んないよね。
〇)……


は???


〇)……
臣)……


「お前」…??
……って


〇)……


確かに臣って「お前」って言ってくる。

あたし…
男にそう言われるの大嫌いなのに
なんで臣は嫌じゃないんだろう…


臣)なんで…?
〇)……


なんでって聞かれたって…
そんなの…


〇)わかんないよっ!//
臣)ふーん……、あっそ。


コツン…


〇)!!!


な、な、何これ!!!
お、お、おでこが…!!!
おでこがぶつかってるんですけど!!!!


〇)////
臣)で、何食いたい?
〇)…っ
臣)安いものじゃなくてw


あたしが下を向いて
ぎゅっと目を瞑ると

臣はボタンを押してエレベーターを開けた。


臣)ほら、食いに行くぞ。
〇)////
臣)俺の奢りだから安心しろw
〇)え…っ
臣)ほら、早く。

グイッ


手を引っ張られて
そのままポケットに入れられた。


な、な、何これ!!//


〇)奢り…なの?//
臣)そ。
〇)なんで?
臣)俺、優しいから。
〇)なんで優しいの?
臣)ぶっw
  そこ普通に聞き返すとこ?w
〇)なんで…?
臣)……
〇)……
臣)……//
〇)??


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〇)!!!


それって…


臣)////
〇)////
臣)気持ち悪いんじゃねぇのかよ//
〇)は!?//
臣)何赤くなってんだよ//
〇)…臣だって…赤いじゃん//
臣)うるせー、バーカ!//


ポッケの中で
手をギュッと握られて

スタスタ歩く臣に、ついていく。


憎まれ口ばかり叩く
ただの同期が

悔しいことに
ドキドキする相手に変わってしまった、
そんな一日。



ーendー

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  1. KY より:

    こんばんは(^-^)/
    久しぶりにマイコさんのshort story読みたくなり来ました♡*.+゜
    こんな臣くんここにしかいません♡♡♡マイコさんが書く臣くんどれも大好きです(日頃からしつこい)
    クリスマスのshort storyからも、もうすぐ一年ですね!(早い~)
    今年も三代目クリスマスやるのでしょうか。もしまたあるとしたらshort storyご検討お願いします!(番組の企画にもよりますよね)
    臣くんだけでも~笑

    • マイコ より:

      KYさんヽ(*^ω^*)ノ
      いつもありがとうございます♡
      三代目クリスマス…7人の続きそろそろ描こうかなぁ(❁´ω`❁)

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