女という生き物 〜short story〜

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お前は酷い女だと思う。
 
 
俺が何度も「愛してる」と繰り返すのは…
そうしているうちに
お前も俺を、愛してくれるんじゃないかって
そんな願掛けみたいなところもあって。
 
 
でもお前がくれる言葉はいつも
「大好きだよ」。
 
 
愛してるって言ってよと
俺が催促すれば
 
恥ずかしいから、と
いつも可愛く照れていたその顔が
寂しそうな笑顔にすり替わったのは
いつからだったろう。
 
 
臣)昨日どこ行ってたの?
〇)友達とディズニー行ってたよー
臣)へぇ、いいな〜!
 
 
日常にありふれてる、普通の会話。
 
 
臣)昨日どこ行ってたの?
〇)友達とフラワーガーデン行ってたよー
臣)へぇ、いいな〜
 
 
ありふれてる、普通の会話だからこそ
いつもとの違いがわかるんだ。
 
 
お前は嘘をつく時、ほんの少し口角を上げて
微笑むんだな。
 
ずっと一緒にいたのに、初めて知った。
 
 
積み重なる違和感を見て見ぬフリをして。
毎日毎日、お前を抱いて。
 
 
でもある日、お前はいなくなった。
 
明け方の4時過ぎ。
 
互いの熱が残るベッドで
抱き合って眠っていたら
聞こえて来た、着信のバイブ音。
 
 
お前は俺が寝てるのを確認してから
静かに「もしもし…」と、電話に出た。
 
 
でも…
お前が発した言葉はたったそれだけ。
 
それだけで、お前は家を飛び出していった。
 
 
すぐにわかった、男だって。
 
 
そのままずっと、眠れなくて。
 
眠れなくて、眠れなくて。
 
 
俺が仕事に行く時間になっても
お前は帰ってこなかった。
 
 
夜、どこに行っていたのかと問えば
「友達のところ」と答えた。
 
 
〇)友達がね、突然彼氏に
  フラれちゃったみたいで…
  放っておけなかったんだ。
 
 
少し口角を上げて、そう言ったんだ。
 
 
臣)それなら一言くらい言ってけよ。
〇)ぐっすり眠ってたから…ごめんね?
臣)ん、いいよ。おいで。
〇)あ…っ
 
 
すぐさまベッドに連れ込んで
お前を組み敷いて。
 
 
見下ろす綺麗な身体。
見慣れた光景。
 
 
〇)あ、…あ、っ…臣…っ///
臣)…っ
 
 
抱いてすぐに、気が付いた。
 
 
もう、俺の知ってるお前じゃない。
 
 
他の男に抱かれて
俺が気付かないとでも思った?
 
こんなに毎日、お前を抱いてるのに?
こんなに心底、お前を愛してるのに?
 
 
臣)愛してるよ、〇〇…
〇)臣…っ、あ、っ…大好き…っ
 
 
言葉にできない狂いかけの感情を
全てぶつけるように…
 
俺は今まで通り、何度も〇〇を抱いた。
 
 
毎夜、毎夜、何度も何度も。
 
 
お前は今までと変わらず
俺に大好きと言いながら
俺の腕の中で、甘い声をあげる。
 
 
でも…
 
 
俺に抱かれながら、
誰を重ねてる?
 
 
その心にいるのは、誰なんだ。
 
 
それだけがわからなくて、苦しくて。
 
 
その正体がわかったのは
それからしばらくしてのことだった。
 
 
隆)お茶買ってくる。
臣)んー。
 
 
レコーディングの休憩中。
 
ジーンズのポケットから財布を出して
部屋を出て行った隆二。
 
 
床にひらりと落ちた1枚の紙を拾って、
俺は心臓が止まったかと思った。
 
 
それはフラワーガーデンの
駐車場のレシート。
 
日付は、俺がLAに行って日本にいなかった日。
 
 
直)隆二、なんか最近顔色いいよね。
隆)そうですか?
臣)俺も思ってた。
  歌もすげぇ調子いいし。
隆)うん。
 
 
真っ黒い感情が胸の中に渦巻いていく。
 
 
N)なんだよーー
  お前まで彼女できたのかー?
隆)いえ。
 
 
そうだよな。
あいつは俺の女だ。
 
 
でも、どうして。
どうしてお前もあいつも
時折携帯を手に取っては嬉しそうに微笑む?
 
 
健)あ〜〜〜しばらく釣り行けへんなぁ…
N)ん?なんで?
健)来週から稽古で1週間缶詰ですわ。
E)えー!大変っすね!
N)俺も来週はNYとパリよ。
岩)すげぇ!世界を股にかける男!w
臣)あ、俺も俺も!w
  1週間LAでMV撮りとレコーディング!
直)俺はオーストラリア。
E)すげぇ!みんな日本にいない!w
 
 
賭けだった。
 
 
たまたま同じ日に別々で
フラワーガーデンに行ったのかもしれない。
 
そう思いたかった。
 
 
でも。
 
〇〇には告げずに、
LAから1日早く帰って来た夜。
 
俺が目にしたのは…
 
 
車の窓ガラスに手を重ね合う、二人の姿。
 
 
遠くからでもわかるくらい、
それは恋人同士の、それだった。
 
 
うるさく音を立てる心臓に
グッと拳を当てて…。
 
 
エンジンをかけて走り去って行った
見慣れた車。
 
そこに見えたのは…
涙を拭う、隆二の姿だった。
 
 
臣)…っ
 
 
俺はそのまま、
ホテルで眠れない一夜を過ごして…
翌日。
 
 
臣)ただいま。
 
 
いつものように家に帰れば、
お帰りと出迎えてくれる、いつもの笑顔。
 
 
臣)俺がいなくて寂しかった?
 
 
そっと抱きしめれば、
 
 
〇)うん、寂しかったよ。
 
 
腕の中で小さく頷いた。
 
 
臣)何してたのー?俺がいない間。
〇)寂しいから昨日までずっと
  友達の家に泊まってたよ。
臣)そうだったの?
〇)うん。
 
 
へぇ……
 
昨日までずっと…あいつといたんだ。
 
 
臣)来て。
〇)うん。
 
 
俺が何も知らないと思ってんだろ…?
 
 
〇)あ、…っ、ん…
 
 
何度あいつに抱かれた…?
 
 
〇)…は、ぁ…っ
 
 
俺がいない間…、何度…あいつに…
 
 
臣)〇〇、…っ
〇)…、臣っ…!
 
 
あいつの跡を掻き消すように、
俺は夢中で〇〇を激しく抱いた。
 
 
臣)〇〇、愛してる…、
〇)臣…っ!
臣)愛してるよ、〇〇…っ
〇)私も大好き、臣…、っ
 
 
お前から「愛してる」の言葉が
返ってくることはなくても…
 
何度も、何度も。
 
 
 
……
 
 
 

 
 
 
岩)うあ〜〜〜
  久しぶりのオフだぁ〜〜〜!
N)あなた一番忙しいもんねぇw
女)どうしてたーくんばっかり
  お仕事いっぱいなんですかぁ?
N)え?w
女)NAOTOさんなんて
  暇そうじゃないですかぁ〜
女)あっははは!w
  直くん暇人扱いされてるー!w
N)こらこら!w
臣)俺らも今月は割と暇だよ。
隆)うん。
 
 
だからお前たちも
俺の目を盗んで会う暇なんて、ないだろ?
 
 
N)そこもちょっとイチャイチャしすぎ!
E)え?
 
 
彼女を膝の上に乗せて離さないELLY。
 
 
E)なんかアウトドアって
  テンション上がりますよねぇ〜〜
臣)うん、わかるw
 
 
俺もわざとに、〇〇を抱き寄せた。
 
 
健)はぁ…
  俺も彼女連れてくる予定やったのに…
直)元気出せ、健二郎。
臣)あんな女、別れて正解じゃん。
〇)…っ
 
 
他の男と二股した挙句、
健ちゃんの元を去って行った最低な女。
 
 
臣)もっといい女、いるよ。
健)……わかってんねん。
  でも…それでも俺はあいつが好きやねん…。
臣)…その気持ちは…わかるけど…。
健)はぁぁぁ……
 
 
俺だって一緒だ。
 
こんな状況になっても
まだ〇〇を愛していて…
 
見て見ぬフリを、続けてる。
 
 
岩)仕方ないっすよ!
  女ってのはどうしようもないんです。
健)へ…?
岩)女ってのは…
  奪われたい、求められたい、
  そんな我儘な生き物なんですよ。
N)う〜〜ん!確かに!
直)語るねぇ、岩ちゃん!
女)たーくん頭いい〜〜〜♡
E)健さん、今市くんと合コンしたら?w
N)お、それいいじゃん!
隆)いいよ、合コンなんか。
N)ま〜たお前は硬派ぶってぇ〜〜w
臣)隆二ってさ、どんな可愛い子に告られても
  毎回断んだよ、すごくない?w
〇)え……
 
 
わざと言った俺の言葉に、
動揺を隠せず目を泳がせる〇〇。
 
 
岩)そうそう、彼女いるから〜とか
  嘘ついてねw
隆)「彼女」じゃないよ、「好きな人」。
〇)…っ
臣)だから断る口実だろー?w
岩)何人の女泣かせんだよ〜〜w
隆)違うよ。
  嘘じゃない。
  ほんとにいるから、好きな人。
 
 
いい度胸だな。俺の前で。
 
 
臣)そうなの?どんな子?
隆)俺の話はいいよ。
N)ま〜たお前は硬派ぶってぇ〜〜w
隆)……すげぇ好きなんです。
〇)…っ
隆)ただそれだけです。
 
 
ふざけんな。
 
喉まで出かかった言葉を必死に飲み込んで。
 
 
しばらくすると、
野菜を洗いに席を立った二人。
 
 
その間も俺は気付いてた。
 
俺が見せつけるようにベタベタする度に
苦しそうな目をする隆二にも、
視線だけで想いを返している〇〇にも。
 
 
洗い場は対面式になっているから
こっちから手元は見えない。
 
でも、何かを話している二人。
 
一気に赤くなる、〇〇の顔。
 
 
臣)…っ
 
 
俺しか知らないと思っていたその顔を
隆二にも見せるんだな。
 
 
……ああ、気が狂いそうだ。
 
 
臣)野菜まだぁ〜〜?
〇)今洗ってるから待ってて。
  すぐ持ってくから。
臣)ん、じゃあ待ってる♡
〇)きゃっ///
 
 
〇〇の頬にキスを残して。
 
何も気付いてない馬鹿な彼氏を演じてやるよ。
 
 
N)じゃあまた明日ね〜!
健)明日の朝は俺が釣ってきた魚
  食わしたるからな〜!
女)楽しみ〜〜〜!!
女)健ちゃん頑張って釣って来てね〜!
 
 
夜になって、俺たちはカップルごとに
それぞれのロッジへ。
 
 
健)それにしても
  なんで俺がお前と二人やねん。
隆)しょーがないでしょ。
 
 
不満そうに一つのロッジに入っていく二人。
 
 
臣)見て見て、星が見える!
〇)わぁ、ほんとだ…っ
 
 
風呂の天窓から見える、綺麗な星空。
 
 
臣)お前と見れて良かった。
〇)うん。
 
 
ひのきの良い香り。
二人で風呂に浸かりながら空を仰いでる。
 
 
臣)今日、楽しかった?
〇)うん。
 
 
へぇ…
楽しかったんだ…。
 
 
臣)良かった。
 
 
〇〇をこっちに向き直らせて、
その唇にキスをした。
 
 
臣)俺さ、ほんとにお前のこと愛してる。
〇)急にどうしたの…?///
臣)急じゃねぇよ、いつも言ってんじゃん。
〇)うん。
臣)俺ほんとに…
  何があってもお前のこと
  一生好きだと思う。
〇)……
 
 
馬鹿だよな。
なんでこんなに好きなんだろう。
 
 
浮気する女なんて絶対に許せない。
自分だったら絶対に別れる。
 
今までずっとそう思っていたのに。
 
 
こんなにも薄れず消えない想いがあるなんて
自分でも驚くよ…。
 
 
〇)私も大好きだよ、臣。
 
 
お前は一体、どういうつもりなんだろう。
 
 
臣)愛してる。
〇)…っ
臣)愛してる、〇〇…っ
 
 
愛するほどに
俺にしがみつく、小さな身体。
 
 
〇)はぁ、っ…はぁ…っ///
 
 
服も布団も、床に落ちて、
激しく揺れて、絡み合う。
 
 
〇)…お…みっ……
臣)もっと…、っ
〇)…っ
臣)もっと…声聞かせて…っ
〇)……ぁッ///
 
 
隣のロッジに、聞こえるくらい。
あいつの耳に、届くくらい。
 
 
もっともっと、俺の名前を呼んで
もっともっと、甘い声を上げろよ。
 
 
 
……
 
 
 

 
 
 
〇)臣…?
臣)……
〇)ちょっと外出てくるね…?
臣)……
 
 
頬に感じた、柔らかい唇の感触。
 
お前は俺が眠ってるのを確認して、
部屋を出て行った。
 
 
臣)……
 
 
そんな身体でどこに行くんだよ…?
 
 
俺の匂いを纏わせて…
散々俺と愛し合ったその身体で
あいつに会うのか…?
 
 
追いかけるか、
知らないフリをしてここに留まるか、
……迷った。
 
 
迷って…
苦しくて…
狂いそうになって…
 
 
しばらくして戻って来た〇〇は
ここへは来ずに、
真っ直ぐシャワーへ向かった。
 
 
臣)…っ
 
 
あいつに抱かれて戻って来たって
すぐにわかった。
 
 
信じられなかった。
 
どんな神経をしてるんだろう。
 
 
……嘘だろ…?
 
 
臣)あれ、シャワー浴びたの?
〇)うん。
 
 
戻って来た〇〇に、今起きたフリをして。
 
 
臣)勝手にいなくなんなよぉ…
〇)シャワーだよ?w
臣)それでも。寂しいじゃん。
〇)ごめんね?
臣)……ん。
 
 
抱き寄せた、腕の中。
 
 
臣)愛してるよ、〇〇。
〇)うん…。
 
 
愛おしい髪を撫でながら
目を閉じたら…
 
 
〇)…………ごめんね…。
 
 
小さく聞こえた、呟き。
 
 
へぇ……
 
罪悪感、あったんだ…。
 
 
 
……
 
 
 

 
 
 
臣)来週からまた忙しくなりそうだわ。
〇)そうなんだ。
 
 
BBQから帰って来て
またいつも通りの日常。
 
 
臣)一緒に行く?パリ。
〇)今度はパリなの?w
臣)うん。
〇)仕事休めないよ。
臣)だよな…。
 
 
休めたとしても、お前はついてこないだろ?
 
 
臣)俺いなくて寂しい?
〇)……(こくん)
 
 
口角を少し上げて、頷く〇〇。
 
 
臣)俺もさみしーーーー
〇)ふふ…w
 
 
寂しいっていうか、悲しいよ。
 
お前の嘘を、こんなに見抜けてしまう自分が。
 
 
臣)愛してるよ、〇〇。
〇)私も大好き、臣。
臣)……愛してる?
〇)え…?
臣)「愛してる」って言ってよ。
 
 
わかってる。
お前は絶対に言わない。
 
 
臣)いっつも俺ばっかじゃん。
〇)だって…恥ずかしいもん…
臣)言って!
〇)……大好きだよ?
臣)そうじゃなくて、「愛してる」!
〇)やだ。恥ずかしいの…。
臣)もぉ〜〜〜〜
 
 
チュッ。
 
 
臣)ほんとお前は可愛いな。
 
 
可愛くて…愛おしくて…
……残酷な女。
 
 
臣)一生愛してるよ、〇〇。
 
 
嫌いになれたらラクなのに。
 
これっぽっちも薄れていかない
お前への想い。
 
でもさ、
俺だってもう限界だよ。
 
 
俺の向こうにあいつを見てるお前を
抱き続けるのも…
 
 
眠ってる時に、「隆くん」って…
俺が聞いたことないような呼び方で
あいつを呼ぶお前の隣にいるのも…
 
 
少しだけ上がる口角を
何度もこの目に映すのも…
 
 
もう全部が、限界だ。
 
 
だから。
 
 
お前にとっておきのプレゼントをやるよ。
 
 
 
……
 
 
 

 
 
 
臣)不倫する人間って
  どういう気持ちなんだろうな。
隆)え…?
 
 
携帯から顔を上げないまま話しかけたけど
隆二が少し固まったのがわかった。
 
 
臣)どんなに愛しても、
  所詮は人のものだろ?
隆)…っ
臣)誕生日やクリスマス、
  イベントごとは一緒にいられない。
隆)……
臣)どんなに想い合ってても
  相手には帰る場所がある。
隆)……
臣)苦しくないのかな。
  俺には理解できない。
隆)……
 
 
うんともすんとも言わない隆二。
 
 
臣)今読んでる小説がさ、
  そーゆー話なのw
 
 
スマホをチラチラ振って見せると
少し安心したようにぎこちない笑いを見せる。
 
 
臣)俺には無理だな。
  不倫してる奴なんて全員ドMだろ。
隆)……もう…自分がマトモじゃないって
  きっとわかってんだよ…。
臣)……
隆)わかってても…止められなくて…
  苦しくて…泣きたくて…
  でも好きで…
臣)……
 
 
お前があの日見せた涙も
そういう涙だったんだな。
 
 
隆)って、想像だけどさ…w
 
 
不器用な苦笑い。
 
お前も本当に嘘が下手だな。
嫌になるよ。
 
 
 
臣)誕生日、行きたい場所ある?
〇)うーーん…どこでもいいよ?
臣)何したい?
〇)なんでもいいよー
 
 
本当は隆二と過ごしたいんだろ?
わかってる。
 
 
臣)プレゼントは期待してて。
〇)えーー、何それーー
 
 
くすくす笑う、愛しい姿。
 
ずっと、そばにいたかった。
隣で笑っててほしかった。
 
 
好きで、好きで、好きで。
 
 
こんなに愛した女は初めてだった。
 
本当に本当に、愛してたから。
 
だから、お前には幸せになってほしいんだ。
 
 
俺のそばで無理して笑うんじゃなくて
本当に好きな奴と。
 
 
 
臣)〇〇、別れよう。
〇)…っ
 
 
誕生日当日。
 
朝からデートして
いろんな場所に行って
 
夜は夜景を見ながらのディナー。
 
 
俺からのプレゼントは、ずっと決めてた。
 
お前をもう自由にしてやるから。
 
だからもう、あいつのとこに行けよ。
 
 
臣)今日、楽しかった。
〇)…っ
臣)最後にありがとな。
〇)…お…み…?
 
 
俺は最後まで気付いてないフリをしてやるよ。
 
じゃないとお前は
罪悪感に押し潰されるだろうから。
 
 
〇)どう…して…っ
臣)好きじゃなくなった。
〇)え…?
臣)もうお前のこと、愛してない。
〇)…っ
 
 
言いながら、胸が悲鳴を上げてる。
 
 
臣)愛してないんだよ、ごめんな。
〇)どうして…こんな急に…
臣)もう結構前からだよー?w
  とっくに冷めてたのに
  別れ話すんの面倒くさくてさ、
  適当に愛してるって言い続けてただけ。
〇)…っ
臣)実際、他の女とも浮気しまくってたしw
〇)…っ
 
 
そんなわけない。
死ぬほど愛してた。
 
お前だけを、愛してた。
 
 
臣)最低だろ?俺。
  別れられて良かったねーーw
〇)待って、っ
臣)別れたくないとか面倒くさい話なら
  勘弁してね。
  俺、もう無理だから。
〇)…っ
臣)時間できたら荷物まとめて出てってよ。
〇)……
 
 
信じられないというような目で
俺を見つめる〇〇の瞳からは
一筋の涙がこぼれ落ちた。
 
 
なんで?
 
泣きたいのは俺だよ?
 
 
臣)いい男見つけて幸せになれよ。
〇)…っ
 
 
俺が最低であればあるほど
お前は心おきなく
あいつのところへ行けるだろ?
 
 
〇)臣…ほんと…?
臣)うん。
〇)ほんとにもう…私のこと…
臣)しつけぇなぁ。うぜーよ。
〇)…っ
 
 
ああ、胸が張り裂けそうだ。
 
 
臣)サヨウナラ。
 
 
 
……
 
 
 

 
 
 
N)は?!お前別れたの!?
臣)はい。
岩)うっそ!ラブラブだったじゃん!
臣)はは、そう見えてた?w
  俺他にも女腐るほどいるよ?
N)マジかい!
岩)クソ野郎じゃん!w
臣)そうそう、俺ってクソ野郎なのw
 
 
話してる部屋の隅で
隆二が言葉を失ってるのがわかった。
 
 
臣)あいつともずるずるやってたけど
  いい加減飽きたから別れたってわけ。
健)うわ〜〜〜〜
N)悪い男だねーーー
E)臣ひどいな…
臣)そ、ひどいの。
 
 
なんてことないように、笑い飛ばして。
 
 
パフォーマーがリハでいなくなると
二人きりになった楽屋。
 
 
臣)……
隆)……
 
 
お互い、目を合わせてるのに、言葉はなくて。
 
気まずい沈黙が、長く続いた。
 
 
臣)……俺さ、ほんと最低な男なんだよw
隆)…っ
 
 
だから…
 
……だから…
 
 
臣)……幸せにしてやって。
 
 
その一言を絞り出して、席を立つと。
 
 
驚いたように目を見開いた隆二は…
小さく頷いて、大きな手のひらで顔を覆って。
 
 
……ただ、静かに泣いていた。
 
 
臣)…っ
 
 
何も言われたくない。
 
「ありがとう」も「ごめん」も、何も。
 
 
何を言われたとしても
受け止められないし
 
何を言われても、心が壊れそうだから。
 
 
俺はそのまま部屋を出て
非常口の重たい扉を開けた。
 
 
臣)…っ
 
 
声を殺して、唇を噛んで。
 
 
………これでいい。
 
これでいいんだ。
 
 
これであの二人は幸せになれる。
 
 
誰も悪くない。
 
 
ただ、それぞれがそれぞれに、
強い想いを心に抱いていただけ。
 
 
溢れ出る涙は
俺しか知らない、俺だけの悲しみ。
 
 
_______これでいい。
 
 
 
 
………
 
 
 
 
……
 
 
 
 

 
 
 
 
女)今市さん、大好きなんです…。
  もし良かったら…///
隆)ごめんね、俺…彼女がいるから。
女)…っ
隆)受け取れない、ごめんね。
 
 
あれから一年が経って。
 
 
N)ヒュゥ〜〜〜〜モテ男〜w
健)やるぅ〜〜〜w
 
 
変わったことと言えば、
隆二の断り文句が
「好きな人」から「彼女」になったこと。
 
 
N)だからお前はいつの間に彼女
  出来たんだっつーの!
健)会わせろ言うても会わせてくれへんしなぁ!
隆)俺の話はいいんだってば。
N)ま〜たお前は硬派ぶってぇ〜〜!
 
 
会わせられないよな。
 
隆二の彼女が〇〇だなんて
誰も知らないし、言えるわけもないだろ。
 
 
臣)あ〜〜〜腹一杯!
E)俺も〜!めっちゃ食った〜〜!
直)臣、なんか最近顔色いいよね。
臣)そうですか?
隆)俺も思ってた。
  歌もすげぇ調子いいし。
臣)うん。
N)なんだよーー
  彼女でもできたのかー?
臣)いえ。
 
 
彼女はいません。
 
ただ、どうしようもないくらいに
愛してる女はいます。
 
 
健)あ〜〜〜しばらく釣り行けへんなぁ…
N)ん?なんで?
健)来週から稽古で1週間缶詰ですわ。
E)またですかー?大変っすね!
N)俺も来週はびっしり韓国だ。
隆)俺は国内だけど、地方周りで
  3週間いないや。
直)みんな忙しいなぁ!
臣)……
 
 
俺はみんなほど仕事はない。
ソロの仕事も落ち着いたから。
 
 
 
……
 
 
 

 
 
 
〇)臣、お帰りなさい♡
臣)ただいま。
 
 
エプロン姿で出迎えてくれる姿に
思わず笑顔がこぼれる。
 
 
〇)ご飯、もうすぐでき…っ、んんっ///
 
 
後ろから抱きしめて、
エプロンをほどいて。
 
 
〇)待って…///
臣)ダメ。
 
 
3週間も一緒にいられるのに
一分一秒も惜しくて。
 
 
〇)お…み…、っ///
 
 
何度求めても、お前は応えてくれる。
 
 
……いや、
お前も俺を求めてるんだろ?
 
 
口付けて、触れ合って、口付けて。
 
 
交わる呼吸。
 
絡み合う熱。
 
 
臣)〇〇…っ
〇)臣…っ!
 
 
唇を離すのも惜しいくらいの
深いキスの狭間で
必死に互いの名を呼んで。
 
 
臣)愛してるよ、〇〇。
〇)私も…、愛してる、…っ
 
 
あっという間に何も纏わぬ姿で
シーツの上で絡まる二つの身体。
 
 
〇)愛してる…、っ…
臣)…っ
〇)は、ぁっ、…愛してるっ、臣…!
臣)…〇〇…っ
 
 
やっともらえた「愛してる」は
思いもよらない、こんな形で。
 
 
もう止まらない俺たちは
何度も何度も抱きしめ合って…
 
罪を分かち合うように
甘くて深い、闇の底へと
何度も一緒に、堕ちていった。
 
 
 
 
お前は酷い女だと思う。
 
 
でも…
こうなるように仕向けた俺は
もっと酷い男なんだろうか。
 
 
隆二…、俺、言ったろ?
 
 
「……俺さ、ほんと最低な男なんだよw」
 
 
そう。
最低な男なんだよ、俺は。
 
 
「女ってのは…
 奪われたい、求められたい、
 そんな我儘な生き物なんですよ。」
 
 
そう言ったのは岩ちゃんだったっけ。
 
 
奪われたい、求められたい、
そんな女の欲求が強いお前は
あっさり俺の、手に堕ちた。
 
 
「俺さ、ほんとにお前のこと愛してる。」
 
 
俺の気持ちはずっと変わってない。
 
 
「俺ほんとに…
 何があってもお前のこと
 一生好きだと思う。」
 
 
そう。
愛してるんだよ、何があっても。
 
 
こうしてお前をこの手に抱けるなら
なんだっていい。
なんだってする。
 
 
狂おしいほどに切ない愛情を
俺から感じ取るお前は、恍惚と微笑むんだ。
 
 
そしてあいつが帰って来る頃には
俺の香りを綺麗に消して、
おかえりと笑顔で出迎えるんだろう?
 
 
それでいい。
 
 
「もう…自分がマトモじゃないって
 きっとわかってんだよ…。
 
 わかってても…止められなくて…
 苦しくて…泣きたくて…
 でも好きで…」
 
 
誰も悪くない。
 
 
………そう。
 
 
ただ、それぞれがそれぞれに、
強い想いを心に抱いているだけ。
 
 
それだけなんだ。
 
 
 
 
 
 
ーendー

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コメント

  1. キヨカ より:

    すごく切ないです(T . T)
    この女の子‼︎すごいですね…
    でも、臣くんがココまでホントに一途に好きになれる人と出会って欲しいと思いました^ ^

    • マイコ より:

      むふふふ(❁´ω`❁)♡ちゃんとはかけ離れた女の子でした笑

  2. ヒロマロン より:

    おぉーーーすごい!!!
    すごいストーリーです!!
    臣くんの別れの時なんてうっすら涙したのに…なんだこの展開!この女の人!!

    読み終えてなんか変な疲れが出ましたが、これからも楽しみにしています♡
    岩ちゃん◇ちゃんストーリー待ってます♡♡

    • マイコ より:

      わひゃひゃ。゚(゚^∀^゚)゚。
      とんでもない女を描いてみました笑
      楽しかった〜〜〜笑

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