(71)太陽みたいな花束

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どうしよう!!
緊張してあんまり眠れなかった!!
 
大事な日なのにー!!
 
 
お肌大丈夫かな…?
 
鏡を見るといつもと変わらなかった。
 
 
♡)ほっ…
 
 
よし!!
少し早いけどもう用意しちゃお!!
 
 
あ…、服どうしようかな。
 
 
♡)えっと…
 
 
今日は…
里山さんのお店に行って…
夜は4人でお祝い。
 
 
その間って何するんだろ…?
全然考えてなかった。
 
告白で頭がいっぱいで…
 
 
まぁでも激しいアクティビティはないよね?
じゃあこのワンピースにしようかなー♡
 
あ!でも…
こっちの方がいいかな…
これならバッグはピンク?
白かな…
 
 
あ!待って!!
これだとヘアアクセどれにしよう…
 
こっちの方が合うかな…
いや、こっちかな…
 
 
あ!!靴!!!
靴とも合わせなきゃ!!!
 
 
♡)えっとえっと…
 
 
わーん!!
決められないよぉ!!!
 
 
せっかく早く起きたのに
気付いたらいつも通りの時間になってて。
 
 
♡)はわわわっ
 
 
急いで準備をして、
臣くんにもらったピアスをつけて…
 
 
♡)よしっ!!♡♡
 
 
変なとこないかな…?
大丈夫かな…?
 
 
鏡の前でくるっと回ってみる。
 
…大丈夫だよね?
 
 
♡)にゃんこっ!!
  2週間ありがとうございました。
  いよいよ本番、行ってきます。
  見守っててねっ///
 
 
あ~~~ドキドキするよぉ!!!
 
 
プレゼントよし!
ケーキよし!
 
いざ、出発!!!!
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
臣)うーん…。
 
 
サングラスどれにしよ…。
 
つーか…
普通に外で飯食うんなら
マスクした方がいいのか?
 
個室とか…多分ねぇよな?
バレっかなぁ…
 
 
でも平日の昼間だし、そんなに人もいねぇか!
 
ハットとサングラスだけでいいや。
 
 
臣)よし。
 
 
あいつ…そろそろ来るかな?
 
 
どんな格好して来るんだろ。
髪もいつも違うしな~~
 
 
つーか地味に会えるの2週間ぶりなんだよな。
あ~~~~
早く会いてぇ。ヤバい。
 
 
ピンポーン。
 
 
臣)!!!
 
 
来た!!
 
 
すぐにオートロックを開けて
玄関まで迎えに行くと、
2回目のピンポンが鳴った。
 
 
ガチャッ。
 
 
♡)あ、あ、あ…っ///
臣)おはよ。
♡)お、お、おはよっ///
臣)どうぞー。
♡)お、お、お邪魔しますっ!!
臣)??
 
 
なんだ?
 
♡がまた少し挙動不審。
 
 
あ…、今日もイイ匂いする。
 
ふわっと鼻をかすめる甘い匂い。
 
 
つーか…
 
 
臣)……///
 
 
今日、すげぇ可愛いんだけど。
うあ~~~///
 
デートだからオシャレしてきてくれたんだって
勝手に思い込もう、うん!
 
 
あ!!
ピアスつけてくれてる!!
 
やっぱ似合うな……
これにして良かった。
 
 
あ~~~~
つーかほんと可愛い///
いつも可愛いけど今日特に可愛い!!
 
 
♡)あ、あ、あのっ!!!
臣)ん?
♡)えっと、あの、
  お誕生日おめでとう!///
臣)うん。ありがとw
♡)……///
 
 
ん??
なんで赤くなる??
 
 
臣)お前…また熱ないよな?
♡)ほわぁっっ!!!!
臣)…っ
 
 
俺が♡のでこに触ろうとすると
すごい勢いで逃げられた。
 
 
♡)あ、あ、えっと、ないです!//
臣)……
 
 
その避けっぷりはなんだよ…。
 
なんか…蘇る記憶たち…
 
 
♡)あ、あのね!!
  これ、プレゼント!!///
臣)え?
♡)はいっ!!
 
 
紙袋から出てきたのは
ケーキみたいな箱と、ラッピングされた袋。
 
 
臣)これ…ケーキ?
♡)うんっ!
臣)え、作ったの??
♡)うんっ!
臣)え、マジで???
♡)うんっ!
臣)…っ
 
 
うっそ…
 
手作りケーキとか…
ヤベぇ…死ぬほど嬉しいんですけど…
 
 
臣)開けて…いい?
♡)うんっ!
 
 
中を覗くと、
可愛いイチゴのチョコレートケーキ。
 
 
臣)うわ、すげぇ美味そうっ!
♡)ほんと?
臣)うん!!すげぇ!!
♡)えへへ♡良かったぁ♡
臣)今食っていいの?
♡)え!!もう??
臣)うん。食べたい。
♡)いいけど…ランチ入る?
臣)うん。食える。
 
 
だって割と小さめだし!
 
 
♡)あはははw
  じゃあ食べよ~♡
臣)うん!!
  で…、えっと…これは?
♡)それもプレゼントだよー♡
臣)開けていいの?
♡)うん!!
 
 
ラッピングされた袋を開けてみると、
 
ふっかふかのタオルと
アロマオイルが数種類入ってた。
 
 
臣)え、何これ、すっげぇ気持ちいい!
 
 
何この手触り!!
 
 
♡)えへへ♡
  臣くんね、毛布にくるまるの好きー!って
  言ってたから…
  肌触りいいもの好きかなって思って。
臣)うん。
♡)すっごくすっごく気持ちいいタオル
  探したのー♡
臣)ほんとすげぇふかふか!
♡)気持ちいいでしょー?♡
臣)ずっと触ってたいw
♡)あははは♡
 
 
わざわざ探してくれたんだ…
すげぇ嬉しい。
 
 
♡)こっちのアロマオイルはね、
  香りごとに色んな効果があるんだけど
  臣くんいっつも忙しいから
  疲労回復とか安眠効果があるやつを
  集めてみました!
臣)ほぉ!!
♡)タオルに少しつけてもいいし
  お風呂に入れてもいいし、
  何にでも使えるのー♡
臣)癒しアイテムですか。
♡)そうです♡
 
 
ほんとにめっちゃ嬉しい。
 
 
臣)ありがとw
♡)えへへ♡
 
 
あ~~~///
その笑顔が一番の癒し効果なんだけどな…
 
 
♡)あとね…
臣)んー?
♡)これっ♡♡
臣)おわっ!!
 
 
♡の背中から出てきたのは…
 
 
臣)え、え、花束??
♡)うん!!おめでとう~~♡♡
臣)え、え、え…っ
 
 
女から花なんて、貰ったことない…
 
 
♡)臣くんがね、誕生日のお花くれて
  すっごく嬉しかったから
  臣くんにもーー♡♡
臣)すげぇ…
  めっちゃキレイ…
♡)これね、臣くんのイメージ♡
臣)えっ?
 
 
オレンジ色の花に
白や黄色や黄緑の花が少し入ってて、
なんかあったかい花束。
 
 
臣)俺…こんなイメージなの?
♡)うんっ♡
臣)……
 
 
俺…、いっつも大体クールだとか
イメージカラー青って言われんだけど…
 
 
♡)なんかね、優しくてあったかい…
  太陽みたいなイメージ♡
臣)……///
 
 
初めて言われた…
そんなこと。
 
 
♡)臣くんが好きなお花ってなぁに?
臣)んー…金木犀かな。
♡)そうなんだ!!
  じゃあ…色は一緒だった♡
  良かった♪えへへ///
臣)お前はー?
♡)え?
臣)花好きのお前は何が一番好きなの?
♡)えー!!
  私は…なんでも好きだよ?
  金木犀も好きだし…
  紫陽花とかチューリップとか…
  あ!でもやっぱり桜が一番好きかな♡
臣)そうなんだ。
♡)うん♡
 
 
♡ならどんな花でも似合うけど…
ピンクの桜は確かにイメージにピッタリ。
 
 
臣)……
 
 
俺のイメージだって言って
こんな可愛い花束くれたけど…
 
なんか…
このオレンジ色がすげぇあったかくて
心まであったかくなる。
 
 
臣)ありがと。
♡)うん。
臣)すげぇ嬉しい。
♡)ほんとっ?
臣)うん。
♡)えへへ///良かったぁ♡
臣)……
 
 
あ~~~~
やっぱりもう言いたい!!
 
好きだって…
言っちゃダメかな…。
 
 
臣)あのさ…、
♡)じゃあケーキ切るねー?
臣)え!!あ、ちょ、待って!!
♡)え?
臣)写真撮りたいっ!!
♡)えっ…
臣)つーか…なんか切っちゃうの
  もったいねぇな…
 
 
このまま飾っておきたいくらい。
 
 
臣)ほんとお前天才だなーー
♡)……///
 
 
生クリームじゃなくて
チョコレートケーキなのは…
 
バレンタインの分も合わせて
チョコなんだって、勝手に思っとこ。
 
 
カシャッ!カシャッ!
 
 
何枚か写真を撮ったけど…
 
 
臣)やっぱもったいねぇな…
  どうしよう…
♡)今食べない??
臣)うーーーん……
  いや、でもやっぱり
  一緒に食べたいから食べる!
♡)あははは♡
  じゃあ切るね?
 
 
♡がケーキを切ってくれてる間、
俺は花瓶代わりになるものを探した。
 
 
臣)うーん…
  俺もペットボトルしか見当たらない。
♡)え?
臣)花瓶代わりになるもの。
♡)あ!そっか!あはははw
  でもペットボトルも意外にいけるよー!
臣)ちょっとやってみよ。
♡)うんw
 
 
ペットボトルを切ってみて
花束を挿してみると…
 
これはこれで、
なかなかそれなりに見える。
 
 
臣)うん、いいかも。
♡)キレイ♡
臣)なんか…
  家ん中に花があるっていいな~~
♡)癒される?
臣)うん。
♡)良かった♡
  はい、ケーキ切ったよー♡
臣)あ、さんきゅー。
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
臣くんはケーキを一口食べると
目を閉じて喋らなくなった。
 
 
♡)えっと…
臣)……
♡)あの…、無反応…?
臣)…今、噛み締めてんの!!
♡)えっ!!
臣)めっちゃ美味いから!!
♡)えっ!…あ、ありがと///
臣)あ~~~~~
  マジで美味い。幸せ。
♡)……///
 
 
こんな喜んでくれるなんて
作ってよかった///
 
嬉しいな…
 
 
♡)ありがとう…///
臣)いや、だから、ありがとうは俺だってw
♡)あ!そっか!//
臣)そ!!w
♡)あはははw
 
 
それからケーキを食べ終わって
お皿を洗ってると、
 
臣くんが後ろに来て…
 
 
臣)あ、なんか可愛いのつけてる。
♡)え??
臣)これ。
♡)きゃっっ///
 
 
髪を触られて、
思わず過剰に反応しちゃった。
 
 
♡)あ、ごめん///
臣)……
♡)ヘアアクセ…?
臣)うん…。
  ほんと色んなの持ってるよなー。
♡)……うん。
臣)……
 
 
どうしよう…
 
やっぱり距離が近くなると
ドキドキしちゃう…///
 
 
近くに来たら意識しちゃうから
近寄らないでーっ!!
 
 
は!!でも…
 
そんなこと言ってたら告白なんか
出来ないよね…
 
わーん!どうしよう…っ
 
 
告白のこと考えたら
またドキドキしてきちゃった!!
 
 
臣)なぁ。
♡)きゃあ!!!
臣)えっ
♡)わ、わ、びっくりした!
臣)え、ごめん…
♡)ううん!ごめん!!///
臣)なんか…お前やっぱ今日ちょっと変。
♡)へ、変じゃないもん!///
  よし、洗い物終わりっ!!
 
 
私は慌てて臣くんから離れた。
 
 
変に思われないように
普通にしなくっちゃ!///
 
 
臣)ありがと。
♡)ううん!!
  えっと、えっと、じゃあもう行く?
臣)うん。行こっか。
 
 
それから私たちは一緒にマンションを出て
タクシーに乗った。
 
 
♡)自由が丘の、このお店まで
  お願いします。
運)かしこまりましたー!
 
 
タクシーが走り出すと
臣くんが私の顔を覗いてきた。
 
 
臣)お前さ、プレゼントくれるために
  うちまで来てくれたんでしょ?
♡)あ、うん。
  臣くん荷物になっちゃうかなって思って。
  ケーキもあったし!
臣)わざわざありがとな。
 
 
そう言った臣くんが
すごく優しく笑うから…
 
 
♡)ううん///
 
 
胸が…きゅってなる…///
 
 
臣)あ、あそこ、桜咲いてる。
♡)え、うそっ!
臣)ほら。
 
 
臣くんが指差した窓の向こうを
必死に探すけど…
 
その拍子に、臣くんに手がぶつかって
慌てて離れた。
 
 
♡)ご、ごめんね!!///
臣)……なんで謝んの?
♡)えっ…
臣)こんなんで。
 
 
そう言った臣くんが
私の手を掴もうとしたから、
 
私は慌ててパッと離して
元の位置に戻った。
 
 
♡)えっ…と…
  もう咲いてるなんて早いね!!
  さ、桜!!
臣)……
♡)早咲きなのかな…
臣)……
♡)…っ
 
 
どうしよう…
絶対臣くんに変に思われてる…。
 
だって…
 
緊張するんだもん!///
 
 
臣)……
♡)……
 
 
そのまましばらく沈黙で…、
 
お店に着いてタクシーを降りると
陽射しが眩しかった。
 
 
臣)今日すげぇ天気いいな~~
♡)ほんとだね!
  臣くんの誕生日だからだー♡
臣)なんだよそれw
♡)だから晴れてるの♡
 
 
私がそう言うと
臣くんはあははって笑った。
 
 
♡)わ!お店すっごく可愛い!!
臣)おお!!ここかー!!
  すげーなぁ!!
♡)わぁ!わぁ!!♡♡
 
 
里山さんのお店はどこから見ても
イタリアンってわかるような配色で
すごくPOPでカラフルで可愛い。
 
 
外には黒板が出てて、
今日のオススメメニューが書いてある。
 
 
♡)今日は…
  ズワイガニとアスパラのクリームパスタが
  オススメだってー!
臣)ほ~~!ピザは
  フルーツトマトとバジルだって。
  フルーツトマトって甘いやつでしょ?
♡)うん。
臣)どんなんなんだろ…
♡)わ~もう全部美味しそう♪
臣)あはははw
  とりあえず入るか。
♡)うんっ!
 
 
可愛い真っ赤な扉を開けて
二人でお店に入ると、
 
里山さんがすぐに気付いて
出迎えてくれた。
 
 
妻)♡ちゃん!!!
♡)里山さーーん♡
妻)やだー!!来てくれたのー??
♡)はいっ♡
妻)ちょっと!あなた!
  ♡ちゃん来てくれたわよ!!
夫)おお!!♡ちゃん!!
♡)えへへ♡
  来ちゃいましたー♡
夫)ああ!君も一緒に来てくれたんだね!!
臣)はい。
夫)いやいやありがとう!!
  ゆっくりしていってね!!
臣)ありがとうございますw
 
 
丁度開店時間の11時だったから
他にお客さんはまだいなくて…
 
私たちは陽当たりのいい窓際の角の席に
案内してもらった。
 
 
♡)何にしよっかな~~♡
臣)めっちゃ種類あんなー
♡)ね!こんなにあったら迷っちゃう!
  ピザも食べたいし
  パスタも食べたいし…
  う~~~ん…
臣)じゃあ両方頼んで一緒に食う?
♡)え!いいの?
臣)うん。
♡)じゃあそうするー!!
  わーいっ♡
 
 
私たちがオーダーし終わると
大学生くらいの女の子たちが入ってきた。
 
 
妻)いらっしゃいませー
 
 
臣くんは気持ち良さそうに外の景色を眺めて、
サングラスを外した。
 
 
臣)今日ほんと天気いいなー♪
 
 
その瞬間だった。
 
 
女)え!!うそ!!
女)え!!あれ臣じゃない?!
女)え!え!え!!
 
 
女の子達が大きな声で騒ぎ始めて
臣くんは慌ててサングラスをかけた。
 
 
臣)やっべ。
♡)わ、わ、どうしよう。
臣)バレたな。
♡)え、え、どうしたらいいの?
臣)いや、そんな焦んなくてもいいけどw
♡)え、え、だって…
 
 
女の子たちは席に案内されると
一度座って、すぐにこっちに来た。
 
 
女)あの…いきなりすみません。
臣)……
女)あの…私たち三代目のファンで…
女)ほんとに好きなんです!
女)大ファンなんです!!
 
 
あわわ…っ
私はどうしたらいいんだろう…汗
 
 
女)登坂さん…
臣)……
女)ですよね?
臣)…さっきは呼び捨てにしてたじゃんw
女)えっ…
 
 
臣くんがもう一度サングラスを外すと、
女の子たちは悲鳴をあげた。
 
 
女)ヤバい!!本物だ!!
女)キャー!!どうしよう!!
臣)シーーーッ!!
女)あっ…
臣)騒いだら迷惑かかるからシーッ
女)わ、わ、ごめんなさい!
女)すみません!!
女)あの…っ
  本当にいつも応援してます!!
臣)ありがとーーw
 
 
臣くん…すごく普通だな…
 
 
女)デートですか…?
女)彼女さんですか?
 
 
はっ!!
 
女の子達の視線が私の方に…!!
あわわわっ!!
 
 
女)え、めっちゃ可愛いんだけど。
女)ほんとだ…
♡)えっと、えっと、私…イトコです!!
女)え、イトコ?
♡)はい!!ただのイトコです!!
  ね!!広臣!!
臣)ぶっwww
女)臣のイトコだって。
女)そうなんだ。
  確かにちょっと似てるかも。
女)ほんとだ。
♡)イトコです!!!
 
 
私が必死に嘘をつくと
臣くんは目の前で笑いをこらえてる。
 
なんで笑うのーー!!///
 
 
女)あの…プライベートなのにごめんなさい。
女)サイン書いてもらえたりしないですか?
臣)いいよー。どれ?
女)キャー!!!いいって!!!
臣)シーーー!!
女)あ、ごめんなさい!!
女)え、どうしよう!
  ペンとか何もないよぉ!!
女)え、そうだよね、どうしよう。
 
 
女の子達が困ってると、
ちょうど里山さんがお冷を運んできた。
 
 
妻)あら…お客様…
  どうかされたんですか?
女)あの…っ
  私たち登坂さんの大ファンで…
妻)トサカさん??
女)え!!おばさん、知らないんですか?
  三代目ですよ??
妻)え?え?
  ええと…有名な方だったの??
 
 
里山さんが臣くんの顔をじっと見てる。
 
 
女)有名も有名ですよ!!
  私たちのアイドルなんだから!!
妻)まぁ!!
女)「登坂広臣」ですよ!
妻)トサカくん??
  わかった!おばさん覚えたわ!
  で、あなた達は何してるの?
女)サイン欲しかったんですけど
  ペンがなくて…
妻)あら!じゃあ今持ってくるわね!
女)やったー!
  ありがとうございます!!
 
 
それから里山さんが
ペンを持ってきてくれて
臣くんがサインを書いてあげると
 
女の子達は名残惜しそうに
自分たちの席に戻っていった。
 
 
臣)ペンありがとうございました。
妻)いーえー!
  えっと…登坂くん??
  アイドルだったなんて知らなかったわ!
  ごめんなさいね?
臣)ええと…
  アイドルではないですw
妻)え!そうなの??
  でも有名なんでしょ??
  そう言われてみれば
  ものすごくハンサムだものねぇ!
臣)いえ…w
妻)ま、今日はプライベートなんだろうし
  ゆっくりしていってね♡
臣)はい、ありがとうございます。
 
 
そう言うと里山さんは
ニコニコしながら戻っていった。
 
 
♡)はわわわ…
臣)どうした?
♡)なんかドキドキしちゃった。
臣)バレたから?
♡)うん。
臣)つーか…顔似てるって…
  ぶくくくくww
♡)似てるのかな?
臣)いや、似てねぇだろ!!w
♡)そうだよね…w
臣)人間の先入観は
  おそろしいってことでw
 
 
臣くんがめっちゃ笑ってる。
 
 
臣)それにしても咄嗟にイトコって…ww
♡)だ、だって!!
臣)さっきの面白かったなーw
  ちょっともっかいやってよ。
♡)え??どれ??
臣)イトコのフリww
♡)え、え、え、
臣)ぶくくくww
♡)~~~///
 
 
もう!臣くんがバカにしてるー!!
私必死だったのにー!!///
 
 
♡)臣くん、
臣)あ!
♡)え?
臣)あの子らめっちゃ見てる。
♡)えっ!
 
 
そう言われて振り返ると、
女の子達は本当にずっとこっちを見てる。
 
 
♡)…っ
 
 
そうだよね…
気になって仕方ないよね。
 
 
臣)臣くんとか呼んだらバレんぞ。
♡)え!!
臣)ほら、さっきのやつ。やってw
♡)えっ…///
 
 
臣くんがニヤニヤしてる。
う~~!!!
 
 
♡)ひ、広臣っ!!!///
臣)はーいw
♡)~~~///
臣)ぶくくくw
♡)もう!言わせといて笑わないでよ!///
臣)だって可愛いんだもんw
  すげぇ必死なカンジが…w
♡)……///
 
 
必死なのバレてた…
なんか恥ずかしい…///
 
 
♡)あ、ねぇ!
臣)んー?
♡)あの子たち、臣くんの…
臣)はい、また。
♡)え?
臣)臣くんじゃなくて?
♡)えっ!!///
 
 
またニヤニヤしてる臣くん。
 
ここではずっと
広臣って呼ばなくちゃいけないの?
 
恥ずかしいよぉ!!
無理っ!!///
 
 
♡)……
臣)おい、話の続きはw
♡)えっと…、登坂さんが今日、
臣)おい!!
  誰が登坂さんやねんw
♡)臣くん…
臣)登坂さんだけどさ!w
♡)…だって…///
臣)不自然だろがw
♡)~~~///
 
 
ううう~~!!
もぉ!!!
 
 
♡)広臣が!!
臣)はいよw
♡)~~~///
  誕生日だって…知らないのかな?
臣)ああ、確かに…
  知らないんじゃね?
♡)ファンなのに??
臣)それくらいの子もたくさんいるからねー
♡)そっか、そうなんだ。
臣)なんで?
♡)誕生日にイトコとランチしてるって
  設定、変だったかなって思って…
臣)ああ、その心配?w
♡)うん。
臣)まぁどうにでもなるっしょw
♡)そうかなぁ。
臣)うん。心配すんな。
♡)……
 
 
だって…
LIVEの時だって
女の子たちすごく絶叫してたし…
 
私すっかり忘れて
デートだって楽しみにしてたけど
誕生日にデートしてるなんてバレたら
大変なんじゃ……
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
妻)はーい、お待たせ~~♡
臣)おおっ!!
♡)わぁ!!美味しそう!!
 
 
ピザとパスタが運ばれてくると
♡は嬉しそうに目を輝かせた。
 
 
♡)すごーいすごーい♡
妻)ありがと~~~ww
  足りなかったら言ってね~♡
♡)あははw
  ありがとうございます♡
 
 
それから俺がパスタを取り分けて渡すと
♡は美味しそうに頬張って。
 
 
♡)すっごい美味しいよぉ♡
臣)良かったね~~w
  あ、ピザもすげぇ美味い!
♡)え、え、食べる!!
  あ!ほんとだー!!♡
  ん~~~♡幸せ~~~♡
臣)…ww
 
 
ほんと美味そうに食うよな~~ww
 
 
臣)あ、このジンジャーエールも
  すげぇ美味い。
♡)え!!普通のじゃないの?
臣)なんかすげぇ生姜!!ってカンジw
♡)えー!飲みたーい!
  臣くんちょっとちょうだい♡
臣)はい、ダメー。
♡)えっ!
臣)臣くんじゃなくて?
♡)あっ!!///
 
 
また顔真っ赤にしてるしww
 
 
別に…
あの子らには多分、聞こえてないだろうけど
 
めちゃめちゃ恥ずかしそうに
「広臣」って呼ぶのが、死ぬほど可愛いから
 
意地悪したくなる。
 
 
♡)……
臣)あ、いらないの?
♡)~~~っ
臣)いや~~美味いな~~
♡)……ちょうだいっ//
臣)え?なんて?
♡)広臣のっ……ちょうだい///
臣)…っ
 
 
ヤバい…///
自分で言わせといて…
思いのほかなんかエロくて照れる///
 
 
臣)もっかい言って。今の。
♡)もうやだもんっ!///
臣)はいはい、ごめんw
  ほら。
 
 
ジンジャーエールを渡すと
一口飲んだ♡の目はまん丸に。
 
 
♡)ほんとだー!!生姜だーー!!
臣)な、美味いよな。
♡)本物のジンジャーエールってカンジ!!
臣)じゃあいつものは偽物なんかいw
♡)はっ!そういうこと?!
臣)どういうことだよw
♡)わかんない。
臣)なんじゃそりゃ!w
♡)私のぶどうジュースもね、
  ぶどう~~!!ってカンジなんだよ!!
臣)ぶっww
♡)ぶどうぶどうーー!!
  ってカンジ!!
臣)いや、わかったってw
♡)臣くんも欲し…、あっ!
  えっと…、広…臣も…欲しい?///
臣)……///
 
 
少し恥ずかしそうに
首を傾げて俺の顔を覗く♡が可愛くて…
 
 
臣)ん。一口ちょうだい。
♡)はい…///
臣)……///
 
 
ああ~~もう…
俺がドキドキしてどうすんだよ///
 
 
臣)ん。ありがと。
♡)美味しいでしょ?
臣)うん。
  ぶどうぶどうーー!!
  ってカンジw
 
 
俺が♡の真似をすると
♡はほっぺを膨らませた。
 
 
♡)ばかぁっ
臣)あ、怒った。
♡)ぷんだ。
 
 
怒り方まで可愛いしww
 
 
それから俺たちの食事が終わると
里山さんがサービスで
ドルチェを持ってきてくれた。
 
 
♡)わぁぁぁ♡♡
妻)♡ちゃん来てくれて嬉しいから
  これはサービスね♡
♡)いいんですか??
妻)もちろん♡
  食べていって~~♡
♡)やーーん♡嬉しい!♡
臣)ありがとうございます。
妻)いえいえw
  それじゃ♡
 
 
♡はまた目を輝かせて
スプーンを手に取った。
 
 
♡)さっきもケーキ食べたのに
  またデザートだぁ♡
臣)ほんとだなw
♡)臣くん食べれる?
臣)全然いける。
♡)良かったw
  あ~~ん♡美味しい~~♡
 
 
ほんと幸せそうな顔w
 
 
臣)そーいやさ、この後どーするー?
♡)え?
臣)夜まで時間あんじゃん?
  どこ行きたい?
♡)あ!そうだ!そうだよね!
  えっと…
  臣くんはどこ行きたい?
臣)お前はー?
♡)臣くんはー?
臣)……
♡)……
臣)うーーん、困ったw
♡)困ったw
臣)どこでもいいんだけど…
♡)私自然に癒されたいなぁ~♡
臣)自然?
♡)うん!何でもいいんだけど…
臣)自然かぁ…
  じゃあ自然に還りますか。
♡)いいんですか?
臣)いいですよ?
♡)還りますーー!♡
臣)あはははw
 
 
自然ってどこだろ…
なんかいい場所あるかな?
 
 
♡)あ!でもね!確かこの辺に
  ベネチアっぽい建物とかがあるんだって!
  そこも行ってみたいなー♡
臣)ほぅほぅ。
  じゃあそこ行ってから
  どっか自然に還るってことで。
♡)うんっ!♡
 
 
そのまま俺たちがドルチェを食ってると
さっきの女の子たちがまたテーブルに来た。
 
 
女)あの…本当にありがとうございました。
女)サイン、家宝にします!!
臣)ははっw
女)ずっと応援してます!
女)頑張ってください!
臣)ありがとうございます。
  あ、もろもろNETにあげないでね?w
女)あげません!!
女)死守します!!
臣)あはははw
  助かります。
女)それじゃあ…
女)本当にありがとうございました!!
 
 
女の子たちは深々と頭を下げて
店を出て行った。
 
 
♡)家宝にするって!すごい!
臣)あはははw
  じゃあ俺らもそろそろ行きますか。
♡)うん、そうだね。
 
 
 
 
 
ー続ー

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