(50)このまま持って帰りてぇ

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クランクインを迎えてから
俺は本当に忙しくなって…
 
都内と湘南の往復は
寝てることがほとんどだった。
 
 
睡眠時間はろくに取れてなかったけど
不思議と現場に入ると
目が冴えて頭がハッキリする。
 
 
ツアーリハも同時に始まってて…
 
俺はほとんど参加出来ずに
隆二がバンドメンバーと
色々進めてくれていた。
 
 
「お前は撮影に専念しろ。
 こっちはちゃんとやってるから。」
 
 
そう言ってくれて…。
 
 
来年のPERFECT YEARは
俺たちのLIVEから始まる。
 
 
絶対に成功させたい。
絶対に!!!
 
 
映画も100%…いや、
120%ちゃんとやりたい。
 
ツアーリハにも本当は参加したい。
 
♡にだって…会いに行きたい。
 
 
時間が本当に足りなくて…
 
身体が2つあればいいのにと
何度も思った。
 
 
 
♡は…
 
新しいプロジェクトとかで
本当に忙しくなったみたいで
朝早くに会社に行って
夜も0時過ぎに帰って来てるみたいで。
 
 
俺が心配したら
 
 
「ちゃんと寝てるから大丈夫だよ。
 臣くんの方が心配。」
 
 
って、そう言ってた。
 
 
あんなほっそい身体で
すげぇ頑張るよな…。
 
 
入社したての頃も
同じくらい忙しかったみたいで
 
 
「慣れてるから平気だよ。」
 
 
って電話の向こうで笑ってた。
 
 
そんな忙しいくせに…
俺らが出る番組は絶対録画してくれてて
 
観ると必ずLINEをくれる。
 
 
いつも喜んでくれて
どこがカッコ良かったとか…
歌に感動したとか…
 
無邪気にそう言ってくれるのが
本当に嬉しくて。
 
 
でも…
 
明らかにお互い
LINEの回数は減ってる。
 
電話できることも
ほとんどなくなった。
 
 
最後に会ったのは
絶対やだって突き飛ばされたあの日だし…
 
ああ、何回思い出しても凹む…。
 
 
でも会いたい。
 
 
お互い忙しいのはわかってる。
 
わかってるけど…
 
 
会いたい。
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
新しいプロジェクトが始動して
毎日本当に忙しくなった。
 
 
土日も家で仕事して
平日は朝から晩まで会社にいる。
 
 
本当に大変でクタクタだけど…
でも…
 
 
臣くんが頑張れって言ってくれたから…
成長できるよって言ってくれたから…
 
絶対頑張りたいの。
 
 
前よりLINEの回数は減ったけど…
 
それでもたまに携帯を開いた時に
臣くんからLINEが来てると
それだけですごく嬉しくて
やる気が湧いて来るのを感じるんだ。
 
 
臣くんの力ってすごいな…。
 
 
臣くんは…
三代目の仕事と映画の仕事の両立が
本当に大変みたいで…
 
睡眠時間が移動時間だけの日も
あるみたい。
 
 
でも臣くんは絶対弱音を吐いたりしない。
 
 
わかってるから…
余計心配になる。
 
本当に大丈夫かな…
 
 
私もあまり体力残ってないけど…
私の体力使っていいから
神様、臣くんを元気にしてくださいっ!!
 
 
臣くんが倒れたりしませんように。
笑顔でいられますように。
 
 
私も仕事でいっぱいいっぱいで
前より臣くんのことを考える時間は
すごく減っちゃったけど…
 
でもいつも心の中には臣くんがいる。
 
 
会いたいな…
 
声が聴きたい…
 
 
 
……
 
 

 
 
 
11月も終わる頃…
課長が声をかけてくれた。
 
 
課)お前さすがに根詰めすぎじゃないか?
♡)え…?
課)たまには早く帰って少し休め。
♡)でも…これ終わらせたいし…
課)ダーメだ。帰れ。
M)そうですよぉ!!
  先輩、頑張り過ぎです!!
男)これは俺がやっとくからさ。
  マジで今日は寝ろ。
♡)でも…
 
 
みんな大変なのは同じなのに…
 
 
男)いいから大人しく言うこと聞く!
M)そうです!
  たまには私たちにも頼ってください!
♡)ありがとう…
  わかった、今日は帰るね?
課)ゆっくり休めよ?
男)じゃあまた明日。お疲れ。
M)おつかれさまです♡
 
 
みんなの言葉に甘えて
家に帰ってきたのは20時過ぎ。
 
 
こんな早く帰ってこれたの、いつぶりだろう。
 
 
ピロピロ♪ピロピロ♪
 
 
♡)あ…っ、
 
 
携帯を開くと、
臣くんから送られてきた綺麗な写真。
 
 
臣『湘南の朝陽。昨日の。
  すげぇキレイだった✨』
♡『ほんとにキレイ!!💕✨』
臣『日の出とか見たのいつぶりだろ笑』
♡『今日も朝まで撮影?』
臣『今日は夜中まで。たぶん。』
♡『じゃあ今日は私が朝陽送るー💕』
臣『なんだよそれ笑
  お前はちゃんと寝ろ。』
 
 
♡)ふふ…♡
 
 
久しぶりに続くやりとりに
なんだか嬉しくなる。
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
S)臣が一人で笑ってる。
  怖いんですけどー。
臣)え、いや、ちがっ//
 
 
思わずニヤけてた俺。
 
 
S)彼女とメールしてんでしょー
臣)つーか…
  こいつのスタンプ
  ほんとツボなんだもんww
S)見して見してー。
  ……ぶっ!ww
臣)でしょ?
S)この子絶対面白いでしょw
臣)うん。LINEしててもほんと飽きないw
S)スタンプ使い、神だわーww
臣)あはははw
 
 
でもほんと…、元気出る。
 
 
S)全然会えてないんでしょー?
臣)そりゃそーでしょ。
S)だよね~~
  ほんとお疲れ。
臣)うん。
S)今日は撮影おさないといーね。
臣)うーん…
  でもやっぱイイの撮りたいから…
S)おお!臣もそんなこと言うようになって!
臣)なんだよ…
S)もう春山にしか見えませんよw
臣)あっそ//
 
 
それから夜中まで撮影をして
解散したのは夜中の4時前だった。
 
 
帰りの車はまた爆睡で…
 
 
都内に戻って来ると、
♡からのLINEで目が覚めた。
 
 
開いてみると、
すげぇキレイな朝陽の写真。
 
 
臣)…っ
 
 
え…
 
これ…
 
 
屋上から…だよな?
 
今、起きてるってこと??
 
 
時間を見ると、まだ5時半。
 
 
俺はすぐに電話をかけた。
 
 
プルルルル…、プルルルル…
 
 
♡『はいっ!!』
 
 
出た!!
 
 
臣『お前何してんの!』
♡『え??』
臣『起きてんの?!』
♡『うん♡今屋上にいるー♡』
臣『やっぱり。
  つーか早起きすぎんだろw』
♡『そんなことないよー!
  ちょっと早いくらい。
  えへへ…♡』
 
 
ああ…やべぇ…
久しぶりの♡の声だ…。
 
 
♡『臣くんの声…、久々に聞いた…』
臣『え?』
♡『あ、TVでは聞いてるけど…
  あ!CDも聴いてるけど!
  えっと…電話の声…』
臣『……』
 
 
ヤバい…
 
会いたい…
 
直接…声が聞きたい。
 
 
臣『待ってて。』
♡『え??』
臣『今から行く。』
♡『え!!??』
 
 
車はもう、俺のマンションのすぐ近く。
 
 
臣)Sさんごめん!
  今日、公園の横のマンションにして!!
S)はいよーw
 
 
臣『会いたい!』
♡『え…っ、
  ほんとに…来てくれるの?』
臣『うん。もうちょいで着く。』
♡『え、え、じゃあ下に降りてる!!』
臣『うん。』
♡『気をつけてね?』
臣『車だってw』
♡『あ!そっか!』
臣『ん。じゃあ一回切る。』
♡『はい!!』
 
 
それから3分くらいで
♡のマンションに着いて。
 
俺が車を降りると、♡が走ってきた。
 
 
♡)臣くんっ!!!
臣)おはよ。
♡)えっ、あっ、おはよっ!!!
臣)ははっw
 
 
ああ、久しぶりの♡だ。
 
 
♡)でも…臣くん、
  おはようじゃないでしょ?
臣)ああ、そうだな。
  そろそろおやすみなさいだわw
♡)疲れてるのに来てくれたの…?
臣)前にも言ったじゃん。
  疲れてるから癒されたいんだって。
♡)え…っ///
 
 
顔見れて、すげぇ嬉しい。
 
 
臣)俺も朝陽見たい。
♡)あっ、じゃあ…屋上行く??
臣)うん。
 
 
マンションに向かって歩き出した♡は
くるっと振り向いて、ニコッと笑った。
 
 
♡)えへへ♡
臣)??
♡)久々の臣くん♡
臣)……///
 
 
なんだよそれ。
 
 
久々に会えてすげぇ嬉しいのに、
♡もそんな嬉しそうに笑ってくれたら
なんか…もう…///
 
 
♡)えいっ!
臣)……うわ…っ
 
 
♡が屋上の重たい扉を開けると、
まだ朝陽が昇ってくる途中で。
 
 
臣)すっげぇキレイ!
 
 
その景色に、思わず息を飲んだ。
 
 
♡)ねっ!
  こんなキレイなら
  毎朝早起きして見たくなっちゃう♡
臣)屋上からだと
  こんなキレイなんだな~~
 
 
すげぇなぁ…。
 
 
♡)臣くんが送ってくれた
  湘南の朝陽には敵わないけど♡
臣)あれマジ綺麗だったしょ?
♡)うん!!癒されたぁ♡♡
臣)良かったw
♡)えへへ♡
 
 
あ…
 
すっげぇ可愛く笑った。
 
 
臣)……
 
 
久々だな…♡の笑顔…。
 
 
こんな笑顔見たら、
抱きしめたくなる。
 
 
ああ、会いに来て良かった…
 
 
ほんと…会いたかった。
ずっと…
 
 
♡)ほんとに…綺麗だなぁ…
臣)……
 
 
そう言って朝陽を見つめる♡の横顔が
すごく綺麗で…
 
思わず、見とれる。
 
 
前にも…こんなことなかったっけ…。
 
 
ああ、そうだ。
 
海で見た…あの夕陽…
 
 
♡)パパがね?
臣)…うん?
♡)空が大好きだったの♡
臣)空?
♡)うん♡
 
 
♡はニッコリ笑った。
 
 
♡)パパはカメラマンで
  世界中色んなとこに行って
  いっぱい写真を撮ってたの。
臣)そうなんだ!
♡)うん♡
  それでね?
  地球はこんなに広くて
  色んな国があって、色んな人がいて…
  でもみんなこの同じ空の下にいる。
  空はどこにいても繋がってるんだよって
  教えてくれたの。
臣)……
♡)だから私も空を見上げるのが
  大好きになって…
臣)……
♡)パパと最後に一緒に見た空は
  こんな朝陽みたいに
  とっても綺麗な夕焼けだったの。
臣)夕陽?
♡)うん♡♡
臣)……
 
 
もしかして…
 
 
♡)今でも…覚えてる。
臣)……
♡)……
臣)…だから…、泣いた?
♡)え…?
臣)海で…、一緒に見た時…。
♡)……
臣)……
 
 
俺がそう聞くと、♡は何も答えずに…
 
ただ俺を見て、優しく笑った。
   
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
臣)お前のお父さんが撮った写真…
  見てみたいな。
♡)ほんと??
臣)うん。
♡)すっごくキレイなんだよ♡
臣)そうなんだ?
♡)うん!!すっごく!!
臣)はははw
 
 
パパの写真、大好きだもん!
 
 
♡)パパが仕事でいなくて寂しい時も…
  パパがいっぱい写真撮ってきてくれるのを
  楽しみにしながら待ってたの♡♡
臣)そっか…。
♡)うん♡
  パパは…何でも撮る人だったけど
  私はやっぱり…
  パパが撮った空の写真が
  一番好きだったなぁ♡
臣)世界中の空の写真かぁ…
♡)うん♡
 
 
臣くんが…
パパの写真を見たいって言ってくれて…
すっごく嬉しい♡
 
今度…見せたいな…♡
 
 
♡)あ……、
 
 
朝陽が…
 
少しずつ臣くんの横顔を染めていく…。
 
 
♡)……
 
 
キレイ…だなぁ…。
 
 
その横顔に、思わず朝陽よりも
見とれちゃう。
 
 
臣)ん…?
♡)あ…、っ
 
 
私の視線に気付いた臣くんが
優しくこっちを振り向いた。
 
 
臣)なに…?
♡)…何でも…ない…///
臣)何か視線感じた。
♡)別に見てないもんっ
臣)何だよ、変な奴w
♡)……///
 
 
最後に屋上に来たのは、1ヶ月前。
 
 
私がいっぱい泣いて、
臣くんがずっとぎゅってしてくれてた。
 
 
臣くんのぬくもり…
まだ覚えてる。
 
 
♡)……
 
 
ぎゅって…したい…。
 
触りたいな…。
 
 
♡)…はっくしゅんっ
臣)あっ、寒い?
♡)ううん!大丈夫!
 
 
そう言ったのに、
 
臣くんは自分が巻いてたストールを外して
私に巻き付けてくれた。
 
 
♡)わ、わ、わ…
臣)ぷっw
 
 
なんか顔にまで巻かれて…
 
 
♡)ちょっと~!w
  ぐるぐる巻きっ!
臣)マトリョーシカみてぇw
  それかどっかの民族衣装w
  ぶはははw
♡)もうっ!!w
 
 
結局いっぱいぐるぐる巻きにされた。
 
 
でも、あったかい…。
 
ストールから…
臣くんの匂いがする…///
 
 
♡)ありがとう…///
臣)ん。
 
 
やっぱり優しいな…臣くん…。
 
 
臣)ちゃんと寝てる?お前。
♡)今日いっぱい寝たよ!
臣)そうなの?
♡)うん!臣くんは?
臣)寝てる寝てる。
♡)……
 
 
絶対嘘だ…。
 
 
♡)ツアーの準備、順調?
臣)ガッツリかましたんで。
♡)あはは、カッコイイ♡
臣)お前いつ観に来れそう?
♡)え?
臣)チケット取るから。
♡)えっと…仕事のスケジュールが
  まだわかんないから…
臣)そっか…
♡)でも絶対行く!!!
臣)うん。わかったら教えて。
♡)うん!!!
 
 
すっごく楽しみだもんっ!
 
 
♡)無事成功しますように…。
臣)プロジェクト?
♡)え、違うよ!ツアー!
臣)ああ、そっち?w
♡)誰もケガとかしないで
  元気に最後まで思いっきり
  パフォーマンスできますように。
臣)俺もまーた骨折れないように
  気をつけよw
♡)……
 
 
こんな…笑ってるけど…
ほんとは絶対痛くて辛かったはずなのに…
 
 
臣)なーに変な顔して。
♡)今度は絶対折れませんように!!
 
 
私は臣くんの胸をさすった。
 
 
臣)ちょ、くすぐってぇわ!w
♡)念を飛ばしたのー!!
臣)もし折れてもちゃんとやるっつーのw
♡)でも痛いでしょ!
臣)痛いけど。
♡)……
 
 
どうして臣くんは
辛くても笑ってるんだろう。
 
どうして…そんなに強いの…?
 
 
臣)ほんと楽しみだな…ツアー。
 
 
そう言って臣くんは
朝陽にまた目を向けた。
 
 
臣)なんかさ…、いつも考えんだ。
♡)なぁに?
臣)俺らはさ…、
  毎公演毎公演、同じ曲を歌って踊って…
  それを繰り返してるから
  やっぱり後半は飽きたりもすんだけど…
♡)そうなんだ!
臣)うん。それは皆ある。
  でも、いっつも言ってんだ。
♡)……
臣)俺らが何回目のLIVEだろうと
  お客さんにとっては最初で最後の
  一回きりのLIVEかもしんねぇじゃん?
♡)うん…。
臣)どんな人が来てくれてるのかなんて
  わかんねぇし…
♡)うん。
 
 
そうだよね…。
 
 
臣)だから…想像してみたりすんの。
♡)……
臣)自分の進路がかかった受験を控えてて
  LIVEでパワーをもらいたくて来る子とか…
  仕事で死ぬほど忙しいのに
  なんとか休みを取って来てくれた人とか…
♡)……
臣)学生でお金もないのに
  一生懸命お金貯めて来てくれる子とか…
  失恋したばっかりで
  本当に辛くて泣きたくて仕方ない子とか…
♡)……
臣)嫌なことが続いて立ち直れなくて
  心が折れそうになってる人とか…
 
 
一人一人、想像するように
ゆっくり話してくれる臣くん。
 
 
臣)もしかしたら大切な誰かを
  失くしたばかりの人とか…
  もしかしたら病気や何かで
  あと少ししか生きられない人とか…
♡)…うん。
臣)きっとさ、来てくれてる人一人一人に
  その人の人生があって、物語があって
  その中で…俺たちのLIVEに
  足を運んでくれてるんだなって。
♡)うん…。
臣)そうやって想像すると…
  俺らも一公演一公演
  ほんとに大事にしたくなるし
  一つ一つのパフォーマンスに
  魂込めて伝えなきゃなって
  ほんとに思う。
♡)うん。
臣)ちゃんと…伝えたいから…。
 
 
そう言った臣くんの言葉には、
本当に魂が込もってる気がした。
 
 
♡)……
 
 
臣くんは…
臣くんたちは…
 
そんな風に考えてLIVEしてるんだ。
 
 
♡)きっと…
  LIVEってみんなにとって…
  楽しくて嬉しくて、笑顔になったり
  感動して涙を流したり…
臣)……
♡)また何かを頑張ろうって勇気をもらえたり
  自分の夢を見つけたり…
臣)……
♡)絶対何か少しでもプラスになって、
  絶対幸せになれる場所だと思う。
臣)……
♡)絶対…伝わるよ♡
 
 
私はそう信じてる。
 
 
臣)うん…、ありがと。
 
 
臣くんはそう言って、笑ってくれて。
 
 
その優しい笑顔に、朝陽が反射して…
なんだかとても眩しかった。
 
 
♡)……
 
 
臣くん…。
 
 
好き。
 
 
………きゅっ。
 
 
私は臣くんの手を、そっと握った。
 
 
臣)なに?
♡)……///
臣)俺が元気出るように?w
♡)え??
臣)前に言ったから…
  繋いでくれたんじゃないの?
♡)あ…っ
 
 
そういえば…
 
 
「これだけで元気になんだけど。」
 
 
そう言われて、
帰り道に手を繋いだっけ。
 
 
でも…
今は違う。
 
 
私が…繋ぎたかったんだもん///
 
 
…とは言えなくて、臣くんを見上げると…
 
 
臣)さんきゅー///
 
 
臣くんは下唇を少し噛んで
繋いでる手を自分の方へグッと引き寄せた。
 
 
♡)わっ…///
臣)あったけぇ。お前の手。
♡)…っ
臣)マトリョーシカにしたからだな。
♡)えっ!
臣)あはははw
♡)……もう///
 
 
そんなことを言いながら、
繋いでる手は臣くんのポケットの中へ
入れられた。
 
 
♡)…っ///
 
 
ドキドキ…、ドキドキ…、
 
 
臣)あ~~~
  このまま持って帰りてぇ。
♡)えっ???
 
 
持って帰るって…何を…?
 
この景色??
 
 
♡)…っ
 
 
ポケットの中で、
さらにギュッと握られた手。
 
 
♡)////
 
 
えっと…
 
えっと…
 
 
持って帰りたいって…もしかして…
 
 
臣)めっちゃ会いたかった。
♡)え…っ
 
 
そう言われてその顔を見上げると、
すごく真剣な顔。
 
 
♡)////
 
 
私はなんだか恥ずかしくなって、
思わず下を向いた。
 
 
ドキドキ…、ドキドキ…、
 
 
どうしよう。
ドキドキが聞こえそう…///
 
 
臣)会いたかった!
♡)えっ
臣)って言ってんの!
 
 
そう言われてもう一度臣くんを見上げると、
今度はちょっと拗ねた顔。
 
 
♡)……///
 
 
私だって…会いたかったもん…///
 
 
でも…
 
なんて答えたらいいのかわからなくて
戸惑ってると、
 
臣くんのもう片方の手が
私の肩に伸びてきて…
 
 
♡)…っ
 
 
思わずよけちゃった。
 
 
臣)……何で逃げるし…
♡)…だっ…て///
 
 
抱き寄せられそうだったんだもん…
 
 
♡)……///
 
 
気の…せいかな…?
 
 
…って思ってたら、
また臣くんが手を伸ばしてきて、
また私は思わずよけちゃった。
 
 
臣)こんにゃろ~~~
♡)わっわっ、わっ!!
 
 
臣くんは繋いでる手を離すと、
両手でストールをつかんできた。
 
 
臣)いっつもいっつもすぐ逃げる!
♡)だって…///
臣)逃げんな!!
♡)…っ///
 
 
ストール越しに、
臣くんの両手に顔を包まれて…
 
 
臣)ムカつく。
♡)え…っ
 
 
そのままほっぺを両方引っ張られた。
 
 
♡)いひゃい…
臣)……ぷっww
♡)なにふんのー!もう!!
臣)お前が逃げっから。
 
 
臣くんはそう言うと
そのまま私を一瞬抱きしめて、
すぐに肩をつかんで離した。
 
 
♡)…っ
 
 
今の…なに…??
 
 
♡)////
 
 
すごく一瞬だった…けど…
ぎゅって…された??///
 
 
臣)ごめん。
♡)え???
臣)……帰りたくねぇけど
  そろそろ帰るわ。
 
 
そう言って振り向きかけた臣くん。
 
 
今の…何だったのか…
よくわかんないけど…
 
 
帰っちゃうのやだ!
 
まだ…、一緒にいたい!!
 
 
♡)…っ
 
 
私は咄嗟に臣くんの服を掴んだ。
 
 
臣)え…?
♡)…っ
臣)……何?これ。
♡)えっ…と…///
臣)「今度は逃げません」ってこと?
♡)え…?
 
 
グイッと掴まれた、左腕。
 
 
♡)やっ…///
 
 
急に近くなった距離に、
私が思わずぎゅっと目を瞑ると
 
臣くんの手はパッと離れた。
 
 
臣)帰る…。
♡)あっ…!
 
 
そう言われて、思わずまた掴んだのは
臣くんの服の裾。
 
 
臣)なんなんだよ!
♡)やだっ!
臣)何が!
♡)一緒にいたいんだもん!
臣)は?!
♡)……///
臣)……///
 
 
わ…わ…
どうしよう…
言っちゃった…///
 
 
♡)あ…ごめんなさい…、違うの。
  嘘!!///
  ワガママ言ってごめんね?
 
 
慌ててそう言ったけど…
 
 
臣)は~~~~もう……
 
 
臣くんは頭を抱えて
その場にしゃがみこんだ。
 
 
臣)どっちなんだよもう…
 
 
え?
 
どっちって……
 
 
♡)……
 
 
私も一緒にしゃがんで…
 
臣くんが顔を上げてくれないから
つんつんしてみた。
 
 
臣)つんつんすんな!///
♡)…っ
臣)お前は…
  嫌だって言って逃げたり
  一緒にいたいっって言ったり、
  どっちなんだよ!!
♡)一緒にいたい!!
臣)え…?///
 
 
考えるより先に、即答しちゃった。
 
 
♡)あ!そうだ!!
  私、臣くんのおうちまで送る!!
臣)はい…??
♡)送る!!!
臣)…っ
♡)そしたらワガママじゃないでしょ?
 
 
まだ一緒にいたくて
帰ってほしくなくて。
 
 
そしたら私が臣くんを送ればいいんだ!!
 
 
 
 
 
 
ー続ー

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