(39)生殺しの夜

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♡)あ…これ…
 
 
♡はテーブルに置いてあった
ホットロードの台本を手に取った。
 
 
♡)ホットロードだぁ!!
臣)うん。
♡)これ…見てもいいの?
臣)いーよ?
♡)もう撮影始まるの?
臣)うん、来週から。
♡)そうなんだ!
 
 
パラパラパラ。
 
 
♡)わぁ…すごーい!漫画に忠実だね?
臣)うん。
♡)台本ってこんなんなんだぁ♡
臣)俺も初めて見たw
♡)そうだよね!
臣)セリフ以外にもト書きめっちゃあって…
  覚えれっかな…俺w
♡)ほんとだ~~
  でも臣くん覚えるの得意でしょ?
臣)まぁ…頑張りますけどw
♡)あはは♡
 
 
♡は笑いながら台本をマジマジ読んでる。
 
 
♡)……このお話…、
臣)ん…?
♡)…友情とか親子愛とか恋愛とか…
  色んな形の愛があって…
  みんなそれぞれ成長していくでしょ?
臣)うん。
♡)そんな人間の成長が
  リアルに感じられるところが
  私は好きなんだぁ…。
臣)……
♡)でも…一番は…
臣)……
♡)「ミホコのためなら死ねる」って
  そう言ってた春山が
  「和希のために生きたい」
  って、考え方が変わるところ…
  そこが私、一番好き。
臣)……
 
 
それは…
春山の一番の成長の部分。
 
 
♡)この人のためなら命を張れるって…
  そう思うのもすごいけど…
  この人のために生きたい!って
  そう思えることの方が…
  そう思える人がいることの方が…
  もっとすごいなって思うから。
臣)うん。そうだよな。
 
 
そんな風に思える相手に
誰もが簡単に巡り会えるわけじゃないし…
 
 
♡)臣くんの春山…
  すっごく楽しみだなぁ♡
 
 
♡が無邪気ににっこり笑った。
 
 
臣)だから圧かけんなっつーのw
♡)あはは、そんなんじゃないってばぁw
  あ!そーだ!
  ね、ね、春山のとこ読んでみて~♡
臣)え???
♡)セリフー♡♡
臣)やだよ!w
♡)なんで~!やってみてよ~~!!
臣)じゃあお前、和希やる?
♡)やるー!面白そう!やってみる!
臣)女優志望だし?w
♡)あはははw
 
 
俺は♡から台本を受け取った。
 
 
臣)んーと…じゃあここは?
♡)えっと…あ!出会いのシーン?
臣)うん。
♡)よーし、覚えた!
臣)はや!w
♡)だって和希短いもん!
臣)確かにw
♡)じゃあいいよー?
  臣くんあっちから歩いて来てね♡
臣)はいはいw
 
 
言われた通り俺が距離を開けて立つと、
いきなり♡の表情が変わった。
 
 
臣)…っ
 
 
え…
 
これ…ガチなやつかな…
 
 
じゃあ…俺もガチで行こ。
 
 
臣)……何見てんの?
 
 
俺はゆっくり歩いて行って
♡の前にしゃがみ込んだ。
 
 
臣)いくつ?
♡)…
臣)名前は?
♡)…
臣)お前喋れないの?w
♡)…
臣)…
♡)…
臣)お前んち、家庭環境悪ぃだろ。
♡)……
臣)……
♡)お前には関係ねぇだろ。
 
 
♡がすごい眼で俺を見てそう言った。
 
 
臣)…っ
♡)……
臣)……
♡)??あれ??
  次、臣くんだよ???
臣)え、あ…っ、ああ!!
♡)あはは、どうしたのー?
臣)いや……、
 
 
すげぇ眼力にびびったんですけど…。
 
 
臣)……
 
 
ちらっと顔を覗くとニコッと笑って…
 
ああ、いつもの♡だ。
 
 
なんだったんだ今の…
マジびびった…。
 
 
もしかして…元ヤンとか…
昔レディースだったとかじゃねぇよな…??
 
普段とのギャップがありすぎて…
 
 
♡)ねぇねぇ、じゃあ次、違うとこやろー♡
 
 
すっかり楽しそうな♡は
またパラパラと台本をめくってる。
 
 
♡)あ、ここはー?
臣)んー?
♡)送ってやったんだから
  礼くらい言えよ、のところー♡
臣)……やだ。
♡)え!どうしてー?
臣)めっちゃこっ恥ずかしいところじゃん!
♡)え?「俺の女にならない?」が?
臣)そーだよ!//
♡)え~~ここの春山すっごく
  カッコイイのに~~♡♡
臣)ぜってーやだ!
♡)本番ではやるのにぃ?
臣)……
 
 
お前にそんなセリフ言えるかよ!///
 
 
♡)あ~あ…この春山見たかったなぁ~~
臣)……
♡)ちえーっ
臣)わかったよ!
  じゃあやってやろーじゃん!
♡)え!ほんとー??
臣)お前もちゃんとやれよ!
♡)わーい♪
臣)……
 
 
こうなったらガチでやってやる。
くっそーー
 
 
♡)はい♡
  じゃあ和希がメット取ったところからね♪
臣)はいはい…
 
 
♡と少し距離を取って、後ろから話しかけた。
 
 
臣)送ってやったんだから
  礼くらい言えよ。
♡)……
臣)……
♡)……
臣)うっそw
  ムカついた?
  …俺、女にフラれたの。
  だからちょっと苛ついてんだよ。
♡)……
臣)ごめんね?
♡)……
臣)……
♡)…ミホコに?
臣)……ぶっ殺されてぇのかてめぇ。
♡)……
 
 
ふいっと横を向いた♡。
 
俺は後ろから肩を抱いて、顔を寄せた。
 
 
臣)お前…
♡)きゃあっ///
臣)え???
 
 
♡は俺から飛び退いて、
顔を真っ赤にしてる。
 
 
臣)え?
 
 
セリフ、合ってるよな?
 
 
♡)び、びっくりした///
臣)いや…だって…
  ここ…春山がこうやって
  次のセリフ言うとこでしょ?
♡)セ、セ、セリフだけじゃないの?///
臣)……
 
 
俺がいきなり肩抱いたから
こんなテンパってんの?
 
 
真っ赤になって
クッションで顔隠してるし…
 
なんだよこれ…w
 
 
♡)も、もう終わりっ///
臣)はぁ?
  お前がやりたいって言ったくせにー?
 
 
照れてんのかな…
 
かわい…w
 
 
♡)お、終わりっ!!
  あ、お酒おかわりください!///
 
 
なんかごまかしてるし…
 
 
臣)はいはい。
 
 
空になったグラスに酒を注いでやると
♡は一気にそれを飲み干した。
 
 
臣)おい!!大丈夫かよ!!w
♡)え??
臣)一気に飲んだから…
♡)はっ!思わず…
臣)思わずって…ww
 
 
ピロピロ♪ピロピロ♪
 
 
♡)あ…LINEだ。
臣)あ、さくちゃんじゃん。
 
 
4人のグループLINEに
さくちゃんからメールが届いた。
 
 
さ『皆さん、鍋しますよ!!🙌🎵』
 
 
臣)ははっw
 
 
唐突だな。
 
 
賢『鍋いいね👍』
♡『鍋するーー😊💕』
さ『いつ空いてんの!!』
臣『俺ちょっと今月は厳しいかも💦
  でも鍋食いたい。』
 
 
♡)えっ!臣くん今月も忙しいの?
臣)うん。夜ほとんど仕事入ってるし
  予定も入れちゃってるし…
  午前中空いてる日とかはあんだけど。
♡)そうなんだぁ……
 
 
さ『じゃあ来月は~~?』
臣『まだわかんないけど…
  でも仕事の合間に顔出せたら行くから
  決めちゃっていいよー!』
さ『え~~臣くんいなきゃやだ~~』
賢『やだ~~💕』
さ『とか言ってみたり🎵』
賢『言ってみたり🎵』
 
 
臣)なんなのこの二人w
♡)あはははw
 
 
臣『ちょっとスケジュール調整して
  また連絡するわ!』
さ『お願いしまーす✋』
 
 
臣)もう鍋の季節か〜〜
♡)寒くなってきたもんね。
臣)うん。
 
 
さて。
 
 
臣)何するー?
♡)え?
臣)本読みやめんでしょ?w
♡)あ…うん。
臣)映画でも観ますー?
♡)あ!観たい!!♡
臣)何がいい??
♡)なんでもいいよー!!♡
臣)うーん…じゃあ適当なやつ…
♡)わくわく♡
 
 
♡はソファーに座って
クッションを抱えながらニコニコしてる。
 
 
適当な映画を選んで観始めると…
 
 
♡)………スヤァ……
臣)ぶっ…w
 
 
開始20分。
 
もう寝てるんだけど、この子ww
 
 
臣)早すぎだろ…w
 
 
沖縄から帰ってきたばっかだもんな…
疲れてるか…。
 
 
臣)……よいしょ。
 
 
眠ってる♡にブランケットをかけてやって。
 
 
ピロピロ♪ピロピロ♪
 
 
臣)ん?
  あ…またさくちゃんだ。
 
 
個人LINE?
初めて来た…なんだろ…。
 
 
さ『臣くん最近どうよ!😃』
臣『どうよって何が?笑』
さ『♡と!!』
 
 
え…
 
今目の前にいますけど…
急になんだ??
 
 
臣『頑張ってますけど。色々。』
さ『そっか。
  じゃああたし臣くんの味方だし
  やっぱり言っとくね!!』
 
 
ん?なんだ??
 
 
さ『♡ね、最近プロポーズされたらしいよ!』
 
 
臣)はぁぁ?!!!!
 
 
思わずでかい声が出た。
 
 
♡)ん……、
臣)あ…やべ……っ
 
 
てゆーか…
 
プ、プロポーズってなんだよ!!
 
 
どこのどいつに…
え???
 
ちょっと…頭が追いつかない…
 
 
臣『誰に?』
さ『そこは詳しく聞かなかったけど
  なかなかイイ男っぽいよ!!』
 
 
マジかよ……
 
 
さ『あ、ごめんごめん!💦
  ♡がそう言ってたんじゃなくて
  話聞いてあたしが勝手に思っただけ!』
臣『いつ?』
さ『今週!!』
 
 
今週って…
 
 
さ『なんか断れなくて二人でご飯行ったら
  そこでプロポーズされたんだって~~』
 
 
あの日か!!!
 
 
臣『なんて返事したの?』
さ『まだ返事してないんじゃないかな?』
臣『そうなんだ。』
 
 
返事保留にしてるってことか??
 
 
さ『っていう報告を一応ね✊
  あたしは臣くん応援してるから
  頑張ってね~~💕✨』
 
 
なんちゅー報告をあっけらかんと…
 
 
臣『ありがと。』
さ『うん!じゃあおやすみ~~🍀✨』
 
 
臣)はぁ……。
 
 
マジかよ…。
 
 
だって…プロポーズって…普通、
付き合ってる相手にするよな??
 
 
臣)……
 
 
付き合ってはないけど
いけると踏んで言ったとか??
 
 
それとも…そんなのお構いなしに
結婚したいと思うくらい…
こいつのこと好きとか??
 
 
つーか…
 
そんな風に思わせるくらいの関係の男が
いるってこと??
 
 
臣)…っ
 
 
俺は♡の寝顔に目をやった。
 
 
♡)……スー……スー……
臣)……
 
 
俺…
♡がこっちを向き始めてくれてるような
気がしてたけど…
 
勘違いだったのかな…。
 
 
俺のことどう思ってるか
わかんないって言ってたし…。
 
 
臣)……
 
 
さっきみたいに顔を赤らめて
恥ずかしがったり…
無邪気に可愛く笑ったり…
 
俺以外の男の前でもしてんのかな…。
 
 
臣)…っ
 
 
そう考えたら
一気にモヤモヤとした嫉妬と独占欲が
…胸の中を走った。
 
 
でも…
 
この間の電話では
その男とは二度とデートに行かないって
言ってたよな…??
 
 
他の男、家にあげたりもしないって。
 
あれって…建前上そう言っただけ??
 
 
俺の前で素直に答えた♡を信じたいけど…
 
思い返せば…
今までのって全部、
俺からのアクションな気がする…。
 
 
臣)……
 
 
あ!!でも!!
 
こないだ♡から…手触ってきたし!!
 
 
俺が離さないって言ったら…
嫌じゃないって…可愛く答えて…
 
 
あれ??
 
嫌じゃないとは言ったけど
繋ぎたいって言われたわけじゃ…ない?
 
そーだ。
 
繋ぎたいとかじゃないよって言われたのに
俺が強引に繋いだんだった…
 
 
臣)…っ
 
 
でも!
ドキドキする…って…言ってたよな?
 
 
…って、そりゃドキドキくらいするか!
 
手繋いでんだもんな…
別に俺が好きだからとかじゃ…
 
 
うわ…
なんかもう一気に自信なくなってきた。
 
だって…
プロポーズって…。
 
なんだよそれ!!!
 
 
臣)…あ!!
 
 
そういや!!
 
頭がいっぱいいっぱいだったとか
そんなこと言ってたけど…
 
プロポーズされたからか!!!
 
 
臣)…っ
 
 
じゃあ…
その男のことばっかり考えて
頭がいっぱいだったってことだよな…
 
 
臣)……くそっ
 
 
もうわけわかんねぇ!!!
 
何がどうなってんだよーーー!!!
 
 
臣)……はぁ…っ
 
 
俺が一人でパニックになってると
♡はむにゃむにゃ言いながら
ソファにパタッと倒れた。
 
 
臣)……おい。
♡)ん~~~
臣)もう寝ろ、お前。
♡)ん~~~
臣)ほら。
 
 
倒れた♡の身体をゆっくり起こすと
♡は静かに目を開けた。
 
 
♡)あれぇ…
臣)もう眠いんだろ?寝ろ。
♡)あ…映画…
臣)開始20分で寝てたっつーのw
♡)わぁ…ごめんね?
臣)全然いいけど。
♡)んん…
  じゃあ歯磨きしてくるーー
臣)あ、じゃあ俺も。
 
 
それから二人で歯磨きして戻ってくると
♡は目が覚めたのか、
 
 
♡)映画の続き観よー♡
 
 
ニコニコと笑ってる。
 
 
臣)はぁ?だーめ。
  お前絶対また寝るもん。
♡)寝ないからぁ!!
臣)絶対嘘。
♡)え~~~!!
臣)もう今日は大人しく寝ろ。
  明日起きて観りゃいいじゃん。
♡)あ!そっか!!
臣)うん。
♡)じゃあ…そうしよっかな…
臣)お、言うこと聞いた。
  えらいえらい。
♡)じゃあ…ここ借りるね?
  おやすみなさーい♡
臣)はい??
 
 
♡はソファーに横になって
ブランケットを身体にかけた。
 
 
臣)おい、何してんの。
♡)え??
臣)お前はあっち。
♡)え??
臣)ベッドで寝ろっつーの!
♡)え?なんで??
臣)なんでって…
 
 
こんなところで寝かせられっか!
 
 
♡)臣くんは??
臣)俺はソファーでいい。
♡)え、ダメだよ!
  私ソファーでいいもん!!
臣)女こんなとこに寝かせられないから。
  いいからベッド行け。
♡)だめー!!
臣)なんで!!
♡)だって!!
  私の方が体小さいのに
  どうして大きい臣くんが
  ソファーなのー!!
臣)はい??
 
 
大小の問題??w
 
 
♡)そんなことしたら臣くん体痛くなって
  疲れ取れなくって踊れなくなって…
  そしたら日本全国民が…
臣)出たーーー!!
♡)えっ…
臣)お前そのネタ好きだな?w
♡)ネタじゃないもん!!w
臣)別に一晩くらいソファーで寝たって
  キレキレで踊ってやるっつーの。
♡)え…、カッコイイ……
臣)なんじゃそりゃ!w
♡)だって…//
臣)つーかしばらくは踊る予定ないわい!w
♡)え~~~~
臣)え~~~~じゃなくて。
  わかったらベッド行きなさい。
♡)やだっ。ここで寝る!
臣)お~ま~え~は~~
  強情な奴だな~~~
♡)ぷんっ
臣)ぷんじゃねぇっつーの!
 
 
なんなんだよもう!!
 
 
臣)じゃあもういっそ一緒に寝る?
♡)え?
 
 
…って、さすがにこう言や大人しく…
 
 
♡)そっか!
 
 
え????
 
 
♡)そうすればいいのか…!
  そしたら臣くんちゃんとベッドで寝る?
臣)え?え?え??
♡)じゃあそうするー!!
 
 
♡は納得したように寝室に向かって…
 
 
臣)…っ
 
 
……オイ!!
 
 
♡)私寝相良いから大丈夫だよー♡
  端っこで寝るねー♡
臣)えっ…
 
 
寝相とかそういう問題じゃ…
 
 
♡)え…、ダメなの?
臣)はい??
♡)一緒に寝るの。
臣)いや…、えっと……
♡)そしたら問題解決でしょ?
臣)……
 
 
解決…なのか…?
 
 
♡)違うのー?
  じゃあ私やっぱりソファーで…
臣)わかったわかった!!!
  一緒に寝る!!!
♡)うん。
臣)…っ
 
 
な、なんだこの展開…
 
 
♡)臣くんのベッド広いんだねー!
臣)……ええと、はい。
♡)臣くんどっちー?
臣)は?
♡)こっちー?こっちー?
臣)どっちでも…いいけど…
♡)じゃあお先にどうぞ♡
臣)……
 
 
てゆーか…
 
ほんとにこの展開、何??
 
 
こいつ…誘ってんの??
 
襲われたいの??
 
 
♡)じゃあ私こっちねー♡
 
 
♡は俺と反対側からベッドに入って
本当に端っこで布団をかぶった。
 
 
臣)……
 
 
少しは…距離あんな…。
 
 
♡)臣くんのベッドふかふかだぁ♡
臣)そ?
♡)うんっ♡
臣)……
 
 
つーか…
 
ほんとに一緒に寝んのか??!
 
 
♡)ぐっすり寝れそう♡
 
 
そうですかい!!
俺は全然寝れなそうだけどな!!
 
 
♡)なんかお泊まり会みたーい♡
臣)は??
 
 
何をのんきなこと言ってんだよ!
 
これのどこがお泊まり会だ!!
 
 
♡)おやすみなさーい♡
臣)……
 
 
どうしよう。
 
 
♡)臣くん…?
臣)ああ、えーと…じゃあ、電気消すぞ?
♡)あっ…
 
 
俺は一番暗いフットライトだけ残して
電気を消した。
 
 
臣)これなら大丈夫?
♡)…うん、ありがとう…。
 
 
隣の♡の声に耳を傾けながら、
俺は天井を見上げた。
 
 
臣)……
 
 
はぁ…なんだこれ…
大丈夫かな…俺…。
 
 
まぁ…
こんだけ離れてりゃなんとか…
 
 
♡)……スー……、…スー……
臣)!!!
 
 
もう寝てる!!
 
はやっ!!!
 
 
聞こえてきた寝息に、横を向くと…
 
♡はこっちを向いてスヤスヤ寝てる。
 
 
臣)……
 
 
よく寝れんな、この状況で。
 
 
マジで俺のこと
男だと思ってないんじゃ…
 
 
♡)…ん……、
 
 
え??起きてる??
 
 
……いや、寝てるか…。
 
 
♡)んん……
臣)……
 
 
なんか…動いてる…。
 
 
え?
 
 
♡)ん~~~
 
 
え!え!え!!!
 
 
臣)!!!
 
 
な、なんかコロコロ
転がって来たんですけど!!
 
 
臣)…っ
 
 
俺が自分の腕を枕にしてたら
♡は目の前まで転がってきて…
 
 
♡)んんー
臣)…っ
 
 
何が寝相良いだよ!!
ふざけんなーーー!!
 
 
 
……ぱしっ
 
ぱし…っ
 
 
臣)ん…?
 
 
手でパシパシしながら何か探してる…?
 
 
♡)んーー♡
臣)わ…っ!///
 
 
わ、わっ、ちょ…っ
 
もぐりこんできた!!!
 
何してんのこいつ!!!///
 
 
臣)…っ
 
 
俺が慌てて動こうとすると
その隙に今度は俺の腕の中に入ってきて
ぎゅっとしがみついてきて…
 
 
臣)?!!///
 
 
な、何これ!!!!!
 
ちょっと!!!!
 
 
え…え……////
 
 
臣)////
 
 
わ…首筋に息がかかる…っ
 
ちょ、これ、マジ無理!!////
 
 
♡)ん…ぅ……
 
 
ぎゅーーー
 
 
臣)…っ
 
 
こいつ…絶対俺のこと
にゃんこと間違ってる!!!
 
 
俺は抱き枕じゃねーぞ!
ふざけんなマジで!!////
 
 
臣)……
 
 
どう動いてもどっか触っちゃいそうで
俺が硬直してると、

今度は♡が俺の身体に脚を乗せてきて…
 
 
臣)////
 
 
オイッ!!////
 
 
え…つーか…
ちょっと待て…、
 
 
臣)…っ
 
 
こいつ…下履いてない?!///
 
 
少し頭を起こしてみると、
ベッドの脇に畳んで置いてある
スウェットが見えた。
 
 
何勝手に脱いでんだよ!!
いつの間に!!!!
 
脱ぐなっつったろーが!!///
 
 
臣)…っ
 
 
つーか…
じゃあこれ…、生脚ってこと?
 
 
臣)////
 
 
ヤ、ヤバい…
どうしよ…/////
 
 
ドクン…
 
ドクン…
 
 
ってか…こいつが勝手に
くっついてきたんだし…
 
勝手に脚乗せてきたんだし…
 
 
ちょっとくらい触っても…
 
 
臣)……
 
 
つーか…
めっちゃ触りたい。
死ぬほど触りたい。
 
 
起きねぇよな?
大丈夫だよな?
 
ちょっとぐらい…
 
 
俺はそーっと…
♡の太ももに手を伸ばした。
 
 
……ドクンッ
 
 
臣)…ッ////
 
 
うわ…
めっちゃやわらけぇ~~///
何これ…////
 
 
襲いてぇぇぇぇぇ~~
ああぁ~~~////
 
 
臣)……///
 
 
触ってすぐに、後悔。
 
 
俺の体は素直に反応するし…
 
触っちゃったら…
抑えきかねぇじゃん…
 
くそーーー////
 
 
♡)…スー……スー……
臣)……
 
 
♡は俺の腕の中でスヤスヤ眠ってる。
 
 
こんなん…
無理矢理チューして襲うのなんて
簡単なのに…
 
簡単だけど…
 
 
出来るわけねぇだろうがーーー!!!!
 
 
臣)……っ
 
 
ああヤりたい。
くそーーーーーーーー
なんでこんなやわらけぇんだよ…///
 
 
つーかなんでくっついてくんだよ!!
なんで勝手に脱いでんだよ!!
安心しきってんじゃねぇよ!!
 
 
あ~~~も~~~///
 
 
ダメだ。
落ち着け、俺。
 
今触った太ももは忘れろ。
触ってない…触ってない…
 
 
あ~~神様。
今だけ俺から性欲を奪い取ってください。
頼みます。
ほんとに!!!!
 
 
臣)……
 
 
よし、無になろう。
無!無!
 
考えんな!
何も考えんな!!
 
今俺は無の境地!!!
 
 
♡)ん……、
臣)!!!
 
 
だぁ~~!!!!
声を出すな、声をーー!!////
 
折角の俺の精神統一が~~!!!!
 
 
……いや、違う!
焦んな俺!!
 
俺は今悟りを開いてんだっつーの!!
ぜってぇ耐えてやるし!!
 
 
臣)…っ
 
 
例えお前が…
太ももで誘惑してこようが…
 
チューしてこようが…
 
おっぱい出してこようが…
 
ぜってぇ…
 
 
臣)……
 
 
…って、耐えれるわけねぇだろうが!!
何だよそれ!!///
 
俺はなんちゅー妄想をしてんだよ!!
ああ、もうっ!!///
 
 
 
♡)……スー……スー……
臣)……
 
 
こんな俺の葛藤なんて知りもしないで
ぐっすりか…。
 
 
はぁぁ……
 
 
つーかもう何これほんと。
拷問?
 
 
神様、俺なんかした?
 
 
臣)……
 
 
……したか。
 
 
え、これ天罰?
 
未遂だったのに?
 
 
朝までこの拷問状態で
一睡もするなと???
 
 
臣)……はぁ…。
 
 
死ぬ……。
 
 
 
……
 
 
 

 
 
 
 
でも…
 
やっぱりあんなの…
 
 
俺にとっては何の意味もなくても
♡が知ったら絶対嫌がるようなことだよな。
 
 
嫌われるか…軽蔑されるか…
 
 
ヤんなくて良かった…マジで。
 
 
もしヤってたら…
 
こんな風にこいつの顔見る時に
絶対罪悪感、感じてたよな。
 
 
はぁ……。
 
 
臣)……
 
 
俺はそっと、♡の頬に触れた。
 
 
柔らかい体温を、手のひらに感じる。
 
 
臣)……
 
 
もういいよ、俺。
 
お前だけでいいから…
 
 
だから早く…
俺のこと好きんなれ…。
 
 
 
………ぎゅ…っ。
 
 
 
腕の中にいる♡を、そっと抱きしめた。
 
 
 
好きだ。
 
 
ほんとにこいつが…好きだ。
 
 
 
 
♡)ぐすっ…
 
 
え?!!
 
 
♡)う…っ
 
 
え!?
 
何だ?!!!
 
 
臣)…っ
 
 
泣いてる?!!
うそ!!
 
俺が太もも触ったから?!!
わ、わ、ごめんなさい!!
うそ!起きてた??!
 
 
臣)…っ
 
 
混乱しながら♡の顔を覗くと…
 
……あ、寝てるままだ…。
 
 
♡)……
臣)……
 
 
しばらく見つめてると、
 
♡の目尻から涙が静かに滲んで…
こめかみへ流れていった。
 
 
臣)…っ
 
 
なんで泣いてんだよ…。
 
 
その涙を見て、
一気に冷静になる自分がいて。
 
 
そっと親指で♡の涙を拭いてやった。
 
 
♡)…ぐすっ
臣)……
 
 
まだ…泣いてる。
 
泣くなよ…。
 
 
俺は♡を腕の中に抱き寄せて、
背中を優しくたたいた。
 
 
トン…トン…
 
 
臣)……
 
 
さっきまでアホな事しか
考えてなかった俺って…
 
なんか…一気に色々吹き飛んだわ。
 
 
トン…トン…
 
 
……怖い夢でも…見てんのかな。
 
 
トン…トン…
 
 
♡)パ…パ……
 
 
え???
 
 
臣)……
 
 
あ…寝てる…
 
寝言か…。
 
 
……今、パパって言った??
 
 
お父さんの夢…見てんのか??
なんで泣きながら…
 
 
臣)……
 
 
お父さんって確か…
お母さんとすげぇラブラブだって
言ってたっけ。
 
理想の夫婦だって…。
 
 
トン…トン…
 
 
どんな人なんだろ…
 
 
臣)……
 
 
トン…トン…
 
 
♡の背中でリズムを奏でながら…
 
 
俺は♡が少しでも早く泣き止むように
優しく抱きしめて、
 
 
……ゆっくりと目を閉じた。
 
 
 
 
 
ーendー

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