(10)離れて近付く距離

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それから○○駅で降りて
♡の家まで歩くと、
本当にあっという間に着いちゃって。

臣)こっちだとほんと近いんだなー
♡)うん。
臣)……
♡)……

まだ…一緒にいたいんだけど…
目の前はもう家だし…

おとなしく帰るべき?

♡の顔をチラッと見ると
俺の顔を見た後、うつむいた。

♡)なんか…
  今日ずっと一緒にいたから
  バイバイするの寂しいな…
臣)えっ…?

うわ…何それ…っ
そんな可愛いこと言う?!

そんなん俺…期待しちゃうけど…///

♡)送ってくれてありがとう♡
臣)え…っ
♡)じゃあ…
臣)あ!待って…!

寂しいって言ってくれたのに
帰るんかい!!

臣)えっと…、ちょっと話さない?
♡)え…?
臣)…公園で。
♡)……
臣)少しだけ。
♡)うん。

ほっ…
OKもらえた…。

この間、花束を渡した
マンションのすぐ隣の公園。

俺たちはまた、
ベンチに並んで腰掛けた。

♡)ごめんね…。
臣)え?
♡)私がワガママ言ったから?
臣)え!!違う!!
  話したかったから。
  まだ。
♡)……

ワガママなんかじゃないし!
嬉しかったし!

♡)そういえば…
  この間の電話の用事って
  なんだったの?
臣)……あ。

やべ。

♡)あの後、思い出した??
臣)うーん…
♡)?
臣)…いや、用事なかった。
♡)え?
臣)元々用事なかった…。
♡)え?
臣)声聞きたくて
  電話しようと思っただけ。
♡)私の…声?
臣)うん。
♡)どうして?
臣)……

ストレートに言ってみたら、
ストレートに聞き返された。

臣)なんでだろね?
♡)え…

♡の瞳を覗くように見つめると、
夜でもキラキラしてるその瞳は
俺をじっと見つめ返してきた…。

臣)……
♡)……

ああ…なんか…
また吸い込まれそう。

キスしてぇ……

ピロピロ♪ピロピロ♪

臣)うわっ!びっくりした!!

夜の静けさの中で、
いきなり鳴り響いたLINEの音。

臣)あ…さくちゃんだ。
♡)あ…ほんとだ。

『今日の写真送るねー(*^o^*)📷🎵』

♡)え?写真?
臣)そんなん撮ったっけ?

ピロピロ♪ピロピロ♪
ピロピロ♪ピロピロ♪

♡)わ、すごい!次々来る!
臣)なんだこのLINEテロw

送られてきた写真は
さくちゃんが賢司と写ってる写真や
太一さんと子供たちの写真だった。

同じグループLINEに届いてるから、
♡は自分のスマホを膝に置いて
俺のスマホを一緒にのぞいてきた。

臣)いつの間に撮ってたんだろ。
♡)全然気付かなかったぁ…
  私たちサッカーに夢中だったもんねw
臣)うん。あ…
♡)あ…

今度はたて続けに
俺たちがサッカーをしてる写真が
送られてきた。

♡)私たちも撮られてたんだ!
臣)あはははww
  何これ!!動いてっから
  ブレまくりだし!!w
♡)あははw ほんとだ!!
臣)これとかもう残像拳じゃんw
♡)あははw 残像拳って…!w

ブレまくりの写真を
二人で笑ってると
1枚だけブレてない写真があった。

俺たちが笑ってる写真なんだけど…

夕陽が当たってて
♡の笑顔がすげぇキレイで…

♡)わ、すごい…何これ…
臣)キレイだなーー…
♡)うん。臣くん…キレイ。
臣)え?俺!??
♡)うん。夕陽が当たってて…
臣)……
♡)でもなんかこの写真…、
  ちょっと恥ずかしい//
臣)ジャケ写みてぇ…w

少しくすぐったいその写真から目を離して
顔を上げると…

同じタイミングで♡も顔を上げて…

♡臣)わ…っ!///

顔がめちゃくちゃ近くて、
びっくりした…///

♡)……///

あ、なんか距離取られたんですけど…

♡)えっと…えっと…///
  海楽しみだね!!

なんだその無理矢理な話題転換…

臣)そうだね。
♡)臣くんも楽しみ?
臣)うん。
♡)そっか♪
臣)♡の水着が。
♡)えっ…!
  ちょっと!!///
臣)あはははw

♡がワンテンポ遅れて
腕を叩いてきた。

♡)もう~~~!!
  臣くんのばか……

あ、またほっぺ膨らんでる。

♡)…何色にしよっかな……
臣)水着?
♡)うん…
臣)どんなん持ってんの?
♡)えっと…
  薄いピンクの花柄と…
  ネイビーのボーダーと
  真っ白のやつ…
臣)白!!
♡)え?
臣)絶対白!!
♡)…っ
臣)……
♡)じゃあ…白にする…
臣)うん。

…って、素直だな…。
俺が言ったやつにしてくれんだ。

♡)でもやだなぁ…
臣)何が?
♡)…だって…
臣)??
♡)さくちゃんみたいに
  スタイル良くないもん…
臣)え??
  そんな変わんねぇじゃん。

むしろお前の方が…

♡)変わるもん!
  あんなにおっぱい大きくないもん!
臣)…っ

おっぱいの話かーい!w

うーん…

大きくないもんって言っても…
普通にCくらいありそうだけど…

♡)あ!!!
臣)ん?
♡)今おっぱい見たでしょ!!
臣)え…っ

いや、だって…

♡)エッチ!///
臣)エッチって…///

確かに見たけど…

胸隠しながら赤い顔して
エッチとか言われても…///

臣)別に普通にあんじゃん。
♡)え??
臣)胸。
♡)~~~!!!
  ばかぁ!エッチー!///

あ。

また距離を空けられた。

そんなエッチエッチって連呼されると…
ほんとにエッチなこと
したくなるんですけど…

俺は立ち上がって
ベンチの端っこまで逃げた♡の横に、
座り直した。

♡)え…、え…っ
臣)遠い。
♡)……///
臣)……
♡)ち、近い…///
臣)いいじゃん。
♡)…っ

せっかく一緒にいんのに。
少しでも近くにいたいもん。

臣)でも…あと1ヶ月くらい先かー
♡)…海?
臣)うん。

また遠いよなーー

♡)臣くんは…
  いっぱいLIVEあるんだもんね。
臣)うん。
♡)頑張ってね?
臣)もちろん。
♡)あはは♡

でも…仕事が忙しいせいで
あと1ヶ月もまた会えないとか
俺、無理。

臣)飯食いに行かない?
♡)え?
臣)来週とか。
♡)え?
臣)忙しい?
♡)ううん!私は大丈夫だよ。
臣)じゃあ行こ。
♡)うん。
臣)何食いたい?
♡)私は何でもいいよー♡
  あ、LINEで聞いてみる?
臣)はい?誰に??
♡)え?さくちゃんと賢司くん。
臣)え???
♡)え?
臣)二人で行こうって意味だけど。
♡)えっ…!

デートに誘ってるんですけど…
伝わってる?

臣)二人で行きたい。
♡)……うん。
臣)いい?
♡)うん…。

うんって言ってくれたけど…
♡はそのまま俯いて…。

どう思ってんのかな。

臣)で、何食いたい?
♡)あ!そっか…
  えっと…何だろう…
臣)あ、あの店にする?
  ♡たちが働いてたとこ。
♡)あ、行きたいっ!!
臣)あそこ美味いし。
♡)あ、でもダメだ!!
臣)え?
♡)あそこすごく高いもん!!
臣)え、いいじゃん。
♡)え?
臣)ご馳走しますけど…
♡)えっ!
臣)じゃああの店に決まり。
♡)え、待って!
  ほんとに高いよ!!
臣)いや…学生の時はツラかったけど
  もう大人ですよ?w
♡)それでも…高いよぉ…
臣)いいじゃん。俺出すって。

デートなんだから
全部出すに決まってんじゃん。

♡)だって…いっつも臣くんに
  ご馳走になってるもん。
臣)ダメなの?

いくらでもご馳走したいけど。
俺は。

臣)じゃあさ、またクッキー焼いてよw
♡)そんなんでいいの??
臣)あ、そうだ!
  俺まだ食ってなかったんだ!!
  食っていい?
♡)…っ

俺はさっきもらったクッキーの袋を開けて
一つ口に入れた。

……サクッ

臣)え…っ
♡)え…っ
臣)……
♡)ドキドキ…っ
臣)うま。何これ。
♡)え、え、ほんと?
臣)めっちゃ美味い。
♡)わぁ~良かったぁ♡

手作りのクッキーとか
食ったことあるけど…

こんな美味いの食ったことねぇし…

臣)すげーーほんとに美味い。
  こーゆーの、よく作んの?
♡)うん。お菓子作るのは好きだよー!
臣)料理は?
♡)料理も好きだよ♡
臣)そうなんだ。
♡)うん!
臣)いつでも嫁に行けんなー。
♡)あはは♡
  臣くんもらってくれるんでしょ?w
臣)え?あ……///
  いや、あれは勢いで…、ごめん///
♡)あはははw
臣)つーかもらうっつったら来んのかよw
♡)え?
臣)嫁に。
♡)え…っ
臣)……

俺が♡の目をじっと見つめると、
♡は動揺したように立ち上がった。

♡)もう帰ろっか!!
  そろそろ…

あ…ごまかされた…。

♡)明日も…早いし…
  あ!てゆーかほんとに
  早いんだった!!

忘れてたんかいw

臣)ごめん。
♡)え?
臣)明日早いのに…
  付き合ってくれてありがと。
♡)え、全然だよ!!
  臣くんと話すの楽しいし!!
臣)…ほんと?
♡)うんっ!
臣)……

嬉しい。

俺なんかもうずっと話してたいけど…
いつも時間があっという間で。

マンションの前まで行くと
♡がくるっと振り返った。

♡)じゃあ…おやすみなさい。
臣)うん。クッキーありがとね。
♡)えへへ…♡
臣)これ…、一日一個ずつ
  ちびちび食べればいいんでしょ?w
♡)え、いいよ!w
  臣くんは普通に食べて!w
臣)あはははw
♡)食べたいものあったら
  いつでも何でも作るからー!
臣)え、ほんと?
♡)うん!
  あ、今日の分は何がいーい?
臣)え?
♡)ご飯ご馳走になったから…
臣)何でもいいの?
♡)え?うん…
  難しいのじゃなければ…
臣)……

お菓子も嬉しいけど…
何でもいいんならキスしたい。

って言ったら逃げ出しそうだな…w

♡)なぁに?
臣)え?
♡)食べたいお菓子なぁい?
  ケーキとか…パイとか…
  マフィンとか…タルトとか…
臣)難しいのも作れんじゃん!w
♡)え!だって今のは難しくないもん。
臣)そうなの?
♡)うん。
臣)じゃあ…マフィン。
♡)マフィン?わかったよー♡
臣)……
♡)……?
臣)……
♡)どしたの??
  ほんとは違うものがいい?
臣)うん。
♡)え?なぁに?

なんでわかったんだろ…
俺そんな顔してたのかな。

俺が♡に手を伸ばすと、
♡がサッと一歩後ろに下がった。

臣)…っ

何この反射神経!

♡)え…?
  えっと……え??

もしかして俺、警戒されてる??

臣)ごめんw
  マフィンがいい。
♡)ほんと?
臣)うん。ありがと。
♡)ううん♡

キスしたい気持ちを誤魔化してそう言えば
♡も笑ってくれた。

♡)じゃあ…
臣)うん。おやすみ。
♡)おやすみなさい。

♡がマンションに入って行くまで
その背中を見送って。

今日は振り返んないかな…
と思って見てると、

ドアを開けて中に入る直前に
少し振り返って…

俺に気付いて、
また可愛く手を振ってきた。

俺が手を上げると
にこっと笑って、中に入っていった。

は~~~~///

なんか…

今日ほんと可愛かったなーー

服掴んできたり…
バイバイするの寂しいとか言ったり…

あんなん…
都合良く解釈するなら
俺と離れたくないって意味じゃねーの?

どうなんだろ…

エッチとか言って
恥ずかしがってんのも可愛かったなーー
なんなんだよあれ~~///

ちょっとは…俺のこと
意識してくれてんのかな。

あ~~もう~~
どう思ってんのか気になるーーー

俺が♡のことばっかり考えて
家に着く頃、
♡からLINEが来た。

♡『今日は本当にありがとう(≧∀≦)💕
  ごちそうさまでした💕✨』

前からちょっと思ってたけど…

あいつって
俺が家に着くくらいに
LINE送ってくれてんのかな?

臣『うん。ただいま。』
♡『あ、おうち着いたー?
  お帰りなさい(๑^ ^๑)/🎵
  って、なんか変だね笑』
臣『明日早起き頑張れよー』
♡『うん!おやすみなさい💕』
臣『おやすみ。』

なんか…
あいつってLINEに「💕」多くない?

勘違いしそうになるから
やめてほしいんですけど…

他の男にも送ってんのかな…
なんか無邪気に使ってそうだよなーー

あ~~~~

臣)はぁ…。

俺の頭の中、♡のことばっか。

ーendー

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