[99]柔らかい唇(隆二Side)

スポンサーリンク
スポンサーリンク

京セラ二日目。

 

男)隆二ー、今日はどうする?
隆)ああ…
男)チェンジする?
隆)……

 

どうしよっかな。

 

隆)うん、チェンジで。
男)りょーかい。

 

二日連続同じ子ってのも、ちょっと。

 

岩)あ〜〜〜
  三日公演とかほんと疲れない。
健)全然疲れへんわーー
N)明日もあるとか全然平気ーー
岩)身体動く動くーー
健)余裕やわーー
隆)……

 

二日間の公演を終えて
みんなぐったり。

ケアを受けながら
口だけ動かしてる。

俺でもこんな疲れてんだから
パフォーマーなんてほんと
どんだけ大変なんだろう。

 

隆)お先に。
岩)お疲れさまーー
N)おう、おやすみー

 

ホテルの部屋に戻って
喉を潤す。

 

三日連チャンのLIVEは
三日目がほんとキツイ。

 

隆)はぁ。

 

♧の声が聴きたい。
電話しようっと。

 

プルルルル…、プルルルル…

 

♧『はい、もしもし。』
隆『俺ーーー』
♧『隆二くん…仕事終わったの?』
隆『うん。』
♧『お疲れさまー♡』
隆『へへ…/// ありがとう。』

 

♧がやっと、
俺を「隆二くん」って
呼んでくれるようになって…

俺と話す時も
やっと、敬語じゃなくなって…

 

とはいえ、
やっぱりそんなすぐには慣れないみたいで

時々、敬語が混じってハッとしたり、
一生懸命直そうとしたりしてるのも
なんか可愛くて、たまらなかったり。

 

隆『♧は何してたのー?』
♧『明日のお弁当の下ごしらえしてました。』
隆『あ。』
♧『あっ!///
  えっと、下ごしらえ…してたよ?//』
隆『ふふっw』

 

ほら、可愛い。

 

♧『隆二くんは…何してたの…?』
隆『俺はねーー』

 

京セラドームでLIVEしてました。
なんて言えるわけもなく…

 

隆『いつもと変わらずだよーー』
♧『そっか♡』
隆『……』

 

いつか俺が本当のこと言ったら…
♧はLIVEに来てくれる?

 

隆『お弁当…食べたいな…』
♧『え、お腹空いてるんです…っ
  空いてるの?//』
隆『ふふっw』

 

慌てて言い直してるw

 

隆『違うよ。
  お腹はいっぱいだけど…
  ♧のお弁当が食べたいって意味。』
♧『え?』
隆『料理得意なんでしょ?
  美味しそうじゃん。』
♧『……///』
隆『今度作ってよ。』

 

なんて…
ほんとに作ってくれたら
俺、嬉しくて死んじゃう。

 

♧『いいですよ?//』
隆『…っ』
♧『あ、間違えた!…いいよ?//』
隆『////』

 

嘘…っ

ほんとに…?!!

 

♧『あれ、隆二くん…?
  冗談だった?//』
隆『ううん!!冗談じゃない!!
  めっちゃ本気!!』
♧『……ふふっ』
隆『////』
♧『じゃあ今度作ってあげるね♡』
隆『!!!!』

 

っしゃーーーーー!!!!

 

見えないのをいいことに
ベッドの上で思いっきりガッツポーズ。

 

隆『ありがとう!!!!!』
♧『ふふっw』
隆『どうしよう。
  めっちゃ嬉しくて興奮して寝れない。』
♧『ダメだよぅ…
  ちゃんと寝ないと。』
隆『////』

 

何今の。
めっちゃ可愛い。

 

隆『もっかい言って?』
♧『え?』
隆『ダメだよぅってやつw』
♧『え、なんで?…やだっ//』
隆『えーー!可愛かったのに!』
♧『////』
隆『言ってーー』
♧『やぁだ///』
隆『////』

 

今のも可愛い。

 

相変わらず俺は、
♧にメロメロにされっぱなし。

 

隆『じゃあまた明日…ね?』
♧『うん…、おやすみなさい♡』
隆『おやすみ♡』

ピッ。

 

隆)はぁぁぁ……///

 

電話から聞こえる♧の声が好き。

すごく穏やかで…優しくて…
耳から全身を癒してくれるみたい。

 

隆)……早く会いたいな…///

 

♧が好きだ。

本当に。

 

___コンコン。

 

隆)…っ

 

ああ、もうそんな時間か。

 

部屋のドアを開けると…

 

女)こんばんは♡
隆)…どうも。

 

昨日の子より、派手だな…

 

……

 

……

 

女)……はぁ…、///

 

絡みつく指先。

 

女)んぅ…、んっ///

 

絡みつく身体。

 

時々近付けてくる顔をよけてると
不満そうに頬を撫でられた。

 

女)キスは…?
隆)なしで。
女)……どうして?
隆)……

 

「他の人に…キスされちゃ…
 やです…っ///」

 

あんなに可愛く言われたのに
出来るわけないじゃん。

 

女)私、キス自信あるんだけどな…
隆)……

 

そうは言われても…

 

隆)いいの。キスはなし。
女)つまんない……

 

キスなんかしなくても
満足させればいいんでしょ…?

 

女)あんっ、ちょっと、あぁんっ///
隆)……

 

AVみたいな声出す女だな…

あんま好きじゃない。

 

女)はぁっ、はぁっ…///
隆)……

 

キスしない代わりに
身体でむちゃくちゃに抱いて

俺はそのまま朝まで眠った。

 

…………

 

男)隆二、今日は?
隆)ああ、チェンジして。
男)なんでw
  気に入らなかった?w
隆)うーん…あんま派手なの好きじゃない。
  もう少し普通の子がいい。
男)はいはいw
隆)……

 

事務所が手配してくれる女の子は
話が通ってるから
口止料とかわざわざ払わなくて済む。

 

その日の夜、部屋を訪れたのは
昨夜とは全然違う、割と普通の子。

 

女)加湿器…すごいですね。
隆)喉、乾燥しちゃうから。
女)そっか…

 

そのままベッドに座らせて
服を脱がせる。

 

女)ん……、、

 

俺の首に巻きつく、細い腕。

 

隆)ああ、ごめん…キスは。

 

唇をかわすと
彼女は少し不思議そうな顔をして
優しく笑った。

 

女)キスはなしですね?
隆)うん。
女)わかりました。
隆)……

 

ものわかりが良くていいな。

 

女)彼女いるんですか…?
隆)ううん…、好きな子…。
女)…ふふっ

 

沈む身体。

髪にさしこまれる指先。

 

女)優しいんですね、今市さん。
隆)……

 

なんか…笑い方が♧に似てる。

 

隆)…名前で…呼んで?
女)え…?
隆)……

 

首元に顔を埋めると…

 

女)隆二さん?隆二くん?
隆)……くんがいいな…
女)ふふ…っ
隆)……//

 

ほら、その笑い方。
♧にすげぇ似てる。

 

彼女を抱き起こして
ぎゅっと抱きしめた。

 

女)なぁに…?
隆)可愛い…///
女)ふふっ…//
隆)////

 

抱きしめたって
♧とは全然違う香り。

わかってる。

わかってるけど…

 

抱きたくても抱けない女。

だから今は、代わりになってよ。

 

女)あっ、…んっ、んゃ…ぁっ///
隆)…は…ぁっ…

 

キスは…しないから……

 

女)はぁ…っ、ん…んっ
隆)……は…っ、//

 

絶対しないから…

だから…

 

どうしようもない欲だけは
吐き出させて。

 

女)や…ぁっ、あっ、ぁぁっっ///

 

何度も♧を思い浮かべながら
快感に目を閉じる。

 

「隆二くん」

 

♧の声を思い出しながら
夜の深い闇に、堕ちていく___

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

大阪から帰ってきた俺は
4日ぶりに、いつもの川辺へ向かう。

 

4日ぶりって言っても…
会えない間も毎日LINEとか電話とか
絶対してたんだけど…///

 

今日も差し入れを持って、♧の元へ。

 

♧)あ、隆二くん♡
隆)////

 

俺の名前を呼ぶ、俺の大好きな声。

久々に生で聴けて、胸が弾む。

 

隆)久しぶり…
♧)うん♡
隆)頑張ってる?
♧)うん、もう少しで完成だよー♡
隆)お疲れさん♡
♧)ありがとう♡

 

4日ぶりの笑顔に癒されて…

俺は袋からデザートを取り出した。

 

♧)あれ、今日のはちょっと違う。
隆)ああ、気付いた?w
  これは大阪で買いました。
♧)えーー!
  大阪行ってたのー??
隆)うん、実は。
♧)初耳ーー!!
隆)美味しそうなやつ選んできたよ♡
♧)わーーい♡

 

可愛い笑顔の前に、
いつものように二つ並べる。

 

隆)どっちがいい?
♧)……こっち♡
隆)はいw

 

俺は♧の隣に座って
いちごムースの蓋を開けた。

 

半分くらいまで食べたら…

 

隆)それも食べたい。

 

あーん、と、口を開けると…

 

♧)はい♡

 

口に広がる、チョコプリン。

 

隆)へへ…///
♧)私もーー♡
  あーーん♡

 

可愛く開いた小さな口へ
いちごムースを一口。

 

隆)…はい♡
♧)……ふふっ、おいし♡
隆)へへっ♡

 

こんなやりとりが
相変わらず幸せでたまらない。

 

可愛いなぁ…

大好きだなぁ…

 

でも、

 

♧)明日の天気は…、、

 

♧が手に取った携帯。

そこに映るのは、いつもの彼。

 

♧)やっぱり午前中は雨か〜〜
隆)……

 

わかってる。
♧は、彼のことが好きで

告白だって、まだしてない。

 

♧の好きな人は
月に一度しか会えないらしいから

早くその日が来て
早く♧が告白してフラれるのを

ちょっとひどいかもしれないけど
俺は今か今かと待ってるわけで。

 

隆)ねぇ…
♧)なーに?
隆)……//

 

はぁ、敬語じゃないって…
すげぇ嬉しい。

ほんと可愛い///

 

♧)なぁに?隆二くん…?
隆)あの…さ、
♧)うん?
隆)……

 

急かすつもりじゃないけど…

 

隆)好きな人が次来るのって、いつなの?
♧)…っ

 

俺がそう聞くと
♧は嬉しそうにふにゃんと笑って…

 

♧)えへへ…次の日曜だよー♡
隆)…っ

 

その笑顔に、久しぶりに胸が痛む。

 

♧)楽しみで…今からドキドキしてます///
隆)……

 

楽しみって…
会えるのが嬉しいのはわかってるけど…

 

隆)告白、するんだよね?
♧)…っ

 

俺がそう聞くと、
♧は眉を下げて俺を見た。

 

♧)できる…かな……
隆)…っ

 

そんな弱気な言葉に
なんだかモヤモヤする。

 

隆)しなよっ!
♧)…っ
隆)ちゃんと伝えておいで!
♧)……///

 

ちゃんと伝えて
キレイさっぱり吹っ切って、
早く俺との恋愛、始めようよ。

 

なんて俺が思ってるとは
知りもしないんだろうけど…

 

♧)実は…何日か前から…
  練習はしてるの…///
隆)え…?
♧)寝る前にね?
  いつも彼の写真見て
  おやすみなさい、するんだけど…
隆)……

 

え…
そんなことしてんの…?

俺との電話切った後も…
そんなことして寝てんの?

 

なんかすげぇモヤモヤする。

わかってる、嫉妬だって。

 

♧)最近はおやすみなさいの時に…
  好き、って…///
  写真に向かって、言ってみてるの…
  …って、恥ずかしい///
  内緒だよ?!///
隆)……

 

内緒って、俺が誰に言うねん。

 

こんな風に♧のテンションを変えちゃうのも

こんなに♧を可愛くしちゃうのも

全部全部、俺じゃない男。

 

隆)そんな練習してんなら…
  日曜日言えるでしょ。

 

あ、俺…
少しやな言い方になっちゃったかも…

 

♧)うんっ…だから…
  頑張ろうとは思ってるけど…
  はぁ…///
隆)……

 

イライラ…とも違う。
ムカムカ…、かな?

……嫉妬で、おかしくなりそう。

 

♧)でもね、
  前なら絶対に無理って思ってたのに…
  こうして頑張ろうって思えてるのは…
  隆二くんのおかげなんだよ?
隆)……
♧)ありがとう…///
隆)……

 

そんな可愛くお礼言ってくれたって…

俺は♧の恋は応援してないんだってば。

 

早くその恋を終わらせて
俺のとこに来てよ。

 

隆)……キスして。
♧)えっ!

 

ああ、俺…すげぇふてくされてる。
ガキみてぇ。

 

隆)早くしてよ…
♧)……話、飛んだね?///
隆)……

 

別に飛んでねーし。
俺ん中では繋がってるし。

 

いつも帰り際にしてくれる、ほっぺのキス。

 

その男の話、聞かされて
すげぇムカムカしてるから

キスでこの気持ち、鎮めてよ。

 

♧)帰る時…ね?
隆)やだ。今して。
♧)////

 

♧の手を握って、頬を近付ける。

 

隆)今、して、帰る時もして。
♧)??///

 

俺、ワガママでしょ?
わかってるよ。

でも…

 

……チュッ

 

♧)……もう…///
隆)////

 

ほら、キス一つで
こんなに気持ちが晴れる。

 

ほっぺに触れる
♧の柔らかい唇の感触が

こんなに俺を、幸せにしてくれる。

 

そして…

俺の気持ちに、拍車をかける。

 

隆)もっかい、今度はこっち///
♧)…っ///

 

反対側の頬を出すと
繋いでる手に、キュッと力が入った。

 

♧)今日の分は…もうしたもん…
隆)やだ。足りない。
♧)////

 

何度でも味わいたくなる。
この甘い時間。

 

……チュッ

 

ほら、またしてくれた。

 

隆)へへへ////
♧)……もう…///
隆)////

 

可愛いなぁ…
大好きだなぁ…

 

ぎゅっっ

 

♧)わっ…///
隆)////

 

こんなところ、どうせ誰も来ない。
それがわかってるから
俺はどんどん、止まらなくなる。

 

抱きしめてた腕をほどいて
♧の頬を両手で包んだ。

 

♧)隆二…くん…?///
隆)……

 

キス、したいなぁ……

 

二回俺にキスしてくれた、柔らかい唇。

 

……ぷに、……ぷに…

 

親指で優しく
その柔からさを楽しんでると

♧が少し困った様子で
俺の腕を小さく掴んだ。

 

♧)何…してるの…?
隆)ん…?…ぷにぷに。
♧)////

 

すげぇ気持ちぃ……///

キス、したら…
どんなかな。

 

すげぇしたいな。

 

ねぇ…
俺、大阪で一回もキスしなかったんだよ?
我慢したんだよ?
えらくない?

 

♧がやだって言うから…

あんな可愛くやだって言うから…

俺、誰ともしなかったんだよ?

 

♧)隆二…くん…、///
隆)……

 

だから、さ…

しちゃ…ダメ?

 

左手で頬を包んだまま
右手は唇を楽しんで…

 

俺の止まらないぷにぷに攻撃に
♧はいつの間にか恥ずかしそうに
目を瞑ってしまった。

そんな姿も、可愛くてたまらない。

 

隆)ねぇ……

 

ぷに…、ぷに…、

 

隆)キス、したこと…ないんだよね?
♧)…っ

 

俺のその言葉に
ようやく開いた瞳。

 

隆)ないんだよね?
♧)////

 

俺のその問いに、♧の頬は
みるみる熱くなった。

手のひらで感じるその熱が…
俺を余計に、興奮させる。

 

隆)……
♧)////
隆)…して…、みたい?
♧)…っ

 

ずるい聞き方。

したくて仕方ないのは、自分のくせに。

 

隆)…ねぇ、してみたい…?

 

唇の上で弾ませていた親指を
そっとスライドさせるようにして
なぞると

♧はぴくんと震えて…

 

隆)////

 

その反応に、俺の身体は一気に熱くなった。

 

ああ、無理。

もう無理だ。

 

そんな可愛い反応されたら…
我慢できるわけないじゃん。

 

隆)♧……

 

そのまま角度を変えて
顔を近付けると…

 

………ドンッ

 

強く押し返された胸。

 

隆)…っ

 

目を開けると、♧はもう
俺の前にはいなくて…

 

♧)今日はっ…
  隆二くんがなんか変だから
  もう帰る…っ!////
隆)…っ

 

荷物を素早くチャリのカゴに詰める、
♧の姿。

 

隆)え、ちょ…っ
♧)じゃあね!バイバイ!!///
隆)ちょっと待ってよ!
♧)…っ

 

……あっという間に

 

風のように、
いなくなっちゃった……

 

隆)……俺、やりすぎた…?

 

 

ーendー

コメントを残す

スポンサーリンク
スポンサーリンク