[97]泣いてる♡

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♡)ただいまーーー♡

瞬)あ、帰ってきた!
レ)おかえりーー!w

♡)えへへ♡

 

リビングのドアを開けると
晩御飯のイイ匂い。

 

レ)あんたが急に来るって言うから
  多めに作ったよ。
♡)わーん!ママー!ありがとー!
瞬)手ぇ洗ってきなよ。
♡)うんっ!♡

 

手を洗って戻ると
テーブルには美味しそうなご飯が
たくさん並んでた。

 

♡)わぁぁぁ♡美味しそう!!
レ)久々にこんな作ったわw
瞬)な!w

 

ママと瞬が作ってくれたご飯。

それだけでなんかあったかくて嬉しい。

 

♡)……ママぁ…
レ)んー?
♡)……
レ)なに、どうした。
♡)…ぎゅってして……
レ)はぁ?!
♡)ぎゅってして…っ!
レ)あんたは子供か!!

 

そう言いながらも、ママは私を
ぎゅっと抱きしめてくれた。

 

♡)ママぁ……
レ)なーに。
♡)大好き……
レ)どうしたのw
♡)ママ大好き……
レ)……

 

ママの優しいぬくもりに、
なんだか涙がこみ上げてきた。

 

♡)ふ…ぇ…っ
レ)はぁ?!なんで泣いてんの!
♡)だって……っ
瞬)どうした姉ちゃん!!
♡)ふぇぇん…っ

 

ママは困ったように
私の頭をなでなでしてくれて…

 

♡)瞬〜〜〜〜
瞬)なに!
♡)瞬もぎゅってして……
瞬)はぁ?!//
♡)ぎゅってして…っ!
瞬)……、ほら、もうっ!//

 

両手を広げてくれる瞬の胸に飛び込んだ。

 

♡)へへ、瞬もだぁいすき♡
瞬)なんなんだ今日の姉ちゃん…
レ)子供返りして帰ってきたんじゃないw
瞬)なんでだよ!w
レ)さぁねw
♡)瞬〜〜〜♡
瞬)懐くなよ!w

 

ママも瞬もあったかい。
大好きな私の家族。

 

瞬)なんかあったの?

 

瞬は笑いながら私の涙を拭いてくれた。

 

♡)何もないよ。
瞬)ならいいけど…
♡)あのね、ママも瞬も大好き♡
瞬)それは…ありがとうございマス…//
♡)大好きだよぉー♡
レ瞬)わかったから!w

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

車で迎えに行くってLINEしたけど
♡は既読にもなんなくて。

あいつ最近、携帯放置しすぎじゃね?
…ったく。

 

♡の実家への道は
意外に空いてて。

 

このままじゃ♡から返事が来る前に
着いちゃうじゃん。

いきなりピンポンすんの?
気まずくね?

 

こういう時のために
今日はレイコさんと瞬と
連絡先交換しよう。

 

臣)電話してみるか……

 

信号待ちで、♡に電話をかけると…

長めのコールの後で
聞こえてきたのは、瞬の声。

 

瞬『臣さんっ!!』
臣『おう、瞬ー?』
瞬『はいっ!!』

 

相変わらず元気だなw

 

臣『♡いるー?』
瞬『はい!飯食って寝てます!』
臣『ぶっw』
瞬『姉ちゃんの携帯見たら
  臣さんからだったんで
  俺が出ちゃいましたw』
臣『あはは、ありがとうw
  あのさ、もうすぐそっち着くんだけど…』
瞬『えっ!マジっすか?!
  姉ちゃん起こしますね!!』
臣『いや、いいよ。
  寝かせといてやって。』
瞬『えっ、…わかりました。』
臣『ってかもう着いたわ。』
瞬『ええ!!w』
臣『車停めて大丈夫?』
瞬『はい!好きなとこにどうぞ!』

 

瞬は俺がピンポンする前に
玄関から飛び出してきた。

 

瞬)臣さんっ!♡♡
臣)……ww

 

ほんと可愛い。

 

臣)♡迎えに来た。
瞬)え、それだけっすか?
臣)うん。
瞬)京セラ3公演明けで絶対疲れてんのに
  姉ちゃんわざわざ迎えに来て
  くれたんすか?!
臣)詳しいね…w
瞬)だってモバイル毎日見てますもん!
臣)そうそう。
  その姉ちゃんを迎えに来たんすよ。
瞬)か〜〜〜っ!信じらんねぇ!
  臣さん優しすぎっすよ!
  おいコラ!姉ちゃん起きろ!!
臣)だーーーっ!!いいからいいから!

 

玄関口で大声で叫ぶ瞬の口を塞いだ。

 

臣)とりあえずお邪魔しまーす。

 

リビングのドアを開けると
レイコさんが笑顔で迎えてくれた。

 

レ)よっ!いらっしゃい!
臣)こんな時間にすみません。
レ)全然いいけど、♡寝ちゃってんだよ。
瞬)姉ちゃんなんて
  電車で帰らせればいいんですよーーー
臣)昨日あんま寝れてないと思うから
  起こさないでやって。
瞬)……

 

♡を起こそうとした瞬を止めて
テーブルに突っ伏してる♡の寝顔を覗くと…

目尻には、涙の跡。

 

♡が開いてるのは…昔のアルバム。

 

臣)……

 

涙の跡をそっと拭って
頭を撫でたけど、♡は起きなくて。

 

瞬)姉ちゃん…なんかあったんすか…?

 

瞬が少し心配そうに聞いてきた。

 

臣)なんかって…?
瞬)いや、わかんないけど…
  なんか今日少し変だったから…
臣)……
レ)つーか登坂くん、晩御飯食べたの?
臣)あっ……

 

完全に忘れてた。

 

レ)お腹空いてる?ご飯食べてく?
臣)いやいや、それは…

 

ぐーきゅるるーーーー

 

臣)……///
レ)ぶはっww
  食べていきなよ!
  今日多めに作ったから。
臣)いいんですか…?
瞬)じゃあ俺用意するっ♪
レ)いっぱい食べてって!w
臣)じゃあお言葉に甘えて…すみません…//

 

眠ってる♡の肩にパーカーをかけて
俺はダイニングテーブルに移動した。

 

臣)うわ、美味そ〜〜〜〜
瞬)へへっ、いっぱい食べてくださいね!
臣)いただきます!
レ)あんた随分ご機嫌だねw
瞬)だって臣さんがうちで飯食ってるとか…
  ひひひw
レ)相変わらずキモい息子でごめんね。
臣)ぶははっw

 

よく忘れてたなってくらい
俺は腹ペコだったみたいで、

遠慮なく全部平らげた。

 

臣)はぁ…実家のご飯って…癒される。
レ)あはははw
  いつでも食べにおいでw
臣)ありがとうございます…//
  あ、そうだ!
  二人の連絡先聞いてもいいですか?
レ)うん、もちろん。
瞬)臣さんと…番号交換?!///
レ)いやいや、喜びすぎだからw
瞬)わぁぁぁぁ///
レ)何その狙ってる子の番号ゲットした並の
  嬉しそうな顔。
瞬)いや、それより嬉しい。ヤバい///
臣)ぶはははw

 

これでよし、っと。
何かあっても俺から連絡できる。

 

レ)あ、そーだ!LAのお土産ありがとね!
臣)ああ!はい。
レ)オシャレ〜〜なやつ!
  使わせてもらうわw
臣)ぜひw
瞬)臣さん臣さん!デザートもありますよ!
  スイカ!食いますか?
臣)お!食いてぇ!
瞬)今切ってきます♡
臣)さんきゅー!

 

食べ終わった食器も
瞬があっという間に片付けてくれて…

ソファーの前で眠ってる♡に目をやっても
起きる気配もなく、爆睡中。

 

レ)なんか…ごめんね?
臣)え…?
レ)あの天然娘、登坂くんに
  迷惑かけてないかなーって。
臣)迷惑なんて…
レ)甘ったれたこと言ってたら
  たまにはガツンと言ってやんなよー?
瞬)あはははw
臣)いやーー、俺…相当彼氏バカなんで…w
レ)へ?!
臣)無理ですね。
レ)彼氏バカって…
臣)自他共に認める彼氏バカです。
レ)ぶはっww
瞬)そうなんすか…?
臣)うんw

 

だって…

 

臣)♡のためなら…なんでもしてやりたいし…
  ♡が甘えてくるなら
  いくらでも甘やかしたい。
レ)……
臣)いつもそばにいてやりたいし…
  あいつが笑ってる時も、泣いてる時も。
瞬)……
臣)俺はあいつが世界で一番大事。
レ)……
瞬)////

 

俺がそう言うと、
瞬がもじもじしながら
俺の前にスイカを置いた。

 

臣)ありがとw
瞬)……///
臣)てゆーかお前
  こんな綺麗に切ってくれたの?!w
瞬)あ、はい。
臣)すげぇw
瞬)……
臣)ん、どうした?

 

俺をじっと見つめる瞬。

 

瞬)いや…
臣)……
瞬)姉ちゃんすげぇ愛されてるなぁって
  思って…
臣)愛してるよ。
瞬)……///
レ)ねぇ、なんであんたが照れてんの?
瞬)だって!!///
 

瞬が顔を隠してジタバタ暴れてる。

 

瞬)自他共に認めるって…
  そ、そ、そんな感じなんですか?
臣)んー?
瞬)姉ちゃんと…臣さんは…//
臣)うん。
  俺なんかお前どんだけ好きなんだよって
  いつも言われてるし。
瞬)えええ!///

 

食べやすくカットされたスイカは
シャリシャリして甘くて美味しい。

 

瞬)うあああ〜〜もうっ、ええっ?!///
レ)うるさいなあんたはw
瞬)だって〜〜!///

 

瞬はたまに♡に似てるところが可愛い。

 

レ)登坂くん、また変わった気がする。
臣)え…?
レ)前に会った時より、なんか穏やか。
臣)そう…ですか…?
レ)うん。

 

レイコさんが優しく笑った。

 

前にここに来たのは
♡との記念日旅行の帰りだった。

 

あれから3ヶ月か…

 

たった3ヶ月なのに地味に色々あったしな…。

 

一番大きかったのはきっと…

♡を失いかけて、

俺の中で♡はかけがえのない存在で
何よりも大事なんだって
自分で気付いたこと。

 

何があったって、絶対に失いたくない。

 

 

臣)♡…、起きろ……。

 

アルバムに突っ伏したまま
まだスヤスヤと眠る♡。

 

昔のアルバムを見ながら泣いてたってことは
やっぱりハルくんを想ってたんだろうか。

そんなに…
ハルくんが好き…?

 

臣)……

 

♡の腕の隙間から見えるのは

小さい頃の、二人の笑顔。

 

臣)♡……、

 

もう一度名前を呼んで、髪を梳くと…

 

♡)…ん……、…パパ……

 

♡が小さく呟いた。

 

臣)……

 

口にしたその名前が
「ハルくん」じゃなくて「パパ」で
どこか安心してる俺。

 

臣)ほら、帰るぞ。
♡)んん……

 

♡を抱き起こして、アルバムを閉じて。

俺はそのまま♡を抱き上げた。

 

臣)じゃあ、帰ります。
レ)わざわざ迎えに来てくれてありがとうね。
臣)いえ、なんか逆に俺も
  ご馳走になっちゃってすいませんw
レ)あはははw
  いいのいいの、本当またいつでもおいで。
臣)ありがとうございます!
  ご馳走さまでした。
瞬)あ、俺ドア開けますね!
臣)ありがと。

 

腕の中でスヤスヤ眠る♡を
瞬が開けてくれた助手席にそっと寝かせた。

 

瞬)ほんと世話の焼ける姉ですいません。
臣)あはははw
  安全運転で帰ります。
瞬)はい!気をつけて!
臣)じゃあまたな。
瞬)はいっ!

 

走り出した車の中でも
♡はずっとスヤスヤ眠ってる。

そんなに昨日、寝てなかったのかな?

 

そういえば帰ってきてすぐに
俺の腕に飛び込んできた♡の身体は
少し冷えてた気がする。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ゆらゆら揺られる車の振動。

微かに感じるのは、大好きな臣くんの匂い。

 

♡)……ん……、、

 

ゆっくり開けた瞼。

視界に飛び込んできたのは
色とりどりの街の灯り。

 

赤い信号の前で、車がゆっくり止まると…

 

臣)ん、起きたか……?

 

優しい声。

 

運転席に目をやると、
優しい目をした臣くんが
私のほっぺを優しく撫でた。

 

とくん……

 

♡)臣…くん…?
臣)ん、まだ寝てていいよ?
♡)……

 

私…どうして…

 

臣)もうすぐ着くから
  着いたら起こしてやるから。
♡)……

 

状況を把握できずに
目をパチパチする私に

臣くんは笑いながら説明してくれた。

 

♡)そう…だったんだ…
  ごめんね、連絡気付かなくて…
臣)いいよ。
  おかげで美味しいご飯
  ご馳走になれたしw
♡)そっか…♡

 

臣くんがニコッと笑って
頭を撫でてくれたから

すごく安心した。

 

 

家に着いたら…

臣くんがテキパキお風呂を用意してくれて

先に入っておいでって言ってくれて…

どうして臣くんはこんなに優しいのかな。

 

お風呂でゆっくり疲れを癒して…

髪を乾かしながら
鏡に映る自分の顔は

なんだか寂しそう。

 

私…どうしてこんな顔してるの…?

 

実家に帰って…
ママと瞬にぎゅってしてもらって

元気になったはずだったのに。

 

ご飯の後に見たアルバム。

そこには笑顔のハルくんがたくさんいた。

 

♡)……

 

カラカラカラ……

 

ベランダに出て、夜風に当たる。

 

今日も星は見えないけど
暗い雲に覆われてうっすら見える三日月。

 

♡)……

 

ハルくんも…見てるかな…

 

ハルくんにまた会える日は…来るのかな。

もう二度と、会えないのかな。

 

臣)♡!?

♡)…っ

臣)何してんの!!

 

後ろから腕を掴まれて、
ぎゅっと抱きしめられた。

 

臣)部屋にいないから…ビビった。
♡)……
臣)中…入ろ…?
♡)…うん…。

 

そのまま臣くんに肩を抱かれて…
私は窓の鍵をかけて、
臣くんと一緒にラグの上に座った。

 

向かい合って座る臣くんは
濡れた髪のまま心配そうに私の頭を撫でる。

 

臣)何してたの?
♡)空…見てた。
臣)そっか…
♡)うん…。

 

……静かになる、リビング。

TVも何もついてないから…
聞こえるのは二人の呼吸だけ。

 

膝の上のクッションを、ギュッて握ると…
臣くんが静かに口を開いた。

 

臣)昨日の…歌、さ。
♡)……
臣)……
♡)……

 

昨日の…歌…?

 

臣)ハルくんに…歌ったの…?
♡)……
臣)……
♡)……

 

昨日の…歌は……

 

♡)…そうだよ…。
臣)……

 

ハルくんがどこかで
聞いてくれるかもしれない。

そう思って歌った。

 

そう願って、歌ったの。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「そうだよ…。」

 

わかってたくせに、
実際に肯定されると、キツイ。

 

臣)ハルくんが…好き…?

 

そんなこと聞いて、どうするんだろう。

 

♡)……(こくん)。
臣)……っ

 

♡が頷いた瞬間、
時間が止まったような気がした。

 

好きってどういうことだよ、とか…
俺より好きなのかよ、とか…

頭の中はグルグルしてるけど…
何一つ言葉にならない。

何も、出てこない。

 

ただ胸が…締め付けられて…

 

♡)ハルくんが…好き…、…っ
臣)…っ
♡)…だい…すき…っ…
臣)……

 

そう言って、
目の前の♡はポロポロと涙をこぼす。

 

こんなに胸が苦しいのに

♡が泣いたら俺の腕は無条件に
♡を抱きしめてしまう。

 

♡)ふぇぇ…っっ
臣)……

 

♡はまた、俺の腕の中で泣くんだ。
今朝と同じように。

 

♡)ひっく…っ、ふぇ…ぇ…っ
臣)……
♡)ハルくんが大好きなの…っ
臣)…っ
♡)…ふぇ…ぇん…っ
臣)……

 

俺は何も言えなくて、
♡の背中でまたトントン、と
ゆっくりリズムを奏でるだけ。

それしか出来ない。

 

臣)……
♡)…ひ…っく…

 

しばらくすると、
♡が泣きながらもゆっくり説明してくれた。

 

♡)ハルくん…ね、……
  アメリカに…行ってたんだって。
臣)アメリカ?!
♡)うん…。
臣)……

 

マジか。

 

♡)私が泣いちゃうと思って
  言えなかったって…
臣)……
♡)私が悲しむ顔を、見たくなかったって…
臣)……
♡)何も言わずにいなくなってごめんねって…
  寂しい思いさせてごめんねって…
臣)……
♡)何度も自分を責めて…謝るの…っ
臣)……

 

♡の手が、俺の背中をぎゅっと握った。

 

♡)ハルくん…泣いてた…っ
臣)……っ
♡)ハルくんが泣いたら…やなの…っ
  悲しいの…っ
臣)……
♡)ハルくんにはいつも笑っててほしいから…
  こんな風に…苦しんでたのかな…とか…
  泣いてたのかなって思ったら…
臣)……
♡)胸が張り裂けそうだった…っ
臣)……

 

♡は声を絞り出すようにして話しながら
俺の胸でずっと泣いてる。

 

臣)……

 

ハルくん…
泣いてたんだ。

 

離れたくて離れたわけじゃない。

♡が好きで…
♡の側にいたかったのに…
アメリカに行かなきゃいけなかったんだ。

 

♡を残していったことを
後悔したんだろうか。

 

離れてる間、
二人ともきっと…同じ気持ちだったんだ。

 

会いたくて…会いたくて…
寂しくて、涙して…

でも、相手の笑顔を願って、幸せを願って。

 

♡)…ハルくんにはね、今…
  大事な人がいるんだって。
臣)え…?

 

大事な…人…?

 

臣)ハルくんがお前に…そう言ったの?
♡)ううん。
臣)……
♡)クラス会の日に…
  ハルくん、告白されてて…
臣)……
♡)その女の子に言ってたの。
  何よりも誰よりも大事な人がいる、って。
臣)……
♡)ハルくんには私の知らない時間が
  あるんだなぁって…
臣)……
♡)当たり前なんだけど…
  少し…寂しくて…
臣)……

 

その「大事な人」って、
お前じゃないの…?

 

♡)前に偶然…会えたみたいに…
  もしまた…どこかで…
  会えるような奇跡があったら…
臣)……
♡)その時は…友達になろうね、って…
臣)……

 

友達…?

 

♡)そう約束して、さよならしたの。
臣)……
♡)だから…っ…、も…う…
  ハルくんには…会えない…の…っ
臣)……
♡)…ひっく…、…ひっく…
臣)……

 

ハルくんが♡にそう言ったのは…
自分に彼女がいるからじゃないと思う。

じゃあ…なんで…

 

♡)…ふ…ぇぇ…っ
臣)……

 

だって…
友達になるなら、今なればいい。

それをわざわざ
天に任せるようにするなんて…

 

また会えるって、信じてるんだろうか。
  

臣)…っ

 

俺が…いるから…?

 

臣)……

 

俺はハルくんに会ったこともないし
ハルくんじゃないからわかんないけど…

もし俺だったら…

 

離れててもずっと好きだった女の子がいて…

やっと会えて、今でも好きで…

でもその子には、彼氏がいて。

 

そんな状況でできることなんて一つもない。

 

好きならなおさら…

相手を困らせたくも悩ませたくもないから
どうにも動けないし…

 

だからといって
何食わぬ顔で友達として側にいられるほど
軽い気持ちでもない。

だったらいっそ
もう会わないって決めて

 

でももしまたどこかで会えたら
そんな奇跡がもしもあるならその時は、
新しい関係を始めてもいいかもしれない。

運命が自分たちをまた
引き合わせてくれるなら。

 

臣)……

 

そんな風に思うかもしれない。

 

ハルくんも…
そう思ったんだろうか。

 

わからない。

わからないけど…

 

♡)だか…ら…っ
  もしいつか…ハルくんに…会えたら…っ
臣)……
♡)その時は…友達になっても…いい…?
臣)……

 

ポロポロと涙をこぼす綺麗な瞳が、
真っ直ぐに俺を見つめた。

 

そう聞かれて、ダメなんて言えるわけない。
♡がこんなに泣いてるのに。

 

臣)うん…。
♡)……っ
臣)…いつか…会えるといいな。
♡)…うん……っ

 

もう一度♡をぎゅっと抱きしめて…

 

そのまま俺の腕の中で
泣き疲れて眠った♡。

 

眠ってからもしばらく背中を撫でて…
それからゆっくり、ベッドに運んだ。

 

臣)……

 

瞼は少し腫れて、綺麗な頬には涙の跡。

起こさないようにそっと拭って…

 

臣)……はぁ……。

 

♡の涙に、ハルくんの存在の大きさを
痛いほど思い知らされる。

 

ハルくんは…
こんなにも♡の心を揺るがすんだ。

 

臣)……

 

俺がいるから…

お前の側にいるから…

 

だからそんなに、泣くなよ。

 

臣)……

 

ハルくんを好きだって
泣きながら訴えられたことに対する
純粋なショックと

泣いて傷ついてる♡を
どうにかしてやりたいって思う気持ちと

 

俺の中でも、感情がいろいろ複雑に
入り混じっていて…

 

なんとも言えないような苦しい感情を
抱きしめるように

ベッドの中で、♡の身体を抱き寄せて
抱きしめて。

 

臣)……好きだよ。

 

何があったって消えないのはこの気持ち。

♡が好きだっていうこの気持ち。

 

♡の悲しみや痛みが、

俺の腕の中で少しでも和らぎますように。

 

……そう願いながら、

俺も静かに目を閉じた。

 

 

ーendー

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  1. さゆがん より:

    記念日旅行から3ヶ月しか
    経ってなかったんですね( °o° )
    暗黒期とか濃すぎて
    何年も経った気がしてました(笑)
    アメリカ旅行のラブラブが恋しいです♪(´ε` )
    あーこんな彼氏バカな人と出会いたい。。

    • マイコ より:

      そうなの…。゚(゚^∀^゚)゚。まだ3ヶ月…!おそっ!!ww
      早く2017年まで飛びたいんだけど、なんせいろいろ事件が起こるから全然進まないの、この子たち笑
      出会ってから彼氏バカに育てるのも一つの策じゃぞ(❁´ω`❁)

  2. 外山咲良 より:

    も~瞬くんやばすぎ。絶対いいこやし。
    臣くんは、やっぱ♡ちゃんのことになると何でも良いんだな。
    ちょっと傷ついてる。次回も楽しみにしています!

  3. NATSUKI より:

    マイコさんお久しぶりです‼実は今携帯壊れててiPadで見てます~笑笑story 読んでたら私も悲しくなって泣いちゃってます。これからもstory 楽しみにしてます‼  これからも読ませていただきます

    • マイコ より:

      泣かんでくれ〜〜〜。゚(゚´ω`゚)゚。
      いつもありがとうなっちゃん♡

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