[95]20万円のタクシー

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あれから、♡と連絡が取れない。

ハルくんに会いに行くって言って…

俺はバカみたいにそれを許して…

LIVEが終わったら
連絡が来てるかなって…
そわそわしながら携帯を見たけど

着信もLINEも何もなくて。

今どこで何してるんだろう。

まだハルくんといるんだろうか…

そんなモヤモヤを抱えたまま、
ホテルに戻って…

0時を回っても連絡がないから
電話をかけてみたけど、♡は出なくて。

『帰って来た?
 心配だから連絡ちょうだい。』

そう送ったLINEは今朝になっても
既読になってなかった。

何があったんだろうって
心配で心配で…

健)♡ちゃん今日LIVEやろー?
  それで必死なんちゃう?
隆)うん。曲だって歌詞覚えるの
  大変だろうし。
臣)……

でも…
LINEくらい見れるよな。

N)♡ちゃんだって
  臣に構ってらんないくらい
  大変な時があるんだよーー
健)せやで〜〜〜
  ちょーっとくらい返事来ぇへんからって
  いちいち落ち込むな。
臣)別に落ち込んでねーもん!
健)ほんならこの尖った口は何やねん。
臣)いてっ
岩)明らかに拗ねてる…w
臣)……

別に…
落ち込んでるとか…拗ねてるとかじゃなくて…

俺はただ心配なだけだ!!

だって…

だって…

♡は昨日ハルくんと会ってんだぞ!!
あのハルくんだぞ!!

臣)……っ

気になって気になって仕方ない。

E)♡ちゃんのLIVEって
  何時からなのー?
直)オープニングアクトって言ってたし
  もう終わってんじゃない?
岩)おお!調べてみるー!
臣)…っ!!

俺だって調べる!!

「❀❀フェス、姫」で検索すると…

岩)すっげぇ…何これ…
臣)……っ

めちゃくちゃ出てくる。

健)♡ちゃんのセトリは…
  『プラネタリウム』
  『花火』
  『ヒロイン』
  『同じ空を見上げてる』
  4曲歌ったんか!しかも花火て!!
E)え、俺たちの花火?!
岩)そうみたい!
E)おおおお!!
隆)え、すげぇ!!!
  back numberとコラボしたって!!
N)どええ?!!!

検索してわかったのは、
♡が音源を忘れてったとかで
一曲目はアカペラだったこと。

そして『花火』と『ヒロイン』は
清水さんとコラボしたこと。

で、最後の曲はピアノで弾き語りをしたこと。

E)なんか♡ちゃんすっげぇ!!w
健)それにしても音源忘れるとか
  どんだけ鈍臭いねん!w
直)うーーん……
  それ違うんじゃない?
健)えっ?
直)用意するの、
  ♡ちゃんの仕事じゃないでしょ。
N)と言いますと…?
直)ちゃんと誰かが用意してたけど、
  なくなった。
  もしくは用意するはずの人が
  用意してなかった。
臣)……
E)……
N)なんかどっちにしても
  誰かの悪意を感じるんですけど…
岩)マジか……
臣)……っ

誰かに…嫌がらせされた…?

隆)でもさ、真相はわかんないけど
  それを乗り越えて
  こんなすげぇステージかまして
  ♡ちゃんマジですごくない?
N)ピンチはチャンスって言うからね!
E)なんでNAOTOさんがドヤるんすかw
岩)動画も結構上がってるけど、すげーよ!
直)ほんとに歌上手いなぁ……
N)アカペラで逆に良かったんじゃね?
健)言えてる…
隆)すげぇ…鳥肌立ってきた…
岩)うん、マジでカッコイイ。
E)……
臣)……

そのうちみんな♡の動画に夢中になって、
誰も喋らなくなった。

俺が気になったのは、♡の選曲。

あいつはその時の自分の気持ちを
歌にする傾向があるから…

♡が歌った曲の歌詞が気になる。

俺は順番に検索をかけた。

プラネタリウム』は…
大塚愛だよな。

『会えなくても 記憶をたどって
 同じ幸せを見たいんだ
 あの香りとともに 花火がぱっと開く

 行きたいよ 君のところへ
 今すぐ かけだして 行きたいよ
 まっ暗で何も 見えない 怖くても大丈夫

 数え切れない星空が
 今もずっと ここにあるんだよ
 泣かないよ 昔 君と見た
 きれいな空だったから』

臣)……

もうこれ…
絶対ハルくんじゃん…

絶対ハルくんのこと想って歌ってるじゃん…

少なくとも絶対俺のことではない。

『花火』と『ヒロイン』は
急遽歌ったっぽいから飛ばして…

同じ空を見上げてる』は…

臣)……っ

俺はその歌詞を見て絶句した。

もう、♡が書いたんじゃないかってくらい
今の♡みたいな歌だったから。

なんだこの歌……。

どこをどう取っても♡の気持ちみたいで…

♡のハルくんへの気持ちが
あふれてるみたいで…

臣)……はぁぁ………

俺はそのままテーブルに突っ伏した。

……どんだけ…好きなんだよ…
ハルくんのこと……

俺より…好き…?

昨日二人で話して…どうなった…?

俺、帰ったらフラれんの…?

そんなわけないって思う気持ちの裏側で
女々しいマイナス思考ばかりが浮かんで…

健)この最後の歌、なんなんやろ?
  マイナーやな。
N)これ確かディズニーの歌だよ。
  なんだっけ、ほら。犬のやつ!
直)ボルトですか?
N)そう!それ!
E)ふーん…、♡ちゃんその映画好きなの?
臣)……

そんなんじゃないと思う。

好きかもしんねぇけど…
この歌は…そうじゃなくて…

ただただ、ハルくんを想って歌ったんだ。
俺にはわかる。

隆)あんまり知らない曲だけど 
  この歌すげぇ好きかも…
岩)俺も思った!!
隆)ねぇ臣、見ないの?
  ♡ちゃんの歌、ほんといいよ!
臣)……

隆二が隣にむぎゅむぎゅ座ってきて
俺に無理矢理画面を見せてきた。

『会いたくて 会えなくて ただ祈った
 消えないで 消さないで 心に燈す日々を
 おんなじ孤独を
 どうかあなたは知らずにいて』

臣)……

ピアノを弾きながら歌うその姿は
相変わらず凛としていて可憐で美しい。

新しい衣装も…似合ってる…。

『愛しくて愛しくて あの笑顔は
 今日もまた輝いて 誰かを照らすのでしょう
 思い浮かべてみるよ
 一人の夜も 優しい気持ちになれるから』

隆)これ、臣のこと歌ってんじゃない?
臣)……

あっさり地雷を踏んでくる隆二。

岩)俺も思った〜〜
健)会いたくて会いたくて、
  恋しくて恋しくてって〜?
  どんだけラブラブやねん!w
臣)……

『大切なもの守りたいと
 願う気持ちがチカラになる
 つまづいたって めげない強さ
 大丈夫もうここに持ってるんだよ』

♡の歌を最後まで聞いて…
やっぱり夕陽を一緒に見たのは
ハルくんだったんだなって、わかった。

N)こんなラブソング歌ってもらって
  いいねぇ〜〜臣ぃ〜〜〜
臣)……

俺は隆二の携帯を放り投げて
もう一度突っ伏した。

隆)ちょ、俺の携帯!
臣)……
岩)どうしたの臣さん。
臣)……
E)臣……?
臣)……

なんか、ダメージでかい。
ちょっと立ち直れない。

臣)俺……
  帰ったらフラれるかも。

突っ伏したまま小さくそう言うと、
聞こえてきたのはみんなの爆笑だった。

N)何言ってんの?!臣!www
E)あははははw
健)フラれる〜〜?!
  お前暑くて頭おかしなったんか?ww
岩)何の冗談それww
隆)おもしろくねぇ〜〜ww
臣)……

誰もわかってくんない。
なんだよ。

もそっと起き上がると
みんなは俺を無視してもう飯食ってるし。

直)臣……
臣)直己…さん…

直己さんだけは心配そうに
俺に声をかけてくれた。

直)本当に…暑くて辛いのか?
  大丈夫か?
臣)……

だから…
暑さのせいじゃねーしっ!!!

俺はまた、ぼーっとスマホを開いて
♡のページを開いた。

クラス会のあった日、
♡は同級生との集合写真を載せてて…

真ん中で♡の肩を抱いてるのが
いつも話に出てくる修二ってヤツで

その反対側で肩を組まれてるもう一人が
ハルくんだ、って……

写真を見ただけですぐにわかった俺は
自分が怖い。

でも、わかった。

ぎこちなく笑う二人は
お互いを意識してるのが写真からでもわかる。

なんでわかんの俺。怖くない?

ハルくんは…
ハゲてるどころかすげぇイケメンだし…

この写真を何度も見て、実は凹んでた。

でもその後も♡は何も言わなかったし…
いつもみたいに俺に好きって言ってくれて
笑ってくれてたから…安心してたのに…

臣)はぁぁ……

なんで俺…昨日…

会いに行っていいなんて言ったんだろ。

こんなに余裕ないくせに。
マジでだせぇ……

臣)……♡…、、

会いたい。

今、何してる?

誰のこと…想ってる…?

岩)今…♡ちゃんの名前呼んだ…?
臣)……
岩)マジで大丈夫?臣さん。
  京セラ三日目にして、♡ちゃん病?w
臣)……

だって…
会いたくて死にそうなんだもん。

岩)ねぇねぇ…なんかさぁ…
臣)……
岩)♡ちゃんが今日歌った『花火』、
  前と違うよね。
臣)え…?

花火を歌ってる動画はまだ見てない。

岩)なんか前より切なさが
  倍増してるっていうか…
  すげぇ物悲しい感じ。見る?
臣)……

それもまた、
ハルくんを想って歌ったのかって思ったら…

臣)いい、見たくない。

結構キツイ。

岩)み、見たくない?!
  臣さんが♡ちゃんを!?
臣)……

なんかいまいち食欲も湧かなくて…
一応無理矢理飯は食ったけど。

LIVEが始まるまでに
せめて返事が来たら…

そう思って肌身離さず持っていた携帯には
♡からの連絡は何もなかった。

おかげで情けないことに、
俺はLIVEもボロボロで。

フリは間違えるし、
歌詞は危うく吹っ飛びそうになるし

階段から滑って転びそうになるし、
しまいにゃマイクも壊した。

N)お前さぁ!
  パフォーマンス中に笑わせんのやめろ!w
健)どうしたんすか?
N)臣がさぁ!
  壊れたマイク見て見てぇって
  俺に見せてくんの!w
臣)だって見事に壊れたからw
N)もうプランプラン!w
臣)これはNAOTOさんに
  見せなきゃと思ってw
N)やめなさい!w

順番にシャワーに入って飯食って。

そんなLIVE終わりにも
♡からは何も来てなくて。

E)あっはは!ww
  これおもしれ〜〜〜!
  ね、臣、これやろ♪
臣)んー?
岩)俺もやるーー!!w

よくわかんねぇけど
謎の笑ってる動画を撮って。

岩)これELLYの声みたい!w
E)うっそ!w
臣)あはははw

無理矢理笑ってれば
元気出るかなと思ったけど…

やっぱり気分は上がらない。

岩)いや〜〜三日間やりきったね!
E)京セラさいっこ〜〜!♪

その時だった。

ピロリロリロ♪ピロリロリロ♪

臣)!!!!

♡からの着信に、俺は大慌てで電話に出た。

臣『もしもし?!』
♡『臣くん…?』
臣『うん!』
♡『……』

明らかに、元気がない声。

♡『昨日…返事できなくて…ごめんね…?』
臣『ああうん、全然いいよそんなん…』

すげぇ気にしてたくせに
また口をついて出る、カッコつけ。

臣『どうした…?大丈夫か?』
♡『……っ』

そこから♡の声は聞こえなくなって…

♡『ごめんね、やっぱり切るね……』
臣『え、なんで!!』
♡『……っ』
臣『♡…?!』
♡『LIVE、お疲れさま。
  気をつけて…帰ってきてね…
  それだけ言いたかったの。』
臣『ちょっと待って!』

泣いてる…?

臣『♡…?大丈夫…?』
♡『もう…切るね。』
臣『♡!!』
♡『臣くんの声…聞いたら…
  泣いちゃいそうだから…』
臣『…っ』

その言葉に、心臓がぎゅっと苦しくなった。

それって…どういう…

♡『なんか安心して…』
臣『…っ』

そっちの意味か…
ビビった、マジで…

♡『おやすみなさい、臣くん。
  ゆっくり休んでね。』

かすれた声でそう言うと、
♡は俺の返事を待たずに電話を切った。

臣)…っ

泣いてた。
絶対に。

今…、一人で…泣いてる。

臣)Sさん!!!
  Sさんどこ!!!
岩)どうしたの急に…
臣)Sさん!!!
S)はいよはいよーー
  どうしたの臣。
臣)俺今から帰る!!
S)はぁ?!帰るってどこに!
臣)家!!!!
皆)はぁ!!??

みんな驚いて俺を見たけど…

臣)タクシーで帰る!!
S)いや、ちょっと待って!
  いくらかかると思ってんの!
臣)いいよ、自腹で帰るから!
岩)臣さん、ここ大阪だよ!?
臣)わかってるよ!
直)20万くらいかかるよ、臣。
臣)いくらかかってもいいです!
N)ちょ、落ち着けって。どうした。
臣)…っ

あいつが一人で泣いてんのに…
ほっとけない。

N)明日の新幹線じゃダメなの?
臣)1分でも早く帰りたい。
N)始発の新幹線は?
  今からタクシーで帰るなら
  大して時間変わんないんじゃね?
直)タクシーなら…
  着くのは6時すぎ。
  新幹線の始発なら8時半くらいかな。
臣)それじゃ全然間に合わねぇ。
  タクシーで帰る!
  Sさん、いい?!
S)ちょ、ちょ、ちょっ…ちょっと待って!

Sさんが慌てたように
いろいろ電話をかけてくれて…

N)どうしたの臣。♡ちゃん?
臣)……はい。
隆)♡ちゃん何かあったの?
臣)……

泣いてた。

ただそれだけで今すぐ飛んで行きたい俺は
バカなのかな。

でもいい。
バカでもいい。

あいつが今一人で泣いてるんだとしたら
それを抱きしめてやるのは、俺がいい。

俺がそばにいてやりたい。

直)気をつけて…帰れよ?
臣)はい、すみません。

みんなはそれ以上何も聞かずに
俺を見送ってくれた。

結局Sさんも一緒に帰ることになって
二人でホテルに荷物を取りに行って
そのまま大阪を出た。

臣)Sさん、ワガママ言ってごめん。
S)珍しいなーー
臣)……
S)自腹だからな。
臣)わかってる。
S)…って、嘘だよw
  ちゃんと経費にしてもらうから。
臣)えっ、できんの?

俺の問いにSさんはニヤッと笑って
腕を叩いた。

臣)……ありがとう。
S)いいから少し寝ときなよ。
  三公演終わって絶対疲れてるから。
臣)ありがとう、本当に。

俺はそのままSさんの言葉に甘えて
目を閉じた。

♡はどうして泣いてるんだろう。
わからない。

わからないけど…

もしその涙の理由がハルくんだとしても
それでも抱きしめてやりたいって思う俺は…

完全に、惚れたもん負け。

あんなに苦しかったのに…
♡の声を聞いた途端、全部吹き飛んだ。

自分の気持ちなんかより…
泣いてる♡が心配で。

今すぐ飛んで帰るから…

だから…

待ってて、♡。

ー続ー

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コメント

  1. 外山咲良 より:

    臣くん。。
    ハルくんが嫌いになりそう。♡ちゃんの歌がハルくんにむけられてるとおもうと想像したくなくなちゃう。
    やだなぁー。
    あっておいでっていった臣くんの優しさがぁー!

    • マイコ より:

      あららら。゚(゚´ω`゚)゚。
      臣くんの優しさは♡ちゃんに伝わるかな…

  2. レイラ より:

    ハルくん、はげてない今回の1件ばかりは、♡ちゃんの気持ちもすっごくすっごく大事ですが、臣くんの味方しちゃいそうです、臣くんの気持ちがいたいくらいに伝わってきて、悲しくなっちゃいます。。

    • マイコ より:

      臣くんがタクシーで帰ったのには作者もびっくりでした。゚(゚^ω^゚)゚。
      そんな予定じゃなかったのにこの子ったら急に…w

  3. のんちゃん より:

    臣くんside始まった(^_^)でも、臣くん辛いね〜不安だね(涙)臣くん、♡ちゃんと離れたりしないよね?♡ちゃん、臣くん振られると、お酒の量が増えて荒れたりするんだからね(笑)連絡来るまで不安で、心配だったんだろうなぁ〜臣くん。口尖らせて拗ねてたんだろうなぁ〜臣くん、良く口がチュウの口するよね(^_^)可愛い(≧∇≦)あっ、そんなこと言ってられない。♡ちゃん、臣くん飛んで帰って来るから(^_^)それも自腹で笑。臣くん♡ちゃんの事大好き過ぎ(^_^)私もこんだけ愛されたい。臣くんsideドキドキハラハラで続きが待ち通しい。♡ちゃんの、ハル君を想う気持ち戸惑う気持ち切なくて辛い。プラネタリウムぴったり(^_^)久々に聴きたくなった

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