[82]大工事?!(♧Side)

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今市さんから、おでこにキスされて…

私は少し混乱中…

 

♧)////

 

だって…私からのキス、
まだそんなにたまってないよね?

 

それに…
どうしてほっぺじゃなくて
おでこだったんだろう?

 

いくら考えてもよくわからないし
胸はドキドキするし…

 

♧)はぁ……///

 

そうだ。
こんな時は待ち受けを見て、
心を落ち着かせよう。

 

♧)……

 

瞬くん……

 

このツーショットは
職員さんのおかげで無理矢理撮れた
奇跡の写真。

 

なんだか、私が瞬くんを好きなのは
バレバレみたいで

いつだったか
施設でイベントをした時に
丁度、瞬くんも来てくれて

その時、記念に撮ってもらいなよ!なんて
みんなに背中を押されて…

 

顔から火を吹きそうで…
どもりながらお願いした私に

いいですね、撮りましょう!
って、笑顔で返してくれて

一緒に写ってくれた。

 

♧)////

 

どうして瞬くんって
あんなに優しくて
カッコ良くて爽やかで…

素敵なんだろう。

 

♧)……大好き…///

 

写真になら、言えるのに。

 

♧)……はぁ、もう寝よう。

 

ベッドに入ると…

 

「……あんっ、…あぁんっ!!」

 

♧)?!!!

 

え、うそ…っ

まさか……

 

「あぁんっ!いやぁぁんっ!///」

 

♧)…っ

 

なん…で…?

さっき今市さんが言ってくれて
おさまったと思ったのに…

 

……やだ…すごく怖い。

 

「ありえないでしょ。
 絶対わざとだよ、これ。」

 

♧)…っ

 

今市さんが、そう言ってた。

これ、わざとなの?
なんで?

何のためにこんなこと…するの?

 

「もしまた何かあったら
 絶対、俺のこと呼んで?」

「すぐに飛んでくるから。
 一人で無茶はしないこと。」

 

♧)…っ

 

そうは言ってくれたけど…
もうこんな時間だし…

こんなこと言ったら
今市さんきっと心配しちゃう。

 

甘えちゃダメだよ…

 

「あぁんっ、あんっ!あんっ!」

 

♧)…っ

 

私はイヤホンを耳につけて
ぎゅっと目を瞑った。

 

お守り代わりのように
瞬くんの写真を最後に見て

 

♧)……おやすみなさい…っ

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ピポポポッ、ピポポポッ♪

 

♧)ん……

 

…もう…朝なの?

 

♧)……やだ……

 

もう少し寝たい……

 

ピポポポッ、ピポポポッ♪

 

♧)んぅぅ……

 

あれ…?
そういえば私今日、休みだよね?

あーーんっ
アラーム止めとけば良かったーー!

 

ピポポポッ、ピポポポッ♪

 

♧)寝かせてーーっ

 

スマホのアラームを解除して
布団を顔までかぶると…

 

ピロリロリロ♪ピロリロリロ♪

 

♧)…っ

 

あれ?違う音。
着信?

 

慌ててもう一度スマホを手に取った。

画面には「今市隆二」。

 

♧)えっ!!

 

こんな朝からどうしたんだろう?

昨日何か忘れ物したとか??

 

♧『はいっ!もしもし!』
隆『ああ、おはよ。』
♧『おはようございます!』
隆『今日、仕事だよね?』
♧『あ、いえ、お休みです。』
隆『あ!そうなの?
  じゃあ…そっか、丁度いいや。』
♧『え?』
隆『今日、業者が行くけど
  立ち会ってもいいし、
  出かけてても平気だから。』
♧『はい??』

 

業者?!
何のこと!??

 

隆『大家さんにはもう話、してあるから。』
♧『えっ!??』
隆『あと、自転車届けておいたから。』
♧『え???』
隆『じゃあ、また夜連絡するね。』
♧『え、え、ちょ…っ』

 

ピッ。

 

♧)……

 

全く意味がわからない。

 

大家さん…?
って、誰?

1Fのおばあちゃんのこと?
うちの大家さん?

え???

 

♧)……

 

パジャマのまま、玄関のドアを開けて
下を覗くと…

 

♧)自転車……

 

戻ってきてる。

いつの間に、届けてくれたんだろう?

 

♧)……

 

寝起きで頭が働かなくて…
しばらくポーッとして。

ゆっくりと朝の準備。

 

今日は夜はむーこと約束してるから
それまでお裁縫してよう。

なんて思ってたら…

 

お昼前。

 

ピンポーン。

 

♧)!!!

 

え、誰だろう…
むーこが来るのは夜だし…

変な勧誘だったら困るから
無視しようっと。

 

ピンポーン。

 

男)……いないのかな。
男)じゃあ普通に開けるか。
男)おう。

 

ガチャガチャッ

 

♧)ひぃっっ

 

何!?

誰?!!!!

 

男)失礼しまーす、っと、いるじゃん。
男)あ、ほんとだ。

♧)え、え、えっ

 

作業服を着た男の人が…
1、2、3人……

 

男)すみません、
  作業始めさせてもらいますね!
男)ちょっとうるさいかもしれないですけど。

♧)は、はい…っ

 

「はい」って言っちゃったけど…
これは一体…

 

男)つーかヤバくね?このドア。
男)一発で外れんぞ。

 

ガコンッ

 

男)ほら。
男)ボロすぎ…
男)チェーンもついてないってマジかよ…
男)ああ、それあいつ一番キレてた。
男)これはないわー

♧)?!!??

 

うちの玄関のドアが…
なくなっちゃった…

 

男)中もお邪魔しますねーー
♧)!!!

 

男の人が一人、靴を脱いで上がってきて…

 

男)うおっ!びびった!

 

床が軋む音に驚いたみたいで、
そーっと歩いて窓に近付いた。

 

男)うわーマジかーー
  これ、簡単に入れちゃいますねー
♧)?!!

 

何が!??

 

男)よし、じゃあ…これをこうして…

 

なんだか現状を把握できなくて
あっけにとられてポカン状態の私。

 

そんな中で思い出した、今朝の電話。

 

『今日、業者が行くけど
 立ち会ってもいいし、
 出かけてても平気だから。』

『大家さんにはもう話、してあるから。』

 

♧)……

 

これって、今市さん?

 

なんだか大家さんに怒られそうなくらい
ドアも窓もなくなっちゃったけど…

話、してあるって…このこと??

 

男)あー、つーか無理だコレ。
男)うん。土台がもろすぎ。
男)どーする?
男)大体さ、あいつがつけようとしてんのが
  レベル違いすぎだから。
男)ちょっと電話してみっか。
男)だな。

 

♧)…っ

 

部屋の隅で小さくなって
男の人たちの作業をハラハラ見守ってると

玄関で始まる電話。

 

男)ああ、出た、良かった。
  あのさぁ、お前が言ってるドア
  無理だから。
  ……いや、土台が負ける。
  こんな古い木造にこんなドア、
  つけれねぇよ。
  ……あーー、その鍵も厳しい。
  え?…いやー、ちょ、待って。
  なんか金ならいくらでも出すって
  言ってんだけど。
男)いや、金の問題じゃなくて、無理w
男)だって、聞こえた?
  あー、……うん。
  ……うーーん、厳しいけどそれなら。
  ああ、わかった。はいはい。

ピッ。

 

男)とにかく、できる範囲内で
  一番頑丈な鍵、つけろって。
男)……了解w
男)つーかあいつならもう
  このアパート建て替えた方が
  早いんじゃね?w
男)同感。
男)ま、やってやるか、仕方ねぇ。
男)よっし。

 

♧)……

 

あの……
今の電話のお相手は…今市さんですか…?

違うのかな?

いや、違わない…よね?

 

お金ならいくらでも出すって…
今市さんは一体…何者なの?

 

……

 

私がポーッと見てるうちに
作業はあっという間に完了して…

 

男)よっし、これでいいだろ。
♧)あ、あの…っ
男)ああ、終わったよー
  もう安心してね。
♧)え…?
男)一応前よりマシにはなったけど…
  でも、できればもうちょっと
  安全な家に住んだ方がいいよ?
  女の子なんだし…
♧)……

 

私の家、そんなにひどいのかな…?

 

男)これはあいつも心配するよ、うん。
大)おお…立派なドアになったねぇ…
男)ああ、大家さん。
  作業完了しました。
  これがマスターキーです。
大)はいはい、どうもねぇ…
男)これ、スペアキーね。
♧)あ、はい…っ

 

前とは全然違う、なんだか立派な鍵。

 

男)じゃあ俺たちはこれで…
♧)あ、待ってください…っ
男)ん?
♧)あの…今市さんの職場の方々ですか?
男)え??
男)……「元」ね?
♧)え…?
男)え、だって知ってるでしょ?w
♧)……

 

何を…??

 

男)あれ…?
男)余計なこと言わない方がいいのか?
男)よくわからん。
♧)…っ

 

私の質問に少し困った様子の男の人たち。

 

男)えっと…とりあえずこれで
  俺たちは失礼します!
♧)あ、はい…っ、えっと…
  ありがとうございました!
大)お疲れさまですーーー

 

大家さんと一緒に
男の人たちをお見送りして…

改めて外から見てみると…

 

♧)……立派すぎる…

 

なんだろう、このドア。

 

大)良かったねぇ…
♧)あの…良かったんですか?
  勝手に替えちゃって…
大)ぜーーんぜん、いいんだよーー
  うちはもうオンボロだからねぇ…
♧)……

 

大家のおばあちゃんは
にっこり笑って
そのまま階段を降りていった。

 

♧)……

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

夜、約束してたむーこがうちに来ると
目をパチクリさせて

窓やドアを確かめて

 

む)何があったの??

 

そう聞かれた。

 

そうだよね。
私もまだびっくりしてる。

 

今日一日の出来事を話すと
最初は驚いてたのに、

 

む)髭おじさん、最高!ww

 

そう言って、むーこは大笑いし始めた。

 

む)髭おじさん、お金持ちと見たね。
  さすがおじさま♡
♧)あ…っ

 

そういえばまだ、
今市さんがおじさんじゃないって
説明してなかった。

 

む)そんでもって、すごい心配性。
♧)……
む)まぁこんなとこに住んでりゃ
  誰でも心配するけどねw
♧)……そんなに…ひどい?ここ…
む)うん。もっといいとこ探しなって
  ずーーーっと言ってたじゃん。
♧)……そうでした。

 

だってここ…
家賃が安いから、即決めしたんだもん。

 

む)まぁでも…なんか前より立派になったし
  とりあえず床抜けるまでは
  いいんじゃない?w
♧)……うん…w

 

お相撲さんとか来たら
多分無理だけど…

私が一人で暮らす分には
きっと大丈夫よね。

 

ピロリロリロ♪ピロリロリロ♪

 

♧)あ、電話だ!
む)うん。出ていいよ。
♧)あ!髭おじさんだ!
む)えっ!!

 

ピッ。

♧『もしもし!』
隆『俺ーー』
♧『はいっ!』
隆『今日休みってことは川にはいないよね?』
♧『はい!家にいます。』
隆『じゃあ今から行くねー!』
♧『えっ、あのっ』
隆『あと10分くらいで着くーー』
♧『あの、…っ』
隆『じゃ!』

ピッ。

 

♧)……

 

どうしよう。
何も言う隙も与えてもらえず、切れちゃった。

 

む)髭おじさん、なんて?
♧)……今から来るって…
む)え、ここに?
♧)うん。
む)え、あたし帰った方がいいかな?
♧)ううん!大丈夫だよー
  むーこに会ってみたいって言ってたし。
む)え??
♧)親友なんですって話したら、
  すごくいい友達だねって…
  挨拶したいって言ってくれてたの。
む)ええっ!そうなんだ…
  なんかドキドキしてきた…w
♧)ふふっw
む)お金持ちの髭おじさん♡
♧)……

 

友達が来てるって言えば良かったかな?

今市さんびっくりしちゃうかも。

てゆーか何しに来るんだろう??

 

む)早く来ないかな〜〜わくわく♪
♧)……

 

……

 

ピンポーン。

 

む)来たぁっ!w
♧)……

 

目を輝かせるむーこを残して
玄関の鍵を開けに行く。

 

__ガチャッ

 

ドアを開けたそこに待っていたのは
ふにゃんと笑う、いつもの今市さん。

 

隆)へへー、こんばんは♡
♧)こんばんはーー
隆)うん、よしよし。
  ああ、なるほど…
  ここはこうしてくれたのか。
♧)……

 

玄関に入るなり
ドアの取り付け方や鍵を
細かくチェックしてる。

そっか!
これの確認に来たんだ!

 

隆)窓も見ていい?

 

そう言って靴を脱いだ今市さんは
ようやくむーこに気付いて…

 

隆)あっ…

む)えっ…

 

ちょっと驚いてる二人。

 

む)え、え、ちょっと待って、うそっ!!
隆)!!!!

 

 

ー続ー

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  1. りん より:

    なんか全部つながるような気がする…
    瞬くんって弟の…

  2. さな より:

    いや〜╰(*´︶`*)╯♡

    展開のドキドキが止まらない❤️

    ♧ちゃんの憧れの瞬くんって、まさか!(◎_◎;)のワクワクも止まんない❤️

    楽しみにしてます╰(*´︶`*)╯♡

  3. 外山咲良 より:

    あ、むーこちゃんは、気づいたww
    これは、傑作だww

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