[47]解けた誤解と外れたストッパー(隆二Side)

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健)隆二ーーー
  今日も行くかー?♪
隆)……


今日もリハ終わりに
健ちゃんが声をかけてきた。


隆)行かない。
健)何やーー
  昨日の女、良くなかったん?
隆)……


そうじゃなくて…


隆)俺、行きたいとこあるから!
  お疲れ!
健)ああ、うん、お疲れーー


俺は家に帰って荷物を置いて
またいつもの場所へ走った。


隆)はぁ…っ


聴こえてきた、彼女の音色。


見つけた。

今日もいた。



昨日も…いたのかな?

来れば良かった。

会いたかった。



隆)こんばんは…っ
♧)あ、今市さん!こんばんは。
  ……どうして…息切れてるんですか?
隆)…っ


君に少しでも早く会いたくて
走ってきたなんて

なんか恥ずかしくて…


隆)トレーニング…帰り。
♧)え?
隆)このへん、走ってたの。
♧)へぇ、そうなんですねー。


彼女がふわりと笑った。


♧)座りますかー?
隆)////


いつも俺が勝手に隣に座ってるけど
今日は彼女からそう言ってくれて

すごく嬉しい。


隆)座るっ///
♧)どうぞー♡


荷物をよけてくれて
空いた隣のスペースに腰をおろした。


隆)……
♧)……


彼女は何も喋らずに今日も裁縫に夢中。
俺はそんな彼女の横顔を見つめてる。


言葉なんて、なくていい。


なんか…
こうして隣にいるだけで、癒されるんだ。

不思議だな……


♧)今日はお手伝い、してくれないんですか?
隆)え…っ


彼女がくすっと笑った。


♧)じっと見てるから…
隆)……///


手伝ってあげたいけど…
手伝ったら、君の顔…見れないじゃん。


隆)今日はお手伝いナシです。
♧)ふふっ、残念ーw
隆)……///


ねぇ…
その笑い方、ほんと好きなんだけど…

抱きしめたく…なるんだけど…


♧)でももう少しで完成だから
  大丈夫です♡
隆)え…っ


……完成って…
完成しちゃったら、もうここには
来なくなる!?


隆)やだっ…


咄嗟に口から出た言葉。


♧)え…?
隆)…っ


きょとんとする彼女。
そりゃそーだ。


隆)…邪魔して…いい?
♧)……はい??
隆)それ。
♧)……何言ってるんですか?
隆)……


だよね。


♧)子供たちに意地悪する人は
  ほっぺむにむにの刑ですよ?
隆)ぶっ…ww


彼女の口から出た、
「刑」とは思えないような可愛い名前に
思わず吹き出す。


隆)それ、どんな刑なの?w
♧)知らないんですかー?


誰でも知ってて当然くらいの温度で
そう返す彼女。


♧)ほっぺむにむにの刑は、
  これですよーー
隆)!!!


アップリケを膝に置いた彼女の両手が
俺の頬にスッと伸びてきて…


♧)むにむにーーっ
隆)////


な、な、何これ!!!


♧)これがほっぺむにむにの刑です♡
隆)////


わ、わ、わかったから離して!

俺、絶対今、顔真っ赤だから!///


♧)知らなかったですかー?
隆)////


彼女にほっぺを摘まれてて
喋れない俺。

俺のほっぺを引っ張る、彼女の手を
そっと掴んだ。


隆)今知った///
♧)……
隆)覚えて…おきます///
♧)そうしてください♡
隆)////


ドキン…ドキン…


掴んでた彼女の手は
するりと抜けていって

また器用に、裁縫を始める。


隆)……
♧)……


ねぇ…


俺がこんなにドキドキしてるって、
絶対わかってない。


隆)……♧さん。
♧)はい…?
隆)……
♧)……
隆)今の、誰にでもすんの…?
♧)え…?
隆)……
♧)……


こんな至近距離で…
あんなの、キスされたって
文句言えないと思う。


♧)悪い子にはみんなにします。
隆)はぁ?!みんな!?


そんなん…
絶対男、勘違いするから!!!


隆)ダメだって!!
♧)そんなに痛くはしないですよー?
隆)そうじゃなくて!
♧)だって…
  これってちゃんと目を見て話せるから。
隆)…っ
♧)子供と話すのには丁度いいんです。
隆)……こ、子供?
♧)はい。


はい???

もしかして…
俺の質問、わかってなかった?


隆)いや、子供にはいくらでも
  していいんだけどさ、
  大人の男にするなよって言ってんの。
♧)……


ちょっと強めになった俺の口調に
彼女がふと、顔を上げた。


♧)しないですよ??
隆)……


だって…
俺にしたじゃん!!


♧)大人の人は悪さしないですもん。
隆)へ??
♧)今は、今市さんが悪いこと言うからー。
隆)悪いこと?
♧)アップリケ邪魔するーなんて、意地悪。
隆)それは…


意地悪で言ったんじゃ…


♧)子供たちに意地悪する人は
  お仕置きですっ
隆)……///


可愛いな…なんだそれ。


隆)俺、子供好きだってば。
♧)……
隆)ほんとに!昔から!
  小さい子、大好き!!
♧)……ほんとですかー?
隆)うん。


彼女が俺の目をじっと見つめて
ふにゃんと笑った。


♧)じゃあ信じてあげます♡
隆)////


バクバク…心臓がうるさくなる。


♧)子供たち…見たいですか?♡
隆)…っ


ドクドク…心臓が暴れだす。


♧)今市さんになら
  特別に見せてあげてもいいですよー♡
隆)…っ


子供って…
彼女の子供だよな?


俺…そこまで覚悟出来てる?

どうしよう。


でも…、見たい。


隆)うん、見せて。
♧)ふふっ、いいですよー♡


嬉しそうに笑う彼女の顔は
やっぱり「お母さん」の顔。


♧)ちょっと待ってくださいねー♡
隆)……


彼女がスマホを取り出して…

俺は気持ちを落ち着かせるために
川の流れに視線を落とした。


……ふぅ。

よし!



♧)これです♡うちの子たちー♡
隆)……
♧)お遊戯会の練習してるところー♡
隆)……


え、え、これって…


隆)どれが♧さんの子供?
♧)はい?
隆)これの、どれ?
♧)どれって…全部ですけど…
隆)は?!!


だって…
何人いるんだよ!!!

こんなん、どっかの幼稚園の教室じゃん!


隆)いや、おかしいでしょ!
  どの子?
♧)だから、全部私の子ですって。
隆)はぁ??
♧)……何言ってるんですか…?
隆)これ、全部産んだの?!!
♧)……はい????


お互い「?」だらけで
思わず顔を見合わせる。


隆)……
♧)……


あれ…?


隆)♧さんの、子供でしょ?
♧)はい。
  私が担当してる子供たちです。
隆)……担…当…?
♧)はい。
隆)……
♧)……


ええと…

落ち着け、俺。


俺はどうやら…
とんでもない勘違いをしてた?


隆)子供、何人いるの…?
♧)えっと…24人ですけど…
隆)♧さんの子供は…?
♧)私、子供いないですけど…
  母親に見えました?
隆)……


だって…
そう言ったじゃん!!


隆)シングルマザーじゃ…ないの…?
♧)?!!!


お互いしばらくぼーっと
見つめ合って

ゆっくりと、噛み合ってなかった会話の謎が
解けていく。


♧)私、結婚してないです。
隆)……そう…みたいだね……
♧)子供もいないです。
隆)うん。
♧)だから…
隆)……


彼女が笑い始めた。


♧)だから…あんなこと
  言ってくれたんですね…
隆)え…?
♧)大変だね、とか…
  生活困ってない?とか
隆)……うん///


改めて振り返ると
俺、相当とんちんかんな質問してたんだな。

すげぇ恥ずかしい///


♧)私、彼氏もいなくて大変だねって
  意味だと思って…
隆)え、それ…めっちゃ嫌味じゃん!
♧)はい。だから…何言ってるんだろうって
  思ったんですけど…
  今市さんは全然悪気なさそうだったから…
  変な人っ、って思ってましたww
隆)……それは…大変失礼しました///
♧)あははは♡


彼女は無邪気に笑って
俺を見つめた。


♧)でもやっぱり、いい人♡
隆)え…?
♧)今市さんは、変な人じゃなくて、いい人♡
隆)…な…んで…
♧)だって…全然知らない私のこと
  そんな風に心配してくれて…
隆)…っ
♧)本当に優しい人ですね♡
隆)////


無邪気すぎる彼女の笑顔に
クラクラしてくる。


♧)ふふっ…、でも…そっかw
  ふふふ…っ


彼女は一人で楽しそうに笑いながら
また裁縫を再開した。


隆)……


そうか、俺の勘違い。

そうか。


……



ん??
ちょっと、待てよ?


じゃあ…

じゃあ!!!


彼女は旦那も彼氏も子供もいなくて
ただのフリーってこと?!!


え、俺…っ
諦めなくていいってこと!!??


いきなり目の前に現れた希望に
頭が追いつかなくて…


隆)…っ


え、俺…間違ってないよね?

いいんだよね?
フリーなんだよね?


どうしよう!!!

めちゃくちゃガッツポーズしたい!!!!


っしゃーーーー!!!!!!


♧)…どうしたんですかー?
隆)えっ…
♧)なんか…鼻息荒いから…
隆)えっ!!///


俺、そんなフガフガしてた!?
恥ずかしっっ///


隆)いや、もうちょっとで
  完成だって言うから…
♧)え、それで喜んでくれてたんですか?
隆)……


こんな言い訳、苦しい?


♧)今市さんって…本当にいい人♡
隆)……////


ああーーーー
あのー…

ごめんなさい、嘘です。


本当は君が独身だってわかって
浮かれてました。

心の中で、ジャンプしまくってます。


♧)よし、できたーー!!
隆)おめでとう!!!
♧)ふふっ、ありがとうございます。
隆)ほんとにおめでとう!!!


独身バンザイ!!!!


♧)わ、もうこんな時間。
  帰らなくっちゃー。
隆)……


ってことは、
彼女は普通に一人暮らしってことか。

ずっと家で子供が寝て待ってるんだと
思ってたけど…


荷物をカゴに詰め始める彼女の腕を
俺は思わず掴んだ。


♧)どう…したんですか?
隆)…っ


子供、いないなら…
もうちょっといいじゃん!


隆)まだ…っ、話したいっ!
♧)……


彼女はきょとんとした顔で
俺を見つめる。


隆)えっと…


どうしよう。
えっと…えっと…


そーだ!!!!


隆)名前、教えて!!!
♧)え……
隆)……
♧)♧ですけど……
隆)そうじゃなくて!下の名前!
♧)♧です。
隆)…っ


こんなあっさり教えてくれるなら
早く聞けば良かった。


隆)♧……
♧)…っ


「さん」も「ちゃん」も付けなかったのは
その分、早く距離を縮めたかったから。


♧)呼び捨て…ですか…?//
隆)うん。いや…?
♧)嫌じゃ…ないですけど…//
隆)じゃあ♧。
♧)……//
隆)♧。
♧)////


何度だって呼びたい、彼女の名前。


隆)……いい名前だね。
♧)ありがとう…ございます…///
隆)ふふっw
♧)……///


俺は嬉しくて
彼女の肩を掴んだまま、話を続けた。


隆)俺も名前で呼んでほしい。
♧)え…?
隆)苗字じゃなくて。
♧)……
隆)……
♧)名前、なんていうんですか?
隆)……隆二。
♧)ルイージ…?
隆)ぶっwww


俺は思わず吹き出した。


隆)あはははっwww
♧)……?
隆)なんで…マーチとか…ルイージとか…
  俺いっつも外人にされんの…ww
♧)あれ、違いました?//
隆)ぶはははww


しゃがみこんで散々笑い転げて…


隆)隆二!w


彼女を見上げてもう一度そう言うと、


♧)リュウイチ??
隆)……ww


もう、天然かよ!w


俺、臣ほど滑舌悪くないよね?


俺は立ち上がって
また彼女の肩を掴んだ。


隆)りゅ・う・じ!
♧)りゅうじ!
隆)手、貸して。
♧)…っ


彼女の手を取って、その手のひらに
あの日と同じように指で文字をなぞる。


「隆二」


♧)隆二……
隆)うん。隆二。
♧)隆二さん。
隆)えっ
♧)じゃあ隆二さんって呼びますね。
隆)え、いらない!「さん」いらない!
  隆二!
♧)え…っ
隆)隆二!
♧)…隆二……
隆)そ!隆二!
♧)隆二……
隆)うん。


彼女の唇が繰り返す、自分の名前が
すごく、くすぐったくて

嬉しくてたまらない。


♧)呼び捨て…ですか…?
隆)うん。隆二って呼んで。
♧)……それは…ちょっと…
  えっと…隆二くん……
隆)……
♧)でも、いいですか?
隆)やだ。
♧)えっ!!


俺の我儘に、彼女は困ったように俯いて
小さな声で言った。


♧)呼び捨てとか…慣れてないので…///
隆)……


もじもじしてる姿がすごく可愛くて
なんだか困らせたくなる。


隆)♧……
♧)…っ///


彼女の手を取って、名前を呼んだ。


隆)隆二って、呼んで?
♧)////


すると彼女は
俺の手をパシパシ振り払って
一歩、下がった。


♧)こーゆーの、やめてください///
隆)え…っ


触るな、ってこと…?

俺、嬉しすぎて…やりすぎた?


♧)私、男性に免疫ないんです!///
隆)……へ?
♧)だから…あまり近い距離は、困ります///
隆)……
♧)男友達とかも…いないので…
  呼び捨ても…ハードルが高いです///
隆)……
♧)「隆二くん」で…勘弁してください///
隆)……


……はぁ。

すっげぇ抱きしめたい////


疼く身体と、今にも動きそうな俺の腕。


でも、「困る」って言われたから
必死にそれを抑えてる。


隆)じゃあ…もっかい呼んで?


俺が一歩前に出ると、一歩下がる彼女。


♧)……隆二…くん///
隆)////


俺の大好きな声が、優しく呼ぶ、俺の名前。


隆)もっかい…///


また一歩前に出ると、彼女も一歩逃げる。


♧)……隆二くん、///
隆)////


俺がまた一歩近づこうとすると、
タイムリミット。

彼女が慌てて自転車に駆け寄った。


♧)それじゃ、帰ります!!
隆)…っ
♧)おやすみなさい、隆二くん///
隆)……おやすみ////


その日も俺は、
彼女の背中が見えなくなるまで、見送った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


隆)へへへ…///
N)何一人でニヤけてんだよ。
  気持ちわりーな。
隆)!!!


無意識だった!


いや…でも…

そりゃーニヤけるでしょ。


隆)へへへ…///
N)だから気持ちわりーって!w
E)今市くんがご機嫌だーー
隆)////


だって…
♧がフリーだった。

だって
♧が俺のこと、隆二くんって呼んでくれた。


俺、好きな子とか出来ても
いつもそんなガツガツいけなくて
慎重タイプなんだけど


シングルマザーだと思ってた子が
そうじゃなかったなんて

そんな嬉しさのおかげで、
ちょっとストッパーも外れてて

どうやって攻めようか
わくわくして仕方ない。


だって、好きになってもいい相手。
旦那も子供もいない。
彼氏もいない。


隆)へへへ…///


まずは、連絡先を聞きたい。

そう。
一番大事なところ。


で、デートに誘って
ご飯でも食べに行って


♧ともっと、話がしたい。
♧のことをもっと知りたい。


隆)////


考えただけで、わくわくが止まらない。


隆)あーーーっ
  早く帰りたいっ!!!
N)ちょ、そんな大きな声で
  やる気ない宣言すんなw
隆)え、あっ…w
  やる気ないわけじゃなく…
N)なんだよ。
隆)早く帰りたいだけです。
N)一緒だろ!!!w
隆)違いますって!!w


だって早く帰って
あそこに行きたいんだもん。


……



打ち合わせを終えて
マネージャーに送ってもらって

俺は今日もまっしぐら。


隆)はぁっ、は…ぁっ


いた!!!♡♡


♧)あ、今市さん。こんばんはー。
隆)こんばんはっ♡


…って、あれ?


♧)今日も走ってたんですかー?
隆)うん。
♧)トレーニング、お疲れさまです♡
隆)うん。


ちょっと待って。
今、さ…


♧)…座らないんですかー?
隆)……
♧)今市さん…?
隆)……


やっぱり。


……ドサッ


俺は定位置に座って
♧の顔を覗き込んだ。



隆)なんで「今市さん」?
♧)……あっ、ほんとだー!
隆)……
♧)もう今市さんに慣れちゃっててw
隆)じゃあ、呼び直し。
♧)え??
隆)はい。
♧)……
隆)……
♧)……
隆)…呼んでよ!!w
♧)……やですー//
隆)えっ!!


なんで!!!


♧)なんかそう言われると
  恥ずかしくなってきました…//
隆)えっ…
♧)今市さんは今市さんなんで
  私はそう呼びます。
隆)!!!


ガーーン!!!!


隆)俺は♧って呼ぶよ!!!
♧)ああ、はい。
隆)……


何この一方通行感。


♧)ふふっ…怖い顔してるーー


彼女が俺を見てふわっと笑う。


隆)怖い顔ならなんで笑うの。
♧)え…?


そんな顔してるつもりないし
ちょっと拗ねてるだけだけど…


♧)だって今市さんは優しい人だから。
隆)……///
♧)怖くないですよー♡
隆)////


ああ…なんか…
もうなんだって…いいや…///


彼女はまた髪をかきあげて
そのうなじにドキッとする俺を無視して
今日も裁縫をしてる。


隆)今日は何作ってるの?
♧)お道具箱です。
隆)ふーーん……


作るものはいくらでもあるのかな。


隆)仕事って何時までなの?
♧)え?
隆)毎日。


デートに誘いたいんです、俺。


♧)バラバラですけど
  いつもこんな時間です。
隆)休みないの?
♧)あ、今日お休みでしたよー。
隆)え!!
  休みでもここ来るの?
♧)……
隆)……
♧)えっと…
隆)……


口ごもる彼女に
勝手な期待をする。


もしかして…
俺が来るって思って、来てくれた?

休みなのに…
わざわざ自転車に乗って
ここまで、会いに来てくれた?


隆)ねぇ!!
♧)は、はいっ
隆)連絡先、交換しよ!!
♧)…っ


そしたら、今日はいるの?とか
今日は仕事遅いから行けないんだ、とか
連絡できるじゃん?

会うのが当たり前になってるわけじゃ
ないけど…


隆)教えて?
♧)……はい。


お互いに交換すると、
彼女はスマホを見つめて

不思議そうに呟いた。


♧)今市隆二……
隆)うん。
♧)……
隆)…なんか…変?
♧)あ、いえ…っ
  私…男友達がいないから
  こうして男性の連絡先が
  携帯に入ってるって
  なんだか不思議で…
隆)……


そんな彼女の言葉が
俺に特別感を与えて
また俺を調子に乗らせる。


隆)いつでも連絡してね♡
♧)……え??
隆)せっかく交換したんだし。
♧)あ、ええと…はい。
  ……一体…どういう時に…
隆)俺の声が聞きたくなった時?
♧)……それは…
  どういう時でしょうか?
隆)ぶっww


半分冗談だったのに
そこ、普通に聞き返す?w


隆)どんな時でもいいよ。
♧)……
隆)……
♧)あの…私、本当に男友達いないんで
  あまりそういうの、わからなくて。
隆)……


何度も「男友達」って繰り返されるのが
ちょっと気になるけど

まぁ今はまだ、それでもいいや。


隆)なんでもいいってw
  ほら、仕事で嫌なことがあった時〜、とか
  なんか一人で寂しい時〜、とか
♧)……なるほど。
隆)だから…
♧)……
隆)俺も、電話していい?
♧)え?
隆)♧の声が聞きたくなった時。
♧)……
隆)……


そんなこと言ったら
毎日電話しちゃいそうなくらい

俺は♧の声が好きなんだけど…


♧)私の声が聞きたくなることなんて
  ありますかー?
隆)あるよ。
♧)……私でお力になれれば…
隆)ぶっww


なんでそんな固いんだよw


隆)じゃあ電話する。
♧)はい。
隆)LINEもする。
♧)はい。すぐお返事できるか
  わかりませんが、頑張ります。
隆)……


うーん…
なんか…脈なし?


隆)なんでそんな業務的なの…w
♧)えっ!そうですか?すみません!
  なんか…本当に慣れてなくて…///
隆)……


そっか。
慣れてないからか。


隆)迷惑…とかではない?
♧)え、何がですか?
隆)俺のこと。
♧)え、迷惑って何がですか?
隆)……


何がと言われると…


♧)えっと…よくわからないですけど…
  お友達になったってことですよね?
隆)……うん。
♧)私、今市さんのこと大好きだから
  嬉しいですよー♡
隆)!!!!


なんて!???


さっきまで脈なしかって
ちょっと凹みそうだったのに

今度はいきなりそんな爆弾、
落としてくる!??


隆)だ、大好き…なの?俺のこと…
♧)はい♡
隆)/////


え、え、これって…
一気に、脈あり?!!

誰か教えて!!!


♧)私なんかとお友達になってもらって
  楽しいかわかりませんが…
  どうぞよろしくお願いします♡
隆)…っ


そう言って差し出された小さな手。

そのまま掴んで引き寄せて、抱きしめたい。


でも…


隆)……うん。


そんなこと出来るはずもなくて
ただぎゅっと、握っただけ。


♧)今市さん…腕に傷あるんですね。
隆)え?ああ、暗いのによく見えたね。
♧)……
隆)……
♧)お仕事ですかー?
隆)……


ええっと…

そういうのも込み込みで
俺は君とゆっくり話したいんだけど…


隆)うん、まぁ、そう。
♧)わぁ…


♧が俺の腕をそっと撫でた。


隆)…っ////


ヤバい。
…すげぇドキドキする。


え、ちょ、何してんの?///


なぜに俺の腕を、撫で撫で!??


♧)じゃあこれは今市さんが
  頑張ってる証ですねー♡
隆)////


そんな風に優しく笑って
俺の腕を撫でる彼女を

もう抱きしめたい気持ちが、爆発寸前。


隆)…っ
♧)……


もう、ダメだ!!


隆)次の休み!!!いつ!!!


俺の大きな声に、
彼女が驚いたように顔を上げた。


♧)お休み…ですか?
隆)う、うん…////


はぁ…、落ち着け、俺。


♧)来週の火曜日です。
隆)火曜日…??


土日休みなわけじゃないのか?


隆)予定、ある?
♧)ないですよー?
隆)……ご飯、行こ。
♧)ご飯??
隆)うん。
♧)昼ですか?夜ですか?
隆)……


俺は普通に仕事だから…


隆)夜。
♧)わかりましたー。
隆)……


すんなりOKしてくれた彼女に
少し戸惑う。

意味、わかってる?
デートだよ?


♧)初めての男友達とおでかけ。
  なんだか楽しみです♡
隆)……


ああ、やっぱりわかってない。
でもいいや。

火曜日、ガッツリ本気出します。





ー続ー

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