[46]芸能人のイメージ(隆二Side)

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それから3日後。

久々に彼女がいそうな時間に家に帰れた俺は
もちろん川沿いへまっしぐら。


もう色々深く考えるのはやめたんだ。

俺は彼女に会いたい。

だから、会いに行く。


それはすごく単純なことで
それでいいじゃん、って。


だって会いたいんだもん。


隆)いたっ!w
♧)えっ


彼女が顔を上げて、俺を見つけた。


隆)こんばんはw
♧)今市さん!
隆)…っ


目尻がふにゃんと下がって、柔らかい笑顔。

俺を見つけて、そんな嬉しそうに
笑ってくれんの…?


隆)////


なんかすげぇ…期待しちゃうけど…


♧)お久しぶりですねー♡
隆)うん!


俺はまた、彼女の隣に座った。


♧)あら、お隣ですかー?
隆)ダメ?
♧)いいですよー、ふふっw
隆)……///


俺、彼女のこの笑い方、好き。

「ふふっ」って…

すげぇふにゃんとした顔で
綿あめみたいに笑うんだ。


隆)お、そろそろ完成しそうじゃん!
♧)そうなんです!…でも…
隆)ん?
♧)まだまだあるんですw
隆)えーー!まだあんの?!
  子供何人いんの?
♧)いっぱいいますよ〜〜〜
隆)いっぱい!??


勝手に一人だと思い込んでた!!

いっぱいって…


♧)みーんな本当に可愛いんです♡
  これ着て踊ってるところ想像したら…
  うふふふ♡
隆)……


本当に子供想いなお母さんなんだな…


「一人で苦労して子供育ててんねやろー?
 男と遊ぶ暇もなく…女の悦びも忘れて…」


隆)……


どうなんだろ……


旦那はいなくても
彼氏はいたりしないのかな…


隆)ねぇ…俺、手伝おうか?
♧)えっ!!


全然出来る気しないけど…


♧)いいんですかー?
隆)うん…っ


そんな嬉しそうな顔されちゃー
俺、頑張んなきゃ!


♧)ここを、ここに縫い付けて
  完成図見ながら…
  こんな感じになればOKです!
隆)う、うん……


ドキドキ…


隆)じゃあ…ちょっとやってみる。
♧)わ〜〜ありがとうございます!


そう言って彼女はまた
自分の手元に視線を戻して

ふとかき分けた髪からは
なんだか甘い、幸せな匂いがした。


隆)////


うなじに、ドキドキする。


♧)ん?
隆)!!!


見てたのバレた!!


♧)大丈夫そうですかー?
隆)あ、うん!やるやる!!


とりあえず針に糸を通して…


隆)あのさ…、、
♧)はい?


彼女は作業を進めながら
俺に返事をする。


隆)彼氏は…いるの?
♧)えっ!
隆)……


ドキドキ…
ドキドキ…


♧)だからいないですってばー!
  も〜〜〜!
隆)…っ


いないんだ!!

よっしゃーーーーー!!!!


……って俺、喜ぶとこなのか?

シングルマザーには
変わりないんだぞ?


♧)あ、今市さん上手〜〜〜
隆)…っ


裁縫なんて中学の家庭科以来だけど…
思いがけず褒められて
なんだか心が舞い上がる///


隆)俺、子供とか…すげぇ好きだし///


…って、俺…
何アピールだよ!!///


♧)そうなんですかー?
隆)うんっ!!
♧)ふふっ、優しそうですもんね、今市さん。
隆)…っ


出た!
また綿あめスマイル!///


……優しそうって言ってくれたけど…


隆)でも最初は
  怖いおじさんだと思ってたんでしょ?
♧)……
隆)……
♧)根に持ってます…?
隆)うん。
♧)あはっww
隆)……////


はぁ…
いちいち反応が可愛い…///


なんだろう。

話し方はすごく落ち着いてて
大人っぽいし…

裁縫をする姿とか
髪をかきあげる仕草とか

そーゆーのもすごく大人っぽいのに


笑顔だけはふにゃんと柔らかくて


なんか…
ギャップにやられる////


しかもやっぱり…
何度聞いても俺は、この声が好き。



♧)今市さんこそ
  彼女いないんですかー?
隆)…っ


俺に…聞いてくれた!!


隆)いない!!全然いない!!
♧)…ぷっww
隆)えっ!!


笑われたし!!


♧)そんな力入れて言うところですか?w
隆)…っ
♧)大変ですねーw


彼女は悪戯な顔でそう言って
可愛く舌を出した。


「大変だね」

俺が前回会った時、何気なく言った一言。


隆)根に持ってる…?
♧)いえ、持ってませんよー。
  冗談ですw
隆)……


彼女はふんわり笑って
また裁縫を進める。


綺麗な…横顔だなぁ……


隆)生活とか…大変じゃない?
♧)え?


彼女が驚いて俺を見て、
俺はまたやってしまったと気付いた。

俺ってなんでこう言葉選びが下手っていうか…


隆)えっと、ごめん、
  失礼な意味じゃなくて…汗


普通に、女性一人で子供を育てるって
大変じゃないかなって思っただけで…


♧)私、そんなに貧乏な感じ、
  出てますか…?


彼女がショックを受けたように、そう言った。


隆)違う違う!!そうじゃなくて!!汗
♧)……
隆)そうじゃないよ!!
  ただ、一人で…大変じゃないかなって…
♧)一人で…?
隆)うん。


ああ、俺のばかっ!!
無神経だったかな…?


♧)大変では…ないですけど…
  一人の人なんていっぱいいるでしょう?
隆)えっ…


まぁ…
そう言われればシングルマザーなんて
たくさんいるのかもしれないけど…


♧)今市さんは大変なんですか…?
隆)えっ


俺!??

なんで?!!


♧)今市さんも、一人なんでしょう?
隆)……


え?

「一人」って…「独り身」ってこと?


……確かに一人ですけど…
彼女いないですけど…


隆)俺、そんな寂しそう?
♧)え??
隆)……
♧)それは…知らないですけど…
  今市さんが変な心配ばっかりするからー。
隆)…っ


変な心配って…!!


隆)俺はただ…っ
♧)……?


なんか俺にできること、ないかなって…


隆)……


俺、何言ってんだろ。


♧)……どうしたんですかー?
隆)…っ


彼女がふわりと、俺を覗き込んできた。


隆)……
♧)……


綺麗な瞳。

小さな鼻。

柔らかそうな唇。


隆)……
♧)……


ドクン…ッ


ああ、俺…、今、

触れたい。


♧)今市さんってば
  全然進んでない…w
隆)…っ


彼女の声で現実に引き戻されて…

見つめ合ってた時間が
夢だったように感じる。


♧)お手伝いしてくれるのは
  すごく嬉しいんですけど…もしかして…
  お裁縫とか苦手ですかー?
隆)え…っ


彼女がふわりと微笑んだ。


♧)男性で得意な人はいない、か…
隆)いや、えっと…
  俺、手先は器用だと思うけど!!
♧)……


彼女が俺と俺の手元を交互に見て
またふわっと笑った。


♧)ありがとうございます♡
隆)……///


いや、嘘とか強がりじゃなくて、
ほんとに割と手先は器用なんだけど…

今は君に見とれて
なかなか集中できないだけで…


隆)……ねぇ。
♧)はい…?


必死に手元を動かしながら
彼女に話しかける。


聞きたいことは山のようにあるんだ。


隆)その…TVとか…見ないの?
♧)あ…、、
隆)……?


何そのリアクション。

ほんとはやっぱり俺が三代目って
気付いてた??


♧)TV、…ないんです、うち。
隆)……
♧)……
隆)は…!??


TVがない?!


隆)壊れてる…の?
♧)いえ、元から…
隆)元から?!
♧)……
隆)TVないって…
  子供達は??TV見ないの??
♧)子供たち…?
  …って、うちの子供たちですかー?
隆)うん!
♧)それは知らないですけど…
  うちにはTVはないです。
隆)……?


ん?
ちょっと意味がわからない。


♧)家にいる時間がすごく少ないので
  あっても見る時間ないですし…
  なくていいんです。
隆)……


そ、そっか……
TVがない家って…あるんだな。

すげぇびっくりした。


じゃあ…ドラマやバラエティはもちろん
歌番組を見ることもないわけで…


隆)好きな芸能人とかも…いないの?
♧)……特には。
隆)……


そっか。
TVがないとそうなるのか。


♧)芸能人って…あまり良いイメージ
  ないんです。
隆)えっ!!!!


その言葉に、心臓がドキッとした。


隆)な、なん…で?
♧)…うーーん……
隆)……


ドキドキ…ドキドキ…


♧)なんか…みんながみんな
  そうじゃないと思うんですけど…
隆)うん。
♧)あくまで私の勝手な
  イメージなんですけど…
隆)うん。


ドキドキ…ドキドキ…


♧)芸能人の人たちって、
  すごくお金を持ってて
  それで豪遊してるイメージしかなくて…
隆)……
♧)自分の稼いだお金で遊ぶことは
  全然悪いことじゃないんですけど…
隆)……
♧)そんなお金があったら
  もっと違うことに使えないのかなぁって
  よく思っちゃうんです。
隆)……


違うこと…?

彼女の豪遊してるイメージの芸能人って
どのへんなんだろ…


♧)必要ないものを無駄に買ったり
  大事にしないで捨てたり…
隆)……
♧)私にもしそんなお金があったら
  もっと寄付したりできるのになぁって。
隆)き、寄付??
♧)はい。


もっと…、ってことは
今も寄付とかしてんの??


♧)あ、でも…
  チャリティーとかしてる人は
  素敵だなって、尊敬してます…
  芸能人じゃ…ないけど…///
隆)チャリティー?
♧)あ、芸能人でもいるのかな…
  わかんないけど…///
隆)……


急にもじもじし始めた彼女に
俺は全く理解が追いつかない。


隆)♧さん、寄付とかしてるの?
♧)あ、はい。
隆)……
♧)私、自分が贅沢するくらいなら
  その分、寄付したいんです。
隆)…っ
♧)贅沢なんてしなくていいから
  その分のお金をもっと役立つことに
  使いたくて…
隆)……


だから、TVも持ってないわけ?


♧)なんか…色々喋っちゃった…
  すみません//
隆)……


彼女の価値観が知れて
嬉しい反面、戸惑いもあって…


隆)俺が…TVプレゼントしたら…
  迷惑?
♧)ええっ!!


彼女は目を丸くして驚いた。


♧)私には必要ないですもんっ!
隆)……


だって…
俺、見て欲しい。

TVがなかったら歌番組どころか
DVDも何も見れないじゃん。


あ、でも…彼女は
芸能人に偏見…って言ったら失礼だけど
良いイメージはないから

俺のこと知ったら、嫌になるかな?


隆)……


あれこれ心の中で葛藤してると

彼女はまたふわっと笑って俺の顔を覗いた。


♧)でも…ありがとうございます。
  やっぱり今市さんって
  優しいんですね…♡
隆)…っ////


ああ、俺どうしよう!!

わかんない!!


わかんないけど…
なんでこんなに彼女のために
何かしたくなるんだろう!!


わかんない!!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


次の日も俺は…

ずーっと、もんもんもんもん……


「ふふっ」


彼女の柔らかい笑い声が
何度も頭に浮かんで…


隆)はぁ…、会いたい…///


そんな一人言をつぶやいて
テーブルに突っ伏した。


臣)……ぷに姫ww
隆)……


さっきまでみんなで
♡ちゃんの芸名をあれこれ考えてて
臣はまだ一人でニヤけてる。


隆)はぁ…
健)まーたため息ついてるやーんw
隆)ぐえっ


健ちゃんがのしかかってきた。


健)気になる子、どうなったん?w
隆)は、は?!!


やべ、声が裏返った。


臣)え、何それ。
隆)!!!


臣がこっちを向いて…

気付けばみんな俺を見てる。


隆)何の話?w
  健ちゃんこそどうなったんだよ〜〜
  三股?
健)俺の話はええねん。
臣)三股〜〜??
N)お前、そんなにたぶらかしてんのか!!
健)いやいや、
  NAOTOさんに言われたくないっすわw
N)はーん?
隆)……


ふぅ、良かった。
誤魔化せた。


臣)で、気になる子って、何?
隆)!!!


ぎゃっ!!


臣)お前が最近たまに様子変なの、
  そのせい?
隆)…っ


え、え、俺、たまに変だった?


臣)好きな子できたの?
隆)……


俺が答えられずにいると
健ちゃんが戻ってきて


健)なんやっけ。
  シングルマザーなんやっけ?
隆)!!!
皆)えーーーーー!!!


や、やべっ


隆)違うよ!!
健)あれ、ちゃうかったっけ?
隆)そんなこと言ってないじゃん!
健)いや、あの流れやと…
  そう思うやん。
隆)……///


シングルマザーが気になってるなんて言ったら
絶対みんなうるさいじゃん!!


E)何それ!ほんと?
岩)シングルマザーなの?!
N)え、え、どんな子どんな子?
岩)おっぱい大きい?
直)岩ちゃんはそこかよw
E)え、おっきいの?
N)どんな顔?見たい!!
隆)……


ほら!もうっ!!


臣)……マジで、子持ち?
隆)……


そんな寄ってたかって聞かれたって
俺だってまだそんなに彼女のこと知らないのに

なんだよ…っ


臣)ガチなの?
隆)……ガチって何が!!
臣)いや、怒んなよw
  ガチで好きなのかなーって。
隆)そんなんまだわかんねーし!!
臣)……そっか、ごめん。
隆)……


ただの八つ当たり。


俺がふてくされたから
もうみんなその話題には触れなくなって

また違う話をして笑ってる。


……はぁ。


おっぱいがどーのとか…
そんなんじゃないんだってば!


むぅぅぅ…


健)りゅーじーー
隆)……


健ちゃんが肩を組んできた。


健)今日飲み行くかーー
隆)……ん。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


女)やだー健二郎くんってばー♡
健)がはははw
隆)……


飲みって…キャバクラかよ。


女)ねぇねぇ、ラジオ聞いてるよー♡
健)おう!毎日聞け、毎日w
女)週一なのにどうやって聞くのーw
健)録音して毎日聞け〜〜w
女)も〜〜〜♡
隆)……


ホステスに囲まれて
ご機嫌な健ちゃん。


隆)はぁ……
女)お疲れ?
隆)ああ、いや……、、


こんなんなら
帰って川沿いに行きたい…
なんて。


健)何やねん、しけたツラしよって。
隆)……
健)お前がストレス溜まってそうやから
  連れてきたんやーん♪
女)もっと遊びに来てよぉ〜〜
健)俺もなー忙しいねん♡
女)やだ〜〜寂しい〜〜♡
健)なーんやねん〜〜あははは♡
隆)……


俺が酒を飲み干すと
隣の女が耳元で囁いた。


女)ストレス…溜まってるの…?
隆)んーー


ストレスっていうか…


女)そういう時は…「息抜き」しないと♡
隆)……///


「息抜き」は、ちゃんとしてる。

そりゃー俺だって男だし。

適度に発散して、
そーゆー欲も身体もコントロールしてるけど…



健)ほんならな!隆二!
隆)うん、また明日〜〜
女)早く行こうよ、健二郎くん♡
健)そんな急かすなや〜〜♡


ホステスと一緒にタクシーに乗って
消えていった健ちゃん。


女)あたし達も帰ろっか♡
隆)うん。


誘われたから
そのまま一緒に、ホステスの家に帰る。


やることなんて一つで

適当な会話のあとに、ベッドに潜り込めば
勝手に始まるソレ。


女)はぁ…、んっ…///
隆)……大丈夫?
女)ん、…もっと…ぉ
隆)…ん…、、
女)あっ、あっ…んっ///


意味のない欲望を吐き出して
それなりにスッキリして

マスクをして眠る。


朝、目を覚ますと
隣には不機嫌そうにマスクを引っ張る女。


女)これじゃあキスできないよぉ…
隆)……


別にしなくてよくない?


女)取ってぇ…
隆)……ん。
女)ふふっ…、チュッ♡
隆)……


この子の笑い声は
彼女には似ても似つかないのに

同じような笑い方をしただけで
すぐに彼女が頭に浮かんだ。


女)ねぇ…、する?
隆)……んー、いいや。
女)なぁんだ……
隆)……


昨夜したじゃん。
足りなかった?


この子はそーゆー子じゃないし…
一応渡しとくか。


隆)はい。
女)……どーも♡


財布から金を抜いて渡して、
ふと思った。

こんな口止料も、彼女にとっては
「贅沢」で「無駄」に該当するのかな。

こういう真似が、
彼女が嫌う「芸能人」なのかな。


隆)…っ


そう考え出すと、
ものすごい自己嫌悪に襲われる。


隆)……はぁ…


ドサッ


ため息をついてベッドの淵に座ると
女が俺に腕を絡めてきた。


女)どうしたの…?
隆)……
女)まだストレス、溜まってる?
隆)……


だからこれは…
ストレスとかじゃなくて…


女)抜いてあげようか?ストレス♡
隆)……


……ああ、女の身体は柔らかい。


ゴツゴツした俺らとは
全然違って…


それはまるで、男を癒すために
出来てるみたいに

柔らかくて優しくて…


女)はぁっ、はぁっ…隆二く…んっ///
隆)…は…ぁっ///


俺は…
さっき感じた自己嫌悪を打ち消したくて

乱暴に腰を振った。




ー続ー

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