[30]…これ、俺のなんで。

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こんな偶然あんのかよって思ったけど
世間が狭いってことは
つい最近も思い知ったばかりで


M)ヤバイ!!!TAKAHIROだ!////
T)どーもーw
M)きゃーーー////
臣)……


TAKAHIROさんと♡が
まさか同じジムの別フロアで

たまたま今日♡たちが
キックボクシングの体験をしてたなんて…


臣)ほんとすげぇな……


♡はポカンとこっちを見てる。


K)なんで臣広がここにいんの?
臣)うん、俺も謎w
K)びびった。
臣)うん、俺もw


Kと話してると
♡が慌てて降りてきて


♡)臣くんっっ///
臣)おう。
♡)はぁっ、はぁっ、びっくりしたー!
臣)……
♡)…はぁっ、は…ぁっ///
臣)……


「可愛い子がさ、汗を流しながら
 闘う姿って…たまんないよね♡
 ちょっと頬とか赤くなっててさ♡」


♡は…
動きやすいようにだろうけど
割と露出した格好をしてて…

鎖骨を汗が流れていく。


♡)はぁっ、ちょっと待ってね…
  お水ーーっ///
臣)……
♡)……はぁっ、///
臣)////


俺は何を考えてんだ!!

俺は今、修行僧!!!
煩悩を捨てろ!!///


T)……美人ちゃん、ふむふむ。


TAKAHIROさんがKを見てる。


T)まさかかわいこちゃんが
  ♡ちゃんだったとは…w
♡)あ、TAKAHIROさん…
M)せんぱぁいっ!
  サインもらっちゃったぁ〜♡♡


いつの間にか書いてあげてたみたいで
TAKAHIROさんのサインを振り回して
大喜びのMちゃんは
相変わらずのミーハー。


T)もっとキャーキャー
  言われる予定だったのに…
  ♡ちゃんじゃ言ってくれないか。
  見飽きてるもんね、俺のこと…


TAKAHIROさんがしょんぼり拗ねて見せると


♡)え!!飽きてなんて!!
  きゃ、きゃーーっ!!
T)取ってつけたように言うんじゃない!
臣K)ぶはっwww


俺とKは思わず吹き出した。


ト)TAKAHIROくんの知り合いだったとはw


トレーナーの男性も少し驚いてる。


ト)ええと…登坂くんだよね?
臣)えっ、俺?
ト)体験か何か…?
T)あ、違う違うw
  登坂っちは俺を送ってくれただけーー
ト)あ、そうなんだ。
  もしよければいつでも体験に
  いらしてください♪
臣)あ、ありがとうございます…//


それから3人のトレーニングが終わって
KとMちゃんも送ってくよって俺が言ったら
Mちゃんは大喜びで

みんな仲良く下のフロアに着替えに行った。


T)さすが先生。
  契約3件、おめでとうございまーすw
ト)いやいや、ありがたいw
  最近体験だけで終わっちゃう子
  多いからね〜〜
臣)……


3人ともキックボクシングが
気に入ったみたいで
通うことを決めたらしい。


ト)でもあの子は…
  士道に恨まれるな〜〜〜w
T)あの子?
ト)あの一番可愛かった子、いたでしょ?
T)♡ちゃん?
ト)そうそう。あの子今、
  月2回下に通ってくれてるんだけど
  それを1回ずつに振り分けるって
  言ってたから…
臣)……


「士道」って…まさか…
あいつがいつも言ってる「先生」のこと?


T)なんでそれで恨まれんの?
ト)下の士道って奴が
  あの子にぞっこんでw
T)……
ト)あの子が来る時だけ
  わかりやすいくらい元気だし
  もうメロメロみたいで…w
臣)……
ト)彼氏いるらしいんだけど
  それでも好きみたいでさ〜〜〜
臣)……


やっぱり。


T)せんせっ、せんせっ…
  シーーッ!汗
ト)へ?
T)……これ、彼氏……汗
ト)……
臣)……
ト)…どええええ?!!!


俺がテーブルに頬杖ついてると
TAKAHIROさんが肩を組んできた。


T)こ〜〜んな顔になっちゃうくらい
  彼女のこと愛しちゃってるから
  士道先生?には
  ごめんなさいしといてねー?w
臣)…っ


多分、思いっきり顔に出てたであろう俺を
TAKAHIROさんがフォローしてくれた。


ト)と、と、登坂さんの彼女だなんて
  まさかあいつも思ってないよ!汗
  そ、そ、そっか!そりゃダメだ!
  きつく言っとく!!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


M)登坂さんの車に乗れるなんて〜〜♡
♡)Mちゃんがご機嫌だ。
K)疲れたから電車に乗るのも面倒臭いし
  助かるーーw
♡)あははは♡
M)はぁ…今日は最高だ〜〜♡
  このサイン、家に帰ったら飾ろうっと♡
K)TAKAHIROって人、好きだったの?
M)Kさん何言ってんですか!
  あのTAKAHIROですよ!
  EXILEの顔ですよ!!
  超絶イケメン!!!
K)だってあたし、EXILE興味ないもん。
M)もぉ〜〜〜!!!
♡)あはははw


着替えを終えて外に出ると、
ちょうど先生がいて


♡)あ、お疲れさまです!
士)♡さん!!
  …上の体験、どうでした?
♡)すごく良かったので
  今度から半々で通いたいと思います♡
士)……えっ…
♡)じゃあお疲れさまでしたー♡
士)ま、待ってください!!
♡)え?


先生に呼び止められて…


K)先に上行ってるよー?
M)待ってまーす♪
♡)あ、うん。


先生の顔が…
なんだか真剣で…


♡)先生…?
士)あ、あの…っ
  その「先生」って…そろそろ…
♡)え?
士)名前で呼んでほしいっす!///
♡)名前?


…はっ!そうか!!
「先生」って呼ぶのは失礼だったのかな?!


♡)ごめんなさいっ!!
士)え…?
♡)士道さんっ!
士)…っ
♡)これからは
  士道さんって呼びますね♡
士)////
♡)じゃあお疲れさまでしたー!
士)あ、あ、あのっ!!///
♡)??


また呼び止められて…


士)半々で…通うっていうのは…
♡)さっき決めてきました♡
士)…っ
♡)……
士)じゃあ…
  ♡さんには月に1回しか
  会えなくなりますね……
♡)はい。
士)……
♡)……??


なんだか寂しそうな先生。

…はっ!もしかして…
先生って生徒少ないのかな?!

ノルマとかあったりするの!?


♡)わ、わたし…っ
  どうしたらいいですか?//
士)え…っ
♡)先生のためにどうしたらいいですか?
士)…っ


何も考えてなかった!
大変!!


♡)先生が困らないためには…
士)…俺の…ためっすか…?///
♡)はい!!
士)////


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


M)お待たせしましたーー♡
  あ、TAKAHIROさんまだいるー♡

T)今度は俺がトレーニングする番だからw

M)えーー!カッコイイ〜〜///
  見ててもいいですかぁ?♡

T)どーぞーーw

M)きゃぁぁ♡♡


KとMちゃんが戻ってきて…


臣)あれ、♡は?
K)ああ、今来るよ。
臣)……??
M)士道さんと話してました。
臣)…っ


あ、そうだ。そういえば。


臣)Mちゃんさ、合コン連れてったでしょ。
M)!!!!


顔に「ギクギクッ」って書いてある。


K)へ?♡を?
臣)うん。
K)あんた何やってんのw
M)だって〜〜〜〜!!
  ……ごめんなさいっ///


Mちゃんが手を合わせて
ぺこっと謝った。


M)……怒ってます?//
臣)激おこ!!!
K)ぶっっww
臣)ってのはまぁ冗談だけど。
M)先輩、士道さんとしか
  話してないですからぁっ!汗
臣)……


それが問題なんだっつーの。


臣)もう連れてかないでね。
M)……はぁい……
臣)俺、意外と心狭いから。
K)いや、意外ではない。
臣)へ?
K)心狭いってゆーか…
  ♡のことになると余裕ないもんね?
臣)……


Kがニヤッと笑った。


臣)うるせーな…///
K)ぶくくくw
M)ラブラブなのに余裕ないんですか?
臣)……そ!
  すぐ激おこだから!
M)あはははっw


あいつは少しでも目を離したら
すぐに男が寄ってきて

危ない目に遭うんだから。


…って、戻ってくんの遅くね?


臣)俺ちょっと見てくる。
K)はーいはいw


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


士)俺、♡さんに会いたいです…///
♡)……え?
士)今まで通り…
  いや、もっとそれ以上!!
♡)…っ


私にそんなにボクシング通えってこと?!
どうしよう…っ


♡)でも私…、
士)お付き合いしてる人がいるのは
  知ってます!!!
♡)お付き合い…??


なんのこと?


士)それでも…
  それでも俺…っ
♡)……
士)俺っ、♡さんのことが…っ


臣)あーー、…ストップ。


聞き慣れた声が、後ろから聞こえて

私が振り返る前に
大きな腕が私の首に巻きついた。


あ、…大好きな匂い。


♡)臣くん…っ


なんで…?


士)…と…さか…さん??


先生もびっくりしてる。


臣)……


臣くんは私を右腕で捕まえたまま
先生に頭を下げた。


臣)士道さん、すみません。
  …これ、俺のなんで。
♡)…っ

士)……

臣)失礼します。

士)…っ


そのまま臣くんに手を引かれて
私は慌てて先生に頭を下げた。


♡)失礼します…っ!

士)…っ


臣くんは私の手を引いたまま
階段をどんどん上って…


♡)…っ


先生、変に思ったかな?
今度来た時、説明しなくっちゃ…

彼氏なんです、って。


♡)……///


言ってもいいのかな?


「…これ、俺のなんで。」


♡)////


トレーニングの話、してただけなのに…
臣くんってば…


M)あ、帰ってきたーーw
K)ほんとだw


上のフロアに戻ると

ニヤニヤ笑うKちゃんと
嬉しそうなMちゃん。


T)あ、奪還してきたのー?w


TAKAHIROさんがリングの上から
そう言った。


まだ繋がれてる、手と手。


♡)////


何度思い返しても…


「…これ、俺のなんで。」


……きゅぅぅぅん////


♡)臣くん……


小さく名前を呼ぶと
臣くんが振り返った。


♡)……好き///


臣くんにしか聞こえないように
小さな声でそう言うと…


臣)……はぁ…///


臣くんはため息をついて
私のおでこをペチッと叩いた。


臣)ばーか!
♡)えっ!!!


好きって言ったのに
ばかって言われた!

ガーン!!


K)ぶはっww
  じゃあ帰りますか。
M)TAKAHIROさぁんっ!!
  ありがとうございましたぁ!♡

T)はーい!またね〜〜!

M)きゃぁぁっ♡♡


……


帰りの車の中、
Mちゃんが後ろから身を乗り出して
臣くんに話しかけた。


M)なんて言ったんですか♡
臣)……
M)…あーあ、士道さん今頃
  泣いてるかもな〜〜
  かわいそう……
臣)かわいそうではないでしょw
M)だって〜〜〜
臣)人のもんだって
  わかってたんだから。
♡)……


一体何の話??


M)先輩ははっきり言われたんですか?
♡)はい??
M)好きだって♡
♡)え???


好きって…何を??


K)あのね、多分この子 
  なんにもわかってないと思う。
M)えっ!!!
♡)え、なんにもって…
M)士道さんが先輩のこと好きって
  わかってますよね?!
♡)えええ!!!


何言ってるの?!!


♡)好きじゃないよ!!
M)……
♡)先生は多分、生徒が少ないんだと思うの。
  それで困ってたみたいで
  さっきだってその話を…
K)はいはい、天然娘は黙ってなさい。
♡)えっ!!
M)そんなんだから登坂さんが
  激おこになっちゃうんですよぉ〜?
♡)え?!!
K)合コンに連れてったお前が言うなw
M)てへっw
♡)臣くんが激おこ?!
臣)そっ!激おこ〜〜〜〜
♡)ええっ!!


先生は私のことが好きとかじゃないのに…
みんな心配性だなぁ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


Mちゃんを送って
Kを送って

マンションの駐車場に車を停めて
エンジンを切った。


俺がサングラスを外すと…


♡)はぁ……///
臣)ん…?


なんか俺を見てる♡。


臣)どうしたw
♡)臣くんの助手席、久々だもん♡
臣)ああ、そういえば…


記念日旅行ぶり…?


♡)ふふ…カッコイイ///
臣)……


のんきな奴め。


臣)これからは時間ある時は
  迎えに行ってやるから
  連絡よこせよ?
♡)えっ!いいよいいよ!
  大丈夫だよ!
臣)……


だから…
いろいろ心配なんだっつーの!


臣)お前…
  キックボクシングだけにしたら?
♡)え??
臣)……


TAKAHIROさんのトレーナーなら
何も心配ないし。


臣)2回とも、上にしろよ。
♡)……


♡がきょとんとしてる。
やっぱりわかってない、この天然娘。


臣)士道さんにまた言い寄られたいの?
♡)…っ!
  それは違うってば!
臣)違わねぇから。
♡)…っ
臣)お前は鈍いからわかんないだけ。
♡)鈍くないもんっ!
臣)鈍い!!
♡)…っ


こんなこと
いちいち言いたくないけど…


臣)士道さんは、彼氏がいるってわかってても
  お前のことが好きで、
  少しでもお前と話したいから
  合コンにも連れてきてくれって
  Mちゃんに頼んだの。
♡)え…っ
臣)彼氏から取ってやる気満々の男も
  もちろん厄介だけど…
  取る気ありませんみたいなスタンスで
  それでも諦められない奴は
  もっとタチ悪ぃんだからな。
♡)……
臣)……


俺がヤキモチばっかり妬いて
小さい男だって思うかもしんねぇけど

もう俺が余裕ないのは
バレバレみたいだし

実際余裕ねぇし


それも全部、お前のことが好きだから。


♡)2回とも…キックボクシングにする。
臣)え…っ


まさかあっさりそう言うとは
思わなかった。


♡)やな思いさせて…ごめんなさい。
臣)…っ


♡がしょんぼりした。


♡)臣くんが…好き。
臣)…っ

♡)……好き…///

臣)……うん、///

♡)嫌いに…ならないで…

臣)……なるわけねぇって言ったろ。

♡)……///


俺は♡を抱き寄せた。


むしろ…
嫌われないか心配なのは、俺の方で…


♡)私…、臣くん…の…っ
臣)……


ああ、さっきの…?


♡)臣くんのだもん…っ///
臣)…っ

♡)ぎゅぅ…っ//
臣)///


♡が俺の背中にぎゅっと
力を込めた。


臣)ん…、、


♡の背中をトントン叩くと
♡がゆっくり俺から離れて…


♡)……ちゅぅ…///
臣)///


破壊力満点な、おねだり。


しっかりしろ…
俺は修行僧…修行僧…


♡は少しだけ口を尖らせて
ほっぺを膨らませて

俺の腕を掴んだ。


♡)ちゅぅ…っ///
臣)…っ///


か、可愛い……///


臣)…っ


……チュッ


軽くキスしてやると
物足りなさそうに、まだ俺を見てる。


♡)…ちゅぅ…///
臣)////


ううう…
可愛い……///


チュッ…、


もう一度だけその唇に音を鳴らすと


♡)えへへ…///


お姫様はやっと満足そうに笑顔を見せた。


臣)……ねずみ姫。
♡)え…っ!!何それ!!
臣)ちゅーちゅー言うから。
♡)!!!
臣)あとで投票しとこっと。
♡)…一人一票だもんっ!///


そう言ってまた、口を尖らせた。



ーendー

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