[272]レイコStory ③

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玲)俺は今日は梅だな〜〜
レ)あたしは鮭っ!
玲)お、珍しい。
  くそ甘いパンはいいのか?
レ)おにぎりにするっ!
玲)ほほーーw
 
 
今日も日陰に座って
二人仲良く、昼飯を食う。
 
 
レ)ねぇ、玲司。
玲)んー?
レ)いつもへらへら笑ってるとか…
  あんなこと言ってごめん。
玲)…もういいってw
レ)あんな風に、ほんとは思ってない。
玲)……
レ)……
 
 
本当は…
いつも柔らかく笑って
あたしを優しく見つめてくれるのが
 
大好きなんだ。
 
 
レ)ほんとは…
  玲司の笑った顔…、好き…
玲)ぶっ…!!
レ)////
玲)……へ?!////
 
 
玲司の顔が赤くなったけど
きっとあたしはそれ以上に真っ赤だと思う。
 
こんな感情、初めてだから
わかんない。
 
 
レ)あたしは玲司が好きっ
玲)…っ
 
 
玲司に愛されるような
そんな女になりたい。
 
 
レ)今にお前が腰抜かすような女に
  なってやるから…
  見てろ…っ
玲)……ぶっww
 
 
玲司はいつもみたいに笑って
でもどこか少し照れたように
 
 
玲)告白なのか挑戦状なのか
  よくわかんね…w
 
 
そう言って、あたしの頭を撫でた。
 
 
レ)////
 
 
大好き。
絶対、振り向かせてやる。
 
 
……
 
 
 
玲)そうだ。
レ)ん…?
玲)これ、俺んちの電話番号。
レ)…っ
玲)俺さ、明日からしばらく
  ちょっと別の場所で撮影入ってんだ。
レ)……
 
 
こんな毎日が
勝手に続くと思ってたあたしは
 
なんだかすごくショックで…
 
 
玲)だから…ここにももう来れないけど…
レ)…っ
玲)お前、俺がいなくても
  ちゃんと昼飯食えよ?
レ)……
玲)金は…あんのか?
レ)……カツアゲする。
玲)ぶっww
レ)なんで笑うんだよ!
玲)いや、前から思ってたけど…
  店から盗まないで
  ちゃんと金払おうとしてる時点で
  可愛いヤンキーだなってw
レ)はぁ!??
玲)俺は食いたいもん、なんでも
  かっぱらってたからw
レ)…っ
 
 
お前…そんなことしてたのかよ。
 
 
玲)食いモンだけじゃなくて
  色んなもん盗ったな〜〜〜
レ)おい…
玲)まぁ昔の話、昔の話ww
レ)とんだワルだな。
玲)あはははw
 
 
玲司は笑いながら
あたしの頭をポンポンと叩いた。
 
 
玲)大体お前、「カツアゲ」って…
  いくら奪んの?
レ)……500円。
玲)ぶはっっwww
レ)////
 
 
またバカにされた。
 
 
玲)それならカツアゲじゃなくて
  「500円ちょうだい♡」って頼んだ方が
  よっぽど可愛いだろww
レ)うっせーな!//
 
 
なんか…
やっぱり子供扱いされてるし…
 
玲司が来ないなら
もうここに来る意味もないかも。
 
 
レ)あたし…もうやめる。
玲)え?
レ)カツアゲしない。
玲)おっ…
レ)学校行って給食食う。
玲)……おう、それが一番だぞ、中学生。
レ)〜〜〜///
 
 
くそっ…
絶対早く大人になってやる!!!
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
それからあたしは
ちゃんと学校に行くようになって
 
でも相変わらず教室では
みんなあたしにビビって寄ってこないし
 
昼飯を食いに行ってるだけのような時間で…
 
 
行っても会えないってわかってるのに
玲司に会えなくなって寂しかったあたしは
 
学校帰りによく
あのコンビニまで歩いた。
 
 
レ)今日も…いないか…
 
 
いるわけないのはわかってる。
 
でも…
ここに座ると
 
玲司と一緒に昼飯食ったこととか
色んな話をしたことが
頭の中に浮かんできて、少しだけ
寂しくなくなる。
 
 
それに…
 
 
ニャーー
 
 
レ)今日も来たw
 
 
最近こいつがよく来てくれて
あたしの相手をしてくれる。
 
 
レ)あははっ
  くすぐったいってw
 
 
あたしが手を出すと
あたしの指をぺろぺろ舐めるんだ。
 
 
レ)お前…警戒心なさすぎだろ///
  そんなんで大丈夫かよw
 
 
ニャーー
 
 
レ)ふっ…ww
  変な奴がいたら逃げんだぞ?
 
 
ニャーー
 
 
レ)なんだよそれ…
  返事してんの?w
  可愛いやつ…♡♡
 
 
最初に出会った時よりは
大きくなったけど
 
やっぱりまだ子ねこだよな。
 
 
レ)お前ももしかして…
  捨てられたの…?
 
 
ンナーー
 
 
レ)……でも…
  一人でちゃんとたくましく
  生きてんだな…
 
 
ンナーー
 
 
レ)……
 
 
こんな小さいのに…偉いな。
 
 
 
でも…
夏はもう終わって…秋が来て、冬が来る。
 
 
寒くなってきたら
野良猫はどうやって生きていくんだろう。
 
大丈夫なのかな。
 
ちゃんと寒さを凌げるのかな。
 
 
そんなことを考えながら
またコンビニに向かっていた、秋の初めの日。
 
 
男)ちっ!なんだよこいつ…うぜーな。
男)野良猫?
男)ああ。
 
 
タバコを吸ってる男どもが
何人かたむろしてて…
 
その足元には…
 
 
あいつ!!!
 
バカ!!!
 
 
ニャーニャーと、か細い声で
男の足にすり寄ってる。
 
 
男)腹減ってんじゃね?w
男)じゃあこれでも食うか?w
男)ぎゃはははw
 
 
男が子ねこにタバコの火を近づけて…
 
 
レ)ふざけんな!!!
 
 
あたしは男めがけて体当たりした。
 
 
男)うおっ!!!
  いきなりなんだよ!!!
レ)…っ
 
 
バキッ!!!!
 
 
男)…いって…ッッ
男)このクソガキ…っ
  何しやがる!!!!
レ)お前らみたいなクソ野郎は
  全員死ねっっ!!!!!
男)なんだとコラァ!!!!!
 
 
どんっっ!!!!
 
 
あたしは突き飛ばされて
コンクリートに尻もちをついた。
 
 
男)ふざけんなよクソガキが!!
レ)てめぇらこそふざけんな!!
 
 
男があたしの髪を掴んで
殴ろうとしてきたけど
 
あたしは男の顔面に頭突きした。
 
 
男)いってぇ!!!!
レ)はぁっ、はぁっ…
男)てめぇほんとにぶっ殺すぞ!!
 
 
その時だった。
 
 
 
「レイコ……!!!」



聞こえた声は…
 
 
あたしが、聞き間違えるわけない
 
ずっと聞きたかった、
 
あたしの大好きな、大好きな…
 
 
玲司の声。
 
 
 
玲)レイコ!!!!
 
 
玲司が走ってきて
すぐにあたしを後ろにかばってくれて…
 
 
男)あ?なんだてめぇ…
  どけろ。邪魔だ。
玲)……
男)その女、一発ぶん殴んなきゃ
  気が済まねぇんだよ!!
玲)……
 
 
玲司はそっと首からカメラを外して
後ろ手であたしに渡した。
 
 
レ)…っ
男)どかねぇならお前もやるぞ!!
 
 
男が玲司に拳をふりかざして…
 
もう…その後のことはよくわかんない。
 
 
玲司が危ない、なんて
思う暇もないくらい…
あっという間の出来事で。
 
 
その光景にあたしが呆然としてる間に
男たちは全員、その場にうずくまってた。
 
 
玲)今度女相手に手ぇ上げるような真似したら
  本当にぶっ殺すぞ。
男)…っ
 
 
それは…見たことない玲司の顔だった。
 
あたしが知らない、玲司の顔。
 
 
すごく冷たくて…怖くて…
いつもの柔らかくて優しい笑顔なんて
程遠い。
 
 
店)ちょっとちょっと!
  うちの店の前で何やってんだよ!
男)…っ
男)行こうぜ…
男)…っく、ほら…つかまれ。
男)ああ。
 
 
コンビニの店長が出てきて
男たちはよろけながら去っていった。
 
 
店)なんなんだよお前たちは!
玲)すみませんでした。
店)迷惑かかるような真似はやめてくれよ!
 
 
そう言った店長が
ふと視線を向けた先には…
 
 
レ)あ…っ
 
 
お前…まだいたのかよ!
危ないだろ…っ
 
なんで逃げねぇんだよ!
 
 
店)またこの猫か!!
 
 
え…?
 
 
店)いい加減、保健所にでも電話するか。
 
レ)!!!!!
 
 
その言葉に
あたしは気付けばもう勝手に
身体が動いていて…
 
 
レ)ふざけんな!!!
  そんな真似しやがったら
  てめぇぶっ殺すぞ!!!
店)な、なんだ!!離せ!!!!
 
 
許さない。
 
絶対に許さない!!!
 
 
レ)…っ
 
 
店長の襟を掴んでるあたしの手を
玲司の手が後ろからそっと、握った。
 
 
玲)離せ、レイコ。
レ)だって…っ
玲)離せ。
レ)…っ
 
 
言われた通り、店長を離した。
 
 
店)ごほっ、ごほっ…
  なんなんだお前は!!
  このへんの不良か!!
レ)……
 
 
またこの目だ。
あたしを疎ましがる、大人の目。
 
 
玲)失礼な真似をしたのは謝ります。
  でも…
  保健所に電話するというのは
  勘弁してもらえませんか…
店)…っ
玲)動物だって…
  必死に戦って…毎日生きてるんです。
店)…っ
 
 
玲司が握ってくれてる手に
あたしは祈るように力を込めた。
 
 
レ)お願い…します…
店)…っ
 
 
あたしの言葉に驚いたように
店長はあたしを見た。
 
 
店)最初からそう言えばいいものを…
  不良はすぐ暴力で解決しようとする。
レ)…っ
店)悪いが、電話はかけさせてもらうよ。
  野良猫がうろついてたって
  うちの店には何のメリットもないし
  目障りなだけだ。
レ)…っ
 
 
そう言って店長はあたし達に背中を向けた。
 
 
レ)クソ野郎!!!
  お前みたいな大人が死ねばいいんだ!!
玲)…っ
レ)てめぇが保健所に行って
  殺されろよ!!!
玲)……レイコ…っ
 
 
言葉が通じない大人相手に
何を叫んでも無駄で…
 
店長はそのまま店の中へ入っていった。
 
 
レ)くそ…っ!!くそ…ぉっっ!!!!
 
 
泣いてるあたしは
玲司にぎゅっと肩を抱かれて…
 
 
そっと後ろを振り返れば…
 
 
ンナーー
 
 
レ)…っ
 
 
子ねこが店の陰から
あたし達を覗いてて…
 
あたしと目が合うと
 
 
ニャーー
 
 
あたしの足元にすり寄ってきた。
 
 
レ)…っ
 
 
あたしは涙が止まらなくて…
 
子ねこを抱き上げて、
その場にしゃがみこんだ。
 
 
レ)ばか…っ
 
 
ニャーー
 
 
レ)ばかやろう…っ
 
 
ンナーー
 
 
何もしてやれないあたしに
こんなに懐いて
 
子ねこはあたしの頬を、ペロペロ舐めた。
 
 
玲)すげぇ懐いてんな…
 
 
玲司もあたしの隣にしゃがみこんだ。
 
 
レ)……あたしの…せいなんだ…っ
玲)え…?
レ)あたしが…っ
 
 
優しくしちゃダメだって
わかってたのに
 
人間に懐かせちゃダメだって
わかってたのに
 
 
レ)最近…ずっと一緒にいたから…
玲)…っ
レ)こいつ…
  あんな男どもにまで…
  近寄っていって…
玲)……
レ)危ない目に…っ
玲)……
 
 
ごめん…っ
 
あたしのせいで…ごめん……
 
 
レ)どうしよう…っ
玲)……
レ)こいつ……
 
 
保健所に連れていかれる。
 
殺される。
 
あたしの…せいで…っ
 
 
レ)ふ…ぇ…っっ
 
 
涙が止まらなくて
 
泣いたって何も解決しないのに…
 
 
レ)……ごめん…っ
 
 
ニャーー
 
 
レ)ごめん…っ
 
 
ンナーー
 
 
玲)……お前、泣きすぎ。
レ)…っ
 
 
玲司があたしの涙を
グイッと拭った。
 
 
玲)ちょっと待ってろ…
レ)…っ
 
 
玲司はあたしをポンポンと抱きしめて
そのまま立ち上がると…
 
公衆電話にお金を入れて、
ダイヤルを回した。
 
 
レ)玲司…??
 
 
あたりはもう暗くて
冷たい雨が、降り始めていた。
 
 
玲)ああ、一郎さん?…うん。
  あのさ、頼みがあって…
  ……何だよそれ…///
  うん、……うん。
  ねこ…、連れて帰ってもいい?
 
 
レ)!!!!!
 
 
玲)……違うよ!///
  ああ、うん…、そう。
  まだ子ねこなんだ、…うん。
  ありがとう。
  じゃあ今から帰るから。
 
 
ガチャン__
 
 
玲司は受話器を置くと
あたしを見てVサインをした。
 
 
あたしには…
 
玲司がスーパーヒーローに見えて
仕方がなかった。
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
子猫を服の中にくるんで
玲司のバイクの後ろに乗って
初めて連れて行かれた、玲司の家。
 
 
おじさんとおばさんは
ずぶ濡れのあたし達を見て驚いて
 
あたしはすぐに、お風呂に入れられた。
 
 
子ねこが気になるあたしは
おばさんから借りた部屋着に
急いで袖を通して
 
居間に戻った。
 
 
玲)お前、早いなw
  ちゃんとあったまったか?
レ)子ねこはっ!?
玲)あそこw
レ)…っ
 
 
子ねこはこたつの布団の上で
すやすや眠ってる。
 
 
女)ご飯食べたら眠くなっちゃったみたいw
  すーぐ寝ちゃったわ♡
レ)…っ
男)可愛いなぁ…ww
レ)……
 
 
優しく子ねこを見つめていた
おじさんとおばさんの視線は
 
気付けばあたしに向いていた。
 
 
レ)…っ
 
 
おじさんがにっこり笑って…
 
 
男)そろそろそっちの子猫ちゃんを
  紹介してくれるかな?玲司…w
玲)…っ
 
 
そう言われた玲司は
あたしから目を逸らして
 
 
玲)レイコ!
 
 
ぶっきらぼうにそう答えた。
 
 
女)レイコちゃんっていうの?
男)そうかそうか。
 
 
優しく微笑む二人を
今度はあたしに紹介してくれる玲司。
 
 
玲)前に話したろ?
  一郎さんと華子さん。
一)一郎です。
華)華子です。
レ)…っ
 
 
確かに聞いてはいたけど…
改めて聞くと
教科書に出てきそうな名前に
 
あたしは思わず…
 
 
玲)あ、お前何笑ってんだよ!
  失礼だろ!ww
華)やぁだ、ちょっと、レイコちゃん!
  私は「花子」じゃなくて
  「華やか」っていう方の漢字の
  「華子」だからね?
  そこまで地味じゃないのよ?!
一)自分で言うか…ww
華)何よ〜〜〜
  あなたの名前が地味だから
  いけないのよ〜?
  一郎だなんて。
一)俺のせいか!w
玲)ぷっww
  あはははっっww
レ)あはははww
 
 
すごくあったかくて、優しそうな二人。
玲司の…大切な人たち。
 
 
華)ねぇねぇ、そんなことより
  子猫の名前、何にする?♡
レ)えっ…
華)レイコちゃん、名前つけていいわよ♡
レ)…っ
 
 
本当に…
飼ってくれるの…?
 
あたしが玲司の方を振り向くと
玲司が優しく笑って、頷いた。
 
 
レ)…っ
 
 
あたしは…嬉しくて…
また涙があふれてきて…
 
 
華)あらあら!
  どうしたのよレイコちゃん!
 
 
おばさんが慌てて立ち上がったけど
後ろから優しく抱きしめてくれたのは
玲司だった。
 
 
レ)うわーーーんっっ
玲)……
 
 
あたしは玲司にしがみつきながら
子供みたいに、わんわん泣いた。
 
 
レ)ありがとう…っ
  …ありがとう、玲司…っ!!
 
 
やっぱり玲司は
あたしのヒーローだ。
 
 
玲)礼言うなら一郎さんと華子さん。
 
 
あたしの背中を優しく叩いて
玲司がそう言うから…
 
 
レ)…あの…っ
 
 
泣きながら二人の方を向くと…
 
 
一)玲司が俺たちに頼み事してくれるなんて
  初めてだからなぁ…
華)ほんとにねぇ…
 
 
二人はそれがとても嬉しいことのように
優しく笑った。
 
 
一)まぁ…大事な彼女が
  そんなにワンワン泣いてちゃな…w
華)くすくす…w
 
玲)なっ!ちげーし!!
  彼女じゃねーし!!///
 
 
玲司は慌てたように
あたしを離した。
 
 
玲)こいつは…、、そう!
  妹みてぇなもん!!///
レ)…っ
 
 
妹…?
 
そんなの初耳なんだけど…
 
 
一)まぁなんだっていいさ。
  レイコちゃんもいつでも
  うちに遊びにおいで?
華)そうよそうよ♡ 子猫も喜ぶわ♡
レ)……////
 
 
二人が優しく笑ってくれるから
すごく嬉しくて…
 
チラッと玲司を見ると
プイッと目を逸らされた。
 
 
レ)妹なんかじゃねぇし!!
玲)…っ
 
 
あたしの言葉に、
玲司は目を丸くしてこっちを見た。
 
 
レ)あたしは玲司が好き!!
玲)!!!
 
 
華)まぁまぁ…///
一)おおお…
 
 
玲)お前…何言って…///
レ)前にも言っただろ!
  あたしはお前が好きだって!
玲)……///
レ)あたしの気持ちから逃げんな!!
玲)…っ
 
 
一)男前だな、レイコちゃんww
華)いやーん♡
 
 
玲)別に逃げてねぇし!///
レ)何が妹だよ…
玲)お前みたいな中坊なんか
  妹みたいなもんなんだよ!///
レ)ふざけんな!
  絶対そのうち見返してやるからな!
玲)勝手にしろ!
 
 
そんなあたし達のやりとりを見て
おじさんとおばさんはクスクス笑ってた。
 
 
華)ほら、二人とも…
  こっちにいらっしゃい。
  子猫が目を覚ましたわ。
 
 
レ)…っ!!
玲)……
 
 
二人でそーっと近付くと
子ねこはあたし達の元にゆっくり歩いてきて…
 
 
ンナーー
 
 
また可愛く、すり寄ってきた。
 
 
レ)////
玲)……ニヤけてんぞ。
レ)うっせぇ!///
玲)ぷっww
 
 
だって…
だって…
 
可愛いじゃんか、コイツ///
 
 
玲)ほら、名前は?
レ)…っ
玲)お前がつけるんだろ?
レ)////
 
 
ニャーー
 
 
レ)トラ!!!///
玲)トラ??
華)トラ猫だものね、確かに。
玲)お前…まんまかよww
レ)うるせーなっ///
一)トラ、じゃなくて…トラ、でいいのかな?
華)ああ、発音?w
レ)トラ!!!///
一)OK、OK♪
華)じゃあトラちゃん、今日からよろしくね♡
 
 
ニャーー
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
玲司の家はあたしの家から
走って20分。
 
 
なんで「走って」なのかというと、
あたしはいつも早く会いに行きたくて
走ってしまうから
 
走った時間しか、知らない。
 
 
遠いと言えば遠いけど
中学生のあたしでも頑張れば行ける距離に
その家はあって…
 
あたしはそれがすごく、嬉しかった。
 
 
季節はあっという間に冬になったけど
走ればあたたかいから、全然平気。
 
 
それに帰りは必ず、
玲司がバイクで送ってくれるから。
 
 
華)レイコちゃん、おかえり♡
レ)////
 
 
最初の頃は
「いらっしゃい」って言ってた華子さんが
 
最近は「おかえり」って言ってくれるのが
あたしはなんだかくすぐったくて、
すごく嬉しい///
 
 
レ)トラーー♡♡
 
 
ニャーー
 
 
あたしが来ると
トラはいつでもすぐに飛んできて
あたしの膝の上で寝る。
 
 
レ)可愛い♡♡
華)ふふっw
  トラってばレイコちゃんのことが
  一番大好きなのよ♡
レ)////
華)昨日も玲司が文句言ってたわw
レ)え?
華)俺は毎日一緒に寝てるのに
  俺よりレイコに懐いてるーーってw
レ)……ふふんっw
華)あはははっw
 
 
あたしは玲司がいない時でも
こうして遊びにくるし
 
一郎さんや華子さんは
玲司がいない間に
あたしが知らない玲司のことを
いろいろ教えてくれるから
 
あたしはそれがすごく楽しかった。
 
 
 
……
 
 
 
華)この人がね?
  引き取りたい子がいるんだ、って
  突然言い出して…
レ)……
華)どんな子なの?って聞いたら…
  「俺のカメラを盗んだ坊主」
  って言うのよ〜〜?ww
  もう私、おっかしくってww
レ)あはははw
 
 
一郎さんは、
玲司がカメラに興味があるのをわかってて
 
わざと寝たフリをしたんだって。
 
 
一)そしたらアイツ、
  本当に盗んでいきやがってww
華)最高よねww
 
 
そんな話も嬉しそうにする二人を見て
玲司は本当に愛されてるんだなぁって
 
あたしまで嬉しくなる。
 
 
一)あそこにたむろしてる子達は
  決して悪い子じゃなくて…
  行き場のない思いとかエネルギーを抱えて
  早く大人になりたいって
  闘ってる子たちだと思うんだよ。
レ)……っ
 
 
あたしがあそこにいることは
知らないはずなのに
 
一郎さんが優しい表情で
そう話してくれるから…
 
なんだか胸が熱くなった。
 
 
一)そんな中でもさ、
  玲司は一人だけ…オーラが違った。
レ)…っ
一)だから俺は…
  あいつの感性を見極めたかったんだよ。
華)そしたら…大当たりだったのよね?w
一)そうそうw
  あいつはそのうち…
  もっとすごいカメラマンになるよ。
レ)……
 
 
一郎さんもカメラマンをしていて…
いろんなノウハウを玲司に教えたらしいけど
玲司のセンスはピカイチだったって
 
すごく誇らしげに話してくれた。
 
 
あたしは…
玲司への尊敬の気持ちが高まるのと同時に
 
自分は何も前に進めていなくて
置いていかれるような焦りも…どこかにあって
 
 
そんなあたしに、
一郎さんはチャンスをくれた。
 
 
一)レイコちゃん、モデルとかは
  興味ないのかい?
レ)!!!!
 
 
それは、前にも一度だけ
玲司から言われて
 
どこかでずっと、気になってた。
 
 
一)もし良かったらいつでも紹介するから
  少し考えて…
レ)やる!!!!!
 
 
あたしの即答に
一郎さんは少し驚いた様子だったけど
すぐにふわっと優しく笑って
 
 
一)わかったよ。
  話、しておく。
 
 
そう言って、あたしの頭を撫でてくれた。
 
 
華)レイコちゃんは美人さんだものね♡
  これからどんどん綺麗になって
  玲司もびっくりしちゃうわよ♡
一)ははははw
レ)////
 
 
そんな話をしてたら
ちょうど玲司が帰ってきた音がして…
 
 
レ)!!!
 
 
あたしとトラは、走って玄関まで
迎えに行く。
 
 
レ)おかえりっ!!
玲)ただいまw
 
 
あたしが玲司に抱きつくと
玲司はトラを可愛がるみたいに
 
あたしの頭を撫でた。
 
 
レ)玲司、ほっぺ冷たい。
玲)そうか?
レ)あっためてあげる。
玲)…っ
 
 
身体が勝手に動いて
あたしは玲司のほっぺに両手を当てた。
 
 
レ)あったかくなぁれ…
玲)……ふはっw
レ)なに…?
玲)可愛いなと思ってw
レ)なんだよそれ…///
玲)……
 
 
玲司はあたしをぎゅっと抱きしめた。
 
 
玲)ただいま……
レ)…おか…えり…////
 
 
そのぬくもりに…
誤解しそうになる。
 
 
ドキドキ…
 
ドキドキ…
 
 
一)おーーい!
  玄関でイチャついてないで
  早く入ってこーい!
 
玲)!!!!
 
 
そんな一郎さんの声に
玲司は慌ててあたしを離して…
 
 
レ)……///
玲)////
 
 
ぷいっと視線を逸らすと
そのまま居間に入っていった。
 
 
玲)別にイチャついてねーし///
一)ふーんw
華)玲司はトラもレイコちゃんも
  可愛くて仕方ないんだもんねー?w
玲)はぁ?!///
 
 
そう言われた玲司はあたしを見て
プイッとそっぽを向いた。
 
 
玲)そ!こいつはねこと一緒!///
レ)はぁ〜〜?
 
 
玲司は二人だとすごく優しいのに
一郎さんと華子さんの前では
いつもこんな感じ。
 
 
レ)あたしは玲司が好きだもん!!
 
 
ぎゅむっと抱きついてやると
 
 
玲)ばっかやろ!離せこの!///
 
 
顔を赤くして、
自分の部屋に駆け上がって行った。
 
 
華)照れ屋なんだから…ww
 
 
クスクス笑う華子さんと
 
 
一)あいつはそこが可愛いww
 
 
ニヤニヤ笑う一郎さん。
 
 
あたしはもう一度トラを抱っこして
こたつに入った。
 
 
レ)あたし、絶対もっとイイ女になる。
  絶対玲司のこと振り向かせる。
一)いいぞ〜〜頑張れ〜〜ww
華)レイコちゃんがうちにお嫁に来たら
  毎日楽しいわよねぇ?あなた〜
一)そうだなぁ!
華)早くお嫁にいらっしゃい♡
レ)////
 
 
想像したら…
すごく幸せな気持ちになって…
 
恥ずかしくて俯くと…
 
 
玲)何勝手な話してんだよ!///
 
 
玲司が着替えて降りてきた。
 
 
玲)レイコはまだガキだろ!
  何が結婚だよ…///
レ)……
 
 
今に見てろ…玲司め…
 
 
玲)ほら、トラ!
  こっち来い♡
 
 
ニャーー
 
 
トラは玲司に見向きもせず、
あたしにスリスリスリ…
 
 
レ)ぷっww
華)トラはレイコちゃんの膝の上がいいってw
一)あははははw
玲)くっそーー!///
 
 
 
……
 
 
 
この家にはいつも音楽が溢れていて
 
一郎さんが海外で集めてきたレコードから
華子さんが好きな日本のレコードまで
 
音楽が流れていない日はなかった。
 
 
レ)あ、この歌好きかも!
 
 
あたしがそう言うと
一郎さんがギターで弾いてくれて
 
玲司がそれに合わせて歌ったり
華子さんも一緒に歌ったり
 
 
あたしはそんな時間が
すごくあたたかくて、大好きだった。
 
 
 
 
 
ー続ー

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