[252]男に二言は…

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どうしよう。
 
 
『さっきはほんとにごめん。』
 
 
動揺しながら送ったLINEは
一日経っても返事なし。
 
一応既読にはなってるけど…
 
 
臣)はぁぁぁ……
 
 
ほんと自分がアホすぎて自己嫌悪。
 
昨日からずっと頭の中は♡のことばっかり。
 
 
「こんな臣くん、嫌い。」
 
「そんなにHしたいなら
 浮気すればいいよっ!!」
 
 
なんで俺、あんなことしたんだろ。
なんで俺、あんなこと言ったんだろ。
 
 
……♡、泣いてた。
 
俺…ほんと最低……。
 
 
「Hしよ…?」
 
「チューくらいさせろ!」
 
「てゆーかなんでまだ生理なの……」
 
「全然足りねぇもん!死にそう!!」
 
 
酔ってたとはいえ、
すげぇ自分勝手だったよな…。
 
 
臣)はぁぁぁ……
 
 
確か♡は渡したいものがあるって言ってた。
なんだったんだろう…。
 
それに、頭痛いって何度か言ってたのに…
なのに俺は…
 
 
「こんなままLAとか…
 金髪美女と浮気しちゃうからなーー!」
 
 
臣)……マジで最低…。
 
 
ため息しか出ねぇよほんと。
 
 
「浮気するならすればいいよ!!
 そしたら別れるから!!」
 
「臣くんのばかっ!もう知らないっ!!」
 
 
♡の泣き顔が、頭から離れない。
 
 
泣かせたくないって。
傷つけたくないって。
 
何度そう思って何度誓っても
なんで俺ってこう繰り返すんだろ。
 
バカなのかな。
バカなんだな。
 
 
酔ってたことなんて、言い訳にならない。
 
 
臣)はぁぁぁ……
 
 
……てゆーかさ、頭痛いって…
風邪とかかな?大丈夫かな?
 
労りの声すら、かけたのかどうか曖昧で。
 
 
もしかして最近調子悪かったのかな?
なのに俺に弁当とか作ってくれたり…
 
無理してたのかな。
 
 
生理中なのにあんなことやこんなことまで
してくれたし…
 
 
なのに俺ってば…
 
 
臣)はぁぁぁ……
 
 
数日前に喧嘩っぽくなった時に
俺のことやりたいだけみたいに言ったこと
謝れとか偉そうに言ったけど…
 
こんなん、そう思われても仕方ねぇじゃんな。
 
 
♡…、ほんとごめん…
ごめんなさい。
 
 
臣)はっ…
 
 
そういえばあいつ、今日の夜
ハルくんと英会話の日じゃね?!
 
 
臣)…っ
 
 
どうしよう。
 
弱ってる♡にハルくんがつけこんできて…
 
 
「臣くんと喧嘩しちゃったの…ぐすん…」
 
「そんな男やめて俺にしなよ。
 俺なら絶対に泣かせない。」
 
「ハルくん…ほんと…?」
 
「今日は彼氏のことなんて忘れて
 うちにおいでよ…、ね?」
 
「ハルくん……///」
 
 
なんてことになったらぁぁぁ!!
 
 
いや、ちょっと待てよ。
♡は弱ってるのかな?
むしろ怒ってんじゃない?
 
だったら…
 
 
「臣くんって最低なの!もう別れたい!」
 
「♡…ほんとに?」
 
「うん。ハルくんみたいな人がいい!」
 
「じゃあ俺と付き合おうか…、ね?」
 
「ハルくん…///」
 
「好きだよ、♡。ずっと好きだった。」
 
「ハルくん…私も…///」
 
 
だあああぁぁぁぁぁ!!
 
やっぱり彼女いるとか嘘だろハルくん!
♡のことが好きなんだろ!!
 
 
どっちにしても♡がお持ち帰りされちゃう!
どうしよう!!
 
 
と、と、と、とりあえず!
返事は来ないけどもう一回LINEしよう!
 
 
臣)……
 
 
作っては消して。
作っては消して。
 
……を、繰り返して。
 
 
『頭痛大丈夫か?風邪?
 本当にごめんな。』
 
 
なんとかその一言だけを送信した。
 
 
臣)はぁぁぁ……
 
 
心の中では何度も謝ってるけど…
そんなの♡には届かないけど…
 
 
……本当にごめん。
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
♡)ふふー美味しいっ♡
ハ)良かった。笑顔になって。
♡)え?
ハ)ほら、いっぱい食べて。
♡)うんっ♡
 
 
隣に座ってるハルくんが
優しく背中を叩いてくれた。
 
 
ハ)美味しいもの食べたら元気になるよ。
♡)え…?
ハ)…って、昔の♡の口癖。
♡)あ…。
 
 
優しく笑うハルくんの笑顔に、
昔の記憶が蘇る。
 
ママや瞬が元気ない時、
よくハルくんと一緒に何か作ったなぁ…。
 
私にとっては、
ハルくんがただ側にいてくれるだけで
それが元気の源だったから。
 
 
♡)ありがとうハルくん♡
 
 
ハルくん大好き♡
 
 
瞬)今日の姉ちゃんは元気がないんじゃなくて
  プリプリしてるだけじゃん。
美)あはははw
 
 
向かいで笑ってる瞬と美花ちゃん。
 
今日は二人も休みだったから
3人一緒に英語を教えてもらってたんだ。
 
 
瞬はハルくんとの再会に大喜びで。
 
顔を見るなり抱きついてたけど
今は瞬の方が大きいから
ハルくんもごもごしてた。
 
 
瞬)臣さんと喧嘩でもしたの?
♡)…っ、なんのこと?
瞬)ぷっ、わかりやすw
♡)何が!
瞬)顔に喧嘩しましたって書いてるよ。
♡)うるさい。瞬のばかっ。
美)喧嘩とかするんですか?!
♡)…っ
美)すっごくラブラブだったから
  全然想像できない…
瞬)まぁなー、喧嘩しないカップルなんて
  いないだろ。
ハ)二人もするの?
瞬)んーーー、、
美)くだらないことではするよね?
瞬)俺のプリン食ったろー!とか?w
美)そうそうw
ハ)ははははw
♡)……
 
 
私は…
そんな可愛い喧嘩じゃないもん…っ
 
私、怒ってるんだから!
プンプンなんだから!
 
 
瞬)あーあーあー、
  また顔が険しくなってますよーー
♡)ぷんっ
瞬)ほら、怒ってるw
♡)ぷんっ
瞬)どんな喧嘩?
♡)……言いたくない。
瞬)姉ちゃんなんかやらかしたの。
♡)違うもんっ!
  臣くんが悪いんだもんっ!
  100%臣くんが悪いもんっ!
美)臣ちゃ…っ、臣さん……
  一体何したの……
♡)臣くんなんか嫌いだもんっ
瞬)あーあ。
 
 
レタスにザシュッとフォークを刺したら
グレープフルーツのソースが
染み込んでいった。
 
 
ハ)♡らしくないなぁ…
♡)え?
ハ)好きな人のこと、嫌いなんて言うの。
♡)…っ
ハ)何があったかはわからないけどさ、
  本当に思ってないことは
  言っちゃダメだよ…?
♡)…っ
 
 
叱られちゃった…
しょぼん…。
 
 
ハ)ああ、ごめん…そんな顔しないで…っ
♡)……
ハ)きっとさ、登坂さんも
  こんなに♡を怒らせて
  今頃反省してるんじゃないかな?
♡)……
ハ)今は話聞く気になれないかもしれないけど
  落ち着いてからちゃんと話せば
  仲直りできるよ。
♡)……
 
 
仲直りなんてしたくないもんっ
 
って口から出かけたけど、
ハルくんに嫌われちゃいそうだから
飲み込んだ。
 
 
だって…
 
だって…
 
 
……ザシュッ!!
 
 
瞬)……怒り食いしとる…。
美)うん……
  でも怒ってても可愛い…
瞬)ぶっw
ハ)あはははw
 
 
『さっきはほんとにごめん。』
 
 
昨日臣くんから届いたLINE。
 
 
家に帰ってきてからもう一度開いたら
新しいメッセージが届いてた。
 
 
『頭痛大丈夫か?風邪?
 本当にごめんな。』
 
 
♡)……
 
 
私が頭痛いって言ってたの、
今頃思い出したのかな…?
 
 
ぷんっ!知らないっ!!
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
隆)いや〜〜〜
  一人旅すげぇ楽しいよ。
臣)ふーん…
隆)なんかさーー
  一人だといろいろ違うよね。
臣)ふーん…
隆)あ、そーだ。
  今日の写真、♧に送っとこーっと♪
 
 
……イラッ。
 
 
臣)ラブラブでいーですねーーー
隆)へへへ♡
 
 
棒読みで言ったけど
嬉しそうに笑ってる隆二。
 
 
隆)LIVEもほんと楽しかったねーー
臣)……うん。
 
 
今日は隆二と同じLIVEを観に行ってて
会場を出てから一緒に飯を食ってる。
 
 
臣)はぁ……。
 
 
♡からは返事来ず……。
昨日送ったLINEも既読スルー…。
 
 
隆)臣なんか元気なくない?
臣)……
 
 
やっと気付いた?ねぇ。
 
 
隆)てゆーか何その変なTシャツ。
臣)はぁ?
 
 
昼間カフェオレこぼしたから
街中で適当に買ったんだけど…
 
 
隆)てっきり♡ちゃんの着てると思ったのに。
臣)はぁ?
 
 
なんで俺が♡のTシャツ着んだよ。
 
 
臣)お前そんな趣味あんの…?
隆)は?
臣)♧さんの服着るような…
隆)はぁ?あるわけねぇだろ!
臣)俺だってねぇわ!
隆)……あ、違う違う、そうじゃなくてw
  ♡ちゃんが作ったTシャツ
  喜んで着てると思ったのに、って意味。
臣)は?
 
 
♡が作った…Tシャツ…?
 
 
臣)何それ。
隆)えっ?
臣)……
隆)……げ、しまった。
臣)何が。
隆)……忘れて。
  え、でも……なんでだ?
臣)何ブツブツ言ってんだよ。吐けコラ。
隆)……うーん…
  もう言っちゃったしなぁ……
臣)はよ吐け。
隆)もらってないの?Tシャツ。
臣)……
 
 
なんの話?
 
 
隆)♡ちゃん作ってたじゃん、臣に。
  俺が♧にもらったやつと同じの。
  あ、同じのっていうか色違いっていうか…
臣)え…?
隆)それで二日間、うちに来てたんだよ。
臣)は??
隆)あれ、ほんとに知らないんだ。
  てかなんでまだもらってないの。
臣)…っ
 
 
……頭の中で…
次々にパズルのピースがはまっていく。
 
 
その二日間はきっと
様子がおかしかった土日で…
 
Kと中華食ったとか下手な嘘ついてたけど…
隆二んとこ行ってたんだ。
 
 
俺が…Tシャツ欲しいって
♧さんにワガママ言ったから…
 
だから作ってくれたのかな…?
 
 
臣)……
 
 
なのに俺は…
嘘ついてる♡を怪しんだりして…
 
 
隆)もうここまで話したら話しちゃうけどさ、
  ♡ちゃんほんと鈍臭くてw
臣)え…?
隆)一日で出来そうだったのに、
  自分の服一緒に縫い込んじゃったり
  表裏間違えてやり直したりで
  結局二日かかったらしいよw
臣)…っ
隆)でもさ、半泣きになりながら
  一生懸命作ってたんだって。
  可愛いよね…w
臣)……
 
 
なんか…
……泣きそうになってきた。
 
 
ああ、そうか…
渡したいものって…これだ。
 
 
隆)臣が発つ前に渡したいって頑張ってたのに
  なんでもらってないの?
臣)…っ
 
 
もうやめて。
ほんと泣きそう。
 
 
♡は…
会社が休みの土日も別の仕事があって…
 
そんな忙しい中で
家事もしてくれて、俺に弁当も作ってくれて…
Tシャツまで作ってくれてたんだ。
 
 
なのに…俺は…
 
酔っ払って帰って来て
生理だって言ってんのに
頭痛いって言ってんのに
嫌がる♡にしつこくして…
 
 
あ。
頭痛だってきっと
疲れが溜まってたせいだよ。
 
……俺のせいだ。
 
 
臣)ああぁぁぁぁぁ………
 
 
自己嫌悪で死にそう…。
 
 
隆)どうした?酔った?
臣)……
 
 
もう自分をぶん殴りたい、本気で。
 
 
隆)大丈夫?
臣)…俺のこと…ぶん殴ってよ……
隆)え?いいの?
臣)……
 
 
ほんとにやりそうだな、コイツ。
 
 
臣)はあぁぁぁぁぁ………
 
 
帰国は明日だけど…
今すぐ日本に帰りたい。
 
 
臣)ドラえもん……
 
 
どこでもドア出して…お願い。
 
そしたら俺、♡に土下座して謝るから。
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
はぁ…
どうしよう。
 
臣くんのLINEに返事出来ないまま
また一日が経って。
 
 
◇)剛典に言ったら
  めっちゃ楽しみにしてました!
  手作りお味噌♡
♧)ふふ♡
  美味しいの出来るといいねー♡
 
 
時間が経ったら
どうして私、あんなこと言っちゃったんだろう
って。
 
なんだかしょんぼりしてきちゃった…。
 
 
◇)♧さんってどこかでお料理
  習ってたんですか?
♧)ううん!
◇)えーーー
  じゃあどこで腕を磨いたんですかーー!
 
 
「金髪美女と浮気するならすればいいよ!!
 そしたら別れるから!!」
 
「臣くんのばかっ!もう知らないっ!!」
 
 
……最低だよ。
 
ほんとはそんなこと思ってないのに。
 
 
臣くんが本当に浮気しちゃったらどうしよう。
私がすればいいって言ったんだもん…
何も言えないよ…。
 
 
♧)基礎はここでおじさんに
  教えてもらったり…
  あとは図書館でお料理の本
  結構読んだりしたなーー
◇)なるほど…!
♧)本読んでるとね、もう
  どれもこれも作ってみたくて
  うずうずしてくるのーw
◇)それは根っからの料理好きですねw
♧)あははは♡
 
 
「本当に思ってないことは
 言っちゃダメだよ…?」
 
 
ハルくんに言われた言葉。
 
 
どうして私、
あんなこと言っちゃったんだろう。
 
そればかりが頭をグルグル…。
 
 
◇)って、おーーい!w
♡)…っ
♧)♡ちゃん?
♡)あ、ごめんなさいっ
◇)さっきから心ここに在らずだよ?
  どうした?
♡)…っ
 
 
今日は♧さんと◇ちゃんと
お味噌作りをした。
 
 
せっかくみんなで作るなら、って
食堂のキッチンを借りて
大きな木桶で作らせてもらって…
 
 
♡)えへへ、美味しいお味噌できるといいね♡
◇)うん!臣さんも喜ぶといいね♡
♡)…っ
♧)あ、そうだ♡ちゃん!
  Tシャツは渡せたー?
  臣くん喜んでたー?
 
 
♧さんが嬉しそうにキラキラした笑顔で
聞いてきて…
 
 
♡)…っ
 
 
私は言葉に詰まって何も言えなくなった。
 
 
◇)Tシャツってまさか…
  ♡ちゃんも作ってあげたのー?!
♧)そうなんだよー♡
  臣くんがアメリカ行っちゃう前に
  無事に完成したんだもんね♡
◇)すごーーい!
  ♡ちゃんってば優しすぎ!
♡)…っ
 
 
私…優しくなんてない…
 
 
◇)別に臣さん誕生日でもなんでもないのに
  わざわざ作ってあげたんでしょ?
  はぁ〜〜〜
  こんな彼女欲しい。
♧)あはははw
◇)ほんと臣さんは贅沢だぜ!
  こんな可愛くて出来た彼女!
  日本中の男が羨ましいはずだぜ。
♡)……
 
 
違うもん…
私なんて…全然ダメなんだもん…
 
 
◇)ん…?
♡)…っ
◇)ちょいちょい!どうしたの!
  目がウルウルしてるよ!
♧)♡ちゃん?!
♡)…ふ…ぇ…っ
 
 
臣くん…ごめんなさい…。
 
あんなこと言って…ごめんなさい。
 
 
◇)あぁぁ〜〜〜っ
  泣かないのーー!ねっ?よしよし…
♡)ふぇぇ……ぐすっ
♧)よしよし…
 
 
こんな私に二人とも優しくしてくれて…
なんだか余計に涙が出て来ちゃう。
 
 
 
 
◇)……うーん、なるほど…。
♧)そっか…渡せなかったんだ…。
♡)……(こくん)。
 
 
思い出せば出すほど、後悔しかない。
あんなに怒らなくても良かったのに…。
 
 
♡)臣くん…浮気しちゃってたらどうしよう…
  ……ぐすっ…
◇)するわけないじゃん!あの臣さんが!
♧)そうだよー
♡)でも…っ
  すればいいって言ったの…私だもん…っ
◇)それは言葉の綾っていうかさ、
  喧嘩の勢いだってわかるでしょ。
♡)…ぐす…っ
♧)♡ちゃんが本当はそんな事思ってないって
  臣くんもわかってるよ。
♡)でも……
 
 
もう私のことなんて嫌になったかもしれない。
 
 
♡)ヤケになって…金髪美女と…
◇)ないないない!w
♡)もしかしたらすごく誘惑されてるかも…
♧)誘惑されても断ってるよ!
◇)そうだよ!
♡)……
 
 
自分で言ったくせに…
臣くんが浮気しちゃってたらって考えたら
すごく悲しくて、涙が出てくる。
 
 
♧)泣かないでー、♡ちゃん。
♡)……ぐすっ
♧)♡ちゃんはわかってもらえなかったのが
  悲しかったんだよね?
♡)…っ
♧)頭痛いって言ったのに
  わかってくれなかった臣くんに
  悲しくなって腹が立ったのかなって。
♡)ふ…ぇ…っ
  だ…って臣くっ…いつも…だったら
  大丈夫?って…優しいのに…
  あの日は…Hばっかり…っ
♧)そうだよね…、
◇)ほんとどうしようもねぇな登坂ぁぁぁ!!
♡)えっ
 
 
いきなり◇ちゃんが怒り出してびっくりした。
 
 
◇)どんだけHしたいんじゃボケぇぇ!!
♡)…っ
◇)しばらく会えないから
  したくてしたくて仕方なかったんやろけど
  空気読めやぁぁぁ!
♡)…っ
◇)こっちは生理な上に頭痛い言うとんねん!
  日本語わからんのかーーい!!
♧)◇ちゃん…っ
◇)酔っ払ってたからって許さへんぞぉぉ!!
♧)はわわ…っ
◇)どんだけ謝っても絶対許さんからな
  覚えとけよぉぉぉ!!
♡)そ、そこまで怒ってないよ!!!
 
 
私は慌てて◇ちゃんを止めた。
 
 
◇)ほんと?
♡)うん!
◇)もう怒ってないの?
♡)うん!逆にあんなこと言っちゃったこと
  謝りたい気持ちでいっぱいで…
◇)ふふふ、良かったw
♡)…っ
 
 
◇ちゃん…もしかして…
私の代わりに言葉にして怒ってくれたのかな。
 
 
◇)きっとさ、臣さん帰って来たら
  ものすんごい勢いで謝り倒すと思うよ。
♧)うん。
◇)そしたら♡ちゃんは
  もう怒ってないよって許してあげてさ、
  自分もごめんねって
  謝ればいいんじゃない?
♧)うんうん。
  そしたら仲直りできるよ♡
♡)…っ
 
 
ほんとに…?
仲直り…できる…?
 
 
♡)ぐすっ…
♧)あ〜〜〜っ、泣かないでほら〜〜っ
♡)臣くん…金髪美女と…
◇♧)だからそれは大丈夫だってば!!w
♡)ううう……
 
 
臣くんが帰ってくるまで待てないよ。
今すぐごめんねって謝りたい。
 
 
♡)ドラえもん……
 
 
どこでもドア出して…お願い。
 
そしたら私、
今すぐ臣くんのことぎゅって抱きしめたい。
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
『そっちの時間で夜には帰ります。
 もう一回謝りたいから時間ください🙇‍♂️
 本当にごめん』
 
 
電話する勇気がない俺は
土下座したい気持ちを絵文字に込めて
LINEを送ったけど…
 
これもやっぱり既読スルー。
 
 
臣)はぁぁぁぁ……
 
 
顔見て謝りたかったけど
先に電話した方がいいのかな…。
 
でも一回も返事ないってことは
相当ブチギレてんのかもしれないし…
 
 
だって俺、嫌いって言われたんだぞ。
 
 
もうさ、キレた勢いでヤケになって
ハルくんと浮気してたらどうしよう。
 
いやちょっと待てよ、その場合もう
「浮気」じゃないんじゃ…
 
 
臣)…っ
 
 
俺、捨てられるかも!どうしよう!!
 
 
ピロピロ♪ピロピロ♪
 
 
臣)!!!
 
 
♡か?!!!
 
 
臣)…っ
 
 
『私もごめんなさい。
 気をつけて帰って来てね。待ってます。』
 
 
どあああああああああっっ
返事きたーーーーーー!!!
 
 
……どうしよう、これだけで泣きそう。
 
 
私もごめんなさいってなんだよ。
お前は何一つ悪くないじゃん。
 
俺が100%悪いんだよ。
もう俺のことぶん殴っていいからさ、マジで。
 
 
ああ〜〜〜もう今すぐ謝りたい。
ほんとに。
 
この飛行機あと5分とかで日本着かないかな。
 
俺知ってんだぞ!
ほんとはジェットって何分とかのレベルで
目的地に着けるくらい速く飛べるって!!
 
でも管制塔がパニックになるから
わざと遅く飛んでんだろ?!
 
今だけ5分で日本まで飛べよ!
頼むよ!!
 
 
臣)くぅぅぅ……
 
 
ドラえもーーーーーーーーん!!!!
 
 
 
……
 
 
 

 
 
 
ゴクリ…。
 
 
帰って来た、家の前。
 
ドキドキしながら鍵を開けて…
 
 
ガチャン。
 
 
臣)……
 
 
いつもならデカい声でただいまーーっ
とか言うのに、そんな勇気はなく。
 
 
リビングは明るい。
 
ドキドキドキ…
 
入ったらまず、すぐに謝ろう!うん!
 
 
靴を脱いで、廊下を静かに歩いて…
 
 
ガチャリ。
 
 
臣)……
 
 
あれ?いない。
 
 
臣)♡…?
 
 
小さい声で名前を呼んで
キョロキョロ見渡すと…
 
 
臣)……あ。
 
 
いた。
ソファーで寝ちゃってる。
 
 
そーーーっと…
起こさないように近付くと…
 
 
臣)…っ
 
 
……俺のパーカー、着てる。
 
 
その目元には少し、涙の跡。
 
 
なんで…?
 
泣いてた…?
 
 
………俺の、せい…かな…。
 
 
そっとその跡を拭ってやったけど
ただいまって起こす勇気はなくて…
 
抱きしめたい気持ちをぐっと堪えて
ブランケットをかけて、その場を離れた。
 
 
風呂の準備してくれてるから
ちょっと入って落ち着こうと思って。
 
 
臣)………はぁぁぁ……。
 
 
……なんで泣いてたんだろ。
 
 
私もごめんなさいってLINEくれてたけど…
まさかあいつ、自分が悪いとか
思ってるんじゃ…
 
だってあいつさ、
いっつも自分のこと責めない?
 
 
明らかに俺が悪い時でもいつも
悪いの私だもんっ
とか言って、ごめんねって何度も謝るんだ。
 
 
違うから〜〜〜
悪いの俺だから〜〜〜
って、俺は余計に罪悪感を感じて
自分をぶん殴りたくなる。
 
 
今回はほんとさ、
マジで俺のことぶん殴っていいから。
 
間違ってもごめんとか言わないでよ…。
 
 
 
 
 
お風呂から上がって
もう一度リビングのドアを開けると…
 
 
♡)!!!
 
 
今度は♡がハッと起き上がった。
 
 
臣)……おはよ。
♡)寝ちゃってた…!!
臣)うん。
  疲れたんじゃない?
♡)ごめんね?!
臣)なんで謝んの。
♡)待ってようと思ってたのに…っ
  お風呂…入ったの?
臣)うん。ありがと。
♡)……
 
 
♡はブランケットを握りしめて
俺をじーーっと見つめて…
 
 
♡)おかえりなさい…。
 
 
なんだか泣きそうな顔で小さく呟いた。
 
 
臣)ただいま…。
 
 
俺もなんか、動けなくて。
 
 
♡)おかえりなさい…。
臣)ただいま…。
 
 
もう一度そう言ったら…
なんだかお互い、泣きそうで。
 
 
臣)……ごめんな…?
 
 
我ながら情けないくらい小さな声しか出なくて
でも、精一杯の謝罪。
 
 
♡は大きな瞳からぽろっと涙をこぼして
俺の元に走って来た。
 
 
……どんっ…
 
 
♡)おかえりなさい…っ
臣)うん…
 
 
抱きとめた、小さな身体。
 
 
♡)……ごめんね?
臣)…っ
♡)ほんとにごめんね…?
 
 
ほら、やっぱり。
 
 
臣)なんで謝んの…
♡)…っ
臣)悪いの俺だから謝んないで。
♡)…っ
 
 
♡の身体をしっかりぎゅっと、抱きしめた。
 
 
臣)酔っ払って帰って来て、ごめん。
  いっつもHばっかしたがってごめん。
♡)……
臣)ただヤリたいだけって思われても
  仕方ないようなこと言っちゃったけど…
  ほんとお前のこと好きすぎるだけだから…
  ごめん……。
♡)……
臣)頭痛いって言ってたのに
  ちゃんと聞いてやれなくてごめん。
♡)……
臣)もう治った…?大丈夫…?
♡)……(こくん)
臣)…良かった……。
 
 
ほんとにほんとにごめん。
 
 
臣)それから…
  あんな思ってもないようなこと言って
  本当にごめん。
♡)…っ
臣)浮気なんて死んでもしないから。
♡)……
臣)あんなの…
  散々ひどいことしてたような俺が
  言っていい冗談じゃなかった。
  ……ほんとに反省してる。ごめん。
♡)…わた…しも…っ
臣)え…?
 
 
♡は俺の背中をぎゅっと握った。
 
 
♡)あんなこと…少しも思ってない…っ
臣)……
 
 
「金髪美女と浮気するならすればいいよ!!
 そしたら別れるから!!」
 
 
♡)思ってないこと言って…
  ごめんなさい…っ
 
 
小さい肩が、震えてる。
 
 
♡)臣くんと別れたくなんか…ないもん…っ
臣)うん…。
♡)臣くんが浮気しちゃったら…
  悲しいもん…死んじゃうもん…っ
臣)うん…っ
♡)絶対やだぁ…っ
  ふぇぇ……ん…っ
臣)…っ
 
 
♡の頭を抱え込むように抱きしめて
 
「それだけは絶対にないよ。」って
もう一度耳元で囁いた。
 
 
♡)ほん…と…?
臣)うん。
 
 
ぽろぽろ泣いてる瞳が俺を見上げる。
 
 
♡)ほんとに浮気…してなぁい…?
臣)してないよ。
♡)金髪美女…いた…?
臣)……それは…うん。
♡)…っ
臣)でもしてないから!ほんとに!!
 
 
またぶわっと潤んだ♡の瞳に
慌ててそう言った。
 
 
臣)俺が好きなのは、お前だけ。ほんとに。
 
 
ぎゅっ……。
 
 
♡)私も…臣くんだけ…。
臣)ほんと…?
♡)……(こくん)
臣)……
♡)…大好き……。
臣)……
 
 
めいっぱい抱きしめ合って、
ゆっくり視線を重ね合わせて。
 
 
これで仲直り、って
瞳で会話するように合図した後、
 
とても優しいキスを何度も繰り返した。
 
 
♡)えへへ…///
臣)……
♡)大好き…♡
臣)……///
 
 
ほんとに大好き。
泣かせてごめん。
 
 
♡)もっかいぎゅーー///
臣)ん……♡
 
 
甘えてくる♡をもう一度腕の中に包み込んだら
 
「大好きだよ」って言葉が
勝手に口からこぼれてた。
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
仲直りできたのが嬉しくて
臣くんから離れたくなくて
ずっとべったりな私。
 
臣くんは少し呆れたように笑いながら
でも嬉しそうにずっと抱っこしてくれてて…
 
 
♡)えへへ♡
 
 
大好きが胸いっぱいに広がる。
 
 
臣)なんでまたこれ着てんの。
♡)あ…、
 
 
……だって…寂しかったんだもん。
 
 
臣)ん…?
♡)////
 
 
私を甘やかすように
優しくおでこをこつんと重ねて
上目遣いしてくる臣くん。
 
 
♡)……ちゅーー///
臣)おねだり?w
♡)……(こくん)///
 
 
臣くんは仕方ねぇなって顔で
優しく笑って…
 
また私の唇に甘いキスをくれた。
 
 
♡)……あの…ね?
  渡したいものがあるんだけど…
  いーい?///
臣)…っ
 
 
臣くんの膝から降りて、
部屋からTシャツを持って来た。
 
 
喜んでくれるかな。
ドキドキドキ…
 
 
臣)なに?これ。
♡)えへへ、開けてからのお楽しみだよ♡
臣)え〜〜〜〜
 
 
開ける前から
嬉しそうにニコニコしてる臣くんが
なんだか可愛くて
私まで嬉しくなっちゃう。
 
 
臣)なんかのプレゼント?
♡)……ええと…、
 
 
そう言われると、なんだろう?
 
 
♡)日頃の感謝です♡
臣)ええ?w
♡)いつもありがとう、大好きだよ♡
  っていうプレゼントだよ♡
 
 
だって特に理由なんてないもん。
 
臣くんが欲しそうにしてたから。
 
喜んでくれるかな、って
臣くんの笑った顔が見たいな、って
 
ただそれだけだったから。
 
 
臣)……すげぇ。
♡)……///
臣)作った…の?
♡)うんっ♡
 
 
臣くんは広げたTシャツを
表裏マジマジと眺めて、驚いてる。
 
 
臣)ほんとにすげぇ。
  ……大変だった?
♡)ううんっ!
  ♧さんに教えてもらいながらね、
  あっという間に出来ちゃったんだから!
臣)…っ
♡)全然大変じゃなかったよ!
  楽しかったよ♡
 
 
そう答えた私を
なぜだか愛おしそうに見つめる臣くんに
ほっぺがぽっと熱くなった。
 
 
♡)あのね、ちゃんと隆二くんも
  了承済みなんだよー!
臣)え?
♡)お揃いでもいいよーって。
  全く同じじゃなくて
  こことかデザイン変えてあるんだけど…
臣)うん。
♡)ね、ね、着てみてーー♡
臣)うんw
 
 
臣くんは私の頭を優しくポンポンってして
Tシャツを上からかぶった。
 
 
臣)あ、すげぇ。丁度いい。
♡)わぁっ…似合うーーー♡
臣)鏡見てくる。
 
 
そう言って立ち上がった臣くんの後ろを
私も追いかけた。
 
 
臣)わーーーー
  すっげぇ。めっちゃイイ。
♡)にひひ♡
臣)すげぇカッコ良くない?
♡)うんっ♡
臣)めっちゃ嬉しい……。
♡)ほんと?
臣)うん。すげぇほんと。感動……。
♡)にひひ♡
 
 
頑張って良かった♡
 
 
臣)ほんとにありがとうな。
 
 
優しく抱きしめてくれた臣くんの腕の中、
 
 
♡)うん♡
 
 
私は幸せいっぱいに頷いた。
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
臣)何か欲しいものある?
 
 
潜り込んだベッドの中。
 
Tシャツのお礼をしたくて聞いたけど、
♡はきょとん顔。
 
 
♡)何もないよ?
臣)……
 
 
物欲ないもんねぇ…この子。
 
普段からあれ欲しいとかこれ欲しいとか
そーゆーおねだりも全くしてこないし。
 
 
臣)ん、わかった。
 
 
じゃあ俺が勝手に何か考えておこうっと。
 
 
♡)ん♡ん♡ん♡
臣)…っ、なに!w
 
 
可愛くぐりぐりしてきた。
新たな攻撃…!
 
 
♡)ん♡ん♡ん♡
臣)だからなーに!w
 
 
首元に潜り込んでくる♡を
ぎゅっとつかまえた。
 
 
♡)甘えてるのー♡
 
 
……素直だな。可愛いな///
 
 
臣)よしよし♡
♡)えへへ♡
 
 
あーーー
こんなくっつかれたら
また俺の下心がウズウズしだすじゃんかーー
 
 
でも!
俺は反省したから!
すっげぇ反省したから!!
 
しばらく我慢するって決めたんだ。
 
 
だってさ、
ヤリたいだけじゃなくて
お前が好きなだけとか言ったけど…
 
それですぐ襲ってたら真実味ないじゃん?
 
だからしばらく襲わない!
それで俺の誠意を…
 
 
♡)ねぇ……
臣)ん…?
 
 
なんだその甘ったれた声は。
 
 
♡)生理…終わったよ…?///
臣)////
 
 
ええと…ええと…
 
 
♡)んんん///
 
 
また可愛く潜り込んで来た!!
 
ええと…ええと…
 
俺は…誠意を…
 
 
♡)ダメ…?///
臣)え…っ
♡)…H…したくなぁい?///
臣)////
 
 
そ、そ、そ、そんなの…っ
 
したいに決まってんだろぉぉぉ!!!
 
 
前言撤回!!!
 
男に二言は……、ある!!
 
 
大好きな彼女に
こんな可愛く誘われて
 
断れる男がこの世にいるかぁぁぁ!!
 
 
………ぎゅ!!
 
 
臣)好き///
♡)……///
臣)すっげぇ好き///
♡)……///
 
 
………ああ、もう…
ほんと好きだよ。
 
 
臣)今から俺はお前を襲うけど
  決してヤリたいだけじゃない!
♡)は、はい…っ
臣)お前が好きだから!
♡)はい…っ
臣)すっげぇ好きだから!
♡)う、うん…///
臣)だから…
♡)……///
臣)………いい?///
♡)////
 
 
なんの確認だよ…
 
って思わず自分でつっこんだけど…
 
 
♡は小さく頷いて
俺にぎゅっとしがみついて…
 
 
♡)早く臣くんでいっぱいにして…///
 
 
そんな可愛すぎる囁きに
俺も一瞬で火がついた。
 
 
……ああ、今夜も…
加減してやれるか自信がない。
 
 
だって…もう…
大好きな気持ちがとめどなく溢れてきて
自分でもどうしようもなくなってるから。
 
 
臣)♡……、///
♡)臣くん…///
 
 
同じ温度の、互いの瞳。
 
 
熱を込めて、見つめ合って。
 
 
 
甘い甘い時間を、
ほら、二人で始めよう_____
 
 
 
 
 
 
ーendー

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  1. さゆがん より:

    結局ヤるんかーーーいwww
    私ならもうそんな怒ってなくても
    お灸をすえるためにしばらく苦しめますけどねw
    ◇ちゃんと私気が合いそう(笑)

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