[146]一人で泣かないで(◇Side)

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「おーい…、寝ちゃったの…?」
 
 
遠くで…声がする。
 
 
「…可愛いなぁ…もう……」
 
 
あたしを甘やかしてくれる、優しい声。
 
 
うとうと夢見心地の中で
あたしの身体は、ふわふわと浮いて。
 
 
まるで、雲の上にいるみたい。
 
 
安心するぬくもりに…
優しく優しく…抱きしめられてるの…。
 
 
「…好きだよ…」
 
 
ほら…
いつもそうやって…囁いてくれる。
 
 
「好きだよ…、◇……。」
 
 
あたしも…大好きなの…。
 
 
大好きだよ……
 
 
◇)…剛…典……。
 
 
あたたかい胸に…
めいっぱいしがみついて…
 
頬をすり寄せたら…
 
 
いつもあたしをなでなでしてくれる、
大きな手。
 
 
…ずっと…そばに…いてね…。
 
 
いなくなったり…しないでね…。
 
 
大好きな気持ちと…
ぎゅっと苦しい気持ちが…
 
同時に胸にこみ上げて…
 
 
◇)……っ
 
 
どう…して……
 
 
◇)は…ぁ…っ
 
 
目を開けたら、
目尻が涙で濡れてるのがわかった。
 
 
……あたし…泣いてた…?
 
 
目元を拭おうとしても…
大きな腕に抱きしめられてて、
動けない。
 
 
◇)……剛…典…?
 
 
広い胸をよじのぼって、顔を見上げると…
 
 
◇)…っ
 
 
似てるけど、違う。
 
あたしを抱きしめてるのは、優助だった。
 
 
◇)…どう…して……
 
 
寝起きで働かない頭が
少しずつ、目を覚ます。
 
 
そっか……
 
ここは、優助の家だ。
 
あたし…
泊まりに来たんだった。
 
 
……でも…
ベッドに入った記憶がない。
 
てゆーか…
なんで一緒に寝てるんだろ…。
 
 
◇)優…助…?
 
 
そっと名前を呼ぶと…
 
 
優)おはよ……。
 
 
優助はあたしをぎゅっと抱きしめて、
髪を撫でてくれた。
 
 
◇)起きてた…の…?
優)……
◇)……
優)…やっと…
  …俺の名前…呼んでくれた…。
◇)…っ
 
 
その言葉に、ハッとする。
 
 
あたし…
優助に抱きしめてもらいながら…
 
剛典の名前…呼んでたの…?
 
 
◇)ごめ…っ
優)いーよ。
 
 
ぎゅっ……
 
 
◇)…っ
 
 
ドキドキ…ドキドキ…
 
 
強く抱きしめられて、
心臓も今、目を覚ましたみたいに
音を立て始める。
 
 
優)…ちゃんと…眠れた…?
◇)……(こくん)
優)嫌な夢、見なかった…?
◇)……(こくん)
優)…良かった……。
 
 
優助は優しく囁いて
愛おしそうに、あたしの髪を撫でる。
 
 
無意識に剛典の名前を呼ぶようなあたしに…
なんでそんな…優しいの…?
 
 
優)そんな顔…すんなよ…。
◇)…っ
優)……わかってるから。
◇)……
 
 
何を…わかってるの…?
 
なんでいつもそんな…
何でも察してくれるの…?
 
 
優)いっぱい寝たけど…
  まだ…ずっとこうしてたいな…。
◇)…今…何時なの…?
優)もうすぐ昼。
◇)えっ!!
 
 
そんなに寝たの?!
 
 
◇)あたし…
  いつ寝たか…覚えてない。
優)トトロ半分も見てないよw
◇)えっ!
 
 
そんなにすぐ寝ちゃったっけ?
 
 
優)勝手に一緒に寝て…ごめん。
◇)え…っ
 
 
だって…
ここは優助の家だし…
全然いいけど…
 
 
優)ソファーで寝るか…迷ったんだけど…
◇)……
優)離したくなかった…///
 
 
少し照れながらそう言う優助。
 
 
あたしが寝てる間に
一人で葛藤してたのかなって思ったら…
なんかすごく可愛い。
 
 
優)でも…なんもしてないから…安心して。
◇)……
 
 
別に…
してくれても良かったのに…
 
なんて。
 
昨日キスを拒んだくせに、あたしは勝手だ。
 
 
優)もう…起きちゃう…?
◇)……
 
 
そう言って、少し寂しそうに
あたしのほっぺを優しく撫でる。
 
きゅんって…音が…
胸の中で聞こえた。
 
 
◇)まだ…起きない…
優)……
◇)も少し…こうしてる…///
 
 
なんだか甘えたくて
優助の胸にすり寄った。
 
 
優)ちょ…、っ……///
  そういう可愛すぎるの…
  いきなり出してくるの…やめて…///
◇)え…?
優)いや、いつでも…可愛いんだけどさ…
◇)……
優)そういう…爆弾的なの…///
◇)……
 
 
よくわかんないけど…
優助が顔を赤くしてる。
 
……可愛い。
 
 
優)必死で…いろいろ…我慢してんだから…
  …ダメ……///
 
 
ほっぺをつんつんするあたしの手を
きゅっと掴んで
優助がそう言った。
 
 
◇)……
 
 
いろいろ…我慢してるんだ…。
 
 
なんか…可愛いっていうか…愛しい。
 
胸がぎゅって…なる…。
 
 
あたし…
優助のこと…好きなのかな…?
 
 
ほんとはもっと…くっつきたいけど…
そしたら優助が爆発しちゃいそうだし…
あたしもそこまで天然でも鬼でもないから…
 
 
◇)起きるね。
 
 
そう言って、ベッドを降りた。
 
 
◇)朝ごはん、作ってあげる。
  冷蔵庫開けていい?
優)あ、大したもん入ってないけど…
◇)いいよ。
  …てゆーかもう朝ごはんじゃないか、
  お昼ごはんかw
 
 
そのまま寝室を出て
洗面所で顔を洗って、着替えて。
 
 
冷蔵庫を開けてみると、
そこそこなものは作れそうな食材。
 
 
◇)よしっ。
 
 
テキパキと準備をして料理を始めると
後ろにぬぼーっと優助が立ってた。
 
 
◇)うわっ!びっくりした!!
優)……
◇)包丁持ってる時に忍び寄るなって
  言ったでしょ!!
優)忍び寄ってないもん…
◇)……
 
 
なんか可愛いな…オイ…。
 
 
◇)寝癖で…ぽやぽやだよ…?w
 
 
あたしが背伸びして
優助の頭をわしゃわしゃすると…
 
 
ぎゅ…っ
 
 
そのまま大きな腕に、抱きしめられた。
 
 
◇)…な…に…?///
優)なんか…彼女みたい…///
◇)……///
 
 
えっと…何が…?どこが…?
 
 
優)可愛いよぅ……///
◇)……///
 
 
そんなこと言って
あたしを愛おしそうに抱きしめる優助の方が
ずっと可愛いんだけど……
 
 
優)シャワー…浴びてくるね…
◇)うん…///
 
 
なんか…寝起きだからかな…?
 
ほんとにただの年下の男の子みたいで…
 
なでなでしたくなっちゃう。
 
 
男らしかったり…可愛かったり…
 
あいつってばなかなかずるい奴だな…///
 
 
 
……
 
 

 
 
 
優)いただきまーすっ!♡
◇)……
優)めっちゃ美味しいっ!!
◇)……
優)◇、天才じゃない?!
◇)……
 
 
簡単に作ったご飯を
優助は何度も美味しい美味しいって
喜んで食べてくれて…
 
それが嬉しくないわけじゃない。
 
けど……
 
同じリアクションをされると…
どうしても重ねてしまう。
 
 
……剛典と。
 
 
優)へへ…、好きな子の手料理とか
  ほんと嬉しい…///
◇)…っ
 
 
そんな…無邪気に喜ばないでよ……
 
 
◇)こんなの…手料理ってほどじゃ…
優)でも◇が作ってくれたもん。
◇)……
優)俺にとってはすごく特別。
◇)……
 
 
優助って…
なんでこんなに真っ直ぐなのかな…。
 
思ってること…
なんでもストレートに伝えてくれるし…
素直で可愛いし…
 
あたし…
優助を好きになれたら、きっと幸せなのに。
 
 
優)今日、したいことある?
◇)え…っ
優)なんでもいいよ。
◇)……えっと……
 
 
そう言われると…
特に何もない…。
 
 
優)また海行きたいなら連れてくし。
◇)今日も?!w
優)うんw
◇)あ、でも…
  昨日見てたら泳ぎたくなっちゃったw
優)おおっ…
◇)ん?
優)じゃあ水着持ってく?
◇)……なんでニヤけてんの…
優)え?!///
  いや、だって……
  好きな子の水着見たくない男なんて
  この世にいないと思うけど……///
◇)……///
 
 
そんなこと言われたら
意識しちゃうからやだ。
 
 
◇)海は行かない。
優)えーーーっ
◇)なんか…今日はゆっくりしたいな…
優)じゃあうちでトトロの続きでも見る?
◇)あはは、うんっw
優)じゃあそうしよw
 
 
昨日は緊張してたのに…
なんだかもうすっかり居心地が良いこの家。
 
なんでかな。
優助のせいかな。
 
優助の優しいオーラが
この家にも充満してる気がする。
 
 
優)ごちそうさまでしたっ♡
 
 
優助は全部綺麗に食べてくれて…
 
あたしがキッチンで食器を洗ってると
また背後から忍び寄ってきた。
 
 
優)今は包丁持ってないからいーい?
◇)あはは、なに?w
優)んー?……ご飯ありがと。
◇)うん?
優)ほんとに美味しかった♡
◇)ありがとw
 
 
スポンジを泡立てながら返事すると
後ろからふわっと包まれた。
 
 
◇)ちょ、ちょ、ちょっ…///
優)逃げれないのをいいことにハグしてみた。
◇)……こら///
優)ほんとにありがと…♡
◇)……///
 
 
とくん…
 
とくん…
 
 
ああ…あたし…
もう好きになり始めてる気がする…。
 
 
だって…
心がこんなに…あったかくなるんだもん…。
 
 
優)よーし!じゃあトトロ見るぞー!
◇)おーーー!w
 
 
お茶を用意してソファーに座ると、
優助があたしをじっと見てて…
 
 
◇)どうしたの?
 
 
その顔を覗くと…
 
 
優)昨日と同じ感じで見たい。
 
 
少し照れたようにそう言った。
 
 
そのまま優助は下に降りて
ソファーの座面にもたれて…
 
自分の膝の間をトントン叩いて。
 
 
◇)……///
 
 
あたしがそこに座ると、
嬉しそうに後ろからハグしてきた。
 
 
優)へへ…///
◇)……///
 
 
なんか…
ほんとにカップルみたい…。
 
 
優助は昨日あたしが覚えてるところまで
巻き戻してくれて…
 
今度こそ最後まで見るぞ!って思ったのに…
 
 
ご飯食べた後だし…
 
優助のハグは気持ちいいしで…
 
 
あたしはまた…うとうと…。
 
 
優)こーら、寝るな…w
◇)…ううん……
 
 
だって…
すっごく眠たいんだもん……
 
 
優)いっぱい寝ただろw
◇)……う…ん……
 
 
そうなんだけど……
 
あったかくて…
ほわほわして…
 
 
◇)気持ち…いいんだもん……
優)……
 
 
眠くなっちゃうよ……
 
 
◇)んん…ぎゅぅ……
優)え…?
◇)ぎゅー…して……剛典……
優)…っ
 
 
そう言って、ハッとした。
 
うとうとしてた眠気も一瞬で吹き飛んだ。
 
 
◇)…っ
 
 
あたし、また間違えた。
 
今……、
 
 
◇)……ごめん…っ
優)……っ
◇)あたし…っ
 
 
なんで…?
 
なんで…剛典が……
 
 
……ダメだ、もう。
 
 
◇)ごめん、あたし帰る。
優)は?!なんで!!!
 
 
立ち上がったあたしの手を
優助がぎゅっと握った。
 
そのままグイッと引き寄せられて、
もう一度優助の膝の間に座らされたけど…
 
 
◇)…っ
 
 
なんか…
優助の顔を見れなくて、俯いた。
 
 
だって…あたし…最低だよ…。
 
 
優)帰んないでよ……
◇)……
優)まだ一緒にいたい。
◇)……
 
 
こんな最低な女と…?
 
 
優)そんな顔、しないで……
 
 
優助の優しい手のひらは
俯いてるあたしの頭を、優しく撫でる。
 
 
◇)なんで…そんな…優しいの…っ
 
 
声が…震える…。
 
 
優)俺…別に…優しくなんかないよ…。
◇)…っ
 
 
嘘だ…
 
すっごくすっごく優しいもん……
 
 
優)どうやったら…
  ◇の中からあいつを追い出せるかなって…
◇)…っ
優)どうやったら…
  俺のこと好きになってくれるかなって…
◇)……
優)そんなことばっかり考えてる。
◇)……
優)……
◇)……
優)比べればいいって言ったのは俺だもん。
  いいよ。
◇)……っ
 
 
でも…
 
あたしが良くない。
 
そんな風に優助のこと、傷つけたくない。
 
 
◇)あた…し…っ
優)……
◇)悔しいけど……
優)……
◇)…いくら考えないようにしても……
  どうしても…剛典が…出てきて…
優)……
◇)ちゃんと…優助のこと…
  見たいって…思ってるのに…っ
優)……
 
 
そんなにすぐには
やっぱり無理みたいで…
 
どれだけ剛典が好きだったか
思い知らされる。
 
 
◇)優助のこと…っ
  何回も好きって思ったし…
  ちゃんと好きになれたらって…
  そう思ったけど…っ
優)え…っ
◇)でも…っ
  剛典のこと好きな気持ちが…
  全然…消えないの…っ
優)……
 
 
なんで…こんなに…消えないの…?
 
自分でも…わかんないよ…っ
 
 
◇)…っ
 
 
悔しくて…目が滲む…。
 
 
こんなに…
優助といて癒されて、楽しくて…
好きって思う気持ちはあるのに…
 
昨夜、優助とキスできなかったあたしが
きっと今の、ほんとの気持ち。
 
 
優)そんなん…わかってるよ…。
◇)…っ
 
 
優助は…
あたしの涙を隠すように、
あたしを胸元に抱き寄せた。
 
 
優)あいつと別れたわけじゃないことも…
  まだ好きな気持ちがあることも
  全部、わかってる。
◇)…っ
優)でも……
◇)……
優)俺のことだって…
  少しでも好きって
  思ってくれる気持ちがあるなら…
  俺…絶対諦めない。
◇)…っ
 
 
ゆっくり腕をほどいた優助は…
 
力強い言葉とは裏腹に、
すごく優しい顔で、あたしのほっぺを包んだ。
 
 
優)俺さ、なんか…
  運命感じたんだよね…。
◇)え…?
優)信じてもらえなくてもいいんだけど…
  俺、ほんとにナンパとかしたことなくて。
◇)…っ
優)でも…あの日…、
  隣の部屋からすごい歌が聞こえてきて…w
◇)……///
優)マジでどんなジャイ子だよって思って
  一人でツボってたんだけど…
◇)ちょっと!!///
優)あはははっw
 
 
確かにあたしの歌はひどいけど!!
 
 
優)…でも…さ、
  トイレの帰りにチラッと覗いたら…
  さっきまで元気だったジャイ子が…
  テーブルに突っ伏して、元気なくて…。
◇)……
優)それがすっげぇ気になって。
◇)……
優)…ノックしてみたら…
  顔上げたその子が、
  めちゃめちゃ可愛くて。
◇)……可愛く…ないもん…。
優)なんでw
  ◇は可愛いよ。
◇)……///
 
 
そんな優しく…なでなでしないで…
 
 
優)変な奴って思われても
  ナンパって思われても
  もういいや、って思って。
  それでもいいから話してみたいって
  思ったんだ。
◇)……
 
 
そう…だったの…?
 
 
優)人の部屋に入るとか初めてだったから
  緊張したけど…
  話してみたらすげぇノリいいし
  良い子だし…
◇)……
優)だから余計に、
  さっきまでなんで元気なかったんだろって
  心配になって…
◇)……
 
 
初対面の人間をそんな風に心配するなんて…
優しすぎだよ…。
 
 
優)彼氏いるってわかった時は
  やっぱりショックだったし…
  フリーだったら俺ガンガンいったのにって
  思ったけど…
◇)……
優)でも、このタイミングで会えたのも
  運命なんじゃないかなって思った。
◇)…っ
優)泣いてる◇を助けてやれって…
  神様が言ってるのかなーって…。
◇)……
 
 
神様が…
このタイミングで…
 
あたしに優助を
出会わせてくれたって…こと…?
 
 
優)俺…っ
 
 
ぎゅ…っ
 
 
優)絶対絶対、大事にするもん…っ
◇)…っ
 
 
その気持ちは…
あたしを抱きしめる腕の強さからも…
伝わってくる。
 
 
◇)あり…がとう…。
優)…っ
◇)優助の気持ちは…すごく嬉しいの…。
優)……
◇)でも…このまま一緒にいたら…
  甘えてダメになっちゃいそうだから…
優)……
◇)……
優)俺がそれでいいって言っても…?
◇)…うん、ダメ…。
優)……
 
 
優助が真剣に想ってくれてる分、
あたしも失礼なことしたくない。
 
 
◇)あたし今、剛典と距離置いてるの。
優)……うん。
◇)戻る気持ちになれなくて…
  一旦離れて…自分と向き合いたくて…。
優)うん…。
◇)距離を置いても、
  戻る気持ちになれるかわからないけど…
  「別れる」って決断をしなかったのは
  まだ好きな気持ちが…あるからで…
優)うん…。
 
 
その気持ちがどっちに向かうのかは
自分でもわからない。
 
 
◇)優助のこと好きって思ったのも
  本当だけど…
  その気持ちも…、
  まだ自分でハッキリしないの…。
優)…っ
◇)でも…
  剛典とは距離置いてるのに
  優助とこうして一緒にいたら…
  なんか…違う気がして…
 
 
どんどん流されて…
優助のこと…好きになっちゃいそう…
 
 
◇)だから…
  優助とも、会わない。
優)え…っ
 
 
じゃないと、
自分のちゃんとした気持ちが
わからなくなりそう…。
 
 
優)そんなんやだ!!!
◇)…っ
 
 
…やだって…言われても…
 
 
優)なんでそうなんの!絶対やだ!!
◇)…だって……
優)やだ!!
◇)…だって!!
優)…っ
◇)一緒にいたら…
  離れたくなくなっちゃうんだもん!!
優)え…っ
◇)…っ
優)////
 
 
思わずこぼれたあたしの本音に
優助は照れたように口元を隠した。
 
 
優)また…爆弾…、ずるい…///
◇)……っ
 
 
だって…
ほんとにそうなんだもん…
 
 
優)離れたくなくなっちゃうって…
  俺と…でしょ…?
◇)……(こくん)///
優)////
 
 
……ぎゅっ。
 
 
優)じゃあ…離れなきゃ…いいのに…///
◇)……っ
 
 
だって…
こうして抱きしめられたら…
 
どんどん気持ちが溶かされていって…
 
それなのに、
あたしの中の剛典は消えないんだよ…?
 
 
◇)そんなずるい自分、あたしが嫌…。
優)…っ
◇)…優助とも…会わない…。
優)そんなん俺不利じゃん!!
◇)え…?
 
 
今度は優助がほっぺを膨らませて抗議する。
 
 
優)だって…
  俺が◇といたのなんてたった二日で…
  でもあいつはずっと◇と付き合ってたから
  一緒にいた時間も思い出も
  俺よりめちゃめちゃあるんだよ?!
◇)…っ
優)そんな状態で、どっちとも会わないって…
  そんなの自然と思い出すのは
  あいつの方が多くなって
  やっぱりあいつが好きって
  なっちゃうじゃん!
◇)……
 
 
……確かに…。
 
 
優)そんな不利な条件、飲めない!!
◇)…っ
優)俺は、◇に会いたいから会いに行くし
  連絡もする!!
  嫌なら無視していいよ。
◇)…っ
優)でも、嫌じゃないなら会って。
◇)……
 
 
剛典みたいなこと…言ってる…。
 
 
優)俺、本気だから。
◇)…っ
優)本気で、◇のこと、好きだから。
◇)……
 
 
それはもう…
痛いくらいに伝わってるよ。
 
 
◇)ありがとう…。
優)……
◇)じゃあ…今日は…帰るね…?
優)…っ
 
 
優助は慌てたように送るって言ってくれたけど
 
電車で帰るって言い張るあたしに折れて
せめて駅まで送らせてって
一緒に家を出た。
 
 
昨日と同じように手を繋いでくる優助が
今日合コン行くの?って
心配そうに聞いてくるから…
 
行かないよって答えたら
ほっとしたように子犬みたいな顔で笑った。
 
 
 
◇)…えっと…ありがと。
優)……
 
 
駅の構内。
改札はすぐそこで。
 
 
ほんとはまだ一緒にいたいあたしは…
繋いでる手を離したくなくて…
 
それは、優助も一緒。
 
握ってる手にギュッと
力が入ったのがわかった。
 
 
◇)……
優)……
 
 
隣を見上げると
優助が寂しそうな顔をしてて
なんだか胸が痛む…。
 
 
◇)……送ってくれてありがとう。
 
 
優助が持ってくれてた
お泊まり用のバッグを受け取って、
繋いでる方の手を離そうとしたら…
 
 
……グイッ
 
 
大きな胸に、抱き寄せられた。
 
 
◇)優…助…?///
 
 
ここ…駅だよ…?
 
 
◇)みんな、見てるよ…///
優)……一人で…泣くなよ…?
◇)…っ
優)一人で泣くくらいなら
  俺のとこに来て。約束して。
◇)……
 
 
最後まであたしの心配してる…
優しすぎ……。
 
 
優)絶対…一人で泣かないで。
◇)……うん、…わかった…。
 
 
ありがとう…。
 
 
優)……好きだよ。
◇)…っ
 
 
優しい言葉と一緒に
不意打ちのキスが、おでこに落ちてきた。
 
 
◇)えっと…///
優)じゃあ…、気をつけて…
◇)……(こくん)///
 
 
名残惜しそうにあたしを離した優助に
背中を押されて、
あたしは改札を抜けた。
 
 
なんか…こんなの…
遠距離のカップルみたい…。
 
 
とくん…
 
とくん…
 
 
見えなくなるギリギリで振り返ると
優しく笑って手を振る優助が見えた。
 
 
◇)……
 
 
……好き。
 
 
そう思う気持ちがあるから…
 
ちゃんとしよう…。
 
 
ちゃんと自分の気持ちと向き合って…
整理して…
 
後悔しない答えを出すんだ。
 
 
そう決めて、
電車に揺られながら
優助と過ごしたこの二日間を
思い返して…
 
 
帰ってきた、自分のマンション。
 
 
ポストを開けると…
 
 
◇)…っ
 
 
え…?
 
 
ダイレクトメールの上から
一輪の花が床に落ちた。
 
 
拾い上げるとそれは、
小さな向日葵で。
 
 
◇)なん…で……
 
 
手に取った郵便物を見てみると、
その隙間に挟まってる白いメモ。
 
 
◇)…っ
 
 
ゆっくり開いてみると、
それは剛典からの手紙だった。
 
 
『どの花にしようか迷ったんだけど
 一番最初に目に入ったこれが
 一番◇のイメージだったから。
 
 昨日はオムレツのシーンだったんだけど
 ちゃんと綺麗に作れたよ。
 (一回失敗しちゃったけど)
 ◇と一緒に練習したから。ありがとう。
 
 今日も撮影行ってきます。』
 
 
◇)…っ
 
 
これ…
 
いつ…届けてくれたの…?
 
昨日…かな…?
 
 
忙しいのに…わざわざ来てくれたの…?
お花…届けに…?
 
 
……っ
 
 
◇)…………ばか…っ
 
 
気付いたら…
涙がポタポタこぼれてて…
 
 
◇)ふ…ぇ…っ
 
 
……こんなの…ずるい…
 
なんなの…っ
 
 
◇)ふぇぇ……っ
 
 
なんでLINEじゃないの。
手紙なの。
 
 
__可愛い向日葵。
 
 
向日葵の花言葉くらい、あたしでも知ってる。
 
 
◇)ぐす…っ
 
 
なんでこんなに…
一気に気持ちを持ってかれるの…。
 
 
もう…
 
わかんないよ……。
 
 
 
 
ーendー

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コメント

  1. さゆれ より:

    えー( ̄◇ ̄;)
    ♢ちゃん優助に惹かれてるんですか(T . T)
    ♢ちゃんが岩ちゃんと付き合ってなくて、優助とのstoryなら、キュンキュンして読めたのに、、、。
    岩ちゃんが可哀想でshortstoryに逃げてます。そっちで癒されてます(T . T)

    • マイコ より:

      ああああ。゚(゚^∀^゚)゚。
      だから最近、岩ちゃんのショートストーリーがずっとランキング入りしてるのだろうか…
      みんな逃げないでーー!w

  2. さゆがん より:

    タカノリーーーなんかずるい笑
    タカノリファンだけど完全に優助派になってます(笑)
    でも元どおりになったらまた喜ぶんだろうな。。。単細胞です♡笑

  3. まおみ より:

    剛典!!!最近LINEとか電話がないと思ったら、なんと向日葵と手紙そりゃ♢ちゃんも剛典のこと忘れられませんよね笑

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