[1]ドタキャンの夜(岩ちゃんSide)

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岩)えっ!!
  今日だけは仕事入れないでって
  言ったじゃん!!
M)ほんっとごめん!!
岩)…っ


今日は土曜日。
ずっと楽しみにしてた
◇とのフレンチデート。


岩)どうにもなんないの?
M)ほんと今日じゃないと無理で…
岩)……


仕事を夕方で終えて
店に向かうはずだったのに…
夜に一本仕事が入って

どうやってもデートには行けない。


岩)……
M)ほんっとごめん!!
岩)うん、大丈夫、わかったよ。
M)…っ


そんな我儘言える立場じゃないって
わかってる。

仕事があるのはありがたいことで
俺はとにかく全力でやるって決めたんだ。

でも…
やっぱりどうしても今日は
◇に会いたかった。

来週からツアーが始まるし
全然ゆっくり会えないし

今日くらい…
ゆっくり◇とデートしたかったんだ。


プルルルル…、プルッ


◇『もしもし??』
岩『あ、◇?』
◇『うんっ!どうしたの?』
岩『……』


すげぇ明るい声。

きっとこの時間だし
もう用意しちゃってたよな…。

ああ…すげぇ言いにくい…


岩『ごめん…、今日……』
◇『あ…っ、もしかして…』
岩『……』
◇『仕事入っちゃった?』
岩『うん…ほんとごめん。』
◇『いいよいいよ!
  仕事なら仕方ないもん!』
岩『…っ』
◇『あたしもさ、
  急に仕事入っちゃう時とか
  たまにあるし!
  どうしようもないもんね。』
岩『……ほんとにごめん。』
◇『全然いいよ、気にしないで。
  また今度にしよ?』
岩『…っ』
◇『仕事…頑張ってねっ!!』
岩『……ん。』
◇『じゃあまた…』
岩『ほんとにごめん…ありがとう。』

ピッ


岩)はぁぁぁ……


あああ〜〜!!もう!!!
すっげぇ悔しい。


それから俺は
店にもキャンセルの電話を入れて
仕事に向かった。


夜の仕事が終わったのは23時半。


ガッカリ感を拭えないまま
家に帰ってくると

この間の女の子から電話が来た。


岩『もしもし…』
女『あ、岩ちゃん…?』
岩『なに?』
女『えっと…もうお仕事終わった?』
岩『うん。』
女『今…近くにいたんだけど…
  よかったら遊びに行ってもいい?』
岩『……来たいなら来れば?』
女『わ、よかった♡じゃあ今から行くね?』
岩『ん。』

ピッ


岩)はぁ…


ボスッッ


携帯をソファーに投げて
シャワーに入った。


◇…今日何してたんだろ…

臣さん…仲直り出来たかな…

福岡行く前に…
俺だって◇に会いたかった。

はぁ…ついてないな。


ピンポーンーー


ガチャッ


女)あっ…//
岩)……


今更ハダカ見て照れる?


女)こんな時間に…ごめんね?//


俺はバスタオルをソファーにかけた。


岩)おいでよ。
女)えっ……


ドサッ


ろくな会話もせずに
ベッドに押し倒した。


女)えっ、ちょっと待って!//


なんだよ…


女)あたし…シャワーしてないし…//
岩)いいよそんなん…
女)でもっ…
岩)こんな可愛くしてんだからいいじゃん。
女)////
岩)このまま脱がせろよ。
女)////


メイクも服も綺麗にキメて
そのつもりで来たんだろ?


女)や、待って…、あっ…//
岩)もう黙れって……
女)んん…っ//


ああ…なんか今日はむしゃくしゃする。


女)はぁ…っ、岩ちゃ…っ//
岩)……


俺…何してんだろ…


女)んっ、…は…ぁっ…//


本当は今頃
◇といるはずだったのに…


女)んんっ、あ、…やぁ…っ//


◇とデートして
そのあと二人で◇の家に行って…


女)やっ、あん…っ、


ああ…会いたい。


女)はぁ…っ、岩ちゃん…っ//


なんで俺…
こんな女と…こんなことしてんだろ…


「怒るよりも悲しいだろうな……」


岩)……


「泣いちゃうと思う……」


岩)……


泣かなくていい…
こんな女のこと
なんとも思ってないんだから。

こんなこと…何の意味もなくて…


「そういう感覚で…女遊びしてるの?」

「意味わかんないっ!!
 全然意味わかんないよっ!!!」


岩)…っ


♡ちゃんを泣かせたあの日から
ずっとモヤモヤしてる。


「すごく悲しいのっ…」


そう言って…ポロポロ泣いてた。


◇も…あんな風に泣くんだろうか…


岩)…っ


自分のことと重なって
♡ちゃんにあんな風に当たって
ほんと俺…最低だった。


「そんな男好きにならないからいいけど!」

「あ…でも…
 
 好きになっちゃってから
 知るってこともあるんだよね。」


◇が…
俺のことを想ってくれてるのは
なんとなくもうわかってる。

いや、なんとなくじゃない…
もう……


「怒るよりも悲しいだろうな……」

「泣いちゃうと思う……」


岩)……


罪悪感なんて感じないって
思ってたのに…

こんなこと…何の意味もないって…


女)あぁんっ、岩ちゃぁんっ///
岩)ああっ!くそっっ!!


ダンッッ!!


女)…っ
岩)はぁ…っ
女)岩…ちゃん…?
岩)ごめん、無理。
女)え…?


ベッドを殴って
そのまま彼女から離れた。


岩)帰って。
女)…っ
岩)はい…


脱がせた服を放り投げた。


女)どう…して…?
岩)……


そんなの俺が聞きたい。


女)やだ…、岩ちゃん…っ


ぎゅっ…


後ろから抱きつかれた。


岩)悪いけど帰って。
女)したくなくなったなら…
  それでもいいよ…?
岩)は…?
女)あたし…
岩)したくて来たんでしょ?
  だったらもう意味ないじゃん。
  帰んなよ。
女)…っ


イライラしてるから
言い方も乱暴になる。


女)あたし…そんなつもりじゃ…


そんなつもりじゃなかったら
なんなんだよ。

そんなバッチリメイクしてきて
誘うような格好して

ヤリたかっただけだろ。


女)何もしなくていいから…
  一緒にいて…いい?
岩)はっ、何それ…w
女)…っ
岩)一人になりたいから帰って。
女)……


彼女は泣きそうになりながら
服を着始めた。


はぁ…
なんでこんな…むしゃくしゃすんだろ。


別に今まで通り
ヤるだけヤればいいのに。


女)疲れてたのに…
  押しかけてごめんね?
岩)別に。
女)あたし…ずっと岩ちゃんに会いたくて…
  先週…偶然会えたから
  嬉しくなっちゃって…
岩)……
女)また会いたくなっちゃったの…
岩)……


どうでもいいから早く帰れよ。


女)こっち…見てよ……
岩)……
女)岩ちゃん…あたしのこと…
  どう思ってるの…?
岩)……


どうって…何だよそれ。


女)あたし…今一緒に仕事してる
  〇〇さんに…
  今度食事に誘われてるの。
岩)……


〇〇って…確かジャニーズの…


女)どう断ったらいいかなって…
岩)行けばいいじゃんw
  なんで断んの?
女)…っ
岩)服着たなら帰って。
女)…っ


ドンッッ


女)どうして…そんなこと言うの?
岩)……


ああ…面倒臭い…泣いてる…


女)行くわけないよっ!!
岩)……
女)本当は…あたしが岩ちゃんのこと…
  好きって知ってるくせに…!
岩)……


知ってるよ。
だから何。


女)あたしのこと…
  彼女にしてくれる気は…ないの?


背中で震える声に
顔を見ずに答えた。


岩)ないよ。
  「好きだ」とか「付き合おう」とか
  俺、言ってないよね?
女)…っ
岩)離して。
女)でも…っ、可愛いって…
  いっぱい…言ってくれた…
岩)だから?
女)…っ
岩)可愛いから可愛いって
  言ったんだよ。
女)……
岩)それだけ。


振り返って頭に手を置くと
その手を振り払われた。


女)もう…いいよっ!!
岩)……


わかっててこういう関係続けてたのは
そっちだろ。

勝手な期待されても困る。


女)もう…いいっ!!!


泣きながら荷物を持って
玄関に向かった。


女)ばかっっ!!!
  最低っっ!!!


バタン!!!


岩)……


はぁ…。


鍵を閉めに向かう。


ガチャン。


そしてそのまま
ベッドに身を投げた。


岩)はぁぁぁ……


最低だって…
んなことわかってるよ。

みんな当たり前にやってることでも
正しいわけじゃない。

そんなのはあの日
♡ちゃんの涙を見てよくわかった。


「ばかっっ!!!最低っっ!!!」


あんな子が泣いたって
自己責任だろって思うくらい
正直俺は冷たいけど


「泣いちゃうと思う……」


◇が泣くのだけは…絶対に嫌だ。

あの時の◇の悲しそうな声と
悲しそうな表情が

頭から離れないんだ。


ほんとは…どこかでわかってたはずなのに…
俺は気付かないフリをしてたんだろうか。

プライベートもろくになくて
恋愛してる暇もなくて
でも馬鹿みたいな女はたくさん寄ってくる。

だったらもう、それでいいやって。

適当に遊んで
適当に発散して
それで仕事を頑張れるなら
それでいいやって。

一番大事なのは仕事だから。


でも…
◇に出会って…


「なんでそこまで飲むの?バカなの?」

「何すんの!!このチャラ男!!
 ふざけんな!!」


言いたいことズバズバ言うし
頭突き食らわせてくるし


俺が三代目だってわかっても
全然態度も変わんなくて

俺のどこが王子様なんだって
爆笑するような女。


あいつの前では
いつもカッコつかなくて


「チャラ男は危険なんだよ!!
 近寄んな!!」


他の女とは全然反応が違って

最初は俺のこと
全然意識してくれなくて…

憎まれ口ばっかり叩かれて
何回変態呼ばわりされたかわかんない。


でも…


「美味しいねっ♡」

「やったーーー♡♡剛典ありがとっ!♡♡」


たまに見せるとびきりの笑顔が
すごく可愛くて…


「ばかっ!//」

「離してぇっっ///」


照れてる時も顔を真っ赤にさせてんのが
死ぬほど可愛くて…


◇といると…素でいられるのが
すげぇ居心地良くて…


「剛典は剛典でしょ!!

 それにあたしだって…剛典が三代目だから
 好きになったわけじゃないし…」


◇はいつも
ほんとの俺を見てくれてる気がして
一緒にいると癒される。


「剛典が…触らないなら…
 あたしが…触っても…いい?//」

「ごめんじゃ…ないもん…//
 すっごく嬉しくて…死にそう…///」


素直に甘えてくれると
尚更愛しくなって

俺はいつでもあいつを
すぐ抱きしめたくなる。


岩)……


ああ…
なんで俺…こんなにあいつのことばっか
考えてんだろ……


ああ…
なんで俺…いつからこんなに
あいつのこと好きになったんだろ……


岩)◇……



会いたい……


お前に会いたいよ……




ーendー

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