【125】新人の罠

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臣)お前さ、今週どんなカンジ??
♡)え??
 
 
一緒に朝ごはんを食べてたら
ふと臣くんに聞かれた。
 
 
♡)どんな…カンジとは…
臣)早く帰れる日とかあんの?
♡)うん。昨日練習したし
  あとは特に予定ないよー!
臣)お、練習どうだった?
♡)昨日ね、初めて
  歌とダンス合わせたんだけど
  両方やるのって難しい!
臣)ははははw
♡)臣くんすごいなぁって思ったよ!
臣)どーもw
♡)もちょっと練習しなくっちゃー
臣)頑張れ〜〜
♡)うん!
臣)あ、でさ、早く帰れんなら飯行こ。
♡)えっ!!
臣)今週。
♡)デート?!!
臣)うんw
♡)わーーーーっ♡♡
  行くっ!!
臣)ふはっw
♡)え、いつ?いつ?
臣)明日とかは?
♡)大丈夫だよっ!!
臣)じゃあ明日行こw
♡)うんっ♡♡
臣)決まり〜〜
♡)きゃはーー♡♡
臣)きゃはーってw
♡)どこ行くーー?わくわくっ
臣)何食べたい?
♡)何でも食べたい〜〜♡
臣)はい、出たーw
♡)だって〜〜
  あ、じゃあ臣くんと初デートしたお店!
臣)えっw
♡)あそこがいいっ♡
臣)いいけど…w
 
 
わぁわぁ♡ 楽しみーっ♡
 
初デート以来行ってないし
あそこはちょっと高いけど、今回は…
 
 
♡)私がご馳走するからっ!♡
臣)はい??何でやねんw
♡)モデルのお給料入るからー♡
臣)それはお前の好きに使いなさい。
♡)なんでーーっ!!
臣)なんでも。
♡)だって…臣くんいっつも
  いろいろご馳走してくれるから
  たまには恩返ししたいんだもん…。
臣)恩返しって…お前は鶴か!w
♡)ぷぅ…
臣)その気持ちだけで嬉しいから。
♡)……。
臣)お前が稼いだお金は、お前が使いなさい。
♡)臣くんが稼いだお金はぁ?
臣)ぜーーんぶお前に貢いで
  一文無しになるw
♡)私、悪い女だ〜〜〜ww
臣)惚れた弱みです。
♡)あはははっw
臣)でも…
♡)ん?
臣)ほんとに俺が貧乏になったらどうする?w
♡)どうもしないよ?
臣)へ?
♡)貧乏になったって
  生きていけないことないもんっ♪
  二人でがんばるのー♡
臣)ふっw
♡)へへー♡
臣)お前となら確かにやってけそうw
♡)でしょっ♡
 
 
臣くんに何かあった時は
私が臣くんを守るんだもんっ♡
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
S)臣〜〜
  こんな仕事来てるよー。
臣)へ??
S)はい。
臣)……登坂広臣のプライベート特集?!
  何これw
隆)なになに、見して見して〜〜w
臣)津田さんの企画?!
隆)あ、ほんとだ。
  なになに…
臣)……。
隆)三代目の登坂広臣じゃなく、
  完全OFFの登坂広臣…
  「もしも彼女がいたら」
  そんなプライベートな瞬間と素顔を
  たっぷり15ページでお届け…だって!
  すっげーー!!
臣)15ページ?!
隆)大特集じゃんw
臣)マジかよ…、
隆)え、え、やりなよw
S)これ目ぇ通したら
  一回連絡欲しいってーー
臣)え、津田さん?!
S)うん。
臣)…じゃあかけてみる。
 
 
津田さんって…
こんな企画まで考えたりすんのかな?
びっくりした。
 
でも…なんでこんな…俺の特集??
プライベートって…
 
 
臣『あ、もしもし、お疲れさまです。
  登坂です。』
津『ああ!お疲れ!連絡ありがとう!』
臣『いえ、今大丈夫ですか?』
津『大丈夫大丈夫!見てくれた?』
臣『はい。』
津『引き受けてね〜w
  もう俺ひらめいちゃって
  〇〇社の社長に頼んだんだから〜♪』
臣『え??』
津『この特集組んでくれ〜〜って!
  熱く語ったらあっさりOK出たよ〜w』
臣『え、え、なんで…』
 
 
なんで津田さんがそこまでして…
 
 
津『今ね、姫の方にも打診中だからw』
臣『え??』
津『二人揃わないと意味ないし。』
臣『姫って…』
津『♡ちゃん。』
臣『はい?!!!』
津『これは登坂くんと♡ちゃんの
  企画なんだよ。
  まぁメインはもちろん登坂くんだけど。』
臣『え、え、ちょっと待ってください!
  なんで…』
津『この間の登坂くんの表情見て
  思ったんだよね〜〜〜
  こんなイイ顔をお蔵入りにしとくのは
  勿体なさすぎる!!って。』
臣『え…っ』
津『登坂くんのこんな表情を
  見てみたいファンなんて
  たっくさんいるだろうな〜って。』
臣『…っ』
津『それくらい、イイ顔してたからさ。
  だから二人一緒に撮りたいわけ!♪』
臣『…っ』
 
 
でも…
 
「もしも彼女がいたら」って企画で
あいつはほんとの彼女なわけだし…
 
 
津『事務所のOKはもらってるよーんw』
臣『えっ!!』
津『あとは姫の返事待ちだから
  よろしくね!!じゃ!!』
臣『あ…っ』
 
 
切れた。
 
 
隆)津田さん、なんて?
臣)これ…相手役、♡だって。
隆)え…?
  ………えええええ!!!
臣)OKしたの?
S)うん。臣メインだっていうし
  面白そうな企画だし
  ツアー前の宣伝にもなるし。
隆)え〜〜!すげ〜〜!w
臣)…なんか…びっくり。
隆)いいじゃんいいじゃんw
  面白そう〜〜
臣)またあいつと仕事すんのか…。
隆)きっと津田さん、あの日のデレ臣見て
  ひらめいちゃったんだねw
臣)はぁ?!デ、デレてねーし!///
隆)デレデレだったよ〜〜
  こーんな感じ。
臣)変な顔。
隆)臣の真似だし!!
臣)そんな顔してねーし!
隆)してたし!
臣)してねー!
S)はいはい、とにかくそーゆーことだから
  臣よろしくねーw
臣)…うん。
 
 
どんな撮影になるんだろ…。
 
 
「彼女と過ごす日常の様々な
 OFFシーンを撮影予定」…かぁ。
 
 
日常シーンって…
なんだ??
 
 
まさか二人でイチャついてるところ
撮るわけじゃあるまいし…
 
いや、まさか…!!
anan的なきわどいショットとか?!
 
…って、んなわけねーか。
 
 
つーかそんな仕事
ぜってぇあいつにさせねぇし!!
 
…って、相手は俺か。
じゃあいいのか。
 
いや、よくねーだろ!!
 
 
え?
 
ん??
 
 
なんかわけわかんなくなってきた。
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
K)そういえば佐伯さんから電話きてさ、
  土曜日、事務所行くことになった。
♡)え??
K)JさんとTも一緒だって〜〜
  あんたは?
♡)私、土曜日はバイトだよーー
K)あ、歌の?
♡)うん。
K)そうなんだ。
  じゃあ3人かぁ〜なんだろ。
♡)……。
 
 
Kちゃんたちにも
また撮影お願いしたいって言ってたから
その件かなぁ?
 
 
K)まだちょっと時間あるから寝るーー
♡)えっw
K)10分したら起こして〜〜
♡)はーいw
 
 
ランチから少し早めに帰ってくると
Kちゃんはそのままデスクに突っ伏して
寝ちゃった。
 
 
M)あ、先輩たちもう戻ってたー♡
♡)あ、おかえりー♡
海)戻りましたぁっ!
 
 
これからの仕事のこととか
いろいろ話したいからって言って
二人でランチに行ってた
Mちゃんと海璃ちゃんも戻ってきた。
 
 
♡)いろいろ話せたぁ?
海)はいっ♡ 私頑張りますっ♡
♡)うん♡
 
 
よし!
私も午後の準備しちゃおーっと♪
 
 
紅)なぁ、姫ってどの人?
蒼)は?
M)あ!双子だーー!!
紅)どーもw
M)揃ってるところ初めて見た〜w
海)お疲れさまー
紅)おう、お疲れw
  頑張ってる?
海)うん!紅くんはもう慣れたー?
紅)まーねー
M)ここの3人は仲良しなの??
海)はい、ずっと研修一緒だったので。
紅)なぁ、蒼、姫ってどの人。
蒼)何それ。知らない。
紅)……。
 
 
トントン。
 
 
♡)え??
紅)あ、この人だ。
♡)???
 
 
肩を叩かれて振り向くと
男の子がニヤッと笑った。
 
 
紅)あなたでしょ、「姫」って。
♡)え??
紅)ぜってぇそうだw
♡)???
蒼)何それ。
紅)この会社で一番可愛い人誰って聞いたら
  みんな「姫」って言うから
  見てみたかったんだよねーw
蒼)へぇ。
紅)……。
 
 
男の子が屈んで
私の顔を覗き込んできた。
 
 
紅)初めまして。
  蒼と双子の紅でーす♡
♡)紅くん…?
紅)ほんと可愛い♡
  彼氏いるんですかー?
♡)えっ
紅)いない?募集中?
M)ちょっとあんたーー!!
紅)え?
M)何なの!馴れ馴れしい!
  先輩にはラブラブな彼氏がいるの!
紅)…へぇ…w
♡)……。
紅)俄然燃えるw
♡)は??
紅)よろしくねー、姫さん♡
♡)…っ
 
 
紅くんがいきなり耳を触ってきた。
 
 
♡)触らないで!
紅)あははは、怒っちゃった?w
  ガード固いんだーーー
蒼)ちょっと、紅。
  うちの先輩なんだからやめろ。
紅)はーいはい。
  じゃあまたな。
蒼)……。
 
 
紅くんは蒼くんの背中をトンと叩いて
自分の部署に戻っていった。
 
 
M)何あいつーー!!
  チャラッ!!!
  ……って、ごめん。双子だった。
蒼)いえ…w
  まぁ、あいつはいつもあんなんなんで。
  ♡さん、すみませんでした。
♡)あ、ううん…、
 
 
双子なのに蒼くんとは
全然雰囲気が違うんだなぁ…
 
 
蒼)でも♡さん…、彼氏いたんですねーー
♡)え?
蒼)いや、なんでも。
♡)???
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
S)そうそう、TAKUROさんが
  レコーディングに立ち会いたいって
  言ってくれてるんだよーー
臣隆)へ???
S)ん??
臣隆)タクローさんって??
S)GLAYのTAKUROさん。
臣隆)…ええええ!!!!
S)カバーの依頼したら
  そんな連絡来てたよーー
隆)え、え、え、嘘っ!!
臣)TAKUROさん、
  わざわざ来てくれんの?!
S)こっちのスタジオに来てもいいよー
  って言ってくれてるー
隆)え、こっちって…
S)普段GLAYが使ってるとこ。
臣隆)ええ〜〜!!
隆)や〜べぇ!!
臣)マジかよ!!
隆)どーする臣!!
臣)おわ〜〜〜〜
隆)でもTAKUROさんの前で
  GLAYの歌、録るとか…
臣)ヤバいねーーww
隆)緊張するww
 
 
でも…
いろいろ勉強になりそうだし
すげぇありがたいなーー
 
 
S)結局どれにするか決めたのー?
隆)『口唇』か『誘惑』!!
臣)アンケートはダントツで
  『HOWEVER』だけどねw
S)ああ…そりゃそうだろうねぇーw
隆)アンケートは結局さー
  メジャーなところに落ち着くんだよねー
臣)そうそう。
  定番すぎて面白くない。
S)まぁまだ集計途中だからねーー
臣)絶対最後まで『HOWEVER』だよ。
隆)だよね。
  でさ、全体的にバラードが
  多くなっちゃいそうだから
  アップテンポのも入れたいねってことで
  この2つに絞ったの。
S)なるほどーーー
 
 
この間から増えてるアンケート結果に
目を通す。
 
 
臣)ファンモンとかも来てる。
隆)え、見せて見せてw
  …ほんとだーー!
臣)ラップを俺らに歌えとw
隆)あはははw
臣)やっちゃいますか。
隆)いや、ないでしょ。
臣)ですよねーーw
隆)Greeeenも来てるんだねーー
臣)なんかさ、Greeeenって声っていうか
  響きが独特だから
  俺ら歌ったらすっげー普通に
  なっちゃいそうじゃない?
隆)わかる。残念ながら。
臣)ナシだなーー
隆)曲は普通に好きなんだけどね。
臣)うん。
隆)あ、俺これも好きだよー
臣)100万回の「I love you」?
隆)うん。
臣)俺も好きー
隆)でもキー高いよねw
臣)あとで試しに歌ってみる?w
隆)うんw
S)『糸』もすごく多いねーー
隆)これもう候補に入ってるよね?
臣)あ!!
 
 
そうだ!
隆二に言おうと思ってたんだ!
 
 
臣)それなんだけどさ、
隆)うん?
臣)『糸』ってすげぇカバーされてんじゃん?
隆)うん。
臣)俺ら…違うのにしない?
隆)え??
臣)『誕生』って曲、知ってる?
隆)中島みゆきさん?
臣)うん。
隆)え、知らない。どんな曲?
臣)んーと……、これ。
隆)……。
 
 
俺は携帯で歌詞を出して
隆二に見せた。
 
 
隆)……これ…、歌も聴いてみたい。
臣)ちょっと待って。
  YouTube探してみる。
隆)……。
臣)…あ、あった。はい。
隆)……。
 
 
って言っても
俺も本人の歌で聴くのは初めてで…
 
 
臣隆)……。
 
 
ああ…やっぱりこの人はすごいな。
 
レイコさんが言ってた言葉が
染み渡るように
 
歌と一緒に、心に落ちてくる。
 
 
隆)いい…歌だね…。
臣)……。
 
 
歌詞の意味とか
今の俺たちが歌ったらどうなるかとか
 
そんなのをいちいち俺が説明しなくても
 
 
隆)歌おうか、これ。
 
 
隆二はそう言ってくれた。
 
きっとわかってるんだと思う。
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
M)あ、定時になったー。
  海璃ちゃん上がっていいよー♡
海)あ、これだけやっちゃってもいいですか?
M)もちろん。
海)ありがとうございます!
  急いでやっちゃいます!
♡)頑張り屋さんだねー♡
 
 
バタバタバタッ
 
 
紅)ひーめさんっ♡
♡)えっ
紅)飲みに行きましょーー♪
♡)え???
M)ちょっとー!!
紅)え?
M)先輩には彼氏がいるって
  さっき言ったでしょーー!!
紅)聞きましたけど。
  それが何か?
M)何かって…!
紅)行きましょうよーー
  俺ごちそうしますから♡
♡)行かないよ!
紅)なんで?
♡)なんでって…
紅)俺もっと姫さんと話したいもん。
 
 
話したいもんって…
 
そもそも私先輩なのに
なんでタメ口なのーー!!
 
 
♡)行かない!!
紅)行こ♡
♡)行かないってばー!
紅)行こうって♡
 
 
バコッ
 
 
紅)いって!
K)先輩には敬語を使え。
♡)あ、Kちゃん!お帰りなさい!
K)ただいまーー
紅)わ、こっちも美人…
K)つーかお前何。
  営業じゃねーの?
  とっとと自分の島に戻れ。
紅)もう定時で上がったんで♡
  ね、姫さん、行こうって!
♡)や、やだ!離して!
紅)おわぁっっ!!
J)こーんなところにいた。
M)Jさん!!
 
 
Jさんが紅くんの襟をつかんで
持ち上げた。
 
 
紅)げほっ
J)なーにしてんのかなー?
紅)何でもいいじゃないっすか。
J)仕事はどうしたのー?
紅)もう上がりましたけど。
J)今日は営業会議に出るようにって
  言っておいたよねぇ?
紅)…あっ!!!
J)まさか忘れて
  こんなところで女口説いてたわけ?
紅)…っ
J)面白いね〜君w
紅)…っ
J)来ないならいいよ?w
  一応迎えに来てあげただけ。
  じゃーね?
紅)あ!待ってください!!
  出ます!行きます!!
 
 
バタバタバタッ
 
 
M)Jさんカッコイイ♡ 
  でもあの笑顔が怖いw
K)あはははw
♡)はぁ…。
蒼)うちのがすみませんでした。
♡)あ、ううん!
蒼)あとで言っときます。
♡)あ、大丈夫だよ。
  蒼くんは悪くないんだし。
M)でもほんと図々しい子ですねーー
K)新人のくせにガツガツしてんね。
蒼)すいません。
♡)あ、蒼くんのことじゃないよ!
蒼)でも一応双子なんで…
♡)ごめんね…。
蒼)なんで♡さんが謝るんですかw
♡)だって…、
蒼)あの…もし僕が誘っても
  やっぱり断られますか?
♡)え?
蒼)♡さんに仕事のことで
  少し相談したくて…
♡)え!!
 
 
私に…??
私でいいの??
 
 
蒼)できれば二人で…
  よかったら一杯だけでも
  付き合ってもらえませんか?
♡)…うん、いいよ?
蒼)良かった♡
 
 
仕事の相談って何だろう?
 
まさか…もう辞めたいとか…
そんなわけないよね??
 
蒼くんは真面目に頑張ってくれてるし…
 
 
 
それから二人で会社を出て
隣のビルのバーに寄った。
 
 
蒼)カウンターでいいですか?
♡)あ、うん。
 
 
並んで座って、
蒼くんはウイスキーを、
私はカクテルを注文した。
 
 
蒼)すみません、急にお誘いして。
♡)ううん!大丈夫だよー!
蒼)♡さんはお酒強いんですか?
♡)普通!
蒼)はははw
♡)蒼くんは?
蒼)僕は強いですよ。
♡)へぇ!すごいね〜!
蒼)僕より紅の方が強いですけど。
♡)そうなんだぁ。
  
 
私はこの間潰れちゃったばっかりだし
気をつけなくっちゃ!
 
 
♡)ね、仕事の…
蒼)彼氏ってどんな人ですか?
♡)え??
蒼)♡さんの彼氏。
♡)……。
蒼)付き合って長いんですか?
♡)一年だよ?
蒼)へぇ…。
♡)……。
 
 
目の前に置かれたウイスキーを
一口飲むと、
 
 
蒼)好きですか?
 
 
蒼くんが私の顔を見た。
 
 
♡)うん。
蒼)即答か…
♡)え?
蒼)喧嘩したりとか、しないんですか?
♡)喧嘩?は…したことないかなぁ?
蒼)一回もですか?!
♡)うん。
蒼)すごいですね…。
♡)すごいのかなぁ?
  だって…おみ…っ、彼氏に
  腹立つことなんてないよー?
蒼)ああ、♡さんって
  全然怒らなそうですもんねw
♡)え!私だって怒るよぉ!
 
 
私がそう言うと、クスクス笑って…
 
 
蒼)そうなんですか?
♡)うん!
蒼)どんな時?
♡)…どんな時って……
 
 
蒼くんの手が
私の髪を耳にかけてきた。
 
 
♡)…っ
 
 
急に…何!?
 
 
蒼)今俺が…
 
 
え、え、俺って言った?
さっきまで「僕」って…
 
え、この眼…、何???
 
 
蒼)俺がこのままキスしたら…
  怒りますか?
♡)えっ!!!
 
 
ガタン!!
 
 
私が慌てて立ち上がると
 
 
蒼)あははは、冗談ですよw
♡)えっ//
 
 
蒼くんはまたクスクス笑ってる。
 
 
蒼)すごい防御本能だなw
♡)……//
 
 
恥ずかしい…//
 
私は椅子に座り直した。
 
 
♡)変な冗談やめて!
蒼)怒りました?w
♡)怒ったよ!
蒼)あはははw
  怒ってても可愛いですね。
♡)え?
蒼)ほんとは冗談じゃないですけど…
♡)え???
 
 
グイッ
 
 
♡)や、やだっ!!
 
 
今度は腰を抱き寄せられて
私は蒼くんの手をつかんだ。
 
 
♡)離して!!
蒼)シーーッ
  こんなお店で大きな声出すのは
  マナー違反ですよ?
♡)…っ
蒼)なーんて
 
パッ
 
♡)…っ
蒼)冗談がすぎましたねw
 
 
冗談…?
 
 
蒼)そんな怖い顔で睨まないでくださいよw
♡)……。
蒼)てゆーかそんなに離れなくてもw
♡)……。
蒼)警戒されちゃった。
♡)仕事の…話は?
蒼)聞いてくれるんですか?
♡)だって…相談したいって…
 
 
嘘だったの?
何なの?わけわかんない!!
 
 
蒼)♡さんは優しいですね。
♡)……。
蒼)じゃあ…話してもいいですか?
♡)……。
蒼)仕事の話。
♡)…う…ん……、
 
 
相談…したいんだよね?
 
私は体勢を戻して前を向いた。
 
ちゃんと聞いてあげなくっちゃ。
 
 
蒼)実は…
♡)うん。
蒼)職場で一目惚れして悩んでるんです。
♡)え???
蒼)……。
 
 
一目惚れ???
職場って……
 
 
蒼)見たことないくらい可愛い人で
  でも…彼氏がいるらしくて…
♡)……。
蒼)まぁそんなんで諦める気なんて
  サラサラないんですけど…。
♡)……。
 
 
何の…話…?
 
 
蒼)どうやったら
  振り向いてくれると思います?
♡)……え?
蒼)もう1年くらい付き合ってるらしいです。
♡)……。
 
 
ニコニコしながら
私の顔をのぞきこんできた。
 
 
蒼)喧嘩したこともなくて
  彼氏のこと大好きみたいなんですよねー
♡)……。
 
 
それって…
 
 
蒼)……。
♡)……。
 
 
どうしよう…何これ…
えっと…えっと…
 
 
蒼)こっち向いてよ…、
♡)…っ
 
 
蒼くんがまた髪を耳にかけてきた。
 
 
♡)触らないでってば!
蒼)……傷つくなぁ…w
♡)え?あ、ごめん…
蒼)って、隙ありすぎw
♡)えっ
蒼)chu♡
♡)!!!!!
 
 
ガタン!!
 
 
♡)な、なっ、な…っ
蒼)そんな隙だらけだったら
  男に簡単にキスされるよ?
♡)…っ
蒼)ほっぺじゃなくて口にもねw
♡)……帰る!!!!
 
 
バン!!!
 
 
何あれ!何あれ!!!
いきなりほっぺにキスしてきた!!
 
隙ありすぎって…何それ!!!
 
 
蒼)ちょっと待ってよ!!
♡)や!!離して!!
蒼)お金なんていらないって!
♡)私が飲んだ分だもん!
蒼)だからいらないって!
  俺が誘ったんだから俺が出すよ。
♡)いらない!!
蒼)そんな怒んないでよ…、
♡)…っ
蒼)いきなりキスしてごめんね?
♡)…っ
蒼)可愛いから我慢出来なかった♡
♡)な…っ
 
 
なんで笑ってるの?
 
 
蒼)口じゃないんだから許してよ♡
♡)そういう問題じゃないもん!!
蒼)じゃあ今度からはちゃんと
  許可取るから。
♡)は??
蒼)キスしていい?って。
♡)いいわけないでしょ!!!
  何言ってるの?!
 
 
もうわけわかんない!!
何なのこの子!!
 
 
蒼)怒ってても可愛いけど
  笑ってほしいなーー
 
 
そう言って私の頭を撫でてきた。
 
 
♡)触んないでってば!!
蒼)おっと…
♡)やめて!!
蒼)…そんな…怒る?
♡)やだもん!!
蒼)…っ
♡)彼氏以外に触られたくないの!!
蒼)…っ
♡)彼氏以外…、っ
 
 
キスだって…されたくない…
 
 
蒼)え、うそ…っ、え、泣く?
  え、え、ごめんって!!
♡)泣いてないもん!!!
蒼)涙目じゃん…
♡)泣いてない!!!
蒼)……
♡)……
蒼)…ぷっw
♡)!!!
蒼)ごめん…w
♡)何がおかしいのっ!!!
蒼)いや、可愛すぎて…ww
♡)〜〜〜バカにして!!
蒼)いや、してないよw
  なんか…全部ツボなんだよなぁ…w
♡)帰る!!!!
蒼)待ってって!!
♡)待たない!!嫌い!!
蒼)えっ
♡)仕事は普通にするけど
  蒼くんなんて嫌いだから!!
蒼)…っ
♡)それから!!
蒼)…っ
♡)先輩なんだからちゃんと敬語使ってよ!
  バカッッ!!!
蒼)……ww
 
 
バタン!!!

 
何なの!何なの!何なの〜〜!!!!
腹立つよぉ!!
 
真面目な子だと思ってたのに…
紅くんよりタチ悪いよ!!
 
年上なのに!先輩なのに!
からかってバカにして〜〜!!!!
 
嫌いっっ!!!!
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
臣)ただいま〜〜
 
 
パタン。
 
 
♡)おかえりなさい。
臣)……。
 
 
あれ。
いつもみたいに飛んでこない。
 
 
臣)どうした?
♡)え?
臣)ほら。
 
 
靴を脱ぐ前に、俺が両手を広げると
♡がやっと飛びこんできた。
 
 
臣)ただいまw
♡)おかえりなさい//
 
 
むぎゅ…っ
 
 
俺の胸に顔を埋めてすりすりしてる。
 
どうしたんだ?
 
 
臣)元気?
♡)え?
臣)……。
♡)うん。
臣)……。
 
 
やっぱりなんか変だな。
 
 
臣)もう風呂入った?
♡)うん。
臣)一緒に入んない?
♡)えっ!!
臣)……。
♡)わ、私っ、もう入ったもん…//
臣)だからもっかい一緒に入ろってw
♡)……///
 
 
それから俺は部屋に荷物を置いて
風呂に向かった。
 
 
先にシャワーを浴びて、洗い終わって
ドアを開けて、♡を呼ぶ。
 
 
臣)おーーーい。
 
♡)……はい。
 
臣)いいよーーおいでーー
 
 
磨りガラスの向こうに、♡のシルエット。
 
 
♡)…目、瞑ってる?
 
臣)うん。
 
♡)絶対?
 
臣)うんw
 
♡)……。
 
 
キィ…
 
 
♡)お邪魔…します…//
臣)……。
♡)絶対絶対、目、開けないでね!//
臣)瞑ってんだろがw
♡)絶対そのままだよ!
臣)はいはいw
 
 
パシャ…
 
ザーーーッ
 
 
♡)わ、こぼれちゃう!
臣)そりゃそーだろw
♡)目開けちゃダメだからね!!
臣)開けてないっつーのw
♡)よし!!入りました!!
 
 
ゆっくり目を開けると…
 
 
臣)え!電気消えてる!w
♡)消しちゃった。
臣)あ、外のつけたの?
♡)うん。
臣)なんかエロ〜〜〜
♡)えっ!!!
 
 
風呂の電気は消えてるのに
外からオレンジ色の明かりが漏れてきて
 
なんか…
 
 
臣)……。
♡)ひゃぁっっ//
  何するのーー!!
臣)暗くて見えないからわかんなくて…
♡)嘘つき!!
臣)嘘じゃありません〜〜
♡)や、やぁっ!エッチ!!
臣)だから見えないんだってw
♡)もうあがるー!!
臣)うそうそ!!ごめん!!
  もうしない!!
 
 
ぎゅっ!!
 
 
臣)逃がしません。
♡)……//
 
 
お湯の中で
後ろから♡の身体を抱きしめる。
 
 
臣)はぁ……。
♡)……。
臣)久々ですねーーー
♡)…お風呂?
臣)うん。旅行以来じゃん?
♡)うん…//
臣)落ち着くー♡
♡)///
 
 
後ろから♡の柔らかい肌に
すりすり…
 
ほんと…癒されるなぁ…
 
 
♡)くすぐったいよぉ//
臣)はははw
♡)んん〜〜〜
臣)あ、そーだ、明日予約しといたよ。
♡)あ!ほんと??
臣)うん。
♡)ありがとう♡
臣)ん。
♡)楽しみだね♡
臣)うん。
♡)えへへーーー♡
  るんるん♪
臣)……。
 
 
良かった、いつもの♡に戻ったw
 
 
臣)なぁ、そういえばさ、
  津田さんの企画、聞いた?
♡)え??
臣)あれ?聞いてないの?
♡)???
臣)撮影の話。
♡)撮影??
臣)うん。
♡)あ…、えっと…
  さっき佐伯さんから電話が来て
  撮影1個増えたんだけど…それかなぁ?
臣)詳しく聞いてないの?
♡)うん。
臣)多分それかなぁ?
♡)なぁに?
臣)俺と一緒の撮影。
♡)えっ!!!!
 
 
バシャン!
 
 
♡が勢い良く振り向いた。
しっかり胸は隠しながら。
 
 
♡)臣くんと一緒って何?!
臣)二人で撮るみたいよー?
♡)え、え、何それ!!
臣)プライベート特集だって、俺の。
♡)え〜〜!!すごーいっ♡
  え、でもどうしてそれに私が??
臣)もし彼女がいたらみたいな設定らしい。
♡)え!!
臣)だからお前は彼女役?
♡)え、え、何それ!!
臣)ねw
♡)いいのかな??
臣)いいんじゃない?w
♡)え、え、どんな写真撮るんだろ…
臣)オフショットって言ってたから
  まぁ普段の日常っぽいやつじゃない?
♡)普段の…日常って…
臣)一緒に風呂入ってるとことかー?
♡)こ、これは日常じゃないもんっ//
臣)え、違うの?w
♡)特例だもん!//
臣)ぶっww
♡)///
臣)あとは…
  こんな風にチューしてるとことかー?
 
 
チュッ
 
 
♡)////
臣)こんな風に…
♡)あ…っ、…や…ぁ//
臣)エッチなことしてるとことかー?w
♡)そんなの撮るわけないでしょ!//
臣)なんで?
♡)だ…って…
臣)これだって日常じゃん…
♡)…ぁ…っ、だ、め…っ
臣)ん、もっとこっち…
♡)あ…、んっ、だめっ//
臣)やーだ。
♡)やぁっ//
臣)とまぁ、こんな写真を撮るんじゃない?w
♡)ばかっ!絶対違うもん!!//
臣)わかんねぇじゃんw
♡)もう!!
臣)怒んないのーーw
♡)…っ
臣)ね、触らして…
♡)えっ…
臣)この腕をいい加減外せw
♡)やだ!
臣)はーずーせーー
♡)外したら触るもん//
臣)そうですけど。
♡)ダメだもん//
臣)なんで!触らせろ!
  俺は癒されたいの!!
♡)…っ
 
 
俺がそう言うと
♡がチラッと振り向いた。
 
 
♡)触ったら…癒されるの?//
臣)当たり前だろ!
♡)…じゃあ…ちょっとだけだよ?//
臣)……//
 
 
なんだこれ…
可愛い…///
 
 
♡)エッチな触り方しないでね?
臣)うん。
♡)絶対だよ?//
臣)うん。
♡)……。
 
 
♡がガードを外して
俺は即行、胸を包んだ。
 
 
臣)ほわぁぁ〜〜〜〜
♡)///
臣)うん、癒される…
♡)///
臣)気持ちぃ〜〜〜♡
 
 
あ〜〜なんかもう
全部吹っ飛んでくな。
 
 
やわらけ〜〜
気持ちぃ〜〜
すげぇ〜〜〜
 
 
ああ、最高。
 
 
♡)まだぁ?//
臣)あと1時間……、
♡)ちょっとって言ったのにー!
臣)じゃああと2時間…、
♡)また増えてるー!!
臣)ははははw
♡)もう…//
 
 
俺は♡の首筋に顔を埋めた。
 
 
臣)いいじゃん…
♡)……//
臣)すげぇ気持ちぃんだもん。
♡)……//
臣)ずっと触ってたい…
♡)///
 
 
ああ…でも…
 
触ってたら…
 
 
♡)え…っ
臣)……。
♡)やんっ//
臣)……。
♡)ちょっとぉ!嘘つき!!///
臣)うん。
♡)えっ
臣)ごめん、我慢できなくなった。
♡)え、や、だめっ、やぁっ//
臣)……。
 
 
ああ…もうこのまま…
 
 
臣)…欲しくなった。
♡)えっ
臣)いい?
♡)え、え、何言って…
臣)シよ?
♡)だめっっ!!
臣)なんで。
♡)お風呂だもんっ//
臣)もう免疫ついたしょ?w
♡)えっ
臣)温泉でしたじゃん♡
♡)…っ///
臣)このまま…シよ?
♡)え、や、待って…、あっ
臣)んーーー♡
♡)だめっ//
臣)だめじゃなーい♡
♡)や、待って、臣くん、…待っ、んんっ//
 
 
♡の生肌に触れて
何もしないなんて
 
俺にはそんなの無理だった。
 
 
♡)あっ…、やぁ…っ///
臣)……っ
 
 
ああ…もう…
すげぇ可愛い…
 
 
臣)そんな力でいくら抵抗しても
  無駄だよ?w
♡)…っ
臣)絶対やめない。
♡)////
 
 
薄暗い明かりの中、
♡を抱き上げて淵に座らせると
 
俺にぎゅっと抱きついてきた。
 
 
♡)恥ずかしいよ!//
臣)大丈夫、暗くて見えないから。
♡)ほんと?
臣)うん。
 
 
ほんとは結構見えてるけど…
 
 
♡)や、やだ…っ、やっぱり//
臣)だーめ。
♡)あ…っ、…ん…っ、///
 
 
オレンジ色のかすかな明かりが
♡の濡れてる身体を照らし出す…。
 
 
♡)…ぁっ、…臣く…ん…っ///
臣)うん…、///
 
 
すげぇ可愛い…
すげぇエロい…
 
ダメだ俺…ほんと…、、
 
 
♡)あぁっ、やぁ…んっ///
 
 
♡の甘い声にエコーがかかる…。
 
 
それが俺の聴覚を刺激して
余計に俺を興奮させる。
 
 
少しのぼせながら…
夢中で♡を抱いて、
 
 
風呂を上がってからも、また抱いて。
 
 
火照りを冷ますように
シーツに身を沈めて、
 
 
その日は二人でぐっすり眠った。
 
 
 
 
 
 
 
 
ーendー

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