【143】最悪?な出会い(岩ちゃんSide)

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頭が痛い。
ガンガンする。


気持ち悪い。

吐きそうだ。


岩)う…っ
女)ちょっと!!また吐く気?!


え…?


女)もう!!!


うっすら目を開けた俺の前に、

知らない女の子が
慌ててゴミ箱を持ってきてくれた。


岩)…っ


ここ、俺んちだよな…?


俺がポカーンとしてると
女の子が呆れた様子で口を開いた。


女)吐くなら吐きなよ!!
岩)……えっ
女)気持ち悪いんでしょ?
岩)……いや、大丈夫…
女)なんなのもう〜〜〜
岩)……


ていうか…

君は…誰??


女)具合どう?
岩)……最悪。
女)だろーね。
岩)……
女)なんでそこまで飲むの?
岩)……
女)バカなの?
岩)……


誰かわかんないけど…

この子、キレてる…?


岩)あの…
女)なに。
岩)ごめん…、誰?
女)それはこっちのセリフだし!!
岩)…っ


女の子に怒鳴られるのなんて
いつぶりだろう…


岩)なんで…うちにいるの?
女)はぁぁ?!!


ヤバい…
どんどんキレる…


女)勝手によりかかってきて
  いきなり吐いて、人にぶちまけといて
  出た言葉がそれ?!
岩)えっ!!!
女)あんたこそ誰!!!
  あたしが帰ろうとしたら
  引き止めたのはあんたでしょ!!
岩)え…っ


全然…話が見えない…

見えないけど…

この子の怒りようからして
昨日ベロベロに酔った俺は
相当な迷惑をかけたってこと…だよな?


女)起きて大丈夫なの。
岩)うん…


ゆっくり起き上がると
ぐっちゃぐちゃだった部屋は
少しだけ片付いてた。


女)掃除なんてしてないから。
  ちょっと物よけただけ。
岩)汚なくて…ごめん。
女)ほんと!信じらんない。


まだ怒ってる…


岩)君が…俺のこと
  うちまで送ってくれたの?
女)死ぬほど重かったんですけど。
岩)……
女)てゆーか!!
  あたしのジャケットのクリーニング代!!
  払ってよね!!
岩)え…っ


そういえば…
なんでこの子、半袖なんだろ…


岩)寒くないの?
女)寒いよ!!
岩)なんか…着る?
女)汚そうだから嫌。いらない。
岩)ひでーな!
  服は汚くないよ!!
女)だって…こんだけ部屋が汚いんだから…
  洗濯してるかも怪しいし…
岩)してるわ!!
女)……
岩)ほら…


俺は自分のパーカーを出して
彼女に渡した。


全然受け取らないから
肩を掴んでこっちに向けると

むっとしたまま俺を睨んでる。


岩)めっちゃ腕、冷えてる…
女)寒かったもん。
岩)ごめん。


パーカーを羽織らせて
そっと抱きしめると
下から頭突きされた。


女)何すんの!!このチャラ男!!
  ふざけんな!!
岩)いっってぇぇ!!!


顎に思いっきり食らった。


岩)頭突きすることねぇじゃん!!
  いてぇよ!!!
女)うるさい!!!
  自分の身を自分で守って何が悪い!!
岩)別に何もしねーよ!!
女)どうだか!!
岩)……


か、可愛くねぇ女だな…


女)でも寒いからこれは借りる。
岩)……


そう言って渋々、俺のパーカーに袖を通した。


岩)……


なんか…
俺の服がでかいから萌え袖になってるし…
ずるいな…//


岩)…クリーニング代って?
女)……
岩)俺…もしかして…
女)だからあたしの上着に
  ぶちまけたんだってば。
岩)……


マジで最悪…
俺、最低じゃん…

見ず知らずの人にそんな…


岩)ほんっっとごめん。
女)……
岩)ごめんなさい!!
  クリーニング代も出すし…
  なんなら…新しいの買うから!
女)……
岩)ほんとに…ごめんね?
女)…もう…いいよ。
岩)……


そりゃーキレるよな。
いきなり…見ず知らずの酔っ払いが
自分の服に吐いてきたりしたら…


岩)本当にすみませんでした。
女)……


怒って…ますよね〜〜


岩)俺が…引き止めたっていうのは…
女)ここまで送り届けて
  あたしが…帰ろうとしたら…
岩)うん…
女)行かないでって…
  手、離してくれなかった。


俺が…??


女)無駄に力強くて、振りほどけなくて…
岩)……
女)なんなのあんた…プロレスラーなの?
岩)ぶっwww


俺は思わず吹き出した。


岩)プロレスラーって…!
  あははは!!www
女)別に何も面白くないし。


またほっぺを膨らませてる。


岩)あはははww


そっか、俺のこと知らないんだ。


岩)ねぇ、名前なんて言うの?
女)は?
岩)名前。
女)別になんでもいいでしょっ
岩)名前くらい教えてよw
女)チャラ男に教えたくない。
岩)チャラ男って…!
女)チャラ男じゃん!
岩)……


怪訝そうな顔で俺を見る。

なんつーか…
この子の中でとりあえず俺は今
「最低な男」みたいで…


女)クリーニング代、早くちょーだい。
岩)えっ
女)もう帰るし。
岩)え、もう帰んの?
女)帰るよ!
岩)……


そっか…そりゃそうだよな…
何言ってんだ俺。


女)クリーニング代!!
岩)……


慌てて財布を探す。
でも…

これ渡したら…もう終わりなんだよな。


岩)ごめん…今、手持ちないや…
女)はぁ?!


ほんとはあるけど…


女)じゃあもういい!帰る!
岩)待ってよ!
女)何なの!!
岩)名前…教えてよ。
女)やだ!!
岩)……
女)あたし…大人のくせに
  自分で制御できないくらい
  お酒におぼれる男も
  いきなり女を抱きしめたりする男も
  大っ嫌いなの!
岩)……


ごもっともです。


岩)さっき…いきなり抱きしめたのは
  謝るけど…
女)……
岩)酔って…迷惑かけたのも
  謝るけど…
女)……
岩)それくらい…
  酒を飲みたくなることだって
  ……あんじゃん。
女)ない。
岩)……


即答された。


女)何?不幸なの?
岩)え…?
女)あんた、不幸なの?
岩)……


そんな質問…されたことない…

不幸なのって…


岩)不幸では…ない。
女)じゃあただの甘えじゃん。
岩)え…?
女)どうしようもなく不幸でボロボロで
  酒しか逃げる道がなかったとか
  そこまでの話じゃないんでしょ?
岩)……
女)だったら同情の余地なし!
  離してよ。
  もうお金も要らない。
岩)……


なんか…
自分がろくでもない
しょーもない奴に思えてきた…


岩)あの、さ…
  ちゃんとお詫びさせて。
  ほんとに…反省してるから。
女)……


このまま帰られたら…
なんかまるで…
ダメ人間の烙印を押されるような気がして

俺は必死に引き止めた。


岩)とりあえず
  シャワー入ってきていい?
女)はぁ??
岩)なんか俺、ひどい格好だし。
女)どんだけマイペースなの!
  なんであたしが
  あんたがシャワー入ってんのを
  待ってなきゃなんないの!!
岩)確かに…
女)あたしだってシャワー入りたいの!!
岩)あ…っ、そっか!!
  ごめん、じゃあ先にどうぞ?
女)は?!
岩)シャワー使っていいよ?
女)なんでここで入らなきゃなんないのっ!
岩)服とか…俺の貸すし、入っといでよ。


俺がそう言うと


女)はぁ……


彼女はため息をついて俯いて
一瞬悩んで自分の服を見た。


それからキッと、俺に鋭い視線を向けると

俺からバスタオルと着替えを奪って
シャワーに向かった。


岩)……


俺…何してんだろ…


部屋を見渡すと、ほんとに汚い。
最近忙しかったからな…

呆れただろうな、こんな部屋。
少しは片付けるか。


俺が掃除をしてると
彼女がシャワーから戻ってきた。


女)服、ありがと。
岩)……


また萌え袖になってるし…
くそーー//


女)めっちゃ大きいけど。
岩)……


てゆーか…
君がすごく小さいからだと思います。

なんつーか…
小動物みたいで…


女)プロレスラーのだから仕方ないか。
岩)プロレスラーじゃないって!w
女)何してんの。掃除?
岩)うん、ちょっとひどいから…
女)ふーん。
岩)じゃあ俺も入ってきます。
女)……
岩)帰んないでね!!待っててね!!
女)……


俺は急いでシャワーを浴びた。
まだ自分がアルコールくさい。

今日は仕事が夕方からで良かった。


バスタオルで頭を拭きながら
リビングに戻ると

彼女が掃除の続きをしてくれてた。


岩)え…なんで…
女)暇だから。
岩)あり…がとう…
女)……
岩)??


俺の顔をじっと見る彼女を
思わず俺も、見つめ返す。


岩)今…すっぴん?
女)そうだけど。


ずっと怒られてばっかりで
あまり顔ちゃんと見てなかったけど

すっぴんでこれって…


岩)可愛いね。
女)は?!


彼女がいきなり防御姿勢を取った。


女)また何かする気?!
岩)はぁ!?


可愛いって言っただけなのに…


女)チャラ男は信用できない。
岩)チャラ男じゃねーし!
女)あんなふざけた真似するような男は
  全員チャラ男だっつーの。
岩)なんだよそれ…
  ちょっとぎゅってしただけじゃん。
女)はぁ?!
岩)…っ


や、やべ…


女)ちょっとぎゅってしただけだぁ!?
岩)…っ


お、怒ってる…


女)普通の男は付き合ってもない女に
  いきなりぎゅってしたりしないんだよ!
  この根っからチャラ男め!!
岩)……


ガーン…

返す言葉もありません。


岩)……仕事…何してんの?
女)は??急になに。
岩)今日…休み?
女)そう…だけど…


ピロリロリロ♪ピロリロリロ♪


女)あ、ごめん。


彼女の携帯が鳴った。


女『もしもし?
  あ、うん。覚えてるよーーw
  うん!』


あ、初めて笑った。


聞いたことのないトーンで話す彼女の声に
自分が嫌われていることに改めて気付く…


笑うと…普通に可愛い…

いや、普通にっていうか
すごく可愛い…


女『うん、明日の夜だよね?
  わかったよーー♡』


彼氏かな?
と思って聞き耳を立ててると

相手は女の子みたいで

「◇ちゃん」って
呼ばれてるのが聞こえた。


◇『うん、じゃあねー♡』

ピッ。


◇)なに。
岩)え?
◇)見過ぎだし。


彼女の声と表情がすっかり

可愛い女の子から
敵を前にした戦闘モードに
戻ってしまった。


岩)……◇ちゃんっていうの?
◇)!!!
岩)名前。
◇)なんでもいいでしょ。
  チャラ男に教えたくない。
岩)◇ちゃん。
◇)勝手に呼ばないでよ!
岩)◇ちゃんw
◇)〜〜〜//
岩)ね、今日休みなら俺に付き合ってよ。
◇)は!?
岩)服とか買いに行こ?
  お詫びに今日は全部俺が出します。
◇)……


あ、また俺の顔じっと見てる。


岩)なに?
◇)さっきも思ったけど…
岩)??
◇)なんか…見たことある…
岩)……
◇)……


「なんか見たことある」レベルな彼女に、

俺は携帯から
7人で写ってる写真を見せた。


岩)これ。
◇)……三代…目?
岩)そう、知ってる?
◇)知ってる。
  もしかして…岩ちゃん?
岩)あ、知ってた??
◇)会社の人が…最近騒いでて
  あたしはハッキリ知らなかったけど…
岩)……


この子も…
態度変わっちゃったりするのかな…


◇)その人…王子様みたいな人だって
  言ってたんだけど…


そう言いながら
とても王子様には見えないといった目つきで
俺を訝しげに見上げる彼女。


◇)違う人ってことでいい?
岩)ぶっww


うん、そうだよな…


岩)違う人だわw
◇)だよね?
岩)よし、ほら、出かけよw
◇)……


まだ不信感たっぷりな彼女を
俺は強引に連れ出した。



ー続ー

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