【231】恋の終わり(TくんSide)

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今俺は、車の中に♡と二人。


♡は何も話さなくて
適当に車を走らせて


T)ちょっと外の空気吸わない?


そう言って
車を一旦、家に戻した。


T)あとでちゃんと送るから。
♡)ううん、電車で帰るよ!
T)送るって。
♡)…っ


マンションの通りにある公園まで
二人で歩く。


T)今日は晴れてたから少し星見えんな。
♡)あ…ほんとだ。


♡が空を見上げた。


T)この公園、いつも通るのに
  入るのは初めてかもw
♡)……


俺がブランコに座ると
♡も隣のブランコに座った。


T)ブランコ乗るのとか
  何年ぶりだろ…
♡)ほんとだね…w
T)……


やっと少し笑った。


T)小さい頃さ、妹が
  「もっともっと」って言うから
  調子に乗ってすっげぇ高いとこまで
  立ち漕ぎして。
♡)うん。
T)そしたら足滑らして俺だけ落ちたw
♡)ええっっ!!
T)その時の傷、頭にまだ残ってるw
♡)そうなの?!
T)そのうちハゲたらバレるなw
♡)えーーっ!!
T)……
♡)あはははっww
T)……


ああ、やっぱり…
お前が笑ってると…安心する。


話があるなんて…
なんとなくわかってる。


お前は言った。
昨日…あの子に…


「…うん、…愛してるよ。」


T)……


やっぱりあいつのことが好きなんだって
わかってるよ、そんなの……


T)はぁ……


夜空を見上げると
雲がかげって星が見えなくなってた。


T)……
♡)……
T)……
♡)…Tくん……
T)……
♡)私…、明日、家に帰るね。
T)……


俺はそのまま♡を見ずに
足元に視線を落とした。


♡)私……


ポツ…、ポツ…ッッ


♡)えっ…
T)雨??


ポツ、ポツ、ポツッッ…

……ザーーーーーッ


T)マジかよ!!
♡)…っ


とりあえず♡にジャケットをかけて
木の下まで走った。


T)…っ
♡)急にだね…っ
T)すげぇ雨……


いきなりザザ降りで…止む気配もなくて…


♡)はっくしゅんっ…
T)…っ


木の下にいたって濡れるよな。


T)よし、走るぞ。
♡)えっ?
T)うちまで。
♡)わっ!!


♡の肩を抱いて
少しでも♡が濡れないように
マンションまで走った。


♡)はっくしゅんっっ
T)……


ヤバい…♡が風邪ひく。


T)とりあえず、うち入ろ。
♡)えっ……


オートロックを開けて
エレベーターに無理矢理乗せた。


♡)でも…っ
T)風邪ひくから。
♡)…っ


肩を抱いて離さない。


そのまま家に連れてくると
♡は玄関で止まってた。

急いでタオルを持ってきて
頭を拭いてやる。


T)ダメだなこんなんじゃ…
♡)冷たいねっ…、はっくしゅんっ
T)お前シャワー入れ。
♡)えっ!!
T)服貸してやるから。
♡)…っ
T)早く。風邪ひくから!
♡)…っ


♡を風呂場に押しやって
とりあえず大きめのシャツを渡した。

♡がシャワーに入ってる間に
下を探すけど…


T)全然ねぇな……


♡が履けそうなもの…


T)あ、これでいいかな…


パジャマの下だけ持って
もう一度風呂場へ…


T)♡!!下置いとくから!!

♡)きゃぁっ///

T)あ、ごめん!!//


バタン!!


T)…っ///


シャワーに入ってるとはいえ
勝手に開けたのは…良くなかったかな…

姉ちゃんとか妹だったら
全然気にしないから…つい…


とりあえず自分も頭を拭いて
部屋着に着替えた。


あいつ…めっちゃくしゃみしてたけど
大丈夫かな……


しばらくすると♡が戻ってきて…


♡)服…ありがとう。
T)さっきはごめん!!
♡)ううん、大丈夫、びっくりしただけ//
T)ほんとごめん!//
♡)うん。ドライヤー借りてもいい?
T)あ、うん。


そのまま♡は戻っていって
洗面所からドライヤーの音が聞こえる。


T)……///


俺の…服、着てた…。

ぶかぶかで…袖が余ってて…


T)////


すげぇ可愛かった…。


♡)ありがとう。
T)はっ!!!あ、うん…っ


とりあえずあったかいお茶を入れてやると
♡はソファーに座った。


♡)なんか…ごめんね?
  急に…こんなことになっちゃって…
T)いや、何もお前のせいじゃねぇじゃんw
  雨が降ってきただけなんだから。
♡)……
T)ばーか。

こつん。

♡)……
T)…服…、干したか?
♡)うん。
T)そっか。
♡)…Tくんは…大丈夫?
T)俺はもう髪も乾いたし、大丈夫。
♡)そっか…
T)うん。
♡)……
T)……


俺の部屋に♡がいる。

びっくりするような状況なんだけど

心はどこか静かで

それはきっと
これから聞かされる話の内容が
大体わかっているからだ。


♡)えっと…
T)……
♡)……
T)いいよ?
♡)え…?
T)話の…続き。
♡)……
T)……


本当は…聞きたくない。
聞きたくないけど…でも…


T)……
♡)……
T)明日…帰んの…?
♡)……うん。
T)……
♡)……
T)あいつのとこに…帰んの?
♡)…うん…。
T)……
♡)……


ああ…
もう…どうしようもないのかな。


♡)いっぱい…
  …心配かけて…ごめんね…?
T)…っ
♡)いっぱい…ありがとう。
T)……


ありがとうなんて…俺はただ…


♡)側にいてくれて…ありがとう…
T)…っ


その言葉に泣きそうになるのは
何でだろう…


♡)Tくんと食べたお昼、美味しかった。
T)……
♡)楽しい話…いっぱいしてくれて…
  笑わせてくれて…ありがとう。
T)……
♡)私……
T)…っ


涙がこぼれそうになって
俺は思わず♡を抱きしめた。


♡)…っ


俺の服を着てるけど
その身体はすごく華奢で

今まで何度も抱きしめた、細い身体。


あの日も…朝までずっと…
抱きしめてた。


何度も守ってやりたいって思った。

俺がずっと…
側にいてやりたいって……


♡)Tくん……
T)ごめん…、顔…見ないで…っ
♡)…っ


そんな俺の勝手な言葉に
♡は抵抗することなく
俺を抱きしめ返してくれた。


ただそれだけの小さな仕草が
死ぬほど嬉しくて

尊く感じて愛しくなって

俺は結局、涙を我慢出来なかった。


T)はぁっ…
♡)……


♡の身体をぎゅっと抱き締める。

離したくない…このまま…

このままずっと…


T)俺…さ、
♡)……
T)お前のこと…ほんと好きで…
♡)……
T)ずっとずっと…好きで…


今なら聞いてくれるだろうか…
俺の気持ち。


T)話して…いい…?
♡)…(こくん)
T)……
♡)ずっと…逃げててごめんね…?
T)…っ
♡)ちゃんと…聞く。
T)……


そう言ってくれて
俺はそっと♡を離した。

ちゃんと…目を見て伝えたい。


でもやっぱり泣き顔を見られるのは
少し恥ずかしくて


T)ごめん…w


誤魔化すように袖口で顔を拭うと


♡)ううん……


♡は眉を下げて少しだけ笑った。


T)……
♡)……
T)…俺……
♡)……
T)初めて出会った日のこと、覚えてる?w
♡)え…?
T)……
♡)入社式の日でしょ?覚えてるよ…?
T)……


あの時はまだ…
こんなに好きになるなんて

思ってなかった。


T)一緒に遅刻して…一緒に怒られて…w
♡)うん…w


「私、♡です。これからよろしくね♡」


そう言って笑ってくれたあの日の笑顔を
今でも覚えてる。


T)入社してしばらくさ、
  ほんと激務で…
♡)うん…
T)朝もいっつも俺かお前が一番で…
♡)うん。
T)帰りも終電までやってさ。
♡)…うん、懐かしいねw
T)…ほんと大変だったのに…
  お前は全然弱音も吐かないで
  頑張ってて…
♡)……
T)いつも笑顔だった。
♡)……
T)……


すごく強い奴だと思った。


T)でも…
♡)……
T)ほんとは一人で泣いてたりして…
  それでもみんなの前では笑ってて…
♡)…っ
T)お前が…すげぇ頑張ってたの
  ずっと知ってたよ。
♡)……


ほんとは強くなんかないのに
強くあろうと頑張ってるんだって…


T)お前が貧血で倒れた時…
♡)……
T)悔しいって言いながら
  それでも泣くの我慢してて…
♡)……
T)その時に気付いたんだ。
  俺、お前のことが好きなんだって。
♡)…っ
T)きっとずっと好きだったけど…
  その時、初めてちゃんと気付いた。
♡)……
T)なのにお前…全然相手にしてくんなくてw
♡)…っ
T)突き飛ばされるわ殴られるわ…w
  ずっとチャラ男扱い…ww
♡)……ごめん…ね…//
T)……


でも…それでもなんでもいいから
お前の側にいたかった。


T)いつか…俺のこと
  ちゃんと男として見てくれれば
  それでいいやって思ってたんだ。
♡)……
T)お前は彼氏ができても
  すぐ別れる奴だったし…
♡)……
T)だからあの時も…
♡)……
T)……


お前に彼氏ができたって
最後に聞いたあの時も

どうせすぐ別れるって思ってた。


なのに…


T)幸せそうに…笑ってて…
  毎日…笑顔で…
♡)……
T)そんなお前見てるうちに…
  ♡が幸せならそれでいいやって
  そう思えてきた自分も…いて…
♡)……
T)忘れようとも思ったけど…
  でもやっぱり無理で…
  好きで…好きで…忘れられなくて…
♡)……
T)なんでこんなに…
  お前じゃなきゃダメなんだろうって…
  何度も思った。
♡)……
T)でも…やっぱり好きなんだ。
♡)…っ
T)俺…こんなに好きになったの
  お前が初めてだよ……
♡)…っ


曇りのない大きな瞳を見つめながら
真っ直ぐに伝えると

その瞳が少しずつ潤んでいく。


T)お前が笑ってくれるだけで
  喜んでくれるだけで
  死ぬほど仕事頑張れたし
♡)…っ
T)お前の笑顔が見れるだけで
  すげぇ嬉しくて…
  なんでもできる気がした……
♡)…っ


♡の涙がこぼれる前に
もう一度抱きしめた。


T)今まで…ありがとう。
♡)(ふるふるっ)
T)ほんとに…ありがとう。
♡)(ふるふるっ!!)
T)俺…お前のこと好きになって
  本当に良かったよ。
♡)…っ


抱きしめてる肩が震えてる。

なんで…俺がフラれるのに
お前が泣くんだよ…

バカ……


ぎゅっ……


♡)Tくん……
T)……ん…?
♡)ありがとうは…私だよ…っ
T)……


♡の声が震えてる。


♡)私が…辛い時…
  いつも…側にいて…くれたっ…
T)…っ
♡)困ってる時も…
  いつも…助けてくれた…っ
T)……
♡)…っ
T)……
♡)全部…全部…
  ちゃんと…覚えてるよ…?
T)…っ
♡)……
T)……
♡)落ち込んでる時は…っ
  元気付けて…くれて……
T)……
♡)Tくんは…いつも…優しくてっ…
  一緒にいるとほっとして…
T)……
♡)すっごくあったかかった…っ
T)…っ


♡が泣きながら
そんなことを言うから

俺までまた涙がこぼれてくる。


♡)いっぱい…甘えて…ごめんね…?
T)…っ


俺は♡を抱きしめながら
必死に首を横に振った。

「ごめん」なんかじゃない。

俺はいつだって…
お前に甘えてほしかった。
頼ってほしかった。

お前の…
力になりたかったんだ。


♡)いっぱい…いっぱい…ありがとう。
T)…っ
♡)Tくん……


♡が…俺をぎゅっと抱きしめた。


♡)私、Tくんが大好き…
T)…っ
♡)大好きだよ。
T)…っ


ずっと欲しかったその言葉…

意味は違うって…わかってても…

涙が…またあふれる。


♡が少し離れて
俺の顔を見つめた。


♡)Tくんが同期で…
  入社式のあの日、あそこで出会えたのが
  Tくんで良かったって、思ってる。
T)……
♡)Tくんがいつも一生懸命で
  前向きで頑張り屋さんで…
T)……
♡)そんなTくんの姿に
  今までいっぱい勇気づけられたの。
T)……
♡)Tくんは、自慢の同期だよっ!
T)……
♡)いつも真っ直ぐで…優しくて…
  正義感が強くて…真面目で…
T)……
♡)私と…ちょっと似てる…


そう言って♡は少し笑った。


♡)Tくんが困った時は
  私が助けるし…いつでも力になる!!
T)…っ
♡)Tくんが大好き。
  だからずっと友達でいたいの。
T)…っ
♡)一緒に何かを頑張ったり…
  一緒に何かに笑ったり…
  そんな仲間で…側にいたい。
T)……


俺は♡の頬にそっと手を伸ばした。


T)……あり…がとう。
♡)…うん……
T)……


ああ…好きだな……

なんで俺…こんなにお前が好きなんだろう……


T)好きだよ……
♡)……
T)ほんとに……
♡)……


お前が…誰を好きでも…


T)すげぇ好き……
♡)……
T)……
♡)……


見つめ合ってるこの時間が
このまま…動かなきゃいいのにって…

このまま止まればいいのにって…

そんなことを考えるほど
俺はお前のことが好きなんだ。


T)あいつが…好き…?
♡)……(こくん)
T)……


お前のあいつへの想いの深さを
思い知らされるたびに

痛んできたこの胸。

それでも…
どんなに苦しくても

お前のことが好きだった。


T)もし……
♡)……
T)あいつよりも俺が先に
  お前に好きだって言ってたら
♡)…っ
T)少しは…俺のことも…
  …考えてくれた……?
♡)……


こんなこと聞いても…どうしようもないけど…
でも……


♡)私…ね、もしTくんと付き合ってたら…
  すごく幸せだったと思う。
T)…っ
♡)そんなこと…考えたりも…したよ?
T)…っ
♡)……
T)……
♡)…でも…やっぱり…
  どんな順番でも…私は臣くんを
  好きになってると思う…っ
T)…っ


♡の目がまた潤んだ。


♡)どうして…こんなに苦しいのに
  臣くんじゃなきゃ…だめで…っ
  …臣くんの側に…いたいんだろうって
  そう思ったけど…、でもっ…
T)…っ
♡)何回…考えても…
  答えは…一緒なの…っ
T)……


お前も…俺と同じなんだな。

同じだからこそ…よくわかる……


T)あいつじゃなきゃ…絶対ダメ?
♡)……(こくん)


ぎゅっ……


♡)…っ
T)俺…っ、絶対泣かせないし
  お前のこと死んでも大事にする。
♡)…っ
T)死ぬまで…大事にするからっ…
♡)…っ
T)俺は…何よりもお前が大事。
  お前のことが好き。
♡)…っ


だから…

俺を選んでよ…


T)好きだ……
♡)……


想いが全部…流れ込んでしまえばいいのに…

そんなことを願いながら
何度も♡の身体を抱きしめた。


T)好きだ……
♡)……
T)好きだ……
♡)…っ


今まで伝えられなかった分も
全部…全部…伝えたい。


T)好きだよ……
♡)…ありがとう。

T)好きだよ……
♡)ありがとう。

T)お前のことが…死ぬほど好き。
♡)……

T)……
♡)ありがとう。


そっと身体を離すと
♡は涙目で俺を見上げてた。


T)最後の悪あがき…聞いてくれてありがとw
♡)(ふるふるっ)
T)……
♡)……


見つめ合える、最後の時間。


T)♡……
♡)……
T)ありがとう…
♡)…っ


柔らかい頬をそっと撫でて
そのまま引き寄せ、額にキスをした。


♡)…っ
T)……


ぽんぽん…


T)送るよ……
♡)…っ


立ち上がって車のキーを手に取った。


T)……


帰したくない。
このまま一緒にいたい。

でも…このまま側にいたら
愛しさが止まらなくなって
本当に♡を離せなくなる。


♡)今日は…◇ちゃんの家に泊まるから…
  大丈夫。
T)……


送ると言った俺に
♡が目を見ずそう言った。


T)……ほんとに?
♡)うん……
T)……
♡)……


これ以上一緒にいたら
自分を抑えられなくなりそうで

車に乗せたりしたら
そのままどこかへさらってしまいそうで…


T)じゃあ…お嬢によろしくな…
♡)うん……


俺は車のキーをテーブルに戻した。


♡は下だけ脱いで
半乾きのスカートを履き直した。


♡)シャツは借りてくね…?
  ごめんね?
T)うん。
♡)ありがとう。
T)ん。


下のパジャマを受け取って
♡を玄関まで見送る。


離れたくない。
行かせたくない。


いくら背中を見つめて願っても
♡はいなくなるって…わかってるのに。


また泣きそうになって
グッとこらえると

靴を履き終えた♡がくるっと振り返って
ニコッと笑った。


♡)ありがとう!
T)……
♡)Tくん…?
T)ん……?
♡)んっ!!
T)…っ


♡が両手を広げた。


T)な…に…?w
♡)んっ!!
T)…っ


意味がわからないまま、♡を抱き締める。


♡)これは友達のハグだよっ
T)…っ
♡)……
T)……


何のハグでももういい。
♡のぬくもりを抱きしめていたい。


♡)Tくん…っ
T)……
♡)……
T)……
♡)Tくんは私にとって…
  スーパーマンみたいだった!
T)……
♡)……
T)…なに…?それ…w
♡)困ってる時にいつも現れる
  スーパーマンだよっ!!
T)……


こんなに未練だらけで
今もお前を
離したくないって思いながら

お前のこと抱きしめてる…俺が…?


♡)本当に…ありがとうっ


そう言って
♡の身体が…俺の腕からすり抜けた。


♡)ありがとうっ!!
T)…っ
♡)本当に…ありがとう。
T)……
♡)……
T)……
♡)じゃあ…行くねっ?
T)うん……


そう言って♡は
俺の大好きな笑顔を最後に見せて
ドアの向こうに消えていった。


バタン。


T)……


本当に、終わった。


馬鹿みたいに一途で
長かった恋が終わった。


でも…
何一つ、後悔してない。


思い切り…泣きたいけど…
もう散々泣いたし…

最後にあんなセリフを言われたら
泣くわけにもいかない。


「スーパーマンだよっ!!」


T)ふ…っ


最後まで…ほんとずるいなぁ…あいつは。

スーパーマンは…
泣いたりしないもんな、きっと。


泣いたり…なんか…



T)…っ



「私…ね、もしTくんと付き合ってたら…
 すごく幸せだったと思う。」


そう言ってくれて…
すごく嬉しかった。


「ありがとうは…私だよ…っ
 
 全部…全部…ちゃんと…覚えてるよ…?」


覚えてて…くれた。


「私、Tくんが大好き… 大好きだよ。」


そう言って…抱きしめてくれた。


T)……


泣きながらも一生懸命…
正直で真っ直ぐな想いを
俺に伝えてくれたんだ。


俺も…ありったけの想いを伝えた。

伝えたいだけ…伝えた。

何度も何度も…好きだって…
言葉で…身体で…必死に伝えた。


苦しいほど好きな気持ちも
壊れそうなくらい愛しい気持ちも
全部全部伝えて…

あいつは俺の気持ちに
一度も「ごめん」って言わなかった。


あいつがくれた言葉は…最後まで…


「ありがとう」


T)…っ


俺の気持ちを…全部受け取った上で
ありがとうって

そう言ってくれた。

笑ってくれた。


T)……


俺…お前が死ぬほど好きで
何より大事だけど

一番大事なのは…
お前のその笑顔だって改めて思ったよ。


好きだから…

大事だから…

笑っててほしい…

幸せでいてほしい…


俺は…お前が望む形で側にいるから…

次会う時には
ちゃんと友達の顔をして笑うから


だからお前も…
早く心から笑えますように。


太陽みたいな笑顔で…笑えますように。




ーendー

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